JP5479409B2 - アンモニアガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば燃焼器や内燃機関等の燃焼ガスや排気ガス中のアンモニアガス濃度測定に好適に用いられるアンモニアガスセンサに関する。
自動車等の内燃機関の排気ガス中の窒素酸化物(NO)の浄化方法として、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction、選択還元触媒)方式が開発されている。尿素SCR方式は、SCR触媒に尿素を添加してアンモニアを発生させ、アンモニアによりNOを還元するものであり、尿素SCR方式には、NOを還元するアンモニア濃度が適量かどうかを測定するためのアンモニアガスセンサが用いられている。
このようなアンモニアガスセンサとして、酸素イオン伝導性の固体電解質体の表面に基準電極と検知電極とを形成し、電極間の起電力に基づいてアンモニア濃度を検出するものが従来から提案されてきた。具体的には、Zr、Al、In、Fe、Cu、Ta、Ga、Sr、Eu、W、Ce、Ti、Zr、Sn等の金属酸化物と、金とを含有する検知電極を用いたセンサが提案されている(特許文献1参照)。このセンサによれば、酸素濃度の変化が大きいリーンバーンエンジン中でも、酸素濃度の影響を受けずに可燃性ガス(HCガス、COガス、アンモニアガス等)濃度を測定できる(つまり、可燃性ガスの選択性を確保できる)とされている。
又、検知電極として、固体電解質体の表面に金属層(Au)を設け、その表面に金属酸化物層(V)を形成したセンサが提案されている(特許文献2参照)。このセンサによれば、金属酸化物層により他のガスの影響を受けずにアンモニアガスの選択性を確保しつつ、金属層により集電体の能力を確保することで、アンモニアガス濃度を測定するとされている。
特開2001-108649号公報 特開2008-116321号公報
しかしながら、特許文献1記載のアンモニアガスセンサの場合、アンモニアガス以外のHCガスやCOガス等にもアンモニアガスと同等の感度を示すので、アンモニアガスのみの選択性に課題があり、アンモニアガスのみの濃度を測定することが困難である。
又、特許文献2記載のアンモニアガスセンサの場合、センサの耐久性の点で改善の余地がある。これは、検知電極に添加した金属酸化物の熱安定性がないことに起因すると考えられる。特に、自動車等の内燃機関の排気ガスは700℃程度になるので、センサが加熱された時の耐久性が要求される。
すなわち、本発明は、加熱された時の耐久性にも優れ、且つアンモニアガスの選択性に優れたアンモニアガスセンサの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のアンモニアガスセンサは、酸素イオン伝導性の固体電解質体と、前記固体電解質体の表面にそれぞれ設けられる検知電極及び基準電極とを備え、前記検知電極はAuと、Si、Ge、Gd及びCoの群から選ばれる1種以上の第1金属酸化物を含み、かつ前記検知電極と前記固体電解質体との界面領域には、Auと前記第1金属酸化物が少なくとも存在している。
このように、検知電極はSi、Ge、Gd及びCoの群から選ばれる1種以上の第1金属酸化物を含むことで、アンモニアガスのみの選択性を確保することができ、また、加熱された時の耐久性にも優れたアンモニアガスセンサとすることができる。そして、第1金属酸化物を上記界面領域に存在させることで、アンモニアの選択性が向上する。これは上記界面領域に介在する第1金属酸化物が電極反応場を修飾するためと考えられる。
一方、検知電極にAuを含有させつつ、一部が界面領域に存在していることで、集電体の能力を確保することができ、アンモニアガス濃度を測定するとされている。また、界面領域にAuが存在していなくても、集電体の能力の確保が困難となる。
なお、界面領域とは、固体電解質体の成分と検知電極の成分とが混ざりあった領域のことを指し、具体的には、検知電極と固体電解質体を含むアンモニアガスセンサの断面をEPMA(電子線マイクロアナライザ)等にて分析することで、両方の成分が混ざり合った領域を特定することができる。
さらに、界面領域が固体電解質体の成分とAuとの混合層と、固体電解質体の成分と第1金属酸化物との混合層の2層構成となっていても良いが、固体電解質体の成分とAuと第1金属酸化物との3成分の混合層となっていることがアンモニアのみの選択性がより向上するため、好ましい。
前記第1金属酸化物がSiO、GeO、Gd又はCoを少なくとも含んでもよい。
このようにすると、アンモニアガスのみの選択性がさらに向上する。
前記検知電極中の前記第1金属酸化物の含有割合が2〜30質量%であることが好ましい。
検知電極中の第1金属酸化物の含有割合が2質量%未満であると、アンモニアガス以外のガスをも検知し、アンモニアガスの選択性が低下する場合がある。一方、検知電極中の第1金属酸化物の含有割合が30質量%を超えると、検知電極の導電性が低下し、導通不良となる場合がある。
さらに、前記第1金属酸化物がCoであることが好ましい。このように、検知電極に含有する第1金属酸化物をCoとすることで、被検出ガス中に含まれるHOがアンモニアガスセンサにもたらすアンモニアの感度の変動を少なくするので好ましい。
前記検知電極はさらに、Zr、Y、Al及びSiの群から選ばれる1種以上の第2金属酸化物を含み、前記検知電極中の前記第1金属酸化物と前記第2金属酸化物との合計含有割合が11〜30質量%であることが好ましい。
検知電極中に第2金属酸化物を含有させると、検知電極中のAuの粒成長を抑制し、検知電極と固体電解質体との間の密着強度が向上する。第2金属酸化物としてはY安定化ZrO、Al等が例示される。なお、第1金属酸化物と第2金属酸化物の合計含有割合が11%未満であれば検知電極が固体電解質体から剥離しやすくなり、また、合計含有割合が30%を越えれば検知電極中のAuの含有量が少なくなり、検知電極の導電性が低下し、導通不良となる場合がある。
さらに、前記固体電解質体の前記検知電極が設けられる前記表面には、平均粒径5〜100μmの安定化ZrOからなる凸部が設けられることが好ましい。このように、固体電解質体の表面に凸部が設けられると、固体電解質体の表面が粗面化して検知電極と固体電解質体との間の密着強度が向上する。なお、安定化ZrOの平均粒径が5μm未満であれば、検知電極と固体電解質体との間の密着強度が向上しないことがあり、平均粒径が100μmを越えれば、凸部が大きくなりすぎて、凹部になる固体電解質体上に検知電極が形成できず、導通不良がおきる場合がある。
前記検知電極と前記基準電極の両方又は一方を覆うように、アルミナ、スピネル及びゼオライトから選ばれる一種以上を含む絶縁層を設けることが好ましい。このように絶縁層を設けると、検知電極と基準電極の間の短絡を防止することができる。
この発明によれば、加熱された時の耐久性に優れ、且つアンモニアガスの選択性に優れたアンモニアガスセンサが得られる。
本発明の実施形態に係るアンモニアガスセンサの長手方向に沿う断面図である。 センサ素子部の構成を示す展開図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 界面領域を示す模式図である。 界面領域内の検知電極の変形例を示す断面図である。 検知電極の変形例を示す断面図である。 NH3濃度に対するアンモニアガスセンサの出力の関係を表す濃度換算式を示す図である。 検知電極中の第1金属酸化物の種類を変えたときのアンモニア選択性を示す図である。 検知電極中の第1金属酸化物の種類を変えたときの、ガスセンサの耐久性を示す図である。 検知電極を二層とした比較例5、6の断面図である。 検知電極を二層としたときのアンモニアの選択性を示す図である。 界面領域内の検知電極を二層としたときのアンモニアの選択性を示す図である。 検知電極中の第1金属酸化物としてCo3O4を用いたときの、Co3O4の含有量とアンモニア選択性との関係を示す図である。 検知電極中の第1金属酸化物としてCo3O4を用いたとき(実施例4)のアンモニア感度に対するHOの影響を示す図である。 検知電極中の第1金属酸化物としてCo3O4+GeO2を用いたとき(実施例9)のアンモニア感度に対するHOの影響を示す図である。 検知電極中の第1金属酸化物としてV2O5を用いたとき(比較例3)のアンモニア感度に対するHOの影響を示す図である。 実験例2にて、検知電極中の第1及び第2金属酸化物の種類を変えたときのアンモニア選択性を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るアンモニアガスセンサ(アンモニアセンサ)200Aの長手方向に沿う断面図を示す。アンモニアセンサ200Aは、アンモニアを検出するセンサ素子部50Aを組み付けたアッセンブリである。アンモニアセンサ200Aは、軸線方向に延びる板状のセンサ素子部50Aと、排気管に固定されるためのねじ部139が外表面に形成された筒状の主体金具138と、センサ素子部50Aの径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ106と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔168の内壁面がセンサ素子部50Aの後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材166と、センサ素子部50Aと絶縁コンタクト部材166との間に配置される複数個(図1では2つのみ図示)の接続端子110とを備えている。
主体金具138は、軸線方向に貫通する貫通孔154を有し、貫通孔154の径方向内側に突出する棚部152を有する略筒状形状に構成されている。また、主体金具138は、センサ素子部50Aの先端側を貫通孔154の先端側外部に配置し、電極端子部40A〜44Aを貫通孔154の後端側外部に配置する状態で、センサ素子部50Aを貫通孔154に保持している。さらに、棚部152は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する内向きのテーパ面として形成されている。
なお、主体金具138の貫通孔154の内部には、センサ素子部50Aの径方向周囲を取り囲む状態で環状形状のセラミックホルダ151、粉末充填層153、156(以下、滑石リング153、156ともいう)、および上述のセラミックスリーブ106がこの順に先端側から後端側にかけて積層されている。また、セラミックスリーブ106と主体金具138の後端部140との間には、加締めパッキン157が配置されており、セラミックホルダ151と主体金具138の棚部152との間には、滑石リング153やセラミックホルダ151を保持し、気密性を維持するための金属ホルダ158が配置されている。なお、主体金具138の後端部140は、加締めパッキン157を介してセラミックスリーブ106を先端側に押し付けるように、加締められている。
一方、図1に示すように、主体金具138の先端側(図1における下方)外周には、センサ素子部50Aの突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製(例えば、ステンレスなど)二重の外部プロテクタ142および内部プロテクタ143が、溶接等によって取り付けられている。
そして、主体金具138の後端側外周には、外筒144が固定されている。また、外筒144の後端側(図1における上方)の開口部には、センサ素子部50Aの電極端子部40A〜44Aとそれぞれ電気的に接続される5本のリード線146(図1では3本のみ)が挿通されるリード線挿通孔161が形成されたグロメット150が配置されている。
また、主体金具138の後端部140より突出されたセンサ素子部50Aの後端側(図1における上方)には、絶縁コンタクト部材166が配置される。なお、この絶縁コンタクト部材166は、センサ素子部50Aの後端側の表面に形成される電極端子部40A〜44Aの周囲に配置される。この絶縁コンタクト部材166は、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔168を有する筒状形状に形成されると共に、外表面から径方向外側に突出する鍔部167が備えられている。絶縁コンタクト部材166は、鍔部167が保持部材169を介して外筒144に当接することで、外筒144の内部に配置される。そして、絶縁コンタクト部材166側の接続端子110と、センサ素子部50Aの電極端子部40A〜44Aとが電気的に接続され、リード線146により外部と導通するようになっている。
次に、センサ素子部50Aの構成について展開図2を参照して説明する。センサ素子部50Aは長尺板状であり、排気ガス中のアンモニアガスを検出する検知部が先端部に露出し、センサ素子部50Aの後端部には、電極端子部40A〜44Aがそれぞれ露出している。
図2において、絶縁層6Aの上面には、長手方向に沿ってリード31Aが延び、リード31Aの末端が電極端子部41Aを形成している。さらに、絶縁層6A上には、リード31Aと平行にリード30Aが延び、リード30Aの末端(絶縁層6Aの右端部)が電極端子部40Aを形成している。なお、リード30A、31Aは絶縁層6Aの中央部分から末端にかけて長手方向に延びている。さらに、リード30A,31Aを覆うように絶縁層20Aが形成されている。但し、絶縁層6Aの先端側(リード30A、31Aが形成されていない部位)、リード30A、31Aの先端側及び電極端子部40A、41Aは、絶縁層20Aで被覆されずに露出している。
一方、絶縁層6Aのうち絶縁層20Aに覆われていない部位には、固体電解質体22Aが積層される。さらに、固体電解質体22A上には、基準電極4Aが形成されると共に、基準電極と平行に検知電極2Aが形成されている。基準電極4Aは、リード31Aと接続し、検知電極2Aは、リード30Aと接続している。
このように、基準電極4Aと検知電極2Aは固体電解質体22Aの同じ面側に露出し、被測定ガスに曝される。又、固体電解質体22A、基準電極4A、及び検知電極2Aがセル70を構成している。
一方、絶縁層26Aの下面(図2の下面)には、測温抵抗体である温度検出手段(温度センサ)14A及びリード32A、34Aが形成されている。そして、リード34Aの末端が電極端子部44Aを形成している。また、リード34Aと平行にリード32Aが延び、リード32Aの末端が電極端子部42Aを形成している。絶縁層26Aの上面には、発熱抵抗体16A、及び発熱抵抗体16Aから延長するリード35A,36Aが形成されている。温度検出手段14A及びリード32A、34Aは、絶縁層11Aで被覆されており、発熱抵抗体16A、及びリード35A,36Aは絶縁層6Aで被覆されている。さらに、絶縁層26Aの右端にはそれぞれスルーホール26x、26yが開口している。そして、リード35A,36Aは、それぞれスルーホール26x、26yを介して、絶縁層26Aの下面に配置された電極端子部42A、43Aにそれぞれ接続されている。
なお、検出電極2A及び基準電極4Aの両方、又はいずれか一方の上にガス透過性の保護層を設けてもよい。
検知電極2Aは、可燃性ガスが電極表面では燃焼し難い電極である。そして、アンモニアは検知電極2Aを通って固体電解質体との界面で酸素イオンと反応(電極反応)するので、アンモニアガスの検知電極として機能する。
この検知電極2Aは、Auと、Si、Ge、Gd及びCoの群から選ばれる1種以上の第1金属酸化物を含み、かつ当該第1金属酸化物が少なくとも検知電極2Aと固体電解質体22Aとの界面領域に存在していることが必要である
図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。なお、図3では、セル70以外の構成については簡略化して図示している。検知電極2Aは、例えば、90質量%のAuと10質量%のCoとの混合物からなり、さらに、検知電極2Aと固体電解質体22Aとの界面領域にはCoが存在している。
上記したAu及び第1金属酸化物が界面領域に存在することは、検知電極2Aと固体電解質体22Aを含むアンモニアガスセンサの断面をEPMA(電子線マイクロアナライザ)分析することで確認することができる。
ここで、図4に示すように、固体電解質体22A側から検知電極2Aに向かって上記断面を厚み方向にEPMA分析すると、固体電解質体22Aの成分(この例では、YSZ(イットリア安定化ジルコニア))の濃度がほぼ一定の最大値(Max)から急激に減少し、やがてほぼ一定の最小値(Min)になる。この際、最大値(Max)から所定の割合で減少した地点の濃度をP1とし、最小値(Min)から所定の割合で増加した地点の濃度をP2とし、各濃度P1,P2のときの厚み方向の位置をL1、L2とする。このとき、L1〜L2の間の領域を、特許請求の範囲の「界面領域R」と規定する。そして、界面領域RでEPMAの検出限界を超えてAu及び第1金属酸化物が検出されれば、Au及び第1金属酸化物が界面領域Rに存在しているとみなす。
なお、最大値(Max)及び最小値(Min)からの乖離率が5%となった地点をそれぞれP2,P1と定める。なぜなら、最大値(Max)及び最小値(Min)となった地点をそれぞれP2,P1としてしまうと、多少の変動、誤差も含んでしまうため精度が下げる可能性があるからである。又、最大値(Max)及び最小値(Min)は、例えばL1及びL2から厚み方向に十分離れた領域での固体電解質体22Aの成分濃度を厚み方向に複数測定し、それらの平均値を採用することができる。なお、最大値(Max)が100質量%である必要はなく、例えば、固体電解質体22AがYSZ80質量%とアルミナ(Al)20質量%とから形成されている場合には、最大値(Max)は80質量%とみなせばよい。また、最小値(Min)が0質量%である必要はなく、例えば、検知電極2Aに共素地としてYSZが20質量%含有されている場合には、最小値(Min)は20質量%とみなせばよい。
又、EPMA分析は、上記した断面のうち、15μm四方の視野を複数箇所(例えば、3箇所)測定すると、界面領域Rを特定する精度が向上するので、より好ましい。
なお、図5(a)に示すように、界面領域R(L1〜L2)内では、検知電極2Aが、固体電解質層22A側から順に、Auを含む層2AA、Coを含む層2ABの2層構造となっていてもよい。また、図5(b)に示すように、図5(a)とは逆に、界面領域R内では、検知電極2Aが、固体電解質層22A側から順に、Coを含む層2AB、Auを含む層2AAの2層構造となっていてもよい。また、図5(c)に示すように、界面領域R内では、検知電極2Aが、固体電解質層22A側から順に、AuとCoとの混合物からなる層2AC、Coを含む層2ADの2層構造となっていてもよい。また、図5(d)に示すように、図5(c)とは逆に、界面領域R内では、検知電極2Aが、固体電解質層22A側から順に、Coを含む層2AD、AuとCoとの混合物からなる層2ACの2層構造となっていてもよい。さらに、図5(e)に示すように、界面領域R内では、検知電極2Aが、固体電解質層22A側から順に、AuとCoとの混合物からなる層2AE、Auを含む層2AFの2層構造となっていてもよい。また、図5(f)に示すように、図5(e)とは逆に、界面領域R内では、検知電極2Aが、固体電解質層22A側から順に、Auを含む層2AF、AuとCoとの混合物からなる層2AEの2層構造となっていてもよい。但し、図5(a)〜図5(f)の層2AA、層2AB、層2AC、層2AD、層2AE、層2AFには、固体電解質体22Aの成分が含有されていることは言うまでもない。
図6は、検知電極2Aの変形例を示す断面図である。図6(a)は、AuとCoとの混合物からなる検知電極2A2の表面及び側面に、Coからなる被覆層を設けた断面構造を示す。図6(b)は、AuとCoとの混合物からなる検知電極2A3の表面に、Coからなる被覆層を設けた断面構造を示す。この検知電極2A2、2A3においてもAu及び第1金属酸化物が界面領域Rに確実に存在することになる。
以上のようにして、第1金属酸化物が界面領域Rに存在すると、アンモニアガス以外のガス(HCガス等)に対する感度が低下し、アンモニアガスのみの選択性が向上する。この原因は明確ではないが、界面領域Rに介在する第1金属酸化物が電極反応場を修飾するためと考えられる。又、第1金属酸化物は、酸の性質を有するために塩基性分子であるNH3と強く相互作用し、他のガスよりもNH3に対する電極反応を有利に進めるため、アンモニアのみの選択性が向上すると考えられる。
第1金属酸化物は、Si、Ge、Gd及びCoの群から選ばれる1種以上の第1金属酸化物を含むことが必要であり、SiO、GeO、Gd又はCoを少なくとも含むことが好ましい。特に、第1金属酸化物がCoであると、被検出ガス中に含まれるHOアンモニアガスセンサにもたらすアンモニアの感度の変動を少なくするので好ましい。
検知電極は、Auを70質量%以上含有している。これにより、検知電極が集電体の能力を確保できる。なお、Auを70質量%未満とすると、集電体としての能力が得られず、アンモニアガスが検出できない。
又、検知電極2A中の第1金属酸化物の含有割合が2〜30質量%であることが好ましい。検知電極2A中の第1金属酸化物の含有割合が2質量%未満であると、HCガスにもアンモニアガスと同等の感度を示し、アンモニアガスの選択性が低下する場合がある。検知電極2A中の第1金属酸化物の含有割合が30質量%を超えると、検知電極2Aの導電性が低下し、導通不良となる場合がある。
なお、検知電極2Aは、Auと上記第1金属酸化物の混合物を含むものであればよく、他の成分(例えば、共素地となる固体電解質体22Aの成分)を更に含んでもよいが、特にAuと上記第1金属酸化物から実質的に構成されることが好ましい。
一方、基準電極4Aは、その電極表面で可燃性ガスが燃焼する電極であり、例えばPt単体であるか、又はPtを主成分とする材料で構成されている。
各リード30A、31A、32A、34A、35A,36A、電極端子部40A〜44A、温度検出手段14A及び発熱抵抗体16Aは、例えばPt、Pd又はこれらの合金を主成分とする材料で構成されている。
各絶縁層6A、11A、20A及び26Aは、例えばアルミナ等の絶縁性セラミックで構成されている。
固体電解質体22Aは、例えば部分安定化ジルコニアで構成されている。そして、固体電解質体22Aは、発熱抵抗体16Aによって活性化温度に制御される。
次に、センサ素子部50Aの製造方法の一例を簡単に説明する。まず、センサ素子部の本体となる比較的厚い(例えば300μm)グリーンシートのアルミナ絶縁層26Aを用意し、絶縁層26Aの上面にPt、アルミナ(共素地として用いる無機酸化物)バインダ及び有機溶剤を含む電極ペースト(以下、「Pt系ペースト」という)をスクリーン印刷して発熱抵抗体16A(及びこれから延長するリード35A,36A)を、下面に温度検出手段14A(及びこれから延長するリード32A、34A)、電極端子部42A,43A,44Aを形成する。さらに、温度検出手段14Aの下面に絶縁材料(アルミナ等)、バインダ及び有機溶剤を含むペーストをスクリーン印刷して絶縁層11Aを形成する。なお、絶縁層26Aのスルーホール26x、26yの内面に適宜スルーホール導体を充填する。
次に、センサ素子部の本体となる比較的厚い(例えば300μm)グリーンシートのアルミナ絶縁層6Aを、発熱抵抗体16Aに積層する。そして、絶縁層6A上にリード30A、31A、及び電極端子部40A、41Aを形成する。さらに、リード30A,31Aを覆うようにして絶縁層20Aをスクリーン印刷する。なお、絶縁層6Aは、絶縁ペーストをスクリーン印刷して形成してもよい。
そして、この積層体を所定温度(例えば、250℃)で脱バインダし、所定温度(例えば、1400℃)で焼成する。
次に、固体電解質体の成分となる酸化物粉末、バインダ及び有機溶剤を含むペーストを焼成後の絶縁層6A上にスクリーン印刷して固体電解質体22Aを形成し、所定温度(例えば、750℃)で焼成する。
そして、固体電解質体22A上に、Pt系ペーストをスクリーン印刷して基準電極4Aを形成するとともに、Au系ペースト(上記第1金属酸化物を含む)をスクリーン印刷して検知電極2Aを形成し、所定温度(例えば、750℃)で焼成する。
検知電極2Aはさらに、Zr、Y、Al及びSiの群から選ばれる1種以上の第2金属酸化物を含み、検知電極中の第1金属酸化物と第2金属酸化物との合計含有割合が11〜30質量%であることが好ましい。
検知電極2AはAuを含む電極からなるため、ガスセンサの使用時にAuが粒成長(熱膨張)して検知電極2Aが固体電解質体22Aから剥離する可能性がある。そこで、検知電極中にアンモニア選択性に影響を与えない上記第2金属酸化物を加えることで、検知電極2Aと固体電解質体22Aとの間の密着強度が向上する。又、検知電極中に第2金属酸化物を加えると多孔質の電極が得られやすくなり、検知電極が多孔質となることで、Auの凝集やシンタリングを抑制し、ガス拡散性が向上してガス応答性が向上する。
第2金属酸化物としてはY安定化ZrO、Al等が例示される。特に、第2金属酸化物として固体電解質体22Aと同一の成分を用いると、検知電極2Aと固体電解質体22Aとの間の密着強度がさらに向上すると共に、両者の焼結性も向上する。
なお、検知電極中の第1金属酸化物と第2金属酸化物との合計含有割合が11質量%未満であれば、検知電極が固体電解質体から剥離しやすくなり、合計含有割合が30質量%を超えると、検知電極中のAuの含有量が少なくなり、検知電極の導電性が低下し、導通不良となる場合がある。
固体電解質体22Aの、検知電極2Aが形成された表面には、平均粒径5〜100μmの安定化ZrOからなる凸部が設けられており、固体電解質体22Aの表面が粗面化して検知電極2Aと固体電解質体22Aとの間の密着強度を向上させている。安定化ZrOはアンモニア選択性に影響を与えないので、固体電解質体22Aの表面に安定化ZrOの粒子を形成することで、表面が粗面化してアンカーを生じる。
ここで、安定化ZrOの平均粒径は、固体電解質体22Aと検知電極2Aとの積層方向に沿った断面をSEMにて観察したときに、固体電解質体22Aから突出する10個以上の凸部粒子の粒子径を測定し、その平均値とした。
又、固体電解質体22A中の安定化ZrOの含有量は好ましくは30〜80質量%である。
検知電極2Aと基準電極4Aの両方又は一方を覆うように、アルミナ、スピネル及びゼオライトから選ばれる一種以上を含む絶縁層を設けると、検知電極2Aと基準電極4Aの間の短絡を防止することができる。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。例えば、固体電解質体の表面と裏面とにそれぞれ検知電極と基準電極とを設け、基準電極を大気雰囲気に曝し、検知電極を被測定ガスに曝すよう、2室型のセンサ構造としてもよい。
又、固体電解質体を筒状として、筒の外面と内面とにそれぞれ検知電極と基準電極とを設け、筒内面を大気雰囲気に曝し、筒外面の検知電極を被測定ガスに曝すようなセンサ構造としてもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの例に限定されるものではない。
まず、実験例1について説明する。
図1、図2に示す上記実施形態に係るアンモニアガスセンサを作製した。まず、アルミナ基板(絶縁層)26Aの上面に、Pt系ペーストをスクリーン印刷して発熱抵抗体16A(及びこれから延長するリード35A,36A)を形成し、下面にPt系ペーストをスクリーン印刷して温度検出手段14A(及びこれから延長するリード32A、34A)、電極端子部42A,43A,44Aを形成した。さらに、発熱抵抗体16A上及び温度検出手段14A上に絶縁材料、バインダ及び有機溶剤を含むペーストをスクリーン印刷して絶縁層11Aを形成した。
次に、センサ素子部の本体となる比較的厚い(例えば300μm)グリーンシートのアルミナ絶縁層6Aを、発熱抵抗体16Aに積層した。そして、絶縁層6Aの上にPtペーストをスクリーン印刷してリード30A、31A、及び電極端子部40A、41Aを形成し、さらにリード30A、31Aを覆うようにして絶縁層20Aをスクリーン印刷した。その後、145℃で60分間焼成した。
次に、絶縁層6A上に固体電解質体22Aの材料となるYSZ(Y安定化ジルコニア)ペーストを印刷した。この積層体を1500℃で60分間焼成した。YSZペーストは、乳鉢にYSZ、有機溶剤、分散剤を入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、バインダー、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合を行い調製した。

そして、固体電解質体22A上に、Pt系ペーストをスクリーン印刷して基準電極4Aを形成して1450℃で焼成した後、以下に示した成分にて形成されたAu系ペーストをスクリーン印刷して検知電極2Aを形成し、1000℃で焼成した。得られたセンサ素子部を主体金具等に組み付け、アンモニアガスセンサを作製した。
なお、上記Au系ペーストは、市販のAuペーストに対し、それぞれ表1に記載した第1金属酸化物の粉末を混入し、均一になるよう10分以上、混ぜることで調製した。
上記Au系ペースト中の第1金属酸化物粉末の種類及び含有割合を、表1に示すように変化させて実施例1〜10、及び比較例1〜4の各アンモニアガスセンサを作製した。なお、比較例3のアンモニアガスセンサにおいては、検知電極2Aの焼成温度を700℃とした。
Figure 0005479409
<評価>
1.第1金属酸化物材料によるアンモニア選択性の評価
モデルガス発生装置のガス流中に実施例1〜4、9、10及び比較例1、2のアンモニアガスセンサを取り付け、センサの感度の評価を行った。モデルガスのガス温度280℃、センサ素子部の制御温度(ヒータ加熱)650℃とし、ガス組成をO2=10% H2O=5% CO2=5% N2=bal.とした。
まず、NH3濃度に対するアンモニアガスセンサの出力の関係を求め、濃度換算式を作成した。最初に、NH3を0ppmとし、モデルガス発生装置から上記ガスを流したとき、基準電極4Aと検知電極2Aの間の電位差を測定し、ベース起電力(ベースEMF)とした。次に、NH3を0〜100ppmの間で所定量モデルガスに混合してガスを流したときの基準電極4Aと検知電極2Aの間の電位差を測定し、測定時の起電力(測定時のEMF)とした。そして、測定時の(起電力)−(ベース起電力)(ベース起電力;被測定ガスに曝されない時の起電力)でNH3濃度に対するアンモニアガスセンサのEMF出力の関係を求めた。実施例4のセンサについて得られた濃度換算式を図7に示す。
次に、妨害ガスとしてC3H6を100ppmCモデルガスに混合してガスを流したときのアンモニアガスセンサの出力(EMF値)を、図7の濃度換算式に代入し、NH3濃度換算値を計算した。NH3濃度換算値は、C3H6をアンモニアとして検知する度合いを示し、NH3濃度換算値が高い程、C3H6をアンモニアとして検知していることとなり、アンモニアの選択性が低いと判断できる。他方、NH3濃度換算値が小さい程、C3H6をアンモニアとして検知していないこととなり、アンモニアの選択性が高いと判断できる。なお、実使用を考えた場合、C3H6の影響はゼロであることが好ましいが、NH3濃度換算値が5ppm以下(精度±5ppm以内)であれば、アンモニアの選択性が良好であると判断した。
得られた結果を図8に示す。各実施例の場合、NH3濃度換算値がいずれも5ppm以下(2ppm程度)であり、妨害ガスの影響を低減し、アンモニアの選択性が良好であることがわかる。
また、検知電極として、2種類の第1金属酸化物を混合した実施例9、及び複合酸化物を用いた実施例10の場合もアンモニアの選択性は良好であることがわかる。
一方、検知電極がAu単体からなる比較例1の場合、及び第1金属酸化物としてIn2O3を用いた比較例2の場合、NH3濃度換算値がいずれも5ppmを大幅に超え、妨害ガスの影響によりアンモニアの選択性が低下した。なお、上記した特許文献1には、In2O3を添加することで酸素濃度低減効果を有すると記載されているが、特許文献1記載のセンサはアンモニアだけでなくC3H6にも大きな感度を示すため、アンモニアセンサとしては適用が難しいことがわかる。
2.ガスセンサの耐久性の評価
実施例2、実施例4、及び比較例3のアンモニアガスセンサを大気中に配置し、センサ素子部50Aのヒータを700℃に制御して1000時間連続加熱した。そして、その間のNH3感度の経時変化を次のようにして測定した。
まず、モデルガスのガス温度280℃、ガス組成をO2=10% H2O=5% N2=bal.とした。センサ素子部の制御温度(ヒータ加熱)650℃とし、モデルガス発生装置から上記ガスを流したとき、基準電極と検知電極の間の電位差を測定し、ベース起電力とした。
次に、モデルガスにNH3を100ppm加えてガスを流したときの基準電極と検知電極の間の電位差を測定し、測定時のアンモニア起電力とした。そして、(測定時のアンモニア起電力)−(ベース起電力)でNH3濃度に対するアンモニアガスセンサのEMF出力を定義した。なお、上記した連続加熱の間の所定時間毎に、アンモニア起電力を測定した。
得られた結果を図9に示す。なお、図9では、初期のアンモニアガスセンサのEMF出力を100としたときの、所定時間のアンモニアガスセンサのEMF出力をNH3感度して規格化している。実施例2、4の場合、1000時間加熱後のNH3感度が初期値(加熱前)からほとんど変化せず、加熱による耐久性に優れていた。
一方、検知電極の第1金属酸化物としてV2O5を用いた比較例3の場合、1000時間加熱後のNH3感度が初期値(加熱前)の65%程度まで低下し、耐久性に劣った。
3.界面領域Rにおける第1金属酸化物の存在とアンモニア選択性の評価
つぎに、検知電極の界面領域Rを、図10(a)に示す実施例4と、それぞれ図10(b)、(c)に示す2層の断面構造を有する比較例5、比較例6のアンモニアガスセンサとで比較した。なお、比較例5のアンモニアガスセンサは、図10(b)に示すように、固体電解質体上に、界面領域Rを越える厚みでCoからなる単体層を設け、その表面にAu単体層を設けている。つまり、界面領域Rには、固体電解質体の成分以外では、Coのみが存在することになる。また、比較例6のアンモニアガスセンサは、図10(c)に示すように、固体電解質体上に、界面領域Rを越える厚みでAuからなる単体層を設け、その表面にCo単体層を設けている。つまり、界面領域Rには、固体電解質体の成分以外では、Auのみが存在することになる。なお、比較例5、6において、検知電極に含有されるAuの含有量、第1金属酸化物(Co)の含有量は実施例4と同様に、Auの含有量を90質量%、Coを10質量%としている。
又、検知電極と固体電解質体との界面領域RにAu及び第1金属酸化物が存在するか否かは、両者を含む断面のうち、15μm四方の視野をEPMAで3箇所測定して判定した。つまり、図4に記載したように、15μm四方の視野のうち、厚み方向に両端部側となる領域での固体電解質体22Aの成分濃度を厚み方向に複数測定し、それらの平均値をそれぞれ最大値(Max)及び最小値(Min)とした。そして、最大値(Max)及び最小値(Min)からの乖離率が5%となった地点をそれぞれP2,P1とし、それに対応する厚み方向の位置をL1、L2とした。L1〜L2の領域を界面領域Rとし、その中にEPMAの検出限界を超えて第1金属酸化物及びAuが検出されればAu及び第1金属酸化物が界面領域Rに存在したものとみなした。
実施例4及び比較例5、6の各アンモニアガスセンサについて、評価1と同様にしてアンモニアの選択性の評価を行った。
得られた結果を図11に示す。実施例4の場合、NH3濃度換算値が5ppm以下(2ppm程度)であり、妨害ガスの影響を低減し、アンモニアの選択性が良好であることがわかる。なお、図11には、実施例4の値も併記してある。
一方、界面領域RにAuのみ存在する比較例6の場合、NH3濃度換算値が5ppmを大幅に超え、アンモニアの選択性が低下した。また、界面領域RにCoのみ存在する比較例5の場合、検知電極の導通不良が生じ、評価不能となった。ここで、インピーダンスアナライザ(東洋テクニカ社製Solartron 1260/1287)により、基準電極と検知電極との間のインピーダンスを測定したとき1Hzにおけるインピーダンス値が1MΩを超えた場合を導通不良が生じたとみなした。
これらのことより、検知電極を2層構造としても、界面領域RにAu及び第1金属酸化物(Co)が存在すればアンモニア選択性が良好になることが判明した。
つぎに、検知電極の界面領域Rを、それぞれ図5(a)〜(d)に示す2層の断面構造としたこと以外は、実施例1〜10と同様にして、実施例11〜14の各アンモニアガスセンサを作製した。なお、それぞれ図5(a)が実施例11、図5(b)が実施例12、図5(c)が実施例13、図5(d)が実施例14のアンモニアガスセンサである。
そして、実施例11〜14の各アンモニアガスセンサについて、評価1と同様にしてアンモニアの選択性の評価を行った。
得られた結果を図12に示す。実施例11〜14の場合、NH3濃度換算値がいずれも5ppm以下(2ppm程度)であり、妨害ガスの影響を低減し、アンモニアの選択性が良好であることがわかる。
4.第1金属酸化物の含有量とアンモニア選択性の評価
次に、実施例4〜8、及び比較例1、4の各アンモニアガスセンサについて、評価1と同様にしてアンモニア選択性の評価を行った。得られた結果を図13に示す。
図13は、第1金属酸化物としてCo3O4を用いた実施例4〜8、及び比較例1、4について、検知電極中のCo3O4の含有割合とNH3濃度換算値との関係を示す。なお、実施例4〜8、及び比較例1、4については、妨害ガスとしてCOを100ppm加えたときのNH3濃度換算値も同様に測定した。
検知電極中のCo3O4の含有割合が2〜30質量%である実施例4〜8の場合、NH3濃度換算値がいずれも5ppm以下であり、アンモニアの選択性が良好であることがわかる。
一方、検知電極がAu単体からなる比較例1の場合、NH3濃度換算値が5ppmを大幅に超え、アンモニア選択性が低下した。又、検知電極中のCo3O4の含有割合が30質量%を超えた比較例4の場合、検知電極の導通不良が生じ、評価不能となった。
4.アンモニア感度に対するHOの影響の評価
実施例4、9及び比較例3のアンモニアガスセンサをモデルガス発生装置のガス流中に取り付け、アンモニア感度に対するHOの影響の評価を行った。モデルガスのガス組成をO2=10% H2O=5% CO2=5% N2=bal.とし、ガス温度280℃、センサ素子部の制御温度(ヒータ加熱)650℃とした。そして、モデルガス中のH2Oをそれぞれ1、5、10、15%に変化させると共に、NH3を0〜100ppmの範囲で混合し、モデルガス発生装置から上記ガスを流したとき、実施例1〜10と同様にアンモニアガスセンサの出力を図6の濃度換算式に代入し、NH3濃度換算値を計算した。
なお、NH3=50ppmのときのNH3濃度換算値が45〜55ppmの範囲内(50±5ppm)であれば、アンモニア感度に対するHOの影響が少ないとみなした。HOの影響がまったく無い場合、NH3濃度換算値が50ppmとなる。
得られた結果を図14〜図16に示す。図14は、実施例4におけるアンモニア感度に対するHOの影響を示し、図15は、実施例9におけるアンモニア感度に対するHOの影響を示し、図16は、比較例3におけるアンモニア感度に対するHOの影響を示す。実施例4,9の場合、NH3=50ppmのときのNH3濃度換算値が45〜55ppmの範囲内にあり、アンモニア感度に対するHOの影響が少ないものとなった。
一方、検知電極中にCo3O4を含まない比較例3の場合、NH3=50ppmのときのNH3濃度換算値が45〜55ppmの範囲を超え、アンモニア感度に対するHOの影響が大きくなった。
次に、実験例2について説明する。
実験例2においては、表2に示すように、検知電極となる上記Au系ペースト中に適宜第2金属酸化物粉末を添加し、さらに固体電解質体の表面に適宜安定化ZrOの粒子を形成して凸部を設けたこと以外は、実験例1と同様にしてアンモニアガスセンサを製造した。
そして、評価1と同様にして、実験例2に係る実施例(実施例15〜21)及び比較例10のNH3濃度換算値を求めた。
なお、固体電解質体の表面の凹凸形状については、固体電解質体と検知電極との積層方向に沿った断面をSEMにて観察したときに、凸部と凹部との高低差を計測し、3μm以上の高低差が形成されていれば凹凸形状ありと定義した。また、安定化ZrOの平均粒径は、その断面にて突出する安定化ZrOの20個の凸部粒子の粒子径を測定し、その平均値で定義した。
さらに、検知電極と固体電解質体との密着性を以下の方法で評価した。まず、固体電解質体の最高温度が700℃となるように、ヒーターに1分間通電ONし、その後、通電OFFして1分間待機するサイクルを1サイクルとして、検知電極と固体電解質体とが剥離するサイクル数を計測した。この試験を実施した結果も同様に表1に示す。
以下の基準で密着性を評価した。
×:100サイクル以下で剥離
△:1000サイクル以下で剥離
○:4万サイクルで剥離なし
◎:4万サイクルで剥離なし
得られた結果を表2及び図17に示す。
Figure 0005479409
表2及び図17から明らかなように、検知電極中に第1金属酸化物の他に第2金属酸化物を添加した実施例15〜17の場合、NH3濃度換算値がいずれも5ppm以下(2ppm程度)に低下し、妨害ガスの影響を低減し、アンモニアの選択性が良好となった。又、実施例15〜17の場合、検知電極と固体電解質体との間の密着性も向上した。
又、検知電極中に第1金属酸化物のみを添加したが、固体電解質体の表面にZrOの粒子を形成して粗面化した実施例18〜21の場合、検知電極と固体電解質体との間の密着性も向上した。又、実施例18〜21の場合、NH3濃度換算値がいずれも5ppm以下(2ppm程度)に低下し、妨害ガスの影響を低減し、アンモニアの選択性が良好となった。
一方、検知電極中に第1及び第2金属酸化物をいずれも添加せず、さらに固体電解質体を粗面化しなかった比較例10の場合、NH3濃度換算値が5ppmを超え、アンモニアの選択性が劣化すると共に、検知電極と固体電解質体との間の密着性も劣化した。
なお、密着性の評価が◎である実施例18〜21について、さらに市販の粘着テープ(コクヨ株式会社製の型番T−112型メンディングテープ(幅12mm×長さ35mm)を、アンモニアガスセンサの固体電解質体と検知電極との表面を共に覆うように貼り付けて指で強く押した後、テープを手で剥がした。なお、この剥離試験方法は、JIS−H8504(1999年)「めっきの密着性試験方法」を参考にしたものである。そして、剥がしたテープの粘着面を目視観察したところ、検知電極の付着は見られなかった。一方、密着性の評価が○である実施例15〜17については、剥がしたテープの粘着面を目視観察したところ、検知電極の付着が確認できるアンモニアガスセンサも見られ、実施例18〜21より密着性が若干劣ったが実用上は問題ない。
2A、2A2〜2A6 検知電極
4A 基準電極
22A 固体電解質体
50A ガスセンサ素子
200A アンモニアガスセンサ

Claims (7)

  1. 酸素イオン伝導性の固体電解質体と、前記固体電解質体の表面にそれぞれ設けられる検知電極及び基準電極とを備え、
    前記検知電極はAuと、Si、Ge、Gd及びCoの群から選ばれる1種以上の第1金属酸化物を含み、かつ前記検知電極と前記固体電解質体との界面領域には、Auと前記第1金属酸化物が少なくとも存在しているアンモニアガスセンサ。
  2. 前記第1金属酸化物がSiO、GeO、Gd又はCoを少なくとも含む請求項1に記載のアンモニアガスセンサ。
  3. 前記検知電極中の前記第1金属酸化物の含有割合が2〜30質量%である請求項1又は2に記載のアンモニアガスセンサ。
  4. 前記第1金属酸化物がCoである請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
  5. 前記検知電極はさらに、Zr、Y、Al及びSiの群から選ばれる1種以上の第2金属酸化物を含み、前記検知電極中の前記第1金属酸化物と前記第2金属酸化物との合計含有割合が11〜30質量%である請求項1〜4のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
  6. 前記固体電解質体の前記検知電極が設けられる前記表面には、平均粒径5〜100μmの安定化ZrOからなる凸部が設けられる請求項1〜5のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
  7. 前記検知電極と前記基準電極の両方又は一方を覆うように、アルミナ、スピネル及びゼオライトから選ばれる一種以上を含む絶縁層を設けた請求項1〜6のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
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