JP2010139238A - アンモニアガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】アンモニア選択性が高く、かつ安定した検出が行えるアンモニアガスセンサを提供する。
【解決手段】V、Bi及びSbの群から選ばれる1種以上の酸化物を主成分とする第1固体電解質層6Aと、該第1固体電解質層の表面にそれぞれ形成された可燃性ガスが表面にて燃焼する基準電極4A及び可燃性ガスが表面にて燃焼しない検知電極2Aとを備えたアンモニアガスセンサ200Aである。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば燃焼器や内燃機関等の燃焼ガスや排気ガス中のアンモニアガスの測定に好適に用いられるアンモニアガスセンサに関する。
自動車等の内燃機関の燃費向上や燃焼制御を行うアンモニアガスセンサとして、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサや空燃比センサが知られている。又、排気ガス中の窒素酸化物(NO)の浄化方法として、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction、選択還元触媒)方式が開発されている。尿素SCR方式は、SCR触媒に尿素を添加してアンモニアを発生させ、アンモニアによりNOを還元するものであり、NOを還元するアンモニア濃度が適量かどうかを測定するためのアンモニアセンサが求められている。
このようなアンモニアセンサとして、ジルコニアを主成分とする固体電解質層の表面に基準電極と検知電極とを形成し、電極間の起電力に基づいてアンモニア濃度を検出するものが従来から提案されてきたが、アンモニア以外の可燃性ガス(CO、HC等)をも検出してしまうため、アンモニアガス濃度の正確な測定が困難であるという問題がある。
そこで、検知電極の表面に、Pdを含有する多孔質体を含むPd触媒層を形成し、この層でアンモニア以外の可燃性ガスを燃焼させることで、アンモニアを選択的に検知するセンサが提案されている(特許文献1参照)。
又、ジルコニアを主成分とする固体電解質層31の表面に基準電極22と検知電極21とを設け、両電極間の起電力に基づいてアンモニア濃度を検出する起電力式センサが提案されている(特許文献2参照)。このセンサでは、検知電極21がアンモニア選択性の成分であるVやBiVOを含んでいる。
さらに、ジルコニアを主成分とする固体電解質層58の表面に基準電極56とアンモニア選択性電極50とを設け、両電極間の起電力に基づいてアンモニア濃度を検出する起電力式センサが提案されている(特許文献3参照)。このセンサでは、アンモニア選択性電極50として、VやBiVOが用いられるとともに、アンモニア選択性電極50の集電性を高めるため、アンモニア選択性電極50と接するように集電用電極が配置されている。
特開2003−83933号公報(図1) 米国特許出願公開第2006/0266659号明細書(図1、段落0031、0032) 米国特許出願公開第2007/0045114号明細書(図2、段落0033、0035、0049)
しかしながら、上記特許文献1記載のアンモニアガスセンサの場合、Pd触媒層が完全な絶縁体とはならないため、Pd触媒層と検知電極が電気的に接続している。このため、実使用に伴ってPd触媒層の特性が経時変化した場合、この層が電極反応に寄与して検知特性に影響を及ぼす可能性がある。
又、上記特許文献2記載のセンサで用いられるBiVOは、アンモニア選択性に優れるが、n型酸化物半導体であり電気抵抗が高い。このため、特許文献3に記載されているように集電用電極(Au)を必要とするが、センサの構造が複雑となってコスト増を招く。
さらに、BiVOはイオンと電子の両方が伝導する混合伝導体であり、電極としても電解質としても機能する。このため、特許文献3に記載されているようにBiVOと集電用電極(Au)とを積層すると、これらの界面でも電極反応が生じる。つまり、本来センサの起電力として用いる固体電解質層(ジルコニア)とBiVO(又は集電用電極)との界面での電極反応の他にも電極反応が生じるため、起電力に影響を与える恐れがある。
例えば、BiVOと集電用電極(Au)との界面ではBiVOが固体電解質体として機能し、一方で固体電解質層(ジルコニア)とBiVOとの界面ではBiVOは電極として機能し、ジルコニアが固体電解質体として機能する。そして、電極反応を生じさせる固体電解質体が異なると、測定環境(被測定ガス中の酸素、水分、ガス温度等)による各電極反応の変動の度合いが異なり、結果としてアンモニアの検出精度が低下するおそれがある。
すなわち、本発明はアンモニア選択性が高く、かつ安定した検出が行えるアンモニアガスセンサの提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のアンモニアガスセンサは、V、Bi及びSbの群から選ばれる1種以上の酸化物を主成分とする第1固体電解質層と、該第1固体電解質層の表面にそれぞれ形成された可燃性ガスが表面にて燃焼する基準電極及び可燃性ガスが表面にて燃焼しない検知電極とを備えている。
このような構成とすると、第1固体電解質層自体がアンモニア選択性の酸化物を含むため、検知電極のアンモニア選択性がより高くなくても、アンモニアのみを選択的に検知電極と第1固体電解質層との界面にて反応させることができ、アンモニア選択性が高く、測定精度が向上する。
さらに、アンモニアを検出するための起電力(電位)を決定する電極反応が生じる界面は、基準電極及び検知電極のいずれも同一の電解質(第1固体電解質層)を介している。このため、第1固体電解質層と別の層に上記酸化物を含むアンモニア選択反応層を設けた場合のように不要な電極反応が生じず、測定環境が変動しても安定して測定を行うことができ、測定精度も向上する。
なお、「可燃性ガス」とは、例えば、アンモニア、炭化水素、一酸化炭素、水素、一酸化窒素等を指す。
前記第1固体電解質層は、V及びBiを含む複合酸化物、V及びSbを含む複合酸化物、又はV、Bi及びSbを含む複合酸化物を主成分とすることが好ましい。
このような構成とすると、第1固体電解質層自体のアンモニア選択性がさらに向上する。
前記第1固体電解質層はBiVOを主成分とすることが好ましい。
このような構成とすると、第1固体電解質層自体のアンモニア選択性が最も向上する。
前記第1固体電解質層は、Y、Sc、CaO及びMgOの群から選ばれる1種以上の安定化材で部分安定化されたジルコニアを含んでもよい。
このような構成とすると、部分安定化ジルコニアが酸素イオン伝導性に優れているため、V、Bi及びSbの群から選ばれる1種以上の酸化物のみを第1固体電解質層の成分として用いた場合に比べ、安定したセンサ出力が得られる。又、上記酸化物に基づく第1固体電解質層のアンモニア選択性をも発揮することができ、アンモニアガスの検出精度も損なわない。
前記第1固体電解質層の一方の面に前記基準電極及び前記検知電極が配置され、前記第1固体電解質層の他方の面に、Y、Sc、CaO及びMgOの群から選ばれる1種以上の安定化材で部分安定化されたジルコニアを主成分とする第2固体電解質層が積層されていてもよい。
このような構成とすると、部分安定化ジルコニアが酸素イオン伝導性に優れているため、V、Bi及びSbの群から選ばれる1種以上の酸化物のみを第1固体電解質層の成分として用いた場合に比べ、安定したセンサ出力が得られる。又、上記酸化物に基づく第1固体電解質層のアンモニア選択性をも発揮することができ、アンモニアガスの検出精度も損なわない。
この発明によれば、アンモニア選択性が高く、かつ安定した検出が行えるアンモニアガスセンサが得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンモニアガスセンサ(アンモニアセンサ)200Aの長手方向に沿う断面図を示す。アンモニアセンサ200Aは、アンモニアを検出するセンサ素子部50Aを組み付けたアッセンブリである。アンモニアセンサ200Aは、軸線方向に延びる板状のセンサ素子部50Aと、排気管に固定されるためのねじ部139が外表面に形成された筒状の主体金具138と、センサ素子部50Aの径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ106と、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔168の内壁面がセンサ素子部50Aの後端部の周囲を取り囲む状態で配置される絶縁コンタクト部材166と、センサ素子部50Aと絶縁コンタクト部材166との間に配置される複数個(図1では2つのみ図示)の接続端子110とを備えている。
主体金具138は、軸線方向に貫通する貫通孔154を有し、貫通孔154の径方向内側に突出する棚部152を有する略筒状形状に構成されている。また、主体金具138は、センサ素子部50Aの先端側を貫通孔154の先端側外部に配置し、電極端子部40A〜43Aを貫通孔154の後端側外部に配置する状態で、センサ素子部50Aを貫通孔154に保持している。さらに、棚部152は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する内向きのテーパ面として形成されている。
なお、主体金具138の貫通孔154の内部には、センサ素子部50Aの径方向周囲を取り囲む状態で環状形状のセラミックホルダ151、粉末充填層153、156(以下、滑石リング153、156ともいう)、および上述のセラミックスリーブ106がこの順に先端側から後端側にかけて積層されている。また、セラミックスリーブ106と主体金具138の後端部140との間には、加締めパッキン157が配置されており、セラミックホルダ151と主体金具138の棚部152との間には、滑石リング153やセラミックホルダ151を保持し、気密性を維持するための金属ホルダ158が配置されている。なお、主体金具138の後端部140は、加締めパッキン157を介してセラミックスリーブ106を先端側に押し付けるように、加締められている。
一方、図1に示すように、主体金具138の先端側(図1における下方)外周には、センサ素子部50Aの突出部分を覆うと共に、複数の孔部を有する金属製(例えば、ステンレスなど)二重の外部プロテクタ142および内部プロテクタ143が、溶接等によって取り付けられている。
そして、主体金具138の後端側外周には、外筒144が固定されている。また、外筒144の後端側(図1における上方)の開口部には、センサ素子部50Aの電極端子部40A〜43Aとそれぞれ電気的に接続される5本のリード線146(図1では3本のみ)が挿通されるリード線挿通孔161が形成されたグロメット150が配置されている。
また、主体金具138の後端部140より突出されたセンサ素子部50Aの後端側(図1における上方)には、絶縁コンタクト部材166が配置される。なお、この絶縁コンタクト部材166は、センサ素子部50Aの後端側の表面に形成される電極端子部40A〜43Aの周囲に配置される。この絶縁コンタクト部材166は、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔168を有する筒状形状に形成されると共に、外表面から径方向外側に突出する鍔部167が備えられている。絶縁コンタクト部材166は、鍔部167が保持部材169を介して外筒144に当接することで、外筒144の内部に配置される。そして、絶縁コンタクト部材166側の接続端子110と、センサ素子部50Aの電極端子部40A〜43Aとが電気的に接続され、リード線146により外部と導通するようになっている。
次に、センサ素子部50Aの構成について展開図2を参照して説明する。センサ素子部50Aは長尺板状であり、排気ガス中のアンモニアガスを検出する検知部が先端部に露出し、センサ素子部50Aの後端部には、電極端子部40A〜44Aがそれぞれ露出している。
図2において、絶縁層6Aの上面には、長手方向に沿ってリード31Aが延び、リード31Aの末端が電極端子部41Aを形成している。さらに、絶縁層6A上には、リード31Aと平行にリード30Aが延び、リード30Aの末端(絶縁層6Aの右端部)が電極端子部40Aを形成している。なお、リード30A、31Aは絶縁層6Aの中央部分から末端にかけて長手方向に延びている。さらに、リード30A,31Aを覆うように絶縁層20Aが形成されている。但し、絶縁層6Aの先端側(リード30A、31Aが形成されていない部位)、リード30A、31Aの先端側及び電極端子部40A、41Aは、絶縁層20Aで被覆されずに露出している。
一方、絶縁層6Aのうち絶縁層20Aに覆われていない部位には、固体電解質層22Aが積層される。さらに、固体電解質層22A上には、基準電極4Aが形成されると共に、基準電極と平行に検知電極2Aが形成されている。基準電極4Aは、リード31Aと接続し、検知電極2Aは、リード30Aと接続している。
このように、基準電極4Aと検知電極2Aは固体電解質層22Aの同じ面側に露出し、被測定ガスに曝される。又、固体電解質層22A、基準電極4A、及び検知電極2Aがセル70を構成している。
一方、絶縁層26Aの下面(図2の下面)には、測温抵抗体である温度検出手段(温度センサ)14A及びリード32A、34Aが形成され、絶縁層26Aの上面には、発熱抵抗体16A、及び発熱抵抗体16Aから延長するリード35A,36Aが形成されている。温度検出手段14A及びリード32A、34Aは、絶縁層11Aで被覆されており、発熱抵抗体16A、及びリード35A,36Aは絶縁層6Aで被覆されている。さらに、絶縁層26Aの右端にはそれぞれスルーホール26x、26yが開口している。そして、リード35A,36Aは、それぞれスルーホール26x、26yを介して、絶縁層26Aの下面に配置された電極端子部42A、43Aにそれぞれ接続されている。
なお、検出電極2A及び基準電極4Aの両方、又はいずれか一方の上にガス透過性の保護層を設けてもよい。
検知電極2Aは、可燃性ガス(アンモニア、炭化水素、CO、水素、NO等)が電極表面で燃焼せず、電極と固体電解質層との界面で酸素と反応して可燃性ガスが燃焼する電極であり、アンモニアガスの検知電極として機能し、例えばAu単体であるか、又はAuを主成分とする材料で構成されている。基準電極4Aは電極表面では可燃性ガスが燃焼する電極であり、例えばPt単体であるか、又はPtを主成分とする材料で構成されている。
各リード30A、31A、32A、34A、35A,36A、電極端子部40A〜44A、温度検出手段14A及び発熱抵抗体16Aは、例えばPt、Pd又はこれらの合金を主成分とする材料で構成されている。
各絶縁層6A、11A、20A及び26Aは、例えばアルミナ等の絶縁性セラミックで構成されている。
固体電解質層22Aは、V、Bi及びSbの群から選ばれる1種以上の酸化物を主成分とする。Vの酸化物としては、例えばVやVO等が挙げられる。Biの酸化物としては、例えばBiが挙げられる。Sbの酸化物としては、例えばSbが挙げられる。固体電解質層22Aがこれらの酸化物の混合物を主成分としてもよい。
固体電解質層22Aは、V及びBiを含む複合酸化物、V及びSbを含む複合酸化物、又はV、Bi及びSbを含む複合酸化物を主成分としてもよい。V及びBiを含む複合酸化物としては、例えばBiVOが挙げられる。V及びSbを含む複合酸化物としては、例えばSbVOが挙げられる。
固体電解質層22AがBiVOを主成分とすると好ましい。
なお、「主成分」とは、固体電解質層22Aを構成する全元素のうち、酸素を除いて最も質量割合が多いものをいう。
従来、これらの酸化物を用いてアンモニア選択性の検知電極を形成し、アンモニアの検出精度を向上させることが行われてきた(上記特許文献2)。これに対し、本発明では、固体電解質層6Aにこれらの酸化物を含有させることにより、従来にない作用効果を発揮する。
これについて、図3、図4を参照して説明する。
図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。まず、基準電極4Aでは被測定ガス中のアンモニアを含む可燃性ガスが基準電極4A表面で燃焼し、基準電極4Aと固体電解質層22Aとの界面R2で可燃性ガスに関する電極反応が生じない。
一方、検知電極2Aでは被測定ガス中の可燃性ガスが検知電極2A表面で燃焼せずに残った可燃性ガスが、アンモニアと共に固体電解質層22Aとの界面R1に到達する。しかしながら、固体電解質層22A自体がアンモニア選択性の上記酸化物を含むため、界面R1でアンモニア以外の可燃性ガスを燃焼させつつアンモニアのみを選択的に検出する。このため、アンモニア選択性が高く、測定精度が向上する。
さらに、アンモニアを検出するための各電極2A、4A間の起電力(電位)を決定する電極反応が生じる界面R1,R2は、いずれも同一の電解質(固体電解質層22A)を介している。このため、固体電解質層と別の層に上記酸化物を含むアンモニア選択反応層を設けた場合のように、選択反応層が電解質となって不要な電極反応が生じることがなく、測定環境が変動しても安定して測定を行うことができ、測定精度も向上する。
一方、図4は、後述する比較例のアンモニアセンサのセンサ素子部500の構成を示し、図3と同じ方向からの断面図である。このセンサ素子部500は、固体電解質層22Aの代わりに従来のジルコニアを主成分とする固体電解質層91を用い、検知電極2Aと固体電解質層91との間にBiVOからなる選択反応層93を介装したこと以外は、図3のセンサ素子部50Aと同一の構成を有する。なお、選択反応層93は固体電解質層22Aと同様な機能を有する。
センサ素子部500の場合、基準電極4Aでの反応はセンサ素子部50Aと同様であるが、検知電極2Aでの反応が異なっている。つまり、検知電極2Aでは、被測定ガス中の可燃性ガスが検知電極2A表面で燃焼せずに残った可燃性ガスが、アンモニアと共に選択反応層93との界面R3に到達する。
ここで、BiVOはイオンと電子の両方が伝導する混合伝導体であり、電極としても電解質としても機能する。このため、界面R3でも電極反応が生じる。そして、選択反応層93ではアンモニア以外の可燃性ガスを燃焼させつつアンモニアのみを選択的に固体電解質層91へ到達させ、選択反応層93と固体電解質層91の界面R2で本来の電極反応が生じることとなる。
このように、センサ素子部500の場合、固体電解質層91との界面R1,R2の他、界面R3でも電極反応が生じるため、起電力に影響を与え、アンモニアの検出精度が低下する。
なお、センサ素子部500において選択反応層93を設けなかった場合、固体電解質層91との界面R1,R2の他には電極反応が生じないが、そもそも電極2A自体のアンモニア選択性が低いため、やはりアンモニアの検出精度が低下する。
なお、固体電解質層22Aは、Y、Sc、CaO及びMgOの群から選ばれる1種以上の安定化材で部分安定化されたジルコニアをさらに含んでいてもよい。部分安定化ジルコニアは、固体電解質層としての酸素イオン伝導性に優れているため、V、Bi及びSbの群から選ばれる1種以上の酸化物のみを固体電解質層22Aの成分として用いた場合に比べ、安定したセンサ出力が得られる。又、上記酸化物に基づく固体電解質層22Aのアンモニア選択性をも発揮することができ、アンモニアガスの検出精度も損なわない。
次に、センサ素子部50Aの製造方法の一例を簡単に説明する。まず、センサ素子部の本体となる比較的厚い(例えば300μm)グリーンシートのアルミナ絶縁層26Aを用意し、絶縁層26Aの上面にPt、アルミナ(共素地として用いる無機酸化物)バインダ及び有機溶剤を含む電極ペースト(以下、「Pt系ペースト」という)をスクリーン印刷して発熱抵抗体16A(及びこれから延長するリード35A,36A)を、下面に温度検出手段14A(及びこれから延長するリード32A、34A)、電極端子部42A,43A,44Aを形成する。さらに、温度検出手段14Aの下面に絶縁材料(アルミナ等)、バインダ及び有機溶剤を含むペーストをスクリーン印刷して絶縁層11Aを形成する。なお、絶縁層26Aのスルーホール26x、26yの内面に適宜スルーホール導体を充填する。
次に、センサ素子部の本体となる比較的厚い(例えば300μm)グリーンシートのアルミナ絶縁層6Aを、発熱抵抗体16Aに積層する。そして、絶縁層6A上にリード30A、31A、及び電極端子部40A、41Aを形成する。さらに、リード30A,31Aを覆うようにして絶縁層20Aをスクリーン印刷する。なお、絶縁層6Aは、絶縁ペーストをスクリーン印刷して形成してもよい。
そして、この積層体を所定温度(例えば、250℃)で脱バインダし、所定温度(例えば、1400℃)で焼成する。
次に、上記したV、Bi及びSbの群から選ばれる1種以上の酸化物粉末、バインダ及び有機溶剤を含むペーストを焼成後の絶縁層6A上にスクリーン印刷して固体電解質層22Aを形成し、所定温度(例えば、750℃)で焼成する。
そして、固体電解質層22A上に、Pt系ペーストをスクリーン印刷して基準電極4Aを形成するとともに、Au系ペーストをスクリーン印刷して可燃性ガス活性電極2Aを形成し、所定温度(例えば、750℃)で焼成する。
なお、固体電解質層6Aとして、複合酸化物を用いる場合は、例えば酸化バナジウム(V)及び酸化ビスマス(Bi)の粉末を所定比で混合した混合粉末を用いればよい。例えば、複合酸化が酸化ビスマスバナジウム(BiVO)の場合、酸化バナジウム(V)及び酸化ビスマス(Bi)の粉末を1:1(モル比)で混合する。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るアンモニアガスセンサ(アンモニアセンサ)のセンサ素子部50Bについて展開図5を参照して説明する。第2の実施形態に係るアンモニアガスセンサは、第1の実施形態に係るアンモニアガスセンサにおいて、固体電解質層22Aと絶縁層6Aとの間に、部分安定化ジルコニアを主成分とする固体電解質層8Bが介装されていること以外は、第1の実施形態に係るアンモニアガスセンサのセンサ素子と同様であるので、同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
図5において、部分安定化ジルコニアを主成分とする固体電解質層8Bは、Y、Sc、CaO及びMgOの群から選ばれる1種以上の安定化材で部分安定化された固体電解質層8Bである。部分安定化ジルコニアを主成分とする固体電解質層8Bは、固体電解質層としての酸素イオン伝導性に優れているため、固体電解質層22A単体で用いた場合に比べ、安定したセンサ出力が得られる。又、各電極2A、4Aとの界面には固体電解質層22Aが存在するので、固体電解質層22Aに基づくアンモニア選択性をも発揮することができ、アンモニアガスの検出精度も損なわない。
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。例えば、固体電解質層の表面と裏面とにそれぞれ可燃性ガス活性電極と可燃性ガス不活性電極とを設け、可燃性ガス不活性電極を大気雰囲気に曝し、可燃性ガス活性電極を被測定ガスに曝すよう、2室型のセンサ構造としてもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの例に限定されるものではない。
(実験例1)
上記第1の実施形態に係るアンモニアガスセンサを作製した。これを実施例1とする。
まず、アルミナ基板(絶縁層)26Aの上面に、Pt系ペーストをスクリーン印刷して発熱抵抗体16A(及びこれから延長するリード35A,36A)を形成し、下面にPt系ペーストをスクリーン印刷して温度検出手段14A(及びこれから延長するリード32A、34A)、電極端子部42A,43A,44Aを形成した。さらに、発熱抵抗体16A上及び温度検出手段14A上に絶縁材料、バインダ及び有機溶剤を含むペーストをスクリーン印刷して絶縁層11Aを形成した。
次に、センサ素子部の本体となる比較的厚い(例えば300μm)グリーンシートのアルミナ絶縁層6Aを、発熱抵抗体16Aに積層した。そして、絶縁層6Aの上にPtペーストをスクリーン印刷してリード30A、31A、及び電極端子部40A、41Aを形成し、さらにリード30A、31Aを覆うようにして絶縁層20Aをスクリーン印刷した。その後、1400℃で60分間焼成した。
次に、絶縁層6A上に固体電解質層22Aの材料となるBiVOペーストを印刷した。この積層体を750℃で10分間焼成した。
そして、固体電解質層22A上に、Pt系ペーストをスクリーン印刷して基準電極4Aを形成するとともに、Auペーストをスクリーン印刷して検知電極2Aを形成し、750℃で10分間焼成した。
なお、上記BiVOペーストは、BiVO粉末、有機溶剤及び分散剤を乳鉢に入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、バインダ、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合を行って作製した。ここでBiVO粉末は、酸化バナジウム(V)及び酸化ビスマス(Bi)の粉末を1:1(モル比)で混合し、らいかい機で1時間分散混合した後、800℃で15時間焼成し、さらに、らいかい機で1時間分散混合し、800℃で15時間焼成した後、粉砕して得た。
比較例1として、図4に示すセンサ素子500を有するアンモニアガスセンサを作製した。ここで、センサ素子500において、ジルコニア固体電解質層91は、以下のジルコニアペーストを印刷した後、1450℃で1時間焼成して形成した。ジルコニアペーストは、4.5モル%のYを含む部分安定化ジルコニア粉末、有機溶剤及び分散剤を乳鉢に入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、バインダ、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合を行って作製した。
次に、実施例1と同様にして基準電極4A、リード30A、31A、及び電極端子部40A、41Aを形成した。又、上記BiVOペーストを用いて選択反応層93を印刷した後、実施例1と同様にして検知電極2Aを形成した。そして、全体を所定温度(例えば、250℃)で脱バインダし、750℃で10分間焼成した。
なお、センサ素子500において、上記以外の部分については実施例1と同様にして作製した。
<評価>
センサ特性(感度)評価
1.センサの初期感度
モデルガス発生装置のガス流中に実施例1及び比較例1のアンモニアガスセンサを取り付け、センサの初期感度の評価を行った。モデルガスのガス温度280℃、素子制御温度(ヒータ加熱)650℃とし、ガス組成をO2=10% CO2=5% H2O=5% N2=bal.とした。モデルガス発生装置から上記ガスを流したとき、基準電極4Aと検知電極2Aの間の電位差を測定し、ベース起電力とした。その後、モデルガスにNH=100ppmを加えてガスを流したときの基準電極4Aと検知電極2Aの間の電位差を測定し、測定時の起電力とした。そして、測定時の起電力−ベース起電力(被測定ガスに曝されない時の起電力)でセンサの初期感度を定義した。
2.実機耐久試験
実施例1及び比較例1のアンモニアガスセンサを実機エンジンに取り付け、実際にエンジンを稼働させてセンサ特性を評価した。エンジンは排気量3.0Lディーゼルエンジンを用い、アンモニアガスセンサをエンジンのDOC(Diesel Oxidation Catalyst)マフラー及びDPF(黒煙除去装置)の後流に取付けた。
エンジンを10分間アイドル後、3000rpmで30分稼働する工程を1サイクルとし、このサイクルを500時間繰り返して実機耐久試験を行った。
実機試験終了後、センサを実機エンジンから取り外し、上記したモデルガス発生装置のガス流中にセンサを再度取り付け、上記モデルガスを流して基準電極4Aと検知電極2Aの間の電位差を測定し、実機試験後のセンサの感度とした。センサの感度は、測定時の起電力−ベース起電力(被測定ガスに曝されない時の起電力)で定義した。
実施例1及び比較例1の初期及び耐久試験後の感度特性を図6に示す。
図6から明らかなように、実施例1の場合、耐久試験後もセンサ特性(感度)が低下しなかった。
一方、ジルコニア固体電解質層を用い、BiVOからなる選択反応層を有する比較例1の場合、耐久試験後にセンサ特性(感度)が低下した。なお、比較例1の場合、耐久試験後に選択反応層の一部が剥離・脱落したのが視認され、これが耐久試験後の感度低下の原因と考えた。
(実験例2)
固体電解質層22Aを構成する酸化物の種類を変えたこと以外は、実施例1と同様にして上記第1の実施形態に係るアンモニアガスセンサを複数作製した。
固体電解質層22Aに用いた酸化物の種類を表1に示す。なお、固体電解質層22Aは、表1に示した酸化物の粉末、有機溶剤及び分散剤を乳鉢に入れ、らいかい機で4時間分散混合した後、バインダ、粘度調整剤を所定量添加し、更に4時間湿式混合を行って作製したペーストを印刷して形成した。固体電解質層22Aを印刷後の焼成条件を表1に示す。
又、表1に示すBiVO粉末は、酸化バナジウム(V)及び酸化ビスマス(Bi)の粉末を1:1(モル比)で混合し、らいかい機で1時間分散混合した後、800℃で15時間焼成し、さらに、らいかい機で1時間分散混合し、800℃で15時間焼成した後、粉砕して得た。
SbVO粉末は、酸化バナジウム(V)及び酸化アンチモン(Sb)の粉末を1:1(モル比)で混合し、BiVO粉末と同様にして得た。
なお、固体電解質層22Aに用いた酸化物に応じて、可燃性ガス不活性電極4Aを印刷後のPtペーストの焼成条件、及び可燃性ガス活性電極2Aを印刷後のAuペーストの焼成条件を、表1に示すように変更した。
Figure 2010139238
固体電解質層22Aを構成する酸化物の種類を変えたときの、センサの初期感度を図7、図8に示す。センサの初期感度は、実施例1と同様にして行った。
図7、図8から明らかなように、各酸化物を用いた固体電解質層22Aを有するアンモニアガスセンサは、アンモニアガスを十分検知できることがわかった。
なお、BiVOを用いたときの感度が、実施例1(図6)と、図8で若干異なるのは、図8がエージング無しであるのに対し、図6はエージングを行ったためである。
本発明の第1の実施形態に係るアンモニアガスセンサ(アンモニアセンサ)の長手方向に沿う断面図である。 センサ素子部50Aの構成を示す展開図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 比較例1のアンモニアセンサのセンサ素子部500の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るアンモニアガスセンサのセンサ素子部50Bの展開図である。 実施例1及び比較例1の初期及び耐久試験後の感度特性を示す図である。 固体電解質層を構成する酸化物の種類を変えたときの、センサの初期感度を示す図である。 固体電解質層を構成する酸化物の種類を変えたときの、センサの初期感度を示す別の図である。
符号の説明
2A 検知電極
4A 基準電極
6A 第1固体電解質層
8B 第2固体電解質層
50A、50B センサ素子部
200A アンモニアガスセンサ

Claims (5)

  1. V、Bi及びSbの群から選ばれる1種以上の酸化物を主成分とする第1固体電解質層と、該第1固体電解質層の表面にそれぞれ形成された可燃性ガスが表面にて燃焼する基準電極及び可燃性ガスが表面にて燃焼しない検知電極とを備えたアンモニアガスセンサ。
  2. 前記第1固体電解質層は、V及びBiを含む複合酸化物、V及びSbを含む複合酸化物、又はV、Bi及びSbを含む複合酸化物を主成分とする請求項1記載のアンモニアガスセンサ。
  3. 前記第1固体電解質層はBiVOを主成分とする請求項2記載のアンモニアガスセンサ。
  4. 前記第1固体電解質層は、Y、Sc、CaO及びMgOの群から選ばれる1種以上の安定化材で部分安定化されたジルコニアを含む請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
  5. 前記第1固体電解質層の一方の面に前記基準電極及び前記検知電極が配置され、前記第1固体電解質層の他方の面に、Y、Sc、CaO及びMgOの群から選ばれる1種以上の安定化材で部分安定化されたジルコニアを主成分とする第2固体電解質層が積層されている請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニアガスセンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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