JP7140805B2 - 地域包括ケア事業システム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、高齢者の全ライフステージ(データヘルス、総合、介護給付、医介連携)ごとに、介護や疾病の状態が発現するリスクを回避することを可能とした地域包括ケア事業システムに関する。
地域包括ケアシステムにおける地域マネジメントは、高齢者の全ライフステージ(データヘルス、総合、介護給付、医介連携)事業をカバーすべく実施されるが、これらライフステージごとに介護や疾病の状態が発現するリスクが存在する。
なお、上述したデータヘルス事業とは、疾病予防・重症化防止(糖尿病/うつ等)のための事業である。総合事業とは、介護予防・生活支援のための事業である。介護給付事業とは、自立支援・重度化防止(心身状態改善・維持)のための事業である。さらに、医介連携(医療・介護連携)事業とは、多職種連携(質の高いケアを提供するために、異なった専門的背景をもつ専門職が、共有した目標に向けて共に働くこと)による在宅医療期間延伸・急性増悪による入退院時のケアマネジャーと病院側との連携推進のための事業である。
上述したリスクに対し、そのリスクが顕在化する前に未然に手を打ち、そのリスクを回避することが重要となる。そこで、これら4事業領域ごとにリスク対象者を抽出し、重点的なフォローを支援することが考えられている。
データヘルス事業では、例えば、糖尿病受診勧奨サービスで、HbA1c、インシュリン、透析の高リスク対象者抽出が考えられる。
総合事業では、介護予防プログラムに参加すべきであるが、未参加状態の人がリスク対象者となる。例えば、誤嚥性肺炎の受診をしているが口腔ケアプログラムを利用していない人や、変形性関節症の受診をしているが運動プログラムを利用していない人がリスク対象者となり、これらのリスク対象者を抽出することが考えられる。
介護給付事業では、例えば、居宅サービスで利用者状態像に対して、ベストケアプラン候補に基づく奨励ケアプラン(推奨ケアプランともいう)との差異が大きく、このままでは心身状態が重度化する怖れのある人がリスク対象者となり、その抽出が考えられる。また、在宅介護限界リスク対象者の抽出なども考えられる。
医介連携事業では、在宅医療の多職種連携、すなわち、多職種連携量が少ない人と関係チームの抽出、及び入退院医療介護連携、すなわち、入退院時に介護側と医療側の連携加算状況等から連携に問題がある関係機関の抽出、がそれぞれ考えられる。
しかしながら、業務遂行上の問題として以下の3点が問題となる。
・潜在的なリスク対象者の抽出条件がわからない。
・リスク対象者の抽出方法がわからない。
・リスク対象者を見つけても効果的なフォローの仕方がわからない。
特開2017-215787号公報
そこで、網羅的なリスク回避の実現による、前述した各事業での予防・重症化防止効果の最大化を図る必要がある。例えば、介護給付事業では、高齢者・要介護者が急速に増大する中、ケアマネジャーだけにケアプランの質の向上やケアマネ人材教育をまかせるのにはおのずと限界がある。この場合、行政として、推奨ケアプランを提示し、この推奨ケアプランと著しく乖離したケアプランの対象者の抽出とフィードバックなどを行うことで、上述した乖離に伴うリスクの回避及びケアプランの質の向上等の一助を担える可能性がある。
本発明は、潜在的リスク対象者を的確に抽出し、リスク回避の対応を可能とした地域包括ケア事業システムを提供することにある。
本発明の実施の形態に係る地域包括ケア事業システムは、自治体が有する介護データ、及び住基データを含む住民に関する基本データを少なくとも有する高齢者統合データベースと、この高齢者統合データベースに保存された高齢者に関するデータを分析し、高齢者の要介護認定結果と共に、認定された前記高齢者の心身状態、同高齢者への介護力、及び同高齢者の経済力を組み合わせた高齢者状態像を得る機能を有し、この高齢者状態像に基づく前記高齢者の心身状態に関する現状を捉えるコンピュータシステムによる高齢者現状分析部と、前記高齢者の心身状態に関する現状に対するベストケアプラン候補が登録された推奨ケアプランマスタを有し、前記ベストプラン候補が対応策として予め設定されたコンピュータシステムによる対応策保持部と、前記対応策保持部に保持された対応策から、前記高齢者状態像に対応するベストケアプラン候補を推奨ケアプランとして選定して前記高齢者の心身状態の現状に対応した対応策を抽出するコンピュータシステムによる対応策抽出部とを備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、潜在的なリスク対象者を的確に抽出して適切なリスク回避を行うことができる。
本発明の一実施形態に係る地域包括ケア事業システムの全体構成を示す図である。 介護給付事業にかかわる実施の形態を説明する機能図である。 介護給付事業にかかわる実施の形態で用いる高齢者状態像を説明する図である。 高齢者状態像を構成する介護力の算出条件を説明する図である。 介護力の算出要素を説明する図である 介護力の算出方法を説明する図である。 高齢者状態像を構成する経済力の算出方法を説明する図である。 経済力の算出要件である対象者の収入段階を説明する図である。 介護サービス種類を説明する図である。 介護サービスの一例である居宅サービスの組み合わせを説明する図である。 ケアプランを利用者の平均維持期間の長さと改善率とで評価し、ベストケアプラン候補を選定する処理の説明図である。 総合事業にかかわる実施の形態を説明する機能図である。 総合事業における利用者の受診内容と介護予防プログラムとの対応関係を説明する図である。 リスク対象者分析を説明するフローチャートである。 ビックデータ利用によるリスク対象検出の実施形態1に用い5大データの属性マスタを示す図である。 同上実施形態1に用いる介護に関係の深い四大疾病とその対応方針を説明する図である。 前記5大データの属性組合せを説明する図である。 前記5大データの属性組合せに対するリスク対策アプローチを説明する図である。 前記実施形態1の処理を説明するフローチャートである。 実施形態2の処理を説明するフローチャートである。 実施形態3の処理を説明するフローチャートである。 実施形態4の処理を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、高齢者の全ライフステージ(データヘルス、総合、介護給付、医介連携)事業のうち、データヘルス事業での糖尿病受診勧奨サービスについては、本件出願人により別出願にて提案済であるので、本願では、主として総合事業や介護給付事業でのリスク対応について話を進める。
図1にこの実施の形態に係る地域包括ケア事業システムの全体構成を示す。図1において、高齢者統合データベース(以下、DBと略称する)11は、自治体が所有するもので、この自治体が保険者となって実施する介護保険により得られる介護データや、資格・住基データなどの住民に関する基本データ、総合事業データ、及び医療データなどが蓄積されている。
高齢者現状分析部12は、高齢者統合DB11に蓄積された高齢者に関する各種のデータを分析し、高齢者の心身状態に関する現状を捉える機能を有する。
対応策保持部13は、高齢者現状分析部12によって捉えられる高齢者の心身状態の現状に対する対応策を予め設定する機能を有する。
対応策抽出部14は、対応策保持部13に保持された対応策から、高齢者の心身状態の現状に対応した対応策を抽出する機能を有する。
なお、これら各機能実現部11,12,13,14はコンピュータシステムにより構成される。後述する各機能実現部も同様にコンピュータシステムにより構成される。
以下、具体的な実施例として介護給付事業での自立支援重度化防止のための推奨ケアプランの提供、及び推奨ケアプランと実際のケアプランとの乖離によるリスク対応について説明する。
始めに、介護給付事業の全体的な流れを図2により説明する。介護給付事業は大別すると、以下の4つの組織により実行される。すなわち、自治体21、居宅介護支援事業所22、介護サービス事業所23、及び国民健康保険団体連合会(以下、国保連と略称する)24、の4つである。
自治体21は、介護保険者として対象自治体での介護保険事業を実施する。居宅介護支援事業所22は、介護サービスが居宅介護の場合、利用者に提示された推奨ケアプランを参考にした実際のケアプランを作成し、介護サービス事業所23に提供する。介護サービス事業所23は、推奨ケアプランを参考にした実際のケアプランにより利用者にサービスを提供する。国保連24は、介護サービス事業所23からの報告に基づき、介護保険法に基づく介護給付費の審査支払業務及び保険者支援業務並びに苦情処理業務を行う。
図2の介護給付事業では、自治体21は、高齢者統合DB11を構成する介護データ212及び基本データ213を用いて、推奨ケアプランマスタ215から、心身状態改善・維持に資するサービスの組み合わせ(推奨ケアプラン)の抽出を行う。居宅サービスの場合、認定結果通知時(ケアプラン作成前)の推奨ケアプランを、居宅介護支援事業所22に対して提示する。また、この推奨ケアプランを参考に作成されたケアプランについての、後述する実態分析に基づくチェック及びその結果提示を行う。これにより、個人単位の自立支援・重度化防止施策を実現する。以下、具体的に説明する。
介護サービス事業所23は、前述のように居宅介護支援事業所22が作成した実際のケアプラン(利用者に提示された推奨ケアプランを参考にして作成)に従って、対応する利用者にサービスを提供する。このサービス提供に伴い、介護サービス事業所23から国保連24に、利用者別の介護給付費請求書231が送られてくる。このため、国保連24には利用者別の給付実績情報241が保持される。この給付実績情報241は自治体21に提供され、実態分析部211により実態分析が行われ、自治体21の介護データ212に更新蓄積される。
この実態分析部211の処理の流れを説明する。
・分析対象データ選定:分析年月の給付実績情報と、認定年月から所定期間内(例えば、3か月以内)の分析年月を含む認定データとを分析対象データとする。
・高齢者状態像集計:分析対象の認定データと資格・住基データ213とから、分析年月の利用者別高齢者状態像(後述する)を集計する。
・サービス状態像集計:分析対象の給付実績情報241から、分析年月の利用者別サービス状態像を集計する。
・高齢者状態像とサービス状態像のクロス集計:同一対象者の高齢者状態像とサービス状態像のクロス集計を行い、その分布等を実態分析結果として把握する。
上述した高齢者状態像とは、図3で示すように、「要介護度」、「心身状態像」、「介護力」及び「経済力」の組合せにより定義する。この高齢者状態像を得るため実態分析部211には、これら「要介護度」、「心身状態像」、「介護力」及び「経済力」のデータテーブルを構成し、それらの組み合わせを可能とする。また、心身状態像は、「特別な医療」、「麻痺」、「骨折」、「認知症自立度」及び「障害自立度」の組み合わせにより定義する。この心身状態像の各構成要素段階の定義を図4に示す。
図4では上述の心身状態像の構成要素別に、それぞれの構成要素段階、認定調査項目選択肢、及びそれらに対応する特記事項・備考が組み合わされている。例えば、図3における構成要素が「特別な医療」のNo.4「介護施設×有」の場合、図4では、「特別な医療」の欄のNo.4の行の構成要素段階、認定調査項目選択肢、及び特記事項・備考の各定義が対応する。他の「麻痺」、「骨折」、「認知症自立度」及び「障害自立度」についても同様に定義されている。
高齢者状態像を構成する「介護力」は、高齢者世帯の構成(高齢者本人に対する続柄)、及び高齢者世帯を構成する各人の要介護度を定義し、その組合せを基に決定する。すなわち、先ず、図5で示す介護対象の高齢者世帯に関するデータを、認定データや基本データ213に含まれる住基データなどから作成する。
図5では、世帯を構成する高齢者と同居人がA,B,Cであり、住基データの続柄は,Aが世帯主、Bが妻、Cが子である。この住基データの続柄では、誰が介護対象の高齢者か判別出来ないので、介護対象の高齢者を本人とし、この本人に対する続柄に変換する。図5のように、世帯主が本人の場合、妻は配偶者、子はそのまま子とする。なお、妻が本人の場合は、世帯主が配偶者となる。
これら世帯を構成する各人の内、対象者(65歳以上)の要介護度(軽重分類)を定義する。図5では、本人の要介護度は重度であり、配偶者の要介護度は軽度であるとする。
この高齢者世帯のデータに基づき、図6で示すように、高齢者世帯構成パターンと同居対象者の心身状態及びその軽重度との組み合わせから介護力を決定する。図5で示した世帯では、高齢者世帯構成パターンは「本人+配偶者+子」であり、同居対象者の心身状及びその軽重度は「軽度」であるため、介護力はNo.6の「中」となる。
高齢者状態像を構成する「経済力」は、高齢者本人と同一世帯居住者の所得段階を抽出し、その中で本人と配偶者のみに注目して世帯の経済力を決定する。2人だけとする理由は、経済的自立基本単位を本人と配偶者までとしているためである。したがって、高齢者本人の世帯人の経済力情報は、65歳以上の1号被保険者のみとなる。また、経済力は収入を元に算出し、貯蓄は含まない。
この「経済力」を求めるにあたっては、先ず、図7(a)で示す高齢者本人と同一世帯居住者の経済力を表すデータを、住基データや介護事務データ等から作成する。世帯構成は、前述した本人A、配偶者B、子Cとする。これら各人について所得段階を設定する。所得段階は本人が所属する自治体で定められた本自治体の段階と、地方税法により定められた段階とがあり、これら双方の段階を用いている。本自治体で定めた段階は、地方税法による段階より図8で示すように細かく定められている。
次に、図7(b)で示す本人の経済力判定テーブルと同図(c)で示す配偶者の経済力判定テーブルとを用いて、同図(d)で示すように本人と配偶者の経済力を判定する。
図7(a)で示す高齢者本人と同一世帯居住者の場合、本人Aの所得は、1500万円以上のため、図8から本自治体の所得段階は第13段階、地方税法による段階は第9段階となる。配偶者Bの所得は、80万円以下のため、図8から本自治体の所得段階は第6段階となる。
このため本人の経済力は、経済力判定テーブル図7(b)の一番下の行に該当し経済力「高」と判定される。なお、経済力判定テーブル図7(b)により、本人の所得段階が地方税法の第4段階以下の場合は、配偶者の経済力も低いことがわかるが、地方税法の第5段階以上の場合は配偶者の経済力が高い可能性がある。本人と配偶者の生計が一であるならば、本人の所得段階が地方税法の第5段階以上の場合は、本人単独の経済力と、経済力判定テーブル図7(c)で判定された配偶者の経済力を合わせたものを「経済力」とみなす。
前述のように、本人の経済力は「高」であり、配偶者の所得は80万円以下のため経済力判定テーブル図7(c)では、経済力「低」と判定される。本人と配偶者の経済力は同図(d)から「高」と判定される。
このようにして求められる介護力及び経済力を、図3のように要介護度及び心身状態増と組み合わせることにより高齢者状態像が得られる。この高齢者状態像の算出は、高齢者が属する自治体単位で行い、各サービス種類別にそれぞれ求める。
前述した実態分析において、同一対象者の高齢者状態像とクロス集計されるサービス状態像とは、利用者が受けているサービスの組み合わせにより定義される。介護サービスは、図9で示すように、大別して、「居宅サービス」、「施設サービス」、及び「居住サービス」からなる。「居宅サービス」については、「訪問系福祉サービス」、「訪問系医療サービス」、「通所系福祉サービス」、「通所系医療サービス」、「ショートステイ」及び「福祉用具貸与」があり、これらの組み合わせもある。
「施設サービス」には、「特養」、「老健」及び「療養施設(介護医療院)」がある。居住サービス」としては、「グループホーム」、「特定施設入居者生活介護」及び「小規模多機能型居宅介護」がある。これらにより多くのサービス種類が構成される。
サービス状態像は、前述のように、利用者が受けているサービスの組み合わせにより定義されるので、例えば、居宅サービスの場合は図10で示すような各サービスの組み合わせにより定義される。
次に、図2で示した推奨ケアプランマスタ作成部214を説明する。推奨ケアプランマスタ作成部214は、高齢者に適用される各種のケアプランのうち、高齢者に適用すると、該当する高齢者に好ましい結果(心身状態の改善又は心身状態の悪化までの維持期間の延伸等)が生じるケアプラン(ベストケアプラン候補)を見出し、これを推奨ケアプランとして推奨ケアプランマスタ215に保持させるものである。ここでケアプランとは、給付実績情報及び要介護認定データから抽出される高齢者状態像と、介護サービス種類の組み合わせによるサービス状態像との組み合わせからなる。
この推奨ケアプランマスタ作成部214の処理手順を以下説明する。
・高齢者状態像データ作成:高齢者状態像として、認定データと資格・住基データ、及び一人ひとりの月々の実態分析結果から、高齢者状態像データ(図3参照)を新たに作成する。
・サービス状態像データ作成:居宅サービスの場合は、サービス種類組合せとしてのサービス状態像(図10参照)を作成する。また施設・居住サービスの場合は基本サービスと加算サービスを考慮してのサービス状態像を定義して、一人ひとりの月々の実態分析結果から、サービス状態像データを新たに作成する。
・O指標の主たるサービス状態像と高齢者状態像を抽出(O指標:アウトカム指標とよばれ、利用者(高齢者)の心身状態の維持期間等の改善結果を表す):サービス種類別の要介護度別のO指標を算出する際に、上記2つの状態像が維持期間中で支配的な場合に(例えば、閾値で50%以上の期間を占める)、O指標データに、該当する主たるサービス状態像データと高齢者状態像データを付与する。
・良い高齢者状態像×サービス状態像の組合せを抽出:要介護度別の高齢者状態像×サービス状態像(ある程度、数がある意味のある組み合わせのみ)の組み合わせ状態像(ケアプラン)グループの、改善率と維持期間の平均値を散布図(図11参照)として記載する。これにより、どの組み合わせ状態像(ケアプラン)がよくて、どの状態像(ケアプラン)が悪いかを可視化する。
・推奨ケアプランマスタ作成:上述の散布図により良いと判断される領域に入ったケアプランをベストケアプラン候補とし、これを登録した推奨ケアプランマスタ(サービス種類別)を作る。
以下、具体的な処理について説明する。ケアプランとは、前述のように高齢者状態像とサービス状態像との組み合わせからなる。サービス種類別に、高齢者状態像×サービス状態像の組み合わせによる心身状態(要介護度等)の「改善率」及び「悪化までの平均維持期間」を図11で示す散布図にし、最適なケアプランを高齢者状態像別に抽出する。
図11では、サービス種類が居宅介護支援であり、要介護度は軽度(要介護2以下)とし、O指標である悪化までの平均維持期間及び改善率を、縦軸及び横軸とした二次元平面上に、高齢者状態像とサービス状態像との組み合わせであるケアプランをプロットしたものである。
なお、悪化までの平均維持期間とは、心身状態の段階で一つである要介護度が、例えば、要介護1から要介護2に変化することを悪化と言い、要介護1の継続期間が悪化までの継続期間となり、複数の利用者の平均値を悪化までの平均維持期間と呼ぶ。改善率は、例えば要介護2から要介護1へと段階が低くなることを改善と言い、要介護2の人数のうち要介護1に改善された割合を言う。
図11において、プロットされた各点は、同じ心身状態の段階(この場合は軽度)の高齢者に適用されている同じケアプラン同士を集束した複数のグループを表す。また、その座標値は、対応するケアプランが適用された当該高齢者の心身状態の段階の改善率及びこれら段階の維持期間の平均値である。なお中心点Cは自治体平均とする
図11の予め設定した右上の優良範囲B内に入る各グループのケアプランは、夫々悪化までの平均維持期間が自治体平均より長く、改善率も自治体平均より高いので、これらをベストケアプラン候補とする。これに対し、図示左下の予め設定した不良領域W内に入る各グループのケアプランは、夫々悪化までの平均維持期間が自治体平均より短く、改善率も自治体平均より低いので、これらをワーストケアプラン候補とする。
推奨ケアプランマスタ作成部214は、上述した優良範囲Bに入るグループを特定し、このグループを構成するケアプランをベストケアプラン候補とし、これらのベストケアプラン候補を登録した推奨ケアプランマスタ215を構成する。すなわち、高齢者状態像別に心身状態が維持・改善する傾向が高いサービス状態像を見つけ、推奨ケアプランとしてマスタ215に登録する。その知見は、居宅介護支援事業所22への認定結果通知時点の推奨ケアプランの提示や、ケアプラン実行初期時点でのチェック結果のフィードバックに用いられる。
ここで、ベストケアプラン候補は、高齢者の心身状態の現状に対する対応策となり、この対応策であるベストケアプラン候補を予め設定した推奨ケアプランマスタ215は、推奨ケアプランマスタ作成部214を含め、図1で説明した対応策保持部13として機能する。
一方、ワーストケアプラン候補については、ケアプラン見直し対象として抽出する。すなわち、高齢者状態像別に心身状態が維持・改善する傾向が低いサービス状態像を見つけ、推奨ケアプランへ見直しした方が良い対象者を抽出し、現場へフィードバックする。
高齢者現状分析部12は、図1で説明したように、自治体が有する高齢者に関するデータを分析し、高齢者の心身状態に関する現状を捉える。図2では、自治体21において高齢者の要介護認定が行われると、要介護認定結果と共に、認定された高齢者の心身状態、同高齢者への介護力、及び同高齢者の経済力を組み合わせた高齢者状態像を付与する。
自治体21では、利用者(高齢者)に対する要介護認定が定期的に行われる。そこで、図1で示す対応策抽出部14は、認定された高齢者に対して、対応策保持部13の推奨ケアプランマスタ215に保持された対応策(ベストケアプラン候補)から、高齢者の心身状態の現状に対応した対応策(推奨ケアプラン)を抽出する。
すなわち、対応策抽出部14は、高齢者現状分析部12により通知された要介護認定結果、及び付与された高齢者状態像に対応する推奨ケアプランを、推奨ケアプランマスタ215から選定して、居宅介護支援事業所22へ提示する。
この推奨ケアプラン提示処理は以下の手順で行われる。
・要介護認定結果に高齢者状態像を付与:要介護認定結果の通知対象者毎に、高齢者状態像を付与する。
・要介護認定結果に推奨ケアプランを付与:要介護認定結果の通知対象者毎に、推奨ケアプランマスタから推奨ケアプランを付与する。
・推奨ケアプラン提示:以上により、要介護認定結果の通知と同時に、要介護認定者毎の推奨ケアプランを提示する。
居宅介護支援事業所22は、上述した要介護認定結果、高齢者状態像、推奨ケアプランの提示を受け、推奨ケアプランを参考に要介護認定者のケアプランを作成する。作成されたケアプランは要介護認定者(高齢者)に実際のサービスを提供する介護サービス事業所23に渡され、当該高齢者へのサービスが提供される。
このように、推奨ケアプランを参考に作成されたケアプランは、要介護認定者のO指標を改善するものであり、不適切なケアプランにより、ケアプラン利用者のO指標を悪化させるリスクを低減することができる。
実際のサービス提供が行われると介護サービス事業所23から国保連24へ、月毎に介護給付費請求書231が提出され、国保連24はこれを給付実績情報241として保持する。この給付実績情報241は前述のように自治体21に送られ、実態分析部211により実態分析される。したがって、自治体21は、各ケアプラン利用者(高齢者)が、実際にどのような介護サービスを受けているかを、月単位で把握することができる。
ケアプランチェック部25は、要介護認定から所定期間(例えば、3ヶ月)内に、高齢者に実際に適用されたケアプランと、前述した推奨ケアプランとを比較し、これら両者の乖離の程度を判定する。このケアプランチェックは、提供されたケアプランが利用者の高齢者状態像に即したものであるかを確認する。このために、利用者毎に推奨ケアプランを提示し、比較する。なお、高齢者状態像は認定から時間が経つほど、利用者の心身状態の実態から乖離するため、ケアプランチェックは認定後3か月までに行うものとする。
以下、ケアプランチェック部25の処理を列記する。
・利用者別の高齢者状態像を抽出:実態分析結果から、利用者別の高齢者状態像を抽出する。
・ケアプラン実績分析によるサービス状態像抽出:ケアプラン実績分析結果から、サービス状態像を抽出する。
・実績に基づくサービス状態像と推奨ケアプランとの比較:実績に基づくサービス状態像(実際のケアプラン)と推奨ケアプランとを比較する。これら両プランの乖離の程度を捉える。この乖離の程度を定量化する方法としては、各プランと両プラン共通の高齢者状態像の組合せの、それぞれの改善率と悪化までの平均維持期間の二次元的な直線距離の大小をもって判定する。同距離が大きいほど乖離が大きく、是正する必要性が高い可能性があることが明確となる。
・ケアプランチェック結果提示:居宅介護支援事業所別に、その利用者の高齢者状態像と推奨ケアプランを提示する。
このように実際に介護サービス利用者が受けているケアプランとベストケアプラン候補に基づく推奨ケアプランとの乖離をとらえることにより不適切なケアプランを早期に見直すことが可能となり、不適切なケアプランによるケアプラン利用者のリスクを低減することができる。
次に、総合事業におけるリスク対応についての実施形態を説明する。総合事業では、介護予防プログラムに本来、参加すべきであるが、未参加状態の人がリスク対象者となる。例えば、誤嚥性肺炎の受診をしているが口腔ケアプログラムを利用していない人や、変形性関節症の受診をしているが運動プログラムを利用していない人、がリスク対象者となる。
すなわち、誤嚥性肺炎は口腔内を清潔に保つことにより症状を軽減することができるので、口腔ケアプログラムを受けて口腔内を清潔に保つことが重要である。しかし、誤嚥性肺炎の受診をしているのに、口腔ケアプログラムを利用していない人は口腔内を清潔に保つことが難しく、介護予防の観点から大きなリスクを有することとなる。
また、変形性関節症の場合は、関節周りの筋力を強くすることで症状を和らげることができるので、運動プログラムにより関節周りの筋力を強化することが重要である。しかし、変形性関節炎の受診をしているのに、運動プログラム(通いの場へのに参加等)を利用していない人は、関節周りの筋力を強くすることが難しく、介護予防の観点から大きなリスクを有することとなる。
このようなリスク対象者を的確に抽出し、対応する介護予防プログラムへの参加介入することが総合事業におけるリスク対応となる。
このリスク対応の全体的な流れを図12により説明する。総合事業における介護予防プログラム活動は大別すると、自治体21、地域包括支援センター31、及び介護予防プログラムの実施施設32で実施される。
自治体21が有する高齢者統合DB11には、介護予防プログラムの参加状況などを含む総合事業データ34、及び医療機関の受診状況(医療レセプトデータ)を含む医療データ35がそれぞれ登録されている。図1で説明した高齢者の心身状態に関する現状を捉える高齢者現状分析部12は、図12では、総合事業データ34から、高齢者別に介護予防プログラムへの参加状況を抽出する。また、これと共に、医療データ35から医療機関受診状況を抽出する機能を有する。
図1で説明した、高齢者の心身状態に関する現状に対する対応策が予め設定された対応策保持部13として、図12では、医療機関受診状況別に、この受診内容を改善する介護予防プログラムとの対応関係が保持されている。
図1で説明した対応策抽出部14は、対応策保持部13に保持された対応策から、高齢者の心身状態の現状に対応した対応策を抽出するが、図12では、高齢者現状分析部12により医療機関受診状況が抽出されているので、対応策保持部13に対応付けられている介護予防プログラムへの参加状況を参酌し、未参加の場合は、該当する介護予防プログラム介入対象者(リスク対象者)として抽出する。
以下、これらの処理ステップを列記し、図13で示す対応関係表を用いて説明する。
・介護予防プログラム参加状況集計(ステップ1):総合事業関連データを利活用して、保険者(自治体)内居住の全高齢者の介護予防プログラム(通いの場、口腔ケアプログラム等)への参加状況を集計する。図13では、利用者Bが口腔ケアプログラムに参加しているが、利用者A,C,D、・・・は、通いの場、口腔ケアプログラムのいずれにも参加していない。
・医療機関受診状況集計(誤嚥性肺炎、変形性関節症等(ステップ2):保険者(自治体)内の全高齢者の医療機関受診状況を、医療レセプトデータを利活用して集計する。特に口腔ケアの良否に関係する誤嚥性肺炎、また運動機能低下の主原因となる変形性関節症等の整形外科関連疾病などの受診状況を集計する。図13では、利用者Aが呼吸器内科(誤嚥性肺炎)を受診中であり、利用者Bは歯科(定期検診)を受診中であり、利用者Cが整形外科(変形性関節症)を受診中である。
・介護予防プログラム介入対象者候補の抽出(ステップ3):誤嚥性肺炎として受診している高齢者は、口腔ケアプログラムが必要である対象者候補とする。変形性関節症として受診している高齢者は、通いの場(通い場までの移動、プチ体操、コミュニケーション、共同料理等)への参加を誘導すべき対象者候補とする。
・介護予防プログラム利用有無のチェック(ステップ4):上記介護予防プログラム介入対象者候補が、抽出時点で、口腔ケアプログラムや通いの場へ参加しているか否かをチェックする。
・介護予防プログラム介入対象者の抽出(ステップ5):ステップ4で各疾病に対応する介護予防プログラムを受けていない対象者を、介護予防プログラム介入対象者として抽出する。
図13では、利用者Aが、呼吸器内科(誤嚥性肺炎)を受診中であるが、口腔ケアプログラムに参加していないので、口腔ケアプログラムへの介入対象者となる。利用者Bは、口腔ケアプログラムに参加しており、また、歯科(定期検診)を受診中であるが他の医療機関は受信していないのでいずれの介護予防プログラムへの介入対象とはならない。利用者Cは整形外科(変形性関節症等)を受診中であるが、通いの場(運動プログラム)へは参加していないので、通いの場(運動プログラム)への介入対象となる。
このようにして、介護予防プログラム介入対象者、(リスク対象者)を抽出し、リスク対象者リストを作成して地域包括支援センター31に送る。地域包括支援センター31では、リスク対象者に、該当する介護予防プログラムに参加するように介入する。
参加介入されたリスク対象者(高齢者)は、該当する介護予防プログラムの実施施設32で、その介護予防プログラムに参加する。その結果、健康寿命の延伸、新規認定率の低減など介護予防効果が生じる。
介護予防プログラムへの参加状況は自治体21に報告され、総合事業データ34が更新される。自治体21は上述の介入による効果を検証し、その検証結果を地域包括支援センター31にフィードバックする。
このように、自治体が保有する高齢者統合データベースに保存された総合事業データ及び医療データから、介護予防プログラムへの参加状況や医療機関の受診状況がわかるので、これらの対応関係に基づき、介護予防プログラムへの参加介入を要するリスク対象者を把握することができ、介護予防プログラムへの参加介入を促進してリスク対象者を低減し、健康寿命の延伸、延いては新規認定率を低減することができる。
前述した高齢者現状分析部12は、自治体が有する高齢者統合DB11に蓄積された高齢者に関する各種のデータを分析し、高齢者の心身状態に関する現状を捉える機能を有する。すなわち、自治体が有する高齢者に関するデータを分析し、高齢者の心身状態に関する現状を捉えるもので、自治体21において高齢者の要介護認定が行われると、要介護認定結果と共に、認定された高齢者の心身状態、同高齢者への介護力、及び同高齢者の経済力を組み合わせた高齢者状態像を付与する。
このため、自治体の小地域ごとに高齢者の基礎情報の実態を把握しておくことが望ましい。このような基礎分析を行えば時期事業計画策定のための基礎資料とすることもできる。以下、この高齢者の基礎分析について説明する。
この高齢者基礎分析の具体的例としては、以下の3つの分析を行う。
・小地域別の認定率、受給率及び未利用率等の実態把握
・小地域別の在宅医療患者の条件定義と実態把握
・小地域別の脳卒中患者の条件定義と実態把握
以下、これらの分析処理の流れを説明する。
1.2018年度の全ての1号被保険者を介護保険資格データから抽出する。
2.抽出された1号被保険者の認定データとして、認定期間が年度末の2019年3月にかかる認定データを抽出して、資格データと突合する。
3.資格データ及び認定データより、それぞれ1号被保険者/認定者/受給者/未利用者を特定し、小地域別の実人数と各比率を算出する。なお、1号被保険者は、資格データの介護保険被保険者番号を不可逆的に匿名化したシステム管理番号と世帯コード番号を有する対象者とする。また、認定者は、認定データのシーケンス番号を有する人を対象者とする。認定者は、認定データのシーケンス番号を有する人を対象者とする。受給者は、認定者で現在のサービス区分コードが「1予防給付」か「2介護給付」である人を対象者する。さらに、未利用者は、認定者であり受給者でない人で、申請時申請区分が「2更新」及び「3変更」である人を対象者とする。
4.認定データの「特別な医療」の有無から在宅医療患者を、また「麻痺の種類」が左右半身麻痺の有無から脳卒中患者をそれぞれ特定し、小地域別の実態を把握する。
下表1に、本分析に使用する小地域マスタを示す。小地域を「大地区」「中地区」「小地区」の3階層に設定し、夫々に地区コードと地区名を付している
Figure 0007140805000001
次に、在宅医療患者の定義を行う。下表2、及び3で示すように、認定調査項目の「特別な医療」にあたる12項目において、1項目でも「ある」場合に「在宅医療患者」とする。なお、集計の際の母数は、受給者とする。
Figure 0007140805000002
Figure 0007140805000003
次に、脳卒中患者の定義を行う。下表4及び5で示すように、認定調査第1群の「麻痺」の4項目のうち、「左-上肢」「左-下肢」の少なくとも2項目が「ある」の場合、または「右-上肢」「右-下肢」の少なくとも2項目が「ある」場合に、「脳卒中患者」とする。なお、集計の際の母数は、受給者とする。
Figure 0007140805000004
Figure 0007140805000005
下表6は、小地域別の在宅医療患者の人数(対受給者比率含む)を示している。すなわち、2019年3月時点の小地域別の集計結果である。この表6から、自治体全体の受給者数に対する在宅医療患者比率は13.0%程度であり、地域ごとにある程度のばらつきがあることもわかる。
Figure 0007140805000006
下表7は、小地域別の脳卒中患者の人数(対受給者比率含む)を示している。すなわち、2019年3月時点の小地域別の集計結果である。この表7から、自治体全体の受給者数に対する脳卒中患者比率は22.4%程度であり、地域ごとにある程度のばらつきがあることもわかる。
Figure 0007140805000007
このように、地域別の高齢者の基礎情報の集計分析手段の提供と実態把握を目的として高齢者基礎分析を行うべく、小地域別・1号被保険者人数・認定者数・受給者数・未利用者数の集計(認定率、受給率、未利用率含む)、及び在宅医療患者及び脳卒中患者の小地域別人数の集計を行った。その結果、認定データ及び資格データの突合により、自治体全体及び小地域(大地区、中地区、小地区)ごとの高齢者の基礎情報(認定率、受給率、未利用率等)、在宅医療患者及び脳卒中患者の実態を把握でき、次期事業計画策定のための基礎資料にも活用できる。
次に、リスク対象者分析について説明する。リスク対象者としては、前述の説明では、介護予防の観点から、介護給付事業での自立支援重度化防止のための推奨ケアプランと実際のケアプランとが乖離している利用者をリスク対象者としていた。また、総合事業では、介護予防プログラムに本来、参加すべきであるが、未参加状態の人、例えば、誤嚥性肺炎の受診をしているが口腔ケアプログラムを利用していない人や、変形性関節症の受診をしているが運動プログラムを利用していない人を、リスク対象者としていた。
しかしながら、これら介護予防の観点からのリスク対象者のほかにも各種のリスク対象者が考えられる。そこで、小地域別のリスク対象者の実態把握を目的とし、在宅医療患者、脳卒中患者、在宅介護限界リスク対象者に注目し、分析を行う。このリスク対象者分析は、コンピュータシステムを構成する図1で示した高齢者現状分析部12にて、図14で示すロジックにより行われる。
図14において、処理141では、図1で示した高齢者統合データベース11から認定データ等分析対象の最新データを読み出して準備する。処理142では、前述の表1で示すように「大地区」「中地区」[小地区]に定義された小地域マスタを準備する。処理143ではリスク対象者の抽出条件を設定する。
リスク対象者抽出条件の例として次の5通りを示す。
・在宅医療患者の定義
・脳卒中患者の定義
・在宅介護限界条件1(認知症+排泄介助)
・在宅介護限界条件2(ショートステイ15日以上)
・介護予防
ここで、在宅医療患者の定義は、前述した表2、表3で示すとおりであり、これらに該当する利用者をリスク対象者とする。脳卒中患者の定義は前述した表4、表5で示したとおりであり、これらに該当する利用者をリスク対象者とする。在宅介護限界とは、在宅での介護者による介護が限界状態となることを意味し、そのような介護対象者(サービス利用者)をリスク対象者とする。
在宅介護限界リスク対象者条件として、以下の先行文献を参考にして、 (1)(2)で示す2つの条件を選定した。
<先行文献>
・厚生労働省老人保健健康増進等事業 2018年度採択テーマ、三菱UFJR&C
介護保険事業計画における施策反映のための手引きP43(ショートステイ)
https://www.murc.jp/report/rc/policy_rearch/public_report/koukai_190410/
(※)関連して同社の在宅介護実態調査関連文献(認知症&排泄介助要)
(1) 在宅介護限界条件1(認知症+排泄介助)
認知症で排泄介助が必要となっているサービス利用者を、リスク対象者として集計分析する。なお、集計分析対象者は、受給者全員とする。
(2) 在宅介護限界条件2(ショートステイ15日以上)
ショートステイの利用が月に15日以上のサービス利用者を、リスク対象者として集計分する。なお、集計分析対象者は、受給者全員とする。
介護予防についてのリスク対象者抽出条件は前述のとおりであり、ここでは説明を省略する。
処理144では、上述した各抽出条件に従って、認定データ等からリスク対象者の抽出分析を行う。処理145では、全体含む小地域別にリスク対象者の分布を算出し、処理146では、地域別のリスク対象者のリストを抽出する。処理147では、各リスク対象者の詳細状況チェックとフォロー優先順を決定する。処理148では、上記フォローを実施する。例えば1年ごとに本分析フローを繰り返し実施する。前述した表6は、小地域別の在宅医療患者の人数が記されたリストであり、表7は小地域別の脳卒中患者の人数が記されたリストである。
前述した在宅介護限界の分析結果を条件(1)(2)別に示す。
(1) 在宅介護限界条件1(認知症+排泄介助)による分析結果
下表8は、2019年3月時点の小地域別の集計結果であり、自治体全体の受給者数に対するリスク1対象者比率は11.5%程度であり、地域ごとにある程度のばらつきがあることもわかる。
[表8]
Figure 0007140805000008
(2) 在宅介護限界条件2(ショートステイ15日以上)による分析結果
下表9は、2019年3月時点の小地域別の集計結果を示であり、自治体全体の受給者数に対するリスク2対象者比率は0.8%程度であり、地域ごとにある程度のばらつきがあることもわかる。
[表9]
Figure 0007140805000009
このように、2種類の在宅介護限界リスク対象者、すなわち、認知症+排泄要介助者と、短期利用サービスが月あたり15日以上の利用者に注目し、自治体全体と各階層小地域の実態把握に係る試行分析を行った。これにより、次期事業計画策定のための在宅介護限界を踏まえた施設・居住サービス整備に係る基礎資料を作成することができた。
次に、リスク対象者を自治体が保有する高齢者統合DBに蓄積されたビッグデータを用いて抽出する場合の4つの実施形態を説明する。以下の説明は、広い意味でのリスク対象者抽出に関するものであり、データ精度低下によるリスク回避、すなわち、データ精度により利用者の正しい状況を把握できなくなるリスク発生に対処する方法も含まれている。
・実施形態1:医療介護等データの属性組合せによるリスク対象者抽出
・実施形態2:認定データの精度低下リスク回避
・実施形態3:心身状態アウトカム指標のケアマネ目標との不一致リスク回避
・実施形態4:心身状態アウトカム指標の主たる事業所や主たる高齢者状態像及び主たるサービス状態像の特定精度低下リスク回避
なお、上記心身状態アウトカム指標とは、認定データの心身状態別の改善・維持に係る指標で、例として、悪化までの維持期間を指す(本件出願人により特開2017‐215787、特開2018‐‐18494等として複数出願済の技術である)。
以下、実施形態1から順次説明する。実施形態1は、前述のように医療介護等データの属性組合せによるリスク対象者抽出ものであり、その背景と課題は次のとおりである。
介護予防や介護ケアマネジメントを推進するにあたり、疾病別に推進することが重要となっている。そのためには医療と介護(介護予防)のデータを用いる必要がある。これら医療と介護(介護予防)のデータとしては、医療レセプト、健診、要介護認定、介護レセプト、日常生活圏域ニーズ調査などからなるビッグデータがあり、これらのデータからフォローすべきリスク対象者を見出す必要がある。
高齢者は、医療と介護(介護予防)の各データをトータルに考慮しないと、疾病が重症化する対象者、疾病別介護予防対象者、介護の重度化を回避する必要がある対象者を見出すことが困難である。しかし、これまで上記ビッグデータ全てを使っての体系的なリスク対象者抽出方法はなかった。
またさらに注意すべきことは、ビッグデータ分析に
よるリスク対象者抽出だけでは限界があるということである。例えば、ビッグデータ分析の際、当該高齢者のデータ自体が無い場合、その人が本当に健康(放置で大丈夫)なのか、受診してなくて本当は病気(受診勧奨対象)なのかまではわからない。経済的問題で医療や介護サービスを受けていない可能性もあることから、経済力の推定に資する課税情報等も参考にする必要がある。また高齢者うつ等で引きこもり傾向が受診やサービス未利用の原因になっている可能性もある(日常生活圏域ニーズ調査情報があれば把握ができる可能性がある)。さらに同じ後期高齢者でも介護予防効果が比較的高いと見込める年齢区分(例:75~84歳)に注目するという考え方もある。一方で、自治体の疾病別介護予防担当部署の人員体制に応じて、対応可能なリスク対象者人数を決定する必要もある。
以上よりビッグデータの有無の組合せから健康状態等が不明な対象者に対しては、上記要因(経済力、引きこもり傾向、年齢区分、自治体人員体制等)を踏まえたアウトリーチ(積極的に対象者の居る場所に自治体職員が出向いて働きかけること)が必要になるということである。すなわち、疾病別介護予防や疾病別介護ケアマネジメントの効果を高めるには、ビッグデータと上記人的アクションの合わせ技によるアプローチが重要である。
実施形態1は上述した背景を考慮しての新たなロジックを提供する。すなわち、図1で示した高齢者現状分析部12は、自治体が有する高齢者統合データベース11に保存された医療と介護(介護予防)のデータである「医療レセプト」、「健診」、「要介護認定」、「介護レセプト」、「日常生活圏域ニーズ調査(保険者が、一般高齢者、介護予防・日常生活支援総合事業対象者、要支援者を対象に、日常生活圏域ごとに、からだを動かすこと、食べること、毎日の生活、地域での活動、たすけあい、健康などに関する項目を調査)」の各データ(以下、5大データと呼ぶ)からなるビックデータを分析し、被保険者ごとにこれら各データの「あり」「なし」を検出する。
例えば、「医療レセプト」のデータが「あり」の高齢者(介護保険の第1号、第2号被保険者:40歳以上)は、医療機関で診療を受けていることを意味し、「なし」の高齢者は、医療機関で診療を受けていないことを意味する。「健診」についても同様である。「要介護認定」のデータが「あり」の高齢者は、要介護認定を受けていることを意味し、「なし」の高齢者は、要介護認定を受けていないことを意味する。「介護レセプト」のデータが「あり」の高齢者は、介護サービスを受けていることを意味し、「なし」の高齢者は、介護サービスを受けていないことを意味する。「日常生活圏域ニーズ調査」のデータが「あり」の高齢者は、同調査が行われていることを意味し、「なし」の高齢者には、同調査が行われていないことを意味する。
データが「あり」の場合は、当該高齢者の疾病や心身状態像等毎に、予め定められた基準に従って該当する高齢者のリスクの大小を判定してリスク対象者を検出する。データが「なし」の場合は、リスク大小は判定できないのでアウトリーチなどの人間系の調査により判定する。なお、上述したデータの「あり」「なし」及びリスクの大「×」小「〇」を、対応するデータの属性と呼ぶ。
図15は、5大データ、すなわち、医療レセプトデータ151、健診データ152、要介護認定データ153、介護レセプトデータ154、日常生活圏域ニーズ調査データ155について、それぞれ対象者、属性(あり〇、あり×、なし〇、なし×)と、これら属性の定義及び対応基本方針などが設定されており、これらに従って前述した分析を行う。また、「あり」は、文字通り対応するデータがあり、「〇」はそのデータでのリスクが少ないことを意味する。また、「なし」は、文字通り対応するデータがなく、「×」はそのデータでのリスクが大きいことを意味する。
医療レセプトデータ151についてみると、対象者は非要介護認定者も要介護認定者も含む高齢者であり、01の属性「あり〇」の定義は、「医療レセあり、適切診療受けている」である。その場合の対応基本方針は、「経過ウォッチで良い」である。02の属性「あり×」の定義は、「医療レセあり、適切診療受けていない」であり、対応基本方針は、「受診勧奨を行う」である。03の属性「なし〇」の定義は、「医療レセなしであるが、健康である」であり、対応基本方針は、「結果オーライでも実態は不明」とする。04の属性「なし×」の定義は、「医療レセなしで、不健康である」であり、対応基本方針は、「ビッグデータ以外の別の手段(アウトリーチなどにより)で見出し、受診勧奨を行う必要あり」とする。なお、適切診療を受けているか否かは医療レセプトデータの内容から判別可能である。例えば、糖尿病など、病名に対応した治療薬を服用している場合は適切診療を受けていると判別する。これに対し、病名に対応する治療薬を服用していない場合は適切診療を受けていないと判別する。
健診データ152では、対象者は非認定者も認定者も含む高齢者であるが、通常受診率2~3割でありデータ「なし」の高齢者が多い。01の属性「あり〇」の定義は、「健診あり、正常(健診データから判別)」であり、対応基本方針は、「経過ウォッチで良い」である。02の属性「あり×」の定義は、「健診あり、異常(健診データから判別)」であり、対応基本方針は、「受診勧奨を行う」である。03の属性「なし〇」の定義は、「健診なし、正常」であり、対応基本方針は、「結果オーライでも実態は不明」とする。04の属性「なし×」の定義は、「健診なし、異常」であり、対応基本方針は、「ビッグデータ以外の別の手段で見出し、受診勧奨を行う必要あり」とする。
要介護認定データ153では、対象者は介護リスク者であり、01の属性「あり〇」の定義は、「認定あり、介護の手間なし(認定データから判別)」であり、対応基本方針は、「経過ウォッチで良い」である。02の属性「あり×」の定義は、「認定あり、介護の手間あり(認定データから判別)」であり、対応基本方針は、「最適な介護サービスの提供」である。03の属性「なし〇」の定義は、「認定なし、自立」であり、対応基本方針は、「結果オーライでも実態は不明」とする。04の属性「なし×」の定義は、「認定なし、介護リスクあり」であり、対応基本方針は、「別の手段で見出し要介護認定へ誘導」とする。
介護レセプトデータ154では、対象者は要介護認定者であり、01の属性「あり〇」の定義は、「レセあり、適切サービス利用」である。対応基本方針は、「経過ウォッチで良い」である。02の属性「あり×」の定義は、「レセあり、不適切サービス利用」であり、対応基本方針は、「最適な介護サービスの提供推奨等」である。すなわち、高齢者状態像に対しサービス状態像が適切であるか否かにより「〇」「×」を判定する。例えば、医療的措置が必要であるのに、訪問看護サービスが利用されていない場合は「×」と判定する。03の属性「なし〇」の定義は、「レセなし、自立(サービス利用の必要なし)」であり、対応基本方針は、「結果オーライでも実態は不明」とする。04の属性「なし×」の定義は、「レセなし、介護サービス必要だが受けられない(介護力や経済力等の理由による)」であり、対応基本方針は、「別の手段で見出し最適な介護サービスの提供」とする。
日常生活圏域ニーズ調査データ155では、対象者は非認定者(自立・フレイル高齢者)であるが、悉皆調査でないことも多いという基本的問題もある。01の属性「あり〇」の定義は、「調査票あり、自立・正常」であり、対応基本方針は、「経過ウォッチで良い」である。02の属性「あり×」の定義は、「調査票あり、リスク大」であり、対応基本方針は、「介護予防サービスや要介護認定へ誘導」である。03の属性「なし〇」の定義は、「調査票なし、自立・正常」であり、対応基本方針は、「結果オーライでも実態は不明」とする。04の属性「なし×」の定義は、「調査票なし、リスク大」であり、対応基本方針は、「別の手段で見出し介護予防サービスや要介護認定へ誘導」とする。
上述した5大データにおいて、03,04のデータ「なし」の場合は、リスク(〇、×)の判定はデータからはできないので、特記事項の欄に記載のように、「経済力、年齢区分、自治体人員体制等を踏まえて直接訪問等のアウトリーチにより見出す。」こととする。
図16は、介護に関係の深い四大疾病である 脳卒中、大腿部骨折、認知症、ロコモティブシンドローム(加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまったり、そのリスクの高い状態)ごとの、疾病別介護予防や疾病別介護ケアマネジメントの対応方針を示している。図15において、「適切な診療を受けていない」や、「最適な介護サービスを受けていない」とは、上述した四大疾病ごとに、図16で示した介護予防フェーズにおける疾病別介護予防を採らず、また、介護フェーズにおいて疾病別介護ケアマネジメントが不十分であったりして、介護予防リスクや介護の重度化リスクにつながる診療や介護サービスを受けているということである。
図17は、図15で説明した5大データ属性「あり」「なし」と、リスクの大小を表す属性「×」「〇」との組み合わせを示している。ここで、各データの属性は「あり」「なし」と「×」「〇」の4つであり、5大データでの組合せ数は、最大で4の5乗=1024通りであるが、この中で意味のない組み合わせがあり、これを対象外(図示左端に×印を付したもの)とすると半分程度の組み合わせ数となる(図17のデータ群171参照)。
例えば、要介護認定者は日常生活圏域ニーズ調査の対象外のため、これらの両データが「あり」の組み合わせはあり得ないので対象外とする。また、要介護認定者以外は介護サービスを受けられないので、要介護認定データ「ない」で介護レセプト「あり」の組み合わせはあり得ないので対象外とする。さらに、ある同一時点での意味のない組み合わせとして、要介護認定、介護レセと日常生活圏域ニーズ調査の両方が同時にある人は基本はおらず、これらは対象外とする。ただし、異なるフェーズで、過去認定あって自立になって、今はニーズ調査がある場合はあるし、その逆も当然ある。一つのデータがなくても、その他のデータからリスク大小が推定できる場合とできない場合がある。
対象高齢者人数は「1」と「10」で表しているが、「1」は、該当する組合せの高齢者人数が少ないことを意味し、「10」は、該当する組合せの高齢者人数が多いことを意味する。
なお、前述したようにビッグデータだけでは、データ「なし」場合、リスクの大小を表す「〇」「×」はわからないので、最大で3(データありで○、同×及びデータなしの3ケース)の5乗=243通りの組合せとなる。この場合も、対象外を除けば半分程度の組み合わせとなる。この対象外の除去は、公知のフィルター処理などにより可能である。図17の例は、データ「なし」についても何らかの手段によりリスクの大小を判別し、「〇」「×」を付した例を示している。
図18は、図17で示した各組合せに対応したリスク対策アプローチを示している。リスク対策アプローチとしては、「受診勧奨」、「ケアプラン見直し」、「アウトリーチ調査」があり、図17で示したデータの「あり」「なし」、及びリスクの大「×」、小「〇」の組み合わせに応じて設定されている。
例えば、データ群182,183(データ群172,173が対応)のように「受診勧奨」に黒丸が付されているのは、医療レセプトや健診が「あり×」の組み合わせがある場合で、適切な医療を受診することを勧奨している。また、データ群184(データ群174が対応)「ケアプラン見直し」に黒丸が付されているのは、介護レセプトが「あり×」の場合である。
「アウトリーチ調査」については、例えば、データ群174のように医療レセプトや健診が「なし」の場合で、介護レセプトが「ある」場合はケアマネージャーが介護レセプトを作成しているので、データ群184で示すように「ケアマネから疾病情報を先ず聞く」と設定する。また、データ群175のように医療レセプトや健診及び介護レセプトが「なし」で、要介護認定が「ある」場合は、認定調査が行われているので、認定調査を行ったケアマネから医療に関する情報を聞き出すことがリスク判定に有効であり、データ群185のように「認定調査ケアマネから疾病情報まず聞く」と設定する。データ群176のように医療レセプトや健診が「なし」で、日常生活圏域ニーズ調査が「あり」の場合は、データ群186のように「ニーズ調査回答高齢者から聞く」と設定する。そして、この対象者が、本当に健康であることから医療などのデータが無いのか、或いはほかの理由(経済的理由等)により受診していないのか、リスクの有無を判定する。さらに、データ群177のように、5大データ全てが「なし」の場合は、その該当者数を捉えた上で、経済力、年齢区分、自治体体制等を考慮してアウトリーチすべきリスク対象者を見出す。
これら図17、図18で示したデータ構成は、図1で示した対応策保持部13に設定されている。
図1で示した対応策抽出部14は、高齢者現状分析部12での分析により図15、図16のデータに基づいて検出された5大データの「あり」「なし」、及びリスクの大「×」、小「〇」の組み合わせに対応した対策アプローチの組み合わせを対応策保持部13から取出し、該当する高齢者の対応策として出力する。
この実施形態1をまとめると図19で示す処理フローとなる。
ステップ191:医療介護の5大データを名寄せ突合してのデータベース整備
ステップ192:5大データの属性マスタ定義
ステップ193:5大データの属性組合せ別対象者人数集計
ステップ194:各組合せ別にリスク対策アプローチフラグや方針を出力
ステップ195:上記リスク対策アプローチフラグや方針の出力結果から優先順位付けしてリスク対象者を具体的にフォロー
すなわち、この実施形態1は、5大データの属性組合せにより、高齢者群ごとに、しかるべき施策(疾病別受診勧奨、最適ケアプランへ見直し等)へきめ細かく誘導し、実績管理し、継続フォローしていくものである。その結果、従来の健診や事業者連絡会等での自治体の各種施策の周知のような広く浅い施策に対して、具体的なリスク対象者を抽出することで、具体的な疾病別介護予防や疾病別介護ケアマネジメントが効率的に実施できる。さらに、ビッグデータが存在しない場合の、現場関係者の人的ネットワークに基づく、アウトリーチ調査の精度アップや優先順位決めを行うことができる。
次に、実施形態2を説明する。実施形態2は、前述のように、認定データの精度低下リスクを回避するものである。以下、この実施形態2に関する背景と課題を説明する。
要介護度の認定有効期間は、事務量を低減させるなどのため、制度的に延伸する傾向にある。現在、最大が3年であるが、これを4年に延伸することが予定されている(第8期2021年度から)。認定データは心身状態の指標として使われているが、その有効期間が延伸されることにより精度低下(鮮度低下)の問題が生じる。すなわち、認定有効期間中は、基本的に要介護度は同じ値であり、この間に対象者の要介護度(心身状態)が変化しても、変更申請を行わない場合は、認定有効期間満了まで元の要介護度のままとなり、心身状態の変化が反映されず、精度が低下する可能性が指摘されていた。
ただし、要介護度が悪化している場合には、いくら当初の認定有効期間が長くても、経済的な問題(自己負担の問題)と介護の手間の問題等から、ほぼ確実に変更申請をしてくる可能性があり、制度的に認定有効期間が延伸されることの影響は実質的に受けない場合が多い。
これに対して、要介護度が軽度化(心身状態が改善)の場合は、上述した重度化(悪化)の場合と比べて積極的に変更申請がなされない可能性がある。これは、介護サービスを減らしても、保険として元々の認定有効期限まで要介護度を下げないでおこうという考え方である。例えば、脳卒中などにより入院した場合、入院時に要介護度の申請・調査が行われ、重度の要介護度(仮に、要介護4とする)に認定された場合、入院中の医療行為やリハビリなどにより心身状態が改善され軽度の要介護度(要介護2等)になって退院する場合が多々ある。このとき認定有効期間の残り期間が1~2年あることがある。このように、退院時に心身状態が改善しているのに、次の認定期限まで変更申請しない場合が多いとされている。
ただし、通所介護、施設介護及びグループホーム等の居住系サービスなどでは、要介護度が高いほど基本報酬すなわち利用者の自己負担も高くなり、心身状態が改善した場合は変更申請して要介護度を実際に軽度化させないと、利用者の経済的負担が高いままとなる。このため、変更申請をする可能性がある。
一方、訪問型の居宅介護サービスでは、軽度化によりサービス者の滞在時間の短縮や回数などの低減などを行うことで、要介護者の経済的負担は減少する。しかし、要介護度に依存する自己負担はないので、要介護度を軽度化させるための変更申請を行うモチベーションは働かない可能性は残る。このため、特に心身状態改善時の変更申請は少なく、要介護度や心身状態を把握する際の精度低下が問題となっていた。
実施形態2は上述の問題を解決するものであり、要介護度の維持期間中の、介護レセプトデータより、介護サービス状態像と総単位数を毎月追跡して、それが各要介護度の区分支給限度額に対してある比率以下(以上)になった場合に、認定更新フォローフラグを発生させる。この認定更新フォローフラグの発生を受けて、認定有効期限の60日前に認定更新フォローを行う既存の仕組みを応用して、更新申請要であることを認定者に前倒しで知らせる。
すなわち、図1で示した高齢者現状分析部12は、自治体が有する高齢者統合データベース11に保存された要介護認定データ及び介護レセプトデータを用い、要介護認定者ごとに、要介護度維持期間中における要介護認定者の介護サービス利用量を月毎に算出して追跡する。対応策保持部13には、要介護認定者のサービス利用量が、要介護度別に予め設定された区分支給限度額に対して予め設定した比率以下(以上)になった場合に当該要介護認定者に通知される認定更新フォローが設定されている。対応策抽出部14は、高齢者現状分析部12で追跡されたサービス利用量が、前記比率以下(又は以上)になると、追跡対象の要介護認定者へ認定更新フォローを通知する。
上述した機能を実現する処理フローを図20に示し、以下に説明する。
処理201:認定データ及び介護レセプトデータを統合データベースで整備
処理202:高齢者ごとに心身状態別維持期間を算出
処理203:上記維持期間中のサービス利用量やサービス組合せ種類を月ごとに算出して追跡
処理204:各要介護度の区分支給限度額に対してある比率以下(悪化の場合は以上)になった場合に認定更新フォローフラグを算出
処理205:上記認定更新フォローを該当認定者に前倒し通知
このように、実施形態2では、認定更新のタイミングを心身状態の改善や悪化をサービス利用状況の種類や利用量の大小をもとに検知することで、認定更新タイミングを心身状態の変化と同期させることができる。これにより、自立支援・重度化防止に資する心身状態指標(悪化までの平均維持期間等)の精度低下を回避することにつながり、自立支援・重度化防止の取組みの効果を最大化できる。
次に、実施形態3を説明する。実施形態3は、前述のように、心身状態アウトカム指標(認定データの心身状態別の改善・維持に係る指標で、例として、悪化までの維持期間のこと)の、ケアマネが目標とする指標との不一致リスクを回避するものである。以下、この実施形態3に関する背景と課題を説明する。
これまでの心身状態アウトカム指標は、全ての利用者の全ての心身状態項目の改善や維持を考慮して、利用者や介護事業所の介護サービスの質を見ようとしていた。しかし実際には、居宅ケアプランでも施設ケアプランでも、ケアプラン策定時に、本人や介護者、さらにはサービススタッフが目標とする(そうありたい)心身状態というものを定めてサービスを提供していくことになる。
このため、いくら心身状態が改善・維持したと言っても、それが上記目標とする心身状態項目と一致していなければ、高齢者や介護者の満足感が得られていない、QOL(Quality of Life:治療や療養生活を送る患者が自分らしく納得のいく生活の質の維持を目指すこと)が低いということになる。
従来は、ケアマネ等が改善・維持目標とする心身状態項目情報が、心身状態アウトカム指標と紐づいていなかったため 高齢者や介護者の満足感なども踏まえた、より実態を踏まえたサービスの質を見られなかった。このためこれまでの方法では、サービスの質の高いケアプランやサービスの質が高い事業所に対して、実態を踏まえた精度の高い評価を行い、その結果をフィードバックすることに、無理があった。
この実施形態3では、要介護認定更新ごとに心身状態指標(改善、維持、悪化、終了等)を算出して、本人と介護者とケアマネジャー(事業所も)が目的とする心身状態項目とそれ以外項目に分けて評価を行う。すなわち、以下の組合せのように評価に差を持たせ、居宅/施設ケアプランの効果検証を定量的に行う。これは居宅サービスでも施設サービスでもどちらにも適用できる。
心身状態項目 改善・維持・悪化
ケアプラン目標項目 改善 ◎ 維持○ 悪化××
上記以外の項目 改善 ○ 維持△ 悪化×
この組み合わせは、算出された心身状態指標項目がケアプラン目標項目であれば、その項目が改善された場合は目標達成度が◎の評価(最も高い評価)をする。一方、これ以外の項目については改善であっても○の評価(普通に高い評価)をする。同様に、ケアプラン目標項目が心身状態の維持の場合は○の評価(普通に高い評価)とするが、ケアプラン目標項目以外の項目が心身状態の維持の場合は△の評価(普通の評価)をする。心身状態項目が悪化した場合は、ケアプラン目標項目の場合は××(最も低い評価)及びそれ以外の項目では×(普通に低い評価)とする。
すなわち、図1で示した対応策保持部13には、要介護認定者のケアプラン作成時に特定された目標とする心身状態項目が設定されている。また、高齢者現状分析部12は、要介護度の認定更新時に、要介護認定者毎に心身状態項目別にアウトカム指標を算出する。対応策抽出部14は、高齢者現状分析部12で算出されたアウトカム指標のうち、対応策保持部13に設定された目標とする心身状態項目に対応するものとそれ以外のものとを区分し、その区分に応じて算出されたアウトカム指標値の目標達成度の評価に前述のような差を持たせる。
なお、これまでの心身状態アウトカム指標の算出においては、全高齢者共通の心身状態チェック期間設定であったが、実施形態3では、高齢者ごとの認定有効期間終了年月をそれぞれ同チェック期間終了月として定めて、例えば同チェック期間は1年間とする。すなわち高齢者ごとに異なる心身状態チェック期間を設定して指標計算を行うものとする。
上述した機能を実現する処理フローを図21に示し、以下に説明する。
処理21A:認定データ及び介護レセプトデータを統合データベースで整備
処理21B:高齢者ごとに心身状態別アウトカム指標を算出
処理21C:一方で高齢者ごとにケアプランの目標とする心身状態項目をDB登録
処理21D:心身状態別アウトカム指標と目標とする心身状態項目を高齢者ごとに比較して、心身状態毎に目標達成度(◎○△×)を算出
処理21E:上記目標達成度が付与された心身状態別アウトカム指標情報を、ケアマネジャーや介護事業所にフィードバック
このように実施形態3では、ケアプラン策定時に、本人や介護者、さらにはサービススタッフが目標とする(そうありたい)心身状態項目に注目して適切に評価するので、ケアマネジャーや介護事業所に対して、実態を踏まえた精度の高い評価結果のフィードバックを行うことができる。
次に、実施形態4を説明する。実施形態4は、前述のように、心身状態アウトカム指標における主たる事業所や主たる高齢者状態像及び主たるサービス状態像を特定する精度低下リスクを回避するものである。心身状態アウトカム指標が、改善や継続、悪化などの結果を示した場合、この結果に最も強く関わった事業所や高齢者状態像、サービス状態像を主たる事業所や高齢者状態像、サービス状態像として特定し、これらを評価していた。
これまで、心身状態別アウトカム指標では、例えば、維持期間中の主たる事業所を特定する上で閾値(例えば50%)を設定して、同一月内で総単位数が50%以上のサービス種類があれば有効とし、さらにその中で総単位数が50%以上の事業所あればそれを主たる事業所とし、そして維持期間中50%以上の月で同じ事業所が占めていれば、維持期間中の主たるサービス種類の主たる事業所として特定している(特開2019‐87239参照)。
この方式は、心身状態の維持期間中ほぼ同一のサービス種類で同一の事業所であることが想定される場合(特養など)は問題ないが、その他のサービス種類(維持期間中の出入りがある程度あるサービス種類)の場合は、実際の占有状況がわからないまま(ブラックボックスのまま、正しい閾値設定がわからないまま)、指標集計されてしまう。その結果、指標集計を行うことができたサンプル数が非常に少なくなってしまう可能性がある。
実施形態4では、上述のような問題を解決する指標集計方法を提案する。すなわち、現在行われている個人ごとの心身状態指標データに、以下の情報を追加する。
・ 維持期間中の占有月が大きい順に第1~N事業所とする。これら事業所のサービス種類、維持期間中の各事業所の発生月、同事業所の1か月あたりの平均単位数及び同事業所の発生パート(維持期間の前か中か後か)のデータを計算して追加する。
・ 居宅サービスの場合は、居宅介護支援事業所ごとに、居宅サービスの組合せとしてのサービス状態像を定義して、それぞれの状態像の発生月、各状態像の1か月あたりの平均単位数及び同状態像の発生パートのデータを計算して追加する。
・ 維持期間中で、高齢者状態像についても、上記と同様のデータを計算して追加する。
すなわち、実施形態4では、図1で示した高齢者現状分析部12は、介護サービス利用者毎に心身状態維持期間中における心身状態指標データを算出すると共にこれを保持する。そして、この心身状態維持期間中におけるサービス提供の占有率が大きい(維持期間中のサービス提供月が多い)事業所とサービス種類を大きい順に複数選定する。さらに、各事業所の1か月あたりの平均単位数や維持期間中の発生パートを算出して心身状態指標データに追加する。
このようなデータを追加することにより、実際の各事業所の占有量の多さや、サービス状態像や高齢者状態像についてもどのような状態であるかを定量的に把握することができる。これらを把握したうえで、主たる事業所等を抽出するための適切な閾値を設定できる。その結果、心身状態の維持期間中の出入りがある程度あるサービス種類(居宅系など)の場合は、実際の占有状況がわからないままの(ブラックボックスのままの)、すなわち、正しい閾値設定がわからないままの、指標計算が回避される。このため、指標集計を行うことができたサンプル数が非常に少なくなってしまうといったリスクが回避され、サービス種類ごとの実態に合わせた最適な精度の高い指標計算が可能となる。
また、この実施形態4では、これまでのような計算前の閾値設定の必要がなくなり、計算後にデータフィルター等で、サービス種類ごとの最適な閾値による主たるサービス種類の主たる事業所が紐づいた心身状態指標の計算が可能になる。したがって、これにより、介護サービス種類ごとの特性に基づいた精度の高いサービスの質の可視化が可能になる。
上述した機能を実現する処理フローを図22に示し、以下に説明する。
処理221:認定データ及び介護レセプトデータを統合データベースで整備
処理222:高齢者ごとに心身状態別維持期間を算出
処理223:維持期間中の発生サービス利用月に応じて主たるサービス種類と主たる事業所を複数特定して指標データ項目に追加
処理224:主たる事業所ごとに1か月あたりの平均単位数と維持期間中の発生パートを算出して指標データに追加
処理225:維持期間中の上記指標データ追加項目に係る最適な閾値を設定しサービス種類ごとの特性に基づいた精度の高い心身状態別アウトカム指標を算出
これらの結果、実施形態4では、心身状態アウトカム指標における主たる事業所や主たる高齢者状態像や主たるサービス状態像の特定精度低下リスク回避することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11…高齢者統合DB
12…高齢者現状分析部
13…対応策保持部
14…対応策抽出部
21…自治体
211…実態分析部
212…介護データ
213…基本データ
214…推奨ケアプランマスタ作成部
215…推奨ケアプランマスタ
22…居宅介護支援事業所
23…介護サービス業所
24…国保連
241…給付実績情報
25…ケアプランチェック部
31…地域包括支援センター
32…介護予防プログラムの実施施設
34…総合事業データ
35…医療データ

Claims (8)

  1. 自治体が有する介護データ、及び住基データを含む住民に関する基本データを少なくとも有する高齢者統合データベースと、
    この高齢者統合データベースに保存された高齢者に関するデータを分析し、高齢者の要介護認定結果と共に、認定された前記高齢者の心身状態、同高齢者への介護力、及び同高齢者の経済力を組み合わせた高齢者状態像を得る機能を有し、この高齢者状態像に基づく前記高齢者の心身状態に関する現状を捉えるコンピュータシステムによる高齢者現状分析部と、
    前記高齢者の心身状態に関する現状に対するベストケアプラン候補が登録された推奨ケアプランマスタを有し、前記ベストプラン候補が対応策として予め設定されたコンピュータシステムによる対応策保持部と、
    前記対応策保持部に保持された対応策から、前記高齢者状態像に対応するベストケアプラン候補を推奨ケアプランとして選定して前記高齢者の心身状態の現状に対応した対応策を抽出するコンピュータシステムによる対応策抽出部と、
    を備えたことを特徴とする地域包括ケア事業システム。
  2. 前記高齢者現状分析部は、前記高齢者に関するデータを構成する介護データと基本データとを用いて、前記高齢者の要介護認定結果と共に、認定された前記高齢者の心身状態、同高齢者への介護力、及び同高齢者の経済力を組み合わせた高齢者状態像を得る機能を有し、
    前記対応策保持部は、国保連から提供される前記高齢者への給付実績情報及び前記高齢者状態像と、介護サービス種類の組み合わせによるサービス状態像とからなるケアプランのうち、同じ心身状態の段階の高齢者に適用されているケアプランにより当該高齢者の前記段階の改善率及び前記段階の維持期間がそれぞれ予め設定した優良範囲に入るベストケアプラン候補が登録された推奨ケアプランマスタを有し、
    前記対応策抽出部は、前記推奨ケアプランマスタから、前記高齢者現状分析部により付与された要介護認定結果及び付与された前記高齢者状態像に対応する推奨ケアプランを選定して提示する
    ことを特徴とする請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
  3. 前記要介護認定から所定期間内に、前記高齢者に実際に適用されたケアプランと、前記推奨ケアプランとを比較し、これら両者の乖離の程度を判定するケアプランチェック部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の地域包括ケア事業システム。
  4. 前記高齢者統合データベースには、前記高齢者に関する総合事業データ及び医療データが保持され、
    前記高齢者現状分析部は、前記高齢者に関するデータを構成する総合事業データ及び医療データから、高齢者別に介護予防プログラムへの参加状及び医療機関受診状況を抽出する機能を有し、
    前記対応策保持部は、前記医療機関受診状況別に、この受診内容を改善する前記介護予防プログラムとの対応関係が予め保持されており、
    前記対応策抽出部は、前記高齢者現状分析部により医療機関受診状況が抽出され、対応する前記介護予防プログラムへの未参加者を、該当する前記介護予防プログラム介入対象者として抽出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
  5. 前記高齢者統合データベースには、前記高齢者に関する医療レセプト、健診、要介護認定、介護レセプト、日常生活圏域ニーズ調査の各データが保持され、
    前記高齢者現状分析部は、前記高齢者統合データベースに保存された医療レセプト、健診、要介護認定、介護レセプト、日常生活圏域ニーズ調査の各データについて、被保険者ごとにデータの「あり」「なし」を検出し、少なくとも「あり」のデータについては、そのデータ毎に、予め定められた基準に従って該当する被保険者のリスクの大小を判定してリスク対象者を検出し、
    前記対応策保持部は、「受診勧奨」、「ケアプラン見直し」、「アウトリーチ調査」のリスク対策アプローチを有し、前記データの「あり」「なし」、及びリスクの大小の組み合わせに応じて、前記リスク対策アプローチの組み合わせが予め設定されており、
    前記対応策抽出部は、前記高齢者現状分析部で検出された前記データの「あり」「なし」、及びリスクの大小の組み合わせに対応した前記リスク対策アプローチの組み合わせを、該当する被保険者の対応策として出力する機能を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
  6. 前記高齢者統合データベースには、前記高齢者に関する要介護認定データ及び介護レセプトデータが保持され、
    前記高齢者現状分析部は、前記高齢者統合データベースに保存された要介護認定データ及び介護レセプトデータを用い、要介護認定者ごとに、要介護度維持期間中における前記要介護認定者の介護サービス利用量を月毎に算出して追跡する機能を有し、
    前記対応策保持部には、前記要介護認定者のサービス利用量が、要介護度別に予め設定された区分支給限度額に対して予め設定した比率以下になった場合に当該要介護認定者に通知る認定更新フォローが予め設定されており、
    前記対応策抽出部は、前記高齢者現状分析部で追跡されたサービス利用量が、前記比率以下になると、追跡対象の前記要介護認定者へ認定更新フォローを通知する機能を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
  7. 前記対応策保持部には、要介護認定者のケアプラン作成時に特定された目標とする心身状態項目が設定されており、
    前記高齢者現状分析部は、要介護度の認定更新時に前記要介護認定者毎に心身状態項目別にアウトカム指標を算出する機能を有し、
    前記対応策抽出部は、前記高齢者現状分析部で算出されたアウトカム指標のうち、前記対応策保持部に設定された前記目標とする心身状態項目に対応するものとそれ以外のものとを区分し、その区分に応じて算出されたアウトカム指標値の評価に差を持たせる機能を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
  8. 前記高齢者現状分析部は、介護サービス利用者毎に心身状態維持期間中における心身状態指標データを算出すると共にこれを保持し、前記心身状態維持期間中における前記介護サービス利用者に対するサービス提供の占有率が大きい事業所を複数選定し、これら事業所から介護サービス利用者へ提供されたサービス種類、維持期間中の各事業所のサービス利用月、同事業所の1か月あたりの平均単位数及び同事業所の維持期間中の発生パートを算出して前記心身状態指標データに追加する機能を有し、
    それらの追加データを適切な閾値のもとにサービス種類ごとに最適な主たる事業所を特定する機能を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
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