JP5481903B2 - 高純度長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの製造方法 - Google Patents

高純度長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの製造方法 Download PDF

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本発明は、メントールまたは/および炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸と長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物から、シリカゲルを充填剤として用いて、カラムクロマトグラフィー精製を行い、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸等の不純物を除去することにより、精製された高純度長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを製造する方法に関する。
近年、高度不飽和脂肪酸の有する生理活性作用が注目されている。中でも、リノール酸やオレイン酸はコレステロールの低下などの生理作用が報告されている。また、リノール酸は美白効果、オレイン酸は保湿効果に優れ、化粧品素材として有用な化合物であることが知られている。しかしながら、脂肪酸特有の臭い、粘性等による取り扱いの悪さが課題である。
高度不飽和脂肪酸の有する効果を有効に発揮させるための一つの方策として、メントールとのエステル体がある。特に、L−メントールはハッカ油や他のミント油から得られるハッカ成分として清涼感を付与する物質で、清涼飲料水、製菓、香料、タバコ香料、鎮痛剤、止痒剤、防腐殺菌剤などに広く利用されている安全性の高い物質である。
これまで、長鎖不飽和脂肪酸の有用エステルの合成法として無機触媒を用いた化学合成法が採用されてきたが、反応時の着色、劣化臭の発生、触媒除去、精製の煩雑さなどの問題点があった。また、この点を改善するために、例えばステロールエステルやワックスエステルの製造に酵素を利用した方法も知られている(特許文献1、2)。
また、メントールと長鎖不飽和脂肪酸のエステル体の生成については、リパーゼを用いた酵素的な製造例がある(特許文献3、4)。しかしながら、そのエステル化変換率は完全ではなく、反応混合物中に未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸等がかなり残り、そのままの状態では、有用物質として取り扱いが困難である。反応混合物からの長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの分離・精製方法として、特許文献3及び4には、ヘキサン-アルカリ分配による方法(すなわち、アルカリと反応させ、未反応の脂肪酸を脂肪酸塩とし、水層側に除去する方法)が記載されているが、反応混合物から、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸を完全に除去することは、非常に困難である。また、反応混合物から長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを分離・精製する別の方法として、蒸留が考えられるが、高温・高真空を必要とし、得られる長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの精製度は低く、収量も非常に低くなってしまう。また、残留するメントールの揮発により、減圧制御も非常に難しい。このように、従来の分離・精製方法では、合理的なコストで、再現性良く、高純度の長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを得るためには、満足のいくものではなかった。そこで、反応混合物から簡便な方法で、高純度長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを分離・精製することができる製造方法の開発が望まれている。
特開昭61-204197 特開昭62-262997 特開平11−263750 特開2004−91487
本発明は、高純度の長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを得ることができる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、メントールまたは/および炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物から、シリカゲルを充填剤として用いて、カラムクロマトグラフィー精製を行うことにより、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸等の不純物を除去して、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを容易に分離・精製できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、この方法によれば、高純度の長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルが得られることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の高純度長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの製造方法を提供する。
項1. メントールと炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸を酵素、又は触媒存在下で反応させる工程と
反応工程で得られたメントールまたは/および炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物を、シリカゲルを充填剤として、カラムクロマトグラフィー精製を行い、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸を除去する分離・精製工程とを含むことを特徴とする長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの製造方法。
項2. 上記シリカゲルが破砕型シリカゲルである項1に記載の製造方法。
項3. 分離・精製工程に用いる溶離液がヘキサン又はヘプタンである項1又は2に記載の製造方法。
項4. 長鎖不飽和脂肪酸がリノール酸及びオレイン酸からなる群より少なくとも1種類を含むことを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5. 長鎖不飽和脂肪酸がサフラワー油であることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6. メントールがL−メントールである項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7. 酵素がリパーゼである項1〜6のいずれかに記載の方法。
項8. 上記リパーゼがキャンディダ属由来のリパーゼであることを特徴とする項7に記載の方法。
本発明方法によれば、メントールまたは/および炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸と長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物から、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィーを用いて、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸を除去することで、煩雑な操作や特殊な反応装置等を必要とすることなく、非常に温和な条件下、常温常圧下で容易にかつ効率よく目的とする長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを高純度で得ることができる。また、光学純度も維持又は向上されうる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高純度長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの製造方法は、メントールと炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸を酵素、又は触媒存在下で反応させる工程と、反応工程で得られたメントールまたは/および炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物を、シリカゲルを充填剤とするカラムクロマトグラフィー精製を行い、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸を除去する分離・精製工程とを含む方法である。
メントールまたは/および炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物の合成方法は、特に制限されないが、炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸とメントールとのエステル化反応において、触媒を用いた化学反応でもリパーゼを用いた酵素反応であっても良い。
長鎖不飽和脂肪酸メントールエステル反応混合物中の未反応の長鎖不飽和脂肪酸の含有量は、約15%以下が好ましく、約10%以下がより好ましい。また、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステル反応混合物中の未反応のメントールの含有量は、約15%以下が好ましく、11%以下であることがより好ましい。上記範囲であれば、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸を十分に除去できる。
また、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステル反応混合物は、長鎖不飽和脂肪酸、メントール、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステル、酵素、又は触媒、水などの夾雑物を含んでいてもよく、その含有量も特に制限されない。
反応工程に用いる炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸は、二重結合を少なくとも1つ以上有する天然または非天然の脂肪酸であり、特に天然界に存在する長鎖不飽和脂肪酸およびその誘導体(たとえば、置換誘導体、付加誘導体等)が挙げられる。また、炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸であれば、単一でも混合物でも使用することができ、混合物を用いた場合、各脂肪酸のエステル体の混合物として高純度のメントールエステルを得ることができる。炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸を含有するものとして、特に限定されないが、具体的には、リノール酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガトレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、アラキドン酸、エイコペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などを例示することができる。中でも、リパーゼと基質特異性が高く、温和な温度条件下によって液化、固体化を制御し易い点で、長鎖不飽和脂肪酸がリノール酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸からなる群より少なくとも1種類を含んでいるものが好ましく、長鎖不飽和脂肪酸がリノール酸、オレイン酸からなる群より少なくとも1種類を含んでいるものがより好ましく、サフラワー油が特に好ましい。
反応工程に用いる触媒として、化学反応には、通常、エステル化反応にぢ用することのできる触媒を用いることができる。具体的には、塩酸、硫酸等の無機酸、又は燐酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を例示することができる。また、酵素反応に用いる酵素はリパーゼが好ましい。リパーゼは、その起源に特に制限されるものではなく、本発明における酵素反応性を有するかぎり各種微生物、動物、植物起源のいずれでもよい。微生物起源のリパーゼとしては、例えば、スタフィロコッカス属、シュードモナス属、キャンディダ属、リゾプス属、クロモバクテリウム属等に属する微生物に由来するものがあげられる。中でも、基質特異性、温度安定性の点で、シュードモナス属、キャンディダ属、クロモバクテリウム属由来のリパーゼが好ましく、シュードモナス・エスピー由来のリパーゼ、キャンディダ・シリンドラシェ由来のリパーゼ、クロモバクテリウム・ビスコサム由来のリパーゼがより好ましく、キャンディダ・シリンドラシェ由来のリパーゼが特に好ましい。
動物起源のリパーゼとしては、例えば膵リパーゼ、消化管リパーゼ等があげられ、また植物起源のリパーゼとしては、例えば、米ぬか、なたね種子、パーム果肉、ヒマ種子のリパーゼ等が挙げられる。これらの酵素は市販されたものをそのまま用いてもよいが、特に精製された市販品を用いる必要はなく、目的とする酵素の生産能を有する微生物菌体そのもの、その培養液、該培養液を処理して得られる粗酵素液や酵素を含む組成物等を使用することもできる。
リパーゼの使用形態について、特に制限されるものではないが、遊離型のままの状態、固定化酵素の状態など好ましい形態で使用することができる。遊離型酵素を使用する場合、一旦、酵素を水などに溶解し、酵素溶液を反応に用いる酵素量になるように反応液に添加することが好ましい。固定化剤(イオン交換樹脂、多孔性樹脂、セラミックス単体、アルギン酸ナトリウム、カラギナンなど)に、固定化して使用すれば、リパーゼが安定化され、繰り返しや長時間の連続使用することができる。
また、リパーゼの使用量は、その活性や反応混液の組成によっても異なるが適宜決定すればよく、特に制限されるものではない。
反応工程で用いるメントールは、光学活性および光学不活性のいずれを用いることができる。メントールには、D−またはL−メントール、ラセミ体、ジアステレオマーが挙げられる。
反応工程におけるメントールと炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸のモル比は、通常1:1程度であるが、原料の種類や反応性の程度に応じて上記以外のモル比で反応を行うこともできる。また、反応条件は、用いる触媒(酵素)の種類、使用量、基質の種類等によって異なるが、通常、水存在下で15〜60℃の温度条件で30分〜120時間で終了する。また、反応は、静置、振とう又は攪拌することにより、反応が進行するが、反応効率の点から攪拌が好ましい。
分離・精製工程に用いる未反応のメントールまたは/および炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸と長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物は、そのまま分離・精製工程に用いても良いが、カラムクロマトグラフィー精製を実施する前に遠心分離や膜ろ過によって、反応液中に含まれている不溶物(固形分)及び水相を除去しておくことが望ましい。遠心分離を行うと水相と有機相を分液が容易になる。また、カラムクロマトグラフィー精製前に、未反応のメントールおよび炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸と長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物を冷却し、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸を析出させることで粗除去しておけば、シリカゲルへの負荷量(アプライ量)を多くすることが出来る。また、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを高い回収率で得ることができる。具体的には、未反応のメントールまたは/および炭素数16以上の長鎖不飽和脂肪酸と長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルとを含む反応混合物を10℃以下に冷却することが好ましい。また、冷却時間として、数時間でも十分に未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸が析出するが、12時間以上冷却することが好ましい。
本発明において、分離・精製工程はメントールエステルと長鎖不飽和脂肪酸のシリカゲルに対する吸着力の差を利用しているが、分離性能に関わる粒子の大きさ、形状、均一性については特に制限は無く、安価な破砕型のシリカゲルを使用することができる。特に、シリカゲルは、平均粒子径は10〜200μmの範囲であることが好ましい。平均粒子径が、この範囲であれば、カラムの分離性能よく、不純物を旨く除去することができる。平均細孔径は、メントールや不飽和脂肪酸が細孔に入り込める大きさがよく、4〜8nmの範囲であることが好ましい。細孔径が大きすぎるか、小さすぎる場合、メントールエステルの拡散・保持挙動を最適化しにくくなる。また、シリカゲルの比表面積は、シリカゲルに対する試料の負荷量が増加するため、より高表面積であることがよく、400〜600m/gの範囲であることが好ましい。なお、適切な粒子径及び平均細孔径は、精製に用いるカラムのサイズ(内径×長さ)にも依存して変化することがある。
カラムクロマトグラフィーは、HPLCまたはオープンカラムを用いることができる。また、カラム径・担体量は、原料の種類や不純物の量によって最適化することができる。
カラムクロマトグラフィー精製に用いる溶離液は、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルに影響を与えない限り、極性が低く、粘性の低い有機溶剤ならば、特に制限無く使用することができるが、具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などを例示することができる。中でもメントール、長鎖不飽和脂肪酸、長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの分離能の点から、ヘキサンまたはヘプタンが好ましい。これら1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。なお、混合比は、精製に用いる反応混合物に応じて、適宜選択できる。
本発明において、カラムへの反応混合物の1回の負荷量(アプライ量)は、反応混合物中の未反応のメントールまたは/及び長鎖不飽和脂肪酸の含有量ならびに、チャート上で長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルと近接した保持時間を示す不純物の含有量などに依存して決定される。負荷量(アプライ量)は、特に限定されるものではないが、通常、担体1kg当り、約1kg程度まで可能である。従って、本発明を工業的規模での実施に適用する場合でも十分に実用的な効率で長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを回収することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
1)エステル化率の計測
本発明において、リパーゼによるエステル化率は下記に従って算出することができる。
反応混合物を遠心分離(12,000rpm、15分、4℃)した上層(油層)を100mg分注し、30mlのエタノールに溶解させ、1%(w/v)のフェノールフタレイン/エタノール溶液を2、3滴加えた後、スターラーで撹拌しながら0.2N水酸化カリウムで未反応の遊離脂肪酸量滴定した。
エステル合成率(%)=[(反応開始時の反応混液中の遊離脂肪酸量−反応終了時の反応混液中の遊離脂肪酸量)÷(反応開始時の反応混液中の遊離脂肪酸量)]×100
2)メントールエステルの分析方法
試料20μlに対し、トルエン:メタノール(3:2)を1ml加えて溶解後、2.0Mトリメチルシリルヂアゾメタン/ジエチルエーテルを黄色が持続するまで添加し、試料0.5μlをガスクロマトグラフィーにアプライした。測定機器はガスクロマトグラフにGC14B(Shimadzu)、カラムはDB-23 (30m×0.32μm、DF=0.25μm)キャピラリーカラム(J&Wサイエンティフィック社製)を用いた。
分析条件:窒素60kPa、水素50kPa、空気50kPa。注入口温度240℃、検出器(FID)温度240℃、カラム温度条件は150℃→10℃/min→230℃とした。スプリット比1/100にて測定を行った。
リテンション時間:メントール2.7分、パルミチン酸4.7分、ステアリン酸5.5分、オレイン酸5.6分、リノール酸5.8分、パルミチン酸メントールエステル8.8分、ステアリン酸メントールエステル11.1分、オレイン酸メントールエステル11.5分、リノール酸メントールエステル12.6分。
実施例1 サフラワー油由来メントールエステル
サフラワー油(八代株式会社製:組成を下記表1に示す。)1680gとL-メントール(東洋薄荷工業(株)製)936gと水472gからなる反応混液に、リパーゼOF(名糖産業(株)製)18.2g(反応混液1g当たり1000U)を加え、撹拌しながら25℃でエステル化反応を70hr行い、反応混合物を得た。反応によって消費された酸価からエステル合成率を算出し、結果を表2に示した。
Figure 0005481903
Figure 0005481903
反応終了後、反応混合物を遠心分離(12,000rpm、15分、25℃)を行い、固形分を除去し上清1を得た。上清1の組成を表3に示す。さらに、反応混合物の一部を4℃で20hr静置し、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸を析出させた後、遠心分離(12,000rpm、15分、25℃)を行い、上清2を得た。各上清をそれぞれ25重量%になるようにヘキサンに溶解し、精製用試料とした。
Figure 0005481903
ステンレス製カラム(φ50×1000mm)に1kgの破砕型シリカゲルIR−60−63/210(ダイソー株式会社製)を充填した。充填カラムに精製用試料をアプライし、ヘキサンを移動相として定量ポンプで24ml / minで11.5L流し、カラム出口からの流出液をUV検出器でモニタリングしながら分画を行った。カラム温度は25℃にて行った。各フラクションをTLCにて分析し、メントール、不飽和脂肪酸が含まれないフラクションを集めてエバポレーターにてヘキサン濃縮した。濃縮液をガスクロマトグラフィーにて各脂肪酸メントールエステルを分析した。上記の方法によって、上清1および上清2の分離・精製を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005481903
冷却を行わなかった精製用試料(上清1)は、負荷量(アプライ量)425.4gで、241.5の不飽和脂肪酸メントールエステルが得られた。また、冷却を行った精製用試料(上清2)は、負荷量(アプライ量)1050.1gで、862.2gの不飽和脂肪酸メントールエステルが得られた。得られた不飽和脂肪酸メントールエステル体としての化学純度は、99.4%および99.2%であった。また、冷却を行った方が、高い回収率で不飽和脂肪酸メントールエステルが得られた。
実施例2 オレイン酸由来メントールエステル
オレイン酸(東京化成工業株式会社製:組成を表5に示す)47.9gとL-メントールに4.1gと水3.5gからなる反応混液に、リパーゼOF0.44g(反応混液1グラム当たり1000U)を加え、撹拌しながら25℃でエステル化反応を50hr行い、反応混合物を得た。反応によって消費された酸価からエステル合成率を算出し、結果を表6に示した。
Figure 0005481903
Figure 0005481903
反応終了後、反応混合物を4℃で20hr静置し、未反応のメントールおよび長鎖不飽和脂肪酸を析出させた後、遠心分離(12,000rpm、15分、4℃)を行い、上清を得た。上清(有機層)を25重量%になるようにヘキサンに溶解し、精製用試料とした。
ステンレス製カラム(φ12×170mm)に14gの破砕型シリカゲルIR−60−63/210(ダイソー株式会社製)を充填した。充填カラムに精製用試料を1.50gアプライし、ヘキサンを移動相として定量ポンプで3.2ml/minで90ml流し、カラム出口からの留出液をUV検出器でモニタリングしながら分画を行った。カラム温度は25℃にて行った。濃縮はサフラワー油の場合と同様に行った。濃縮液をガスクロマトグラフィーにて各脂肪酸メントールエステルを分析した。その結果、不飽和脂肪酸エステル体としての化学純度は94.5%であった。結果を表7に示す。
Figure 0005481903
本発明の製法を用いれば、高純度の長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを効率的に製造することができ、化粧品基剤、医薬品、生化学試薬等に有効利用が可能である。

Claims (4)

  1. メントールとリノール酸及びオレイン酸の少なくとも1種類を含む長鎖不飽和脂肪酸をリパーゼ存在下で反応させる工程と
    反応工程で得られたメントール、リノール酸及びオレイン酸の少なくとも1種類を含む長鎖不飽和脂肪酸、及び長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルを含む反応混合物を10℃以下に冷却し、未反応のメントール及びリノール酸及びオレイン酸の少なくとも1種類を含む長鎖不飽和脂肪酸を析出させ、反応混合物中から除去する工程と、
    破砕型シリカゲルを充填剤とし、溶離液としてヘキサン又はヘプタンを用いてカラムクロマトグラフィー精製を行い、未反応のメントール及びリノール酸及びオレイン酸の少なくとも1種類を含む長鎖不飽和脂肪酸を除去する分離・精製工程と
    を含むことを特徴とする純度94.5%以上の長鎖不飽和脂肪酸メントールエステルの製造方法。
  2. 長鎖不飽和脂肪酸がリノール酸及びオレイン酸の少なくとも1種類を含むサフラワー油であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. メントールがL−メントールである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記リパーゼがキャンディダ属由来のリパーゼであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の方法。
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