JP2014037787A - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】SCR触媒とNHセンサとを備えた排気浄化システムにおいて、新たに酸素濃度センサを設けることなく排気の空燃比の状態を判定できる排気浄化システムを提供すること。
【解決手段】排気浄化システムは、SCR触媒と、尿素水供給装置と、NHセンサ5と、NHセンサ5の検出信号に応じて還元剤の供給量を制御する尿素水噴射制御部74と、を備える。NHセンサ5は、酸素に対する活性を有する基準電極と、酸素及びアンモニアに対する活性を有する検知電極と、酸素イオン導電性の固体電解質層とを備える。基準電極と検知電極は、排気管内のうちSCR触媒の下流側に同じ排気に晒されるように設けられる。排気浄化システムは、NHセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値を超えて変化した場合には、SCR触媒の下流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定するストイキ判定部73をさらに備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。より詳しくは、選択還元触媒とその下流に設けられたNHセンサとを備えた内燃機関の排気浄化システムに関する。
従来、排気中のNOxを浄化する排気浄化システムの1つとして、アンモニア(NH)などの還元剤により排気中のNOxを選択的に還元する選択還元触媒を排気通路に設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、尿素添加式の排気浄化システムでは、選択還元触媒の上流側からNHの前駆体である尿素水を供給し、この尿素水から排気の熱で熱分解又は加水分解することでNHを生成し、このNHにより排気中のNOxを選択的に還元する。このような尿素添加式のシステムの他、例えば、アンモニアカーバイトのようなNHの化合物を加熱することでNHを生成し、このNHを直接添加するシステムも提案されている。
選択還元触媒は、混合気の空燃比をストイキよりリーン側にし酸素を多く含んだリーン空燃比の排気下で高いNOx浄化性能を発揮するため、リーン燃焼式のガソリンエンジンやディーゼルエンジンなど、リーン燃焼を基本とした機関の排気浄化システムに用いられる場合が多い。またこの場合、選択還元触媒の下流側に設けられたNHセンサの検出信号に基づくフィードバック制御によって選択還元触媒に供給する尿素水又はNHの供給量を制御することにより、選択還元触媒からのNHスリップ量を最小限に留めながらそのNOx浄化率を高く維持できることも知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、NOx排出量が多くなる加速運転時には、選択還元触媒のみでは十分にNOxを浄化しきれなくなる場合がある。そこで、特許文献2に開示されているシステムのように、加速運転時には選択還元触媒の上流側に設けられた三元触媒における三元浄化反応を利用してNOxを浄化することが考えられる。特許文献2の排気浄化システムでは、NOx吸蔵還元型触媒の上流側に三元触媒を設けたシステムにおいて、加速運転時には三元触媒における三元浄化反応を利用すべく、混合気の空燃比をリーン側からストイキに切り替える。
特開2011−163195号公報 特開2009−293585号公報
ところが、三元触媒における三元浄化反応を高い効率で発揮しようとすると、混合気の空燃比を精度良くストイキ又はその近傍に維持しなければならないが、このような空燃比制御を行うには排気の酸素濃度を直接的に検出する酸素濃度センサからのフィードバックがさらに必要となる。また、このような三元触媒を備えないシステムであっても、排気中のスートを捕集する排気浄化フィルタの再生時や選択還元触媒のSOx被毒再生時などにおいても、混合気の空燃比をストイキ又はストイキよりリッチ側へリッチ化するために酸素濃度センサが必要となる。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものであり、選択還元触媒とその下流側に設けられたアンモニアセンサとを備えた排気浄化システムにおいて、新たに酸素濃度センサを設けることなく排気の空燃比の状態を判定できる排気浄化システムを提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため本発明は、内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の排気通路(例えば、後述の排気管11)に設けられ、アンモニアの存在下で排気中の窒素酸化物を選択的に還元する選択還元触媒(例えば、後述の下流触媒コンバータ33のSCR触媒)と、前記選択還元触媒の上流側にアンモニア又はその前駆体を還元剤として供給する還元剤供給装置(例えば、後述の尿素水供給装置4)と、アンモニアセンサ(例えば、後述のNHセンサ5)と、前記アンモニアセンサの検出信号に応じて還元剤の供給量を制御する還元剤供給量制御手段(例えば、後述の尿素水噴射制御部74)と、を備えた内燃機関の排気浄化システム(例えば、後述の排気浄化システム2)を提供する。前記アンモニアセンサは、酸素に対する活性を有する基準電極(例えば、後述の基準電極53)と、酸素及びアンモニアに対する活性を有する検知電極(例えば、後述の検知電極52)と、これら検知電極及び基準電極が設けられた酸素イオン導電性の固体電解質(例えば、後述の固体電解質層51)とを備える。前記基準電極と前記検知電極は、前記排気通路内のうち前記選択還元触媒の下流側に同じ排気に晒されるように設けられる。前記排気浄化システムは、前記アンモニアセンサの検出信号の値が所定のストイキ判定閾値を超えて変化した場合には、前記選択還元触媒の下流側の排気の空燃比がストイキよりリーン側からストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定するストイキ判定手段(例えば、後述の下流ストイキ判定部73)をさらに備える。
(1)選択還元触媒を主体として排気中のNOxを還元すべく、混合気の空燃比をストイキよりリーン側にするリーン運転を行っている間、アンモニアセンサの検知電極及び基準電極は、共に十分な量の酸素を含んだ排気に晒されている。この場合、基準電極側では酸素(O)をイオン化する還元反応が進行し、酸素イオン(O2−)は電解質を移動し、検知電極側では排気中のアンモニア(NH)及び酸素イオンを酸化する反応が進み、これにより検知電極と基準電極との間には少なくとも排気中のアンモニア濃度に応じて変動する起電力(検出信号)が発生する。還元剤供給量制御手段は、このようなアンモニアセンサの検出信号に基づいて還元剤の供給量を制御することにより、例えば選択還元触媒から排出されるアンモニアの量を最小限に抑制しながらそのNOx浄化率が高く維持されるように、適切な量の還元剤(アンモニア又はその前駆体)を選択還元触媒に供給できる。
以上のようなリーン運転の状態から、混合気の空燃比をストイキにする空燃比ストイキ制御やストイキよりリッチ側にする空燃比リッチ制御を行うと、選択還元触媒の下流側のアンモニアセンサの両電極の周囲は程なくして酸素濃度がほぼ0の低酸素濃度雰囲気に切り替わる。このとき、電極と固体電解質の界面では酸素イオンによる電子授受が進行しなくなることによって両電極の間の電位差が大きくなるため、検出信号の値はアンモニア濃度によらず正側又は負側に大きく変化し、最大値又は最小値を示す。換言すると、検知電極と基準電極には、酸素濃度が高いときよりも大きな固有の自発起電力が発生する。本発明では、アンモニアセンサの検出信号の値に対し、所定のストイキ判定閾値を設定しておき、検出信号の値がこのストイキ判定閾値を超えて変化した場合には、これに応じて選択還元触媒の下流側の排気の空燃比がストイキよりリーン側からストイキ又はストイキよりリッチ側になったことを判定する。したがって本発明によれば、排気通路に新たに酸素濃度を検出するためのセンサを設けずとも、アンモニアセンサを利用して実際の排気の空燃比の状態を判定することができる。
(2)この場合、前記還元剤供給量制御手段は、前記アンモニアセンサの検出信号の値が、前記ストイキ判定閾値よりも内側に設定された通常出力範囲(例えば、後述の通常NH出力範囲)内にあるときに、当該アンモニアセンサの検出信号に基づいて還元剤の供給量を制御することが好ましい。
(2)ストイキ又はリッチ空燃比下では、基本的には選択還元触媒でNOxを還元できないため、この間、還元剤供給量制御手段で還元剤の供給量を制御する必要はない。したがって、アンモニアセンサの検出信号に基づいて排気の空燃比の状態を判定するためのストイキ判定閾値よりも内側に通常出力範囲を設定し、アンモニアセンサの検出信号の値がこの通常出力範囲内にあるときに、アンモニアセンサの検出信号に基づいて還元剤の供給量を制御することにより、還元剤供給量制御手段による還元剤の供給制御と、ストイキ判定手段によるストイキの判定に基づいて行われる各種制御とが干渉するのを防止できる。
(3)この場合、前記排気浄化システムは、前記アンモニアセンサの検出信号の値が、前記ストイキ判定閾値よりも内側に設定された通常出力範囲内にあるときに、当該アンモニアセンサの検出信号に基づいて前記選択還元触媒の下流側の排気のアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出手段(例えば、後述のNH濃度算出部72)をさらに備え、前記還元剤供給量制御手段は、前記算出されたアンモニア濃度に基づいて還元剤の供給量を制御することが好ましい。
(3)排気の酸素濃度が0又はその近傍まで低下すると、上述のようにアンモニアセンサの検出信号は、その時の排気のアンモニア濃度によらず正又は負側へ大きく変化するため、原理的にアンモニアセンサの検出信号からアンモニア濃度を算出することはできなくなる。本発明では、アンモニアセンサの検出信号に基づいて排気の空燃比の状態を判定するためのストイキ判定閾値よりも内側に通常出力範囲を設定し、アンモニアセンサの検出信号の値がこの通常出力範囲内にあるときに、アンモニアセンサの検出信号に基づいて排気のアンモニア濃度を算出することにより、精度良くアンモニア濃度を算出できる。また、このように精度良く算出したアンモニア濃度に基づいて還元剤の供給量を制御することにより、例えば選択還元触媒から排出されるアンモニアの量を最小限に抑制しながらそのNOx浄化率が高く維持されるように、適切な量の還元剤(アンモニア又はその前駆体)を選択還元触媒に供給できる。
(4)この場合、前記排気浄化システムは、前記排気通路のうち前記選択還元触媒の上流側に設けられ、三元浄化機能を有する上流触媒(例えば、後述の上流触媒コンバータ31の酸化触媒又は三元触媒、及び排気浄化フィルタ32の酸化触媒又は三元触媒等)と、前記機関のNOx排出量に相関のあるパラメータ(例えば、後述のNOx排出量の推定値、要求トルク値等)の値が所定の閾値以下である場合には、混合気の空燃比をストイキよりリーン側に制御し、前記パラメータの値が前記閾値より大きい場合には、前記ストイキ判定手段による判定に基づいて混合気の空燃比をストイキに制御する空燃比制御手段(例えば、後述の空燃比制御部76)と、をさらに備えることが好ましい。
(4)本発明によれば、NOx排出量に相関のあるパラメータの値が所定の閾値以下である場合には、混合気の空燃比をストイキよりリーン側に制御し選択還元触媒によりNOxを還元でき、NOx排出量に相関のあるパラメータの値がストイキ判定閾値より大きくなるような場合には、混合気の空燃比をストイキに制御することにより上流触媒における三元浄化反応を利用してNOxを還元することができる。この際、本発明では、選択還元触媒の下流に設けられたアンモニアセンサを利用したストイキ判定手段による判定に基づいて混合気の空燃比をストイキに制御することにより、新たに酸素濃度センサを設けずとも既存のアンモニアセンサによって効率的に三元浄化反応を進行させ、排気を浄化できる。
(5)この場合、前記排気浄化システムは、前記排気通路を流通する排気の一部を吸気通路に還流するEGR装置(例えば、後述のEGR装置13)と、前記EGR装置による排気還流量を制御するEGR制御手段(例えば、後述の高EGR制御部77)と、をさらに備え、前記EGR制御手段は、前記ストイキ判定手段により空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されたことに応じて、排気還流量を減量側に補正することが好ましい。
(5)本発明では、EGR制御手段によって排気還流量を制御している間に、ストイキ判定手段により排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定された場合には、これに応じて排気還流量を減量側に補正することにより、空燃比がストイキを超えて燃料過剰になり過ぎないようにすることができる。この場合も、新たに酸素濃度センサを設ける必要がないので、その分だけコストを低減できる。
(6)この場合、前記選択還元触媒には、酸素吸蔵放出材が含まれ、混合気の空燃比をストイキ又はストイキよりリッチ側にする制御を開始した後の所定の時期から、前記ストイキ判定手段により前記選択還元触媒の下流側の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されるまでにかかった時間(例えば、後述のリッチ判定時間)を測定し、当該測定時間に基づいて前記選択還元触媒の劣化を判定する触媒劣化判定手段(例えば、後述のSCR触媒劣化判定制御部78)をさらに備えることが好ましい。
(6)選択還元触媒に酸素吸蔵放出材を含めることにより、混合気の空燃比をリーン側からストイキ又はリッチ側に切り替えた後も、貯蔵されていた酸素を利用して選択還元触媒で過渡的にNOxを浄化できる。また、選択還元触媒に酸素吸蔵放出材を含めることにより、酸素吸蔵放出材の酸素吸蔵放出機能の低下の検出を介して選択還元触媒の劣化を推定できる。本発明では、混合気の空燃比をストイキ又はストイキよりリッチ側にする制御を開始した後の所定の時期から、ストイキ判定手段によって選択還元触媒の下流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されるまでにかかった時間、すなわち酸素吸蔵放出材が吸蔵していた酸素を放出しきるまでにかかった時間を測定し、この測定時間に基づいて選択還元触媒の劣化を判定する。これにより、選択還元触媒の下流側に酸素濃度センサを新たに設けずとも、選択還元触媒の劣化を判定できる。
(7)上記課題を解決するため本発明は、内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の排気通路(例えば、後述の排気管11)に設けられ、アンモニアの存在下で排気中の窒素酸化物を選択的に還元する選択還元触媒(例えば、後述の下流触媒コンバータ33のSCR触媒)と、前記選択還元触媒の上流側にアンモニア又はその前駆体を還元剤として供給する還元剤供給装置(例えば、後述の尿素水供給装置4)と、前記選択還元触媒の下流側に設けられ、排気中の少なくともアンモニア及び酸素の濃度に応じた起電力を検出信号として電極間に発生するアンモニアセンサ(例えば、後述のNHセンサ5)と、前記アンモニアセンサの検出信号に基づいて還元剤の供給量を制御する還元剤供給量制御手段(例えば、後述の尿素水噴射制御部74)と、を備えた内燃機関の排気浄化システム(例えば、後述の排気浄化システム2)を提供する。前記アンモニアセンサの電極間には、その周囲の排気の酸素濃度が0又はほぼ0になると、アンモニア濃度によらず所定のストイキ判定閾値を超える起電力が発生する。前記排気浄化システムは、前記アンモニアセンサの検出信号の値が前記ストイキ判定閾値を超えて変化した場合には、前記選択還元触媒の下流側の排気の空燃比がストイキよりリーン側からストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定するストイキ判定手段(例えば、後述の下流ストイキ判定部73)を備える。
(7)本発明によれば、排気通路に新たに酸素濃度を検出するためのセンサを設けずとも、既存のアンモニアセンサを利用して実際の排気の空燃比の状態を判定することができる。
(8)この場合、前記排気浄化システムは、前記アンモニアセンサの検出信号の値が、前記ストイキ判定閾値よりも内側に設定された通常出力範囲(例えば、後述の通常NH出力範囲)内にあるときに、当該アンモニアセンサの検出信号に基づいて前記選択還元触媒の下流側の排気のアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出手段(例えば、後述のNH濃度算出部72)をさらに備え、前記還元剤供給量制御手段は、前記算出されたアンモニア濃度に基づいて還元剤の供給量を制御することが好ましい。
(8)本発明によれば、アンモニアセンサの検出信号に基づいて排気の空燃比の状態を判定するためのストイキ判定閾値よりも内側に通常出力範囲を設定し、アンモニアセンサの検出信号の値がこの通常出力範囲内にあるときに、アンモニアセンサの検出信号に基づいて排気のアンモニア濃度を算出することにより、精度良くアンモニア濃度を算出できる。また、このように精度良く算出したアンモニア濃度に基づいて還元剤の供給量を制御することにより、例えば選択還元触媒から排出されるアンモニアの量を最小限に抑制しながらそのNOx浄化率が高く維持されるように、適切な量の還元剤(アンモニア又はその前駆体)を選択還元触媒に供給できる。また、還元剤供給量制御手段による還元剤の供給制御と、ストイキ判定手段によるストイキの判定に基づいて行われる各種制御とが干渉するのを防止できる。
本発明によれば、アンモニアセンサの検出信号の低酸素濃度雰囲気下における特異な変化を利用することにより、排気通路に新たに酸素濃度センサを設けずとも、既存のアンモニアセンサで排気の空燃比の状態を判定することができる。
本発明の一実施形態に係る排気浄化システムの構成を示す図である。 センサの構造と、そのO濃度の検出原理を模式的に示す図である。 NHセンサの構造と、そのNH濃度の検出原理を模式的に示す図である。 混合気の空燃比をストイキよりリーン側から一時的にストイキに制御したときにおけるOセンサ及びNHセンサの検出信号の変化を模式的に示す図である。 ECUに構成された制御ブロックを示す図である。 フィルタ再生処理の昇温工程の手順を示すフローチャートである。 ストイキ空燃比制御の手順を示すフローチャートである。 高EGR制御の手順を示すフローチャートである。 SCR触媒劣化判定制御の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の内燃機関(以下、「エンジン」という)1及びその排気浄化システム2の構成を示す図である。エンジン1は、定常運転時には混合気の空燃比をストイキよりリーン側にする所謂リーン燃焼を基本としたもの、より具体的にはディーゼルエンジンやリーンバーンガソリンエンジンなどである。
排気浄化システム2は、エンジン1の排気ポートから延びる排気管11に設けられた触媒浄化装置3と、排気管11を流通する排気の一部をエンジン1の吸気ポートに至る吸気管12に還流するEGR装置13と、これらエンジン1、触媒浄化装置3及びEGR装置13を制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)7と、を備える。
エンジン1には、各シリンダに燃料を噴射する燃料噴射弁17が設けられている。この燃料噴射弁17を駆動するアクチュエータは、ECU7に電磁的に接続されている。エンジン1の混合気の空燃比は、吸気制御弁16によってシリンダ内に導入される新気の量、EGR装置13によってシリンダ内に導入される排気の量、並びにエンジンの各シリンダに設けられた燃料噴射弁17からの燃料噴射量等を調整することによって制御される。
触媒浄化装置3は、上流触媒コンバータ31と、排気浄化フィルタ32と、下流触媒コンバータ33と、尿素水供給装置4と、を備える。上流触媒コンバータ31は、排気管11のうちエンジン1の直下に設けられている。下流触媒コンバータ33は、排気管11のうち上流触媒コンバータ31より下流側に設けられている。排気浄化フィルタ32は、排気管11のうち上流触媒コンバータ31と下流触媒コンバータ33との間に設けられている。これら上流触媒コンバータ31及び下流触媒コンバータ33には、エンジン1の排気に含まれるCO、HC、NOx等の成分を浄化する反応を促進するための触媒が設けられている。
上流触媒コンバータ31が備える上流触媒には、少なくとも三元浄化機能を有する触媒が用いられる。三元浄化機能とは、混合気の空燃比をストイキに制御したときに生成されるストイキ空燃比の排気の雰囲気下において、三元浄化反応、すなわちHC及びCOの酸化とNOxの還元とが同時に行われる反応が進行する機能を言う。このような三元浄化機能を備える触媒としては、酸化触媒や三元触媒等が挙げられる。上流触媒には、酸化触媒又は三元触媒が好ましく用いられる。
酸化触媒(DOC)は、ストイキ雰囲気下では上記三元浄化反応によってHC、CO、NOxを高効率で浄化する。酸化触媒は、混合気の空燃比をストイキよりリーン側に制御したときに生成されるリーン空燃比の排気の雰囲気下ではHC及びCOを酸化することによって浄化するとともに、排気中のNOの一部をNOに酸化し、後述の下流触媒コンバータ33におけるNOx浄化率を向上する。三元触媒(TWC)は、この酸化触媒に酸素吸蔵放出材を付加したものに相当する。三元触媒と酸化触媒とは基本的な浄化機能は同じである。ただし三元触媒は、酸化触媒と比較すると、酸素吸蔵放出材を備えており三元浄化ウィンドウが広くなっている点で優れている。
排気浄化フィルタ32は、エンジン1からの排気中の粒子状物質(Particulate Matter、以下単に「PM」という)を捕集する。この排気浄化フィルタ32には、堆積したPMをより低温から燃焼除去できるようにし、かつ排気中のCO、HC、NOx等の成分を浄化するため、上述の酸化触媒や三元触媒が担持されていることが好ましい。以下では、このように触媒が担持された排気浄化フィルタ32について、「CSF」との略称を用いる。
下流触媒コンバータ33は、NHの存在下で排気中のNOxを還元するNH選択還元触媒(以下、「SCR触媒」という)を備える。この下流触媒コンバータ33では、還元剤であるNHの存在下で、Fast−SCR反応(下記式(1)参照)、Standard−SCR反応(下記式(2)参照)、及びSlow−SCR反応(下記式(3)参照)が進行する。
NO+NO+2NH→2N+3HO (1)
4NO+4NH+O→4N+6HO (2)
6NO+8NH→7N+12HO (3)
なお、上記3つの反応のうちNOを還元する式(2)の反応は、酸素が存在するリーン空燃比下でしか進行しない。またNOを還元する式(3)やNOとNOを還元する式(1)に示す反応は、排気の酸素濃度がほぼ0となるストイキ又はリッチ空燃比下でも進行し得るものの、この場合、上流触媒コンバータ31及びCSF32では排気中のNOをNOに酸化する反応も進行しなくなり、SCR触媒に流入するNOの量も減少するため、これら式(1)及び(3)の反応も進行しなくなる。したがって、SCR触媒は、基本的にはリーン運転中であって排気の酸素濃度が十分である場合のみNOxを浄化できる。
SCR触媒は、尿素水から生成したNHで排気中のNOxを還元する機能を有するとともに、生成したNHを所定の量だけ貯蔵する機能も有する。以下では、SCR触媒において貯蔵されたNH量をNHストレージ量とし、SCR触媒において貯蔵できるNH量を最大NHストレージ容量とする。このようにしてSCR触媒に貯蔵されたNHは、排気中のNOxの還元にも適宜消費される。このため、SCR触媒は、NHストレージ量が多くなるほどNOx浄化率が高くなる特性がある。
尿素水供給装置4は、尿素水タンク41と尿素水インジェクタ42とを備える。尿素水タンク41は、NHの前駆体である尿素水を貯蔵する。尿素水タンク41は、尿素水供給路43及び図示しない尿素水ポンプを介して尿素水インジェクタ42に接続されている。尿素水インジェクタ42は、図示しないアクチュエータで駆動されると開閉し、尿素水タンク41から供給される尿素水を、SCR触媒における還元剤として排気管11内の下流触媒コンバータ33の上流側に噴射する。インジェクタ42から噴射された尿素水は、排気中又は下流触媒コンバータ33においてNHに加水分解され、NOxの還元に消費される。尿素水インジェクタ42のアクチュエータは、ECU7に電磁的に接続されている。ECU7は、後に詳述するように、NHセンサ5の検出信号に基づく尿素水噴射制御によって尿素水噴射量を定め、この量の尿素水が噴射されるように尿素水インジェクタ42を駆動する。
EGR装置13は、EGR管14と、EGR制御弁15と、図示しないEGRクーラ等を含んで構成される。EGR管14は、排気管11のうち上流触媒コンバータ31より上流側と吸気管12とを接続する。EGR制御弁15は、EGR管14に設けられ、このEGR管14を介してエンジン1のシリンダ内に還流される排気の量(以下、「EGR量」という)を制御する。このEGR制御弁15を駆動するアクチュエータは、ECU7に電磁的に接続されている。ECU7は、図示しない処理によりEGR量(又はEGR率)の推定値と目標値を算出し、この推定値が目標値になるようにEGR制御弁15を駆動する。
ECU7は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)と、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、空燃比を制御するための燃料噴射弁17、EGR制御弁15及び吸気制御弁16、並びに尿素水噴射制御のための尿素水インジェクタ42等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。
ECU7には、排気浄化システム2及びエンジン1の状態を検出するためのセンサとして、Oセンサ6やNHセンサ5などが接続されている。
センサ6は、排気管11のうちCSF32と下流触媒コンバータ33の間に設けられる。Oセンサ6は、後に図2を参照して詳述するように作用し、CSF32と下流触媒コンバータ33の間の排気のO濃度に応じて変動する起電力を検出信号として出力する。
NHセンサ5は、排気管11のうちSCR触媒を備える下流触媒コンバータ33の下流側に設けられる。NHセンサ5は、後に図3を参照して詳述するように作用し、下流触媒コンバータ33の下流側の排気のNH濃度に応じて変動する起電力を検出信号として出力する。
次に、図2を参照してOセンサ6によるO濃度の検出原理について説明する。
図2は、Oセンサ6の構成と、そのO濃度の検出原理を模式的に示す図である。
センサ6は、固体電解質層61と、この固体電解質層61に設けられた多孔質の検知電極62及び基準電極63と、これら固体電解質層61、電極62,63を一定の温度(例えば、600℃程度)に保つヒータ(図示せず)と、を備える。これら検知電極62と基準電極63とは、図2に示すように固体電解質層61を両面から挟むようにして設ける他、固体電解質層61の同一の面内に互いに離して設けてもよい。
固体電解質層61には、酸素イオン(O2−)導電性の材料が用いられる。より具体的には、固体電解質層61の材料としては、例えばジルコニア(ZrO)に酸化イットリウム(Y)を添加したものが用いられる。
基準電極63と検知電極62には、酸素(O)に対する活性を有する同じ材料のものが用いられる。酸素に対する活性を有する材料として、より具体的には、基準電極63と検知電極62には、例えば白金(Pt)が用いられる。
また、排気管11内の酸素濃度に応じた起電力を検出信号として電極62,63の間に発生させるため、検知電極62は排気管11内のうちCSFの下流側の排気に晒されるように設け、基準電極63は排気管11外の大気に晒されるように設ける。なお、大気の酸素(O)濃度は約21%程度で一定であるのに対し、排気管11内を流通する排気の酸素濃度は、上記大気の酸素濃度よりも低くかつエンジンの運転状態に応じて変動する。
図2に示すように、比較的酸素濃度が高い基準電極63側では、大気中の酸素をイオン化する還元反応が進行する。また、この酸素の還元反応によって伝導電子が受け渡されることにより、固体電解質層61と基準電極63の界面は正孔(h)で満たされるため、基準電極63側が正極となる。基準電極63で生成された酸素イオンは、酸素イオン導電性の固体電解質層61を検知電極62側へ移動する。検知電極62側では、酸素イオンが酸素分子化する酸化反応が進行する。また、酸素イオンの酸化によって余剰電子が受け渡されることにより、検知電極62側が負極となる。以上のように、検知電極62を排気側に設け基準電極63を大気側に設けると、検知電極62を負極とし基準電極63を正極として、下記式(4)に示すような起電力EO2が発生する。ここで、Paは基準電極63側の酸素分圧であり、Pbは検知電極62側の酸素分圧である。kはボルツマン定数であり、Tはセンサ温度(絶対温度)、eは電気素量である。
O2=(kT/4e)・ln(Pa/Pb) (4)
次に、図2を参照してNHセンサ5によるNHの検出原理について説明する。
図3は、NHセンサ5の構成とそのNH濃度の検出原理を模式的に示す図である。
NHセンサ5は、固体電解質層51と、この固体電解質層51に設けられた多孔質の検知電極52及び基準電極53と、これら固体電解質層51、電極52,53からなるセンサ素子を一定の温度(例えば、600℃程度)に保つヒータ(図示せず)を備える。これら検知電極52と基準電極53とは、図3に示すように固体電解質層51を両面から挟むようにして設ける他、固体電解質層51の同一の面内に互いに離して設けてもよい。
固体電解質層51には、上記Oセンサと同様に、酸素イオン導電性の材料が用いられる。より具体的には、固体電解質層51の材料としては、ジルコニアに酸化イットリウムを添加したものが用いられる。
NHセンサ5に排気中のNH濃度に応じて変動する起電力を検出信号として発生する機能を発揮させるため、基準電極53には、酸素に対する活性を有する材料が用いられ、検知電極52には、アンモニア及び酸素に対する活性を有する基準電極53とは異なる材料が用いられる。これら基準電極53と検知電極52は、上記Oセンサと異なり、排気管11のうち下流触媒コンバータ33の下流側に同じ排気に晒されるように設けられる。これらの条件を満たすものとして、基準電極53には例えば白金(Pt)が用いられ、検知電極52には例えばBiVOが用いられる。図3には、以上のようなNHセンサ5の検知電極52及び基準電極53を、NH及びOを含んだ排気中に晒したときに進行する反応の一例を示す。
基準電極53側にはL酸点が形成され、下記式(5)に示すように、排気中の酸素(O)を酸素イオン化(O2−)する還元反応が進行する。
+4e→2O2− (5)
一方、検知電極52側では、OとHが分極し強いB酸点が形成される。そして、このB酸点によって、下記式(6)に示すように、排気中のNHを選択的に酸化する反応が進行する。
3O2−+2NH→N+3HO+6e (6)
以上のように両電極52,53で異なる材料を用いた上で同じ排気に晒すことにより、基準電極53と検知電極52との間には、基準電極53を正極とし検知電極52を負極とし、排気中のNH濃度CNH3、O濃度CO2、HO濃度CH2Oに応じた下記式(7)に示すような起電力ENH3が発生する。なお、上述のように構成されたNHセンサでは、O濃度CO2及びHO濃度CH2Oに対してNH濃度CNH3とは逆向きの起電力を生じるようになっている。
NH3=(kT/3e)・ln(CNH3
−(kT/4e)・ln(CO2)−(kT/2e)・ln(CH2O) (7)
また、排気中の酸素濃度が0又はその近傍まで低下すると、電極52,53と固体電解質層51の界面では酸素イオンによる電子授受が進行しなくなり両電極の間の電位差が大きくなるため、検出信号の値は正側に大きく変化し最大値を示す。この時に両電極52,53の間に発生する起電力の大きさは、電極52,53と固体電解質層51の界面における電気化学ポテンシャルに依存し、電極52,53及び固体電解質層51の材料固有の値となっている。
図4は、混合気の空燃比をストイキよりリーン側から一時的にストイキに制御したときにおけるOセンサの検出信号EO2[mV]及びNHセンサの検出信号ENH3[mV]の変化を模式的に示す図である。図4では、時刻t0からt1までの間は混合気の空燃比をストイキよりリーン側とするリーン運転を行い、時刻t1からt2までの間は混合気の空燃比をストイキとする空燃比ストイキ制御を行い、時刻t2以降は再びリーン運転を行った場合におけるOセンサ及びNHセンサの検出信号の変化を示す図である。
時刻t0からt1までのリーン運転を行っている間、排気の酸素濃度は比較的高く外気の酸素濃度に近い状態にある。したがって、Oセンサの検出信号の値は、上記式(4)に示すように0近傍の小さな値となる。
また、NHセンサの検出信号の値は、上記式(7)に従い、その時のNH濃度、O濃度及びHO濃度に応じて、所定の範囲内を変動する。以下、リーン運転中(すなわち排気の酸素濃度が0又はほぼ0ではない時)のNHセンサの検出信号の値が取り得る範囲を、通常NH出力範囲と定義する。この通常NH出力範囲の上限値(図4中、NH使用上限閾値)及び下限値(図4中、NH使用下限閾値)は、下流触媒コンバータの下流側の排気のNH濃度、O濃度及びHO濃度の変動幅に応じて予め定められる。なお、NH濃度の変動幅は、例えば、尿素水供給装置から供給し得る尿素水の供給量や、下流触媒コンバータのSCR触媒からスリップし得るNHの量などから定められる。また、O濃度及びHO濃度についても、リーン運転時における通常の使用態様からそれぞれの変動幅を定めることができる。
時刻t1においてストイキ制御を開始すると、程なくしてOセンサ及びNHセンサの近傍の排気の酸素濃度が0近くなるまで急激に低下する。そうすると、Oセンサの検出信号の値は、上記式(4)に従い、0近傍にあった状態から急激に上昇しほぼ最大値を示す。また、NHセンサの近傍の排気の酸素濃度が0近傍まで急激に低下することにより、NHセンサの検出信号の値は、上述の通常NH出力範囲を超えて変化し、正側の最大値を示す。
時刻t2においてストイキ運転からリーン運転に切り替えると、程なくしてOセンサ及びNHセンサの近傍の排気の酸素濃度が上昇する。したがって、Oセンサの検出信号の値は、時刻t0〜t1までの間と同様に0近傍の小さな値まで低下する。またNHセンサの検出信号の値も、時刻t0〜t1までの間と同様に、その時のNH濃度、O濃度及びHO濃度に応じて通常NH出力範囲内で変動する。
なお、図4では、混合気の空燃比をリーン側からストイキに切り替えた場合のOセンサ及びNHセンサの検出信号の変化について説明した。これらセンサの検出信号の変化は、リーン側からストイキよりリッチ側に切り替えた場合も定性的にはほぼ同じであるが、酸素濃度がより0に近い分だけ、各検出信号の最大値も大きくなる。
図5は、以上のようなOセンサ6及びNHセンサ5の検出信号に基づいて各種制御を実行するためにECU7に構成された制御ブロックを示す図である。ECU7には、Oセンサ6及びNHセンサ5からの検出信号を処理するために上流ストイキ判定部71、下流NH濃度算出部72及び下流ストイキ判定部73が構成されている。また、ECU7には、これらブロック71−73における処理の結果に基づいて尿素水インジェクタ42、触媒劣化警告灯45、燃料噴射弁17、吸気制御弁16及びEGR制御弁15などの排気浄化システムの各種装置を制御するために尿素水噴射制御部74、フィルタ再生制御部75、空燃比制御部76、高EGR制御部77及びSCR触媒劣化判定制御部78が構成されている。なお、触媒劣化警告灯45は、下流触媒コンバータのSCR触媒が劣化したことを示すものであって、図示しない車両の運転席から視認できる位置に設けられている。
以下、これらブロック71−78における処理について説明する。
[上流ストイキ判定部71]
センサ6の検出信号は、図4に示すように、ストイキよりリーン側からストイキ(又はストイキよりリッチ側)までの間の空燃比変動に対し、略2値的に変動する。これに対し上流ストイキ判定部71は、Oセンサ6の出力範囲内(0から所定の最大値までの間)にストイキ判定閾値(図4中一点鎖線参照)を設定し、Oセンサ6の検出信号の値がこのストイキ判定閾値以上である場合にはOセンサ6が設けられた下流触媒コンバータの上流側の排気の空燃比はストイキ又はストイキよりリッチ側であると判定し、Oセンサ6の検出信号の値がストイキ判定閾値より小さい場合にはストイキよりリーン側であると判定する。以上のように、上流ストイキ判定部71は、Oセンサ6の検出信号に基づいて、下流触媒コンバータの上流側の排気の空燃比がストイキ或いはストイキよりリッチ側であるか、又はストイキよりリーン側であるかを2値的に判定する。
[NH濃度算出部72]
NHセンサ5の検出信号は、排気のNH濃度及びHO濃度を一定とした場合、ストイキよりリーン側からストイキ(又はストイキよりリッチ側)までの間の空燃比変動に対し、Oセンサ6と同様に略2値的に変動する。また、リーン運転時におけるNHセンサ5の検出信号の値は、排気のNH濃度等に応じて上述の通常NH出力範囲内で変動するため、演算によってNH濃度を算出(検出)できるが、排気の空燃比がストイキよりリーン側からストイキ又はストイキよりリッチ側となった場合、NHセンサ5の検出信号は、排気のNH濃度によらず上記通常NH出力範囲外の低酸素濃度時の固有の値となるため、原理的にNH濃度を算出できない。
NH濃度算出部72は、このようなNHセンサ5の検出信号に基づいてNH濃度を算出できない期間を除外して正確にNH濃度を算出すべく、NHセンサ5の検出信号の値が通常NH出力範囲内にあるときに、NHセンサ5の検出信号に基づいて下流触媒コンバータの下流側の排気のNH濃度を算出する。より具体的には、NH濃度算出部72は、後述の空燃比制御部76によってストイキ制御を行っている期間(例えば、図4中、時刻t1〜t2)と、ストイキ制御を終了してリーン運転に切り替えてから所定のNH再検知判定時間が経過するまでの期間(例えば、図4中、時刻t2〜t3)とは、NHセンサ5の検出信号の値は、ほぼ通常NH出力範囲内に無いと考えられ、またこの期間はSCR触媒によるNOxの還元も行えず還元剤の供給制御を行う必要が無いことから、これら期間をNH検知不可期間と定義する。またNH濃度算出部72は、これ以外の期間をNH検知期間と定義し、このNH検知期間の間でのみ、NHセンサ5の検出信号の値に基づいてNH濃度を算出する。
上記式(7)に示すように、NHセンサの検出信号(起電力ENH3)は、酸素濃度に依存した項(右辺第2項)と、HO濃度に依存した項(右辺第3項)とを含んでいる。このため、NHセンサの検出信号が通常NH出力範囲内にある場合でも、NHセンサの検出信号の値は、下流触媒コンバータの下流側の排気のNH濃度と一価で対応付けられていない。そこでNH濃度算出部72は、図示しない処理により、酸素濃度及びHO濃度に依存した項の推定値を、図示しないセンサやエンジンの運転状態等に基づいて既知の方法で推定することにより、NHセンサの検出信号の値から下流触媒コンバータの下流側の排気のNH濃度を算出する。なお、後述の尿素水噴射制御部74では、基本的にはNH濃度算出部72によって算出されたNH濃度に基づいて尿素水の噴射量を制御することから、尿素水の噴射制御を行う期間とNH濃度を算出する期間とはほぼ同じになっている。
[下流ストイキ判定部73]
図4に示すように、リーン運転を行っている間にストイキ制御(又はリッチ制御)を行い、排気の酸素濃度が0近傍まで低下すると、NHセンサの検出信号の値は、通常NH出力範囲内から通常NH出力範囲外の低酸素濃度時の固有の値に変化する。また、ストイキ制御(又はリッチ制御)を終了してリーン運転に切り替え、排気の酸素濃度が0近傍から上昇すると、NHセンサの検出信号の値は、通常NH出力範囲外の低酸素濃度時の固有の値から、程なくして通常NH出力範囲内の所定の値に変化する。
下流ストイキ判定部73は、NHセンサ5の検出信号から低酸素濃度時の固有の自発起電力を検出した場合、NHセンサ5が設けられた下流触媒コンバータの下流側の排気の空燃比がストイキよりリーン側からストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定する。より具体的には、下流ストイキ判定部73は、通常NH出力範囲の外側にストイキ判定閾値を設定し、NHセンサの検出信号の値がこのストイキ判定閾値を超えて内側から外側へ変化した場合には、下流触媒コンバータの下流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定し、NHセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値を超えて外側から内側へ変化した場合には、下流触媒コンバータの排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側からストイキよりリーン側になったと判定する。
以下、上流ストイキ判定部71及び下流ストイキ判定部73における空燃比の判定結果、並びにNH濃度算出部72において算出されたNH濃度を利用した、尿素水噴射制御部74、フィルタ再生制御部75、空燃比制御部76、高EGR制御部77、及びSCR触媒劣化判定制御部78における処理の手順について説明する。
[尿素水噴射制御部74]
上述のように、SCR触媒は、基本的にはリーン運転中であって排気の酸素濃度が十分である場合のみNOxを浄化できる。この還元剤の存在下にあるSCR触媒でNOxを浄化できる期間は、NHセンサの検出信号に基づいて排気のNH濃度を算出できる期間とほぼ一致する。そこで尿素水噴射制御部74は、NH濃度算出部72で定めたNH検知期間の間、すなわちNHセンサの検出信号の値が通常NH出力範囲内にあり、NH濃度が比較的正確に算出されたと考えられる期間でのみ、NH濃度算出部72で算出されたNH濃度に基づいて還元剤の噴射量を制御する。
より具体的には、尿素水噴射制御部74は、排気のNH濃度に対して0よりもやや大きな値に目標値を設定し、NH濃度算出部72によって算出されるNH濃度が、上記目標値に一致した状態が維持されるように尿素水の噴射量を制御する。換言すると、尿素水噴射制御部74は、下流触媒コンバータ33から、ごく僅かな量のNHがスリップした状態が維持されるように尿素水の噴射量を制御する。下流触媒コンバータ33のSCR触媒は、その温度に応じて変化する最大NHストレージ容量だけNHを貯蔵する能力があり、また貯蔵するNHの量が多い程NOxの還元性能が高くなる。したがって、尿素水噴射制御部74によって、僅かな量のNHがスリップした状態が維持されるように尿素水噴射制御を行うことにより、NHのスリップ量を最小限に留めつつ、下流触媒コンバータ33のNOx浄化性能を高く維持できる。なお、下流触媒コンバータ33からスリップするNHは、NHセンサ5のさらに下流側にSCR触媒や酸化触媒等を設けておき、これら触媒で適宜処理することによって、システム外にNHが排出するのを防止できる。また、NHセンサの検出信号から算出されたNH濃度に基づいて、このような尿素水噴射制御を実現するための具体的なアルゴリズムについては、例えば本願出願人による国際公開第2008/57628に記載されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
[フィルタ再生制御部75]
CSFには、エンジンから排出されたPMが堆積する。そこでフィルタ再生制御部75では、例えばCSFにおけるPMの堆積量を推定又は直に検出し、この堆積量が所定の閾値を超えた場合にCSFを再生する時期に達したと判断し、堆積したPMを燃焼し除去するフィルタ再生処理を実行する。このフィルタ再生処理は、リッチ制御を行うことにより低酸素濃度雰囲気でCSFの温度をPMの燃焼温度まで昇温する昇温工程と、その後、リーン運転に切り替えてCSFに多くの酸素を供給することによりPMを燃焼させる燃焼工程と、の2つの工程に大きく分けられる。以下、図6を参照して、フィルタ再生処理の昇温工程にNHセンサの出力信号に基づく空燃比判定を適用した例を説明する。なお、PMの堆積量は、例えばエンジンの運転状態に基づいて算出されたPM排出量を積算することによって算出される。この他、PMの堆積量は、CSFの前後の差圧を検出する差圧センサの出力に基づいて推定することもできる。
図6は、フィルタ再生処理の昇温工程の手順を示すフローチャートである。図6に示す処理は、フィルタ再生制御部75により、フィルタの再生時期に達したことに応じて実行される。
S1では、CSFを昇温するため、混合気の空燃比をストイキよりリッチ側に制御する空燃比リッチ制御を実行し、続くS2では、S1の空燃比リッチ制御を開始してから経過した時間に相当するリッチ判定時間を積算する。S1の空燃比リッチ制御では、混合気の空燃比がストイキよりリッチ側に設定された所定の目標値になるように、吸気量、燃料噴射量及びEGR量等のエンジンの運転パラメータの目標値を定め、これら運転パラメータの目標値に基づいて吸気制御弁、燃料噴射弁及びEGR制御弁等を駆動制御する。ここで、各運転パラメータの目標値は、予め定められたマップを検索することで決定されたマップ値、又はこれらマップ値を後述のS4において補正した値が用いられる。
S3では、NHセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値以上であるか否かを判別する。S3の判別がNOの場合には、空燃比のリッチ化が未だ十分でないと判断し、S1で定めた運転パラメータの目標値を、空燃比がよりリッチ化されるように補正し(S4)、S1に移る。S3の判別がYESの場合には、十分にリッチ化されたと判断し、S5に移る。以上のように、S1〜S4では、NHセンサの検出信号に基づいて実際の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されるまで、混合気の空燃比をリッチ側へ補正する。
S5では、上記S2で積算を開始したリッチ判定時間が、予め定められた規定時間を経過したか否かを判別する。この規定時間は、CSFをPMの燃焼温度まで昇温するのに要する時間に相当する。S5の判別がNOの場合には、再び空燃比リッチ制御を実行し(S6)、リッチ判定時間を積算する(S7)。S5の判別がYESの場合には、CSFがPMの燃焼温度まで昇温したと判断し、この処理を終了する。
以上のように、CSFの昇温工程においてNHセンサを利用して空燃比リッチ制御を実行することにより、例えばOセンサが無い場合であっても精度良く空燃比を制御でき、ひいてはCSFの昇温にかかる時間を短くできる。
[空燃比制御部76]
例えばエンジンが低、中負荷にある場合、リーン運転下で上記尿素水噴射制御を行うことにより、排気中のCO及びHCはDOC及びCSFにおける酸化反応によって浄化し、NOxはNHの存在下のSCR触媒における還元反応によって浄化できる。しかし高負荷になりエンジンから排出されるNOx量が増加すると、SCR触媒のみでは十分にNOxを浄化できない場合がある。そこで、空燃比制御部76は、例えばエンジンが低、中負荷にある場合は、混合気の空燃比がストイキよりリーン側になるようにリーン運転を行い、高負荷運転時などエンジンからのNOx排出量が増加する場合には、DOC及びCSFにおける三元浄化反応を利用してCO、HC及びNOxを浄化すべく、混合気の空燃比をストイキ又はその近傍に制御する。しかし、DOC及びCSFにおいて効率的に三元浄化反応を進行させるためには、排気管に設けられたセンサの出力に基づいて高い精度で空燃比をストイキ又はその近傍に制御する必要がある。以下、図7を参照して、このようなストイキ空燃比制御にNHセンサの出力信号に基づく空燃比判定を適用した例を説明する。
図7は、ストイキ空燃比制御の手順を示すフローチャートである。図7に示す処理は、リーン運転を行っている間に所定のタイミングで空燃比制御部76により実行される。
S11では、エンジンからのNOx排出量に相関のあるパラメータの値が所定の閾値より大きいか否かを判別する。エンジンからのNOx排出量に相関のあるパラメータの値とは、NOx排出量の推定値、エンジンの要求トルク値、又は図示平均有効圧値などが挙げられる。NOx排出量の推定値は、燃料噴射量や回転数などエンジンの運転状態を示す複数のパラメータを引数として、既知の演算式や制御マップから算出される。エンジンの要求トルク値は、例えば図示しないアクセル開度センサの出力に基づいて算出される。また、図示平均有効圧は、例えば図示しない筒内圧センサの出力に基づいて算出される。S11の判別がNOの場合、リーン運転を継続すべくこの処理を終了する。
S11の判別がYESの場合、S12に移り、DOC及びCSFにおいて三元浄化反応によって排気を浄化すべく空燃比ストイキ制御を実行する。この空燃比ストイキ制御では、混合気の空燃比がストイキになるように、吸気量、燃料噴射量及びEGR量等のエンジンの運転パラメータのそれぞれの目標値を定め、これら運転パラメータの目標値に基づいて吸気制御弁、燃料噴射弁、及びEGR制御弁等を駆動制御する。ここで、運転パラメータの目標値は、予め定められたマップを検索することで決定されたマップ値、又はこれらマップ値を後述のS14又はS15において補正した値が用いられる。
S13では、NHセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値以上であるか否かを判別する。S13の判別がNOの場合には、運転パラメータの目標値を、空燃比がよりリッチ化される様に補正し(S14)、S11に移る。S13の判別がYESの場合には、運転パラメータの目標値を、空燃比がよりリーン化されるように補正し(S15)、S11に移る。
以上のように、NHセンサの検出信号に応じて空燃比をリッチ化したりリーン化したりすることにより、NHセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値以上の状態(ストイキよりリッチ側)と、NHセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値を下回った状態(ストイキよりリーン側)とが交互に実現され、結果として混合気の空燃比がストイキに近似的に制御される。
[高EGR制御部77]
ディーゼルエンジンの燃焼技術の1つとして、通常燃焼時よりもEGRガスが多くなるようにEGR制御弁を制御することによりNOx排出量やPM排出量を低減する技術が知られている。EGRガスの量を多くすると空燃比はリッチ方向へ変化する傾向があるため、このような高EGR制御を行う場合は、空燃比がリッチ方向へ変化しすぎないようにEGRガスの量を制御する必要がある。以下、図8を参照して、このような高EGR制御にNHセンサの検出信号に基づく空燃比判定を適用した例を説明する。
図8は、高EGR制御の手順を示すフローチャートである。図8に示す処理は、高EGR制御部77により、所定のタイミングで実行される。
S21では、所定の高EGR制御実行条件を満たしているか否かを判別する。S21の判別がYESの場合にはS22に移り、NOの場合にはこの処理を直ちに終了する。S22では、高EGR制御を実行し、S23に移る。S22の高EGR制御では、EGR量の目標値を定め、この目標値に基づいてEGR制御弁を駆動制御する。ここで、EGR量の目標値は、高EGR制御用に予め定められたマップを検索することで決定されたマップ値、又はこのマップ値を後述のS3において補正した値が用いられる。なお、このマップによれば、EGR量の目標値は、混合気の空燃比が弱リーン(ストイキよりややリーン側)になるように定められる。
S23では、NHセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値以上であるか否かを判別する。S23の判別がNOであり、排気の空燃比がストイキよりリーン側である場合にはS21に移る。S23の判別がYESであり、排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側である場合には、空燃比がリッチ方向に変化しすぎていると判断し、EGR量の目標値を減量側に補正し(S24)、S21に移る。
以上のように、NHセンサの検出信号に応じてEGR量を減量側に補正することにより、空燃比を弱リーンに維持しながら高EGR制御を実行できる。
[SCR触媒劣化判定制御部78]
上述のように、SCR触媒は、基本的には酸素を多く含んだ排気が流れるリーン運転でのみNOxを浄化できる。このため、例えばリーン運転からストイキ又はリッチ運転に切り替えた際、過渡的に上記式(2)の反応を進行させるため、下流触媒コンバータ33には、排気中の酸素を吸蔵したり放出したりする酸素吸蔵放出材(OSC材)が設けられる場合がある。OSC材としては、例えば酸化セリウム(CeO)が用いられる。このようにSCR触媒にOSC材を含めると、SCR触媒にかかる熱負荷とOSC材にかかる熱負荷が等しくなることから、OSC材の劣化度合いとSCR触媒の劣化度合いとを関連付けることができる。
SCR触媒劣化判定制御部78は、下流ストイキ判定部73による空燃比の判定結果を利用してOSC材の酸素吸蔵放出機能の低下を検出することにより、間接的にSCR触媒の浄化性能の低下を判定し、この判定結果に応じて触媒劣化警告灯45を点灯する。以下、図9を参照して、SCR触媒劣化判定制御部78における処理の手順を説明する。
図9は、SCR触媒劣化判定制御の手順を示すフローチャートである。図9に示す処理は、リーン運転を行っている間に所定のタイミングでSCR触媒劣化判定制御部78によって実行される。
S31では、一定期間にわたり排気の酸素濃度を低下させるため、混合気の空燃比をストイキよりリッチ側に制御する空燃比リッチ制御を実行する。この空燃比リッチ制御では、混合気の空燃比がストイキよりリッチ側に設定された所定の目標値になるように、吸気量、燃料噴射量及びEGR量等のエンジンの運転パラメータの目標値を定め、これら運転パラメータの目標値に基づいて吸気制御弁、燃料噴射弁及びEGR制御弁等を駆動制御する。ここで、各運転パラメータの目標値は、例えば予め定められたマップを検索することで決定されたマップ値が用いられる。
S32では、上流ストイキ判定部により下流触媒コンバータの上流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されたか否か、すなわち上流ストイキ判定部によりOセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値以上になったと判定されたか否かを判別する。S32の判別がNOの場合にはS31に移り、空燃比リッチ制御を継続して実行する。S32の判別がYESの場合には、S33に移る。S33では、下流触媒コンバータの上流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になってから経過した時間に相当するリッチ判定時間を積算し、S34に移る。S34では、下流ストイキ判定部により下流触媒コンバータの下流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されたか否か、すなわち下流ストイキ判定部によりNHセンサの検出信号の値がストイキ判定閾値以上になったと判定されたか否かを判別する。S34の判別がNOの場合には、S31に移り、空燃比リッチ制御を継続して実行する。S34の判別がYESの場合には、下流触媒コンバータの上流側に引き続き下流側の排気の空燃比もストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判断し、S35に移る。
S35では、S32で積算したリッチ判定時間が、SCR触媒の劣化度合いを判定するために設定された劣化判定閾値以上であるか否かを判別する。このリッチ判定時間は、S31において空燃比リッチ制御を開始した後、Oセンサの検出信号に基づいて下流触媒コンバータの上流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されてから、NHセンサの検出信号に基づいて下流触媒コンバータの下流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されるまでにかかった時間に相当する。下流触媒コンバータに設けられたOSC材の劣化が進み、その酸素吸蔵放出機能が低下するほどリッチ判定時間は短くなることから、このリッチ判定時間はSCR触媒の劣化度合いを判定するための目安となる。S35の判別がYESの場合には、SCR触媒は正常であると判定し(S36)、この処理を終了する。S35の判別がNOの場合には、SCR触媒は劣化した状態であると判定し、触媒劣化警告灯を点灯し(S37)、この処理を終了する。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、上記式(7)に示すように、NHセンサの電極間に発生する起電力はセンサ温度Tに比例している。このため、通常NH出力範囲や、酸素濃度が0又はその近傍まで低下したときに発生する起電力の大きさもセンサ温度Tによって変化する。したがって、通常NH出力範囲や、NHセンサの検出信号に基づいて排気の空燃比を判定するためのストイキ判定閾値については、センサ温度に応じて変化させてもよい。なお、センサ温度は、センサ素子のヒータ電流や排気温度等に基づいて推定することができる。
なお、図9に示す例では、Oセンサの検出信号に基づいて下流触媒コンバータの上流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されたことに応じて、リッチ判定時間の積算を開始したが、リッチ判定時間の積算の始期はこれに限らない。空燃比リッチ制御を開始してから下流触媒コンバータの上流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になるまでにかかる時間は、予め行われた実験等に基づいて推定することもできる。したがって、Oセンサを備えないシステムでは、下流触媒コンバータの上流側の排気の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になるタイミングを推定し、これに応じてリッチ判定時間の積算を開始しても、上記図8に示す処理とほぼ同じ効果を奏する。
1…エンジン(内燃機関)
11…排気管(排気通路)
13…EGR装置(EGR装置)
2…排気浄化システム
33…下流触媒コンバータ(SCR触媒)
4…尿素水供給装置(還元剤供給装置)
31…上流触媒コンバータ(上流触媒)
32…排気浄化フィルタ(上流触媒)
5…NHセンサ(アンモニアセンサ)
53…基準電極
52…検知電極
51…固体電解質層
72…NH濃度算出部(アンモニア濃度算出手段)
73…下流ストイキ判定部(ストイキ判定手段)
74…尿素水噴射制御部(還元剤供給量制御手段)
76…空燃比制御部(空燃比制御手段)
77…高EGR制御部(EGR制御手段)
78…SCR触媒劣化判定制御部(触媒劣化判定手段)

Claims (8)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられ、アンモニアの存在下で排気中の窒素酸化物を選択的に還元する選択還元触媒と、
    前記選択還元触媒の上流側にアンモニア又はその前駆体を還元剤として供給する還元剤供給装置と、
    酸素に対する活性を有する基準電極と、酸素及びアンモニアに対する活性を有する検知電極と、これら検知電極及び基準電極が設けられた酸素イオン導電性の固体電解質とを備えたアンモニアセンサと、
    前記アンモニアセンサの検出信号に応じて還元剤の供給量を制御する還元剤供給量制御手段と、を備えた内燃機関の排気浄化システムであって、
    前記基準電極と前記検知電極は、前記排気通路内のうち前記選択還元触媒の下流側に同じ排気に晒されるように設けられ、
    前記アンモニアセンサの検出信号の値が所定のストイキ判定閾値を超えて変化した場合には、前記選択還元触媒の下流側の排気の空燃比がストイキよりリーン側からストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定するストイキ判定手段をさらに備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 前記還元剤供給量制御手段は、前記アンモニアセンサの検出信号の値が、前記ストイキ判定閾値よりも内側に設定された通常出力範囲内にあるときに、当該アンモニアセンサの検出信号に基づいて還元剤の供給量を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  3. 前記アンモニアセンサの検出信号の値が、前記ストイキ判定閾値よりも内側に設定された通常出力範囲内にあるときに、当該アンモニアセンサの検出信号に基づいて前記選択還元触媒の下流側の排気のアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出手段をさらに備え、
    前記還元剤供給量制御手段は、前記算出されたアンモニア濃度に基づいて還元剤の供給量を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  4. 前記排気通路のうち前記選択還元触媒の上流側に設けられ、三元浄化機能を有する上流触媒と、
    前記機関のNOx排出量に相関のあるパラメータの値が所定の閾値以下である場合には、混合気の空燃比をストイキよりリーン側に制御し、前記パラメータの値が前記閾値より大きい場合には、前記ストイキ判定手段による判定に基づいて混合気の空燃比をストイキに制御する空燃比制御手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
  5. 前記排気通路を流通する排気の一部を吸気通路に還流するEGR装置と、
    前記EGR装置による排気還流量を制御するEGR制御手段と、をさらに備え、
    前記EGR制御手段は、前記ストイキ判定手段により空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されたことに応じて、排気還流量を減量側に補正することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
  6. 前記選択還元触媒には、酸素吸蔵放出材が含まれ、
    混合気の空燃比をストイキ又はストイキよりリッチ側にする制御を開始した後の所定の時期から、前記ストイキ判定手段により前記選択還元触媒の下流側の空燃比がストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定されるまでにかかった時間を測定し、当該測定時間に基づいて前記選択還元触媒の劣化を判定する触媒劣化判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の内燃機関の排気浄化システム。
  7. 内燃機関の排気通路に設けられ、アンモニアの存在下で排気中の窒素酸化物を選択的に還元する選択還元触媒と、
    前記選択還元触媒の上流側にアンモニア又はその前駆体を還元剤として供給する還元剤供給装置と、
    前記選択還元触媒の下流側に設けられ、排気中の少なくともアンモニア及び酸素の濃度に応じた起電力を検出信号として電極間に発生するアンモニアセンサと、
    前記アンモニアセンサの検出信号に基づいて還元剤の供給量を制御する還元剤供給量制御手段と、を備えた内燃機関の排気浄化システムであって、
    前記アンモニアセンサの電極間には、その周囲の排気の酸素濃度が0又はほぼ0になると、アンモニア濃度によらず所定のストイキ判定閾値を超える起電力が発生し、
    前記アンモニアセンサの検出信号の値が前記ストイキ判定閾値を超えて変化した場合には、前記選択還元触媒の下流側の排気の空燃比がストイキよりリーン側からストイキ又はストイキよりリッチ側になったと判定するストイキ判定手段をさらに備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  8. 前記アンモニアセンサの検出信号の値が、前記ストイキ判定閾値よりも内側に設定された通常出力範囲内にあるときに、当該アンモニアセンサの検出信号に基づいて前記選択還元触媒の下流側の排気のアンモニア濃度を算出するアンモニア濃度算出手段をさらに備え、
    前記還元剤供給量制御手段は、前記算出されたアンモニア濃度に基づいて還元剤の供給量を制御することを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の排気浄化システム。
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