JP5477303B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような熱処理は一般的に処理速度が遅く、太陽電池のコスト増につながるという問題がある。
また、この反射防止膜は、酸化膜を形成せずに直接半導体基板上に形成する場合もある。この場合の量産用太陽電池の断面構造を図2に示す。
反射防止膜形成後は、電極ペースト印刷等による電極をパターン印刷し、その後、焼成の工程を経て電極が形成される。
このとき、反射防止膜として形成した窒化膜は、膜中に多量に含まれる水素が成膜後の焼成により放出されて、酸化膜が存在する場合においては、酸化膜表面及び酸化膜中のダングリングボンドを終端する効果を副次的に得ることができる。また、酸化膜が存在しない場合においても、窒化膜中に含まれる水素が、半導体基板表面及び内部の欠陥を終端する効果を副次的に得ることができる。
このような問題に対して、特許文献1(特開2003−303984号公報)にあるように、シリコン基板上に形成した酸化膜等に、Si−H結合を有する液体又は固体を有機溶剤などに溶解した液体を塗布し焼成することによって、膜中のダングリングボンドを終端した膜を形成する技術がある。但し、この技術においては、反射防止効果を得る膜が得られず、再度エッチングして膜を除去した後に反射防止膜を別途形成させる必要があった。
また、特許文献2(特開2004−128438号公報)にあるように、屈折率が2.0近辺の酸化膜を、塗布及び乾燥、焼成により形成し、その後プラズマ発生装置を備えた設備にて水素ガスによるプラズマ照射を行う技術が存在するが、水素ガスはプラズマによる分解が難しく、酸化膜表面のパッシベーションを促進するのに30分以上のプラズマ照射が必要であった。
即ち、上述したように、太陽電池セルの表面パッシベーション膜として窒化膜及び酸化膜がある。半導体基板界面のパッシベーション膜としては有効であるが、窒化膜及び酸化膜表面はダングリングボンドが多く存在し、キャリアの寿命を低下させるという問題がある。これらを解決するために、水素アニール処理等のプロセスが有効であるものの、設備費用が高価であるほか工程増の問題があったが、本発明者らは、表面パッシベーション膜形成後、プラズマCVD法によるアンモニアガスを用いたプラズマ照射を行い、パッシベーション膜表面のパッシベーションを促進させることにより、パッシベーション膜が酸化膜の場合においては、後工程における反射防止膜形成と同一設備かつ連続にて処理が行えるため、水素アニール処理等の設備を追加することなく、低コストで太陽電池特性を向上させることができることを知見した。
請求項1:
P型半導体基板にPN接合を形成する工程と、該半導体基板に酸化膜であるパッシベーション膜を形成する工程と、次いで該パッシベーション膜表面上に対してアンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程と、該プラズマ照射の後、前記パッシベーション膜が形成された第一主表面上に窒化膜である反射防止膜を形成する工程と、次いで該反射防止膜表面上に対してアンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程とを有し、前記パッシベーション膜表面上へのプラズマ照射工程と、前記反射防止膜形成工程と、前記反射防止膜表面上へのプラズマ照射工程とを同一設備で連続して行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
請求項2:
半導体基板が単結晶シリコンからなる請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
請求項3:
前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程において、水素ガスと窒素ガスの少なくとも一方を更に含む請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
請求項4:
前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程において、アンモニアガスは、50〜2,000ml/minである請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
請求項5:
前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程が、プラズマCVD装置を使用して形成する工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
請求項6:
前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行うプラズマCVD装置において、プラズマ発生用電源の周波数は、ラジオ周波数又はマイクロ波であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池の製造方法。
請求項7:
前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行うプラズマCVD装置おいて、前記アンモニアプラズマ照射時の基板温度が、200〜600℃である請求項5又は6に記載の太陽電池の製造方法。
また、反射防止膜として窒化膜を形成するプロセスにおいて、窒化膜形成後アンモニアガスによるプラズマ照射を行うことにより、窒化膜界面のパッシベーションが促進すると同時に、窒化膜中に多量の水素を含有させ、窒化膜がより正電荷にシフトすることで、特性向上が可能となる。
高純度シリコンにホウ素あるいはガリウムのようなIII族元素をドープし、比抵抗0.1〜5Ω・cmとしたアズカット単結晶{100}P型シリコン基板201の表面のスライスダメージを、濃度5〜60wt%の水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような高濃度のアルカリ、もしくは、ふっ酸と硝酸の混酸などを用いてエッチングする。単結晶シリコン基板は、CZ法、FZ法いずれの方法によって作製されてもよい。
引き続き、基板表面にテクスチャと呼ばれる微小な凹凸形成を行う。テクスチャは太陽電池の反射率を低下させるための有効な方法である。テクスチャは、加熱した水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ溶液(濃度1〜10wt%、温度60〜100℃)中に10〜30分程度浸漬することで容易に作製される。上記溶液中に、所定量の2−プロパノールを溶解させ、反応を促進させることが多い。
この基板上に、オキシ塩化リンを用いた気相拡散法によりエミッタ層(拡散層)202を形成する[図3(B)]。一般的なシリコン太陽電池は、PN接合を受光面にのみ形成する必要があり、これを達成するために基板同士を2枚重ね合わせた状態で拡散したり、拡散前に裏面にSiO2膜やSiNx膜などを拡散マスクとして形成して、裏面にPN接合ができないような工夫を施す必要がある。拡散後、表面にできたガラスをふっ酸などで除去する。
次に、酸化膜203の形成を行う[図3(C)]。酸素雰囲気下において、高温熱処理を行うことで酸化膜を通常100〜200nm形成する。なお酸化膜の形成は、この手法に限らずCVD法であってもよい。
次に、アンモニアプラズマ照射204[図3(D)]及び受光面の反射防止膜205の形成を行う[図3(E)]。この工程では、成膜にはプラズマCVD装置を用い、アンモニアガスを供給したチャンバー内にてプラズマ照射を実施したのち、連続して反射防止膜として窒化膜を50〜150nm、通常約100nm成膜する。アンモニアガスはプラズマにより励起され、水素ラジカルを生じ、半導体基板上の酸化膜に打ち込まれ、水素終端に寄与する。また、アンモニアガスは50〜2,000ml/min供給するのが望ましい。このとき、アンモニアガスに水素ガス及び/又は窒素ガスを50〜2,000ml/min程度加えてもよい。また、プラズマ発生用電源の周波数は、ラジオ周波数又はマイクロ波であることが望ましい。更にアンモニアプラズマを照射する際の基板の温度は200〜600℃にするとよい。
即ち、図4において、(A)、(B)の工程は、図3の(A)、(B)の工程と同じであるが、この場合は、エミッタ層(拡散層)202上に直接反射防止膜205として窒化膜を形成し[図4(C)]、次いでこの反射防止膜205にアンモニアプラズマ照射206を行う[図4(D)]。なお、アンモニアプラズマ照射の方法、条件は上述した通りである。その後の工程[図4(E)、(F)、(G)]は、図3の(F)、(G)、(H)とそれぞれ同様である。
本発明の有効性を確認するため、本発明の方法により実際に太陽電池を作製し、太陽電池特性の比較を行った。図5に酸化膜が形成された場合のアンモニアプラズマ照射のモデルを示す。単結晶シリコンからなる半導体基板301に基板の導電型と反対の薄い拡散層302を形成し、その上に酸化膜303が形成された後、アンモニアプラズマを照射した状態を示す。プラズマCVD装置内に供給されたアンモニアガス306はプラズマにより励起され、水素ラジカル307を生じ、半導体基板301上の酸化膜303に打ち込まれ、酸化膜表面及び酸化膜中の水素終端に寄与する。
また、もう一つの本発明の有効性を確認するため、酸化膜が形成されない場合のアンモニアプラズマ照射のモデルを図7に示す。多結晶シリコンからなる半導体基板301に基板の導電型と反対の薄い拡散層302を形成し、次に反射防止膜305を形成した。反射防止膜形成後にプラズマCVD装置内に供給されたアンモニアガス306は、プラズマにより励起され、生じた水素ラジカル307が反射防止膜305に打ち込まれ、膜中に多くの水素が取り込まれる。窒化膜表面のパッシベーション効果が得られると同時に、もともと正電荷である窒化膜がより正電荷にシフトすることにより、太陽電池の特性が向上する。
更に、本発明の有効性を確認するため、酸化膜形成後にアンモニアプラズマ照射し、かつ反射防止膜を形成した後、更にアンモニアプラズマを照射した場合の実験フローを図9に示す。厚さ250μm、比抵抗1Ω・cmの、ホウ素ドープ{100}P型アズカット単結晶シリコン基板18枚に対し、本発明が条件(G)及び(H)であり、(G)が酸化膜形成後、反射防止膜形成後にそれぞれアンモニアプラズマ照射を30秒行ったもの、(H)がアンモニアプラズマ照射をそれぞれ60秒行ったものである。また、アンモニアプラズマ照射を行わなかったものが条件(I)である。なお、アンモニアプラズマ照射条件は、いずれも参考例1,2と同様とした。反射防止膜は同一膜、同一条件にて形成した。(G)、(H)、(I)条件共に6枚ずつ作製した。
また本発明により、反射防止膜として窒化膜を形成した場合において、膜形成後のアンモニアガスによるプラズマ照射は、窒化膜表面のパッシベーションを促進すると同時に、膜中の水素量が増えることで、より正電荷にシフトすることにより、太陽電池特性を向上させることができる、この場合においても、アンモニアガスによるプラズマ照射は、反射防止膜形成と同一装置、同一チャンバー内で連続して処理することが可能であり、新たな設備増強を伴うことなくかつ短時間で太陽電池特性を向上させることができる。
102、202、302・・・拡散層
103、203、303・・・酸化膜
204 ・・・アンモニアプラズマ照射された酸化膜
104、205、305・・・反射防止膜
206 ・・・アンモニアプラズマ照射された窒化膜
105、207 ・・・Al層(Al電極)
106、208 ・・・BSF層
107、209 ・・・受光面電極
306 ・・・アンモニアガス
307 ・・・水素ラジカル
Claims (7)
- P型半導体基板にPN接合を形成する工程と、該半導体基板に酸化膜であるパッシベーション膜を形成する工程と、次いで該パッシベーション膜表面上に対してアンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程と、該プラズマ照射の後、前記パッシベーション膜が形成された第一主表面上に窒化膜である反射防止膜を形成する工程と、次いで該反射防止膜表面上に対してアンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程とを有し、前記パッシベーション膜表面上へのプラズマ照射工程と、前記反射防止膜形成工程と、前記反射防止膜表面上へのプラズマ照射工程とを同一設備で連続して行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
- 半導体基板が単結晶シリコンからなる請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程において、水素ガスと窒素ガスの少なくとも一方を更に含む請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程において、アンモニアガスは、50〜2,000ml/minである請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行う工程が、プラズマCVD装置を使用して形成する工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行うプラズマCVD装置において、プラズマ発生用電源の周波数は、ラジオ周波数又はマイクロ波であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記アンモニアガスによるプラズマ照射を行うプラズマCVD装置おいて、前記アンモニアプラズマ照射時の基板温度が、200〜600℃である請求項5又は6に記載の太陽電池の製造方法。
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