JP6688244B2 - 高効率太陽電池の製造方法及び太陽電池セルの製造システム - Google Patents

高効率太陽電池の製造方法及び太陽電池セルの製造システム Download PDF

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本発明は、高効率太陽電池及びその製造方法に関する。
図12は従来技術による裏面接合型n型シリコン太陽電池1200を示したものである。n型シリコン基板1210の背面全体をp型の導電型を持つp型ドープ層1212が覆ってエミッタを形成し、p型ドープ層1212を覆うようにエミッタ電極1222が形成されている。p型ドープ層1212は、プロセスが簡便であることから、アルミニウム粉をバインダー等と混合させたペーストをスクリーン印刷等で基板に塗布してからシリコンとアルミニウムの共融点以上の温度で加熱することで形成されることが多い。この熱処理ではシリコンとアルミニウムの接触面で両者の溶解と再結晶化が起きるが、固化したアルミニウムと基板の界面にはアルミニウム原子が結晶シリコンの格子に多数置換され、p型の導電型が発現する。また、塗布されたペーストのバルク部は焼結のみが進んでそのままエミッタ電極1222となる。一方、受光面にはn型の導電型であり且つ基板1210よりも電子濃度が高いベース層1213が形成されている。ベース層1213は、オキシ塩化リン等を用いた気相拡散により、リンを添加することで形成されることが多い。ベース層1213上にはパッシベーション膜1245が形成されている。パッシベーション膜1245は反射防止効果と基板表面の欠陥終端を兼ねる必要があり、この観点から窒化シリコンや酸化シリコン等がよく使われている。また、ベース電極1223がパッシベーション膜1245を貫通し、ベース層1213に接触するように形成されている。ベース電極1223は、一般にコストの面から銀等の金属微粒子を有機バインダーに混ぜた金属ペーストを、スクリーン版等を用いて印刷し、熱処理により金属粒子を焼結して基板と接着することで形成されることが多い。電極形成は誘電体膜形成後に行うのが一般的である。そのため電極とシリコンを接触させるには、電極−シリコン間の誘電体膜を除去する必要があるが、金属ペースト中のガラス成分や添加物を調整することで、金属ペーストがパッシベーション膜1245を貫通してシリコンに接触する、所謂ファイアスルーが可能になっている。
図13は、従来技術による別の形態である、裏面電極型n型シリコン太陽電池1300を示したものである。この形態では、基板1310の受光面側にはパッシベーション膜1345のみが形成されているため、受光面での電極による光学的損失が無くなり、太陽電池における光電流を増加させることが可能になっている。図12同様、パッシベーション膜1345には窒化シリコンや酸化シリコン等がよく使われている。なお、同図には示されていないが、受光面でのキャリア再結合を抑制するために、パッシベーション膜1345の下にリンやボロン等のドーパントを適宜添加して浮遊電界層を形成することもある。一方、基板裏面にはp型ドープ層1312がエミッタとなり、ベース層1313と並ぶように形成されている。またベース層1313の表面にはパッシベーション膜1344が形成されている。ここでもパッシベーション膜1345と同様に窒化シリコンや酸化シリコン等が用いられる。ベース電極1323は、図12のベース電極1223と同様の形態が適用され、パッシベーション膜1344を貫通し、ベース層1313に接触するように形成されている。エミッタ電極1322はp型ドープ層1312に接触するように形成されている。
これらの従来技術は、n型太陽電池を比較的容易に作製できるという利点があるものの、アルミニウム添加によるp型ドープ層では、p型ドープ層の内部やp型ドープ層とエミッタ電極界面での欠陥密度が高いために太陽電池特性が低いという課題があった。またドーパントが高濃度添加されたp型ドープ層では光吸収による光学的損失が大きく、太陽電池裏面に到達する長波長光の量子効率が低いという課題があった。
これらの課題に対し、図12の態様において、p型ドープ層の大部分をボロン拡散で形成し、更にその表面を酸化アルミニウムと酸窒化シリコン膜で覆うことによりエミッタの内部と表面での欠陥密度を低減した太陽電池が提案されている(例えば非特許文献1)。
また非特許文献2では図13の態様において、アルミニウム添加のp型ドープ層上に残った金属アルミニウムを一度除去し、その上をパッシベーション膜で覆うことによりエミッタ表面での欠陥密度を低減し、更に光閉じ込め効果によって長波長光の量子効率を改善した太陽電池が提案されている。また、非特許文献3ではホウ素拡散層上に酸化アルミニウムを形成した太陽電池が提案されている。
J.Cho et al., Energy Procedia 77 (2015),279−285 R.Bock et al., Appl. Phys. Lett. 96, 263507 (2010) C. Reichel et al., Presented at the 35th PVSC, June 20−25, 2010, Honolulu, Hawaii
しかしながら、p型ドープ層での光吸収損失は当該領域中の電荷キャリア濃度に依存するため、p型ドープ層をボロン添加で形成しても改善はできない。更にパッシベーション膜の欠陥終端効果もまた、基板の電荷キャリア濃度に依存するため、アルミニウムやボロン等のドーパントが高濃度添加された表面に対しては効果が限定的になるという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、光電変換効率が高くかつ安価な太陽電池を提供することを目的とする。また、本発明は、製造が簡便でパッシベーション効果が高く、高光電変換効率が高い太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の少なくとも一部に、p型の導電型を付与するドーパントが前記n型結晶シリコン基板の電子濃度よりも高濃度に添加されたp型ドープ層が形成され、
負の固定電荷を有する誘電体膜が、前記第一主表面の前記p型ドープ層形成部を除く領域の少なくとも一部を覆うように形成され、
前記誘電体膜直下にp型反転層を有し、該p型反転層が前記p型ドープ層と接するものであり、
前記ドーパントがアルミニウムを含むことを特徴とする太陽電池を提供する。
このように、p型ドープ層を局所的に形成することで光吸収損失を低減することができる。また負の固定電荷をもつ誘電体膜に覆われた基板表面では、電界効果によって形成されたp型反転層(以下、単に「反転層」とも称する)がp型ドープ層によるpn接合と接続されてエミッタとして機能する。このようにしてできたエミッタではキャリア濃度が比較的低く、更に添加ドーパント(不純物)に由来する欠陥等も無いため電荷キャリアの再結合が抑制されるので、光電変換効率の高い太陽電池が実現できる。また、p型ドープ層に添加されるドーパントがアルミニウムを含むため、製造時にp型ドープ層用の電極(エミッタ電極)とp型ドープ層を同時に形成することができ、製造が簡便である。
また、前記誘電体膜は、酸化アルミニウムを含む膜で構成されていることが好ましい。
このように、誘電体膜としては酸化アルミニウム膜が好適に用いられる。
また、前記p型反転層の形成領域の面積が、前記p型ドープ層の形成領域の面積より大きいものであることが好ましい。
このような太陽電池であれば、太陽電池特性を最大化することができる。
更に本発明では、上記本発明の太陽電池を電気的に接続して成るものであることを特徴とする太陽電池モジュールを提供する。
このように、本発明の太陽電池を電気的に接続して太陽電池モジュールとすることができる。
更に本発明では、上記本発明の太陽電池モジュールを電気的に複数接続して成るものであることを特徴とする太陽電池発電システムを提供する。
このように、本発明の太陽電池を電気的に接続した太陽電池モジュールは、複数接続して太陽電池発電システムとすることができる。
更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の少なくとも一部に、負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上の少なくとも一部にアルミニウムとガラスフリットとを含有する導電性材料を塗布する工程と、
前記導電性材料が塗布された前記n型結晶シリコン基板を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理することにより、前記導電性材料が前記誘電体膜をファイアスルーして前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンと接触し、更に前記導電性材料に含まれるアルミニウムと前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンが反応することによりp型ドープ層を形成する工程と
を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法を提供する。
このようにファイアスルー性の導電性材料(アルミニウムペースト)を用いることにより、局在型のp型ドープ層を効率よく形成でき、更に誘電体膜の負の固定電荷が基板の表面のパッシベーションとエミッタ形成を兼ねるため、製造工程が簡素化されるので、太陽電池を安価に製造することができる。
更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の少なくとも一部に、負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜の一部を除去して開口部を形成する工程と、
前記開口部を含む領域にアルミニウムを主成分とする導電性材料を塗布する工程と、
前記導電性材料が塗布された前記n型結晶シリコン基板を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、前記導電性材料の主成分であるアルミニウムと前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層を形成する工程と
を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法を提供する。
このような太陽電池の製造方法であれば、導電性材料としてより一般的で安価なアルミニウム材料が利用できるので、太陽電池を安価に製造することができる。
更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の一部に、アルミニウムを主成分とする導電性材料を塗布する工程と、
前記導電性材料が塗布された前記n型結晶シリコン基板をアルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、前記導電性材料の主成分であるアルミニウムと前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層を形成する工程と、
前記熱処理後、前記n型結晶シリコン基板上に残留した前記導電性材料を除去する工程と、
前記第一主表面の前記p型ドープ層に隣接し且つ前記n型結晶シリコン基板と同じ電子密度を有する領域の少なくとも一部に負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する工程と
を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法を提供する。
このような太陽電池の製造方法であれば、n型結晶シリコン基板と同じ電子密度を有する領域の少なくとも一部に負の固定電荷を有する誘電体膜を形成することにより、誘電体膜直下に反転層を有する太陽電池が得られ、高効率な太陽電池を安定的に製造することができる。
更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の少なくとも一部に、負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する装置と、
前記誘電体膜上の少なくとも一部にアルミニウムとガラスフリットとを含有する導電性材料を塗布する装置と、
前記導電性材料が塗布された前記n型結晶シリコン基板を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理することにより、前記導電性材料が前記誘電体膜をファイアスルーして前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンと接触し、更に前記導電性材料に含まれるアルミニウムと前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンが反応することによりp型ドープ層を形成する装置と
を含むことを特徴とする太陽電池セルの製造システムを提供する。
このような太陽電池セルの製造システムであれば、少ない装置で簡便に太陽電池セルを製造可能なシステムとなる。
更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の少なくとも一部に、負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する装置と、
前記誘電体膜の一部を除去して開口部を形成する装置と、
前記開口部を含む領域にアルミニウムを主成分とする導電性材料を塗布する装置と、
前記導電性材料が塗布された前記n型結晶シリコン基板を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、前記導電性材料の主成分であるアルミニウムと前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層を形成する装置と
を含むことを特徴とする太陽電池セルの製造システムを提供する。
このような太陽電池セルの製造システムであれば、より安価で簡便に太陽電池セルを製造可能なシステムとなる。
更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の一部に、アルミニウムを主成分とする導電性材料を塗布する装置と、
前記導電性材料が塗布された前記n型結晶シリコン基板をアルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、前記導電性材料の主成分であるアルミニウムと前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層を形成する装置と、
前記熱処理後、前記n型結晶シリコン基板上に残留した前記導電性材料を除去する装置と、
前記第一主表面の前記p型ドープ層に隣接し且つ前記n型結晶シリコン基板と同じ電子密度を有する領域の少なくとも一部に負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する装置と
を含むことを特徴とする太陽電池セルの製造システムを提供する。
このような太陽電池セルの製造システムであれば、より簡便に太陽電池セルを製造可能なシステムとなる。
本発明の太陽電池であれば、エミッタの大部分を誘電体膜の固定電荷によって形成することができるため、エミッタでの光吸収損失と電荷の再結合損失を低減することができる。また、本発明の太陽電池の製造方法によれば、エミッタの大部分を誘電体膜の固定電荷によって形成することができるため、エミッタでの光吸収損失と電荷の再結合損失を低減することができ、更に製造工程が簡略化されるため、光電変換効率の高い太陽電池を安価に高い生産性で製造することができる。
本発明に係る太陽電池の一形態を示す断面模式図である。 本発明に係る太陽電池の別の形態を示す断面模式図である。 本発明に係る太陽電池の製造方法を示す断面模式図である。 本発明に係る太陽電池の別の製造方法を示す断面模式図である。 本発明に係る太陽電池の更に別の製造方法を示す断面模式図である。 本発明に係る裏面電極型太陽電池の一形態を示す断面模式図である。 本発明に係る裏面電極型太陽電池の別の形態を示す断面模式図である。 本発明に係る裏面電極型太陽電池の製造方法を示す断面模式図である。 本発明に係る裏面電極型太陽電池の別の製造方法を示す断面模式図である。 本発明に係る太陽電池モジュールの一例を示す断面模式図である。 本発明に係る太陽電池発電システムの一例を示す模式図である。 従来技術に係る太陽電池を示す断面模式図である。 従来技術に係る裏面電極型太陽電池を示す断面模式図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、光電変換効率が高くかつ安価な太陽電池を提供することが求められている。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。その結果、負の固定電荷を有する誘電体膜が、n型結晶シリコン基板の第一主表面のp型ドープ層形成部を除く領域の少なくとも一部を覆うように形成された太陽電池が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本発明の太陽電池の実施態様を図1、2を用いて具体的に説明する。本発明の太陽電池100(200)は、n型の導電型をもつ結晶シリコン基板110(210)の第一主表面に、p型の導電型を付与するドーパントがn型結晶シリコン基板の電子濃度よりも高濃度に添加されたp型の導電型を有するp型ドープ層112(212)が局所的に形成されている。更に太陽電池100(200)は負の固定電荷を有する誘電体膜144(244)が同第一主表面においてp型ドープ層形成部を除く領域(p型ドープ層非形成部)の少なくとも一部を覆うように形成されている。更に太陽電池100(200)は誘電体膜144(244)直下にp型反転層192(292)を有し、該p型反転層がp型ドープ層112(212)と接するものである。本発明の太陽電池では、p型の導電型を付与するドーパントがアルミニウムを含む。また、図1、2に示すように、本発明の太陽電池は、p型ドープ層112(212)に接するエミッタ電極122(222)を通常有する。このように、p型ドープ層を局所的に形成することで光吸収損失を低減することができる。また負の固定電荷をもつ誘電体膜に覆われた基板表面では、電界効果によって形成された反転層がp型ドープ層によるpn接合と接続されてエミッタとして機能する。このようにしてできたエミッタではキャリア濃度が比較的低く、更に添加ドーパントに由来する欠陥等も無いため電荷キャリアの再結合が抑制されるので、光電変換効率の高い太陽電池が実現できる。また、p型ドープ層に添加されるドーパントがアルミニウムを含むため、製造時にエミッタ電極とp型ドープ層を同時に形成することができ、製造が簡便である。なお、n型結晶シリコン基板の「電子濃度」とはn型ドーパントの濃度ではなく、n型ドーパントがドープされた結果、基板が有することになる実際の電子濃度のことであるが、n型ドーパントの濃度とその電子濃度は実際にはほとんど同じになる。
また、p型反転層192(292)の形成領域の面積(占有面積)が、p型ドープ層112(212)の形成領域の面積(占有面積)より大きいものであることが好ましい。このような太陽電池であれば、太陽電池特性を最大化することができる。なお、図1、2に示すように、本発明においてp型反転層192(292)の形成領域の面積は基本的には誘電体膜144(244)形成領域の面積と同じになる。p型反転層192(292)の形成領域の面積はなるべく大きくした方がよいが、一方でp型ドープ層112(212)の占有面積が小さすぎてもエミッタ電極122(222)とp型ドープ層112(212)の接触面積が減少することにより電気抵抗が増加してしまう。このため、太陽電池の設計にもよるが、p型反転層192(292)の形成領域の面積に対しp型ドープ層112(212)の形成領域の面積割合は概ね1/4から1/40とするのが良い。
また、誘電体膜144(244)は、酸化アルミニウムを含む膜で構成されていることが好ましい。誘電体膜144(244)としては特にパッシベーション効果の高い酸化アルミニウムを含む膜を適用することで基板110(210)の裏面でのキャリア再結合損失をより効果的に抑制することができる。また図には示していないが、場合によっては更に酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、酸化チタン、窒化シリコン等と組み合わせて用いることで更に光損失を低減することも可能である。
一方、当該第一主表面の反対面(第二主表面)には、n型の導電型をもち且つ基板110(210)よりも高い導電率をもつベース層113が形成されている(図1参照)。ベース層113は図2に示したベース層213のように局所的に形成されても良い。これによりベース層における光吸収損失と電荷キャリアの再結合損失を抑制することが可能である。また、ベース層113(213)形成面にはパッシベーション膜145(245)が形成されている。パッシベーション膜145(245)には、例えば窒化シリコンが好適に用いられる。窒化シリコンはn型シリコン表面のパッシベーションとして一般的に用いられるものであるが、これに限らず、酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、酸化チタン等との組み合わせや、あるいはこれらの単体を代わりに用いても良い。またエミッタ電極122(222)は誘電体膜144(244)を貫通するようにしてp型ドープ層112(212)と接触し、ベース電極123(223)はパッシベーション膜145(245)を貫通するようにしてベース層113(213)に接触している。エミッタ電極122(222)及びベース電極123(223)は、銀、アルミニウム、銅等を主成分とする導電体の単層構造でも良いが、導電性や半田の濡れ性等を改善するために組成の異なる導電体を積層しても良い。ベース層113(213)側を受光面として用いる場合には、図2のように、エミッタ電極222が誘電体膜244を覆う構造にしてもよい。これによりエミッタ電極222が裏面への透過光を基板210へ反射させ量子効率を改善することが可能となる。この場合、アルミニウムペーストの焼結体を適用してもよいが、より高い光反射率を得るため、真空蒸着やスパッタによる膜厚1〜10μm程度のアルミニウム膜や銀膜を適用するのが好ましい。
以下では、図3を参照して、本発明の太陽電池(図1の態様)の製造方法の一例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
基板110は、例えば、抵抗率が0.1〜10Ω・cmのn型結晶シリコンである。同図中には示していないが、基板表面には光閉じ込めのための凹凸構造(テクスチャ)が形成されることが好ましい。凹凸構造は、基板110を酸性又はアルカリ溶液に一定時間浸漬することで得られる。酸性溶液には一般にフッ硝酸と酢酸、リン酸、硫酸、水等の混合酸溶液が用いられ、これに基板110を浸漬すると、基板加工時に荒れた表面の微細な溝が優先的にエッチングされる等して、凹凸構造が形成される。また、アルカリ溶液は、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム水溶液、あるいは水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液が用いられる。アルカリエッチングはSi−OH結合を形成することでエッチングを進行させるためエッチング速度が結晶面方位に依存し、エッチング速度の遅い面が露出した凹凸構造が得られる。
基板110の非受光面では必ずしも凹凸構造は必要ない。むしろ平坦化することにより表面積を減じてキャリア再結合損失を低減する効果が期待できる。その場合には、フッ硝酸を含んだ薬液を使用したスピンエッチングやインライン型の片面洗浄機が利用できる。
凹凸構造形成後、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等、若しくは、これらの混合液の酸性水溶液中で洗浄することが好ましい。コスト的及び特性的観点から、塩酸中での洗浄が好ましい。清浄度を向上するため、塩酸溶液中に、0.5〜5%の過酸化水素を混合させ、60〜90℃に加温して洗浄してもよい。
次に、図3(a)に示すように、n型結晶シリコン基板110の一方の主表面(第二主表面)にn型の導電型をもつベース層113を形成する。V族元素を含んだ拡散源であればベース層113を形成できるが、電気的特性と装置の簡便性から、例えばオキシ塩化リンを用いて800〜980℃で気相拡散するのがよい。本発明の太陽電池は、通常、ベース層113を基板110の片面にのみ形成する必要があり、これを達成するために基板同士を2枚重ね合わせた状態で拡散したり、反対面側に窒化シリコン等の拡散バリアを形成(不図示)したりして、所望の部位以外にリンが拡散されないように工夫を施すことが好ましい。また、気相拡散の他、リン化合物を基板に塗布して乾燥した後、800〜980℃で熱拡散してベース層113を形成しても良い。この方法によれば、基板の反対面へのリン拡散が比較的容易に抑制できる。またこの他にも、拡散剤によるスピンコート法、スプレー法等により片面拡散を行うことができる。
拡散後、表面にできたガラスをフッ酸等で除去する。
次に、図3(b)に示すように、n型結晶シリコン基板110の第一主表面の少なくとも一部に、負の固定電荷を有する誘電体膜144を形成する。具体的にはベース層113を形成した面の反対面に誘電体膜144を形成する。誘電体膜144は基板110の表面近傍に反転層を誘起させる必要があり、このため負の固定電荷密度が1×1011cm−2以上であることが好ましく、7×1011cm−2以上であることがより好ましい。このような膜としては酸化アルミニウム膜が好適に用いられ、これを約0.5〜100nm程度形成する。酸化アルミニウム膜の成膜方法にはCVD法(化学気相成長法)やALD法(原子層堆積法)が主に用いられるが、真空蒸着法やスパッタリング法を用いてもよい。CVD法やALD法の場合、反応にはトリメチルアルミニウムやジメチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムが使用でき、キャリアガスには水素やアルゴンあるいは窒素を用いるのが一般的である。また、アルキルアルミニウムの酸化剤として、酸素、水、オゾン、亜酸化窒素、二酸化炭素等が用いられる。酸化アルミニウム膜は、製膜温度が400℃以上であれば製膜後には既に十分な負電荷をもつことが多いが、製膜温度がこれより低い場合等で負電荷密度が不十分である場合には、400℃から550℃の不活性ガス中で30分から5分程度のポストアニールを追加しても良い。また誘電体膜144は、酸化アルミニウムを含む膜と酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、酸化チタン、窒化シリコン等を積層してもよい。この場合、積層する膜種に応じて従来の真空蒸着、スパッタ、CVD等といった製膜装置が使用できる。
次いで、ベース層113の上にパッシベーション膜145を形成する。パッシベーション膜145には窒化シリコン膜が好適に用いられる。窒化シリコン膜は主にモノシラン及びアンモニアの混合ガスを用いたCVD法によって形成することができる。またアンモニアの代わりに窒素を用いることも可能である。パッシベーション膜145は反射防止膜の役割も兼ねており、この目的のためモノシランの供給割合の他、水素ガスによる成膜種の希釈やプロセス圧力の調整、反応ガスの希釈を行うことにより、所望の屈折率を実現することができる。窒化シリコンはn型シリコン表面のパッシベーションとして一般的に用いられるものであるが、これに限らず、酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、酸化チタン等との組み合わせや、あるいはこれらの単体を代わりに用いてもよい。なお、パッシベーション膜145は誘電体膜144形成前に形成しても良いし、誘電体膜144のポストアニール前に形成しても良い。
次いで、パッシベーション膜の上に銀粉末とガラスフリットを有機バインダーと混合した銀ペースト等の導電性ペースト353をスクリーン印刷等で塗布して乾燥させる。次いで、誘電体膜144上の少なくとも一部にアルミニウムとガラスフリットとを含有する導電性材料352を塗布する。具体的には、例えば、誘電体膜144の上にアルミニウム粉末とガラスフリットを有機バインダーと混合したアルミニウムペースト352をスクリーン印刷等で塗布して乾燥させる(図3(c))。
この後基板110を焼成する。すなわち、図3(d)に示すように、導電性材料352が塗布されたn型結晶シリコン基板110を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理することにより、導電性材料352が誘電体膜144をファイアスルーしてn型結晶シリコン基板110を構成するシリコンと接触し、更に導電性材料352に含まれるアルミニウムとn型結晶シリコン基板110を構成するシリコンが反応することによりp型ドープ層112を形成する。焼成はシリコンとアルミニウムの共融点(577℃)以上の温度で行う必要があり、ベルト炉等により600℃から890℃程度、好ましくは700〜850℃程度の大気中で1秒〜30分間、好ましくは3秒〜10分間行う。この熱処理により、誘電体膜144がアルミニウムペースト352に侵食され、アルミニウムと基板110が接触する。シリコンとアルミニウムは接触した後に共に融解し、その後の冷却過程でシリコンがアルミニウムを多量に取り込んでp型ドープ層112を形成し、その上では未反応のアルミニウムが焼結されてエミッタ電極122となる(図3(d))。一方受光面では、上記熱処理により導電性ペースト353がパッシベーション膜145を侵食してベース層113に接触し、更に焼結されてベース電極123が形成される。なお、エミッタ電極122とベース電極123の焼成は、別々に行ってもよい。また、アルミニウムの加熱は上記方法の他、レーザー光を用いてもよい。この場合、上記のアルミニウムペーストを用いてもよいが、好ましくは真空蒸着やスパッタによりアルミニウムを誘電体膜144上に1から2μm形成する。その上からレーザー光を所定のパターン状に照射することでアルミニウムの加熱と誘電体膜144の除去を同時に行うことができ、p型ドープ層112とエミッタ電極122を同時に形成することができる。なお、負の固定電荷を有する誘電体膜144の存在により、n型結晶シリコン基板110にはp型反転層192が存在し、p型反転層192はp型ドープ層112と接する。
図3に示す方法は下記システムにより実現可能である。すなわち、更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の少なくとも一部に、負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する装置と、誘電体膜上の少なくとも一部にアルミニウムとガラスフリットとを含有する導電性材料を塗布する装置と、導電性材料が塗布されたn型結晶シリコン基板を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理することにより、導電性材料が誘電体膜をファイアスルーしてn型結晶シリコン基板を構成するシリコンと接触し、更に導電性材料に含まれるアルミニウムとn型結晶シリコン基板を構成するシリコンが反応することによりp型ドープ層を形成する装置とを含むことを特徴とする太陽電池セルの製造システムを提供する。このような太陽電池セルの製造システムであれば、少ない装置で簡便に太陽電池セルを製造可能なシステムとなる。誘電体膜を形成する装置としてはCVD装置、ALD装置が挙げられる。導電性材料を塗布する装置としてはスクリーン印刷機が挙げられる。導電性材料が塗布されたn型結晶シリコン基板を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理する装置としては、ベルト炉が挙げられる。
以下では、図4を参照して、本発明の太陽電池(図1の態様)の更に別の製造方法について一例を説明する。
図4(a)に示すように、n型結晶シリコン基板110にベース層113を図3(a)と同様に形成する。次に、図4(b)に示すように、n型結晶シリコン基板110の第一主表面の一部に、アルミニウムを主成分とする導電性材料462を塗布する。具体的には、例えば、ベース層113を形成した面の反対面にアルミニウム粉末とガラスフリットを有機バインダーと混合したアルミニウムペースト462をスクリーン印刷等で塗布して乾燥させる(図4(b))。
この後基板110を焼成する。すなわち、図4(c)に示すように、導電性材料462が塗布されたn型結晶シリコン基板110をアルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、導電性材料462の主成分であるアルミニウムとn型結晶シリコン基板110を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層112を形成する。焼成はシリコンとアルミニウムの共融点(577℃)以上の温度で行う必要があり、ベルト炉等により600℃から890℃程度、好ましくは700〜850℃程度の大気中で1秒〜30分間、好ましくは3秒〜10分間行う。この熱処理により、シリコンとアルミニウムが反応し、p型ドープ層112を形成し、未反応のアルミニウムペースト462は焼結されて基板上に残る(図4(c))。
次に、熱処理後、図4(d)に示すように、n型結晶シリコン基板110上に残留した導電性材料(残留アルミニウム)462を除去する。具体的には、焼結されたアルミニウムペースト462を、塩酸を用いた酸溶液で除去する。
続いて、図4(e)に示すように、p型ドープ層112を形成した面に誘電体膜144を形成する。具体的には、第一主表面のp型ドープ層112に隣接し且つn型結晶シリコン基板110と同じ電子密度を有する領域(ドープ層非形成部)の少なくとも一部に負の固定電荷を有する誘電体膜144を形成する。更にベース層113を形成した面にパッシベーション膜145を形成する。誘電体膜144とパッシベーション膜145の形成方法は図3(b)と同様に実施可能である。場合によっては誘電体膜144の形成後にポストアニールを加えても良い。また、パッシベーション膜145と誘電体膜144はどちらを先に形成しても良い。
次に、誘電体膜144の上に銀粉末とガラスフリットを有機バインダーと混合した銀ペースト等の導電性ペースト352をスクリーン印刷等で塗布して乾燥させ、次いでパッシベーション膜145の上にも同様に銀粉末とガラスフリットを有機バインダーと混合した銀ペースト等の導電性ペースト353をスクリーン印刷等で塗布して乾燥させる(図4(f))。この後基板110を焼成する。焼成はベルト炉等により600℃から890℃程度、好ましくは700〜850℃程度の大気中で1秒〜30分間、好ましくは3秒〜10分間行う。この熱処理により導電性ペースト352が誘電体膜144を侵食してp型ドープ層112に接触し、更に焼結されてエミッタ電極122となる。同時に、導電性ペースト353も同様にしてパッシベーション膜145を侵食した後に焼結されてベース電極123となる。なお、エミッタ電極122とベース電極123の形成は、別々に行ってもよい。なお、負の固定電荷を有する誘電体膜144の存在により、n型結晶シリコン基板110にはp型反転層192が存在し、p型反転層192はp型ドープ層112と接する。
図4に示す方法は下記システムにより実現可能である。すなわち、更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の一部に、アルミニウムを主成分とする導電性材料を塗布する装置と、導電性材料が塗布されたn型結晶シリコン基板をアルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、導電性材料の主成分であるアルミニウムとn型結晶シリコン基板を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層を形成する装置と、熱処理後、n型結晶シリコン基板上に残留した導電性材料を除去する装置と、第一主表面のp型ドープ層に隣接し且つn型結晶シリコン基板と同じ電子密度を有する領域の少なくとも一部に負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する装置とを含むことを特徴とする太陽電池セルの製造システムを提供する。このような太陽電池セルの製造システムであれば、より簡便に太陽電池セルを製造可能なシステムとなる。導電性材料を塗布する装置としてはスクリーン印刷機が挙げられる。導電性材料が塗布されたn型結晶シリコン基板をアルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理する装置としては、ベルト炉が挙げられる。導電性材料を除去する装置としては、酸溶液を含む槽、酸溶液を吐出可能なノズル等が挙げられる。誘電体膜を形成する装置としては、CVD装置、ALD装置が挙げられる。
以下では、図5を参照して、本発明の太陽電池(図2の態様)の製造方法の一例について説明する。
先ず、n型結晶シリコン基板210の一方の主表面(第二主表面)にベース層213をパターン形成する。このためには、リン化合物とバインダー等を混合したペースト状の拡散源をスクリーン印刷やディスペンサーによりパターン状に塗布し、800〜980℃で熱拡散する。図3と同様に、ここでもベース層213は基板210の片面にのみ形成する必要があり、これを達成するために基板同士を2枚重ね合わせた状態で拡散したり、反対面側に窒化シリコン等の拡散バリアを形成(不図示)したりして、所望の部位以外にリンが拡散されないように工夫を施すことが好ましい。またこの他にも、基板210上に塗布したリン拡散源をレーザーでパターン状に加熱してリンを基板210中へ拡散させても良いし、パターン状の開口が施されたメタルマスクを介したリンイオン注入を用いても良い。またオキシ塩化リン等による気相拡散を用いる場合には、予め基板210の当該主表面にシリコン酸化膜や窒化シリコン膜等を20〜100nm厚に形成して拡散バリア(図不示)とし、フォトリソグラフ等により所定のパターン状に開口部を設けておくことで、当該開口部へ選択的にリンを拡散することができる。
拡散後、表面にできたガラスをフッ酸等で除去する。
次に図5(b)に示すように、ベース層213形成面にパッシベーション膜245を形成する。また、n型結晶シリコン基板210の第一主表面の少なくとも一部に、負の固定電荷を有する誘電体膜244を形成する。具体的には、ベース層213形成した面の反対面に誘電体膜244を形成する。パッシベーション膜245と誘電体膜244の形成方法は図3(b)と同様に実施可能である。場合によっては誘電体膜244の形成後にポストアニールを加えても良い。また、パッシベーション膜245と誘電体膜244はどちらを先に形成しても良い。
続いて図5(c)に示すように、誘電体膜244の一部を除去し、開口部576を形成する。開口部576は、例えばレーザーアブレーションにより容易に形成可能である。レーザー光の波長はシリコンのバンドギャップ(1.1eV)以下であれば特に限定されないが、好ましくは、なるべく基板210への損傷を与えないようにするため、波長600nm以下のレーザーを使用するのが良い。また別の方法としては、例えばエッチングペーストをスクリーン印刷等で所定箇所に塗布し、誘電体膜244を溶解、除去しても良い。
次に、図5(d)に示すように、開口部576を含む領域にアルミニウムを主成分とする導電性材料572を塗布する。具体的には、例えば、アルミニウム粉末とガラスフリットを有機バインダーと混合したアルミニウムペースト572をスクリーン印刷等で誘電体膜244を覆うように塗布して乾燥させる。続いてパッシベーション膜245の上に銀粉末等とガラスフリットを有機バインダーと混合した導電性ペースト353をスクリーン印刷等で塗布して乾燥させる(図5(d))。
この後、図5(e)に示すように、導電性材料572が塗布されたn型結晶シリコン基板210を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、導電性材料572の主成分であるアルミニウムとn型結晶シリコン基板210を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層212を形成する。具体的には、ベルト炉等を使い、600℃から890℃程度、好ましくは700〜850℃程度の大気中で1秒〜30分間、好ましくは3秒〜10分間焼成する。この過程で、開口部576ではシリコンとアルミニウムが接触して融解し、冷却に伴いシリコンがアルミニウムを多量に取り込んでp型ドープ層212を形成する。シリコンと未反応のアルミニウムは焼結され、エミッタ電極222となる(図5(e))。一方、導電性ペースト353はパッシベーション膜245を侵食してベース層213に接触し、更に焼結されてベース電極223が形成される。
エミッタ電極222は、上記の方法の他、真空蒸着やスパッタを用いて形成してもよい。この場合誘電体膜244と開口部576を覆うようにアルミニウム膜を形成し、上記と同様に焼成する。
またエミッタ電極222は図1及び図3(d)のように局所的に形成しても良い。この場合、例えば上記のアルミニウムペースト572をスクリーン印刷等で開口部に合わせてパターン形成し、上記と同様に焼成する。
なお、エミッタ電極222とベース電極223の形成は、別々に行ってもよく、この場合エミッタ電極222を形成した後にベース電極223を形成してもよいし、ベース電極223を形成した後にエミッタ電極222を形成してもよい。なお、負の固定電荷を有する誘電体膜244の存在により、n型結晶シリコン基板210にはp型反転層292が存在し、p型反転層292はp型ドープ層212と接する。
図5に示す方法は下記システムにより実現可能である。すなわち、更に本発明では、n型結晶シリコン基板の第一主表面の少なくとも一部に、負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する装置と、誘電体膜の一部を除去して開口部を形成する装置と、開口部を含む領域にアルミニウムを主成分とする導電性材料を塗布する装置と、導電性材料が塗布されたn型結晶シリコン基板を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、導電性材料の主成分であるアルミニウムとn型結晶シリコン基板を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層を形成する装置とを含むことを特徴とする太陽電池セルの製造システムを提供する。このような太陽電池セルの製造システムであれば、より安価で簡便に太陽電池セルを製造可能なシステムとなる。誘電体膜を形成する装置としては、CVD装置、ALD装置が挙げられる。開口部を形成する装置としては、レーザーが挙げられる。導電性材料を塗布する装置としては、スクリーン印刷機が挙げられる。導電性材料が塗布されたn型結晶シリコン基板を、アルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理する装置としては、ベルト炉が挙げられる。
以上ではベース電極とエミッタ電極が基板の異なる面に形成された態様の太陽電池について説明したが、本発明はもう一つの態様として、所謂裏面電極型太陽電池とすることもできる。
図6は本発明を用いた裏面電極型太陽電池の断面を模式的に示したものである。なお、同図は受光面を上向きに示してある。太陽電池600は、n型の導電型をもつ結晶シリコン基板610の非受光面(裏面)に、p型の導電型を付与するドーパントがn型結晶シリコン基板の電子濃度よりも高濃度に添加されたp型の導電型を有するp型ドープ層612と、n型の導電型をもち且つ基板610よりも高い導電率をもつベース層613が所定の間隔を空けて局所的に形成されている。更に太陽電池600は、負の固定電荷を有する誘電体膜644が第一主表面(裏面)のp型ドープ層形成部を除く領域(p型ドープ層非形成部)の少なくとも一部を覆うように形成されている。更に太陽電池600は誘電体膜644直下にp型反転層692を有し、該p型反転層がp型ドープ層612と接するものである。本発明の太陽電池では、p型の導電型を付与するドーパントがアルミニウムを含む。また、図6に示すように、本発明の太陽電池は、p型ドープ層612に接するエミッタ電極622、ベース層613に接するベース電極623を通常有する。
前述の通り、電気抵抗との兼ね合いにより、反転層692の面積に対しp型ドープ層612の面積割合は概ね1/3から1/35とするのがよい。また、基板610の受光面にはパッシベーション膜645が形成されている。図6の形態では、図1及び図2の態様の太陽電池における各構成要素と同様のものが適用可能である。すなわち、誘電体膜644には酸化アルミニウムを含む膜が好適に用いられ、更に酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、酸化チタン、窒化シリコン等と組み合わせて用いることができる。またパッシベーション膜645には、窒化シリコンの他、酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、酸化チタン等を単体あるいは組み合わせて用いることができる。またエミッタ電極622及びベース電極623は、銀、アルミニウム、銅等を主成分とする導電体の単層構造でも良いし、組成の異なる導電体を積層しても良い。
図6は太陽電池裏面に誘電体膜644を一様に形成する態様であるが、この他にも図7の太陽電池700のように、ベース層713の表面の一部をパッシベーション膜754が覆う構造としてもよい。パッシベーション膜754はパッシベーション膜745(645)と同様に、窒化シリコンの他、酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム、酸化チタン等を単体あるいは組み合わせて用いることができる。なお710はn型結晶シリコン基板、744は誘電体膜、712はp型ドープ層、722はエミッタ電極、723はベース電極、792はp型反転層である。
以下では、図8を参照して、本発明の裏面電極型太陽電池(図6の態様)の製造方法の一例について説明する。なお、同図は受光面を上向きに示してある。
基板610は、図3と同様に準備したものが使用できる。すなわち、抵抗率が0.1〜10Ω・cmのn型結晶シリコンであり、表面に光閉じ込めのための凹凸構造(テクスチャ)が形成された基板が好適に用いられる。非受光面(裏面)は平坦化してもよい。この場合フッ硝酸溶液等を用いたスピンエッチャーやインライン型の片面洗浄機が使用できる。
先ず基板610の裏面にベース層613をパターン形成する(図8(a))。このためには、リン化合物とバインダー等を混合したペースト状の拡散源をスクリーン印刷やディスペンサーによりパターン状に塗布し、800〜980℃で熱拡散する。またこの他にも、基板610上に塗布したリン拡散源をレーザーでパターン状に加熱してリンを基板610中へ拡散させても良いし、パターン状の開口が施されたメタルマスクを介したリンイオン注入を用いても良い。またオキシ塩化リン等による気相拡散を用いる場合には、予め基板610の表面にシリコン酸化膜や窒化シリコン膜等を20〜100nm厚に形成して拡散バリア(図不示)とし、レーザーアブレーション等により所定のパターン状に開口部を設けておくことで、当該開口部へ選択的にリンを拡散することができる。
拡散後、表面にできたガラス(図不示)をフッ酸等で除去する。
次に、図8(b)に示すように、基板610の裏面に誘電体膜644を形成する。誘電体膜644の性状と製法は、図3、図4、図5の誘電体膜144、244と同様であり、CVD法やALD法等による酸化アルミニウム膜が好適に用いられ、これを約0.5〜100nm程度形成する。またここで、酸化アルミニウム膜は、製膜温度が低い場合等で負電荷密度が不十分である場合には、400℃から550℃の不活性ガス中で30分から5分程度のポストアニールをしても良い。次いで、基板610の受光面にパッシベーション膜645を形成する。パッシベーション膜645の性状と製法は、図3、図4、図5のパッシベーション膜145、245と同様であり、CVD法による窒化シリコン膜等が好適に用いられる。パッシベーション膜645は誘電体膜644形成前に形成しても良いし、誘電体膜644のポストアニール前に形成しても良い。また窒化シリコンに限らず、酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、酸化チタン等との組み合わせや、あるいはこれらの単体を代わりに用いても良い。
またベース層表面の一部を図7の態様の太陽電池のようにパッシベーション膜で覆う場合には、ベース層713上の誘電体膜744を除去し、図9(a)に示すようにベース層713を露出させる。このためには例えばレーザーアブレーション法が好適に用いられる。レーザー光の波長はシリコンのバンドギャップ(1.1eV)以下であれば特に限定されるものではないが、なるべく基板710への損傷を与えないようにするため、波長600nm以下のレーザーを使用すると良い。また別の方法としては、例えばエッチングペーストをスクリーン印刷等で所定箇所に塗布して誘電体膜744を溶解、除去しても良い。なお、745はパッシベーション膜である。この後、図9(b)に示すように、基板710の裏面へ、ベース層用のパッシベーション膜754を形成する。パッシベーション膜754には基本的にパッシベーション膜745と同様のものを適用することができ、特に窒化シリコン膜が好適に用いられるが、これに限らず酸化シリコン、酸化錫、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、酸化チタン等との組み合わせや、あるいはこれらの単体を代わりに用いても良い。なお、パッシベーション膜754はパッシベーション膜745形成前に形成してもよいし、パッシベーション膜745と同時に形成してもよい。
次に、エミッタ電極とベース電極を形成する(図8(c)、図8(d)、図9(c)、図9(d))。エミッタ電極とベース電極は、図3と同様にして形成することができる。すなわち、銀粉末とガラスフリットを有機バインダーと混合した銀ペースト等の導電性ペースト353をスクリーン印刷等でベース層613(713)の位置に合わせて塗布し、更に乾燥させた後、アルミニウム粉末とガラスフリットを有機バインダーと混合したアルミニウムペースト352をスクリーン印刷等でベース層613(713)非形成箇所の上に塗布し、更に乾燥させる。この後ベルト炉等で基板610(710)を600℃から890℃程度、好ましくは700〜850℃程度の大気中で1秒〜30分間、好ましくは3秒〜10分間焼成する。この熱処理により、アルミニウムペースト352が誘電体膜644(744)とパッシベーション膜754を浸食し、更に基板610(710)と反応してp型ドープ層612(712)が形成される。またその上にシリコンと反応しなかったアルミニウムが焼結されてエミッタ電極622(722)となる。ベース層上では、上記熱処理により導電性ペースト353が誘電体膜644及びパッシベーション膜754を浸食し、ベース層613(713)に接触し、更に焼結されてベース電極623(723)が形成される。なお、ベース電極形成とエミッタ電極形成は分けて行ってもよい。また、アルミニウムの加熱は上記方法の他、レーザー光を用いてもよい。この場合、上記のアルミニウムペーストを用いてもよいが、好ましくは真空蒸着やスパッタによりアルミニウムを誘電体膜644(744)上に1から2μm形成する。その上からレーザー光を所定のパターン状に照射することでアルミニウムの加熱と誘電体膜644(744)及びパッシベーション膜754の除去が同時に行われ、p型ドープ層612(712)とエミッタ電極622(722)を同時に形成することができる。なお、負の固定電荷を有する誘電体膜644(744)の存在により、n型結晶シリコン基板610(710)にはp型反転層692(792)が存在し、p型反転層692(792)はp型ドープ層612(712)と接する。
上述した太陽電池は電気的に接続して太陽電池モジュールとすることができる。複数の太陽電池は電気的に直列接続することができる。図10に本発明の太陽電池モジュール1001の一例の断面図を示す。隣接する太陽電池1000同士がタブ1002によって電気的に連結されている。接続された太陽電池1000は、充填剤1003、カバーガラス1004及びバックシート1005によって封止されている。カバーガラス1004にはソーダライムガラスが広く使用される。また充填剤1003にはエチレンビニルアセテートやポリオレフィン又はシリコーン等が使用される。バックシート1005にはポリエチレンテレフタレートを使用した機能性フィルムが一般的に用いられている。
図11は本発明の太陽電池モジュールを連結した太陽電池発電システムの基本構成の一例を示した模式図である。複数の太陽電池モジュール1101が配線1102で連結され、インバータ1103を経由して外部負荷回路1104に発電電力を供給する。同図には示していないが、当該システムは発電した電力を蓄電する2次電池を更に備えていて良い。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例における「面積割合」とは、p型反転層の形成領域の面積に対するp型ドープ層の形成領域の面積割合のことである。
(実施例1)
厚さ180μm、比抵抗1Ω・cmの、リンドープn型アズカットシリコン基板に対し、熱濃水酸化カリウム水溶液によりスライスダメージを除去後、水酸化カリウム水溶液中に浸漬し、テクスチャ形成を行い、引き続き80℃の塩酸/過酸化水素混合溶液中で洗浄を行った。次に、該基板を2枚一組に重ね合わせて石英チューブ炉へ入れ、850℃のオキシ塩化リン雰囲気40分間で熱処理してベース層を形成した。この後、基板をフッ酸水溶液に浸漬してガラス層を除去し、純水洗浄を経て乾燥した。続いてプラズマCVD装置を用い、基板温度を400℃に保ちながらベース層形成面の反対面(裏面)をトリメチルアルミニウムと酸素を原料ガスとしたプラズマに曝し、酸化アルミニウム膜を10nm形成した。この後、基板を上記プラズマCVDの別チャンバーへ移し、基板温度を400℃に保ちながら基板裏面をモノシランとアンモニアを原料ガスとしたプラズマに曝し、パッシベーション膜となる窒化シリコン膜を90nm形成した。この後同様にして、更にベース層表面に窒化シリコン膜を90nm形成した。
次に、スクリーン印刷により、基板の裏面にガラスフリットを含有したアルミニウムペーストを塗布面積割合が約1/30となる櫛形パターンに塗布して乾燥させた。続いてパッシベーション膜上にガラスフリットを含有した銀ペーストを櫛形パターンでスクリーン印刷して乾燥させた。この後、830℃の焼成を大気中で3秒間行い、p型ドープ層とエミッタ電極及びベース電極を形成した。続いて、基板裏面に厚さ2μmのアルミニウム膜を真空蒸着装置で形成し、太陽電池を得た。最後に、キセノンランプ光源式の疑似太陽光を使い、太陽電池の出力特性を測定した。
(実施例2)
実施例1で用いたものと同じテクスチャ形成後の基板を用い、リン化合物とバインダーを混合したペーストを基板の片面へ櫛形パターンに印刷塗布した。ペーストを200℃のオーブン中で乾燥させた後、2枚一組に重ね合わせて石英チューブ炉へ入れ、850℃のアルゴン雰囲気で40分間熱処理し、ベース層を形成した。この後、基板をフッ酸水溶液に浸漬してガラス層を除去し、純水洗浄を経て乾燥した。続いてプラズマCVD装置を用い、基板温度を400℃に保ちながらベース層形成面の反対面(裏面)をトリメチルアルミニウムと酸素を原料ガスとしたプラズマに曝し、酸化アルミニウム膜を10nm形成した。この後、基板を上記プラズマCVDの別チャンバーへ移し、基板温度を400℃に保ちながら基板裏面をモノシランとアンモニアを原料ガスとしたプラズマに曝し、パッシベーション膜となる窒化シリコン膜を90nm形成した。この後同様にして、更にベース層表面に窒化シリコン膜を90nm形成した。次に、スクリーン印刷により、基板の裏面にガラスフリットを含有したアルミニウムペーストを塗布面積割合が約1/30となる櫛形パターンに塗布して乾燥させた。続いてガラスフリットを含有した銀ペーストをベース層形成箇所に合わせてパッシベーション膜上にスクリーン印刷し、乾燥させた。この後、830℃の焼成を大気中で3秒間行い、p型ドープ層とエミッタ電極及びベース電極を形成した。続いて、基板裏面に厚さ2μmのアルミニウム膜を真空蒸着装置で形成し、太陽電池を得た。最後に、キセノンランプ光源式の疑似太陽光を使い、太陽電池の出力特性を測定した。
(実施例3)
実施例1で用いたものと同じテクスチャ形成後の基板を用い、リン化合物とバインダーを混合したペーストを基板の片面へ櫛形パターンに印刷塗布した。ペーストを200℃のオーブン中で乾燥させた後、2枚一組に重ね合わせて石英チューブ炉へ入れ、850℃のアルゴン雰囲気で40分間熱処理し、ベース層を形成した。この後、基板をフッ酸水溶液に浸漬してガラス層を除去し、純水洗浄を経て乾燥した。
次に、スクリーン印刷により、基板の裏面にアルミニウムペーストを塗布面積割合が約1/30となる櫛形パターンに塗布して乾燥させ、更に830℃の焼成を大気中で3秒間行い、p型ドープ層を形成した。この後基板を塩酸に浸漬してp型ドープ層上のアルミニウムペースト焼結体を除去し、更に塩酸と過酸化水素水と純水の混合溶液とフッ酸水溶液で洗浄し、乾燥した。
続いてプラズマCVD装置を用い、基板温度を400℃に保ちながらp型ドープ層形成面(裏面)をトリメチルアルミニウムと酸素を原料ガスとしたプラズマに曝し、酸化アルミニウム膜を10nm形成した。この後、基板を上記プラズマCVDの別チャンバーへ移し、基板温度を400℃に保ちながら基板裏面をモノシランとアンモニアを原料ガスとしたプラズマに曝し、パッシベーション膜となる窒化シリコン膜を90nm形成した。この後同様にして、更にベース層表面に窒化シリコン膜を90nm形成した。次に、スクリーン印刷により、ガラスフリットを含有した銀ペーストをベース層形成箇所に合わせてパッシベーション膜上に塗布して乾燥させ、続いて同様の銀ペーストをpドープ層形成箇所に合わせて誘電体膜上に塗布して乾燥させた。この後、830℃の焼成を大気中で3秒間行い、エミッタ電極及びベース電極を形成した。続いて、基板裏面に厚さ2μmのアルミニウム膜を真空蒸着装置で形成し、太陽電池を得た。最後に、キセノンランプ光源式の疑似太陽光を使い、太陽電池の出力特性を測定した。
(比較例1)
実施例1から3で用いたものと同じテクスチャ形成後の基板を用い、2枚一組に重ね合わせて石英チューブ炉へ入れ、1000℃の臭化ホウ素雰囲気で1時間熱処理してホウ素を基板へ拡散した。この後、基板をフッ酸水溶液に浸漬してガラス層を除去し、純水洗浄を経て乾燥した。続いてホウ素拡散面(裏面)を重ね合わせて石英チューブ炉へ入れ、850℃のオキシ塩化リン雰囲気で40分間熱処理してベース層を形成した。この後、基板をフッ酸水溶液に浸漬してガラス層を除去し、純水洗浄を経て乾燥した。これにより、基板の各主表面でドーパントが一様に拡散されたp型ドープ層とベース層を形成した。続いてプラズマCVD装置を用い、基板温度を400℃に保ちながらp型ドープ層形成面(裏面)をトリメチルアルミニウムと酸素を原料ガスとしたプラズマに曝し、酸化アルミニウム膜を10nm形成した。この後、基板を上記プラズマCVDの別チャンバーへ移し、基板温度を400℃に保ちながら基板裏面をモノシランとアンモニアを原料ガスとしたプラズマに曝し、パッシベーション膜となる窒化シリコン膜を90nm形成した。この後同様にして、更にベース層表面に窒化シリコン膜を90nm形成した。次にガラスフリットを含有した銀ペーストを誘電体膜上へ櫛形パターンにスクリーン印刷して乾燥させ、続いてパッシベーション膜上にも同様に銀ペーストをスクリーン印刷して乾燥させた。この後、830℃の焼成を大気中で3秒間行い、エミッタ電極及びベース電極を形成した。続いて、基板裏面に厚さ2μmのアルミニウム膜を真空蒸着装置で形成し、太陽電池を得た。最後に、キセノンランプ光源式の疑似太陽光を使い、太陽電池の出力特性を測定した。
(実施例4)
実施例1から3で用いたものと同じテクスチャ形成後の基板を用い、リン化合物とバインダーを混合したペーストを基板の片面(裏面)へ櫛形パターンに印刷塗布した。ペーストを200℃のオーブン中で乾燥させた後、2枚一組に重ね合わせて石英チューブ炉へ入れ、850℃のアルゴン雰囲気で40分間熱処理し、ベース層を形成した。この後、基板をフッ酸水溶液に浸漬してガラス層を除去し、純水洗浄を経て乾燥した。続いてプラズマCVD装置を用い、基板温度を400℃に保ちながら基板裏面をトリメチルアルミニウムと酸素を原料ガスとしたプラズマに曝し、該裏面に酸化アルミニウム膜を10nm形成した。続いて、基板を上記プラズマCVDの別チャンバーへ移し、基板温度を400℃に保ちながら基板の受光面をモノシランとアンモニアを原料ガスとしたプラズマに曝し、パッシベーション膜となる窒化シリコン膜を90nm形成した。この後、ベース層上の酸化アルミニウム膜を、波長532nmのレーザー光で除去した。続いて基板温度を400℃に保ちながら基板の裏面をモノシランとアンモニアを原料ガスとしたプラズマに曝し、パッシベーション膜となる窒化シリコン膜を90nm形成した。次に、ガラスフリットを含有した銀ペーストをベース層形成箇所に合わせてスクリーン印刷し、乾燥させ、続いてスクリーン印刷により、隣り合うベース層の間にガラスフリットを含有したアルミニウムペーストを塗布面積割合が約1/25となる櫛形パターンに塗布して乾燥させた。続いて基板を830℃の大気中で3秒間焼成し、p型ドープ層とエミッタ電極及びベース電極を形成した。続いて、基板の裏面全体を覆うように厚さ2μmのアルミニウム膜を真空蒸着装置で形成し、太陽電池を得た。最後に、キセノンランプ光源式の疑似太陽光を使い、太陽電池の出力特性を測定した。
(比較例2)
実施例1から4で用いたものと同じテクスチャ形成後の基板を用い、リン化合物とバインダーを混合したペーストを基板の片面(裏面)へ櫛形パターンに印刷塗布した。ペーストを200℃のオーブン中で乾燥させた後、2枚一組に重ね合わせて石英チューブ炉へ入れ、850℃のアルゴン雰囲気で熱処理し、ベース層を形成した。この後、基板をフッ酸水溶液に浸漬してガラス層を除去し、純水洗浄を経て乾燥した。次に、基板裏面のベース層以外の領域にアルミニウムペーストをスクリーン印刷で塗布して乾燥させてから、基板を830℃の大気中で3秒間焼成し、p型ドープ層を形成した。次にp型ドープ層上に形成されたアルミニウムの焼結体を塩酸で除去し、更に塩酸過酸化水素水混合溶液とフッ酸水溶液で洗浄して乾燥させた。
続いてプラズマCVD装置を用い、基板温度を400℃に保ちながら基板裏面をトリメチルアルミニウムと酸素を原料ガスとしたプラズマに曝し、基板裏面に酸化アルミニウム膜を10nm形成した。続いて、基板を上記プラズマCVDの別チャンバーへ移し、基板温度を400℃に保ちながら基板の受光面をモノシランとアンモニアを原料ガスとしたプラズマに曝し、パッシベーション膜となる窒化シリコン膜を90nm形成した。この後、ベース層上の酸化アルミニウム膜を、波長532nmのレーザー光で除去した。続いて基板温度を400℃に保ちながら基板の裏面をモノシランとアンモニアを原料ガスとしたプラズマに曝し、パッシベーション膜となる窒化シリコン膜を90nm形成した。次に、ガラスフリットを含有した銀ペーストをベース層上とp型ドープ層上にスクリーン印刷して乾燥させて、基板を830℃の大気中で3秒間焼成してエミッタ電極とベース電極を形成した。続いて、基板の裏面全体を覆うように厚さ2μmのアルミニウム膜を真空蒸着装置で形成し、太陽電池を得た。最後に、キセノンランプ光源式の疑似太陽光を使い、太陽電池の出力特性を測定した。
上記実施例1〜4及び比較例1及び2の太陽電池特性の結果を表1に示す。
Figure 0006688244
表1に示すように、本発明による太陽電池構造は何れも比較例以上の変換効率を示した。比較例1はp型ドープ層としてホウ素の拡散層を裏面全面に形成した例であるが、この場合、酸化アルミニウム膜が形成された裏面にはp型ドープ層非形成部が存在せず、反転層が形成されないので、変換効率が悪かった。また、比較例2は誘電体膜がp型ドープ層の上部のみに形成されている(すなわち、誘電体膜がp型ドープ層非形成部上に形成されていない)例であるが、この場合、裏面のベース層以外の領域がp型ドープ層で占められており、エミッタが(p型)反転層を含まないため、変換効率が悪かった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
100、200、600、700、1000、1200、1300…太陽電池
110、210、610、710、1210、1310…n型結晶シリコン基板
112、212、612、712、1212、1312…p型ドープ層
192、292、692、792…p型反転層
113、213、613、713、1213、1313…ベース層
122、222、622、722、1222、1322…エミッタ電極
123、223、623、723、1223、1323…ベース電極
144、244、644、744、1344…誘電体膜(パッシベーション膜)
145、245、645、745、754、1245、1345…パッシベーション膜
352、353、462、572…導電性材料
576…開口部
1001、1101…太陽電池モジュール
1002…タブ
1003…充填剤
1004…カバーガラス
1005…バックシート
1102…配線
1103…インバータ
1104…外部負荷回路。

Claims (2)

  1. n型結晶シリコン基板の第一主表面の一部に、アルミニウムを主成分とする導電性材料を塗布する工程と、
    前記導電性材料が塗布された前記n型結晶シリコン基板をアルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、前記導電性材料の主成分であるアルミニウムと前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層を形成する工程と、
    前記熱処理後、前記n型結晶シリコン基板上に残留した前記導電性材料を除去する工程と、
    前記第一主表面の前記p型ドープ層に隣接し且つ前記n型結晶シリコン基板と同じ電子密度を有する領域の少なくとも一部に負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する工程と
    を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. n型結晶シリコン基板の第一主表面の一部に、アルミニウムを主成分とする導電性材料を塗布する装置と、
    前記導電性材料が塗布された前記n型結晶シリコン基板をアルミニウムとシリコンの共融点以上の温度で熱処理し、前記導電性材料の主成分であるアルミニウムと前記n型結晶シリコン基板を構成するシリコンを反応させることによりp型ドープ層を形成する装置と、
    前記熱処理後、前記n型結晶シリコン基板上に残留した前記導電性材料を除去する装置と、
    前記第一主表面の前記p型ドープ層に隣接し且つ前記n型結晶シリコン基板と同じ電子密度を有する領域の少なくとも一部に負の固定電荷を有する誘電体膜を形成する装置と
    を含むことを特徴とする太陽電池セルの製造システム。
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