JP6874292B2 - バイト - Google Patents

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Description

本発明は、切れ刃近傍にクーラントを供給する構造を備えたバイトに関する。
従来のバイトとして、例えば下記特許文献1に示されるような刃先交換式バイトが知られている。刃先交換式バイトは、軸状をなす工具本体と、工具本体の先端部に着脱可能に装着される板状の切削インサートと、を備えている。切削インサートは、すくい面と、逃げ面と、すくい面と逃げ面との交差稜線部に形成された切れ刃と、を有している。
また、工具本体の内部には、クーラント(油性又は水溶性の切削液剤)が流通する油穴(クーラント供給路)が形成され、工具本体の先端部には、凹所を有する板状部材が取り付けられている。そして、油穴から板状部材の凹所を通して、切削インサートの逃げ面に平行な方向から、クーラントが逃げ面及び切れ刃に向けて噴出する。このようなクーラント噴出方法は、いわゆるジェットクーラント法やJC法等と呼ばれる。
ジェットクーラント法によれば、例えば外部給油や、内部給油であってもすくい面上から切れ刃に向けてクーラントを供給する場合に比べて、切屑の影響等を受けにくくすることができ、クーラントを切れ刃に到達させやすくなる。このため、切れ刃の冷却効率を高めることができ、インサート寿命の長寿命化や切削加工の高効率化を期待することができる。
特開平10−76404号公報
しかしながら、上記従来の刃先交換式バイトでは、工具本体の先端部と板状部材との間から、クーラントが意図しない向きに漏出する。このため、クーラントを効率よく逃げ面及び切れ刃に供給することができず、この点に改善の余地があった。
また、例えばノーズRの大きさ等、切れ刃形状が互いに異なる複数種類の切削インサートの中から所定の切削インサートを選択して、工具本体に装着し旋削加工する場合がある。このような場合に、切れ刃形状が種々に設定された各切削インサートの逃げ面及び切れ刃に対して、クーラントを精度よく安定的に供給することが難しかった。
また切削加工の種類に応じて、逃げ面及び切れ刃の所定の部位に対して、クーラントを高精度に安定して供給することも要求されていた。
また、クーラントをより確実に切れ刃近傍に到達させやすくする点に改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、クーラントの漏出を防止し、かつクーラントを切れ刃近傍に到達させやすくして、クーラントを逃げ面及び切れ刃に効率よく供給できるバイトを提供することを目的としている。
本発明の一態様は、軸状をなし、内部にクーラント供給路が形成された工具本体と、前記工具本体の先端部に配置され、すくい面と逃げ面との交差稜線部に形成された切れ刃を有する切削インサートと、前記工具本体の先端部に着脱可能に設けられたクーラント噴出部材と、を備えたバイトであって、前記工具本体は、前記切削インサートが着脱可能に装着されるインサート取付座と、前記工具本体の先端部に凹状に形成され、前記クーラント噴出部材が配置される収容凹部と、を有し、前記インサート取付座は、超硬合金により形成され前記切削インサートの着座面が着座させられるシート部材を有し、前記収容凹部は、前記工具本体の先端部において凹状をなし、前記インサート取付座の底壁に開口する窪み部と、前記窪み部及び前記クーラント供給路に連通する孔部と、を備え、前記クーラント噴出部材は、前記逃げ面及び前記切れ刃に向けて開口する第1の噴出孔が形成された逃げ面噴出部と、筒状をなし、内部が前記第1の噴出孔及び前記クーラント供給路に連通する筒部と、を備え、前記シート部材の外周面のうち、前記第1の噴出孔の直上に位置する部分には、クーラント案内凹部が形成され、前記クーラント噴出部材内には、前記第1の噴出孔と前記筒部の内部とにより流路が形成され、前記流路のうち、前記筒部において前記クーラント供給路に接続する流入口の断面形状と、前記第1の噴出孔において前記筒部とは反対側の端部に位置する流出口の断面形状とが、互いに異なっており、前記流路は、前記流入口の断面積に比べて、前記流出口の断面積が小さく、前記流入口の断面形状が、円形状であり、前記流出口の断面形状が、前記切れ刃の形状に対応するV字状、直線状及び曲線状のいずれかであり、前記クーラント噴出部材は、前記逃げ面噴出部を含み、V字板状をなし、前記窪み部に配設される取り付け部と、前記取り付け部から突出し前記孔部に挿入される前記筒部と、を備えることを特徴とする。
本発明のバイトによれば、工具本体の先端部に、クーラント噴出部材が配設されており、工具本体内のクーラント供給路を流れるクーラントは、該クーラント噴出部材の筒部内及び第1の噴出孔を通して、逃げ面及び切れ刃に向けて噴出させられる。
つまり、クーラント噴出部材の逃げ面噴出部における第1の噴出孔と、クーラント供給路とが、筒部を介して連通しているので、クーラントが第1の噴出孔以外の部位から意図しない向きに漏出することが防止される。
詳しくは、クーラント噴出部材の筒部は、該筒部の周壁によって内部を流れるクーラントを囲っているので、この周壁から外部へのクーラントの漏出が防止される。また、クーラント噴出部材の第1の噴出孔は、上述した特許文献1に記載の従来の板状部材の凹所等の切り欠きとは異なり、例えばV字状に開口する「孔」であるから、環状の開口周縁を有している。このような環状の開口周縁が形成されていることで、当該噴出孔以外の部位からのクーラントの漏出が防止される。
このようにクーラント噴出部材は、筒部におけるクーラント供給路との接続部分から第1の噴出孔までの流路が、流路両端の開口部(流入口及び流出口)を除いて密閉状に形成されているので、クーラントの意図しない漏出を確実に防止できる。
従って、本発明によれば、クーラントの供給量を増大させることなく十分な量のクーラントを、逃げ面及び切れ刃に効率よく供給することができる。
また、クーラント噴出部材は、工具本体の先端部に着脱可能に設けられているので、下記の顕著な作用効果を奏する。
具本体の先端部に、切れ刃を有する切削インサートが着脱可能に装着される場合(刃先交換式バイトの場合)において、複数種類の切削インサートの種々の切れ刃形状や切削加工の種類(以下、切れ刃形状等と省略)に対応して、第1の噴出孔の形状、配置、大きさ等が互いに異なる複数種類のクーラント噴出部材を用意しておくことが可能である。そして、これらのクーラント噴出部材の中から、切削インサートの所定の切れ刃形状に適した所定の第1の噴出孔を有するクーラント噴出部材を選択して、工具本体に装着することができる。
つまり、各種の切れ刃形状等に対応して、最適形状とされた第1の噴出孔を有するクーラント噴出部材を適宜選択し用いることが可能になる。
従って、切れ刃形状等に係わらず、逃げ面及び切れ刃に向けてクーラントを精度よく安定して供給することができる。
また、クーラント噴出部材内に形成された流路のうち、筒部においてクーラント供給路に接続する流入口の断面形状と、第1の噴出孔において筒部とは反対側の端部(つまり切れ刃側の端部)に位置する流出口の断面形状とが、互いに異なっている。
このため、流入口の断面形状については、クーラント供給路に接続しやすく製造もしやすい円形状とし、流出口の断面形状については、切れ刃形状に対応したV字状、直線状、曲線状等として、クーラントを切れ刃に効率よく供給することができる。
また、クーラント噴出部材の流路のうち、流入口の断面積に比べて、流出口の断面積が小さいので、流入口を流通するクーラントの流速よりも、流出口を流通するクーラントの流速を高めることができる。これにより、第1の噴出孔の流出口から噴出させられたクーラントが、被削材と逃げ面との僅かな隙間に進入しやすくなるとともに切れ刃まで到達しやすくなり、切れ刃近傍の冷却効果を格別顕著に高めることができる。従って、切削精度の向上、切削加工の高効率化、工具寿命の延長(長寿命化)等の効果を奏する。
また、前記流入口の断面形状が、円形状であり、前記流出口の断面形状が、前記切れ刃の形状に対応するV字状、直線状及び曲線状のいずれかである。
この場合、流路の流入口の断面形状が、円形状であるので、流路をクーラント供給路に接続しやすく、製造もしやすい。また、流路の流出口の断面形状が、切れ刃の形状に対応したV字状、直線状及び曲線状のいずれかであるので、上述のように流速が高められたクーラントを、切れ刃に効率よく(無駄なく)正確に供給することができる
また、上記バイトにおいて、前記第1の噴出孔における流路の断面積が、前記筒部の内部との接続部分から前記流出口までの間で一定であることが好ましい。
この場合、第1の噴出孔の流路の断面積が、該第1の噴出孔における筒部の内部との接続部分から流出口までの間で一定とされている。従って、第1の噴出孔の内部を流れるクーラントは、該第1の噴出孔における筒部との接続部分から流出口に至るまでの間で、乱流を生じさせることなく(圧力損失を生じさせることなく)、高い流速を維持したまま逃げ面及び切れ刃に向けて噴出させられる。これにより、上述した作用効果がさらに顕著なものとなる。
なお、本発明でいう「流路の断面積が一定」とは、クーラント噴出部材の製造時において、第1の噴出孔を成形する金型を引き抜くために製造上付与される抜き勾配(抜きテーパ)を許容して定義されるものである。具体的には、第1の噴出孔の流路のうち、筒部の内部との接続部分における断面積の大きさに対する、流出口における断面積の大きさの割合が、100〜120%の範囲であることを「流路の断面積が一定」と定義する。
また、上記バイトにおいて、前記筒部の内部における流路の断面積が、前記流入口から前記第1の噴出孔との接続部分に向かうに従い小さくなることが好ましい。
この場合、筒部の内部を流れるクーラントが、第1の噴出孔へ向かうに従い徐々に流速を高めていき、該第1の噴出孔の内部に流入した後、最も流速が高められることになる。そしてクーラントは、最も流速が高められた状態のまま、逃げ面及び切れ刃に向けて噴出させられる。
つまり上記構成によれば、クーラント噴出部材内の流路が、例えば従来のように狭められた後で広げられるようなことがないため、クーラント噴出部材内の流路を流れるクーラントの圧力損失が流入口から流出口までの全域にわたって小さく抑えられて、クーラントの供給効率が格別顕著に高められる。
また、上記バイトにおいて、前記流路は、前記流入口の幅に比べて、前記流出口の幅が小さいことが好ましい。
この場合、クーラント噴出部材の流路のうち、流入口の幅(流路断面の幅)に比べて、流出口の幅が小さいので、流路を流れるクーラントの圧力損失をより効果的に抑えることができる。そして、流入口を流通するクーラントの流速よりも、流出口を流通するクーラントの流速を顕著に高めて、切れ刃にクーラントを確実に到達させることができる。
また、上記バイトにおいて、前記工具本体の軸線に直交する工具径方向のうち、前記すくい面が向く方向を上方といい、これとは反対の方向を下方といい、上方及び下方に垂直な方向を側方といい、前記筒部は、前記クーラント供給路との接続部分から前記工具本体の先端側及び側方のうち少なくともいずれかに向かうに従い、上方へ向かって傾斜して延びていることが好ましい。
この場合、クーラント噴出部材の筒部が傾斜して延びており、筒部とクーラント供給路、及び、筒部と第1の噴出孔が、それぞれ鈍角に交差するように緩やかな角度で接続されて、これらの内部を流れるクーラントの圧力損失を低減することができる。これにより、バイトの内部でクーラント供給圧が減圧したり流速が低下してしまうことを防止でき、逃げ面及び切れ刃へのクーラントの供給効率をさらに高めることができる。
また、上記バイトにおいて、前記工具本体の先端部には、前記クーラント供給路に連通し、前記すくい面及び前記切れ刃に向けて開口する第2の噴出孔が形成されたすくい面噴出部が備えられることが好ましい。
この場合、工具本体の先端部には、すくい面噴出部が備えられており、工具本体内のクーラント供給路を流れるクーラントは、該すくい面噴出部の第2の噴出孔を通して、すくい面及び切れ刃に向けて噴出させられる。
従って、クーラント噴出部材の逃げ面噴出部の第1の噴出孔から、逃げ面及び切れ刃に向けてクーラントを供給でき、かつ、すくい面噴出部の第2の噴出孔から、すくい面及び切れ刃に向けてクーラントを供給できる。
つまり、切れ刃(の刃長方向)に直交する方向のうち、異なる2方向(すくい面上及び逃げ面上)から、切れ刃に向けてクーラントを供給することができるので、切れ刃に対して確実にクーラントを到達させることができ、切れ刃近傍の冷却効果を格別顕著に高めることができる。
本発明のバイトによれば、クーラントの漏出を防止し、かつクーラントを切れ刃近傍に到達させやすくして、クーラントを逃げ面及び切れ刃に効率よく供給できる。
本発明の第1実施形態に係る刃先交換式バイトを示す斜視図である。 刃先交換式バイトの上面図である。 刃先交換式バイトの側面図である。 刃先交換式バイトの要部を拡大して示す斜視図である。 刃先交換式バイトの要部を拡大して示す上面図である。 刃先交換式バイトの要部を拡大して示す側面図である。 刃先交換式バイトの要部を拡大して示す正面図である。 クーラント噴出部材を示す上面図である。 クーラント噴出部材を示す正面図である。 クーラント噴出部材を示す下面図である。 クーラント噴出部材を示す側面図である。 図11のB矢視を示す図である。 図9のA−A断面を示す図である。 図13のD−D断面を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る刃先交換式バイトの要部を拡大して示す斜視図である。 刃先交換式バイトの要部を拡大して示す上面図である。 刃先交換式バイトの要部を拡大して示す側面図である。 刃先交換式バイトの要部を拡大して示す正面図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るバイトである刃先交換式バイト30について、図1〜図14を参照して説明する。
本実施形態の刃先交換式バイト30は、金属材料等からなる被削材に旋削加工(切削加工)を施す旋削工具(切削工具)である。
〔刃先交換式バイトの概略構成〕
図1〜図7に示されるように、刃先交換式バイト30は、例えば超硬合金等からなる切削インサート1と、鋼材等からなり切削インサート1が着脱可能に装着される工具本体31と、を備えている。
工具本体31は、軸状をなしている。切削インサート1は、板状をなしており、工具本体31の先端部に形成されたインサート取付座32に配置される。また、切削インサート1は、すくい面7と、逃げ面8と、すくい面7と逃げ面8との交差稜線部に形成された切れ刃5と、を備える。切れ刃5は、工具本体31の先端から突出するように配置される。
本実施形態の刃先交換式バイト30によって旋削加工する被削材は、例えば軸状、柱状、円盤状等をなしている。旋削加工時には、被削材をその中心軸線回りの被削材回転方向に回転させつつ、刃先交換式バイト30の切れ刃5を被削材の加工部位(加工面)に接触させて、バイト30は被削材に切り込んでいく。
刃先交換式バイト30は、被削材の外周面や内周面に周面加工を施したり、被削材の中心軸線方向を向く端面に端面加工を施したりする。
〔工具本体〕
本実施形態の例では、工具本体31が角棒状をなしており、その軸線Oに垂直な断面が四角形状に形成されている。工具本体31の軸線O方向に沿う両端部のうち、一端部(先端部)は、切削加工時において被削材の加工面に接近配置され、他端部を含む前記一端部以外の部位は、不図示の工作機械に着脱可能に取り付けられる。
工具本体31の内部には、クーラント供給路36が形成されている(図4〜図7を参照)。
また、工具本体31の先端部は、該先端部以外の部位(角棒状の本体部分)よりも、軸線Oに直交する方向のうち工具の幅方向及び高さ方向の大きさが、それぞれ大きくされている。
工具本体31の先端部には、切削インサート1が着脱可能に装着される凹状のインサート取付座32と、インサート取付座32に切削インサート1を固定(クランプ)するクランプ駒33及びクランプねじ34(クランプ機構)と、該先端部に着脱可能に設けられるクーラント噴出部材37と、該先端部に凹状に形成されてクーラント供給路36に連通するとともに、クーラント噴出部材37が配置(収容)される収容凹部38と、が備えられている。
〔本実施形態で用いる向きの定義〕
本実施形態では、刃先交換式バイト30の工具本体31の軸線Oが延在する方向(軸線Oに沿う方向)を軸線O方向という。軸線O方向のうち、工具本体31において切削インサート1が配置される端部(一端部)から工作機械に支持される端部(他端部)へ向かう方向を基端側といい、これとは反対の方向を先端側という。
また、工具本体31の軸線Oに直交する方向を工具径方向という。工具径方向のうち、切削インサート1のすくい面7が向く方向を上方といい、これとは反対の方向を下方といい、上方及び下方(上下方向)に垂直な方向を側方という。なお、工具の上下方向を高さ方向といい、工具の側方を幅方向という場合がある。
ただし、旋削加工時においては、刃先交換式バイト30の工具本体31は、インサート取付座32に配設された切削インサート1のすくい面7が鉛直方向の下方を向くように、工作機械に装着される。
また、工具本体31の軸線O回りに周回する方向を工具周方向という。
切削インサート1のインサート軸線(クランプ駒33に係止される取付孔6の中心軸)が延在する方向(インサート軸線に沿う方向)をインサート軸線方向という。
また、インサート軸線に直交する方向をインサート径方向といい、インサート軸線回りに周回する方向をインサート周方向という。
本実施形態の例では、切削インサート1のインサート軸線が、工具本体31の上下方向に対して僅かに傾斜している。
〔インサート取付座〕
図4〜図7において、インサート取付座32は、切削インサート1の形状に対応する凹状をなしている。本実施形態の例では、切削インサート1が略菱形の四角形板状に形成されているのに対応して、インサート取付座32は、工具本体31の先端部において軸線O方向の先端側、上方、及び側方(のうち一方)へ向けて開口する略菱形の四角形穴状をなしている。
インサート取付座32は、切削インサート1の着座面(切削インサート1においてインサート軸線方向を向く表裏面3のうち、裏面3b)に略平行に形成された底壁と、この底壁上に着脱可能に設けられるとともに、該底壁と切削インサート1との間に介装されるシート部材35と、切削インサート1の外周面4に当接する一対の側壁と、を有している。
インサート取付座32の底壁は、略菱形の四角形面状をなしており、インサート取付座32の一対の側壁は、略長方形の四角形面状をそれぞれなしている。一対の側壁は、互いの間に凹となる鋭角を形成するように交差(接続)しているとともに、底壁に対しては垂直に交差して、該底壁から立ち上がっている。
シート部材35は、例えば超硬合金等により形成されている。シート部材35は、略菱形の四角形板状をなしている。シート部材35における表裏面のうち、裏面は、インサート取付座32の底壁に当接する。シート部材35における表裏面のうち、表面は、切削インサート1の着座面(裏面3b)が着座させられる取付面とされる。
シート部材35は、図示しない皿ねじ等により、インサート取付座32の底壁に取り付けられる。本実施形態の例では、シート部材35の外周面のうち下方部分が、下方へ向かうに従いインサート径方向の内側へ向けて傾斜している。
また、シート部材35の外周面のうち、クーラント噴出部材37の後述する第1の噴出孔51の直上に位置する部分には、クーラント案内凹部39が形成されている。クーラント案内凹部39のインサート周方向に沿う幅は、上方へ向かうに従い狭くなる。また、クーラント案内凹部39のインサート径方向に沿う深さは、上方へ向かうに従い浅くなる。
〔クランプ機構〕
刃先交換式バイト30は、クランプ駒33及びクランプねじ34を含むクランプ機構を備えている。クランプ駒33には、切削インサート1をインサート軸線方向に貫通する取付孔6内に挿入され、該取付孔6の内周面に係止される爪部が形成されている。また、クランプ駒33には、クランプねじ34が挿通される貫通孔が形成されており、該貫通孔内に挿入されたクランプねじ34は、工具本体31の先端部に形成された雌ねじ孔に螺着される。
工具本体31の雌ねじ孔にクランプねじ34をねじ込んでいくことにより、クランプ駒33は、切削インサート1をインサート取付座32のシート部材35に向けて押圧し、かつ切削インサート1を、インサート取付座32の一対の側壁に向けて(工具本体31の内部へ向けて)引き込むように押圧する。これによりクランプ機構は、インサート取付座32に対する切削インサート1の移動を規制して、該切削インサート1をクランプ(固定)する。
〔クーラント供給路〕
クーラント供給路36は、工具本体31の内部に形成されたクーラント(油性又は水溶性の切削液剤)の流路である。クーラント供給路36には、刃先交換式バイト30の外部に設けられた不図示のクーラント供給手段が接続される。
本実施形態の例では、クーラント供給路36が、工具本体31の先端部に配置されている。クーラント供給路36は、クーラント供給手段に接続される主クーラント供給路36aと、主クーラント供給路36aに連通し、該主クーラント供給路36aよりも流路の内径が小さい副クーラント供給路36bと、を備えている。主クーラント供給路36aの断面形状(流路の延在方向に垂直な断面の形状)及び副クーラント供給路36bの断面形状は、それぞれ円形状をなしている。副クーラント供給路36bの流路の断面積は、主クーラント供給路36aの流路の断面積よりも小さい。
本実施形態の例では、工具本体31の先端部に、主クーラント供給路36aから分岐して、複数(図示の例では2つ)の副クーラント供給路36bが形成されている。クーラント供給路36内においてクーラントは、主クーラント供給路36aを通って副クーラント供給路36bに流入する。
副クーラント供給路36bは、小径クーラント供給路36b又は下流側クーラント供給路36bと言い換えることができ、主クーラント供給路36aは、大径クーラント供給路36a又は上流側クーラント供給路36aと言い換えることができる。
主クーラント供給路36aは、工具本体31内において上下方向に延びており、工具本体31の下面に開口している。図示の例では、主クーラント供給路36aの上端部が、該上端部以外の部位よりも小径に形成されている。
副クーラント供給路36bは、主クーラント供給路36aの上端部に接続されて、該上端部から上方に向かうように延びている。
〔収容凹部〕
収容凹部38は、クーラント噴出部材37の形状に対応して、工具本体31の先端部に凹状に形成されている。
図4において、収容凹部38は、クーラント供給路36に連通しクーラント噴出部材37の後述する筒部43が挿入される孔部41と、孔部41に連通し、該孔部41のクーラント供給路36とは反対側に隣接配置される窪み部42と、を備えている。孔部41は、クーラント噴出部材37の筒部43に対応する孔形状に形成され、窪み部42は、クーラント噴出部材37の取り付け部40に対応する窪み形状に形成されている。
孔部41は、円孔状をなしている。孔部41は、クーラント供給路36の主クーラント供給路36aに接続しており、主クーラント供給路36aとの接続部分から工具本体31の先端側及び側方のうち少なくともいずれかに向かうに従い、工具本体31の上方へ向けて傾斜して延びている。本実施形態の例では、孔部41が、工具本体31の先端側及び側方(つまり工具本体31の上面視で軸線Oに対して傾斜する方向)に向かうに従い、上方へ向かって傾斜している。
窪み部42は、工具本体31の先端部において軸線O方向の先端側、側方、及び上方(インサート取付座32の底壁)に開口する凹状をなしている。特に図示していないが、窪み部42がインサート取付座32の底壁に開口する部分の形状は、V字状をなしている。
〔クーラント噴出部材〕
図4〜図7において、クーラント噴出部材37は、収容凹部38に収容されるように工具本体31の先端部に着脱可能に装着される。本実施形態の例では、クーラント噴出部材37が、工具本体31の先端部に取付ねじ45により固定されている。
クーラント噴出部材37は、切削インサート1の逃げ面8に対して、該逃げ面8の切れ刃5とは反対側(インサート軸線方向の表面3aから裏面3b側)に隣り合うように配設されている。クーラント噴出部材37は、収容凹部38がインサート取付座32の下方に隣接配置されているのにともない、インサート取付座32の下方に隣接して配置される。
図4、図8〜図14において、クーラント噴出部材37は、収容凹部38の孔部41に挿入される筒部43と、収容凹部38の窪み部42に配設される取り付け部40と、を備えている。
そして、取り付け部40には、切削インサート1の逃げ面8及び切れ刃5に向けて開口する第1の噴出孔51が形成された逃げ面噴出部44が含まれる。逃げ面噴出部44は、取り付け部40の少なくとも一部(第1の噴出孔51が形成された部分)に設けられており、よって取り付け部40全体が逃げ面噴出部44とされていてもよい。また、筒部43は、筒状をなしており、その内部(内部空間)が第1の噴出孔51及びクーラント供給路36に連通する。つまり、逃げ面噴出部44の第1の噴出孔51と、工具本体31のクーラント供給路36とが、筒部43の内部を通して接続されている。
クーラント噴出部材37内には、第1の噴出孔51と筒部43の内部とにより流路が形成されている。
取り付け部40は、工具の上下方向に垂直な断面(横断面)がV字状とされた板状をなしている。取り付け部40(逃げ面噴出部44)の上面には、第1の噴出孔51が開口している。第1の噴出孔51は、インサート軸線方向及び工具本体31の上下方向に沿うように延びて形成されている。図8に示されるように本実施形態の例では、第1の噴出孔51が、取り付け部40のV字状をなす上面の角部に配置されている。
図8及び図13において、第1の噴出孔51における筒部43とは反対側の端部(つまり上端部)は、クーラントの流出口51aとされている。流出口51aの断面形状(流路の延在方向に垂直な断面の形状)は、切れ刃5の形状に対応するV字状、直線状及び曲線状のいずれかとされる。本実施形態の例では、切れ刃5がV字状をなしており、これに対応して第1の噴出孔51の流出口51aの断面形状が、V字状をなしている。
図8、図13及び図14において、第1の噴出孔51の断面形状は、該第1の噴出孔51における筒部43の内部との接続部分51bから流出口51aまでの間で一定とされている。また、第1の噴出孔51における流路の断面積は、該第1の噴出孔51における筒部43の内部との接続部分51bから流出口51aまでの間で一定である。
なお、本実施形態でいう「流路の断面積が一定」とは、クーラント噴出部材37の製造時において、第1の噴出孔51を成形する金型を引き抜くために製造上付与される抜き勾配(抜きテーパ)を許容して定義されるものである。具体的には、第1の噴出孔51の流路のうち、筒部43の内部との接続部分51bにおける断面積の大きさに対する、流出口51aにおける断面積の大きさの割合が、100〜120%の範囲であることを「流路の断面積が一定」と定義する。
第1の噴出孔51は、逃げ面噴出部44内に設けられたクーラントの流路であるとともに、その流路両端の開口部(流出口51a及び接続部分51b)を除く流路の周囲全体が壁部により囲まれて密閉されている。つまり、第1の噴出孔51は、その上下端部以外の部位が壁部により隙間なく囲われた室となっている。
図4において、第1の噴出孔51(の流出口51a)と切れ刃5との間には、逃げ面8が位置しており、第1の噴出孔51は、逃げ面8に隣り合うように配設される。
図5に示されるように、工具本体31の先端部を上下方向に沿って見た工具上面視において、逃げ面噴出部44及び第1の噴出孔51は、切削インサート1の切れ刃5よりも工具本体31の内部側(軸線O方向の基端側かつ側方の内側)に配置されている。
図4、図9及び図14に示されるように、取り付け部40には、取付ねじ45が挿通する貫通孔49が形成されている。貫通孔49に取付ねじ45を挿入し、工具本体31の先端部に形成された雌ねじ穴に螺着することで、クーラント噴出部材37が工具本体31の先端部に固定される。
図4、図8〜図14において、筒部43は、円筒状をなしている。筒部43は、収容凹部38の孔部41内に嵌合する。筒部43の内部は、クーラント供給路36の主クーラント供給路36aに接続している。筒部43は、クーラント供給路36との接続部分から工具本体31の先端側及び側方のうち少なくともいずれかに向かうに従い、第1の噴出孔51から切れ刃5側へ向かって傾斜して延びている。本実施形態の例では、筒部43が、工具本体31の先端側及び側方(つまり工具本体31の上面視で軸線Oに対して傾斜する方向)に向かうに従い、上方へ向かって傾斜している。
図13において、筒部43の内部(内周面)における第1の噴出孔51とは反対側の端部(つまりクーラント供給路36に接続する端部)は、クーラントの流入口43aとされている。流入口43aは、筒部43の中心軸C方向に沿ってクーラント供給路36へ接近するに従い拡径するテーパ面状をなしている。
流入口43aの断面形状(流路の延在方向(筒部43の中心軸C方向)に垂直な断面の形状)は、円形状とされている。従って、クーラント噴出部材37内に形成された流路のうち、筒部43においてクーラント供給路36に接続する流入口43aの断面形状と、第1の噴出孔51において逃げ面8及び切れ刃5に向けて開口する流出口51aの断面形状とは、互いに異なっている。
図12及び図13において、筒部43の内部の流路の断面積は、該筒部43の内部における流入口43aから第1の噴出孔51との接続部分43bに向かうに従い小さくなる。本実施形態の例では、筒部43の内部の流路の断面積が、まず流入口43aにおいて、中心軸C方向に沿って第1の噴出孔51へ向かうに従い徐々に小さくされ、また接続部分43bにおいて、第1の噴出孔51へ向かうに従い徐々に小さくされている。
そして、クーラント噴出部材37内に形成された流路は、流入口43aの断面積に比べて、流出口51aの断面積が小さい。また、図9及び図12において、クーラント噴出部材37内に形成された流路は、流入口43aの幅に比べて、流出口51aの幅が小さい。なお、ここでいう幅とは、流路の延在方向に直交する向きの長さを指しており、具体的には横方向(図9及び図12における左右方向)を指しているが、横方向に限定されるものではない。
特に図示していないが、筒部43の外周には、環状のシール部材が装着される。具体的には、筒部43の外周面に形成された溝48内に、シール部材として、樹脂材料等からなるOリングが配設される。シール部材は、溝48の内壁及び収容凹部38の孔部41の内周面に密に当接する。
〔すくい面噴出部〕
図4〜図7に示されるように、工具本体31の先端部には、クーラント供給路36に連通し、すくい面7及び切れ刃5に向けて開口する第2の噴出孔52が形成されたすくい面噴出部50が備えられている。
本実施形態の例では、すくい面噴出部50が、工具本体31の先端部における上面に、突起状に形成されている。具体的に、工具本体31の先端部の上面には、インサート取付座32に隣接して円柱体が突設されており、該円柱体がすくい面噴出部50とされている。また、工具本体31の先端部には、すくい面噴出部50が、互いに離間して複数(図示の例では2つ)設けられており、このため第2の噴出孔52も、互いに離間して複数形成されている。
第2の噴出孔52は、すくい面噴出部50内に設けられたクーラントの流路であるとともに、その流路の両端は、該すくい面噴出部50の外周面及び底面に開口している。第2の噴出孔52のうち、すくい面噴出部50の底面に開口する部分は、クーラント供給路36の副クーラント供給路36bに接続しており、この接続部分がクーラントの流入口とされている。また、第2の噴出孔52のうち、すくい面噴出部50の外周面に開口する部分は、クーラントの流出口とされている。
第2の噴出孔52は、その流路両端の開口部(クーラント供給路36との接続部分及び流出口)を除く流路の周囲全体が壁部により囲まれて密閉されている。つまり、第2の噴出孔52は、その両端部以外の部位が壁部により隙間なく囲われた室となっている。
図示の例では、第2の噴出孔52の断面形状が、円形状をなしている。第2の噴出孔52における流路の断面積は、該第2の噴出孔52におけるクーラント供給路36との接続部分から流出口までの間で一定である。また、第2の噴出孔52の流路の断面積は、該第2の噴出孔52が接続する副クーラント供給路36bの流路の断面積よりも小さい。
第2の噴出孔52(の流出口)と切れ刃5との間には、すくい面7が位置しており、第2の噴出孔52は、すくい面7に隣り合うように配設される。
本実施形態の例では、一対のすくい面噴出部50のうち、工具本体31の先端側に位置する一方のすくい面噴出部50の第2の噴出孔52と、切れ刃5のうち後述する直線刃10及びコーナ刃9との間に、すくい面7が位置している。また、他方のすくい面噴出部50における第2の噴出孔52と、切れ刃5のうち後述する直線刃11及びコーナ刃9との間に、すくい面7が位置している。
〔切削インサート〕
図4〜図7に示されるように、切削インサート1は、板状をなすインサート本体2と、インサート本体2の表裏面3(表面3a及び裏面3b)と、表裏面3の周縁同士をインサート軸線方向に沿うように接続する外周面4と、表裏面3と外周面4との交差稜線部に形成された切れ刃5と、インサート本体2をインサート軸線方向に貫通して形成され、表裏面3に開口するとともにクランプ駒33の爪部に係止される取付孔6と、を備えている。
本実施形態の例では、インサート本体2が略菱形の四角形板状をなしており、表裏面3はそれぞれ略菱形の四角形面状をなしており、外周面4はインサート周方向に並ぶ4つの略長方形の四角形面を有している。
インサート本体2の表裏面3における外周縁の各コーナ部は凸曲線状をなしており、これらのコーナ部のうち、菱形状をなす表裏面3の一対の鋭角部分に位置するコーナ部及びその近傍が、切れ刃5とされている。また、表裏面3の各中央部に(インサート軸線に同軸に)、取付孔6が開口している。
インサート本体2の外周面4において、インサート周方向に隣り合う略長方形の四角形面同士の間の部分は、インサート軸線に垂直な断面が凸曲線状とされた凸曲面(図示の例では円筒体の外周面の一部)をなすように形成されている。
切削インサート1がインサート取付座32に装着された状態で、インサート本体2の表裏面3のうち、該インサート取付座32の底壁とは反対側(つまり上方)を向く表面3aにおいて、少なくとも切れ刃5に隣接する領域を含む部位が、すくい面7とされる。またインサート本体2の表裏面3のうち、インサート取付座32の底壁側(つまり下方)を向く裏面3bは、シート部材35に当接する着座面とされる。
また、インサート本体2の外周面4のうち、少なくとも切れ刃5に隣接する領域を含む部位が、逃げ面8とされる。
本実施形態の切削インサート1は、インサート本体2の逃げ面8(外周面4)がインサート軸線に平行に形成された、いわゆるネガティブインサートであるが、これに限定されるものではない。すなわち切削インサート1は、逃げ面8が切れ刃5からインサート軸線方向に離間するに従いインサート径方向の内側へ向けて傾斜して形成された、いわゆるポジティブインサートであってもよい。
また本実施形態の切削インサート1は、インサート本体2が表裏反転対称形状とされた、いわゆる両面インサートであるが、これに限定されるものではない。すなわち切削インサート1は、インサート本体2が非表裏反転対称形状とされた(表裏反転対称形状ではない)、いわゆる片面インサートであってもよい。
〔切れ刃〕
切削インサート1の切れ刃5は、すくい面7と逃げ面8との交差稜線部に形成されている。切れ刃5は、表裏面3のコーナ部(すくい面7のコーナ部)に位置するコーナ刃9と、コーナ刃9の両端に接続して直線状に延びる一対の直線刃10、11と、を有している。つまり切れ刃5は、コーナ刃9と、このコーナ刃9の両端に連続する一対の直線刃10、11と、を備えていることにより、全体としてV字状をなしている。コーナ刃9は、切れ刃5全長における中間部分(一対の直線刃10、11同士の間)に配置されている。
コーナ刃9は、インサート径方向の外側へ向けて突出する凸曲線状をなしており、本実施形態の例では凸円弧状をなしている。コーナ刃9のうち、旋削加工時において工具送り方向の前方に位置する部位(コーナ刃9において直線刃10に接続する部分)及び直線刃10は、被削材の加工面に切り込んでいく。また、コーナ刃9のうち、工具送り方向の後方に位置する部位(コーナ刃9において直線刃11に接続する部分)は、被削材の加工面を仕上げ加工する。なお、切れ刃5の直線刃11側から被削材の加工面に切り込んでもよい。
直線刃10、11は、円弧状をなすコーナ刃9の両端に接する接線方向にそれぞれ延びており、該コーナ刃9になだらかに連なっている。また、インサート軸線方向から見た切削インサート1の上面視(インサート上面視)で、一対の直線刃10、11同士の間に形成される角度(直線刃10、11の仮想延長線同士の交差角)は、本実施形態では90°よりも小さい鋭角とされており、例えば80°程度である。
また、本実施形態の切削インサート1は、インサート上面視において一対の直線刃10、11同士の間に形成される角の二等分線を対称軸とした線対称形状(鏡像対称)に形成されている。このため、切れ刃5も前記角の二等分線を対称軸とした線対称形状とされており、直線刃10、11同士は、互いに同一形状、かつ同一の刃長とされている。ただしこれに限定されるものではなく、切れ刃5は前記角の二等分線を対称軸とした線対称形状に形成されていなくてもよい(つまり非線対称形状であってもよい)。また直線刃10、11同士は、互いに異なる形状や刃長とされていてもよい。
なお、切削インサート1における少なくとも切れ刃5近傍(切れ刃5、すくい面7及び逃げ面8)には、CVDコーティング膜等の硬質膜が被覆されていることが好ましい。
特に図示していないが、インサート上面視において、クーラント噴出部材37の第1の噴出孔51は、切れ刃5のコーナ刃9及び直線刃10、11に対応する領域(切れ刃5のコーナ刃9及び直線刃10、11の直下)に配置される。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態の刃先交換式バイト30によれば、工具本体31の先端部に、クーラント噴出部材37が配設されており、工具本体31内のクーラント供給路36を流れるクーラントは、該クーラント噴出部材37の筒部43内及び第1の噴出孔51を通して、逃げ面8及び切れ刃5に向けて噴出させられる。
つまり、クーラント噴出部材37の逃げ面噴出部44における第1の噴出孔51と、クーラント供給路36とが、筒部43を介して連通しているので、クーラントが第1の噴出孔51以外の部位から意図しない向きに漏出することが防止される。
詳しくは、クーラント噴出部材37の筒部43は、該筒部43の周壁によって内部を流れるクーラントを囲っているので、この周壁から外部へのクーラントの漏出が防止される。また、クーラント噴出部材37の第1の噴出孔51は、上述した特許文献1(特開平10−76404号公報)に記載の従来の板状部材の凹所等の切り欠きとは異なり、本実施形態の例ではV字状に開口する「孔」であるから、環状の開口周縁を有している。このような環状の開口周縁が形成されていることで、当該噴出孔51以外の部位からのクーラントの漏出が防止される。
このようにクーラント噴出部材37は、筒部43におけるクーラント供給路36との接続部分から第1の噴出孔51までの流路が、流路両端の開口部(流入口43a及び流出口51a)を除いて密閉状に形成されているので、クーラントの意図しない漏出を確実に防止できる。
従って、本実施形態によれば、クーラントの供給量を増大させることなく十分な量のクーラントを、逃げ面8及び切れ刃5に効率よく供給することができる。
また、クーラント噴出部材37は、工具本体31の先端部に着脱可能に設けられているので、下記の顕著な作用効果を奏する。
すなわち本実施形態のように、工具本体31の先端部に、切れ刃5を有する切削インサート1が着脱可能に装着される場合(刃先交換式バイト30の場合)において、複数種類の切削インサート1の種々の切れ刃5形状や切削加工の種類(以下、切れ刃5形状等と省略)に対応して、第1の噴出孔51の形状、配置、大きさ等が互いに異なる複数種類のクーラント噴出部材37を用意しておくことが可能である。そして、これらのクーラント噴出部材37の中から、切削インサート1の所定の切れ刃5形状に適した所定の第1の噴出孔51を有するクーラント噴出部材37を選択して、工具本体31に装着することができる。
つまり、各種の切れ刃5形状等に対応して、最適形状とされた第1の噴出孔51を有するクーラント噴出部材37を適宜選択し用いることが可能になる。
従って、切れ刃5形状等に係わらず、逃げ面8及び切れ刃5に向けてクーラントを精度よく安定して供給することができる。
また、クーラント噴出部材37内に形成された流路のうち、筒部43においてクーラント供給路36に接続する流入口43aの断面形状と、第1の噴出孔51において筒部43とは反対側の端部(つまり切れ刃5側の端部)に位置する流出口51aの断面形状とが、互いに異なっている。
このため、本実施形態で説明したように、例えば流入口43aの断面形状については、クーラント供給路36に接続しやすく製造もしやすい円形状とし、流出口51aの断面形状については、切れ刃5形状に対応したV字状、直線状、曲線状等として、クーラントを切れ刃5に効率よく供給することができる。
また、クーラント噴出部材37の流路のうち、流入口43aの断面積に比べて、流出口51aの断面積が小さいので、流入口43aを流通するクーラントの流速よりも、流出口51aを流通するクーラントの流速を高めることができる。これにより、第1の噴出孔51の流出口51aから噴出させられたクーラントが、被削材と逃げ面8との僅かな隙間に進入しやすくなるとともに切れ刃5まで到達しやすくなり、切れ刃5近傍の冷却効果を格別顕著に高めることができる。従って、切削精度の向上、切削加工の高効率化、工具寿命の延長(長寿命化)等の効果を奏する。
なお、クーラント噴出部材37の流路の流入口43aの断面形状が、円形状であり、流出口51aの断面形状が、切れ刃5の形状に対応するV字状、直線状及び曲線状のいずれかである場合には、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、流路の流入口43aの断面形状が、円形状であるので、流路をクーラント供給路36に接続しやすく、製造もしやすい。また、流路の流出口51aの断面形状が、切れ刃5の形状に対応したV字状、直線状及び曲線状のいずれかであるので、上述のように流速が高められたクーラントを、切れ刃5に効率よく(無駄なく)正確に供給することができる。
また本実施形態では、第1の噴出孔51の流路の断面積が、該第1の噴出孔51における筒部43の内部との接続部分51bから流出口51aまでの間で一定とされている。従って、第1の噴出孔51の内部を流れるクーラントは、該第1の噴出孔51における筒部43との接続部分51bから流出口51aに至るまでの間で、乱流を生じさせることなく(圧力損失を生じさせることなく)、高い流速を維持したまま逃げ面8及び切れ刃5に向けて噴出させられる。これにより、上述した作用効果がさらに顕著なものとなる。
また本実施形態では、筒部43の内部の流路の断面積が、該筒部43の内部における流入口43aから第1の噴出孔51との接続部分43bに向かうに従い小さくなるので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、筒部43の内部を流れるクーラントが、第1の噴出孔51へ向かうに従い徐々に流速を高めていき、該第1の噴出孔51の内部に流入した後、最も流速が高められることになる。そしてクーラントは、最も流速が高められた状態のまま、逃げ面8及び切れ刃5に向けて噴出させられる。
つまり上記構成によれば、クーラント噴出部材37内の流路が、例えば従来のように狭められた後で広げられるようなことがないため、クーラント噴出部材37内の流路を流れるクーラントの圧力損失が流入口43aから流出口51aまでの全域にわたって小さく抑えられて、クーラントの供給効率が格別顕著に高められる。
また、クーラント噴出部材37内の流路は、流入口43aの幅(流路断面の幅)に比べて、流出口51aの幅が小さいので、流路を流れるクーラントの圧力損失をより効果的に抑えることができる。そして、流入口43aを流通するクーラントの流速よりも、流出口51aを流通するクーラントの流速を顕著に高めて、切れ刃5にクーラントを確実に到達させることができる。
また本実施形態では、筒部43が、クーラント供給路36との接続部分から工具本体31の先端側及び側方のうち少なくともいずれかに向かうに従い、第1の噴出孔51から切れ刃5側へ向かって傾斜して延びているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、クーラント噴出部材37の筒部43が傾斜して延びており、筒部43とクーラント供給路36、及び、筒部43と第1の噴出孔51が、それぞれ鈍角に交差するように緩やかな角度で接続されて、これらの内部を流れるクーラントの圧力損失を低減することができる。これにより、工具の内部でクーラント供給圧が減圧したり流速が低下してしまうことを防止でき、逃げ面8及び切れ刃5へのクーラントの供給効率をさらに高めることができる。
また本実施形態では、工具本体31の先端部に、クーラント供給路36に連通し、すくい面7及び切れ刃5に向けて開口する第2の噴出孔52が形成されたすくい面噴出部50が備えられているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、工具本体31の先端部には、すくい面噴出部50が備えられており、工具本体31内のクーラント供給路36を流れるクーラントは、該すくい面噴出部50の第2の噴出孔52を通して、すくい面7及び切れ刃5に向けて噴出させられる。
従って、クーラント噴出部材37の逃げ面噴出部44の第1の噴出孔51から、逃げ面8及び切れ刃5に向けてクーラントを供給でき、かつ、すくい面噴出部50の第2の噴出孔52から、すくい面7及び切れ刃5に向けてクーラントを供給できる。
つまり、切れ刃5(の刃長方向)に直交する方向のうち、異なる2方向(すくい面7上及び逃げ面8上)から、切れ刃5に向けてクーラントを供給することができるので、切れ刃5に対して確実にクーラントを到達させることができ、切れ刃5近傍の冷却効果を格別顕著に高めることができる。
また本実施形態では、第1の噴出孔51と切れ刃5との間に、逃げ面8が位置しており、第2の噴出孔52と切れ刃5との間に、すくい面7が位置しているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、第1の噴出孔51から噴出するクーラントは、逃げ面8上を通して切れ刃5に略直交する向きから供給される。また、第2の噴出孔52から噴出するクーラントは、すくい面7上を通して切れ刃5に略直交する向きから供給される。このため、切れ刃5の刃長全域にわたってクーラントを均等に供給しやすくなり、冷却効果がより安定したものとなる。
また本実施形態では、すくい面噴出部50が、工具本体31の先端部において突起状に形成されているので、該すくい面噴出部50の第2の噴出孔52を、例えばブレーカ形状等に係わらず、すくい面7及び切れ刃5に向けて真っ直ぐに開口させやすくなる。このため、第2の噴出孔52から噴出するクーラントを、より確実にすくい面7及び切れ刃5に到達させることができる。
また本実施形態では、第2の噴出孔52が、工具本体31の先端部において互いに離間して複数形成されており、それぞれの第2の噴出孔52から、すくい面7及び切れ刃5に向けてクーラントが噴出される。つまり、すくい面7及び切れ刃5に対して、互いに異なる複数方向からクーラントが供給される。従って、切れ刃5からすくい面7上に流れる切屑の排出方向に係わらず、クーラントを切れ刃5に確実に到達させることができる。
また本実施形態では、クーラント噴出部材37の筒部43の外周に、環状をなすOリング等のシール部材が装着されるので、筒部43の外周上をクーラントが意図せず流れることを防止できるとともに、クーラントが工具先端側や側方等の外部に漏出することを防止できる。よって、上述した本実施形態の作用効果がより顕著なものとなる。
またシール部材により、筒部43が配設される工具本体31の孔部41との接触抵抗が増大するので、クーラント供給圧等によって工具本体31からクーラント噴出部材37が容易に抜け出てしまうことを抑制できる。つまりシール部材によって、クーラント噴出部材37の抜け止め作用を得ることができ、この作用が十分に得られる場合には、取付ねじ45を設けなくてもよい。
なお、取付ねじ45を設けることなくクーラント噴出部材37の抜け止め作用をより確実に得るには、取り付け部40の上面(における少なくとも内周縁)の、筒部43の中心軸C方向に沿う延長線上に、シート部材35の裏面(シート部材35を設けない場合には切削インサート1の裏面3b)が位置するように配置して、これらを当接可能とすることが好ましい。
また本実施形態では、工具本体31の先端部に、クーラント供給路36に連通する収容凹部38が形成されており、クーラント噴出部材37が、この収容凹部38に収容されるので、下記の作用効果を奏する。
すなわち上記構成によれば、クーラント噴出部材37が、収容凹部38に収容されて、工具本体31の先端部から大きく出っ張る(突出する)ようなことが抑制される。
従って、クーラント噴出部材37により上述した顕著な作用効果が得られつつも、刃先交換式バイト30の外形をコンパクトに抑えることができ、かつ、クーラント噴出部材37を装着したことによって旋削加工の条件が制限されてしまうことも抑制できる。
また本実施形態では、工具本体31の先端部を上下方向に沿って見た工具上面視において、逃げ面噴出部44及び第1の噴出孔51が、切削インサート1の切れ刃5よりも工具本体31の内部側(軸線O方向の基端側かつ側方の内側)に配置されている。従って、上述のように第1の噴出孔51により優れた作用効果が得られつつも、旋削加工時において、逃げ面噴出部44が被削材に干渉することを防止でき、加工条件への影響を抑制できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る刃先交換式バイト60について、図15〜図18を参照して説明する。
なお、前述の第1実施形態と同じ構成要素については詳細な説明を省略し、主として異なる点についてのみ、下記に説明する。
〔前述の実施形態との相違点〕
図15〜図18に示されるように、本実施形態の刃先交換式バイト60は、第1実施形態とは、クーラント供給路36の副クーラント供給路36b、及びすくい面噴出部50が異なっている。
本実施形態では、工具本体31の先端部において副クーラント供給路36bが、主クーラント供給路36aに接続して1つのみ形成されており、該副クーラント供給路36bは、互いに延在方向が異なる複数の直線状流路同士を連結し形成されている。
また本実施形態では、工具本体31の先端部に着脱可能に装着されたクランプ駒33に、すくい面噴出部50が備えられている。つまりすくい面噴出部50は、工具本体31の先端部に1つのみ設けられている。そして、第2の噴出孔52は、クランプ駒33(すくい面噴出部50)において切れ刃5側を向く先端面に開口している。また、クランプ駒33には、第2の噴出孔52が複数(図示の例では2つ)形成されている。
具体的に、第2の噴出孔52は、クランプ駒33(すくい面噴出部50)内に設けられたクーラントの流路であるとともに、その流路の両端は、該クランプ駒33の先端面及び底面に開口している。第2の噴出孔52のうち、クランプ駒33の底面に開口する部分は、クーラント供給路36の副クーラント供給路36bに接続しており、この接続部分がクーラントの流入口とされている。また、第2の噴出孔52のうち、クランプ駒33の先端面に開口する部分は、クーラントの流出口とされている。
第2の噴出孔52は、その流路両端の開口部(クーラント供給路36との接続部分及び流出口)を除く流路の周囲全体が壁部により囲まれて密閉されている。つまり、第2の噴出孔52は、その両端部以外の部位が壁部により隙間なく囲われた室となっている。
また第2の噴出孔52は、流出口付近では切れ刃5へ向けて直線状に延びており、流出口付近以外の部位では曲線状又は直線状に延びて形成されている。
〔本実施形態による作用効果〕
本実施形態の刃先交換式バイト60によれば、前述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、クランプ駒33にすくい面噴出部50が備えられているので、工具本体31の先端部において部品点数を増やすことなく、第2の噴出孔52をすくい面7及び切れ刃5に向けて精度よく開口させることができる。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、切削インサート1が略菱形の四角形板状に形成されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、切削インサート1は、上記四角形板状以外の多角形板状や円板状等であってもよい。また、種々の切削インサート1の切れ刃5形状に応じて、第1の噴出孔51(の流出口51a)の断面形状は、V字状、直線状及び曲線状のいずれかに選択されてよい。
また、前述の実施形態では、第1の噴出孔51における流路の断面積が、該第1の噴出孔51における筒部43の内部との接続部分51bから流出口51aまでの間で一定であるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第1の噴出孔51の流路の断面積が、該第1の噴出孔51における筒部43の内部との接続部分51bから流出口51aへ向かうに従い徐々に小さくされていてもよい。なおこの場合、筒部43の内部の流路の断面積については、流入口43aから第1の噴出孔51との接続部分43bまでの間で一定とされていてもよい。
また、第1の噴出孔51の断面形状が、該第1の噴出孔51における筒部43の内部との接続部分51bから流出口51aまでの間で一定とされているとしたが、これに限定されるものではない。
また、前述の実施形態では、すくい面噴出部50が、工具本体31の先端部において突起状に形成されているとしたが、すくい面噴出部50の形状は突起状に限定されるものではない。
また、前述の実施形態では、切削インサート1は、超硬合金等からなり、その外面のうち少なくとも切れ刃5近傍(切れ刃5、すくい面7及び逃げ面8)がCVDコーティング膜等の硬質膜で被覆されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち切削インサート1は、例えば、超硬合金製の台金(基体)のコーナ部に形成された凹部に、PCD(多結晶ダイヤモンド)焼結体やcBN(立方晶窒化硼素)焼結体のような超高硬度焼結体からなる切れ刃チップがろう付け等により一体に形成されたものであってもよい。この場合、切削インサート1の切れ刃5、すくい面7及び逃げ面8は、切れ刃チップに形成される。
また、前述の実施形態では、切削インサート1の裏面3bとインサート取付座32の底壁との間に、シート部材35が介装されることとしたが、本発明の参考例では、シート部材35は設けられなくてもよい。この場合、切削インサート1の裏面3bが、インサート取付座32の底壁に直接着座される。
また、前述の実施形態では、バイトとして、刃先交換式バイト30、60を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。すなわち本発明の参考例は、例えば、ろう付けバイト等の刃先交換式タイプではないバイトにも、適用可能である。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
5 切れ刃
7 すくい面
8 逃げ面
30、60 刃先交換式バイト(バイト)
31 工具本体
36 クーラント供給路
37 クーラント噴出部材
43 筒部
43a 筒部の内部の流入口
43b 筒部の内部における第1の噴出孔との接続部分
44 逃げ面噴出部
50 すくい面噴出部
51 第1の噴出孔
51a 第1の噴出孔の流出口
51b 第1の噴出孔における筒部の内部との接続部分
52 第2の噴出孔

Claims (6)

  1. 軸状をなし、内部にクーラント供給路が形成された工具本体と、
    前記工具本体の先端部に配置され、すくい面と逃げ面との交差稜線部に形成された切れ刃を有する切削インサートと、
    前記工具本体の先端部に着脱可能に設けられたクーラント噴出部材と、を備えたバイトであって、
    前記工具本体は、
    記切削インサートが着脱可能に装着されるインサート取付座と、
    前記工具本体の先端部に凹状に形成され、前記クーラント噴出部材が配置される収容凹部と、を有し、
    前記インサート取付座は、超硬合金により形成され前記切削インサートの着座面が着座させられるシート部材を有し、
    前記収容凹部は、
    前記工具本体の先端部において凹状をなし、前記インサート取付座の底壁に開口する窪み部と、
    前記窪み部及び前記クーラント供給路に連通する孔部と、を備え、
    前記クーラント噴出部材は、
    前記逃げ面及び前記切れ刃に向けて開口する第1の噴出孔が形成された逃げ面噴出部と、
    筒状をなし、内部が前記第1の噴出孔及び前記クーラント供給路に連通する筒部と、を備え、
    前記シート部材の外周面のうち、前記第1の噴出孔の直上に位置する部分には、クーラント案内凹部が形成され、
    前記クーラント噴出部材内には、前記第1の噴出孔と前記筒部の内部とにより流路が形成され、
    前記流路のうち、前記筒部において前記クーラント供給路に接続する流入口の断面形状と、前記第1の噴出孔において前記筒部とは反対側の端部に位置する流出口の断面形状とが、互いに異なっており、
    前記流路は、前記流入口の断面積に比べて、前記流出口の断面積が小さく、
    前記流入口の断面形状が、円形状であり、
    前記流出口の断面形状が、前記切れ刃の形状に対応するV字状、直線状及び曲線状のいずれかであり、
    前記クーラント噴出部材は、
    前記逃げ面噴出部を含み、V字板状をなし、前記窪み部に配設される取り付け部と、
    前記取り付け部から突出し前記孔部に挿入される前記筒部と、を備えることを特徴とするバイト。
  2. 請求項1に記載のバイトであって、
    前記第1の噴出孔における流路の断面積が、前記筒部の内部との接続部分から前記流出口までの間で一定であることを特徴とするバイト。
  3. 請求項に記載のバイトであって、
    前記筒部の内部における流路の断面積が、前記流入口から前記第1の噴出孔との接続部分に向かうに従い小さくなることを特徴とするバイト。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のバイトであって、
    前記流路は、前記流入口の幅に比べて、前記流出口の幅が小さいことを特徴とするバイト。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載のバイトであって、
    前記工具本体の軸線に直交する工具径方向のうち、前記すくい面が向く方向を上方といい、これとは反対の方向を下方といい、上方及び下方に垂直な方向を側方といい、
    前記筒部は、前記クーラント供給路との接続部分から前記工具本体の先端側及び側方のうち少なくともいずれかに向かうに従い、上方へ向かって傾斜して延びていることを特徴とするバイト。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のバイトであって、
    前記工具本体の先端部には、前記クーラント供給路に連通し、前記すくい面及び前記切れ刃に向けて開口する第2の噴出孔が形成されたすくい面噴出部が備えられることを特徴とするバイト。
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