JP5994895B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
図1に示すように、受光面側には、p型半導体基板104の導電型と反対の型(すなわちn型)の薄い拡散層103を設け、その上に反射防止膜102として窒化珪素(SiNx)膜が形成されている。また、反射防止膜102上には、光励起したキャリアを集電するための電極101が数mm間隔(0.1〜5mm程度の間隔)で設けられる。また、裏面には集電用の電極107が数mm関隔で設けられている。これらの電極101、107には導電性の観点から銀(Ag)が用いられることが多く、また太陽電池は安価に形成される必要があることから導電性の金属ペーストを印刷法により電極形状に印刷し、高温焼結で形成されることが多かった。
また、特開平10−229211号公報(特許文献6)では、半導体基板上にシリコンナイトライド(窒化シリコン)膜をパッシベーション膜として形成する構成が開示されている。
したがって、半導体基板がn型である場合は、受光面側にp型拡散層が形成されるが、これに図1のパッシベーション膜105と同様にSiNx膜を形成しても、p型拡散層のパッシベーション膜として十分な役割を果たさない。
一方、SiO2膜や酸化アルミニウム膜はp型半導体のパッシベーション性に有効とされている。
本発明者らは、これらの知見を基に鋭意検討を行い、以下の発明を成すに至った。
〔1〕 第一主面にのみテクスチャを有するn型半導体基板と、該n型半導体基板の第一主面に形成されたp型拡散層と、該p型拡散層上に形成されたSiO 2 膜からなるパッシベーション膜と、前記n型半導体基板の第二主面に形成されたSiNx膜からなるパッシベーション膜とを備える太陽電池の製造方法であって、
n型半導体基板の第二主面にSiNx膜を形成する工程と、
前記SiNx膜形成工程の後で、前記SiNx膜をテクスチャ形成に対する処理マスクとしつつ、前記n型半導体基板の第一主面にテクスチャを形成する工程と、
前記テクスチャ形成工程の後に、前記SiNx膜をp型拡散層形成に対する拡散マスクとしつつ、前記n型半導体基板の第一主面にp型拡散層を形成し、次いでふっ酸で該n型半導体基板表面に形成されたガラスを除去する工程と、
前記SiNx膜をSiO 2 膜形成に対する酸化マスクとしつつ、前記p型拡散層上にSiO2膜からなるパッシベーション膜を形成する工程と、
を有し、前記SiNx膜を最終的にパッシベーション膜とすることを特徴とする太陽電池の製造方法。
〔2〕 前記SiO2膜を熱酸化法により形成することを特徴とする〔1〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔3〕 前記SiNx膜の膜厚が150nm以上250nm以下であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔4〕 前記p型拡散層をBBr 3 を拡散源とした気相拡散法により形成することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
〔5〕 前記パッシベーション膜上に反射防止膜を形成する工程を有することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
〔6〕 第一主面にのみテクスチャを有するp型半導体基板と、該p型半導体基板の第一主面に形成されたSiO 2 膜からなるパッシベーション膜と、前記p型半導体基板の第二主面に形成されたn型拡散層と、該n型拡散層上に形成されたSiNx膜からなるパッシベーション膜とを備える太陽電池の製造方法であって、
p型半導体基板の第二主面にn型拡散層を形成する工程と、
前記n型拡散層上にSiNx膜を形成する工程と、
前記SiNx膜形成工程の後で、前記SiNx膜をテクスチャ形成に対する処理マスクとしつつ、前記p型半導体基板の第一主面にテクスチャを形成する工程と、
前記テクスチャ形成工程の後に、前記SiNx膜をSiO 2 膜形成に対する酸化マスクとしつつ、前記p型半導体基板の第一主面にSiO2膜からなるパッシベーション膜を形成する工程と、
を有し、前記SiNx膜を最終的にパッシベーション膜とすることを特徴とする太陽電池の製造方法。
〔7〕 前記SiO2膜を熱酸化法により形成することを特徴とする〔6〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔8〕 前記SiNx膜の膜厚が150nm以上250nm以下であることを特徴とする〔6〕又は〔7〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔9〕 前記n型拡散層をオキシ塩化リンを拡散源とした気相拡散法により形成することを特徴とする〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
〔10〕 前記パッシベーション膜上に反射防止膜を形成する工程を有することを特徴とする〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
〔第1の実施形態〕
図2は、本発明に係る太陽電池の第1の実施形態における構成を示す断面図であり、半導体基板がn型の場合を示している。
図2に示すように、n型半導体基板204の受光面(第一主面ともいう。)にはp型拡散層(p+1層)203、SiO2膜又は酸化アルミニウム膜206、反射防止膜202がその順番で積層された構造を有している。また、n型半導体基板204の裏面(第二主面、非受光面ともいう。)にはSiNx膜205を有している。更に、n型半導体基板204の表裏それぞれの面には、太陽電池の正負の極に対応する集電電極201、207をそれぞれ有している。
図5は、本発明に係る太陽電池の第2の実施形態における構成を示す断面図であり、半導体基板がp型の場合を示している。
図5に示すように、p型半導体基板404の受光面(第一主面ともいう。)にはSiO2膜又は酸化アルミニウム膜406、反射防止膜402がその順番で積層された構造を有している。また、p型半導体基板404の裏面(第二主面、非受光面ともいう。)にはn型拡散層(n+層)403、SiNx膜405を有している。更に、p型半導体基板404の表裏それぞれの面には、太陽電池の正負の極に対応する集電電極401、407をそれぞれ有している。
[実施例1]
本発明の有効性を確認するため、図2に示す断面構造を有する太陽電池を以下に示す条件Aで作製し、評価を行った。
まず、半導体基板として、縦横100×100mm、厚さ250μm、比抵抗1Ω・cmのリンドープ{100}n型アズカットシリコン基板6枚を用意し、加熱した水酸化カリウム水溶液により該シリコン基板のダメージ層を除去した。
次に、シリコン基板の片面にのみSiNx膜205をプラズマCVD法により製膜した。このときの反応ガスとしてはモノシラン及びアンモニアの混合ガスを用い、膜厚は150nm、屈折率は2.1とした。次いで、水酸化カリウム・2−プロパノール水溶液中に浸漬し、テクスチャ形成を行った。この際、SiNx膜がマスクとなり、SiNx膜形成面とは反対側の面上にのみ、テクスチャが形成された。
次に、p型拡散層203の形成を行った。詳しくは、シリコン基板2枚をその裏面同士を重ねあわせた状態で、BBr3及び酸素をそれぞれ0.8vol%窒素中に混合させたガス雰囲気の中に配置し、1000℃で15分熱処理を行った。続いて、シリコン基板の表面に形成されたボロンガラスをふっ酸で除去した。このときのシート抵抗は43Ωとなった。
次に、これらのシリコン基板を酸素雰囲気中、1000℃で10分間処理することで熱酸化を行い、SiNx膜205形成面とは反対面に熱酸化膜(SiO2膜)206を形成した。
引き続き、SiO2膜206上に、SiNx膜からなる反射防止膜202を製膜した。この場合もプラズマCVD法を用い、膜厚は75nm、屈折率は2.1とした。
最後に、その裏面ならびに受光面に櫛歯状のパターンでAgペーストをスクリーン印刷し、乾燥した。Agペーストは、粒径数〜数十nmのAg微粒子を有機溶媒中に分散させたものである。この後、750℃の空気雰間気中で10秒程度熱処理し、Agを焼結させて太陽電池を完成させた。
比較のため、従来の太陽電池を以下に示す条件Bで作製し、評価を行った。
まず、半導体基板として、縦横100×100mm、厚さ250μm、比抵抗1Ω・cmのリンドープ{100}n型アズカットシリコン基板6枚を用意し、加熱した水酸化カリウム水溶液により該シリコン基板のダメージ層を除去した。
次に、シリコン基板を水酸化カリウム・2−プロパノール水溶液中に浸漬し、テクスチャ形成を行った。
次に、実施例1と同じ条件でp型拡散層の形成を行った。
次に、これらのシリコン基板を酸素雰囲気中、1000℃で10分間処理することで熱酸化を行い、シリコン基板の両面に熱酸化膜(SiO2膜)を形成した。
引き続き、両面の熱酸化膜それぞれの上にSiNx膜からなる反射防止膜を製膜した。この場合もプラズマCVD法を用い、膜厚は75nm、屈折率は2.1とした。
最後に、その裏面ならびに受光面に櫛歯状のパターンで実施例1と同じAgペーストをスクリーン印刷し、乾燥した。この後、750℃の空気雰間気中で10秒程度熱処理し、Agを焼結させて太陽電池を完成させた。
以上のようにして得られた太陽電池のサンプルについて、山下電装社製ソーラーシミュレータを用いてAM1.5スペクトル、照射強度100mW/cm2、25℃の条件下で、太陽電池特性を測定した。得られた結果の平均値を表1に示す。
102,202,402 反射防止膜
103,403 n型拡散層
104,404 p型半導体基板
105 パッシベーション膜
107,207,407 集電電極(裏面電極)
203 p型拡散層
204 n型半導体基板
205,405 SiNx膜
206,406 SiO2膜又は酸化アルミニウム膜
208 n+型拡散層
408 p+型拡散層
Claims (10)
- 第一主面にのみテクスチャを有するn型半導体基板と、該n型半導体基板の第一主面に形成されたp型拡散層と、該p型拡散層上に形成されたSiO 2 膜からなるパッシベーション膜と、前記n型半導体基板の第二主面に形成されたSiNx膜からなるパッシベーション膜とを備える太陽電池の製造方法であって、
n型半導体基板の第二主面にSiNx膜を形成する工程と、
前記SiNx膜形成工程の後で、前記SiNx膜をテクスチャ形成に対する処理マスクとしつつ、前記n型半導体基板の第一主面にテクスチャを形成する工程と、
前記テクスチャ形成工程の後に、前記SiNx膜をp型拡散層形成に対する拡散マスクとしつつ、前記n型半導体基板の第一主面にp型拡散層を形成し、次いでふっ酸で該n型半導体基板表面に形成されたガラスを除去する工程と、
前記SiNx膜をSiO 2 膜形成に対する酸化マスクとしつつ、前記p型拡散層上にSiO2膜からなるパッシベーション膜を形成する工程と、
を有し、前記SiNx膜を最終的にパッシベーション膜とすることを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 前記SiO2膜を熱酸化法により形成することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記SiNx膜の膜厚が150nm以上250nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記p型拡散層をBBr 3 を拡散源とした気相拡散法により形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記パッシベーション膜上に反射防止膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
- 第一主面にのみテクスチャを有するp型半導体基板と、該p型半導体基板の第一主面に形成されたSiO 2 膜からなるパッシベーション膜と、前記p型半導体基板の第二主面に形成されたn型拡散層と、該n型拡散層上に形成されたSiNx膜からなるパッシベーション膜とを備える太陽電池の製造方法であって、
p型半導体基板の第二主面にn型拡散層を形成する工程と、
前記n型拡散層上にSiNx膜を形成する工程と、
前記SiNx膜形成工程の後で、前記SiNx膜をテクスチャ形成に対する処理マスクとしつつ、前記p型半導体基板の第一主面にテクスチャを形成する工程と、
前記テクスチャ形成工程の後に、前記SiNx膜をSiO 2 膜形成に対する酸化マスクとしつつ、前記p型半導体基板の第一主面にSiO2膜からなるパッシベーション膜を形成する工程と、
を有し、前記SiNx膜を最終的にパッシベーション膜とすることを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 前記SiO2膜を熱酸化法により形成することを特徴とする請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記SiNx膜の膜厚が150nm以上250nm以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記n型拡散層をオキシ塩化リンを拡散源とした気相拡散法により形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記パッシベーション膜上に反射防止膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
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