以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
剥離システム1では、図2に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面WJ」といい、当該接合面WJと反対側の面を「非接合面WN」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面SJ」といい、当該接合面SJと反対側の面を「非接合面SN」という。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面WJ上に複数の電子回路等を備えた複数のデバイスが形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面WNが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm〜100μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径の円板形状を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットCW、CS、CTが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する後処理ステーション4との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
搬入出ステーション2と処理ステーション3は、X方向(図1中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション2と処理ステーション3との間には、ウェハ搬送領域6が形成されている。インターフェイスステーション5は、処理ステーション3のY方向負方向側(図1中の左方向側)に配置されている。インターフェイスステーション5のX方向正方向側(図1中の上方向側)には、後処理ステーション4に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置7が配置されている。また、インターフェイスステーション5を挟んで検査装置7の反対側、すなわちインターフェイスステーション5のX方向負方向側(図1中の下方向側)には、検査後の被処理ウェハWの接合面WJ及び非接合面WNの洗浄と、被処理ウェハWの表裏面の反転を行う検査後洗浄ステーション8が配置されている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y方向(図1中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、剥離システム1の外部に対してカセットCW、CS、CTを搬入出する際に、カセットCW、CS、CTを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと、欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
ウェハ搬送領域6には、第1の搬送装置20が配置されている。第1の搬送装置20は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。第1の搬送装置20は、ウェハ搬送領域6内を移動し、搬入出ステーション2と処理ステーション3との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
処理ステーション3は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置30を有している。剥離装置30のY方向負方向側(図1中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置31が配置されている。剥離装置30と第1の洗浄装置31との間には、第2の搬送装置32が設けられている。また、剥離装置30のY方向正方向側(図1中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置33が配置されている。このように処理ステーション3には、第1の洗浄装置31、第2の搬送装置32、剥離装置30、第2の洗浄装置33が、インターフェイスステーション5側からこの順で並べて配置されている。
検査装置7では、剥離装置30により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無等が検査される。また、検査後洗浄ステーション8では、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄ステーション8は、被処理ウェハWの接合面WJを洗浄する接合面洗浄装置40、被処理ウェハWの非接合面WNを洗浄する非接合面洗浄装置41、被処理ウェハWの表裏面を上下反転させる反転装置42を有している。これら接合面洗浄装置40、反転装置42、非接合面洗浄装置41は、後処理ステーション4側からY方向に並べて配置されている。
インターフェイスステーション5には、Y方向に延伸する搬送路50上を移動自在な第3の搬送装置51が設けられている。第3の搬送装置51は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、後処理ステーション4、検査装置7及び検査後洗浄ステーション8との間で被処理ウェハWを搬送できる。
なお、後処理ステーション4では、処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上のデバイスの電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。
次に、上述した剥離装置30の構成について説明する。剥離装置30は、図3に示すように、内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器100の底面には、当該処理容器100の内部の雰囲気を排気する排気口101が形成されている。排気口101には、例えば真空ポンプなどの排気装置102に連通する排気管103が接続されている。
処理容器100の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部110と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部111とが設けられている。第1の保持部110は、第2の保持部111の上方に設けられ、第2の保持部111と対向するように配置されている。すなわち、処理容器100の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
第1の保持部110には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部110は、平板状の本体部である熱板120を有している。熱板120の下面側には、多孔質体であるポーラス121が設けられている。ポーラス121は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、ポーラス121としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
また、熱板120の内部であってポーラス121の上方には吸引空間122が形成されている。吸引空間122は、例えばポーラス121を覆うように形成されている。吸引空間122には、吸引管123が接続されている。吸引管123は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。そして、吸引管123から吸引空間122とポーラス121を介して被処理ウェハの非接合面WNが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部110に吸着保持される。
また、熱板120の内部であって吸引空間122の上方には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構124が設けられている。加熱機構124には、例えばヒータが用いられる。
熱板120は、図4に示すように複数、例えば5つの熱板領域120a、120b、120c、120d、120eに区画されている。これら熱板領域120a、120b、120c、120d、120eは、後述する第2の保持部111の移動方向(図4中のX方向負方向)に沿って、この順で並べて配置されている。
熱板120の各熱板領域120a〜120eには、上述した加熱機構124が個別に内蔵され、各熱板領域120a〜120e毎に加熱できる。各熱板領120a〜120eの加熱機構124の発熱量は、温度制御部125により調節されている。温度制御部125は、加熱機構124の発熱量を調節して、各熱板領域120a〜120eの温度を所定の熱処理温度としての加熱温度に制御できる。温度制御部125における加熱温度の設定は、例えば後述する制御部350により行われる。
温度制御部125には、熱板領域120a〜120eの加熱温度と剥離処理条件との第1の相関が記録されている。この剥離処理条件は、接着剤Gの種類や被処理ウェハW上に形成されたデバイスの種類を含んでいる。そして、接着剤Gの種類やデバイスの種類を変更して、剥離処理中の被処理ウェハWの温度変化を測定する。この温度変化を補填するように、すなわち被処理ウェハWの温度が面内均一になるように、各熱板領域120a〜120eの加熱温度を求める。これら熱板領域120a〜120eと剥離処理条件をデータベース化して、第1の相関を導出する。なお、第1の相関を導出する際には、実際に検査用の重合ウェハTを剥離してもよいし、或いはシミュレーションを行ってもよい。
第1の保持部110の上面には、図3に示すように当該第1の保持部110を支持する支持板130が設けられている。支持板130は、処理容器100の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板130を省略し、第1の保持部110は処理容器100の天井面に当接して支持されてもよい。
第2の保持部111は、平板状の本体部である熱板140を有している。熱板140の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管141が設けられている。吸引管141は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
また、第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構142が設けられている。加熱機構142には、例えばヒータが用いられる。
熱板140は、図5に示すように複数、例えば5つの熱板領域140a、140b、140c、140d、140eに区画されている。これら熱板領域140a、140b、140c、140d、140eは、後述する第2の保持部111の移動方向(図5中のX方向負方向)に沿って、この順で並べて配置されている。
熱板140の各熱板領域140a〜140eには、上述した加熱機構124が個別に内蔵され、各熱板領域140a〜140e毎に加熱できる。各熱板領140a〜140eの加熱機構124の発熱量は、温度制御部143により調節されている。温度制御部143は、加熱機構142の発熱量を調節して、各熱板領域140a〜140eの温度を所定の熱処理温度としての加熱温度に制御できる。温度制御部143における加熱温度の設定は、例えば後述する制御部350により行われる。
温度制御部143には、熱板領域140a〜140eの加熱温度と剥離処理条件との第2の相関が記録されている。この剥離処理条件は、接着剤Gの種類や被処理ウェハW上に形成されたデバイスの種類を含んでいる。そして、接着剤Gの種類やデバイスの種類を変更して、剥離処理中の支持ウェハSの温度変化を測定する。この温度変化を補填するように、すなわち支持ウェハSの温度が面内均一になるように、各熱板領域140a〜140eの加熱温度を求める。これら熱板領域140a〜140eと剥離処理条件をデータベース化して、第2の相関を導出する。なお、第2の相関を導出する際には、実際に検査用の重合ウェハTを剥離してもよいし、或いはシミュレーションを行ってもよい。
第2の保持部111の下方には、図3に示すように第2の保持部111及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構150が設けられている。移動機構150は、第2の保持部111を鉛直方向に移動させる鉛直移動部151と、第2の保持部111を水平方向に移動させる水平移動部152とを有している。
鉛直移動部151は、第2の保持部111の下面を支持する支持板160と、支持板160を昇降させて第1の保持部110と第2の保持部111を鉛直方向に接近、離隔させる駆動部161と、支持板160を支持する支持部材162とを有している。駆動部161は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材162は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板160と後述する支持体171との間に例えば4箇所に設けられている。
水平移動部152は、X方向(図3中の左右方向)に沿って延伸するレール170と、レール170に取り付けられる支持体171と、支持体171をレール170に沿って移動させる駆動部172とを有している。駆動部172は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。
なお、第2の保持部111の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第2の保持部111に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第2の保持部111の上面から突出可能になっている。
次に、上述した第1の洗浄装置31の構成について説明する。第1の洗浄装置31は、図6に示すように内部を密閉可能な処理容器180を有している。処理容器180の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器180内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるポーラスチャック190が設けられている。ポーラスチャック190は、平板状の本体部191と、本体部191の上面側に設けられた多孔質体であるポーラス192とを有している。ポーラス192は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、ポーラス192としては例えば炭化ケイ素が用いられる。ポーラス192には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管からポーラス192を介して被処理ウェハWの非接合面WNを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック190上に吸着保持できる。
ポーラスチャック190の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部193が設けられている。ポーラスチャック190は、チャック駆動部193により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部193には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、ポーラスチャック190は昇降自在になっている。
ポーラスチャック190の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ194が設けられている。カップ194の下面には、回収した液体を排出する排出管195と、カップ194内の雰囲気を真空引きして排気する排気管196が接続されている。
図7に示すようにカップ194のX方向負方向(図7中の下方向)側には、Y方向(図7中の左右方向)に沿って延伸するレール200が形成されている。レール200は、例えばカップ194のY方向負方向(図7中の左方向)側の外方からY方向正方向(図7中の右方向)側の外方まで形成されている。レール200には、アーム201が取り付けられている。
アーム201には、図6及び図7に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば接着剤Gの溶剤である有機溶剤を供給する洗浄液ノズル202が支持されている。アーム201は、図7に示すノズル駆動部203により、レール200上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル202は、カップ194のY方向正方向側の外方に設置された待機部204からカップ194内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム201は、ノズル駆動部203によって昇降自在であり、洗浄液ノズル202の高さを調節できる。
洗浄液ノズル202には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル202には、図6に示すように当該洗浄液ノズル202に洗浄液を供給する供給管210が接続されている。供給管210は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源211に連通している。供給管210には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群212が設けられている。また、洗浄液ノズル202には、当該洗浄液ノズル202に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管213が接続されている。供給管213は、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源214に連通している。供給管213には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群215が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル202内で混合され、当該洗浄液ノズル202から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
なお、ポーラスチャック190の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはポーラスチャック190に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、ポーラスチャック190の上面から突出可能になっている。そして、ポーラスチャック190を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、ポーラスチャック190との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。
なお、検査後洗浄ステーション8の接合面洗浄装置40と非接合面洗浄装置41の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
また、第2の洗浄装置33の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置33には、図8に示すように第1の洗浄装置31のポーラスチャック190に代えて、スピンチャック220が設けられる。スピンチャック220は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック220上に吸着保持できる。第2の洗浄装置33のその他の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
なお、第2の洗浄装置33において、スピンチャック220の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面WNに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面WNと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
次に、上述した第2の搬送装置32の構成について説明する。第2の搬送装置32は、図9に示すように被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック230を有している。ベルヌーイチャック230は、支持アーム231に支持されている。支持アーム231は、第1の駆動部232に支持されている。この第1の駆動部232により、支持アーム231は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部232の下方には、第2の駆動部233が設けられている。この第2の駆動部233により、第1の駆動部232は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
なお、第3の搬送装置51は、上述した第2の搬送装置32と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、第3の搬送装置51の第2の駆動部232は、図1に示した搬送路50に取り付けられ、第3の搬送装置51は搬送路50上を移動可能になっている。
次に、上述した反転装置42の構成について説明する。反転装置42は、図10に示すように、その内部に複数の機器を収容する処理容器240を有している。処理容器240の側面には、第3の搬送装置51により被処理ウェハWの搬入出を行うための搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口(図示せず)には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器240の底面には、当該処理容器240の内部の雰囲気を排気する排気口250が形成されている。排気口250には、例えば真空ポンプなどの排気装置251に連通する排気管252が接続されている。
処理容器240の内部には、被処理ウェハWを下面で保持する第1の保持部260と、被処理ウェハWを上面で保持する第2の保持部261とが設けられている。第1の保持部260は、第2の保持部261の上方に設けられ、第2の保持部261と対向するように配置されている。第1の保持部260及び第2の保持部261は、例えば被処理ウェハWをほぼ同じ直径を有している。また、第1の保持部260及び第2の保持部261にはベルヌーイチャックが用いられている。これにより、第1の保持部260及び第2の保持部261は、被処理ウェハWの片面の全面をそれぞれ非接触で保持することができる。
第1の保持部260の上面には、第1の保持部260を支持する支持板262が設けられている。なお、本実施の形態の支持板262を省略し、第1の保持部260は処理容器240の天井面に当接して支持されていてもよい。
第2の保持部261の下方には、当該第2の保持部261を鉛直方向に移動させる移動機構270が設けられている。移動機構270は、第2の保持部261の下面を支持する支持板271と、支持板271を昇降させて第1の保持部260と第2の保持部261を鉛直方向に接近、離間させる駆動部272を有している。駆動部272は、処理容器240の底面に設けられた支持体273により支持されている。また、支持体273の上面には支持板271を支持する支持部材274が設けられている。支持部材274は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、駆動部272により支持板271を昇降させる際に、自由に伸縮することができる。
次に、上述した検査装置7の構成について説明する。検査装置7は、図11及び図12に示すように処理容器280を有している。処理容器280の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
処理容器280内には、被処理ウェハWを保持するポーラスチャック290が設けられている。ポーラスチャック290は、平板状の本体部291と、本体部291の上面側に設けられた多孔質体であるポーラス292とを有している。ポーラス292は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面WNと当接している。なお、ポーラス292としては例えば炭化ケイ素が用いられる。ポーラス292には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管からポーラス292を介して被処理ウェハWの非接合面WNを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック290上に吸着保持できる。
ポーラスチャック290の下方には、チャック駆動部293が設けられている。このチャック駆動部293により、ポーラスチャック290は回転自在になっている。また、チャック駆動部293は、処理容器280内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール294上に取付けられている。このチャック駆動部293により、ポーラスチャック290はレール294に沿って移動できる。すなわち、ポーラスチャック290は、被処理ウェハWを処理容器280の外部との間で搬入出するための受渡位置P1と、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調整するアライメント位置P2との間を移動できる。
アライメント位置P2には、ポーラスチャック290に保持された被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出するセンサ295が設けられている。センサ295によってノッチ部の位置を検出しながら、チャック駆動部293によってポーラスチャック290を回転させて、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節することができる。
処理容器280のアライメント位置P2側の側面には、撮像装置300が設けられている。撮像装置300には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。処理容器280の上部中央付近には、ハーフミラー301が設けられている。ハーフミラー301は、撮像装置300と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。ハーフミラー301の上方には、照度を変更することができる照明装置302が設けられ、ハーフミラー301と照明装置302は、処理容器280の上面に固定されている。また、撮像装置300、ハーフミラー301及び照明装置302は、ポーラスチャック290に保持された被処理ウェハWの上方にそれぞれ設けられている。そして、照明装置302からの照明は、ハーフミラー301を通過して下方に向けて照らされる。したがって、この照射領域にある物体の反射光は、ハーフミラー301で反射して、撮像装置300に取り込まれる。すなわち、撮像装置300は、照射領域にある物体を撮像することができる。そして、撮像した被処理ウェハWの画像は、後述する制御部350に出力され、制御部350において被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部350が設けられている。制御部350は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部350にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図13は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットCT、空のカセットCW、及び空のカセットCSが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。第1の搬送装置20によりカセットCT内の重合ウェハTが取り出され、処理ステーション3の剥離装置30に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
剥離装置30に搬入された重合ウェハTは、予め上昇していた昇降ピン(図示せず)に受け渡される。そして、図14に示すように重合ウェハTは、第1の保持部110と第2の保持部111との間で、当該第1の保持部110と第2の保持部111のいずれにも接触しない位置に配置される。この状態で所定の時間経過後、重合ウェハTは加熱機構124、142によって予備加熱される。かかる予備加熱によって、後述するように第1の保持部110で被処理ウェハWを吸着保持して加熱しても、当該被処理ウェハWの熱膨張を抑制することができる。このため、常温の被処理ウェハを第1の保持部で加熱する従来の場合に比べて、本実施の形態の方が、被処理ウェハWの反りを抑制すると共に、被処理ウェハWと第1の保持部110が擦れ合って発生するパーティクルを抑制することができる。
その後、図15に示すように重合ウェハTは、第2の保持部111に吸着保持される。そして、所定の時間経過後、重合ウェハWは加熱機構124、142によって所定の第1の温度、例えば200℃〜250℃であって本実施の形態では220℃に加熱される。そうすると、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。その後、移動機構150により第2の保持部111を上昇させて、図16に示すように第1の保持部110と第2の保持部111で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部110に被処理ウェハWの非接合面WNが吸着保持され、第2の保持部111に支持ウェハSの非接合面SNが吸着保持される。
続いて、加熱機構124、142によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図17及び図18に示すように移動機構150によって第2の保持部111と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。
このとき、剥離によって露出した被処理ウェハWに対応する第1の保持部110の熱板領域120a〜120eの温度は、温度制御部125の第1の相関に基づいて、第1の温度より高い温度である第2の温度、例えば230℃に制御される。同様に剥離によって露出した支持ウェハSに対応する第2の保持部111の熱板領域140a〜140eの温度は、温度制御部143の第2の相関に基づいて、第1の温度より高い温度である第2の温度、例えば230℃に制御される。
具体的には図17に示すように、第1の保持部110において最初に露出する被処理ウェハWに対応する熱板領域120aが第2の温度に制御される。このとき、温度制御部125から熱板領域120aに第2の温度に変更する温度制御信号が出力されても、熱板120の感度は良くないため、当該熱板領域120aは直ぐには第2の温度にならない。そこで、被処理ウェハWが露出されるタイミングを見越して、熱板領域120aの温度を制御する。例えば熱板領域120aの温度を第2の温度に制御するのに5秒かかる場合、被処理ウェハWが露出する5秒前に温度制御部125から熱板領域120aに温度制御信号が出力される。そして、被処理ウェハWが露出する際には熱板領域120aは第2の温度になっている。また、第2の保持部111において最初に露出する支持ウェハSに対応する熱板領域140eも、同様のタイミングで第2の温度に制御される。かかる場合、剥離により露出した被処理ウェハWと支持ウェハSが周囲の雰囲気に晒されても、露出した被処理ウェハWと支持ウェハSは周囲の雰囲気によって冷却される温度変化を補填するように、第2の温度に制御された熱板領域120a、140eによって加熱される。そして、当該露出した被処理ウェハWと支持ウェハSの温度は、接合された状態の被処理ウェハWや支持ウェハSと同じ温度に維持される。
続いて図18に示すように、第1の保持部110において次に露出する被処理ウェハWに対応する熱板領域120bが第2の温度に制御される。同様に、第2の保持部111において次に露出する支持ウェハSに対応する熱板領域140dが第2の温度に制御される。そうすると、当該露出した被処理ウェハWと支持ウェハSの温度は、接合された状態の被処理ウェハWや支持ウェハSと同じ温度に維持される。このように剥離処理中、被処理ウェハWと支持ウェハSの温度はそれぞれ面内均一に維持される。その結果、剥離処理中に被処理ウェハWと支持ウェハSに作用する荷重を一定にすることができる。
そして、図19に示すように第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとが剥離される(図13の工程A1)。
なお工程A1において、第2の保持部111は、鉛直方向に100μm移動し、且つ水平方向に300mm移動する。ここで、本実施の形態では、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面WJに形成されたデバイス(バンプ)の高さは例えば20μmである。したがって、被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離が微小となる。そこで、例えば第2の保持部111を水平方向にのみ移動させた場合、デバイスと支持ウェハSが接触し、デバイスが損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態のように第2の保持部111を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。なお、この第2の保持部111の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上のデバイス(バンプ)の高さに基づいて設定される。
その後、剥離装置30で剥離された被処理ウェハWは、第2の搬送装置32によって第1の洗浄装置31に搬送される。ここで、第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。
図20に示すように第2の搬送装置32の支持アーム231を伸長させて、ベルヌーイチャック230を第1の保持部110に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、ベルヌーイチャック230を上昇させ、第1の保持部110における吸引管123からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部110からベルヌーイチャック230に被処理ウェハWが受け渡される。その後、ベルヌーイチャック230を所定の位置まで下降させる。なお、被処理ウェハWはベルヌーイチャック230によって非接触の状態で保持される。このため、被処理ウェハWの接合面WJ上のデバイスが損傷を被ることなく被処理ウェハWが保持される。なお、このとき、第2の保持部111は第1の保持部110に対向する位置まで移動する。
次に図21に示すように、第2の搬送装置32の支持アーム231を回動させてベルヌーイチャック230を第1の洗浄装置31のポーラスチャック190の上方に移動させると共に、ベルヌーイチャック230を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ポーラスチャック190をカップ194よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、ベルヌーイチャック230からポーラスチャック190に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
このようにポーラスチャック190に被処理ウェハWが吸着保持されると、ポーラスチャック190を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム201によって待機部204の洗浄液ノズル202を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、ポーラスチャック190によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル202から被処理ウェハWの接合面WJに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面WJの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面WJが洗浄される(図13の工程A2)。
ここで、上述したように搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程A2で接合面WJが洗浄された後、非接合面WNが下方を向いた状態で第3の搬送装置51によって検査装置7に搬送される。なお、この第3の搬送装置51による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
検査装置7に搬送された被処理ウェハWは、受渡位置P1においてポーラスチャック290上に保持される。続いて、チャック駆動部293によってポーラスチャック290をアライメント位置P2まで移動させる。次に、センサ295によって被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出しながら、チャック駆動部293によってポーラスチャック290を回転させる。そして、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調整して、当該被処理ウェハWを所定の向きに配置する。
その後、チャック駆動部293によってポーラスチャック290をアライメント位置P2から受渡位置P1に移動させる。そして、被処理ウェハWがハーフミラー301の下を通過する際に、照明装置302から被処理ウェハWに対して照明を照らす。この照明による被処理ウェハW上での反射光は撮像装置300に取り込まれ、撮像装置300において被処理ウェハWの接合面WJの画像が撮像される。撮像された被処理ウェハWの接合面WJの画像は制御部350に出力され、制御部350において、被処理ウェハWの接合面WJにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される(図13の工程A3)。
検査装置7において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置51により検査後洗浄ステーション8の接合面洗浄装置40に搬送され、接合面洗浄装置40において接合面WJ上の接着剤Gが除去される(図13の工程A4)。なお、この工程A4は、上述した工程A2と同様であるので説明を省略する。また、例えば検査装置7において接着剤Gの残渣がないと確認された場合、工程A4を省略してもよい。
接合面WJが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置51によって反転装置42に搬送され、反転装置42により表裏面を反転、すなわち上下方向に反転される(図13の工程A5)。ここで、反転装置42による被処理ウェハWの反転方法について説明する。
接合面洗浄装置40で接合面WJが洗浄され被処理ウェハWは、図22に示すように、第3の搬送装置51のベルヌーイチャック230により接合面WJを保持された状態で反転装置42に搬送される。そして、被処理ウェハWは、反転装置42の第2の保持部261に接合面WJを上方に向けた状態で受け渡され、第2の保持部261により被処理ウェハWの非接合面WNの全面が保持される。
次いで、第3の搬送装置51のベルヌーイチャック230を第2の保持部261の上方から退避させ、その後、駆動部283により第2の保持部261を上昇、換言すれば、図23に示すように第1の保持部260に接近させる。そして、第1の保持部260により被処理ウェハWの接合面WJを保持すると共に、第2の保持部261による被処理ウェハWの保持を停止して、被処理ウェハWを第1の保持部260に受け渡す。これにより図24に示すように、被処理ウェハWが第1の保持部260により、非接合面WNを下方に向けた状態で保持される。
その後、第2の保持部261を下降させて第1の保持部260と第2の保持部261を離隔し、次いで退避していた第3の搬送装置51のベルヌーイチャック230を水平軸回りに回動させる。そして、ベルヌーイチャック230が上方を向いた状態で、当該ベルヌーイチャック230を第1の保持部260の下方に配置する。次いでベルヌーイチャック230を上昇させ、それと共に第1の保持部260による被処理ウェハWの保持を停止する。これにより、接合面洗浄装置40に搬入される際にベルヌーイチャック230により接合面WJを保持されていた被処理ウェハWは、図25に示すように、ベルヌーイチャック230により非接合面WNが保持された状態となる。すなわち、ベルヌーイチャック230により保持される被処理ウェハの面の表裏が反転した状態となる。その後、被処理ウェハWの非接合面WNを保持した状態で、ベルヌーイチャック230を反転装置42から退避させる。
なお、検査装置7において接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄装置40に搬送されることなく反転装置42にて被処理ウェハWの反転が行われるが、反転の方法については、上述の方法と同様である。
その後、被処理ウェハWを保持した状態で第3の搬送装置51のベルヌーイチャック230を水平軸回りに回動させ、被処理ウェハWを上下方向に反転させる。そして、被処理ウェハWは、非接合面WNが上方を向いた状態でベルヌーイチャック230により再び検査装置7に搬送され、非接合面WNの検査が行われる(図13の工程A6)。そして、非接合面WNにパーティクルの汚れが確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置51によって非接合面洗浄装置41に搬送され、非接合面洗浄装置41において非接合面WNが洗浄される(図13の工程A7)。なお、この工程A7は、上述した工程A2と同様であるので説明を省略する。また、例えば検査装置7において接着剤Gの残渣がないと確認された場合、工程A7を省略してもよい。
次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置51によって後処理ステーション4に搬送される。なお、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄装置41に搬送されることなくそのまま後処理ステーション4に搬送される。
その後、後処理ステーション4において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図13の工程A8)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程A2及びA3で接合面WJが洗浄された後、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図13の工程A9)。
被処理ウェハWに上述した工程A2〜A9が行われている間、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって第2の洗浄装置33に搬送される。そして、第2の洗浄装置33において、支持ウェハSの接合面SJ上の接着剤が除去されて、接合面SJが洗浄される(図13の工程A10)。なお、工程A10における支持ウェハSの洗浄は、上述した工程A2における被処理ウェハW上の接着剤Gの除去と同様であるので説明を省略する。
その後、接合面SJが洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図13の工程A11)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
以上の実施の形態によれば、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと第2の保持部111に保持された支持ウェハSをそれぞれ加熱機構124、142によって第1の温度で加熱しながら、移動機構150によって第2の保持部111を水平方向に移動させて、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する。そして、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際に、剥離により露出した被処理ウェハに対応する第1の保持部110の熱板領域120a〜120eの加熱温度を第1の温度よりも高い第2の温度に制御する。同様に、剥離により露出した支持ウェハSに対応する第2の保持部111の熱板領域140a〜140eの加熱温度を第1の温度よりも高い第2の温度に制御する。そうすると、露出した被処理ウェハWと支持ウェハSの表面が周囲の処理雰囲気に晒されても、露出した被処理ウェハWと支持ウェハSの表面の温度を、接合された状態の被処理ウェハWと支持ウェハSの表面の温度を同一にすることができる。すなわち、被処理ウェハWと支持ウェハSの表面内の温度を均一にすることができる。したがって、剥離処理の際に被処理ウェハWと支持ウェハSに作用する荷重を一定にすることができ、被処理ウェハWと支持ウェハの剥離処理を適切に行うことができる。
また、第1の保持部110の熱板領域120a〜120eと第2の保持部111の熱板領域140a〜140eは、第2の保持部111の移動方向に沿って区画されているので、露出した被処理ウェハWと支持ウェハSの温度を適切に制御することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの表面内の温度をより確実に均一にすることができる。
また、温度制御部125、143にはそれぞれ第1の相関と第2の相関が記録されているので、これら第1の相関と第2の相関に基づいて、第1の保持部110の熱板領域120a〜120eと第2の保持部111の熱板領域140a〜140eを容易に制御することができる。
以上の実施の形態の剥離システム1によれば、剥離装置30において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置31において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置33において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム1内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
以上の実施の形態の第1の保持部110の熱板領域120a〜120eは、第2の保持部111の移動方向に沿ってこの順で並べて配置されていたが、熱板領域120a〜120eの数や配置はこれに限定されず任意に設定することができる。同様に、第2の保持部111の熱板領域140a〜140eの数や配置もこれに限定されず任意に設定することができる。
以上の実施の形態では、剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第1の保持部110を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部110と第2の保持部111の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
以上の剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第2の保持部111を水平方向のみに移動させ、当該第2の保持部111の移動速度を変化させてもよい。具体的には、第2の保持部111を移動させ始める際の移動速度を低速にし、その後徐々に移動速度を加速してもよい。すなわち、第2の保持部111を移動させ始める際には、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が大きく、被処理ウェハW上のデバイスが接着剤Gの影響を受け易いため、第2の保持部111の移動速度を低速にする。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が小さくなるにつれ、被処理ウェハW上のデバイスが接着剤Gの影響を受け難くなるため、第2の保持部111の移動速度を徐々に加速する。かかる場合でも、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。
また、以上の実施の形態では、剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、例えば被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離が十分大きい場合には、第2の保持部111を水平方向にのみ移動させてもよい。かかる場合、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避できると共に、第2の保持部111の移動の制御が容易になる。さらに、第2の保持部111を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよい。
以上の実施の形態の剥離装置30において、第1の保持部110と第2の保持部111との間の処理空間を覆うカバー(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、処理空間を不活性ガスの雰囲気にすることにより、被処理ウェハWが加熱処理されても、当該被処理ウェハWの接合面WJ上のデバイスに酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
また、以上の実施の形態の剥離装置30において、第2の保持部111に追従して水平方向に移動可能であって、複数の孔から不活性ガスを供給するポーラスプレート(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、重合ウェハTを剥離するために第2の保持部111を移動させる際、第2の保持部111に追従してポーラスプレートを移動させながら、剥離により露出した被処理ウェハWの接合面WJに不活性ガスを供給する。そうすると、被処理ウェハWが加熱処理されても、被処理ウェハWの接合面WJ上のデバイスに酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
なお、以上の実施の形態の剥離装置30では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
以上の実施の形態では、第1の洗浄装置31、第2の洗浄装置32、接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41の洗浄液ノズル202には2流体ノズルが用いられていたが、洗浄液ノズル202の形態は本実施の形態に限定されず種々のノズルを用いることができる。例えば洗浄液ノズル202として、有機溶剤を供給するノズルと不活性ガスを供給するノズルとを一体化したノズル体や、スプレーノズル、ジェットノズル、メガソニックノズルなどを用いてもよい。また、洗浄処理のスループットを向上させるため、例えば80℃に加熱された洗浄液を供給してもよい。
また、第1の洗浄装置31、第2の洗浄装置32、接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41において、洗浄液ノズル202に加えて、IPA(イソプロピルアルコール)を供給するノズルを設けてもよい。かかる場合、洗浄液ノズル202からの洗浄液によって被処理ウェハW又は支持ウェハSを洗浄した後、被処理ウェハW又は支持ウェハS上の洗浄液をIPAに置換する。そうすると、被処理ウェハW又は支持ウェハSの接合面WJ、SJがより確実に洗浄される。
また、検査装置7の構成は上記実施の形態の構成に限定されない。検査装置7は、被処理ウェハWの画像を撮像して、当該被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無と酸化膜の残渣の有無が検査できれば、種々の構成を取り得る。
以上の実施の形態の剥離システム1において、剥離装置30で加熱された被処理ウェハWを所定の温度に冷却する温度調節装置(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、被処理ウェハWの温度が適切な温度に調節されるので、後続の処理をより円滑に行うことができる。
以上の実施の形態の重合ウェハTには、当該重合ウェハTの損傷を抑制するための保護部材、例えばダイシングフレーム(図示せず)が設けられていてもよい。ダイシングフレームは、被処理ウェハW側に設けられている。そして、被処理ウェハWが支持ウェハSから剥離された後も、薄型化された被処理ウェハWはダイシングフレームに保護された状態で、所定の処理や搬送が行われる。したがって、剥離後の被処理ウェハWの損傷を抑制することができる。
以上の実施の形態では、後処理ステーション4において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。