以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る認知症ケア支援システムの概念図である。この認知症ケア支援システムは、端末装置10と認知症ケア支援装置20とがアクセスポイント30を経由してネットワーク接続されている。なお、ネットワークは、有線ネットワークを利用してもよいし、無線ネットワークを利用してもよい。
介護者は、端末装置10を操作して、患者のBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動・心理症状)や情動の情報などを入力する。また、介護者は、端末装置10を操作して、患者がBPSDの症状を発症した際の、介護者自身の情動や対応の情報などを入力する。
ここで、BPSDの要因が複数考えられる場合、認知症ケア支援装置20から、その要因を見分けるポイントの情報が端末装置10に送信され、端末装置10に表示される。そして、介護者は、そこで指摘された項目を観察し、端末装置10を操作して、観察した結果の情報を入力する。
介護者により入力されたこれらの情報は、認知症ケア支援装置20に送信され、認知症ケア支援装置20が備えるデータベース(後に図4を用いて説明する記憶部203)に登録される。そして、認知症ケア支援装置20は、患者のBPSDの症状と、患者および介護者の状況などから、介護者に応じて、介護者に対するアドバイスの情報などを出力する。
また、認知症ケア支援装置20は、患者の同一の症状に対し、すでに行ったアドバイスであって、実績のあるものがあれば、そのアドバイスの情報を出力する。また、認知症ケア支援装置20は、過去に行ったアドバイスに効果がなかった場合には、それとは別のアドバイスの情報を出力する。また、認知症ケア支援装置20は、介護者にすでに何回もアドバイスを行っている場合には、介護者の情動をフォローするメッセージを出力する。
介護者は、このようにして出力された情報を端末装置10で閲覧し、アドバイスされた内容を実施する。そして、介護者は、端末装置10を操作して、アドバイスされた内容を実施した際の効果の情報を入力する。また、介護者は、端末装置10を操作して、アドバイスされた内容を実施した際の患者や介護者自身の情動の情報を入力する。さらに、介護者は、端末装置10を操作して、アドバイスされた内容を実施した際の介護者自身の達成感の情報(例えば、高、中、低など)を入力する。
介護者により入力されたこれらの情報は、認知症ケア支援装置20に送信され、データベースに登録される。アドバイスされた内容を実施した際の効果の情報は、実績のあるアドバイス情報をその後に選択する場合に利用される。患者の情動の情報(例えば、アドバイスされた内容を介護者が実施したが効果がなく、患者が怒りを感じたなどの情報)は、効果のなかったアドバイス情報とは別のアドバイス情報をその後に選択する場合に利用される。介護者の達成感の情報は、介護者の情動をフォローするメッセージをその後に出力する場合に利用される。
なお、患者の各種症状はデータベースに登録されているが、データベースに登録されていない症状は、項目候補としてデータベースに登録しておき、項目候補をデータベースに登録することが適切であると判定された場合に、データベースに登録するようにできる(なお、項目候補に対しては、アドバイス情報は表示されない)。これにより、不適切な項目がデータベースに登録されることを防ぐことができる。
また、項目候補に対応付けて、介護者が自分で行った工夫をデータベースに登録することもできる。さらに、その工夫により得られる効果など、介護者がアドバイスを受けた場合にデータベースに登録される項目と同様の項目をデータベースに登録することもできる。
図2は、認知症ケア支援装置20が備えるデータベースの更新について説明する概念図である。このデータベースは、データベースの監修者により更新される場合と、スーパーバイザーにより更新される場合と、システム利用者によって登録された履歴情報により更新される場合などがある。
データベースが監修者により更新される場合、監修者は、認知症ケア支援装置20を操作して、認知症ケア支援装置20が備えるデータベースに登録された情報の更新を行う。データベースが、スーパーバイザーにより更新される場合、スーパーバイザーは、例えば端末装置10を操作して、認知症ケア支援装置20が備えるデータベースに登録されたマスターテーブルなどの情報の更新を行う。ここで、スーパーバイザーとは、医師や療法士などの有資格者のことである。
例えば、スーパーバイザーは、データベースに登録されているアドバイスの効果の情報を閲覧し、効果がないアドバイスの情報を削除する処理を行う。また、スーパーバイザーは、介護者によりデータベースに登録された項目候補を確認し、項目候補をデータベースに症状として登録するか、その登録を留保するかを判定する。また、スーパーバイザーは、項目候補に対する工夫とその効果を確認し、項目候補を登録するか、その登録を留保するかを判定する。項目候補を症状としてデータベースに登録する場合、スーパーバイザーは、その項目候補に対するアドバイス情報を作成し、データベースに登録する。
なお、スーパーバイザーは、知恵袋に登録されている症状、工夫をデータベースに登録することもできる。ここで、知恵袋とは、システム利用者である介護者が、項目候補として登録されている症状に対する工夫を実施した結果から、一定以上の発症回数が認められた項目候補、および、その項目候補に対する工夫のうち、その工夫を試した回数に対し、効果が認められた回数の比率が一定比率以上であるものが登録されたデータベースである。
この場合、スーパーバイザーは、認知症ケア支援装置20を操作して、システム利用者である患者における項目候補として登録されている症状の発症回数と、介護者の工夫の実施状況を確認することが可能である。その際、認知症ケア支援装置20は、発症回数の多い項目候補ほど上に表示したり、実施効果の高い工夫ほど上に表示したりすることとしてもよい。
データベースは、システム利用者の履歴状況により、所定の時間間隔で、自動的に更新される。この場合、認知症ケア支援装置20は、項目候補として登録されている症状についての発症履歴情報から、困惑度を算出し設定する。例えば、認知症ケア支援装置20は、各情動に対応付けてポイントを記憶しておき、患者に症状が発症した時の介護者の情動の情報から、その情動に対応するポイントを読み出し、それらのポイントを加算することにより困惑度を算出することとすればよい。
そして、認知症ケア支援装置20は、すべての症状の困惑度を加算した値に対して一定比率以上の困惑度を獲得した症状と、それに対する工夫の実施履歴情報から、一定の効果が得られている工夫の情報を知恵袋データベースに登録し、データベースを更新する。これにより、介護者の間で必要性が高く、有効なアドバイスを行える情報をデータベースに登録することができる。
一方、システムを利用する介護者は、端末装置10を操作して、新しく登録された項目候補、および、それに対する工夫の情報を確認し、介護者自身の症状に対する困惑の度合いや工夫の効果を確認して、項目候補の症状の発症状況や、工夫の実施状況などの情報をデータベースに登録する。
図3は、本発明の実施形態に係る端末装置10の構成の一例を示す図である。端末装置10は、入力部100、表示部101、ネットワークインターフェース部102、記憶部103、患者情報受付部104、介護者情報受付部105、BPSD発症情報受付部106、アドバイス実施情報受付部107、BPSD候補情報受付部108、BPSD候補対策情報受付部109、BPSD候補発症情報受付部110、BPSD候補対策実施情報受付部111、表示制御部112、制御部113を備える。各機能部100〜113は、バス114を介して相互に接続される。
入力部100は、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力デバイスである。表示部101は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。入力部100と表示部101は、タッチパネルであってもよい。このタッチパネルは、3インチから15インチの大きさであることが望ましい。このような大きさのタッチパネルは、種々の情報の閲覧、入力が容易であり、また、携帯にも適する。
ネットワークインターフェース部102は、ネットワークを介して、認知症ケア支援装置20などの他の装置と接続するネットワークインターフェースである。
記憶部103は、フラッシュROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)、HD(Hard Disk)などの記憶デバイスである。
記憶部103は、制御プログラム103a、一時記憶データ103bなどを記憶する。制御プログラム103aは、制御部113により読み出され、端末装置10に各種処理を実行させるコンピュータプログラムである。一時記憶データ103bは、入力部100を介して入力されたデータや、ネットワークを介して受信したデータなどの、端末装置10に一時的に記憶されるデータである。
患者情報受付部104は、介護者等が入力部100を介して入力した患者情報を受け付け、その情報をネットワークインターフェース部102を介して認知症ケア支援装置20に送信する処理部である。
患者情報とは、患者の氏名や年齢、住所、家族構成、生活状況等の基本情報、患者が受けた認知症診断用検査、および、その診断結果の情報(中核症状やBPSDの情報、認知症診断用検査の採点結果の情報)、患者の病歴、服薬歴の情報などである。
認知症診断用検査とは、例えば、Mini Mental State Examination(MMSE)、日本版リバーミード行動記録検査(日本版RBMT)、Frontal Assessment Battery(FAB)等の認知症検査、核磁気共鳴画像法(MRI:Magnetic Resonance Imaging)検査、単一光子放射断層撮影法(SPECT:Single Photon Emission Computed Tomography)検査、血液検査、心電図検査、胸部レントゲン検査などのことである。
介護者情報受付部105は、介護者等が入力部100を介して入力した介護者情報を受け付け、その情報をネットワークインターフェース部102を介して認知症ケア支援装置20に送信する処理部である。介護者情報とは、患者を介護する介護者の状況(例えば、患者にBPSDが発症した際の介護者の状況)や情動、患者のBPSDの症状に対する困惑度などの情報である。
BPSD発症履歴情報受付部106は、介護者等が入力部100を介して入力したBPSD発症履歴情報を受け付け、その情報をネットワークインターフェース部102を介して認知症ケア支援装置20に送信する処理部である。BPSD発症履歴情報とは、患者にどのようなBPSDの症状が発症したかの情報や、その症状が発症した要因の情報、BPSDの症状が発症した際の患者および介護者の状況の情報(介護者がどのような対応をしたかの情報を含む)、患者にBPSDの症状が発症した際の患者および介護者の情動の情報などの情報である。
アドバイス実施履歴情報受付部107は、介護者等が入力部100を介して入力したアドバイス実施履歴情報を受け付け、その情報をネットワークインターフェース部102を介して認知症ケア支援装置20に送信する処理部である。アドバイス実施履歴情報とは、認知症ケア支援装置20から受信したアドバイス情報に含まれるアドバイスされた内容の実施履歴の情報であり、アドバイスされた内容を実施した結果得られた効果(患者に対する効果の他に、例えば、介護者の負担が減少したなどの介護者に対する効果も含む。)の情報や、アドバイスされた内容を実施した際の患者および介護者の状況の情報、アドバイスされた内容を実施した際の患者および介護者の情動の情報、アドバイスされた内容を実施した際の介護者の達成感(例えば、高、中、低など)の情報などの情報である。
BPSD候補情報受付部108は、介護者等が入力部100を介して入力したBPSD候補情報を受け付け、その情報をネットワークインターフェース部102を介して認知症ケア支援装置20に送信する処理部である。BPSD候補情報とは、認知症ケア支援装置20にBPSD情報として登録されていないBPSDの症状であって、所定の条件を満たした場合にBPSD情報として登録される情報である。このBPSD候補情報については、後に詳しく説明する。
BPSD候補対策情報受付部109は、介護者等が入力部100を介して入力したBPSD候補対策情報を受け付け、その情報をネットワークインターフェース部102を介して認知症ケア支援装置20に送信する処理部である。BPSD候補対策情報とは、BPSD候補の症状に対して、介護者が考案した対策の情報である。
BPSD候補発症履歴情報受付部110は、介護者等が入力部100を介して入力したBPSD候補発症履歴情報を受け付け、その情報をネットワークインターフェース部102を介して認知症ケア支援装置20に送信する処理部である。BPSD候補発症履歴情報とは、どのようなBPSD候補の症状が患者に発症したかの情報や、BPSD候補の症状が発症した際の患者および介護者の状況の情報である。
BPSD候補対策実施履歴情報受付部111は、介護者等が入力部100を介して入力したBPSD候補対策実施履歴情報を受け付け、その情報をネットワークインターフェース部102を介して認知症ケア支援装置20に送信する処理部である。BPSD候補対策実施履歴情報とは、認知症ケア支援装置20から受信したBPSD候補対策情報に含まれるBPSD候補対策の実施履歴の情報であり、BPSD候補対策を実施した結果得られた効果の情報や、BPSD候補対策を実施した際の患者および介護者の状況の情報などの情報である。
表示制御部112は、表示部101に対する情報の表示を制御する制御部である。例えば、表示制御部112は、表示部101を制御して、認知症ケア支援装置20から受信した情報を表示部101に表示させる処理を行う。
制御部113は、端末装置10の各機能部100〜112を制御するとともに、記憶部103に記憶されている制御プログラム103aを実行するCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの制御デバイスである。
なお、端末装置10にプリンタを接続し、認知症ケア支援装置20から受信した各種情報を印刷することとしてもよい。
図4は、本発明の実施形態に係る認知症ケア支援装置20の構成の一例を示す図である。認知症ケア支援装置20は、入力部200、表示部201、ネットワークインターフェース部202、記憶部203、情報受付部204、BPSD情報選択部205、アドバイス情報選択部206、アドバイス情報出力記録部207、患者・介護者傾向判定部208、BPSD観察要求部209、情報更新部210、予防情報選択部211、BPSD候補対策情報選択部212、記憶情報選択部213、情報出力部214、警告メッセージ出力部215、表示制御部216、制御部217を備える。各機能部200〜217はバス218を介して相互に接続される。
入力部200は、キーボードやマウスなどの入力デバイスである。表示部201は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。ネットワークインターフェース部202は、ネットワークを介して、端末装置10などの他の装置と接続するネットワークインターフェースである。
この記憶部203は、患者データ203a、介護者データ203b、BPSDデータ203c、アドバイスデータ203d、予防データ203e、BPSD発症履歴データ203f、アドバイス実施履歴データ203g、BPSD候補データ203h、BPSD候補対策データ203i、BPSD候補発症履歴データ203j、BPSD候補対策実施履歴データ203k、知恵袋データ203l、制御プログラム203m、一時記憶データ203nなどを記憶する。
患者データ203aは、端末装置10から受信した患者情報を記憶したデータである。介護者データ203bは、端末装置10から受信した介護者情報を記憶したデータである。BPSDデータ203cは、BPSDの症状と、BPSDの症状に関連する情報(例えば、BPSDの症状の発症要因など)とを対応付けて記憶したデータである。
アドバイスデータ203dは、介護者に対して提示するアドバイスの情報を記憶したデータである。アドバイスデータ203dには、アドバイスの情報、患者のBPSDの症状の情報、患者のBPSDの発症状況(例えば、その症状が頻繁に見受けられるなど)、患者にBPSDが発症した際の介護者の状況の情報(例えば、介護者が患者をケアすることができなかったなど)、アドバイス情報の患者に対する効果の情報(例えば、患者の症状が改善したなど)、アドバイス情報の介護者に対する効果の情報(例えば、介護者の情動が安定したなど)、アドバイス情報に含まれる内容を実施した際の患者の状況の情報(例えば、患者が不慣れな環境下にいたなど)、アドバイス情報に含まれる内容を実施した際の介護者の状況の情報(例えば、介護者が十分患者にケアできたなど)、患者の傾向(例えば、患者の一日のBPSDの症状の発症頻度が増加傾向にあるなど)、介護者の傾向(例えば、患者のBPSDの症状の発症に対する介護者の困惑度が減少傾向にあるなど)の情報、アドバイス情報を提供した介護者の情報、その介護者にアドバイス情報が提供された回数の情報などの情報が対応付けて記憶されている。さらに、アドバイスデータ203dには、今後発症することが予測される問題の情報、患者のBPSDの症状の発症頻度の情報、アドバイス情報の効果の情報、患者および介護者の情動の情報、介護者の困惑度の情報が互いに対応付けて記憶されている。
予防データ203eは、介護者に対して提示する予防情報を記憶したデータである。ここで、予防情報とは、患者を介護する際の注意事項や、BPSDに対する予防対策などの情報である。
予防データ203eでは、患者を介護する際の注意事項の情報、患者のBPSDの症状の情報、BPSDが発症した際の患者および介護者の状況の情報、発症する可能性のあるBPSDの症状の情報、患者が拘泥する事項の情報、介護者が困惑する症状の情報が互いに対応付けて記憶されている。また、予防データ203eには、BPSDに対する予防対策、アドバイスの内容が実施される結果得られる患者および介護者の効果の情報、アドバイスの内容が実施される際の患者および介護者の状況の情報が互いに対応付けて記憶されている。
BPSD発症履歴データ203fは、端末装置10から受信したBPSD発症履歴情報を記憶したデータである。BPSD発症履歴データ203fには、患者のBPSDの症状の情報、患者のBPSDの発症状況(例えば、その症状が発症した際の患者の情動など)、患者にBPSDが発症した際の介護者の状況の情報(例えば、介護者が患者をケアすることができなかったなど)の情報が対応付けて記憶されている。
アドバイス実施履歴データ203gは、端末装置10から受信したアドバイス実施履歴情報を記憶したデータである。アドバイス実施履歴データ203gには、実施したアドバイスの情報、アドバイス情報の患者に対する効果の情報(例えば、患者の症状や情動が改善したなど)、アドバイス情報の介護者に対する効果の情報(例えば、介護者の情動が安定したなど)、アドバイス情報に含まれる内容を実施した際の患者の状況の情報(例えば、患者が不慣れな環境下にいたなど)、アドバイス情報に含まれる内容を実施した際の介護者の状況の情報(例えば、介護者が十分患者にケアできたなど)が対応付けて記憶されている。
BPSD候補データ203hは、端末装置10から受信したBPSD候補情報を記憶したデータである。BPSD候補情報とは、図2で説明した症状の項目候補のことである。BPSD候補対策データ203iは、端末装置10から受信したBPSD候補対策情報を記憶したデータである。BPSD候補対策情報とは、図2で説明した工夫のことである。
BPSD候補発症履歴データ203jは、端末装置10から受信したBPSD候補発症履歴情報を記憶したデータである。BPSD候補発症履歴データ203jには、さらに、BPSDの候補が発症した所定期間ごとの回数の情報が、BPSDの候補の情報に対応付けて記憶される。BPSD候補対策実施履歴データ203kは、端末装置10から受信したBPSD候補対策実施履歴情報を記憶したデータである。
知恵袋データ203lは、図2で説明したように、BPSD候補(項目候補)の情報と、その症状に対するBPSD候補対策(工夫)の情報を記憶したデータである。制御プログラム203mは、制御部217により読み出され、認知症ケア支援装置20に各種処理を実行させるコンピュータプログラムである。一時記憶データ203nは、ネットワークを介して受信したデータなどの、認知症ケア支援装置20に一時的に記憶されるデータである。
情報受付部204は、入力部200を介して入力された情報や、ネットワークを介して、端末装置10などの他の装置により送信された情報を受け付け、受け付けた情報を記憶部203に記憶する処理部である。
また、情報受付部204は、端末装置10からBPSDの症状の情報を受け付けた場合に、BPSDデータ203cを参照する。そして、情報受付部204は、そのBPSDの症状の発症要因が複数ある場合に、端末装置10に対して、その発症要因を見分けるための情報をネットワークインターフェース202を介して出力し、端末装置10から発症要因の情報を取得する。そして、取得した発症要因の情報をBPSD発症履歴データ203fに、BPSDの症状の情報に対応付けて記憶する。
BPSD情報選択部205は、介護者に対して提示するBPSDの情報をBPSDデータ203cに記憶されたBPSDの情報の中から選択する処理部である。例えば、BPSD情報選択部205は、端末装置10からデータ処理の対象となる患者の氏名や年齢など、患者を特定する情報を受信した場合に、その情報に対応するBPSDの情報をBPSD発症履歴データ203fから読み出して、その患者のBPSDの情報を選択する。
また、BPSD情報選択部205は、BPSDデータ203cから、選択したBPSDの情報に対応するBPSDの症状の関連情報を選択する。ここで選択された情報は、情報出力部214によりネットワークインターフェース部202を介して端末装置10に送信される。
アドバイス情報選択部206は、介護者に対して提示する患者のBPSDについてのアドバイス情報をアドバイスデータ203dに記憶されたアドバイス情報の中から選択する処理部である。
例えば、アドバイス情報選択部206は、BPSD情報選択部205により選択されたBPSDの症状の情報、BPSD発症履歴データ203fに記憶された患者のBPSDの症状および患者のBPSDの発症状況の情報、患者にBPSDが発症した際の介護者の状況の情報、アドバイス実施履歴データ203gに記憶されたアドバイス情報の患者に対する効果の情報、アドバイス情報の介護者に対する効果の情報、アドバイス情報に含まれる内容を実施した際の患者の状況の情報、アドバイス情報に含まれる内容を実施した際の介護者の状況の情報、後に説明する患者・介護者傾向判定部208により判定された患者の傾向、介護者の傾向の情報の少なくとも1つの情報に対応するアドバイス情報を、アドバイスデータ203dから検索することにより、アドバイス情報を選択する。
これにより、適切なアドバイスを介護者に効果的に提供することができる。また、患者の傾向および介護者の傾向を考慮に入れることにより、より適切なアドバイスを選択することができる。
なお、どの情報に対応するアドバイス情報を検索するかは、介護者が端末装置10を操作して指定した情報を、アドバイス情報選択部206が取得して決定することとする。そして、アドバイス情報選択部206により選択された情報は、情報出力部214によりネットワークインターフェース部202を介して端末装置10に送信される。
また、アドバイス情報選択部206は、アドバイスデータ203dを参照し、介護者にアドバイス情報が提供された回数の情報が所定の回数以上であって、アドバイス実施履歴データ203gに記憶された達成感の情報が「低」である場合に、介護者の情動をフォローするメッセージを、選択したアドバイス情報に付加して端末装置10に送信する。
アドバイス情報出力記録部207は、アドバイスデータ203dに記憶されているアドバイス情報のうち、過去に出力したことのあるアドバイス情報であって、アドバイス実施履歴データ203gに効果ありと登録されているアドバイス情報に対応付けて、実績フラグを記憶する処理部である。アドバイス情報選択部206により選択されたアドバイス情報が複数ある場合には、アドバイス情報選択部206は、この実績フラグが対応付けて記憶されているアドバイス情報を優先的に選択する。
また、アドバイス情報出力記録部207は、アドバイス実施履歴データ203gに記憶されているアドバイスされた内容を実施した際の患者の情動の情報が、不快などの否定的な内容のものである場合に、そのアドバイスを含むアドバイス情報に対応付けて、不適フラグを記憶する。そして、アドバイス情報選択部206により選択されたアドバイス情報が複数ある場合には、アドバイス情報選択部206は、この不適フラグが記憶されていないアドバイス情報を優先的に選択する。
患者・介護者傾向判定部208は、患者や介護者の傾向を判定する処理部である。例えば、患者・介護者傾向判定部208は、BPSD発症履歴データ203fに記憶された、患者の所定期間内のBPSDの症状の発症頻度の時系列変化を外挿し、将来のBPSDの症状の発症頻度の傾向を判定する。
また、患者・介護者傾向判定部208は、BPSD発症履歴データ203fに記憶された症状の発生状況(BPSD症状の発症時の患者の情動や行動パターンの情報)から、患者の症状に関する拘泥の度合いの傾向を判定する。例えば、患者・介護者傾向判定部208は、あることに患者が拘泥しているという状況が継続している期間が長いほど、拘泥の度合いが高く、また、将来も継続する可能性が高い傾向にあると判定する。また、患者・介護者傾向判定部208は、あることに患者が拘泥しているという状況が観察される間隔が次第に長くなりつつある場合に、患者の拘泥が解消する傾向にあると判定する。
また、患者・介護者傾向判定部208は、BPSD発症履歴データ203fやアドバイス実施履歴データ203gに記憶された患者の情動の情報の時系列変化を外挿し、将来の患者の情動の傾向を判定する。例えば、患者の情動が、「不安定」から「安定」に変化した場合には、将来の患者の情動の傾向は「安定化」と判定できる。また、患者・介護者傾向判定部208は、同様に、BPSD発症履歴データ203fやアドバイス実施履歴データ203gに記憶された介護者の情動の情報の時系列変化を外挿し、将来の介護者の情動の傾向を判定する。
また、患者・介護者傾向判定部208は、アドバイス実施履歴データ203gに記憶された効果の情報の時系列変化を外挿し、将来の効果の傾向を判定する。例えば、効果が「あり」から「なし」に変化した場合は、将来の効果の傾向は「効果消滅」と判定できる。
また、患者・介護者傾向判定部208は、介護者の困惑度を判定する。例えば、患者・介護者傾向判定部208は、介護者の各情動や各行動パターンに対応付けてポイントを記憶しておき、患者に症状が発症した時の介護者の情動や行動パターンの情報から、その情動や行動パターンに対応するポイントを読み出し、それらのポイントを加算することにより困惑度を算出する。さらに、患者・介護者傾向判定部208は、患者のBPSDの症状に対する介護者の困惑度の情報の時系列変化を外挿し、介護者の将来の困惑度の傾向を判定する。例えば、困惑度が時間の経過とともに減少している場合は、介護者の将来の困惑度の傾向は「解消化」と判定できる。
さらに、患者・介護者傾向判定部208は、BPSD発症履歴データ203fに記憶された患者のBPSDの症状の情報の時系列変化を外挿し、将来の患者のBPSDの症状の傾向を判定する。例えば、患者のBPSDの症状が、「普通」から「悪い」に変化した場合、将来の患者のBPSDの症状の傾向は「悪化」と判定できる。
BPSD観察要求部209は、BPSD発症履歴データ203fに患者のBPSDの情報が所定の期間経過しても記憶されない場合に、介護者に患者のBPSDの症状の観察を行い、患者のBPSDの情報を登録するように促す情報を生成する処理部である。生成された情報は、情報出力部214により端末装置10に送信される。これにより、情報の入力漏れを確実に防ぐことができる。
情報更新部210は、記憶部203に記憶された各種情報の更新を行う処理部である。例えば、情報更新部210は、記憶部203に記憶されたBPSDデータ203cやアドバイスデータ203d、予防データ203eなどのデータの監修者が、それらのデータの更新情報を入力部200を介して入力した場合、その更新情報を用いて、それらのデータの更新を行う。
また、情報更新部210は、スーパーバイザーやシステム管理者が端末装置10を操作して、または、データベースの監修者等が入力部200を介して入力したBPSDデータ203cやアドバイスデータ203d、予防データ203eなどのデータの更新情報を取得し、その更新情報を用いて、それらのデータの更新を行う。このように、認知症の専門知識を有するスーパーバイザーがアドバイス情報等を修正することにより、アドバイス等の精度を高めることができる。
なお、BPSDデータ203cやアドバイスデータ203dに記憶されるその他の情報は、データベースの監修者等により入力部200を介して適宜入力され、または、システム管理者やスーパーバイザーが操作する端末装置10から取得され、BPSDデータ203cやアドバイスデータ203dに記憶される。
予防情報選択部211は、予防データ203eに記憶されている患者を介護する際の注意事項の情報のいずれか、また、予防データ203eに記憶されているBPSDに対する予防対策の情報のいずれかを選択する処理部である。
例えば、予防情報選択部211は、BPSD発症履歴データ203fに記憶された患者のBPSDの症状の情報、および、BPSDが発症した際の患者および介護者の状況の情報、発症する可能性のあるBPSDの症状の情報、患者が拘泥する事項の情報、介護者が困惑する症状の情報の少なくとも1つに対応する情報を予防データ203eから検索することにより、患者を介護する際の注意事項の情報を選択する。
また、予防情報選択部211は、アドバイス実施履歴データ203gに記憶された、アドバイスの内容が実施された結果得られた効果の情報、アドバイスの内容が実施された際の患者および介護者の状況の情報の少なくとも1つに対応する情報を、予防データ203eから検索することにより、BPSDに対する予防対策の情報を選択する。
これにより、患者を介護する際の注意事項の情報、および、予防データ203eに記憶されているBPSDに対する予防対策の情報を介護者に効果的に提示することができる。なお、どの情報に対応する注意事項の情報、および、予防対策の情報を検索するかは、介護者が端末装置10を操作して指定した情報を、予防情報選択部211が取得して決定することとする。ここで選択された情報は、情報出力部214によりネットワークインターフェース部202を介して端末装置10に送信される。
BPSD候補対策情報選択部212は、BPSD候補対策データ203iに記憶されたBPSDの候補に対する対策の情報のいずれかを選択する処理部である。例えば、BPSD候補対策情報選択部212は、BPSD候補発症履歴データ203jに記憶されたBPSDの候補の発生状況の情報、BPSD候補対策実施履歴データ203kに記憶されたBPSDの候補に対する対策の患者および介護者の効果の情報、対策実施時の患者および介護者の状況の情報の少なくとも1つに対応する情報を、BPSD候補対策データ203iから検索することにより、BPSDの候補に対する対策の情報を選択する。
これにより、BPSDの候補に対する対策の情報を適切に選択することができる。なお、どの情報に対応する対策の情報を検索するかは、介護者が端末装置10を操作して指定した情報を、BPSD候補対策情報選択部212が取得して決定することとする。ここで選択された情報は、情報出力部214によりネットワークインターフェース部202を介して端末装置10に送信される。
記憶情報選択部213は、BPSD候補データ203hに記憶されたBPSDの候補の情報のいずれかを選択し、選択した情報をBPSDデータ203cにBPSDの情報として登録し、さらに、BPSD候補対策データ203iに記憶されたBPSDの候補に対する対策の情報のいずれかを選択し、選択した情報をアドバイスデータ203dにアドバイス情報として登録する処理部である。
例えば、図2で説明したように、記憶情報選択部213は、BPSD発症履歴データ203fを参照し、BPSD候補データ203hに記憶されたBPSD候補のうち、一定以上の発症回数が認められたBPSD候補を抽出する。そして、記憶情報選択部213は、BPSD候補対策実施履歴データ203kを参照し、抽出したBPSD候補に対する対策としてBPSD候補対策データ203iに記憶されたもののうち、対策を実施した回数に対し、効果が認められた回数の比率が一定比率以上であるものを抽出する。そして、記憶情報選択部213は、抽出したBPSD候補の情報と、抽出した対策の情報とを対応付けて、知恵袋データ203lに記憶する。
そして、記憶情報選択部213は、知恵袋データ203lに記憶されているBPSD候補の情報、および、そのBPSD候補の情報に対する対策の情報が、スーパーバイザーの端末装置10の操作により指定された場合に、指定されたBPSD候補の情報をBPSDデータ203cにBPSD情報として記憶するとともに、指定された対策の情報をアドバイスデータ203dにアドバイス情報として記憶する。
また、記憶情報選択部213は、スーパーバイザーが端末装置10を操作して、BPSD候補データ203hに記憶されたBPSDの候補の情報のいずれかをBPSDデータ203cに登録する情報として選択し、さらに、BPSD候補対策データ203iに記憶されたBPSDの候補に対する対策の情報のいずれかをアドバイスデータ203dに登録する情報として選択した場合に、その登録処理を行う。
これにより、良質のアドバイス情報を抽出することができ、抽出されたアドバイス情報を介護者に提供することができる。また、認知症の専門知識を有するスーパーバイザーがアドバイス情報を抽出することにより、アドバイス等の精度を高めることができる。
なお、BPSDデータ203cやアドバイスデータ203dに記憶されるその他の情報は、データベースの監修者等により入力部200を介して適宜入力され、または、データベース管理者やスーパーバイザーが操作する端末装置10から取得され、BPSDデータ203cやアドバイスデータ203dに記憶される。
情報出力部214は、端末装置10などの他の装置に、ネットワークインターフェース部202を介して、種々の情報を送信する処理部である。例えば、情報出力部214は、BPSD情報選択部205、アドバイス情報選択部206、予防情報選択部211、BPSD候補対策情報選択部212により選択された情報や、BPSD観察要求部209により生成された情報を端末装置10に送信する。
警告メッセージ出力部215は、患者・介護者傾向判定部208により、将来の患者の病状の傾向が「悪化」と判定された場合に、ネットワークインターフェース部202を介して、端末装置10に介護者に対する警告メッセージを送信する処理部である。これにより、介護者の注意を効果的に喚起することができる。
表示制御部216は、表示部201に対する情報の表示を制御する制御部である。制御部217は、認知症ケア支援装置20の各機能部200〜216を制御するとともに、記憶部203に記憶されている制御プログラム203mを実行するCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの制御デバイスである。
図5は、本発明の実施形態に係る認知症ケア支援処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。認知症ケア支援装置20の情報受付部204は、新規情報を端末装置10から受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。
ここで、新規情報とは、患者情報、介護者情報、BPSD発症履歴情報、アドバイス実施履歴情報、BPSD候補情報、BPSD候補対策情報、BPSD候補発症履歴情報、BPSD候補対策実施履歴情報などの情報である。
新規情報を端末装置10から受け付けた場合(ステップS101においてYESの場合)、情報受付部204は、受け付けた情報を記憶部203に記憶する(ステップS102)。
例えば、情報受付部204は、患者情報、介護者情報、BPSD発症履歴情報、アドバイス実施履歴情報、BPSD候補情報、BPSD候補対策情報、BPSD候補発症履歴情報、BPSD候補対策実施履歴情報をそれぞれ、患者データ203a、介護者データ203b、BPSD発症履歴データ203f、アドバイス実施履歴データ203g、BPSD候補データ203h、BPSD候補対策データ203i、BPSD候補発症履歴データ203j、BPSD候補対策実施履歴データ203kに記憶する。
ステップS102の処理の後、または、新規情報を受け付けていない場合(ステップS101においてNOの場合)、情報受付部204は、端末装置10から情報の出力要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。ここで、情報の出力要求とは、アドバイス情報や予防対策情報、BPSD候補対策情報などの情報の出力情報である。
端末装置10から情報の出力要求を受け付けた場合(ステップS103においてYESの場合)、情報出力処理が行われる(ステップS104)。この情報出力処理については、図6を用いて後に詳しく説明する。
ステップS104の処理の後、または、端末装置10から情報の出力要求を受け付けていない場合(ステップS103においてNOの場合)、BPSD発症履歴データ203fに記憶されていない患者のBPSDの情報を介護者に登録させるため、介護者に患者のBPSDの症状の観察を行うように促す情報を出力するBPSD情報登録要求出力処理が行われる(ステップS105)。このBPSD情報登録要求出力処理については、図7を用いて後に詳しく説明する。
そして、BPSD候補データ203hに記憶されているBPSD候補情報のうち、所定の条件を満たすものを、BPSDデータ203cにBPSD情報として記憶し、また、BPSD候補対策データ203iに記憶されているBPSD候補対策情報のうち、所定の条件を満たすものを、アドバイスデータ203dにアドバイス情報として記憶するBPSD情報記憶処理が行われる(ステップS106)。このBPSD情報記憶処理については、図8を用いて後に詳しく説明する。
その後、記憶部203に記憶されている情報を、必要に応じて更新する情報更新処理が行われる(ステップS107)。この情報更新処理については、図9を用いて後に詳しく説明する。
そして、情報受付部204は、処理を終了することを示す情報を端末装置10から受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。処理を終了することを示す情報を端末装置10から受け付けた場合(ステップS108においてYESの場合)、この認知症ケア支援処理は終了する。処理を終了することを示す情報を端末装置10から受け付けていない場合(ステップS108においてNOの場合)、ステップS101に移行して、その後の処理が継続される。
図6は、図5のステップS104に示した情報出力処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。認知症ケア支援装置20の患者・介護者傾向判定部208は、BPSD発症履歴データ203fに記憶された患者のBPSDの症状の情報の時系列変化に基づいて、将来の患者のBPSDの症状の傾向を判定する(ステップS201)。
そして、警告メッセージ出力部215は、患者・介護者傾向判定部208により患者のBPSDの症状が将来悪化すると判定されたか否かを判定する(ステップS202)。患者のBPSDの症状が将来悪化すると判定された場合(ステップS202においてYESの場合)、警告メッセージ出力部215は、ネットワークインターフェース部202を介して、介護者に対する警告メッセージを端末装置10に送信する(ステップS203)。
ステップS203の処理の後、または、患者のBPSDの症状が将来悪化すると判定されなかった場合(ステップS202においてNOの場合)、情報受付部204は、アドバイス情報の出力指示を端末装置10から受け付けたか否かを判定する(ステップS204)。
アドバイス情報の出力指示を端末装置10から受け付けた場合(ステップS204においてYESの場合)、アドバイス情報選択部206は、BPSD情報選択部205により選択されたBPSDの症状の情報、BPSD発症履歴データ203fに記憶された患者のBPSDの症状および患者のBPSDの発症状況の情報、介護者データ203bに記憶された患者にBPSDが発症した際の介護者の状況の情報、アドバイス実施履歴データ203gに記憶されたアドバイス情報の患者に対する効果の情報、アドバイス情報の介護者に対する効果の情報、アドバイス情報に含まれる内容を実施した際の患者の状況の情報、アドバイス情報に含まれる内容を実施した際の介護者の状況の情報、患者・介護者傾向判定部208により判定された患者の傾向、介護者の傾向の情報の少なくとも1つの情報に対応するアドバイス情報を、アドバイスデータ203dから検索することにより、アドバイス情報を選択する(ステップS205)。
その後、情報出力部214は、アドバイス情報選択部206により選択されたアドバイス情報を端末装置10に送信する(ステップS206)。
ステップS206の処理の後、または、アドバイス情報の出力指示を端末装置10から受け付けなかった場合(ステップS204においてNOの場合)、情報受付部204は、予防情報の出力指示を端末装置10から受け付けたか否かを判定する(ステップS207)。
予防情報の出力指示を端末装置10から受け付けた場合(ステップS207においてYESの場合)、予防情報選択部211は、予防データ203eに記憶されている患者を介護する際の注意事項の情報のいずれか、および、予防データ203eに記憶されているBPSDに対する予防対策の情報のいずれかを予防情報として選択する(ステップS208)。
具体的には、予防情報選択部211は、BPSD発症履歴データ203fに記憶された患者のBPSDの症状の情報、および、BPSDが発症した際の状況の患者および介護者の情報に基づいて、それら情報に対応する情報を予防データ203eから検索することにより、患者を介護する際の注意事項の情報を選択する。
また、予防情報選択部211は、アドバイス実施履歴データ203gに記憶されたアドバイスの内容が実施される結果得られる患者および介護者の効果の情報、および、アドバイスの内容が実施される際の患者および介護者の状況の情報に対応する情報を、予防データ203eから検索することにより、BPSDに対する予防対策の情報を選択する。
その後、情報出力部214は、予防情報選択部211により選択された予防情報を端末装置10に送信する(ステップS209)。
ステップS209の処理の後、または、予防情報の出力指示を端末装置10から受け付けなかった場合(ステップS207においてNOの場合)、情報受付部204は、BPSD候補対策情報の出力指示を端末装置10から受け付けたか否かを判定する(ステップS210)。
BPSD候補対策情報の出力指示を端末装置10から受け付けた場合(ステップS210においてYESの場合)、BPSD候補対策情報選択部212は、BPSD候補発症履歴データ203jに記憶されたBPSDの候補の発生状況の情報、BPSD候補対策実施履歴データ203kに記憶されたBPSDの候補に対する対策の患者および介護者の効果の情報、対策実施時の患者および介護者の状況の情報の少なくとも1つに対応する情報を、BPSD候補対策データ203iから検索することにより、BPSDの候補に対する対策の情報を選択する(ステップS211)。
その後、情報出力部214は、BPSD候補対策情報選択部212により選択されたBPSD候補対策情報を端末装置10に送信する(ステップS212)。ステップS212の処理の後、または、BPSD候補対策情報の出力指示を端末装置10から受け付けなかった場合(ステップS210においてNOの場合)、この情報出力処理は終了する。
図7は、図5のステップS105に示したBPSD情報登録要求出力処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。認知症ケア支援装置20のBPSD観察要求部209は、BPSD発症履歴データ203fに患者のBPSDの情報が登録されているか否かを判定する(ステップS301)。
患者データ203aに患者のBPSDの情報が所定の期間経過しても登録されない場合(ステップS301においてNOの場合)、BPSD観察要求部209は、介護者に患者のBPSDの症状の観察を行い、患者のBPSDの情報を登録するように促す情報を生成し、情報出力部214が、その情報を端末装置10に送信する(ステップS302)。
ステップS302の処理の後、または、患者データ203aに患者のBPSDの情報が登録されている場合(ステップS301においてYESの場合)、このBPSD情報登録要求出力処理は終了する。
図8は、図5のステップS106に示したBPSD情報記憶処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。認知症ケア支援装置20の記憶情報選択部213は、BPSD候補データ203hに記憶されているBPSDの候補の情報をBPSDデータ203cにBPSDの情報として記憶し、また、BPSD候補対策データ203iまたは知恵袋データ203lに記憶されたBPSDの候補に対する対策の情報をアドバイスデータ203dにアドバイス情報として記憶する指示を、情報受付部204がスーパーバイザーから受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。
上記指示を情報受付部204がスーパーバイザーから受け付けた場合(ステップS401においてYESの場合)、記憶情報選択部213は、スーパーバイザーにより指定されたBPSDの候補の情報を選択し、その情報をそのBPSDデータ203cにBPSDの情報として記憶するとともに、選択された情報をBPSD候補データ203hから削除する(ステップS402)。また、記憶情報選択部213は、スーパーバイザーにより指定されたBPSDの候補に対する対策の情報を選択し、その情報をアドバイスデータ203dにアドバイス情報として記憶するとともに、選択された情報をBPSD候補対策データ203iまたは知恵袋データ203lから削除する(ステップS403)。そして、このBPSD情報記憶処理は終了する。
なお、BPSDデータ203cやアドバイスデータ203dに記憶されるその他の情報は、データベースの監修者等により入力部200を介して適宜入力され、または、データベース管理者やスーパーバイザーが操作する端末装置10から取得され、BPSDデータ203cやアドバイスデータ203dに記憶される。
上記指示を情報受付部204がスーパーバイザーから受け付けなかった場合(ステップS401においてNOの場合)、記憶情報選択部213は、以下に説明するステップS405からステップS410の処理を前回行ってから所定の期間経過したか否かを判定する(ステップS404)。
所定の期間経過していない場合(ステップS404においてNOの場合)、このBPSD情報記憶処理は終了する。所定の期間経過した場合(ステップS404においてYESの場合)、記憶情報選択部213は、BPSD候補データ203hに記憶されたBPSDの候補の情報を1つ選択する(ステップS405)。
そして、記憶情報選択部213は、選択したBPSDの候補が一定の発症度で発症しているか否かを判定する(ステップS406)。例えば、記憶情報選択部213は、BPSD候補発症履歴データ203jに記憶された情報を参照し、BPSDの候補が所定期間ごとに所定の回数以上発症しているか否かを判定する。
BPSDの候補が一定の発症度で発症している場合(ステップS406においてYESの場合)、記憶情報選択部213は、BPSD候補対策実施履歴データ203kに記憶された効果の情報を参照し、BPSD候補対策データ203iに記憶されたBPSDの候補に対する対策の情報のうち、効果のある対策があったか否かを判定する(ステップS407)。
上記BPSDの候補に対して、効果のある対策があった場合(ステップS407においてYESの場合)、記憶情報選択部213は、そのBPSDの候補の情報と、そのBPSDの候補に対して効果のあった対策の情報を対応付けて知恵袋データ203lに記憶するとともに、そのBPSDの候補の情報、および、そのBPSDの候補に対して効果のあった対策の情報をそれぞれ、BPSD候補データ203h、および、BPSD候補対策データ203iから削除する(ステップS408)。
なお、知恵袋データ203lに記憶されるその他の情報は、データベースの監修者等により入力部200を介して適宜入力され、または、データベース管理者やスーパーバイザーが操作する端末装置10から取得され、知恵袋データ203lに記憶される。
ステップS408の処理の後、または、BPSDの候補が一定の発症度で発症していなかった場合(ステップS406においてNOの場合)、または、BPSDの候補に対して効果のある対策がなかった場合(ステップS407においてNOの場合)、記憶情報選択部213は、BPSD候補データ203hに記憶されたすべてのBPSDの候補の情報について、ステップS405以降の検査が終了したか否かを判定する(ステップS409)。
すべてのBPSDの候補の情報についての検査が終了していない場合(ステップS409においてNOの場合)、ステップS405に移行して、検査が済んでいないBPSDの候補の情報が1つ選択され、その後の処理が実行される。すべてのBPSDの候補の情報についての検査が終了した場合(ステップS409においてYESの場合)、このBPSD情報記憶処理は終了する。
図9は、図5のステップS107に示した情報更新処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。認知症ケア支援装置20の情報更新部210は、データベースの監修者、または、スーパーバイザーにより入力された更新情報を情報受付部204が受け付けたか否かを判定する(ステップS501)。
更新情報を情報受付部204が受け付けた場合(ステップS501)、情報更新部210は、その更新情報を用いて記憶部203に記憶された情報を更新する(ステップS502)。
ステップS502の処理の後、または、監修者、または、スーパーバイザーにより入力された更新情報を情報受付部204が受け付けていない場合(ステップS501においてNOの場合)、情報更新部210は、ステップS504の処理を前回実行してから一定期間が経過したか否かを判定する(ステップS503)。
一定期間が経過した場合(ステップS503においてYESの場合)、情報更新部210は、記憶部203に記憶された情報の自動更新を行う(ステップS504)。例えば、情報更新部210は、BPSD発症履歴データ203fを参照し、一定期間以上発症履歴の情報がBPSD発症履歴データ203fに記憶されなかったBPSDの症状の情報をBPSDデータ203cから読み出し、BPSD候補データ203hに記憶するとともに、そのBPSDの症状の情報をBPSDデータ203cから削除する。
また、情報更新部210は、読み出したBPSDの症状の情報に対応するアドバイスの情報をアドバイスデータ203dから読み出して、読み出した情報をBPSD候補対策データ203iにBPSD候補対策情報として記憶するとともに、そのアドバイスの情報をアドバイスデータ203dから削除する。同時に、情報更新部210は、読み出したBPSDの症状の情報に対応付けて、アドバイスの情報を知恵袋データ203lに記憶する。
また、情報更新部210は、アドバイス実施履歴データ203gを参照し、アドバイスの効果が一定水準を下回るアドバイスの情報(例えば、効果が「あり」、「ややあり」、「なし」という3段階で登録されている場合に、効果が「なし」と登録されているアドバイスの情報)を、アドバイスデータ203dから読み出して、読み出した情報をBPSD候補対策データ203iにBPSD候補対策情報として記憶するとともに、その情報をアドバイスデータ203dから削除する。
また、情報更新部210は、読み出したアドバイスの情報に対応するBPSDの症状についての他のアドバイスの情報がアドバイスデータ203dに存在しない場合は、読みだしたアドバイスの情報に対応するBPSDの症状を、BPSDデータ203cから読み出し、その情報をBPSD候補データ203hに記憶するとともに、その情報をBPSDデータ203cから削除する。同時に、情報更新部210は、読み出したBPSDの症状の情報と、読み出したアドバイスの情報とを対応付けて知恵袋データ203lに記憶する。
さらに、情報更新部210は、BPSDの症状のうち、スーパーバイザーにより観察が必要な項目であると判断されたBPSDの症状の指定を受け付け、指定されたBPSDの症状の情報にフラグを付ける処理を行う。そして、フラグが付けられているBPSDの症状については、情報更新部210は情報の自動更新を行わない。
なお、BPSDデータ203cやアドバイスデータ203dに記憶されるその他の情報は、データベースの監修者等により入力部200を介して適宜入力され、または、データベース管理者やスーパーバイザーが操作する端末装置10から取得され、BPSDデータ203cやアドバイスデータ203dに記憶される。
ステップS504の処理の後、または、一定期間が経過していない場合(ステップS503においてYESの場合)、この情報更新処理は終了する。
図10、図11は、認知症ケア支援装置20により出力されるアドバイス情報の一例を示す図であり、図12は、認知症ケア支援装置20により出力される予防情報の一例を示す図である。図10に示されるアドバイス情報には、こだわり度大の項目40、困惑度大の項目41、こだわり度・困惑度の相関関係の情報42、43が含まれている。
こだわり度大の項目40とは、あることに患者が拘泥していることに対するアドバイスの情報である。この情報40は、例えば、患者のBPSD発症時の状況として、あることに患者が強く拘泥するという状態が登録された場合に出力される情報である。また、この拘泥するという状態は、BPSD発症履歴データ203fに登録されたBPSD症状の発症時の患者の情動や行動パターンの情報から、患者・介護者傾向判定部208により判定される。
困惑度大の項目41とは、介護者が困惑する点についてのアドバイスの情報である。この情報41は、例えば、介護者の患者にBPSDが発症した際の介護者の状況の情報として、強く困惑しているという状況が登録されている場合に出力される情報である。この強く困惑しているという状況は、BPSD発症履歴データ203fに登録されたBPSD症状の発症時の介護者の情動や行動パターンの情報から、患者・介護者傾向判定部208により判定される。
こだわり度・困惑度の相関関係42、43とは、あることに患者が拘泥している度合いと、そのことに対して介護者が困惑している度合いの対応関係を示し、その関係に基づくアドバイスの情報である。この情報42、43は、例えば、BPSD発症履歴データ203fに患者のBPSDの症状として、あることに患者が強く拘泥するという状況が介護者により登録され、かつ、患者にBPSDが発症した際の介護者の状況の情報として、介護者が強く困惑しているという状況が介護者により登録された場合に出力される情報であり、患者の拘泥の度合いと介護者の困惑の度合いの対応関係を示す情報である。
図11に示されるアドバイス情報には、傾向表示44、今後の問題予測45が含まれている。傾向表示44は、患者・介護者傾向判定部208により判定された患者や介護者の傾向の情報であり、その中で介護者に注意を促す必要があるような傾向を示す項目(例えば、発症頻度が急増した症状の情報、効果がなくなったアドバイスの情報、悪化した情動の情報など)や、介護者が特に困惑している項目に対する情報であり、この図の例では困惑度大の項目である。この傾向表示44とともに、発症頻度グラフ46、アドバイス効果グラフ47、情動傾向グラフ48、困惑度変化グラフ49が表示される。
発症頻度グラフ46は、患者のBPSDの症状の発生頻度の過去および将来の時系列変化を示すグラフである。アドバイス効果グラフ47は、アドバイス情報に含まれる内容を実行することにより得られる効果の過去および将来の時系列変化を示すグラフである。情動傾向グラフ48は、患者および介護者の情動の過去および将来の時系列変化を示すグラフである。困惑度変化グラフ49は、患者のBPSDの症状に対する介護者の困惑度の過去および将来の時系列変化を示すグラフである。なお、将来の情報は、患者・介護者傾向判定部208が過去の傾向を外挿することにより得られる情報である。
今後の問題予測45は、今後発生することが予測される問題の情報である。この情報は、患者・介護者傾向判定部208により、例えば、患者のBPSDの症状の発症頻度、アドバイス情報の効果、患者および介護者の情動、介護者の困惑度に基づいてアドバイスデータ203dから抽出される。
図12に示される予防情報には、発症する可能性のあるBPSDの症状の項目50、患者が拘泥する事項の項目51、介護者が困惑する症状の項目52が含まれている。発症する可能性のあるBPSDの症状の項目50は、発生頻度の高い症状について、その症状が発生しないようにするための予防情報である。例えば、所定の期間に患者のBPSDの症状が、BPSD発症履歴データ203fに、一定回数以上介護者により登録された場合に出力される情報である。患者が拘泥する事項の項目50は、患者が拘泥していることに対して出力される予防情報であり、介護者が困惑する症状の項目51は、介護者が負担に感じていることに対して、その状況が発生しないようにするための予防情報である。
さて、これまで認知症ケア支援システムおよび認知症ケア支援方法の実施形態を中心に説明を行ったが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、認知症ケア支援システムの機能を実現するためのコンピュータプログラムとしての形態、あるいは、当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体の形態として本発明が実施されることとしてもよい。
ここで、記録媒体としては、ディスク系(例えば、磁気ディスク、光ディスク等)、カード系(例えば、メモリカード、光カード等)、半導体メモリ系(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、テープ系(例えば、磁気テープ、カセットテープ等)等、さまざまな形態のものを採用することができる。
これら記録媒体に上記実施形態における認知症ケア支援システムの機能を実現させるコンピュータプログラム、または、認知症ケア支援方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録して流通させることにより、コストの低廉化、及び可搬性や汎用性を向上させることができる。
そして、コンピュータに上記記録媒体を装着し、コンピュータにより記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出してメモリに格納し、コンピュータが備えるプロセッサ(CPU:Central Processing Unit、MPU:Micro Processing Unit)が当該コンピュータプログラムをメモリから読み出して実行することにより、本実施形態に係る認知症ケア支援システムの機能を実現し、認知症ケア支援方法を実行することができる。
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。