JP5474196B2 - シリコン精錬装置及びシリコン精錬方法 - Google Patents
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Description
この方法を用いると、坩堝底部が冷却されることにより、シリコン溶湯の下方から比較的速い凝固速度で安定して凝固が進行する。しかし、坩堝底部の抜熱が強すぎると、シリコン溶解中に坩堝底面と溶融シリコンとの接触部分では、未溶解部分(スカル)が発生し、その部分は原料シリコンの不純物濃度のままとなり精製が不十分となることが分かった。
本発明は、真空槽と、前記真空槽内に配置された冷却手段と、前記真空槽内で前記冷却手段とは離間して配置された溶解容器と、前記溶解容器内のシリコンを溶融させる加熱手段と、前記溶解容器を前記冷却手段上に保持する支持部材と前記支持部材と前記溶解容器との間に設けられた第一の断熱材と、を有し、前記支持部材には、前記溶解容器の外側底面と前記冷却手段の表面とが対面するように開口部が設けられ、前記溶解容器の内側底面に対する、前記開口部の前記内側底面と平行な断面の面積比は50%よりも大きく200%未満であり、前記溶解容器の前記外側底面からの輻射熱が入射する前記冷却手段の表面の放射率は0.1以上であるシリコン精錬装置である。
本発明はシリコン精錬装置であって、前記開口部には第二の断熱材が設けられたシリコン精錬装置である。
本発明はシリコン精錬装置であって、前記第一の断熱材と前記第二の断熱材はそれぞれカーボンフェルトから構成されたシリコン精錬装置である。
本発明は、溶解容器内に金属シリコンからなる母材を配置し、真空雰囲気中で前記溶解容器に配置された前記母材を加熱して全部溶融させ、前記溶解容器の底面を冷却手段によって冷却して前記溶解容器の内側底面と溶融シリコンが接触する部分からシリコンを凝固し、凝固シリコンを上方に成長させ、前記凝固シリコンの上部に位置する未凝固シリコンを前記溶解容器から除去するシリコン精錬方法であって、前記溶解容器の外側底面と前記冷却手段の表面とが対面するように開口部が設けられた支持部と、前記溶解容器との間に第一の断熱材を設けて前記支持部によって前記溶解容器を前記冷却手段上に保持し、前記開口部には第二の断熱材を設け、前記溶解容器の底面を冷却するときには、前記溶解容器の前記外側底面を前記冷却手段と離間して対面させて冷却するシリコン精錬方法である。
本発明は、溶解容器内に金属シリコンからなる母材を配置し、真空雰囲気中で前記溶解容器に配置された前記母材を加熱して全部溶融させ、前記溶解容器の底面を冷却手段によって冷却して前記溶解容器の内側底面と溶融シリコンが接触する部分からシリコンを凝固し、凝固シリコンを上方に成長させ、前記凝固シリコンの上部に位置する未凝固シリコンを前記溶解容器から除去するシリコン精錬方法であって、前記溶解容器の外側底面と前記冷却手段の表面とが対面するように開口部が設けられた支持部と、前記溶解容器との間に第一の断熱材を設けて前記支持部によって前記溶解容器を前記冷却手段上に保持し、前記溶解容器の内側底面に対する、前記開口部の前記内側底面と平行な断面の面積比は50%よりも大きく200%未満にし、前記溶解容器の前記外側底面からの輻射熱が入射する前記冷却手段の表面の放射率は0.1以上にし、前記溶解容器の底面を冷却するときには、前記溶解容器の前記外側底面を前記冷却手段と離間して対面させて冷却するシリコン精錬方法である。
溶解容器の外側底面に対面して冷却手段を設けることにより、底面から効率よく抜熱し、固液界面の温度勾配を大きくすることができる。
冷却手段の引き下げ機構が不要であるため、装置構造を簡素化できる。
不純物が凝集している部分を液体状態で除去することで、インゴットの切削加工が不要になり、低コスト化できる。
このシリコン精錬装置10は、真空槽11を有している。真空槽11の内部には、冷却手段21が配置されており、冷却手段21の上方には、冷却手段21と離間して、溶解容器31が配置されている。
ここでは溶解容器31は炭素材料(例えば黒鉛)で形成されている。
真空槽11には、溶解容器31内のシリコンを溶融させる加熱手段12が設けられている。加熱手段12はここでは電子銃であるが、溶解容器31内のシリコンを溶融させることができるならば電子銃に限定されず、誘導加熱手段でもよい。
溶解容器31の内側に塊状又は小片状の金属シリコンからなる母材であるシリコン原料を配置し、シリコン原料に電子ビーム(電子線)を照射して溶解容器31内のシリコン原料を全部溶融させ、溶解容器31の内部を溶融シリコンで満たす。このとき、シリコンは溶解容器31の炭素材料としか接触していない。
溶解容器31には、傾斜装置39が設けられている。
次に、加熱手段(電子銃)12を再動作させて電子ビームを凝固シリコンに照射し、凝固シリコンを溶融させる。
なお、開口部29は溶解容器31の外側底面と冷却手段21の表面とが対面できるならば、図5を参照し、支持部材33によって外周の輪郭が閉じられた領域に限定されず、図6を参照し、外周の輪郭が開かれた領域であってもよい。
すなわち、溶解容器31と冷却手段21との間の空間のうち、溶解容器31の外側底面の外周の内側に位置する領域を対面空間と呼ぶと、開口部29は対面空間のうち支持部材33以外の部分から成る。
本実施形態では、溶解容器31は、外側表面の外周部分や底面部分(すなわち外側側面や外側底面)に第一の断熱材32が接触されて、第一の断熱材32が接触した部分が保持具(支持部材)33によって支持されて冷却手段21上に配置されており、溶解容器31と冷却手段21とは非接触の状態になっている。第一の断熱材32はここではカーボンフェルトである。
何も配置されていない対面空間を設けた場合よりも、溶解容器31の底面の抜熱効率が小さくなり、溶解容器31の内側底面と接触する部分にスカルが発生することを防止できる。
容器側面の冷却を抑えながら容器底面の冷却を強くすることにより、シリコンは、下方から上方に向かって一方向凝固される。
図1を参照し、表面を酸化させた銅からなる冷却手段21の上方に、冷却手段21と離間して黒鉛からなる溶解容器31(深さ60mm、内径300mm)を配置した。ここで冷却手段21の表面の放射率は0.1以上である。
高純度シリコン(Si)7.5kgにアルミニウム(Al)と鉄(Fe)をそれぞれ重量比250ppmになるように添加し、作成されたシリコン原料を、溶解容器31内に装填し、電子ビームを照射密度1000kW/m2で照射して、シリコン原料を完全に溶解した。
溶融シリコンを除去した後、溶解容器31内に残ったシリコンを任意の大きさに切り出し、高さ方向に4mm厚で層状に切断し、それぞれをICP−MSで分析した。分析結果を表1に示す。
図3を参照し、冷却手段21と黒鉛からなる溶解容器31(深さ60mm、内径300mm)の間に熱伝導度0.3W/m・Kの第二の断熱材35(カーボンフェルト)を挟んで配置した。
高純度Si7.5kgにAl、Feをそれぞれ重量比250ppmになるように添加して作成したシリコン原料を、溶解容器31内に装填し、電子ビームを照射密度1000kW/m2で照射して、シリコン原料を完全に溶解した。
溶融シリコンを除去した後、溶解容器31内に残ったシリコンを任意の大きさで切り出し、高さ方向に4mm厚で層状に切断し、それぞれをICP−MSで分析した。分析結果を表2に示す。
しかしながら、抜熱効率が小さくなると、固液界面の温度勾配が小さくなる。そのため本実施例では、組成的過冷却が起こり、精製途中で不純物濃度が急上昇したことが分かる。
高純度Si7.5kgにAl、Feをそれぞれ重量比250ppmになるように添加して作成したシリコン原料を、水冷銅るつぼ(深さ60mm、内径300mm)内に装填し、電子ビームを照射密度2000kW/m2で照射し、シリコン原料を完全に溶解した。
電子ビームの照射幅(面)を変えずに、凝固速度1mm/minとなるように、出力強度を徐々に弱め、溶融シリコンが全体の2割になったところで、水冷銅るつぼを傾倒し、溶融シリコンを除去した。
溶融シリコンを除去した後、水冷銅るつぼ内に残ったシリコンを任意の大きさで切り出し、高さ方向に4mm厚で層状に切断し、それぞれをICP−MSで分析した。分析結果を表3に示す。
冷却手段上に、冷却手段と接触して、黒鉛からなる溶解容器(深さ60mm、内径300mm)を配置した。
高純度Si7.5kgにAl、Feをそれぞれ重量比250ppmになるように添加して作成したシリコン原料を、溶解容器内に装填し、電子ビームを照射密度1000kW/m2で照射して、シリコン原料を完全に溶解した。
溶融シリコンを除去した後、溶解容器内に残ったシリコンを任意の大きさで切り出し、高さ方向に4mm厚で層状に切断し、それぞれをICP−MSで分析した。分析結果を表4に示す。
図1を参照し、表面を鏡面研磨した銅から成る冷却手段21の上方に、冷却手段21と離間して黒鉛から成る溶解容器31(深さ60mm、内径300mm)を配置した。鏡面研磨することにより、冷却手段21の放射率は0.1未満となっている。
電子ビームの照射幅(面)を変えずに、凝固速度1mm/minとなるように、出力強度を徐々に弱め、溶融シリコンが全体の2割になったところで、溶解容器31を傾倒し、溶融シリコンを除去した。
溶融シリコンを除去した後、溶解容器31内に残ったシリコンを任意の大きさで切り出し、高さ方向に層状に4mm厚で切断し、それぞれをICP−MSで分析した。分析結果を表5に示す。
図1を参照し、表面を酸化させた銅からなる冷却手段21の上方に、冷却手段21と離間して黒鉛からなる溶解容器31(深さ60mm、内径300mm)を配置した。
溶解容器31の内側底面の面積に対する、開口部29の溶解容器31の内側底面と平行な断面積の面積比Rを40%以上200%以下の値に設定した。
電子ビームの照射幅(面)を変えずに、凝固速度1mm/minとなるように、出力強度を徐々に弱め、溶融シリコンが全体の2割になったところで、溶解容器31を傾倒し、溶融シリコンを除去した。
面積比Rを40%以上200%以下の範囲で変更して、上記分析試験を繰り返した。分析結果を表6に示す。
11……真空槽
12……加熱手段
21……冷却手段
25……冷却装置
29……開口部
31……溶解容器
32……第一の断熱材
33……支持部材(保持具)
35……第二の断熱材
36……第三の断熱材
39……傾斜装置
Claims (6)
- 真空槽と、
前記真空槽内に配置された冷却手段と、
前記真空槽内で前記冷却手段とは離間して配置された溶解容器と、
前記溶解容器内のシリコンを溶融させる加熱手段と、
前記溶解容器を前記冷却手段上に保持する支持部材と、を有し、
前記支持部材には、前記溶解容器の外側底面と前記冷却手段の表面とが対面するように開口部が設けられ、
前記支持部材と前記溶解容器との間には、第一の断熱材が設けられ、
前記開口部には第二の断熱材が設けられたシリコン精錬装置。 - 真空槽と、
前記真空槽内に配置された冷却手段と、
前記真空槽内で前記冷却手段とは離間して配置された溶解容器と、
前記溶解容器内のシリコンを溶融させる加熱手段と、
前記溶解容器を前記冷却手段上に保持する支持部材と
前記支持部材と前記溶解容器との間に設けられた第一の断熱材と、
を有し、
前記支持部材には、前記溶解容器の外側底面と前記冷却手段の表面とが対面するように開口部が設けられ、
前記溶解容器の内側底面に対する、前記開口部の前記内側底面と平行な断面の面積比は50%よりも大きく200%未満であり、
前記溶解容器の前記外側底面からの輻射熱が入射する前記冷却手段の表面の放射率は0.1以上であるシリコン精錬装置。 - 前記開口部には第二の断熱材が設けられた請求項2記載のシリコン精錬装置。
- 前記第一の断熱材と前記第二の断熱材はそれぞれカーボンフェルトから構成された請求項1又は請求項3のいずれか1項記載のシリコン精錬装置。
- 溶解容器内に金属シリコンからなる母材を配置し、
真空雰囲気中で前記溶解容器に配置された前記母材を加熱して全部溶融させ、
前記溶解容器の底面を冷却手段によって冷却して前記溶解容器の内側底面と溶融シリコンが接触する部分からシリコンを凝固し、
凝固シリコンを上方に成長させ、
前記凝固シリコンの上部に位置する未凝固シリコンを前記溶解容器から除去するシリコン精錬方法であって、
前記溶解容器の外側底面と前記冷却手段の表面とが対面するように開口部が設けられた支持部と、前記溶解容器との間に第一の断熱材を設けて前記支持部によって前記溶解容器を前記冷却手段上に保持し、
前記開口部には第二の断熱材を設け、
前記溶解容器の底面を冷却するときには、前記溶解容器の前記外側底面を前記冷却手段と離間して対面させて冷却するシリコン精錬方法。 - 溶解容器内に金属シリコンからなる母材を配置し、
真空雰囲気中で前記溶解容器に配置された前記母材を加熱して全部溶融させ、
前記溶解容器の底面を冷却手段によって冷却して前記溶解容器の内側底面と溶融シリコンが接触する部分からシリコンを凝固し、
凝固シリコンを上方に成長させ、
前記凝固シリコンの上部に位置する未凝固シリコンを前記溶解容器から除去するシリコン精錬方法であって、
前記溶解容器の外側底面と前記冷却手段の表面とが対面するように開口部が設けられた支持部と、前記溶解容器との間に第一の断熱材を設けて前記支持部によって前記溶解容器を前記冷却手段上に保持し、
前記溶解容器の内側底面に対する、前記開口部の前記内側底面と平行な断面の面積比は50%よりも大きく200%未満にし、
前記溶解容器の前記外側底面からの輻射熱が入射する前記冷却手段の表面の放射率は0.1以上にし、
前記溶解容器の底面を冷却するときには、前記溶解容器の前記外側底面を前記冷却手段と離間して対面させて冷却するシリコン精錬方法。
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