JP5475578B2 - インクジェット記録装置およびその制御方法 - Google Patents

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本発明は、帯電偏向制御方式の連続噴出型インクジェット記録装置において、インクジェット記録装置が何らかの異常発生により印字作業の途中で被印字物の印字を停止した後に、印字を再開する場合の印字開始位置を制御するインクジェット記録装置に関する。
従来のインクジェット記録装置においては、一つの印字作業の印字開始位置は印字文字列の先頭から始まり、一連の印字すべき文字列をすべて印字して一連の印字動作が完了し、次の印字開始時には再度、印字文字列の先頭より印字を開始している。
特に長尺の被印字物の印字に関し、成型されたプラスチックパイプや電線ケーブルなどの長尺の被印字物に印字を行う場合においては、印字文字列が長くなる。例えばパイプでは通常数十m、ケーブル等では数百mにわたって文字列を印字するため、印字文字列がすべて印字完了となる前にインクジェット記録装置にインク切れ等の異常状態が発生する確率が増大する。この異常状態からインクジェット記録装置が復帰して印字を再開した場合には、印字文字列の先頭から印字を開始するため、インクジェット記録装置の異常発生直前に印字された印字未完了の文字列を印字した被印字物は使用するユーザーにとって不完全なものとなり、場合によってはその廃棄処理を行う必要も出てくる。
長尺の被印字物の印字停止/印字再開に関し、特許文献1には、ロール状連結シートに装着されたラベル紙に記録を行うインクジェット記録装置において、シートの搬送異常時に記録搬送を停止して記録途中のラベル紙を計数し、再開時に計数分のラベル紙に記録を行う技術が開示されている。
特開平11−208069号公報
特許文献1では、処理途中であるラベル紙数を計数しているが、被印字物に対し任意の印字位置からの記録再開については、開示されていない。
本発明の目的は、インクジェット記録装置が異常発生時に印字動作を一旦停止した状態から印字を再開する際に、文字列の任意の指定位置から印字再開可能とし、あるいは長尺被印字物への印字完了位置を記録し自動的に印字停止位置から印字を再開して、一つの印字作業の印字文字列開始から印字文字列終了まで完全な印字動作を行うインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明は、被印字物に一つの印字作業に関する一連の印字文字列を連続印字する連続噴出型インクジェット記録装置であって、印字情報を供給するとともにインクジェット記録装置の印字動作を制御する制御装置と、インクジェット記録装置の異常状態を検出する異常検出手段を備え、前記制御装置は前記異常検出手段の異常信号により印字停止を行うインクジェット記録装置において、前記制御装置は、印字停止位置を記憶するとともに、印字再開後の前記被印字物上の印字開始位置を制御する印字開始制御手段を有することを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、前記異常状態は、インクジェット記録装置のインク量低下、搬送異常又はインク粒子飛翔異常の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、前記被印字物はパイプ又は電線ケーブルのいずれかを含むことを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、前記印字開始制御手段は、印字開始再開後の印字開始位置を、印字文字列の任意の指定位置から開始するか、印字停止時の印字位置から行うかを選択することを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、前記印字開始を行う指定位置は印字を中断した文字、図形又はワードの先頭位置であることを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、前記印字開始を行う指定位置は印字文字列の先頭位置であることを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、前記印字開始制御手段はさらに、印字開始位置選択手段と印字位置制御手段を有し、前記印字開始位置選択手段は外部から入力された印字開始指定信号により印字再開後の印字開始位置を選択することを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、前記印字位置制御手段は、前記印字開始位置選択手段の出力および印字情報と印字制御情報を含む印字信号により、選択された所定位置からの印字を開始することを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、前記印字開始指定信号は、前記インクジェット記録装置に設けられた入力手段から入力されることを特徴とする。
また、インクジェット記録装置において、該インクジェット記録装置は、制御モードとして、印字モード、休止モード、スタンバイモード又は異常発生時の被印字物の印字位置を保持しつつ前記制御手段により印字再開可能な異常状態モードを有し、前記制御装置により前記各制御モードを状態遷移することを特徴とする。
本発明によれば、印字動作を制御する制御装置と異常状態を検出する異常検出手段を備え、制御装置が異常検出手段の異常信号により印字停止を行うインクジェット記録装置において、制御装置が印字停止位置を記憶し、かつ印字再開後の前記被印字物上の印字開始位置を制御する印字開始制御手段を有することにより、インクジェット記録装置の印字動作が停止した場合でも、異常回復後に印字停止位置から印字を再開することが可能となり、印字開始から印字完了までの一連の印字動作を確実に完了できるという効果を有する。
また、必要に応じ任意の指定位置から印字を再開することが可能であり、被印字物または異常状態に応じた柔軟な印字処理が可能となる。
本発明のインクジェット記録装置の構成を示すブロック図 本発明のインクジェット記録装置の印字開始制御装置を示す回路図 印字停止と印字再開時の印字結果を示す模式図 印字停止と印字再開時の印字結果を示す模式図 印字停止と印字再開時の印字結果を示す模式図 印字停止前と印字再開後の被印字物への印字状態を示す模式図
以下、図1を用いて、本発明におけるインクジェット記録装置の実施の形態を説明する。
〔基本構成〕
図1は、本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。図1において、制御装置2はMPU(Micro Processing Unit)からなり、インクジェット記録装置1全体の制御を行う。制御装置2はさらに印字開始制御装置40を備えている。また制御装置2はバスを介してプログラム格納装置3、メモリ4、表示装置5、タッチパネル6、入力装置8、RTC(リアルタイムクロック)9、被印字物検知装置11、偏向電圧発生装置12、印字用帯電電圧発生装置13、励振電圧発生装置14、供給ポンプ23、回収ポンプ32と接続している。
プログラム格納装置3は制御装置2において実行されるプログラムと、インクジェット記録装置1の動作に必要なデータ及び表示用データをあらかじめ記憶している。
メモリ4はプログラム実行領域とデータ記憶領域に分割されて利用される。プログラム実行領域では制御装置2により呼び出されたプログラム格納装置3に記憶されたプログラムを実行し、データ記憶領域ではユーザーが作成したデータをおよび印字する文字列を記憶する。
表示装置5はプログラム格納装置3に記憶された表示用データを表示形式に変換して表示する。ユーザーは表示装置5に表示された画面により、インクジェット記録装置1の状態などを認識する。
タッチパネル6は表示装置5に重ねて設置されており、ユーザーのタッチした位置に対応した電圧値を出力する。制御装置2はこの電圧値を読み取りタッチされた位置座標を検出する。ユーザーがタッチパネル6を介して表示装置5に表示されたアイコンやボタンにタッチすると、制御装置2はタッチした位置座標よりユーザーの入力を判定し、対応したプログラムをプログラム格納装置3より呼び出して実行する。
入力装置8はユーザーがインクジェット記録装置1を操作する際に使用する操作部分であり、インクジェット記録装置1の電源のオン/オフを切り替える電源ボタン7から構成される。図1では入力装置として電源ボタン7のみを示しているが、ボタンの数はこれに限定されず、必要に応じて数字や文字を入力するキーボードやテンキーを搭載することも可能である。
インクタンク21は被印字物35への印字に用いるインク22を貯蔵する。インクタンク21内のインク22は、制御装置2からの命令で作動する供給ポンプ23で加圧され、インク供給用配管24を通りノズル25に供給される。
ノズル25はインクタンク21より供給されるインク22を噴出する。ノズル25には圧電素子26が取り付けられており、励振電圧発生装置14で発生された励振電圧信号を圧電素子26に印加してノズル25から噴出されるインク22を粒子化し、インク粒子27を生成する。
噴出されたインク粒子27は帯電電極28の間を通過する。帯電電極28には、印字用帯電電圧発生装置13で発生された印字する文字情報に対応した帯電電圧が印加される。インク粒子27は帯電電極28の間を通過する際に印加された帯電電圧により帯電される。更に帯電電極28の間を通過したインク粒子27は、偏向電極29の間を通過する。偏向電極29には、偏向電圧発生装置12で発生された偏向電圧が印加される。インク粒子27は偏向電圧により形成された偏向電界を通過する際に帯電量に応じて偏向され、偏向されたインク粒子27は被印字物35に印字される。ここで、印字内容は、文字、マーク、図形、画像、模様その他被印字物に印字可能な全てを含み、印字インクは油性インクの他、特殊な磁性インク等を用いてもよい。
インク回収口30は印字に使用しないインク粒子27を回収する。インク回収口30より回収されたインク粒子27は、制御装置2からの命令により作動する回収ポンプ32で吸引され、インク回収用配管31を通ってインクタンク21に戻される。
被印字物搬送装置34はインクジェット記録装置1が印字する被印字物35を所定の速度で搬送し、その搬送方向は前記インク粒子27の偏向方向と直交する方向となる。エンコーダ36は、被印字物搬送装置34の搬送速度に同期した信号を出力し、エンコーダ信号検知装置10に入力される。
被印字物センサ33は被印字物搬送装置34で搬送される被印字物35を検知し、被印字物検知装置11に被印字物検知信号を送信する。
被印字物検知装置11は被印字物センサ33から送信された被印字物検知信号を制御装置2に送信する。制御装置2は被印字物検知信号を受信すると、被印字物35がインクジェット記録装置1の印字領域に到着したことを検知する。制御装置2は被印字物35が印字領域に到達したことを検知すると被印字物35へ印字を行う印字処理を開始し、メモリ4に格納されている印字文字列情報を印字用帯電電圧発生装置13にバスを介して送信する。同時に制御装置2は帯電電極28に帯電電圧を印加するタイミングをエンコーダ信号検知装置10から入力された被印字物搬送装置34の搬送速度に同期した信号に従って実施する。
インクレベル検知センサ37は、ノズル25に供給するインクタンク21内のインク量が印字が継続できる適正レベル以上あるかを検出するセンサであり、印字によってインクが消費されインクタンク21内のインク量が適正レベルを下回ると、インクレベル検知センサ37から異常検出手段としての異常検知回路15にインク量低下の信号が入力されバスを介して制御装置2に通知される。以下は、インク量低下を異常状態の一例として説明するが、この他に被印字物の搬送異常、インク粒子の飛翔不良等を異常状態とすることもできる。
〔印字停止制御〕
インクジェット記録装置1は、制御モードとして印字モード、停止モード、スタンバイモード、異常状態モードを持ち、異常状態の発生とともに異常状態モードに状態遷移する。異常状態モードでは、被印字物を異常発生時の印字位置に維持しつつ、印字開始制御装置40の指示に従い印字を再開することができる。制御装置2はインク量低下の異常信号を受けて印字を停止し、搬送制御用信号回路16に被印字物搬送装置34を停止する指示を行い、インクジェット記録装置1を異常状態モードに状態遷移して、表示装置5に異常状態を表示する。被印字物搬送装置34は搬送停止信号を受けて直ちに停止する。また制御装置2は印字を停止するとともに、印字用帯電電圧発生装置13に印字停止までに印字文字列のどこまで送信したかをメモリ4に記憶する。
〔印字再開制御〕
図2は、制御装置2に設けられた印字開始制御装置40の回路図である。図2において、印字開始制御装置40は、印字開始位置を任意の位置から再開するか、あるいは異常発生時の印字停止位置から開始するかを選択する印字開始位置選択装置41と、印字位置制御装置42とを有する。
制御装置2からの印字指示情報およびメモリ4から読み出された印字停止位置情報を含む印字信号と、印字開始位置選択装置41の信号に基づき、印字位置制御装置42は印字開始位置を決定し、印字開始信号を制御装置2に再び出力する。印字開始指定信号に含まれる印字開始指定位置はユーザーがタッチパネル6から入力して指定することができる。
次に、インクタンク21にインクが充填されると、制御装置2はインクレベル検知センサ37を介してインク量低下状態が解消されたとし、インクジェット記録装置1の異常状態モードを解除する。インクジェット記録装置1が再び印字可能状態となったとき、印字開始位置選択装置41により異常発生時の停止位置から開始することを選択されていた場合は、制御装置2はメモリ4に記憶に記憶している印字文字列の続き位置から印字開始信号を出力し、制御装置2は印字開始を指示する。
一方、印字開始位置選択装置41により任意指定位置からの印字開始、例えば文字列先頭から印字することが選択されていた場合は、印字文字列の先頭から印字を開始する。これは例えば、印字異常が帯電不良によるインクドットの飛翔異常であったり、印字自体が不完全で印字停止までの印字完了部分が再利用できないような場合に選択される。
指定位置は、この他、印字が一つの文字又は図形、またはワードの中間で停止した場合、これら文字又は図形、またはワードの先頭から印字開始するように指定することもでき、この場合には印字不良部分を少なくすることができる。
上記印字開始制御装置40およびその構成要素は、プログラム格納装置3に格納された各種プログラムとして構成する事ができ、これらプログラムは制御装置2により呼出されて作動する。
図3A乃至3Cは印字停止と印字再開を行った場合の印字状態を模式的に示す。図3Aは正常印字状態の印字を示し、図3Bは異常発生時に印字停止までに完了した印字状態を示し、図3Cは、印字再開したあとの印字状態を示す。
図4は、本発明において、異常発生の前後において印字完了後の位置から印字を再開した場合の印字状態を示す。上記のように、印字再開を停止された文字列の続きから印字を再開することで、インクジェット記録装置のユーザーが必要とする印字文字列、又は一つの印字作業を完了した状態で印字終了することができるため、インクジェット記録装置の作業効率を大幅に向上できる。
1・・・インクジェット記録装置
2・・・制御装置
3・・・プログラム格納装置
4・・・メモリ
5・・・表示装置
6・・・タッチパネル
8・・・入力装置
11・・・被印字物検知装置
15・・・異常検知回路
21・・・インクタンク
25・・・ノズル
34・・・被印字物搬送装置
35・・・被印字物
37・・・インクレベル検知センサ
40・・・印字開始制御装置
41・・・印字開始位置選択装置
42・・・印字位置制御装置

Claims (7)

  1. 被印字物に一つの印字作業に関する一連の印字文字列を連続印字する連続噴出型インクジェット記録装置であって、印字情報を供給するとともにインクジェット記録装置の印字動作を制御する制御装置と、インクジェット記録装置の異常状態を検出する異常検出手段を備え、前記制御装置は前記異常検出手段の異常信号により印字停止を行うインクジェット記録装置において、
    前記制御装置は、印字停止位置を記憶するとともに、印字再開後の前記被印字物上の印字開始位置を制御する印字開始制御手段を有し、該印字開始制御手段は、印字開始再開後の印字開始位置を、印字文字列の任意の指定位置から開始するか、印字停止時の印字位置から行うかを自動的に選択することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 請求項に記載のインクジェット記録装置において、前記印字開始を行う指定位置は印字を中断した文字、図形又はワードの先頭位置であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記インクジェット記録装置は入力部を有し、該入力部からの入力により指定された印字開始位置から印字開始することを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記印字開始位置の指定は、異常発生時の停止位置から印字開始する場合と、文字列先頭を含む任意指定位置から印字開始する場合と、文字又は図形、またはワードの先頭から印字開始する場合とを選択可能であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、前記異常状態は、インクジェット記録装置のインク量低下、搬送異常又はインク粒子飛翔異常の少なくとも一つを含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載されたインクジェット記録装置において、前記被印字物はパイプ又は電線ケーブルのいずれかを含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、該インクジェット記録装置は、制御モードとして、印字モード、休止モード、スタンバイモード又は異常発生時の被印字物の印字位置を保持しつつ前記制御手段により印字再開可能な異常状態モードを有し、前記制御装置により前記各制御モードを状態遷移することを特徴とするインクジェット記録装置。
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