JP2015160266A - 切削インサート及び刃先交換式バイト - Google Patents

切削インサート及び刃先交換式バイト Download PDF

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利之 帯川
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龍太 中司
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Abstract

【課題】切削インサートの切れ刃の冷却効率を高めることができるとともに、該切れ刃の性能を安定して維持することができ、これにより工具寿命を延長でき、かつ高効率に切削加工が行える切削インサート及びこれを用いた刃先交換式バイトを提供すること。【解決手段】すくい面7と逃げ面8との交差稜線部に切れ刃5を有する切削インサート1であって、前記切れ刃5には、前記すくい面7のコーナ部に位置するコーナ刃9が含まれており、前記逃げ面8における前記切れ刃5に隣り合う領域のうち、少なくとも前記コーナ刃9に隣り合う部分に、複数の溝12が形成されていることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、切削インサート及びこれを用いた刃先交換式バイトに関するものである。
従来、刃先交換式バイトの工具本体(ホルダ)に装着される切削インサートとして、多角形板状をなし、その表面のすくい面と外周面の逃げ面との交差稜線部に、切れ刃が形成されたものが知られている。そして、切削インサートの切れ刃が、回転軸線回りに回転させられる被削材の周面(外周面、内周面)や回転軸線方向を向く端面に対して切り込んでいき、切削加工が施される。具体的には、切削インサートの切れ刃のうち、すくい面のコーナ部に位置するコーナ刃が、主として被削材に切り込んでいく。
また切削加工時には、切削インサートの切れ刃近傍に向けて、工具本体の外部から又は内部を通して、クーラント(切削油)が供給される。クーラントを切れ刃近傍に供給することで、切れ刃の温度上昇を抑えることができ、該切れ刃の性能を安定して維持することが可能になる。
しかしながら、被削材として例えばステンレス鋼やチタン、インコネル(登録商標)等の難削材を切削加工する際には、被削材の熱伝導率が低いこと等により、切削で生じる切削熱が高くなる傾向がある。そのため、クーラントによる十分な冷却効果が得られにくく、インサート寿命(工具寿命)が短寿命化したり、切削効率が低下したりする問題が生じる。
そこで、例えば下記特許文献1に示される刃先交換式バイトでは、工具本体の内部にオイルミスト(クーラント)を流通させるとともに、該オイルミストを、切削インサートの逃げ面に平行となる方向から切れ刃(刃先)に向けて供給するようにしている。この構成によれば、別の構成(外部給油や、内部給油のうちすくい面上から切れ刃に向けてクーラントを供給する構成等)に比べて、切屑の影響等を受けにくくなり、クーラントを切れ刃に到達させやすくなるため、切れ刃の冷却効率を高めることができるとともに、インサート寿命の長寿命化や切削加工の高効率化を期待することができる。また、逃げ面上から切れ刃に向けてクーラントを供給することで、逃げ面摩耗を抑制する効果も得られる。
特開2006−136953号公報
しかしながら、従来の切削インサート及びこれを用いた刃先交換式バイトにおいては、切れ刃の冷却効率をさらに高めて、工具寿命を長寿命化し切削加工を高効率化することに、未だ改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、切削インサートの切れ刃の冷却効率を高めることができるとともに、該切れ刃の性能を安定して維持することができ、これにより工具寿命を延長でき、かつ高効率に切削加工が行える切削インサート及びこれを用いた刃先交換式バイトを提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、すくい面と逃げ面との交差稜線部に切れ刃を有する切削インサートであって、前記切れ刃には、前記すくい面のコーナ部に位置するコーナ刃が含まれており、前記逃げ面における前記切れ刃に隣り合う領域のうち、少なくとも前記コーナ刃に隣り合う部分に、複数の溝が形成されていることを特徴とする。
また本発明は、切削インサートと、前記切削インサートが着脱可能に装着される工具本体と、を備える刃先交換式バイトであって、前記切削インサートとして、上述した切削インサートが用いられ、前記工具本体には、該工具本体に装着された前記切削インサートの前記逃げ面に向けて開口するクーラント供給孔が形成されているとともに、前記逃げ面を挟んだ前記クーラント供給孔の開口とは反対側に、前記切れ刃のうち少なくとも前記コーナ刃が配置されていることを特徴とする。
本発明の切削インサート及びこれを用いた刃先交換式バイトによれば、該切削インサートの逃げ面において切れ刃に隣り合う領域のうち、該切れ刃のコーナ刃に隣り合う部分に複数の溝が形成されているので、この切削インサートの逃げ面上から切れ刃のコーナ刃に向けてクーラントを供給することにより、複数の溝の内外をクーラントが流れることで、下記の乱流促進効果、ガイド効果、フィン効果を得ることができる。
すなわち、上記乱流促進効果とは、クーラントが逃げ面の複数の溝を乗り越えるときに生じる渦などの二次流れによって、熱伝達が促進される効果である。
具体的に、例えば本発明とは異なり、逃げ面に複数の溝が形成されていない場合には、この逃げ面上を流れるクーラントは逃げ面と被削材との間の狭い空間に入るため、層流となりやすく、クーラントの攪拌効果が十分に得られずに、該クーラントは切れ刃近傍を早期に通過して冷却効果が得られにくくなる。
一方、本発明によれば、逃げ面に複数の溝が形成されていることにより、該逃げ面上を流れるクーラントは溝の作用により乱流となりやすく、クーラントの攪拌効果が十分に得られて、該クーラントは切れ刃近傍の熱伝達効率の向上に効果的に寄与して、冷却効果が高められる。
また、上記ガイド効果とは、逃げ面の複数の溝により、クーラントが切れ刃近傍へ案内されやすくなる効果である。
すなわち、クーラントが溝を乗り越える際に生じる二次流れや流れの剥離によって圧力損失が起こるため、該クーラントは溝に沿って流れやすくなり、切れ刃近傍に案内されやすくなって、冷却効率を高めることができる。
また、上記フィン効果とは、逃げ面に形成された複数の溝により、該逃げ面の表面積が増大させられるとともに伝熱面積が増大して、熱伝達が促進されクーラントによる冷却効果が高められる効果である。
このような各効果により、切削インサートにおいて主として切削に用いられる一方で、従来ではクーラントを安定供給しにくかった切れ刃のコーナ刃に対して、本発明によれば所期する量のクーラントを安定して確実かつ十分に供給することができる。また、逃げ面上から切れ刃に向けてクーラントを供給することで、逃げ面摩耗を顕著に抑制することが可能になる。
以上より本発明によれば、切削インサートの切れ刃の冷却効率を高めることができるとともに、該切れ刃の性能を安定して維持することができ、これにより工具寿命を延長でき、かつ高効率に切削加工が行える。
また、本発明の切削インサートにおいて、前記複数の溝が、前記コーナ刃に対して垂直な向きに沿うように延びていることとしてもよい。
この場合、逃げ面において複数の溝が、切れ刃のコーナ刃の稜線に垂直となるように延びている(垂直溝とされている)ので、これら溝によってクーラントが刃先まで案内されやすくなり(ガイド効果の向上)、該クーラントの浸透性が高められる。
具体的には、切削インサートの逃げ面上から切れ刃のコーナ刃に向けてクーラントを供給することで、複数の溝によってクーラントが逃げ面上に保持されつつ、コーナ刃へ向けてガイドされやすくなり、クーラントをより確実に刃先まで送り込むことができる。
また、本発明の切削インサートにおいて、前記複数の溝が、前記コーナ刃に対して平行な向きに沿うように延びていることとしてもよい。
この場合、逃げ面において複数の溝が、切れ刃のコーナ刃の稜線に平行となるように延びている(平行溝とされている)ので、これら溝によってクーラントに乱流を生じさせやすくすることができ(乱流促進効果の向上)、切削熱の効率的な除去が行える。
具体的には、切削インサートの逃げ面上から切れ刃のコーナ刃に向けてクーラントを供給することで、複数の溝によってクーラントの流れがかき乱されるとともに乱流となり、該クーラントが熱交換に効果的に寄与することとなって、切れ刃の冷却効率が向上する。
また、本発明の切削インサートにおいて、前記複数の溝が、前記コーナ刃に垂直な向きに対して、傾斜する向きに沿うように延びていることとしてもよい。
この場合、逃げ面において複数の溝が、切れ刃のコーナ刃の稜線に垂直な向きに対して傾斜するように延びている(傾斜溝とされている)ので、上述したガイド効果の向上、及び乱流促進効果の向上の両効果が高められる。
また、本発明の切削インサートにおいて、前記複数の溝が、前記コーナ刃の稜線が延びる方向に向かうに従い該コーナ刃に対して接近及び離間を繰り返す波形状となるように延びていることとしてもよい。
この場合、逃げ面において複数の溝が、コーナ刃の稜線方向に向かうに従い該コーナ刃に対して接近及び離間する、例えばW字状、M字状、ジグザグ形状等の波形状となるように延びることになり、該逃げ面を、例えば斜交波面(斜交波状面)等に形成することができる。このような斜交波面は、熱伝達を大きくしつつ圧力損失を小さくすることができ、熱交換効率がよい。
また、逃げ面において複数の溝が、コーナ刃の稜線方向に向かうに従い該コーナ刃に対して接近及び離間する、例えば凹曲線部と凸曲線部とが連続的に繰り返されるサインカーブ(正弦曲線)形状等の波形状となるように延びていてもよく、この場合にも熱交換効率が高められることになる。
或いは、複数の溝が、コーナ刃から離間する向き(コーナ刃稜線に対して垂直な向き)に延びた後、コーナ刃の稜線に沿う向き(コーナ刃稜線に対して平行な向き)に延び、さらにコーナ刃に接近する向き(コーナ刃稜線に対して垂直な向き)に延びており、このようにコーナ刃に対して垂直な向きと平行な向きとが繰り返されることで、溝が波形状をなしていてもよく、この場合、上記波形状による作用効果とともに、上述した垂直溝及び平行溝の両効果も得られやすくなる。
このように、逃げ面において複数の溝が波形状に形成されている(波形状溝とされている)ことにより、切れ刃の冷却効率を高めることができる。
また、本発明の切削インサートにおいて、前記複数の溝は、前記コーナ刃との間に間隔をあけて形成されていることとしてもよい。
この場合、複数の溝により切れ刃のコーナ刃にクーラントを安定供給できつつ、該コーナ刃の刃先強度を十分に確保できる。
具体的に、本発明の上記構成とは異なり、例えば逃げ面の複数の溝がコーナ刃に到達している場合には、クーラントを安定供給することができる一方、刃先欠損が生じやすくなるおそれがある。
一方、本発明の上記構成によれば、切れ刃のコーナ刃にクーラントを安定供給することができ、かつ、刃先欠損を抑制することも可能になって、工具寿命を長寿命化でき、高効率に切削加工が行える。
また、本発明の切削インサートにおいて、前記溝の溝幅が、該溝の底部から開口部へ向かうに従い広くされていることとしてもよい。
この場合、溝の溝幅が、該溝の底部から開口部へ向かうに従い広くなっているので、溝の内壁(溝内の側壁)は、該溝の溝深さ方向に対して傾斜して形成されたり(つまり開口部へ向けて溝幅が漸次広くなる)、又は段差を有して形成される(つまり開口部へ向けて溝幅が段階的に広くなる)。これにより、溝の内壁の表面積を大きく確保することができ、熱交換効率を向上することが可能になる。また、溝の底部から開口部へ向けて溝幅が大きくなるので、この溝内にクーラントが流入しやすくなって、上述した複数の溝による冷却効果がより安定的に、かつ確実に得られやすくなる。
本発明の切削インサート及びこれを用いた刃先交換式バイトによれば、切削インサートの切れ刃の冷却効率を高めることができるとともに、該切れ刃の性能を安定して維持することができ、これにより工具寿命を延長でき、かつ高効率に切削加工が行える。
本発明の一実施形態に係る刃先交換式バイト及び被削材の一例を示す斜視図であり、これら刃先交換式バイト及び被削材を斜め上方から見た状態を表している。 刃先交換式バイト及び被削材の一例を示す斜視図であり、これら刃先交換式バイト及び被削材を斜め下方から見た状態を表している。 刃先交換式バイトの要部を拡大して示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る切削インサートを示す斜視図である。 切削インサートの(a)平面図、(b)側面図である。 切削インサートの側面図である。 (a)図5(a)のA−A断面を示す図、(b)図7(a)のB部を拡大して示す図である。 本発明の切削インサートの逃げ面に形成された複数の溝の変形例を示す図(逃げ面を正面に見た切削インサートの側面図)である。 本発明の切削インサートの逃げ面に形成された複数の溝の変形例を示す図(コーナ刃に垂直な断面図)である。 本発明の実施例と、従来の比較例との性能(逃げ面摩耗量と切削距離との関係)を比較するグラフである。 本発明の実施例と、従来の比較例との性能を比較するグラフである。 本発明の実施例と、従来の比較例との性能を比較するグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る切削インサート1、及びこれを用いた刃先交換式バイト30について、図面を参照して説明する。
本実施形態の切削インサート1が装着された刃先交換式バイト30は、金属材料等からなる被削材Wに旋削加工を施すものであり、特に被削材Wとして、例えばSUS304等のステンレス鋼やチタン、インコネル(登録商標)などの難削材を切削加工するのに適したバイト工具である。
図1〜図3に示されるように、刃先交換式バイト30は、超硬合金等の硬質材料からなり、その外面のうち少なくとも切れ刃5近傍(切れ刃5、すくい面7及び逃げ面8)がCVDコーティング膜等の硬質膜で被覆された切削インサート1と、鋼材等からなり、切削インサート1が着脱可能に装着される工具本体31と、を備えている。
図1及び図2において、被削材Wは、円盤状や柱状、棒状等をなしている。刃先交換式バイト30は、被削材Wをその回転軸線O回りの被削材回転方向Tに回転させつつ、工具本体31の先端から突出する切削インサート1の切れ刃5により、被削材Wの周面(図示の例では被削材Wの外周面。又は被削材Wに形成した下穴の内周面でもよい)に周面加工を施したり、被削材Wの回転軸線O方向を向く端面に端面加工を施す。
工具本体31は、軸状又は棒状をなしている。工具本体31は、該工具本体31の先端部(被削材Wの加工面へ向かう方向の端部)に形成されるとともに切削インサート1が装着される凹状のインサート取付座32と、インサート取付座32に切削インサート1を着脱可能にクランプ(固定)するためのクランプ駒33及びクランプねじ34を含むクランプ機構と、インサート取付座32に装着された切削インサート1の逃げ面8に向けて開口し、クーラント(切削油)が内部に流通させられるクーラント供給孔36と、を有している。
また、工具本体31の基端部(被削材Wの加工面とは反対側へ向かう方向の端部)は、不図示の工作機械に着脱可能に取り付けられている。
尚、図1に示されるように、本実施形態において工具本体31は、インサート取付座32に配設された切削インサート1のすくい面7が鉛直方向に沿う下方を向くように、工作機械に装着される。
ここで、本明細書では、刃先交換式バイト30の工具本体31が延びる方向のうち、被削材Wの加工面に向かう方向を工具先端側、被削材Wの加工面とは反対側へ向かう方向を工具基端側という。また、工具本体31が延びる方向に直交する方向のうち、切削インサート1のすくい面7が向く方向を下方といい、すくい面7とは反対側を向く方向を上方という。
インサート取付座32は、切削インサート1の形状に対応して切り欠かれるように形成された凹状をなしており、本実施形態では、切削インサート1が略菱形の矩形板状に形成されているのに対応して、インサート取付座32は、工具先端側及び下方へ向けて開口する略菱形の矩形穴状をなしている。
図3は、インサート取付座32及び切削インサート1を工具本体31の斜め下方から見た図であり、つまり図3における上方が鉛直方向の下方であり、図3における下方が鉛直方向の上方となっている。図3において、インサート取付座32は、該インサート取付座32に装着される切削インサート1の着座面(表裏面3のうち裏面)に略平行に配置される底壁37と、この底壁37上に着脱可能に載置されるとともに、該底壁37と切削インサート1との間に介装されるシート部材35と、切削インサート1の外周面4に当接させられる一対の側壁と、を有している。
インサート取付座32の底壁37は、略菱形の矩形面状をなしており、シート部材35は、略菱形の矩形板状をなしている。シート部材35における表裏面のうち、底壁37とは反対側を向く表面は、切削インサート1の着座面が着座する取付面とされている。
また、インサート取付座32の底壁37は、シート部材35よりも工具先端側へ向けて突出するL字面状の部分を有しており、該部分には、クーラント供給孔36の開口(ノズル孔部)が形成されている。
本実施形態においては、クーラント供給孔36のノズル孔部の内径が、1.5〜2.0mmであり、該ノズル孔部から噴出させられるクーラントの流速が7〜8m/s、クーラントの流量が800〜1450ml/minである。
そして、工具本体31のインサート取付座32に装着された切削インサート1の逃げ面8を挟んだクーラント供給孔36の開口とは反対側に、後述する切削インサート1の切れ刃5のうち少なくともコーナ刃9が配置されている。
また、インサート取付座32の一対の側壁は、略長方形の矩形面状をそれぞれなしており、互いの間に凹となる鋭角を形成するように交差しているとともに、底壁に対しては凹となる直角を形成するように交差して、該底壁から立ち上がっている。
クランプ駒33及びクランプねじ34を含むクランプ機構は、切削インサート1をインサート取付座32のシート部材35に向けて押圧し、かつ切削インサート1をインサート取付座32の一対の側壁に向けて(工具基端側へ向けて)引き込むことで、インサート取付座32に対する切削インサート1の移動を規制して、該切削インサート1をクランプする。
クーラント供給孔36は、工具本体31を貫通して形成されている。クーラント供給孔36は、インサート取付座32の底壁37に開口する部分の内径が最も小径とされており、該開口から離間するに従い内径が大きくされている。図示の例では、クーラント供給孔36は、インサート取付座32の底壁37に開口する部分(小径部)から離間するに従い段階的に内径が大きくなっており、具体的には、小径部から離間するに従い孔の向きを変えながら拡径している。
また、クーラント供給孔36において底壁37に開口する部分とは反対側の端部は、工具本体31において上方(図3における下方)を向く面に開口しており、該端部には、不図示のクーラント供給手段が接続される。
図4〜図7に示されるように、切削インサート1は、板状をなすインサート本体2と、インサート本体2の表裏面3、及びこれら表裏面3の周縁同士をインサート軸線C方向に沿うように接続する外周面4と、表裏面3と外周面4との交差稜線部に形成された切れ刃5と、インサート本体2をインサート軸線C方向に貫通して形成され、表裏面3に開口するとともにクランプ駒33(クランプ機構)に係止される取付孔6と、を備えている。
本実施形態では、切削インサート1のインサート本体2は、略菱形の矩形板状をなしており、表裏面3は略菱形の矩形面状をそれぞれなしており、外周面4は4つの矩形状面を有している。
具体的には、図5(a)に示される表裏面3を正面に見たインサート平面視において、インサート本体2の表裏面3における各コーナ部は凸曲線状をなしており、これに伴い、外周面4において互いに隣り合う前記矩形状面同士の間の部分は、インサート軸線Cに垂直な断面が凸曲線状とされた凸曲面状(図示の例では円筒体の外周面の一部)をなすように形成されている(図4を参照)。
図3に示されるように、この切削インサート1がインサート取付座32に装着された状態で、インサート本体2の表裏面3のうち、該インサート取付座32の底壁37とは反対側を向く表面における切れ刃5に隣接する部位は、すくい面7とされている。またインサート本体2の表裏面3のうち、この切削インサート1がインサート取付座32に装着された状態で、該インサート取付座32の底壁37側を向く裏面(シート部材35に当接する面)は、着座面とされている。
またインサート本体2の外周面4のうち、切れ刃5に隣接する部位は、逃げ面8とされている。
図4〜図7において、本実施形態の切削インサート1は、インサート本体2の逃げ面8(外周面4)がインサート軸線Cに平行となるように形成された、所謂ネガティブインサートであるが、これに限定されるものではない。すなわち、切削インサート1は、その逃げ面8が切れ刃5からインサート軸線C方向に離間するに従い漸次インサート軸線Cに直交するインサート径方向に沿う内側へ向けて傾斜する、所謂ポジティブインサートであってもよい。
また切削インサート1は、表裏反転対称形状であってもよく、又は非表裏反転対称形状(つまり表裏反転対称形状でない)であってもよい。
切削インサート1の切れ刃5は、すくい面7と逃げ面8との交差稜線部に形成されている。切れ刃5は、表裏面3のコーナ部(すくい面7のコーナ部)に位置するコーナ刃9と、コーナ刃9の両端に接続して直線状に延びる一対の直線刃10、11と、を有している。
図5(a)において、コーナ刃9は、凸曲線状をなしており、本実施形態に示される例では凸円弧状をなしている。コーナ刃9のうち、旋削加工時において工具送り方向の前方に位置する部位(図5(a)において直線刃10側に位置する部位)及び直線刃10は、被削材Wの加工面に切り込んでいき、コーナ刃9のうち、工具送り方向の後方に位置する部位(図5(a)において直線刃11側に位置する部位)は、被削材Wの加工面を仕上げ加工する。尚、コーナ刃9の工具送り方向の後方に連なる直線刃11を用いて被削材Wの加工面を仕上げ加工してもよい。また、切れ刃5の直線刃11側から被削材Wの加工面に切り込んでもよい。
直線刃10、11は、円弧状をなすコーナ刃9の両端に接する接線方向に延びているとともに、該コーナ刃9に滑らかに連なっている。また、一対の直線刃10、11同士の間に形成される角度(直線刃10、11の仮想延長線同士の交差角)は、本実施形態では90°よりも小さくされている。
そして、図4及び図7(b)に示されるように、切削インサート1の逃げ面8において切れ刃5に隣り合う領域のうち、少なくともコーナ刃9に隣り合う部分には、複数の溝12が形成されている。図示の例では、これら溝12が、溝幅G方向に互いに等間隔をあけて配列している。
また、これらの溝12は、例えば切削インサート1を焼結する前の工程において、型押し成形等により形成されたり、YAGレーザ等のレーザ加工により形成される。また、溝12についても該溝12以外の切れ刃5近傍と同様に、CVDコーティング膜等の硬質膜が被覆されていてもよく、或いは、溝12内については他の部位とは異なり、硬質膜が被覆されていなくてもよい。
本実施形態においては、複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9に対して平行な向きに沿うように延びており、具体的にこれらの溝12は、コーナ刃9の稜線、及び直線刃10、11のうち該コーナ刃9に隣接する部分の稜線に対して、平行な向きに沿うように延びている。また、これら溝12同士は、インサート軸線C方向に隣り合って配列している。
また、外周面4(逃げ面8)において複数の溝12が配置される領域(溝12の形成領域)は、インサート軸線C方向については、外周面4におけるインサート軸線C方向に沿う中央部よりも切れ刃5側部分とされており、具体的には、切れ刃5からインサート軸線C方向に沿うインサート内側(中央側)へ向けた2mm以内の範囲である。
また図7(b)において、複数の溝12は、切れ刃5のコーナ刃9との間に間隔Lをあけて形成されている。本実施形態では、切れ刃5のコーナ刃9から溝12の形成領域(該形成領域のうち切れ刃5側の端縁)までのインサート軸線C方向に沿う間隔(距離)Lが、0.3mm以上となっている。
また図4において、溝12の形成領域は、インサート軸線C回りのインサート周方向については、外周面4における少なくともコーナ刃9のインサート軸線C方向に沿うインサート内側に隣り合う部分とされており、具体的には、少なくともコーナ刃9の刃長全体の長さに対応するインサート周方向の長さとされている。本実施形態では、溝12の形成領域のインサート周方向に沿う長さが、外周面4におけるコーナ刃9、及び直線刃10、11のうち該コーナ刃9に隣接する部分(コーナ刃9側に位置する部分)のインサート周方向長さに対応している。
また図示の例では、溝12の形成領域のうち、直線刃10(工具送り方向の前方(切り込み側)に位置する一方の直線刃)に隣り合う部分におけるインサート周方向長さが、直線刃11(工具送り方向の後方(仕上げ加工側)に位置する他方の直線刃)に隣り合う部分におけるインサート周方向長さよりも、長くなっている。
尚、溝12の形成領域は、本実施形態で説明したものに限定されるものではなく、例えばインサート周方向については、コーナ刃9に隣り合う部分から、インサート周方向の両側へ向けて突出する長さ(つまり溝12の形成領域のうち、各直線刃10、11に隣り合う部分同士のインサート周方向に沿う長さ)が、互いに等しくされていてもよい(図8を参照)。
図7(b)に示される例では、溝12の溝幅Gが、該溝12の底部12aから開口部12bへ向かって一定とされている。また、これにより溝12の内壁(溝12内の側壁)12cは、該溝12の溝深さD方向に平行で溝底(溝12の底部12aに位置する底壁)から垂直に立ち上がるように形成された垂直壁とされている。尚、図示の例では溝12の底壁(底部12a)が、溝深さD方向に垂直な平面状に形成されているが、これに限定されるものではなく、該底壁の断面形状は、例えば凹曲線状や凹V字状等であってもよい。
また、溝12の内壁12cが前記垂直壁とされていることにより、隣り合う溝12同士の間に形成されるリブ状部分は、その断面が長方形状に形成されて、リブ幅Rがリブ高さ(溝深さD)方向に沿って一定とされている。
本実施形態では、溝12の溝幅Gが50〜200μm、隣り合う溝12同士の間に形成されるリブ状部分のリブ幅Rが50μm、溝深さD(リブ高さ)が5〜50μmとなっている。
ここで、図8及び図9に示されるものは、本実施形態で説明した複数の溝12の変形例である。
図8(a)に示される複数の溝12は、切れ刃5のコーナ刃9に対して垂直な向きに沿うように延びており、具体的にこれらの溝12は、コーナ刃9の稜線、及び直線刃10、11のうち該コーナ刃9に隣接する部分の稜線に対して、垂直な向きに沿うように延びている。また、これら溝12同士は、インサート周方向に隣り合って配列している。
また、図8(b)に示される複数の溝12は、切れ刃5のコーナ刃9に垂直な向きに対して、傾斜する向きに沿うように延びており(従って、コーナ刃9に平行な向きに対して、傾斜する向きに沿うように延びているとも言える)、具体的にこれらの溝12は、コーナ刃9の稜線、及び直線刃10、11のうち該コーナ刃9に隣接する部分の稜線に対して、前記傾斜する向きに沿うように延びている。また、これら溝12同士は、前記傾斜する向きに垂直な方向に隣り合って配列している。
尚、図示の例では、複数の溝12の前記傾斜する向きが、インサート周方向に沿って直線刃10から直線刃11側(図8(b)における左側)へ向かうに従い漸次インサート軸線C方向に沿うインサート内側(図8(b)における下方)へ向けて傾斜していて、これらの溝12がこの逃げ面8の正面視で、左下がり(右上がり)の傾斜となっているが、これに限定されるものではない。すなわち、複数の溝12の前記傾斜する向きは、インサート周方向に沿って直線刃11から直線刃10側(図8(b)における右側)へ向かうに従い漸次インサート軸線C方向に沿うインサート内側へ向けて傾斜していて、これらの溝12がこの逃げ面8の正面視で、右下がり(左上がり)の傾斜となっていてもよい。
また、図8(c)及び図8(d)に示される複数の溝12は、切れ刃5のコーナ刃9の稜線が延びる方向(図8(c)(d)における左右方向、つまりインサート周方向)に向かうに従い該コーナ刃9に対して接近及び離間を繰り返す波形状となるように延びており、具体的にこれらの溝12は、コーナ刃9の稜線、及び直線刃10、11のうち該コーナ刃9に隣接する部分の稜線が延びる方向に向かうに従いこれら稜線に対して接近及び離間を繰り返す波形状をなしている。
図8(c)に示される例では、逃げ面8において複数の溝12が、コーナ刃9(及び直線刃10、11)の稜線方向(インサート周方向)に向かうに従い該コーナ刃9(及び直線刃10、11)に対して接近及び離間する、例えばW字状、M字状、ジグザグ形状等の波形状となるように延びており、該逃げ面8には複数の溝12からなる斜交波面(斜交波状面)が形成されている。
また図8(d)に示される例では、逃げ面8において複数の溝12が、インサート周方向に向かうに従いインサート軸線C方向に凹凸する(切れ刃5稜線に対して接近離間する)ことで、凹曲線部と凸曲線部とが連続的に繰り返されるサインカーブ(正弦曲線)形状等の波形状となるように延びている。
或いは、特に図示していないが、逃げ面8において複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9から離間する向き(コーナ刃9稜線に対して垂直な向き、インサート軸線C方向)に延びた後、コーナ刃9の稜線に沿う向き(コーナ刃9稜線に対して平行な向き、インサート周方向)に延び、さらにコーナ刃9に接近する向き(コーナ刃9稜線に対して垂直な向き)に延びており、このようにコーナ刃9に対して垂直な向きと平行な向きとが繰り返されることで、溝12が波形状をなしていてもよい。
図9(a)及び図9(b)に示される複数の溝12の断面視(溝12が延在する方向に垂直な断面視)で、溝12の溝幅Gは、該溝12の底部12aから開口部12bへ向かうに従い広くされている。
具体的に、図9(a)の断面視においては、溝12の溝幅Gが、該溝12の底部12aから開口部12bへ向かうに従い漸次広くされており、これにより溝12の内壁(溝12内の側壁)12cは、該溝12の溝深さD方向に沿って底部12aから開口部12b側へ向かうに従い漸次溝幅G方向に沿う溝12の外側へ向けて傾斜する傾斜壁とされている。
また、溝12の内壁12cが前記傾斜壁とされていることにより、隣り合う溝12同士の間に形成されるリブ状部分は、その断面が台形状に形成されて、リブ幅Rがリブ高さ(溝深さD)方向に沿って基部(台形の下底部分)から頂部(台形の上底部分)へ向かうに従い漸次狭くされている。
また図9(b)の断面視においては、溝12の底部12aが凹曲線状をなし、隣り合う溝12同士の間に形成されるリブ状部分が凸曲線状をなしていて、これらが滑らかに接続することにより、やはり溝12の内壁12cは、該溝12の溝深さD方向に沿って底部12aから開口部12b側へ向かうに従い漸次溝幅G方向に沿う溝12の外側へ向けて傾斜する傾斜壁とされている。
またこの場合、溝12の形成領域全体としての断面(溝12に垂直な断面)は、溝12(凹曲線部)とリブ状部分(凸曲線部)とが連続的に繰り返されるサインカーブ形状等の波形状となる。
或いは、特に図示していないが、溝12の溝幅Gは、該溝12の底部12aから開口部12bへ向かうに従い段階的に広くされていてもよい。この場合、溝12の内壁12cには、段部が形成されることになる。また、隣り合う溝12同士の間に形成されるリブ状部分については、そのリブ幅Rがリブ高さ(溝深さD)方向に沿って基部から頂部へ向かうに従い段階的に狭くされる。
以上説明した本実施形態の切削インサート1及びこれを用いた刃先交換式バイト30によれば、該切削インサート1の逃げ面8において切れ刃5に隣り合う領域のうち、該切れ刃5のコーナ刃9に隣り合う部分に複数の溝12が形成されているので、この切削インサート1の逃げ面8上から切れ刃5のコーナ刃9に向けてクーラントを供給することにより、複数の溝12の内外をクーラントが流れることで、下記の乱流促進効果、ガイド効果、フィン効果を得ることができる。
すなわち、上記乱流促進効果とは、クーラントが逃げ面8の複数の溝12を乗り越えるときに生じる渦などの二次流れによって、熱伝達が促進される効果である。
具体的に、例えば本実施形態とは異なり、逃げ面に複数の溝が形成されていない場合には、この逃げ面上を流れるクーラントは逃げ面と被削材との間の狭い空間に入るため、層流となりやすく、クーラントの攪拌効果が十分に得られずに、該クーラントは切れ刃近傍を早期に通過して冷却効果が得られにくくなる。
一方、本実施形態によれば、逃げ面8に複数の溝12が形成されていることにより、該逃げ面8上を流れるクーラントは溝12の作用により乱流となりやすく、クーラントの攪拌効果が十分に得られて、該クーラントは切れ刃5近傍の熱伝達効率の向上に効果的に寄与して、冷却効果が高められる。
また、上記ガイド効果とは、逃げ面8の複数の溝12により、クーラントが切れ刃5近傍へ案内されやすくなる効果である。
すなわち、クーラントが溝12を乗り越える際に生じる二次流れや流れの剥離によって圧力損失が起こるため、該クーラントは溝12に沿って流れやすくなり、切れ刃5近傍に案内されやすくなって、冷却効率を高めることができる。
また、上記フィン効果とは、逃げ面8に形成された複数の溝12により、該逃げ面8の表面積が増大させられるとともに伝熱面積が増大して、熱伝達が促進されクーラントによる冷却効果が高められる効果である。
このような各効果により、切削インサート1において主として切削に用いられる一方で、従来ではクーラントを安定供給しにくかった切れ刃5のコーナ刃9に対して、本実施形態によれば所期する量のクーラントを安定して確実かつ十分に供給することができる。また、逃げ面8上から切れ刃5に向けてクーラントを供給することで、逃げ面8摩耗を顕著に抑制することが可能になる。
以上より本実施形態によれば、切削インサート1の切れ刃5の冷却効率を高めることができるとともに、該切れ刃5の性能を安定して維持することができ、これにより工具寿命を延長でき、かつ高効率に切削加工が行える。
また、複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9に対して平行な向きに沿うように延びている(平行溝とされている)構成により、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、逃げ面8において複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9の稜線に平行となるように延びているので、これら溝12によってクーラントに乱流を生じさせやすくすることができ(乱流促進効果の向上)、切削熱の効率的な除去が行える。
具体的には、切削インサート1の逃げ面8上から切れ刃5のコーナ刃9に向けてクーラントを供給することで、複数の溝12によってクーラントの流れがかき乱されるとともに乱流となり、該クーラントが熱交換に効果的に寄与することとなって、切れ刃5の冷却効率が向上する。
尚、複数の溝12が切れ刃5に対して平行に延びる構成の場合には、溝深さDが50μm未満であることが好ましい。すなわち、切れ刃5稜線に平行となるように延びる溝12の場合、溝深さDが50μm以上であると、これらの溝12に沿ってクーラントがインサート周方向(切れ刃5の稜線方向)に逃がされやすくなるとともに、切れ刃5のコーナ刃9に到達しにくくなるおそれがある。また、溝深さDが大き過ぎる(溝深さDが50μm以上である)と、溝底(溝12の底部12a)にクーラントが行き届かず、冷却効率の向上が見込みにくくなる。
より好ましくは、切れ刃5に平行な向きに沿うように延びる溝12の溝深さDは、本実施形態で説明した5〜30μmであり、さらに望ましくは、6μmを超え15μm以下である。
また、複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9に対して垂直な向きに沿うように延びている(垂直溝とされている)構成により、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、逃げ面8において複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9の稜線に垂直となるように延びているので、これら溝12によってクーラントが刃先まで案内されやすくなり(ガイド効果の向上)、該クーラントの浸透性が高められる。
具体的には、切削インサート1の逃げ面8上から切れ刃5のコーナ刃9に向けてクーラントを供給することで、複数の溝12によってクーラントが逃げ面8上に保持されつつ、コーナ刃9へ向けてガイドされやすくなり、クーラントをより確実に刃先まで送り込むことができる。
尚、複数の溝12が切れ刃5に対して垂直に延びる構成の場合には、溝深さDが50μm以下であることが好ましい。
望ましくは、切れ刃5に垂直な向きに沿うように延びる溝12の溝深さDは、15〜50μmである。
また、複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9に垂直な向きに対して、傾斜する向きに沿うように延びている(傾斜溝とされている)構成により、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、逃げ面8において複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9の稜線に垂直な向きに対して傾斜するように延びているので、上述したガイド効果の向上、及び乱流促進効果の向上の両効果が高められる。
また、複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9の稜線が延びる方向に向かうに従い該コーナ刃9に対して接近及び離間を繰り返す波形状となるように延びている(波形状溝とされている)構成により、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、逃げ面8において複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9の稜線方向に向かうに従い該コーナ刃9に対して接近及び離間する、例えばW字状、M字状、ジグザグ形状等の波形状となるように延びる斜交波面(斜交波状面)等に形成することができる。このような斜交波面は、熱伝達を大きくしつつ圧力損失を小さくすることができ、熱交換効率がよい。
また、逃げ面8において複数の溝12が、コーナ刃9の稜線方向に向かうに従い該コーナ刃9に対して接近及び離間する、例えば凹曲線部と凸曲線部とが連続的に繰り返されるサインカーブ(正弦曲線)形状等の波形状となるように延びていてもよく、この場合にも熱交換効率が高められることになる。
或いは、複数の溝12が、コーナ刃9から離間する向き(コーナ刃9稜線に対して垂直な向き)に延びた後、コーナ刃9の稜線に沿う向き(コーナ刃9稜線に対して平行な向き)に延び、さらにコーナ刃9に接近する向き(コーナ刃9稜線に対して垂直な向き)に延びており、このようにコーナ刃9に対して垂直な向きと平行な向きとが繰り返されることで、溝12が波形状をなしていてもよく、この場合、上記波形状による作用効果とともに、上述した垂直溝及び平行溝の両効果も得られやすくなる。
このように、逃げ面8において複数の溝12が波形状に形成されていることにより、切れ刃5の冷却効率を高めることができる。
尚、複数の溝12が、コーナ刃9の稜線が延びる方向に向かうに従い該コーナ刃9に対して接近及び離間を繰り返す波形状に延びる構成の場合には、溝深さDは、5〜15μmであることが好ましい。
また、複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9との間に間隔Lをあけて形成されている構成により、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、複数の溝12により切れ刃5のコーナ刃9にクーラントを安定供給できつつ、該コーナ刃9の刃先強度を十分に確保できる。
具体的に、本実施形態の上記構成とは異なり、例えば逃げ面の複数の溝がコーナ刃に到達している場合には、クーラントを安定供給することができる一方、刃先欠損が生じやすくなるおそれがある。
一方、本実施形態の上記構成によれば、切れ刃5のコーナ刃9にクーラントを安定供給することができ、かつ、刃先欠損を抑制することも可能になって、工具寿命を長寿命化でき、高効率に切削加工が行える。
また、溝12の溝幅Gが、該溝12の底部12aから開口部12bへ向かうに従い広くされている構成により、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、溝12の内壁(溝12内の側壁)12cは、該溝12の溝深さD方向に対して傾斜して形成されたり(つまり開口部12bへ向けて溝幅Gが漸次広くなる)、又は段差を有して形成される(つまり開口部12bへ向けて溝幅Gが段階的に広くなる)ため、溝12の内壁12cの表面積を大きく確保することができ、熱交換効率を向上することが可能になる。また、溝12の底部12aから開口部12bへ向けて溝幅Gが大きくなるので、この溝12内にクーラントが流入しやすくなって、上述した複数の溝12による冷却効果がより安定的に、かつ確実に得られやすくなる。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、切削インサート1が略菱形の矩形板状に形成されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明の切削インサート1は、すくい面7と逃げ面8との交差稜線部をなす切れ刃5に、該すくい面7のコーナ部に位置するコーナ刃9が含まれていればよく、よって該切削インサート1の形状は、前述の実施形態で説明したものに限定されない。
また、前述の実施形態では、切削インサート1は、超硬合金等の硬質材料からなり、その外面のうち少なくとも切れ刃5近傍(切れ刃5、すくい面7及び逃げ面8)がCVDコーティング膜等の硬質膜で被覆されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち切削インサート1は、例えば、超硬合金製の台金(基体)のコーナ部に形成された凹部に、PCD(多結晶ダイヤモンド)焼結体やcBN(立方晶窒化硼素)焼結体のような超高硬度焼結体からなる切れ刃チップがろう付け等により一体に形成されたものであってもよい。この場合、切削インサート1の切れ刃5、すくい面7及び逃げ面8は、切れ刃チップに形成される。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及び尚書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[逃げ面摩耗確認試験]
本発明の実施例として、前述の実施形態で説明した切削インサート1及び刃先交換式バイト30を用意した。
具体的には、本実施例の切削インサート1として、逃げ面8において複数の溝12が、切れ刃5のコーナ刃9に対して平行な向きに沿うように延びているもの(平行溝タイプ)、垂直な向きに沿うように延びているもの(垂直溝タイプ)、コーナ刃9の稜線方向に向かうに従い該コーナ刃9に対して接近離間する波形状とされ、これら溝12の形成領域が斜交波面(斜交波状面)とされたもの(斜交波溝タイプ)を用意した。
溝12の溝深さDについては、平行溝タイプは15μm、垂直溝タイプは15μm、30μm、50μm、斜交波溝タイプは5μm、10μm、15μmのものをそれぞれ用意した。また溝12の配列ピッチ(溝波長:溝幅G+リブ幅R)については、平行溝タイプ及び垂直溝タイプはともに100μmとした。また斜交波溝タイプについては、切れ刃5稜線に垂直な方向:170μm・平行な方向:100μmの傾斜溝を、1周期毎に反転させた。
またクーラント供給方法については、前述の実施形態で説明した通り、工具本体31のクーラント供給孔36から、切削インサート1の逃げ面8及び該逃げ面8の先に位置する切れ刃5のコーナ刃9に対して、クーラントを噴出させた(JC:ジェットクーラント法)。
また試験条件は、下記の通りとした。
被削材:SUS304(平均ビッカース硬さ302HV)、切削速度:240m/min、送り速度:0.2mm/rev、切込み量:1.0mm、工具寿命基準:最大逃げ面摩耗(VBmax)>0.20mm、クーラント流速:7.7m/s、クーラント流量:1450ml/min。
また、従来の比較例として、切削インサート1の逃げ面8に溝12が形成されていないもの(微細加工無し)を用意した。
尚、比較例では、クーラント供給方法として、上記JC法による内部給油と、一般的な外部給油(Wet)とによりそれぞれ試験を行った。尚、上記外部給油については、クーラント流速:1.3m/s、クーラント流量:5090ml/minである。
本発明の実施例及び比較例の試験結果を、図10〜図12の各グラフに示す。尚、グラフについては、縦軸が逃げ面摩耗量の最大値(VBmax[mm])を表しており、横軸が切削距離(Cutting length[m])を表している。
[評価]
図10〜図12に示されるように、本発明の実施例(JC平行溝、JC垂直溝、JC斜交波溝が形成されたもの)においては、最大逃げ面摩耗量が0.20mmに達したときの切削距離(切削長)が、比較例(JC微細加工無し、Wet微細加工無し)における前記切削距離よりもすべて長く、良好な結果が得られた。
1 切削インサート
5 切れ刃
7 すくい面
8 逃げ面
9 コーナ刃
12 溝
12a 底部
12b 開口部
30 刃先交換式バイト
31 工具本体
36 クーラント供給孔
G 溝幅
L 間隔

Claims (8)

  1. すくい面と逃げ面との交差稜線部に切れ刃を有する切削インサートであって、
    前記切れ刃には、前記すくい面のコーナ部に位置するコーナ刃が含まれており、
    前記逃げ面における前記切れ刃に隣り合う領域のうち、少なくとも前記コーナ刃に隣り合う部分に、複数の溝が形成されていることを特徴とする切削インサート。
  2. 請求項1に記載の切削インサートであって、
    前記複数の溝が、前記コーナ刃に対して垂直な向きに沿うように延びていることを特徴とする切削インサート。
  3. 請求項1に記載の切削インサートであって、
    前記複数の溝が、前記コーナ刃に対して平行な向きに沿うように延びていることを特徴とする切削インサート。
  4. 請求項1に記載の切削インサートであって、
    前記複数の溝が、前記コーナ刃に垂直な向きに対して、傾斜する向きに沿うように延びていることを特徴とする切削インサート。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    前記複数の溝が、前記コーナ刃の稜線が延びる方向に向かうに従い該コーナ刃に対して接近及び離間を繰り返す波形状となるように延びていることを特徴とする切削インサート。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    前記複数の溝は、前記コーナ刃との間に間隔をあけて形成されていることを特徴とする切削インサート。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    前記溝の溝幅が、該溝の底部から開口部へ向かうに従い広くされていることを特徴とする切削インサート。
  8. 切削インサートと、
    前記切削インサートが着脱可能に装着される工具本体と、を備える刃先交換式バイトであって、
    前記切削インサートとして、請求項1〜7のいずれか一項に記載の切削インサートが用いられ、
    前記工具本体には、該工具本体に装着された前記切削インサートの前記逃げ面に向けて開口するクーラント供給孔が形成されているとともに、前記逃げ面を挟んだ前記クーラント供給孔の開口とは反対側に、前記切れ刃のうち少なくとも前記コーナ刃が配置されていることを特徴とする刃先交換式バイト。
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