JP2017159380A - ラジアスエンドミル - Google Patents

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貴行 畔上
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Abstract

【課題】コーナ刃や外周刃によって生成された切屑の流出を確実に制御することができるとともに、湿式切削においてコーナ刃や外周刃の十分な冷却や潤滑を図る。【解決手段】軸線回りに回転されるエンドミル本体1の先端部外周に後端側に延びる切屑排出溝4が形成されていて、この切屑排出溝4のエンドミル回転方向を向く壁面の外周側辺稜部には、この壁面にすくい面を有する外周刃6が形成されるとともに、先端側辺稜部には底刃7が形成され、これら外周刃6と底刃7が交差するコーナ部には凸曲線状のコーナ刃8が形成されており、このコーナ刃8と外周刃6は滑らかに連続し、これらコーナ刃8と外周刃6の内側のすくい面には、コーナ刃8と外周刃6に並行して延びる複数の筋目11がつけられている。【選択図】図5

Description

本発明は、エンドミル本体の先端部外周に形成された切屑排出溝のエンドミル回転方向を向く壁面の外周側辺稜部には該壁面をすくい面とする外周刃が、先端側辺稜部には底刃が形成されるとともに、これら外周刃と底刃とが交差するコーナ部には凸曲線状のコーナ刃が形成されたラジアスエンドミルに関するものである。
このようなラジアスエンドミルとして、例えば特許文献1には、軸線回りに回転されるエンドミル本体に底刃と略円弧状のコーナ刃とが形成され、底刃のすくい面とコーナ刃のすくい面とが滑らかに連続する一つの曲面として形成されるとともに、これら底刃のすくい面の内縁とコーナ刃のすくい面の内縁とが滑らかに連続する一つの凸曲線として形成されているものが記載されている。また、この特許文献1には、外周刃の先端部のすくい面もコーナ刃および底刃のすくい面と滑らかに連続させることも記載されている。
特開2010−221397号公報
しかしながら、単にコーナ刃や外周刃のすくい面を滑らかに連続させただけでは、これらコーナ刃や外周刃によって生成された切屑の流出を確実に制御することは難しく、加工条件等によっては切屑が予期せぬ方向に流出して被削材の加工面を傷つけ、加工面精度を損なうおそれがある。また、コーナ刃と外周刃のすくい面が滑らかに連続する凸曲面であると、切屑離れが良くなって切屑排出性には優れるが、切削油剤等のクーラントを供給する湿式切削ではクーラントもすくい面から離れて拡散し易くなり、コーナ刃や外周刃の十分な冷却や潤滑を図ることが困難となる。
本発明は、このような背景の下になされたもので、特にコーナ刃や外周刃によって生成された切屑の流出を確実に制御することができるとともに、湿式切削においてコーナ刃や外周刃の十分な冷却や潤滑を図ることが可能なラジアスエンドミルを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部外周に後端側に延びる切屑排出溝が形成されていて、この切屑排出溝のエンドミル回転方向を向く壁面の外周側辺稜部には該壁面にすくい面を有する外周刃が形成されるとともに、先端側辺稜部には底刃が形成され、これら外周刃と底刃が交差するコーナ部には凸曲線状のコーナ刃が形成されており、このコーナ刃と上記外周刃は滑らかに連続しているとともに、これらコーナ刃と外周刃の内側の上記すくい面には、該コーナ刃と外周刃に並行して延びる複数の筋目がつけられていることを特徴とする。
このように構成されたラジアスエンドミルでは、滑らかに連続するコーナ刃と外周刃の内側のすくい面に、これらコーナ刃と外周刃に並行して延びる複数の筋目がつけられており、コーナ刃と外周刃によって生成された切屑は、複数の筋目により抵抗を受けることが少ない方向、すなわち筋目に沿ってコーナ刃から外周刃が延びる方向に案内されてゆく。従って、切屑の流出を、外周刃および切屑排出溝が延びるエンドミル本体の後端側に向けて確実に制御して排出することが可能となり、被削材の加工面が切屑によって傷つけられるのを防ぐことができる。
また、このような複数の筋目が形成されることにより、湿式切削の場合に供給される切削油剤等のクーラントは、この複数の筋目の谷の部分に保持される。そして、こうして保持されたクーラントは、コーナ刃および外周刃のすくい面と切屑との間に介在しながら、切屑とともに筋目に沿ってコーナ刃から外周刃が延びる方向に流れてゆくので、上記構成のラジアスエンドミルによれば、コーナ刃や外周刃を確実かつ十分に冷却、潤滑することができる。
ここで、上記複数の筋目の粗さは、上記コーナ刃と外周刃に垂直な方向の複数の筋目による上記すくい面の表面粗さとして、JIS B 0601:2013における最大高さ粗さRzにおいて0.4μm〜4.0μmの範囲内とされるのが望ましい。複数の筋目による粗さがこれよりも小さいと切屑の流出制御やクーラントの保持が困難となるおそれがあり、逆に粗さがこれよりも大きいと切削抵抗の増大を招くおそれがある。
また、上記切屑排出溝のエンドミル回転方向を向く壁面に上記コーナ刃と外周刃に沿って延びる凹溝を形成し、この凹溝の底面を上記コーナ刃と外周刃のすくい面とするとともに、この凹溝の底面に上記複数の筋目をつけることにより、コーナ刃と外周刃によって生成された切屑を凹溝によっても案内してエンドミル本体の後端側に確実に排出することができるとともに、この凹溝内にクーラントを保持して複数の筋目の谷部に十分に行き渡らせ、凹溝が沿うコーナ刃や外周刃を一層効率的に冷却、潤滑することができる。さらに、上記コーナ刃に直交する断面における該コーナ刃のすくい角を一定とすることにより、コーナ刃の使用部位に関わらずに切削状態を均一にして安定した切削加工を促すことが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、コーナ刃および外周刃によって生成された切屑の流出を確実に制御して切屑排出性の向上を図り、被削材の加工面精度が損なわれるのを防ぐことができるとともに、コーナ刃や外周刃の十分な冷却、潤滑を促して安定した切削加工を行うことが可能となる。
本発明の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す実施形態の側面図である。 図1に示す実施形態の正面図である。 図1に示す実施形態の(a)コーナ刃と外周刃の軸線回りの回転軌跡の投影図、(b)図(a)においてθ=0°の位置のZZ断面図、(c)図(a)においてθ=10°の位置のZZ断面図、(d)図(a)においてθ=45°の位置のZZ断面図、(e)図(a)においてθ=90°の位置のZZ断面図である。 図1に示す実施形態の先端部の拡大斜視図である。
図1ないし図5は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態において、エンドミル本体1は、超硬合金等の硬質材料により外形が軸線Oを中心とした円柱状に形成され、その後端部(図1において右上側部分。図2においては右側部分)は円柱状のままのシャンク部2とされるとともに、先端部(図1においては左下側部分。図2においては左側部分)は切刃部3とされている。このようなラジアスエンドミルは、シャンク部2が工作機械の主軸に把持されて軸線O回りにエンドミル回転方向Tに回転されつつ、切刃部3によって金型のような被削物に切削加工を行う。
切刃部3の外周には、その先端から後端側に向けて軸線O回りにエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れる複数条(本実施形態では4条)の切屑排出溝4が周方向に間隔をあけて形成されている。また、これらの切屑排出溝4の先端部には、切刃部3の先端面を内周側に切り欠くようにして凹溝状のギャッシュ5が形成されている。
切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tを向く壁面の外周側辺稜部には、この壁面にすくい面を有して切屑排出溝4と同様に捩れる外周刃6が形成されるとともに、上記壁面の先端側辺稜部であるギャッシュ5のエンドミル回転方向Tを向く壁面の先端側辺稜部には、この壁面をすくい面とする略直線状の底刃7が形成されている。さらに、これら外周刃6と底刃7とが交差するコーナ部には、凸曲線状のコーナ刃8が形成されている。このコーナ刃8も、底刃7に連なる内周端から外周刃6に連なる外周端に向けて軸線O回りにエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れている。
外周刃6は、軸線O回りの回転軌跡が該軸線Oを中心とする円筒面状となるように形成されており、この軸線O回りの回転軌跡を軸線Oに沿った平面に投影した投影図においては図4(a)に示すように軸線Oに平行な直線状をなしている。また、底刃7は、軸線Oに垂直な平面上に延びるか、あるいはエンドミル本体1の内周側に向かうに従い僅かに後端側に向かうように延びている。さらに、コーナ刃8は、上記投影図において略1/4円弧状をなしていて、外周刃6と底刃7に滑らかに連続するように形成されている。
また、切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tを向く上記壁面のうち、コーナ刃8と外周刃6の内側には、これらコーナ刃8と外周刃6に沿って延びる凹溝9が形成されており、本実施形態では、この凹溝9の底面に、コーナ刃8と外周刃6に連なる上記すくい面が形成される。この凹溝9の底面は、コーナ刃8と外周刃6に直交する断面において図4(b)〜(e)に示すように、コーナ刃8と外周刃6から離間するに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に直線状に後退した後、凹曲線状をなして切れ上がっており、凹溝9の幅は略一定で、コーナ刃8から外周刃6に亙って滑らかに連続している。なお、コーナ刃8と外周刃6のエンドミル回転方向Tとは反対側に連なる逃げ面10も、本実施形態では滑らかに連続している。
さらに、上記図4(b)〜(e)は、図4(a)に示したコーナ刃8の回転軌跡の投影図において、コーナ刃8の中心Cを通り軸線Oに平行な直線Lに対し、同じくコーナ刃8の中心Cを通る直線Mがなす開き角θが0°、10°、45°、および90°の位置での該直線Mとコーナ刃8との交点におけるコーナ刃8に直交する断面図であるが、これら図4(b)〜(e)に示すように、この凹溝9の底面によるコーナ刃8のすくい角αは正角で一定である。また、外周刃6に直交する断面における該外周刃6のすくい角αも、このコーナ刃8のすくい角αと等しい。
そして、本実施形態では、これらコーナ刃8と外周刃6のすくい面とされる凹溝9の底面に、図5に示すようにコーナ刃8と外周刃6に並行して延びる複数(多数)の筋目11がつけられている。この複数の筋目11は、コーナ刃8と外周刃6に垂直な方向に向けて極細かく凹凸する谷の谷底線と山の稜線とがコーナ刃8と外周刃6に沿って延びることにより形成されたものであり、この複数の筋目11による上記すくい面のコーナ刃8と外周刃6に垂直な方向の表面粗さは、JIS B 0601:2013における最大高さ粗さRzにおいて0.4μm〜4.0μmの範囲内とされている。
このような複数の筋目11は、例えば凹溝9を形成する際に、比較的粗い砥粒を固着した砥石を用いて、この砥石を回転しつつ、その回転軸線がすくい面に対向する方向から見てコーナ刃8と外周刃6に垂直なるようにしながら、コーナ刃8と外周刃6に並行するように送りを与えて研削加工を施すことにより形成することができる。従って、複数の筋目11は凹溝9の底面のうち断面が直線状に後退する部分だけに形成されていてもよく、また個々の筋目11はコーナ刃8と外周刃6に並行する方向に短い長さで所々途切れていたり、所々ずれていたりしてもよい。
なお、底刃7のすくい面とされるギャッシュ5のエンドミル回転方向Tを向く壁面にはこのような筋目11はつけられておらず、この壁面の底刃7に垂直な方向の表面粗さは、筋目11によるコーナ刃8と外周刃6に垂直な方向のすくい面の上記表面粗さよりも滑らかである。また、この底刃7に直交する断面における該底刃7のすくい角は、凹溝9が形成されていない分だけ、コーナ刃8と外周刃6の上記すくい角αよりも負角側に大きくなる。
このような構成のラジアスエンドミルにおいては、コーナ刃8と外周刃6によって生成された切屑は、そのすくい面である凹溝9の底面につけられた複数の筋目11による抵抗が少ない方向、すなわち筋目11に沿ってコーナ刃8から外周刃6に並行する方向に案内されるように流出方向が制御される。このため、切屑を確実にコーナ刃8および外周刃6からエンドミル本体1の後端側に排出することができ、切屑によって被削物の加工面が傷つけられるのを防いで優れた加工面精度を得ることができる。
また、複数の筋目11は、上述のようにコーナ刃8と外周刃6に垂直な方向に向けて極細かく凹凸する谷の谷底線と山の稜線とがコーナ刃8と外周刃6に並行して延びたものであるので、湿式切削の場合には、この複数の筋目11の谷の部分に切削油剤等のクーラントを保持することができる。そして、このように保持されたクーラントは、上述のようにエンドミル本体1の後端側に排出される切屑とともに流れ、その後には新たなクーラントが供給されて保持されるので、コーナ刃8や外周刃6をその刃先近くで十分に冷却、潤滑することができ、安定的かつ効率的な切削加工を行うことが可能となる。
特に、本実施形態では、この複数の筋目11が、切屑排出溝4のエンドミル回転方向Tを向く壁面に形成されたコーナ刃8と外周刃6に沿って延びる凹溝9の底面に形成され、この底面がコーナ刃8と外周刃6のすくい面とされている。このため、コーナ刃8と外周刃6によって生成された切屑を、この凹溝9によっても案内してエンドミル本体1の後端側に確実に排出することができるとともに、凹溝9内に保持されたより多くのクーラントによってさらに十分にコーナ刃8や外周刃6の冷却、潤滑を図ることができる。
また、本実施形態では、上記複数の筋目11の粗さが、コーナ刃8と外周刃6に垂直な方向の筋目11によるすくい面の表面粗さとして、JIS B 0601:2013における最大高さ粗さRzにおいて0.4μm〜4.0μmの範囲内とされており、これによっても確実な切屑流出の制御とコーナ刃8および外周刃6の冷却、潤滑を図りつつ、必要以上に切削抵抗が増大するのを防ぐことができる。すなわち、複数の筋目11によるすくい面の上記表面粗さがRz0.4μmよりも小さいと切屑の流出制御やクーラントの保持が困難となるおそれがあり、逆に上記表面粗さがRz4.0μmよりも大きいと複数の筋目11の山の部分が切屑に食い込んで切削抵抗の増大を招くおそれがある。
さらに、本実施形態では、コーナ刃8に直交する断面におけるすくい角αがコーナ刃8の全長に亙って一定とされており、コーナ刃8のどの部分が切削に使用されても安定した切削状態を維持することができる。しかも、外周刃6のすくい角αもこのコーナ刃8のすくい角αと等しくされているとともに、コーナ刃8と外周刃6が滑らかに連続しているので、切削部位がコーナ刃8と外周刃6との間で移っても切削の安定性が損なわれることはない。
その一方で、本実施形態では、底刃7のすくい面には筋目11や凹溝9は形成されておらず、この底刃7のすくい面は複数の筋目11の上記表面粗さよりも平滑な平面とされている。このため、底刃7によって生成されて底刃7に垂直にエンドミル本体1の後端側に流れる切屑は、筋目11や凹溝9による抵抗を受けることなく、そのまま後端側に排出されるので、この底刃7を使用するような切削条件の場合でも、安定した切削加工を行うことが可能となる。
1 エンドミル本体
2 シャンク部
3 切刃部
4 切屑排出溝
5 ギャッシュ
6 外周刃
7 底刃
8 コーナ刃
9 凹溝
10 コーナ刃8および外周刃6の逃げ面
11 筋目
O エンドミル本体1の軸線
T エンドミル回転方向
α コーナ刃8および外周刃6のすくい角

Claims (4)

  1. 軸線回りに回転されるエンドミル本体の先端部外周に後端側に延びる切屑排出溝が形成されていて、この切屑排出溝のエンドミル回転方向を向く壁面の外周側辺稜部には該壁面にすくい面を有する外周刃が形成されるとともに、先端側辺稜部には底刃が形成され、これら外周刃と底刃とが交差するコーナ部には凸曲線状のコーナ刃が形成されており、このコーナ刃と上記外周刃は滑らかに連続しているとともに、これらコーナ刃と外周刃の内側の上記すくい面には、該コーナ刃と外周刃に並行して延びる複数の筋目がつけられていることを特徴とするラジアスエンドミル。
  2. 上記コーナ刃と外周刃に垂直な方向の上記複数の筋目による上記すくい面の表面粗さが、最大高さ粗さRzにおいて0.4μm〜4.0μmの範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載のラジアスエンドミル。
  3. 上記切屑排出溝のエンドミル回転方向を向く壁面には上記コーナ刃と外周刃とに沿って延びる凹溝が形成されていて、この凹溝の底面が上記コーナ刃と外周刃のすくい面とされており、この凹溝の底面に上記複数の筋目がつけられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラジアスエンドミル。
  4. 上記コーナ刃に直交する断面における該コーナ刃のすくい角が一定であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のラジアスエンドミル。
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