以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる接合システム1の構成の概略を示す平面図である。図2は、接合システム1の内部構成の概略を示す側面図である。
接合システム1では、図3に示すように例えば接着剤Gを介して、被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとを接合する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を表面としての「接合面WJ」といい、当該接合面WJと反対側の面を裏面としての「非接合面WN」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を表面としての「接合面SJ」といい、接合面SJと反対側の面を裏面としての「非接合面SN」という。そして、接合システム1では、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合して、重合基板としての重合ウェハTを形成する。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面WJに複数の電子回路が形成されており、非接合面WNが研磨処理される。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
接合システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCW、CS、CTが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた接合処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば4つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、X方向(図1中の上下方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、接合システム1の外部に対してカセットCW、CS、CTを搬入出する際に、カセットCW、CS、CTを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、カセットの1つを不具合ウェハの回収用として用いてもよい。すなわち、種々の要因で被処理ウェハWと支持ウェハSとの接合に不具合が生じたウェハを、他の正常な重合ウェハTと分離することができるカセットである。本実施の形態においては、複数のカセットCTのうち、1つのカセットCTを不具合ウェハの回収用として用い、他方のカセットCTを正常な重合ウェハTの収容用として用いている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10に隣接してウェハ搬送部20が設けられている。ウェハ搬送部20には、X方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板11上のカセットCW、CS、CTと、後述する接合処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50、51との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
接合処理ステーション3には、各種処理装置を備えた複数例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられている。例えば接合処理ステーション3の正面側(図1中のX方向負方向側)には、第1の処理ブロックG1が設けられ、接合処理ステーション3の背面側(図1中のX方向正方向側)には、第2の処理ブロックG2が設けられている。また、接合処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1中のY方向負方向側)には、第3の処理ブロックG3が設けられている。
例えば第1の処理ブロックG1には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合装置30〜33が、搬入出ステーション2側からこの順でY方向に並べて配置されている。
例えば第2の処理ブロックG2には、図2に示すように被処理ウェハWに接着剤Gを塗布する塗布装置40と、接着剤Gが塗布された被処理ウェハWを所定の温度に加熱する熱処理装置41〜43と、同様の熱処理装置44〜46とが、搬入出ステーション2側に向かう方向(図1中のY方向負方向)にこの順で並べて配置されている。熱処理装置41〜43と熱処理装置44〜46は、それぞれ下からこの順で3段に設けられている。なお、熱処理装置41〜46の装置数や鉛直方向及び水平方向の配置は任意に設定することができる。
例えば第3の処理ブロックG3には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのトランジション装置50、51が下からこの順で2段に設けられている。
図1に示すように第1の処理ブロックG1〜第3の処理ブロックG3に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域60が形成されている。ウェハ搬送領域60には、例えばウェハ搬送装置61が配置されている。なお、ウェハ搬送領域60内の圧力は大気圧以上であり、当該ウェハ搬送領域60において、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいわゆる大気系の搬送が行われる。
ウェハ搬送装置61は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置61は、ウェハ搬送領域60内を移動し、周囲の第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2及び第3の処理ブロックG3内の所定の装置に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
次に、上述した接合装置30〜33の構成について説明する。接合装置30は、図4に示すように内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口101が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器100の内部は、内壁102によって、前処理領域D1と接合領域D2に区画されている。上述した搬入出口101は、前処理領域D1における処理容器100の側面に形成されている。また、内壁102にも、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口103が形成されている。
前処理領域D1には、接合装置30の外部との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すための受渡部110が設けられている。受渡部110は、搬入出口101に隣接して配置されている。また受渡部110は、後述するように鉛直方向に複数、例えば2段配置され、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。例えば一の受渡部110で接合前の被処理ウェハW又は支持ウェハSを受け渡し、他の受渡部110で接合後の重合ウェハTを受け渡してもよい。あるいは、一の受渡部110で接合前の被処理ウェハWを受け渡し、他の受渡部110で接合前の支持ウェハSを受け渡してもよい。
前処理領域D1のY方向負方向側、すなわち搬入出口103側において、受渡部110の鉛直上方には、例えば支持ウェハSの表裏面を反転させる反転部111が設けられている。なお、反転部111は、後述するように支持ウェハSの水平方向の向きを調節することもでき、また被処理ウェハWの水平方向の水平方向の向きを調節することもできる。
接合領域D2のY方向正方向側には、受渡部110、反転部111及び後述する接合部113に対して、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送する搬送部112が設けられている。搬送部112は、搬入出口103に取り付けられている。
接合領域D2のY方向負方向側には、接着剤Gを介して被処理ウェハWと支持ウェハSとを押圧して接合する接合部113が設けられている。
次に、上述した受渡部110の構成について説明する。受渡部110は、図5に示すように受渡アーム120とウェハ支持ピン121とを有している。受渡アーム120は、接合装置30の外部、すなわちウェハ搬送装置61とウェハ支持ピン121との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡すことができる。ウェハ支持ピン121は、複数、例えば3箇所に設けられ、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持することができる。
受渡アーム120は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持するアーム部130と、例えばモータなどを備えたアーム駆動部131とを有している。アーム部130は、略円板形状を有している。アーム駆動部131は、アーム部130をX方向(図5中の上下方向)に移動させることができる。またアーム駆動部131は、Y方向(図5中の左右方向)に延伸するレール132に取り付けられ、当該レール132上を移動可能に構成されている。かかる構成により、受渡アーム120は、水平方向(X方向及びY方向)に移動可能となっており、ウェハ搬送装置61及びウェハ支持ピン121との間で、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを円滑に受け渡すことができる。
アーム部130上には、図6及び図7に示すように被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを支持するウェハ支持ピン140が複数、例えば4箇所に設けられている。またアーム部130上には、ウェハ支持ピン140に支持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの位置決めを行うガイド141が設けられている。ガイド141は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの側面をガイドするように複数、例えば4箇所に設けられている。
アーム部130の外周には、図5及び図6に示すように切り欠き142が例えば4箇所に形成されている。この切り欠き142により、ウェハ搬送装置61の搬送アームから受渡アーム120に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを受け渡す際に、当該ウェハ搬送装置61の搬送アームがアーム部130と干渉するのを防止できる。
アーム部130には、X方向に沿った2本のスリット143が形成されている。スリット143は、アーム部130のウェハ支持ピン121側の端面からアーム部130の中央部付近まで形成されている。このスリット143により、アーム部130がウェハ支持ピン121と干渉するのを防止できる。
次に、上述した反転部111の構成について説明する。反転部111は、図8〜図10に示すように支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する保持アーム150を有している。保持アーム150は、水平方向(図8及び図9中のX方向)に延伸している。また保持アーム150には、支持ウェハS、被処理ウェハWを保持する他の保持部材としての保持部材151が例えば4箇所に設けられている。保持部材151は、図11に示すように保持アーム150に対して水平方向に移動可能に構成されている。また保持部材151の側面には、支持ウェハS、被処理ウェハWの外周部を保持するための切り欠き152が形成されている。そして、これら保持部材151は、支持ウェハS、被処理ウェハWを挟み込んで保持することができる。
保持アーム150は、図8〜図10に示すように例えばモータなどを備えた第1の駆動部153に支持されている。この第1の駆動部153によって、保持アーム150は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向(図8及び図9中のX方向、図8及び図10のY方向)に移動できる。なお、第1の駆動部153は、保持アーム150を鉛直軸周りに回動させて、当該保持アーム150を水平方向に移動させてもよい。第1の駆動部153の下方には、例えばモータなどを備えた第2の駆動部154が設けられている。この第2の駆動部154によって、第1の駆動部153は鉛直方向に延伸する支持柱155に沿って鉛直方向に移動できる。このように第1の駆動部153と第2の駆動部154によって、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWは、水平軸周りに回動できると共に鉛直方向及び水平方向に移動できる。なお、これら第1の駆動部153と第2の駆動部154が本発明の移動機構を構成している。
支持柱155には、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節する位置調節機構160が支持板161を介して支持されている。位置調節機構160は、保持アーム150に隣接して設けられている。
位置調節機構160は、基台162と、支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出する検出部163とを有している。そして、位置調節機構160では、保持部材151に保持された支持ウェハS、被処理ウェハWを水平方向に移動させながら、検出部163で支持ウェハS、被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して支持ウェハS、被処理ウェハWの水平方向の向きを調節している。
なお、図12に示すように、以上のように構成された受渡部110は鉛直方向に2段に配置され、またこれら受渡部110の鉛直上方に反転部111が配置される。すなわち、受渡部110の受渡アーム120は、反転部111の保持アーム150と位置調節機構160の下方において水平方向に移動する。また、受渡部110のウェハ支持ピン121は、反転部111の保持アーム150の下方に配置されている。
次に、上述した搬送部112の構成について説明する。搬送部112は、図13に示すように複数、例えば2本の搬送アーム170、171を有している。第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、鉛直方向に下からこの順で2段に配置されている。なお、第1の搬送アーム170と第2の搬送アーム171は、後述するように異なる形状を有している。
搬送アーム170、171の基端部には、例えばモータなどを備えたアーム駆動部172が設けられている。このアーム駆動部172によって、各搬送アーム170、171は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム170、171とアーム駆動部172は、基台173に支持されている。
搬送部112は、図4及び図14に示すように処理容器100の内壁102に形成された搬入出口103に設けられている。そして、搬送部112は、例えばモータなどを備えた駆動部(図示せず)によって搬入出口103に沿って鉛直方向に移動できる。
第1の搬送アーム170は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面(被処理ウェハW、支持ウェハSにおいては非接合面WN、SN)を保持して搬送する。第1の搬送アーム170は、図15に示すように先端が2本の先端部180a、180aに分岐したアーム部180と、このアーム部180と一体に形成され、且つアーム部180を支持する支持部181とを有している。
アーム部180上には、図15及び図16に示すように第1の保持部材としての樹脂製のOリング182が複数、例えば4箇所に設けられている。このOリング182が被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面と接触し、当該Oリング182と被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面との間の摩擦力によって、Oリング182は被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面を保持する。そして、第1の搬送アーム170は、Oリング182上に被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを水平に保持することができる。
またアーム部180上には、Oリング182に保持された被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外側に設けられたガイド部材183、184が設けられている。第1のガイド部材183は、アーム部180の先端部180aの先端に設けられている。第2のガイド部材184は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの外周に沿った円弧状に形成され、支持部181側に設けられている。これらガイド部材183、184によって、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム170から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。なお、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTがOリング182に適切な位置で保持されている場合、当該被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTはガイド部材183、184と接触しない。
第2の搬送アーム171は、例えば支持ウェハSの表面、すなわち接合面SJの外周部を保持して搬送する。すなわち、第2の搬送アーム171は、反転部111で表裏面が反転された支持ウェハSの接合面SJの外周部を保持して搬送する。第2の搬送アーム171は、図17に示すように先端が2本の先端部190a、190aに分岐したアーム部190と、このアーム部190と一体に形成され、且つアーム部190を支持する支持部191とを有している。
アーム部190上には、図17及び図18に示すように第2の保持部材192が複数、例えば4箇所に設けられている。第2の保持部材192は、支持ウェハSの接合面SJの外周部を載置する載置部193と、当該載置部193から上方に延伸し、内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているテーパ部194とを有している。載置部193は、支持ウェハSの周縁から例えば1mm以内の外周部を保持する。また、テーパ部194の内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているため、例えば第2の保持部材192に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、支持ウェハSはテーパ部194に円滑にガイドされて位置決めされ、載置部193に保持される。そして、第2の搬送アーム171は、第2の保持部材192上に支持ウェハSを水平に保持することができる。
なお、図19に示すように、後述する接合部113の第2の保持部201には切り欠き201aが例えば4箇所に形成されている。この切り欠き201aにより、第2の搬送アーム171から第2の保持部201に支持ウェハSを受け渡す際に、第2の搬送アーム171の第2の保持部材192が第2の保持部201に干渉するのを防止することができる。
次に、上述した接合部113の構成について説明する。接合部113は、図20に示すように被処理ウェハWを上面で載置して保持する第1の保持部200と、支持ウェハSを下面で吸着保持する第2の保持部201とを有している。第1の保持部200は、第2の保持部201の下方に設けられ、第2の保持部201と対向するように配置されている。すなわち、第1の保持部200に保持された被処理ウェハWと第2の保持部201に保持された支持ウェハSは対向して配置されている。
第1の保持部200の内部には、被処理ウェハWを吸着保持するための吸引管210が設けられている。吸引管210は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。なお、第1の保持部200には、後述する加圧機構260により荷重がかけられても変形しない強度を有する材料、例えば炭化ケイ素セラミックや窒化アルミセラミックなどのセラミックが用いられる。
また、第1の保持部200の内部には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構211が設けられている。加熱機構211には、例えばヒータが用いられる。
第1の保持部200の下方には、第1の保持部200及び被処理ウェハWを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構220が設けられている。移動機構220は、第1の保持部200を例えば±1μmの精度で3次元移動させることができる。移動機構220は、第1の保持部200を鉛直方向に移動させる鉛直移動部221と、第1の保持部200を水平方向に移動させる水平移動部222とを有している。鉛直移動部221と水平移動部222は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とをそれぞれ有している。
水平移動部222上には、鉛直方向に伸縮自在の支持部材223が設けられている。支持部材223は、第1の保持部200の外側に例えば3箇所に設けられている。そして、支持部材223は、図21に示すように第2の保持部201の外周下面から下方に突出して設けられた突出部230を支持することができる。
以上の移動機構220では、第1の保持部200上の被処理ウェハWの水平方向の位置合わせを行うことができると共に、図21に示すように第1の保持部200を上昇させて、被処理ウェハWと支持ウェハSを接合するための接合空間Rを形成することができる。この接合空間Rは、第1の保持部200、第2の保持部201及び突出部230に囲まれた空間である。また、接合空間Rを形成する際、支持部材223の高さを調整することにより、接合空間Rにおける被処理ウェハWと支持ウェハS間の鉛直方向の距離を調整することができる。
なお、第1の保持部200の下方には、被処理ウェハW又は重合ウェハTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第1の保持部200に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第1の保持部200の上面から突出可能になっている。
第2の保持部201には、弾性体である例えばアルミニウムが用いられる。そして、第2の保持部201は、後述するように第2の保持部201の全面に所定の圧力、例えば0.7気圧(=0.07MPa)がかかると、その一箇所、例えば中心部が撓むように構成されている。
第2の保持部201の外周下面には、図20に示すように当該外周下面から下方に突出する上述の突出部230が形成されている。突出部230は、第2の保持部201の外周に沿って形成されている。なお、突出部230は、第2の保持部201と一体に形成されていてもよい。
突出部230の下面には、接合空間Rの気密性を保持するためのシール材231が設けられている。シール材231は、突出部230の下面に形成された溝に環状に設けられ、例えばOリングが用いられる。また、シール材231は弾性を有している。なお、シール材231は、シール機能を有する部品であればよく、本実施の形態に限定されるものではない。
第2の保持部201の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管240が設けられている。吸引管240は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
また、第2の保持部201の内部には、接合空間Rの雰囲気を吸気するための吸気管241が設けられている。吸気管241の一端は、第2の保持部201の下面における支持ウェハSが保持されない場所において開口している。また、吸気管241の他端は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
さらに、第2の保持部201の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構242を有している。加熱機構242には、例えばヒータが用いられる。
第2の保持部201の上面には、当該第2の保持部201を支持する支持部材250と第2の保持部201を鉛直下方に押圧する加圧機構260が設けられている。加圧機構260は、被処理ウェハWと支持ウェハSを覆うように設けられた圧力容器261と、圧力容器261の内部に流体、例えば圧縮空気を供給する流体供給管262と、を有している。また、支持部材250は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、圧力容器261の外側に例えば3箇所に設けられている。
圧力容器261は、例えば鉛直方向に伸縮自在の例えばステンレス製のベローズにより構成されている。圧力容器261は、その下面が第2の保持部201の上面に当接すると共に、上面が第2の保持部201の上方に設けられた支持板263の下面に当接している。流体供給管262は、その一端が圧力容器261に接続され、他端が流体供給源(図示せず)に接続されている。そして、圧力容器261に流体供給管262から流体を供給することで、圧力容器261が伸長する。この際、圧力容器261の上面と支持板263の下面とが当接しているので、圧力容器261は下方向にのみ伸長し、圧力容器261の下面に設けられた第2の保持部201を下方に押圧することができる。またこの際、圧力容器261の内部は流体により加圧されているので、圧力容器261は第2の保持部201を面内均一に押圧することができる。第2の保持部201を押圧する際の荷重の調節は、圧力容器261に供給する圧縮空気の圧力を調整することで行われる。なお、支持板263は、加圧機構260により第2の保持部201にかかる荷重の反力を受けても変形しない強度を有する部材により構成されているのが好ましい。なお、本実施の形態の支持板263を省略し、圧力容器261の上面を処理容器100の天井面に当接させてもよい。
なお、接合装置31〜33の構成は、上述した接合装置30の構成と同様であるので説明を省略する。
次に、上述した塗布装置40の構成について説明する。塗布装置40は、図22に示すように内部を密閉可能な処理容器270を有している。処理容器270のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器270内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるスピンチャック280が設けられている。スピンチャック280は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば被処理ウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、被処理ウェハWをスピンチャック280上に吸着保持できる。
スピンチャック280の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部281が設けられている。スピンチャック280は、チャック駆動部281により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部281には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック280は昇降自在になっている。
スピンチャック280の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ282が設けられている。カップ282の下面には、回収した液体を排出する排出管283と、カップ282内の雰囲気を真空引きして排気する排気管284が接続されている。
図23に示すようにカップ282のX方向負方向(図23中の下方向)側には、Y方向(図23中の左右方向)に沿って延伸するレール290が形成されている。レール290は、例えばカップ282のY方向負方向(図23中の左方向)側の外方からY方向正方向(図23中の右方向)側の外方まで形成されている。レール290には、アーム291が取り付けられている。
アーム291には、図22及び図23に示すように被処理ウェハWに液体状の接着剤Gを供給する接着剤ノズル293が支持されている。アーム291は、図7に示すノズル駆動部294により、レール290上を移動自在である。これにより、接着剤ノズル293は、カップ282のY方向正方向側の外方に設置された待機部295からカップ282内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム291は、ノズル駆動部294によって昇降自在であり、接着剤ノズル293の高さを調節できる。
接着剤ノズル293には、図22に示すように当該接着剤ノズル293に接着剤Gを供給する供給管296が接続されている。供給管296は、内部に接着剤Gを貯留する接着剤供給源297に連通している。また、供給管296には、接着剤Gの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群298が設けられている。
なお、スピンチャック280の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面WNに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面WNと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
次に、上述した熱処理装置41〜46の構成について説明する。熱処理装置41は、図24に示すように内部を閉鎖可能な処理容器300を有している。処理容器300のウェハ搬送領域60側の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器300の天井面には、当該処理容器300の内部に例えば窒素ガスなどの不活性ガスを供給するガス供給口301が形成されている。ガス供給口301には、ガス供給源302に連通するガス供給管303が接続されている。ガス供給管303には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群304が設けられている。
処理容器300の底面には、当該処理容器300の内部の雰囲気を吸引する吸気口305が形成されている。吸気口305には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置306に連通する吸気管307が接続されている。
処理容器300の内部には、被処理ウェハWを加熱処理する加熱部310と、被処理ウェハWを温度調節する温度調節部311が設けられている。加熱部310と温度調節部311はY方向に並べて配置されている。
加熱部310は、熱板320を収容して熱板320の外周部を保持する環状の保持部材321と、その保持部材321の外周を囲む略筒状のサポートリング322を備えている。熱板320は、厚みのある略円盤形状を有し、被処理ウェハWを載置して加熱することができる。また、熱板320には、例えばヒータ323が内蔵されている。熱板320の加熱温度は例えば制御部360により制御され、熱板320上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に加熱される。
熱板320の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン330が例えば3本設けられている。昇降ピン330は、昇降駆動部331により上下動できる。熱板320の中央部付近には、当該熱板320を厚み方向に貫通する貫通孔332が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン330は貫通孔332を挿通し、熱板320の上面から突出可能になっている。
温度調節部311は、温度調節板340を有している。温度調節板340は、図25に示すように略方形の平板形状を有し、熱板320側の端面が円弧状に湾曲している。温度調節板340には、Y方向に沿った2本のスリット341が形成されている。スリット341は、温度調節板340の熱板320側の端面から温度調節板340の中央部付近まで形成されている。このスリット341により、温度調節板340が、加熱部310の昇降ピン330及び後述する温度調節部311の昇降ピン350と干渉するのを防止できる。また、温度調節板340には、例えばペルチェ素子などの温度調節部材(図示せず)が内蔵されている。温度調節板340の冷却温度は例えば制御部360により制御され、温度調節板340上に載置された被処理ウェハWが所定の温度に冷却される。
温度調節板340は、図24に示すように支持アーム342に支持されている。支持アーム342には、駆動部343が取り付けられている。駆動部343は、Y方向に延伸するレール344に取り付けられている。レール344は、温度調節部311から加熱部310まで延伸している。この駆動部343により、温度調節板340は、レール344に沿って加熱部310と温度調節部311との間を移動可能になっている。
温度調節板340の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン350が例えば3本設けられている。昇降ピン350は、昇降駆動部351により上下動できる。そして、昇降ピン350はスリット341を挿通し、温度調節板340の上面から突出可能になっている。
なお、熱処理装置42〜46の構成は、上述した熱処理装置41の構成と同様であるので説明を省略する。
また、接合システム1において被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理を行う際、上述した熱処理装置41〜46内の圧力は、それぞれウェハ搬送領域60に対して陰圧となっている。このため、各熱処理装置41〜46の処理容器300の開閉シャッタを開けると、図26の矢印に示すように、ウェハ搬送領域60から各熱処理装置41〜46に向かう気流が生じる。
以上の接合システム1には、図1に示すように制御部360が設けられている。制御部360は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述の接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部360にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理方法について説明する。図27は、かかる接合処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数枚の被処理ウェハWを収容したカセットCW、複数枚の支持ウェハSを収容したカセットCS、及び空のカセットCTが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。その後、ウェハ搬送装置22によりカセットCW内の被処理ウェハWが取り出され、接合処理ステーション3の第3の処理ブロックG3のトランジション装置50に搬送される。このとき、被処理ウェハWは、その非接合面WNが下方を向いた状態で搬送される。
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって塗布装置40に搬送される。塗布装置40に搬入された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61からスピンチャック280に受け渡され吸着保持される。このとき、被処理ウェハWの非接合面WNが吸着保持される。
続いて、アーム291によって待機部295の接着剤ノズル293を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、スピンチャック280によって被処理ウェハWを回転させながら、接着剤ノズル293から被処理ウェハWの接合面WJに接着剤Gを供給する。供給された接着剤Gは遠心力により被処理ウェハWの接合面WJの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面WJに接着剤Gが塗布される(図27の工程A1)。
次に被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって熱処理装置41に搬送される。このとき熱処理装置41の内部は、不活性ガスの本域に維持されている。熱処理装置41に被処理ウェハWが搬入されると、重合ウェハTはウェハ搬送装置61から予め上昇して待機していた昇降ピン350に受け渡される。続いて昇降ピン350を下降させ、被処理ウェハWを温度調節板340に載置する。
その後、駆動部343により温度調節板340をレール344に沿って熱板320の上方まで移動させ、被処理ウェハWは予め上昇して待機していた昇降ピン330に受け渡される。その後、昇降ピン330が下降して、被処理ウェハWが熱板320上に載置される。そして、熱板320上の被処理ウェハWは、所定の温度、例えば100℃〜250℃に加熱される(図27の工程A2)。かかる熱板320による加熱を行うことで被処理ウェハW上の接着剤Gが加熱され、当該接着剤Gが硬化する。
その後、昇降ピン330が上昇すると共に、温度調節板340が熱板320の上方に移動する。続いて被処理ウェハWが昇降ピン330から温度調節板340に受け渡され、温度調節板340がウェハ搬送領域60側に移動する。この温度調節板340の移動中に、被処理ウェハWは所定の温度に温度調節される。
熱処理装置41で熱処理された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61によって接合装置30に搬送される。接合装置30に搬送された被処理ウェハWは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
反転部111に搬送された被処理ウェハWは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節して、当該被処理ウェハWの水平方向の向きが調節される(図27の工程A3)。
その後、被処理ウェハWは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって反転部111から接合部113に搬送される。接合部113に搬送された被処理ウェハWは、第1の保持部200に載置される(図27の工程A4)。第1の保持部200上では、被処理ウェハWの接合面WJが上方を向いた状態、すなわち接着剤Gが上方を向いた状態で被処理ウェハWが載置される。
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A4の処理が行われている間、当該被処理ウェハWに続いて支持ウェハSの処理が行われる。支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61によって接合装置30に搬送される。なお、支持ウェハSが接合装置30に搬送される工程については、上記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
接合装置30に搬送された支持ウェハSは、ウェハ搬送装置61から受渡部110の受渡アーム120に受け渡された後、さらに受渡アーム120からウェハ支持ピン121に受け渡される。その後、支持ウェハSは、搬送部112の第1の搬送アーム170によってウェハ支持ピン121から反転部111に搬送される。
反転部111に搬送された支持ウェハSは、保持部材151に保持され、位置調節機構160に移動される。そして、位置調節機構160において、支持ウェハSのノッチ部の位置を調節して、当該支持ウェハSの水平方向の向きが調節される(図27の工程A5)。水平方向の向きが調節された支持ウェハSは、位置調節機構160から水平方向に移動され、且つ鉛直方向上方に移動された後、その表裏面が反転される(図27の工程A6)。すなわち、支持ウェハSの接合面SJが下方に向けられる。
その後、支持ウェハSは、鉛直方向下方に移動された後、搬送部112の第2の搬送アーム171によって反転部111から接合部113に搬送される。このとき、第2の搬送アーム171は、支持ウェハSの接合面SJの外周部のみを保持しているので、例えば第2の搬送アーム171に付着したパーティクル等によって接合面SJが汚れることはない。接合部113に搬送された支持ウェハSは、第2の保持部201に吸着保持される(図27の工程A7)。第2の保持部201では、支持ウェハSの接合面SJが下方を向いた状態で支持ウェハSが保持される。
接合装置30において、被処理ウェハWと支持ウェハSがそれぞれ第1の保持部200と第2の保持部201に保持されると、被処理ウェハWが支持ウェハSに対向するように、移動機構220により第1の保持部200の水平方向の位置が調整される(図27の工程A8)。なお、このとき、第2の保持部201と支持ウェハSとの間の圧力は例えば0.1気圧(=0.01MPa)である。また、第2の保持部201の上面にかかる圧力は大気圧である1.0気圧(=0.1MPa)である。この第2の保持部201の上面にかかる大気圧を維持するため、加圧機構260の圧力容器261内の圧力を大気圧にしてもよいし、第2の保持部201の上面と圧力容器261との間に隙間を形成してもよい。
次に、図28に示すように移動機構220によって第1の保持部200を上昇させると共に、支持部材223を伸長させて第2の保持部201が支持部材223に支持される。この際、支持部材223の高さを調整することにより、被処理ウェハWと支持ウェハSとの鉛直方向の距離が所定の距離になるように調整される(図27の工程A9)。なお、この所定の距離は、シール材231が第1の保持部200に接触し、且つ後述するように第2の保持部201及び支持ウェハSの中心部が撓んだ際に、支持ウェハSの中心部が被処理ウェハWに接触する高さである。このようにして、第1の保持部200と第2の保持部201との間に密閉された接合空間Rが形成される。
その後、吸気管241から接合空間Rの雰囲気を吸気する。そして、接合空間R内の圧力が例えば0.3気圧(=0.03MPa)に減圧されると、第2の保持部201には、第2の保持部201の上面にかかる圧力と接合空間R内の圧力との圧力差、すなわち0.7気圧(=0.07MPa)がかかる。そうすると、図29に示すように第2の保持部201の中心部が撓み、第2の保持部201に保持された支持ウェハSの中心部も撓む。なお、このように接合空間R内の圧力を0.3気圧(=0.03MPa)まで減圧しても、第2の保持部201と支持ウェハSとの間の圧力は0.1気圧(=0.01MPa)であるため、支持ウェハSは第2の保持部201に保持された状態を保っている。
その後、さらに接合空間Rの雰囲気を吸気し、接合空間R内を減圧する。そして、接合空間R内の圧力が0.1気圧(=0.01MPa)以下になると、第2の保持部201が支持ウェハSを保持することができず、図30に示すように支持ウェハSは下方に落下して、支持ウェハSの接合面SJ全面が被処理ウェハWの接合面WJ全面に当接する。この際、支持ウェハSは、被処理ウェハWに当接した中心部から径方向外側に向かって順次当接する。すなわち、例えば接合空間R内にボイドとなりうる空気が存在している場合でも、空気は支持ウェハSが被処理ウェハWと当接している箇所より常に外側に存在することになり、当該空気を被処理ウェハWと支持ウェハSとの間から逃がすことができる。こうしてボイドの発生を抑制しつつ、被処理ウェハWと支持ウェハSは接着剤Gにより接着される(図27の工程A10)。
その後、図31に示すように、支持部材223の高さを調整し、第2の保持部201の下面を支持ウェハSの非接合面SNに接触させる。このとき、シール材231が弾性変形し、第1の保持部200と第2の保持部201が密着する。そして、加熱機構211、152により被処理ウェハWと支持ウェハSを所定の温度、例えば200℃で加熱しながら、加圧機構260により第2の保持部201を所定の圧力、例えば0.5MPaで下方に押圧する。そうすると、被処理ウェハWと支持ウェハSがより強固に接着され、接合される(図27の工程A11)。
被処理ウェハWと支持ウェハSが接合された重合ウェハTは、搬送部112の第1の搬送アーム170によって接合部110から受渡部110に搬送される。受渡部110に搬送された重合ウェハTは、ウェハ支持ピン121を介して受渡アーム120に受け渡され、さらに受渡アーム120からウェハ搬送装置61に受け渡される。その後、重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCTに搬送される。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理が終了する。
以上の実施の形態によれば、塗布装置40と熱処理装置41において、被処理ウェハWを順次処理して当該被処理ウェハWに接着剤Gを塗布して所定の温度に加熱すると共に、接合装置30において支持ウェハSの表裏面を反転させる。その後、接合装置30において、接着剤Gが塗布されて所定の温度に加熱された被処理ウェハWと表裏面が反転された支持ウェハSとを接合する。このように本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSを並行して処理することができる。また、接合装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを接合する間に、塗布装置40、熱処理装置41及び接合装置30において、別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができ、接合処理のスループットを向上させることができる。
ここで、上述した特許文献1の貼り合わせ装置を用いた場合、当該貼り合わせ装置の外部でウェハの表裏面を反転させる必要がある。かかる場合、ウェハの表裏面を反転させた後、当該ウェハを貼り合わせ装置に搬送する必要があるため、接合処理全体のスループットに改善の余地があった。また、ウェハの表裏面を反転させると、ウェハの接合面が下方を向く。かかる場合に、通常のウェハの裏面を保持する搬送装置を用いた場合、ウェハの接合面が搬送装置に保持されることになり、例えば搬送装置にパーティクル等が付着している場合、当該パーティクルがウェハの接合面に付着するおそれがあった。さらに、特許文献1の貼り合わせ装置は、ウェハと支持基板の水平方向の向きを調節する機能を備えておらず、ウェハと支持基板がずれて接合されるおそれがあった。
この点、本実施の形態によれば、接合装置30内に反転部111と接合部113の両方が設けられているので、支持ウェハSを反転させた後、搬送部112によって当該支持ウェハSを直ちに接合部113に搬送することができる。このように一の接合装置30内で、支持ウェハSの反転と、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合とを共に行っているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができる。したがって、接合処理のスループットをより向上させることができる。
また、搬送部112の第2の搬送アーム171は、支持ウェハSの接合面SJの外周部を保持するので、例えば第2の搬送アーム171に付着したパーティクル等によって接合面SJが汚れることはない。また、搬送部112の第1の搬送アーム170は、被処理ウェハWの非接合面WN、支持ウェハSの接合面SJ、重合ウェハTの裏面を保持して搬送する。このように搬送部112は、2種類の搬送アーム170、171を備えているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを効率よく搬送することができる。
また、第2の搬送アーム171において、第2の保持部材192のテーパ部194は内側面が下側から上側に向かってテーパ状に拡大しているので、例えば第2の保持部材192に受け渡される支持ウェハSが水平方向に所定の位置からずれていても、テーパ部194によって支持ウェハSを円滑にガイドして位置決めすることができる。
また、第1の搬送アーム170において、アーム部180上にはガイド部材183、184が設けられているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTが第1の搬送アーム170から飛び出したり、滑落するのを防止することができる。
また、反転部720は、第1の駆動部153によって支持ウェハSの表裏面を反転させると共に、位置調節機構160によって支持ウェハSと被処理ウェハWの水平方向の向きを調節することができる。したがって、接合部113において支持ウェハSと被処理ウェハWを適切に接合することができる。また、接合部113において、一の反転部111において、支持ウェハSの反転と、支持ウェハSと被処理ウェハWの水平方向の向きの調節とを共に行っているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合を効率よく行うことができる。したがって、接合処理のスループットをより向上させることができる。
また、受渡部110は、鉛直方向に2段に配置されているので、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTのいずれか2つを同時に受け渡すことができる。したがって、接合装置30の外部との間で、これら被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを効率よく受け渡すことができ、接合処理のスループットをより向上させることができる。
また、熱処理装置41の内部は、不活性ガス雰囲気に維持可能であるので、被処理ウェハW上に酸化膜が形成されるのを抑制することができる。このため、被処理ウェハWの熱処理を適切に行うことができる。
さらに、熱処理装置41内の圧力は、ウェハ搬送領域60内の圧力に対して陰圧となっている。このため、熱処理装置41の処理容器の開閉シャッタを開けると、ウェハ搬送領域60から熱処理装置41に向かう気流が生じる。したがって、熱処理装置41内の加熱された雰囲気がウェハ搬送領域60に流入せず、ウェハ搬送領域60内で搬送されている被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを所定の温度で適切に搬送することができる。
以上の実施の形態の接合システム1において、図32に示すように接合装置30で接合された重合ウェハTを検査する検査装置370をさらに設けてもよい。検査装置370は、例えば第3の処理ブロックG3の最上層に配置される。
検査装置370は、図33に示すように処理容器380を有している。処理容器380のウェハ搬送領域60側の側面には、重合ウェハTを搬入出させる搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器380内には、図33に示すように重合ウェハTを吸着保持するチャック390が設けられている。このチャック390は、例えばモータなどを備えたチャック駆動部391によって回転、停止が自在であり、重合ウェハTの位置を調節するアライメント機能を有している。処理容器380の底面には、処理容器380内の一端側(図33中のY方向負方向側)から他端側(図33中のY方向正方向側)まで延伸するレール392が設けられている。チャック駆動部391は、レール392上に取り付けられている。このチャック駆動部391により、チャック390はレール392に沿って移動可能であり、昇降自在になっている。
処理容器380内の他端側(図33中のY方向正方向側)の側面には、撮像部400が設けられている。撮像部400には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。処理容器380の上部中央付近には、ハーフミラー401が設けられている。ハーフミラー401は、撮像部400と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。ハーフミラー401の上方には、重合ウェハTに赤外線を照射する赤外線照射部402が設けられ、ハーフミラー401と赤外線照射部402は、処理容器380の上面に固定されている。また、赤外線照射部402は、図34に示すようにX方向に延伸している。
かかる場合、上述した接合装置30において工程A11で接合された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によって検査装置370に搬送される。検査装置370に搬入された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61からチャック390に受け渡される。その後、チャック駆動部391によりチャック390をレール392に沿って移動させ、移動中の重合ウェハTに赤外線照射部402から赤外線を照射する。そして、ハーフミラー401を介して撮像部400により重合ウェハT全面を撮像する。撮像された重合ウェハTの画像は制御部360に出力され、当該制御部360において重合ウェハTの接合が適切に行われているか否か、例えば重合ウェハT中のボイドの有無等を検査する。その後、重合ウェハTは、ウェハ搬送装置61によってトランジション装置51に搬送され、その後搬入出ステーション2のウェハ搬送装置22によって所定のカセット載置板11のカセットCTに搬送される。
以上の実施の形態によれば、検査装置370において重合ウェハTを検査することができるので、検査結果に基づいて接合システム1における処理条件を補正することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切に接合することができる。
また、以上の実施の形態の接合システム1において、熱処理装置41で熱処理された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
なお、以上の実施の形態では、被処理ウェハWを下側に配置し、且つ支持ウェハSを上側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを接合していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。かかる場合、上述した工程A1〜A4を支持ウェハSに対して行い、当該支持ウェハSの接合面SJに接着剤Gを塗布する。また、上述した工程A5〜A7を被処理ウェハWに対して行い、当該被処理ウェハWの表裏面を反転させる。そして、上述した工程A8〜A11を行い、支持ウェハSと被処理ウェハWを接合する。
また、以上の実施の形態では、塗布装置40において被処理ウェハWと支持ウェハSのいずれか一方に接着剤Gを塗布していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの両方に接着剤Gを塗布してもよい。
また、以上の実施の形態では、接合装置30において第1の保持部200を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第2の保持部201を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部200と第2の保持部201の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
以上の実施の形態では、接合装置30において、搬送部112の第1の搬送アーム170は、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを保持するためにOリング182を有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば第1の保持部材としては、当該第1の保持部材と被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの裏面との間に摩擦力が発生すればよく、Oリング182の代わりに他の吸着パッド等を有していてもよい。
なお、以上の実施の形態において、接合装置30から搬送部112を省略してもよい。かかる場合、反転部111の保持アーム150を移動させることによって、受渡部110と反転部111との間で被処理ウェハW、支持ウェハSを受け渡し、反転部111と接合部113との間で被処理ウェハW、支持ウェハSを受け渡す。このように搬送部112を省略した接合装置30では、反転部111において被処理ウェハW、支持ウェハSの反転及び水平方向の向きの調節に加えて、これら被処理ウェハW、支持ウェハSの搬送が行われるので、上記実施の形態に比べて接合処理のスループットが低下する。しかしながら、例えば被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理に高いスループットが要求されていない場合には、装置構成が簡略化されるので、搬送部112を省略した接合装置30を用いることは有用である。
また、以上の実施の形態では、塗布装置40は1本の接着剤ノズル293を有していたが、例えば2本の接着剤ノズルを有していてもよい。かかる場合、2種類の接着剤を用いる場合にも対応することができ、また一の接着剤を接合評価用として用いることができる。
ここで、接合システム1で接合された重合ウェハTは、接合システム1の外部において被処理ウェハWの非接合面WNの研磨処理等の所定の処理が行われる。その後、重合ウェハTが被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離され、被処理ウェハWが製品化される。
本実施の形態において、図35に示すように接合システム1を備えた基板処理システム410は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離システム420をさらに有していてもよい。
剥離システム420では、図36に示す接着剤Gで接合された重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。このとき、被処理ウェハWの接合面WJには上述したように複数の電子回路が形成されている。また、被処理ウェハWの非接合面WNは研磨処理され、被処理ウェハWが薄型化(例えば厚みが50μm)されている。
剥離システム420は、図35に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCW、CS、CTが搬入出される搬入出ステーション421と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた剥離処理ステーション422と、剥離処理ステーション422に隣接する後処理ステーション423との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション424とを一体に接続した構成を有している。
搬入出ステーション421と剥離処理ステーション422は、X方向(図35中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション421と剥離処理ステーション422との間には、ウェハ搬送領域425が形成されている。また、インターフェイスステーション424は、搬入出ステーション421、剥離処理ステーション422及びウェハ搬送領域425のY方向負方向側(図35中の左方向側)に配置されている。
搬入出ステーション421には、カセット載置台430が設けられている。カセット載置台430には、複数、例えば3つのカセット載置板431が設けられている。カセット載置板431は、Y方向(図35中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板431には、剥離システム420の外部に対してカセットCW、CS、CTを搬入出する際に、カセットCW、CS、CTを載置することができる。このように搬入出ステーション421は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板431の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション421に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
ウェハ搬送領域425には、第1の搬送装置440が配置されている。第1の搬送装置440は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。第1の搬送装置440は、ウェハ搬送領域425内を移動し、搬入出ステーション421と剥離処理ステーション422との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
剥離処理ステーション422は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置450を有している。剥離装置450のY方向負方向側(図35中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置451が配置されている。剥離装置450と第1の洗浄装置451との間には、他の搬送装置としての第2の搬送装置452が設けられている。また、剥離装置450のY方向正方向側(図35中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置453が配置されている。このように剥離処理ステーション422には、第1の洗浄装置451、第2の搬送装置452、剥離装置450、第2の洗浄装置453が、インターフェイスステーション424側からこの順で並べて配置されている。
インターフェイスステーション424には、X方向に延伸する搬送路460上を移動自在な他の搬送装置としての第3の搬送装置461が設けられている。第3の搬送装置461は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、剥離処理ステーション422と後処理ステーション423との間で被処理ウェハWを搬送できる。
なお、後処理ステーション423では、剥離処理ステーション422で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上の電子回路の電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。
次に、上述した剥離装置450の構成について説明する。剥離装置450は、図37に示すように内部を密閉可能な処理容器500を有している。処理容器500の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器500の底面には、当該処理容器500の内部の雰囲気を吸引する吸気口501が形成されている。吸気口501には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置502に連通する吸気管503が接続されている。
処理容器500の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部510と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部511とが設けられている。第1の保持部510は、第2の保持部511の上方に設けられ、第2の保持部511と対向するように配置されている。すなわち、処理容器500の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
第1の保持部510には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部510は、平板状の本体部520を有している。本体部520の下面側には、多孔質体521が設けられている。多孔質体521は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、多孔質体521としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
また、本体部520の内部であって多孔質体521の上方には吸引空間522が形成されている。吸引空間522は、例えば多孔質体521を覆うように形成されている。吸引空間522には、吸引管523が接続されている。吸引管523は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。そして、吸引管523から吸引空間522と多孔質体521を介して被処理ウェハの非接合面WNが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部510に吸着保持される。
また、本体部520の内部であって吸引空間522の上方には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構524が設けられている。加熱機構524には、例えばヒータが用いられる。
第1の保持部510の上面には、当該第1の保持部を支持する支持板530が設けられている。支持板530は、処理容器500の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板530を省略し、第1の保持部510は処理容器500の天井面に当接して支持されてもよい。
第2の保持部511の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管540が設けられている。吸引管540は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
また、第2の保持部511の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構541が設けられている。加熱機構541には、例えばヒータが用いられる。
第2の保持部511の下方には、第2の保持部511及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構550が設けられている。移動機構550は、第2の保持部511を鉛直方向に移動させる鉛直移動部551と、第2の保持部511を水平方向に移動させる水平移動部552とを有している。
鉛直移動部551は、第2の保持部511の下面を支持する支持板560と、支持板560を昇降させる駆動部561と、支持板560を支持する支持部材562とを有している。駆動部561は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材562は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板560と後述する支持体571との間に例えば3箇所に設けられている。
水平移動部552は、X方向(図37中の左右方向)に沿って延伸するレール570と、レール570に取り付けられる支持体571と、支持体571をレール570に沿って移動させる駆動部572とを有している。駆動部572は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。
なお、第2の保持部511の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第2の保持部511に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第2の保持部511の上面から突出可能になっている。
次に、上述した第1の洗浄装置451の構成について説明する。第1の洗浄装置451は、図38に示すように内部を密閉可能な処理容器580を有している。処理容器580の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器580内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるポーラスチャック590が設けられている。ポーラスチャック590は、平板状の本体部591と、本体部591の上面側に設けられた多孔質体592とを有している。多孔質体592は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、多孔質体592としては例えば炭化ケイ素が用いられる。多孔質体592には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管から多孔質体592を介して被処理ウェハWの非接合面WNを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック590上に吸着保持できる。
ポーラスチャック590の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部593が設けられている。ポーラスチャック590は、チャック駆動部593により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部593には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、ポーラスチャック590は昇降自在になっている。
ポーラスチャック590の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ594が設けられている。カップ594の下面には、回収した液体を排出する排出管595と、カップ594内の雰囲気を真空引きして排気する排気管596が接続されている。
図39に示すようにカップ594のX方向負方向(図39中の下方向)側には、Y方向(図39中の左右方向)に沿って延伸するレール600が形成されている。レール600は、例えばカップ594のY方向負方向(図39中の左方向)側の外方からY方向正方向(図39中の右方向)側の外方まで形成されている。レール600には、アーム601が取り付けられている。
アーム601には、図38及び図39に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば有機溶剤を供給する洗浄液ノズル603が支持されている。アーム601は、図23に示すノズル駆動部604により、レール600上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル603は、カップ594のY方向正方向側の外方に設置された待機部605からカップ594内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム601は、ノズル駆動部604によって昇降自在であり、洗浄液ノズル603の高さを調節できる。
洗浄液ノズル603には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル603には、図38に示すように当該洗浄液ノズル603に洗浄液を供給する供給管610が接続されている。供給管610は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源611に連通している。供給管610には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群612が設けられている。また、洗浄液ノズル603には、当該洗浄液ノズル603に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管613が接続されている。供給管613は、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源614に連通している。供給管613には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群615が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル603内で混合され、当該洗浄液ノズル603から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
なお、ポーラスチャック590の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはポーラスチャック590に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、ポーラスチャック590の上面から突出可能になっている。そして、ポーラスチャック590を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、ポーラスチャック590との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。
また、第2の洗浄装置453の構成は、上述した第1の洗浄装置451の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置453には、図40に示すように第1の洗浄装置451のポーラスチャック590に代えて、スピンチャック620が設けられる。スピンチャック620は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック620上に吸着保持できる。第2の洗浄装置453のその他の構成は、上述した第1の洗浄装置451の構成と同様であるので説明を省略する。
なお、第2の洗浄装置453において、スピンチャック620の下方には、支持ウェハSの裏面、すなわち非接合面SNに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、支持ウェハSの非接合面SNと支持ウェハSの外周部が洗浄される。
次に、上述した第2の搬送装置452の構成について説明する。第2の搬送装置452は、図41に示すように被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック630を有している。ベルヌーイチャック630は、空気を噴出することにより被処理ウェハWを浮遊させ、非接触の状態で被処理ウェハWを吸引懸垂し保持することができる。ベルヌーイチャック630は、支持アーム631に支持されている。支持アーム631は、第1の駆動部632に支持されている。この第1の駆動部632により、支持アーム631は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部632の下方には、第2の駆動部633が設けられている。この第2の駆動部633により、第1の駆動部632は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
なお、第3の搬送装置461は、上述した第2の搬送装置452と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、第3の搬送装置461の第2の駆動部633は、図35に示した搬送路460に取り付けられ、第3の搬送装置461は搬送路460上を移動可能になっている。
次に、以上のように構成された剥離システム420を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図42は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットCT、空のカセットCW、及び空のカセットCSが、搬入出ステーション421の所定のカセット載置板431に載置される。第1の搬送装置440によりカセットCT内の重合ウェハTが取り出され、剥離処理ステーション422の剥離装置450に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
剥離装置450に搬入された重合ウェハTは、第2の保持部511に吸着保持される。その後、移動機構550により第2の保持部511を上昇させて、図43に示すように第1の保持部510と第2の保持部511で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部510に被処理ウェハWの非接合面WNが吸着保持され、第2の保持部511に支持ウェハSの非接合面SNが吸着保持される。
その後、加熱機構524、541によって重合ウェハTが所定の温度、例えば200℃に加熱される。そうすると、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。
続いて、加熱機構524、541によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図44に示すように移動機構550によって第2の保持部511と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、図45に示すように第1の保持部510に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部511に保持された支持ウェハSとが剥離される(図42の工程B1)。
このとき、第2の保持部511は、鉛直方向に100μm移動し、且つ水平方向に300mm移動する。ここで、本実施の形態では、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面WJに形成された電子回路(バンプ)の高さは例えば20μmである。したがって、被処理ウェハW上の電子回路と支持ウェハSとの間の距離が微小となる。そこで、例えば第2の保持部511を水平方向にのみ移動させた場合、電子回路と支持ウェハSが接触し、電子回路が損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態のように第2の保持部511を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避し、電子回路の損傷を抑制することができる。なお、この第2の保持部511の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上の電子回路(バンプ)の高さに基づいて設定される。
その後、剥離装置450で剥離された被処理ウェハWは、第2の搬送装置452によって第1の洗浄装置451に搬送される。ここで、第2の搬送装置452による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。
図46に示すように支持アーム631を伸長させて、ベルヌーイチャック630を第1の保持部510に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、ベルヌーイチャック630を上昇させ、第1の保持部510における吸引管523からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部510からベルヌーイチャック630に被処理ウェハWが受け渡される。このとき、被処理ウェハWの接合面WJがベルヌーイチャック630に保持されるが、ベルヌーイチャック630は非接触の状態で被処理ウェハWが保持されるため、被処理ウェハWの接合面WJ上の電子回路が損傷を被ることはない。
次に図47に示すように、支持アーム631を回動させてベルヌーイチャック630を第1の洗浄装置451のポーラスチャック590の上方に移動させると共に、ベルヌーイチャック630を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ポーラスチャック590をカップ594よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、ベルヌーイチャック630からポーラスチャック590に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
このようにポーラスチャック590に被処理ウェハWが吸着保持されると、ポーラスチャック590を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム601によって待機部605の洗浄液ノズル603を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、ポーラスチャック590によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル603から被処理ウェハWの接合面WJに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面WJの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面WJが洗浄される(図42の工程B2)。
ここで、上述したように搬入出ステーション421に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程B2で接合面WJが洗浄された後、第3の搬送装置461によって後処理ステーション423に搬送される。なお、この第3の搬送装置461による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置452による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。その後、後処理ステーション423において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図42の工程B3)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程B2で接合面WJが洗浄された後、第1の搬送装置440によって搬入出ステーション421に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション421から外部に搬出され回収される(図42の工程B4)。
被処理ウェハWに上述した工程B2〜B4が行われている間、剥離装置450で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置440によって第2の洗浄装置453に搬送される。そして、第2の洗浄装置453において、支持ウェハSの接合面SJが洗浄される(図42の工程B5)。なお、第2の洗浄装置453における支持ウェハSの洗浄は、上述した第1の洗浄装置451における被処理ウェハWの洗浄と同様であるので説明を省略する。
その後、接合面SJが洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置440によって搬入出ステーション421に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション421から外部に搬出され回収される(図42の工程B6)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
以上の実施の形態によれば、基板処理システム410は接合システム1と剥離システム420を備えているので、被処理ウェハWと支持ウェハSの接合処理と剥離処理を共に行うことができる。したがって、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
また、剥離システム420では、剥離装置450において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置451において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置453において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム420内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置451と第2の洗浄装置453において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置450において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置451と第2の洗浄装置453において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
また、剥離処理ステーション422で剥離された被処理ウェハWが正常な被処理ウェハWである場合、後処理ステーション5において当該被処理ウェハWに所定の後処理が行われ、製品化される。一方、剥離処理ステーション422で剥離された被処理ウェハWが欠陥のある被処理ウェハWである場合、当該被処理ウェハWは搬入出ステーション421から回収される。このように正常な被処理ウェハWのみが製品化されるので、製品の歩留まりを向上させることができる。また、欠陥のある被処理ウェハWを回収し、欠陥の程度によってはこの被処理ウェハWを再利用することもでき、資源を有効活用できると共に製造コストを低廉化することもできる。
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
また、剥離装置450で剥離された支持ウェハSは、洗浄後、搬入出ステーション421から回収されるので、当該支持ウェハSを再利用することができる。したがって、資源を有効活用できると共に製造コストを低廉化することもできる。
また、第2の搬送装置452と第3の搬送装置461は被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック630を有しているので、被処理ウェハWが薄型化していても当該被処理ウェハWを適切に保持することができる。さらに、第2の搬送装置452においては、被処理ウェハWの接合面WJがベルヌーイチャック630に保持されるが、ベルヌーイチャック630は非接触の状態で被処理ウェハWが保持されるため、被処理ウェハWの接合面WJ上の電子回路が損傷を被ることはない。
以上の実施の形態の剥離システム420において、図48に示すように剥離処理ステーション422で剥離された被処理ウェハWを検査する他の検査装置としての検査装置640をさらに設けてもよい。検査装置640は、例えば剥離処理ステーション422と後処理ステーション423との間に配置される。また、かかる場合、インターフェイスステーション424内の搬送路460はY方向に延伸し、検査装置640はこのインターフェイスステーション424のX方向正方向側に配置される。
そして、検査装置640では、被処理ウェハWの表面(接合面WJと非接合面WN)の検査が行われる。具体的には、例えば被処理ウェハW上の電子回路の損傷や、被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣などが検査される。
また、図48に示すようにインターフェイスステーション424のX方向負方向側に、検査後の被処理ウェハWを洗浄する検査後洗浄装置641をさらに配置してもよい。検査後洗浄装置641は、被処理ウェハWの接合面WJを洗浄する接合面洗浄部641a、被処理ウェハWの非接合面WNを洗浄する非接合面洗浄部641b、被処理ウェハWを上下反転させる反転部641cを有している。なお、接合面洗浄部641aと非接合面洗浄部641bの構成は、第1の洗浄装置451の構成と同様であるので説明を省略する。
かかる場合、検査装置640においては、被処理ウェハWの接合面WJにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される。検査装置640において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置461により検査後洗浄装置641の接合面洗浄部641aに搬送され、接合面洗浄部641aで接合面WJが洗浄される。接合面WJが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置461によって反転部641cに搬送され、反転部641cにおいて上下方向に反転される。なお、接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄部641aに搬送されることなく反転部641cにて反転される。
その後、反転された被処理ウェハWは、第3の搬送装置461により再び検査装置640に搬送され、非接合面WNの検査が行われる。そして、非接合面WNにおいて接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置461によって非接合面洗浄部641cに搬送され、非接合面WNの洗浄が行われる。次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置461によって後処理ステーション423に搬送される。なお、検査装置640で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄部641bに搬送されることなくそのまま後処理ステーション423に搬送される。
以上の実施の形態によれば、検査装置640において被処理ウェハWを検査することができるので、検査結果に基づいて剥離システム420における処理条件を補正することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切に剥離することができる。また、検査装置640において被処理ウェハWを検査することで被処理ウェハWを適切に洗浄することができ、後続の後処理を適切に行うことができる。
なお、上述した検査装置640は、図49に示すようにインターフェイスステーション424の内部に設けられていてもよい。
以上の実施の形態では、剥離装置450において第2の保持部511を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第1の保持部510を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部510と第2の保持部511の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
以上の剥離装置450において第2の保持部511を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第2の保持部511を水平方向のみに移動させ、当該第2の保持部511の移動速度を変化させてもよい。具体的には、第2の保持部511を移動させ始める際の移動速度を低速にし、その後徐々に移動速度を加速してもよい。すなわち、第2の保持部511を移動させ始める際には、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が大きく、被処理ウェハW上の電子回路が接着剤Gの影響を受け易いため、第2の保持部511の移動速度を低速にする。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が小さくなるにつれ、被処理ウェハW上の電子回路が接着剤Gの影響を受け難くなるため、第2の保持部511の移動速度を徐々に加速する。かかる場合でも、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避し、電子回路の損傷を抑制することができる。
また、以上の実施の形態では、剥離装置450において第2の保持部511を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、例えば被処理ウェハW上の電子回路と支持ウェハSとの間の距離が十分大きい場合には、第2の保持部511を水平方向にのみ移動させてもよい。かかる場合、電子回路と支持ウェハSとの接触を回避できると共に、第2の保持部511の移動の制御が容易になる。さらに、第2の保持部511を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよく、第2の保持部511の外周部端部を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよい。
なお、以上の実施の形態では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
以上の実施の形態の第2の搬送装置452において、ベルヌーイチャック630の表面には、洗浄液を供給するための複数の供給口(図示せず)が形成されていてもよい。かかる場合、ベルヌーイチャック630から第1の洗浄装置451のポーラスチャック590に被処理ウェハWを受け渡す際、ベルヌーイチャック630から被処理ウェハWの接合面WJに洗浄液を供給して当該接合面WJを洗浄すると共に、ベルヌーイチャック630自体も洗浄することができる。そうすると、その後の第1の洗浄装置451における被処理ウェハWの洗浄時間を短縮することができ、剥離処理のスループットをさらに向上させることができる。しかも、ベルヌーイチャック630も洗浄できるので、次の被処理ウェハWを適切に搬送することができる。
以上の実施の形態では、第3の搬送装置461はベルヌーイチャック630を有していたが、このベルヌーイチャック630に代えて、ポーラスチャック(図示せず)を有していてもよい。かかる場合でも、ポーラスチャックによって薄型化した被処理ウェハWを適切に吸着保持することができる。
以上の実施の形態では、第1の洗浄装置451と第2の洗浄装置453の洗浄液ノズル603には2流体ノズルが用いられていたが、洗浄液ノズル603の形態は本実施の形態に限定されず種々のノズルを用いることができる。例えば洗浄液ノズル603として、洗浄液を供給するノズルと不活性ガスを供給するノズルとを一体化したノズル体や、スプレーノズル、ジェットノズル、メガソニックノズルなどを用いてもよい。また、洗浄処理のスループットを向上させるため、例えば80℃に加熱された洗浄液を供給してもよい。
また、第1の洗浄装置451と第2の洗浄装置453において、洗浄液ノズル603に加えて、IPA(イソプロピルアルコール)を供給するノズルを設けてもよい。かかる場合、洗浄液ノズル603からの洗浄液によって被処理ウェハW又は支持ウェハSを洗浄した後、被処理ウェハW又は支持ウェハS上の洗浄液をIPAに置換する。そうすると、被処理ウェハW又は支持ウェハSの接合面WJ、SJがより確実に洗浄される。
以上の実施の形態の剥離システム420において、剥離装置450で加熱された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
また、以上の実施の形態では、後処理ステーション423において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、被処理基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。また、本発明は、支持基板がウェハ以外のガラス基板など他の基板である場合にも適用できる。