JP5470833B2 - 過酸化水素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学的な過酸化水素の製造に用いるためのカソードに関するものである。
工業的な過酸化水素の製造方法としては、アルキルアントラキノンを用いた自動酸化法が用いられている。ただし、大量の有機溶媒の添加を必要とし、また、多くの副生物や触媒の劣化が生じるので、さまざまな分離工程や再生工程を必要とする等の不利な点がある。一方、酸素の還元を電気化学的に行うことによって過酸化水素を製造する方法も種々検討されている(特許文献1参照)。
電気化学的方法は、簡単で安全な装置で過酸化水素水をオンサイト製造できる利点があるため、主に製紙メーカーなどで多くの検討がなされてきたが以下の問題がある。1)アルカリ性電解液を用い、両極の隔膜にカチオン交換膜を用いると、高電流効率で過酸化水素が得られるが、理論的にアルカリ濃度の高い過酸化水素水しか得られず用途が限られる。2)酸性電解液を用いると電流効率が低く、これまでに種々の電極が検討されているが電流効率は60%以下である(特許文献2、5参照)。
酸素の還元を電気化学的に行うことによって過酸化水素を製造する方法において、アルカリ性電解液を用い、隔膜としてカチオン交換膜を用いると、カソード上で次式の反応が起こり、過酸化水素のアルカリ水溶液が高効率で生成する。
O + HO + 2Na+ 2e → NaOOH + NaOH (E−0.08V)
しかし、生成液には過酸化水素に対し2当量のアルカリが混入するため、アルカリ濃度の高い過酸化水素水溶液となり用途が限られる。
一方、酸性の電解液を用いると、次式の反応が起こり、副生物の増減なしで過酸化水素の酸性水溶液が得られる。
+ 2H + 2e → H(E+0.69V)
ただし、副反応として、次式に示す水への還元反応や分解反応も同時に起こりやすいため、一般的に電流効率が低くなるといわれている。
+ 4H + 4e → 2HO (E+1.23V)
+ 2H + 2e→ 2HO (E0 +1.77V)
2H → 2HO + O
また、燃料電池のシステムを利用して水素と酸素から過酸化水素を製造する方法(非特許文献1参照)が提案されている。これは、カチオン交換膜を隔膜とし、アノード側は白金黒を、カソード側は金メッシュもしくはグラファイトを触媒電極とし、アノード室に水素ガス、塩酸水溶液が導入されたカソード室に酸素ガスを吹き込むことによって過酸化水素を製造するものである。
さらに、過酸化水素を高濃度で効率よく生成する方法として、アノードの内側とカソードの内側の間に形成された中間室、アノードの外側にあるアノード室、及びカソードの外側にあるカソード室を有する三槽構造からなり、さらにその中間室がアニオン交換膜によってカソード側中間室とアノード側中間室とに仕切られており、このカソード側中間室とアノード側中間室に電解質水溶液が導入されている装置を用いて、アノード室に水素、カソード室に酸素を供給して、カソード側中間室に過酸化水素等を発生させる方法が提案されている(特許文献3〜5参照)。これらの方法では、アルカリ電解液の使用により、100mA/cm以上と高電流密度で、過酸化水素の蓄積濃度が最大8.5重量%と飛躍的に反応性が向上している。しかしながら、アルカリ電解液では高アルカリ濃度の過酸化水素であり、酸性電解液では電流効率が低い。
米国特許第4,431,494号 特開2007−162033号公報 特開2001−236968号公報 特開2005−76043号公報 特開2005−281057号公報 Electrochimica Acta,Vol.35,No.2,319,1990
従来のカソード上で酸素を還元することにより電気化学的に過酸化水素を製造するためのカソードでは、電解質にアルカリ性電解液を用いる場合には、効率良く過酸化水素を生成可能であるのに対して、酸性電解液を用いる場合には反応速度の低下および電流効率が低いという問題があった。本発明の目的は、過酸化水素製造用のカソードにおいて、アルカリ性電解液のみならず、酸性電解液でも効率良く過酸化水素を生成することができるカソードを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、カソードに導電性炭素酸化物を用いることにより、酸性電解液において効率良く過酸化水素を製造できること、アルカリ性電解液においても過酸化水素の生成能力が向上することを見出した。すなわち、本発明は、電極上で酸素を還元して過酸化水素を製造するためのカソードであって、導電性炭素酸化物を用いることを特徴とするカソードに関するものである。
本発明の過酸化水素製造用のカソードは、アルカリ性電解液においては従来のグラファイトを用いた電極よりも過酸化水素の生成能力が向上し、かつ、酸性電解液においては反応速度および反応効率が大きく向上し高効率で過酸化水素を製造できる。さらに、酸性電解液が適用できるために、アノードとカチオン交換膜を貼り合せ使用することによる装置構造の簡略化が可能となり、これにより電極間距離が短縮され反応速度を向上させることができる。また、比較的薄い酸性液中に過酸化水素を生成できるため、精製が容易であり、酸化反応剤用途への応用も期待できる。
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明のカソードは、カソード上で酸素を還元することによって過酸化水素を電気化学的に直接製造するための電極である。本発明のカソードは、電解合成による過酸化水素製造装置や燃料電池システムによる過酸化水素製造装置などの電気化学的な過酸化水素製造装置に利用できる。
本発明のカソードには、導電性炭素酸化物を用いた電極が用いられる。導電性炭素酸化物とは、導電性炭素を酸化処理したものである。
原料となる導電性炭素は、電気伝導性を有する種々の炭素材料が使用できるが、反応速度向上のためには、水溶液との接触面積を増やし、さらにガス拡散を妨げないように、微粒子状の導電性炭素が好ましい。このような導電性炭素としては、活性炭、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンファイバー、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、ケッチェンブラックから選ばれる1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述の導電性炭素を酸化処理することにより、導電性炭素酸化物が得られる。酸化処理方法としては、空気酸化、硫酸酸化、硝酸酸化、過マンガン酸酸化、陽極酸化等が挙げられる。例えば、硝酸酸化を行う場合には、濃硝酸中に導電性炭素を添加し攪拌することで導電性炭素を酸化させる。処理した導電性炭素酸化物は、従来公知の方法により水洗、ろ過、乾燥を行い電極に供する導電性炭素酸化物となる。
前記処理によって導電性炭素の少なくとも一部が酸化され、例えばカルボキシル基、水酸基、ラクトン環などを有した構造になると考えられる。
前記の導電性炭素酸化物を用いたカソードが本発明に用いられる電極である。ただし、電極として用いるためには、電極としての形状と導電性が必要である。電極形状の導電性炭素を酸化して得た導電性炭素酸化物であれば問題ないが、粒子状の導電性炭素を用いた場合は、電極形状に加工する必要がある。
電極形状に加工する方法として、基体上に導電性炭素酸化物粒子を担持する方法がある。前記基体は電極で用いるために導電性の基体であることが好ましい。また、導電性基体の片面に導電性炭素酸化物を塗布し、もう一方の面には導電性炭素酸化物を塗布せずに、導電性炭素酸化物塗布面に導電性基体を介して酸素を供給するための酸素供給面とすることで、効率よく酸素を供給できる電極となる。この場合の導電性基体としては多孔性の導電性基体を用いることが好ましい。導電性があり多孔性である基体としては、カーボンペーパーやカーボンクロス等が好ましく用いられる。このように酸素供給部と反応部とに分ける場合、反応部は電解液に浸されるため、電極面で電解液を隔離する必要がある。そこで、通常は撥水処理された基体を用いる。カーボンペーパーやカーボンクロスの撥水処理は、一般的にテフロン(登録商標)微粒子を焼結することにより行われる。
任意の形状の導電性基体上に、導電性炭素酸化物を塗布する。導電性炭素酸化物の基体への接着には、接着剤を用いて行う方法がある。例えば、プロトン伝導性の高いナフィオン溶液と導電性炭素酸化物粒子を懸濁させ、上記基体上に塗布し、乾燥、焼結させることにより、接着することができる。これにより、電極形状に加工されたカソードが完成する。
電極形状に加工する別の方法として、導電性炭素酸化物粒子にバインダーを含むように混合して成形する方法がある。導電性炭素酸化物の導電性が小さい場合は、導電性炭素粒子を添加することもできる。バインダーとしては、導電性炭素酸化物を成形し電極としての強度を保てるものならいずれでも良い。ただし、酸素供給部と反応部を分ける場合、反応部は電解液に浸されるため、当電極で電解液を隔離する必要がある。この場合、テフロン(登録商標)粒子等の撥水性のバインダーが用いられる。
上述のグラファイト酸化物電極をカソードとし、対極にアノード、両電極間に電解質を備えることにより、過酸化水素製造装置となる。本発明の電解質は電解槽に電解液を充填した液体電解質であるが、ナフィオン(登録商標)のような固体電解質を用いてもよい。液体電解質の使用に際しては、通常は電解槽中に隔膜としてイオン交換膜を設置する。これにより、カソードで生成した過酸化水素が、アノードで分解してしまうことを防ぐことができる。液体電解質の液性はアルカリ性または酸性のどちらでも過酸化水素が生成するが、いずれにしてもイオン交換膜としては、カチオン交換膜が好ましい。アニオン交換膜を使用した場合、アルカリ性においては過酸化水素がアニオン交換膜を通過しやすくなるため、生成効率が悪化する。一方、酸性においてはカソード電解液のプロトンが減少してしまうためカソード電解液への酸の供給が必要となり、低濃度の過酸化水素しか生成しえない。ここで用いるカチオン交換膜については、特に限定はされないが、過酸化水素のような酸化剤に対して耐久性のあるフッ素系の樹脂が好ましく用いられる。
本発明のカソードとアノードおよび前記電極間に電解質を備えた装置により過酸化水素を製造する際に、カソードへの電子の供給は、電解反応のように外部電圧を用いることができる。また、燃料電池システムのように、アノードでは酸素が過酸化水素に還元される電極電位より低い電位で酸化反応を行うことにより、電子を供給することもできる。例として、アノードでの水素の酸化反応を示す。
アルカリ性:H+ 2OH→ 2HO + 2e(E−0.828V)
酸性 :H → 2H + 2e (E 0.0V)
対極に用いるアノードは、カソードとアノード間に外部電圧を印加する方法と燃料電池システムを利用する方法とで必要構造が異なる。外部電圧をかける方法の場合、アノードでは通常電解液の電気分解が行われ、電子が生じる。カソードとアノード間の電圧の印加は、例えば直流電源で両極に電圧を印加する方法や、図4に示すようなポテンショスタットとAg/AgCl等の参照電極を用いる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。使用できるアノードとしては種々あるが、耐久性の点から白金電極や炭素電極が挙げられる。また、必要電圧を下げるために、酸素発生過電圧の低い電極も鋭意検討がなされている。
燃料電池システムを利用する場合、アノードでは酸素が過酸化水素に還元される電極電位より低い電位で酸化反応を行う必要がある。アノードでの原料の酸化により、プロトンまたはカチオンと電子が生成する。このような反応が可能な原料としては、水素、メタノール、エタノール、ジメチルエーテルが挙げられる。ヒドラジン、ボロハイドライド類、アルミニウム等の卑金属類等でも可能であるが、通常過酸化水素より高価である。現状、実用的な原料としては水素またはメタノールが好ましい。両者のアノードにおける反応を以下に示す。
→ 2H + 2e(E0.0V)
CHOH + HO → 6H + 6e+ CO(E+0.02V)
ここで用いられる電極触媒としては、水素の場合は白金、メタノールの場合は白金・ルテニウムを含む単体あるいは合金が一般に用いられる。これらの触媒は、通常、炭素担体上に担持される。また、反応部である電解液側と原料部を隔離するのが好ましいため、カーボンペーパーの片面に触媒を塗布した電極が一般に用いられる。
本発明で用いるアルカリ性の電解質としては、電解液として水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩水溶液、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩水溶液およびこれらの混合液を電解槽に充填したものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。電気伝導度の優れた電解液として水酸化物水溶液が好ましく用いられる。酸性の電解質としては、電解液として塩酸、硫酸、硝酸およびこれらの混合液を電解槽に充填したものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。電気化学的に安定な電解液として硫酸が好ましく用いられる。
以下に実施例をあげて本発明の方法を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
(グラファイトの酸化)
ケッチェンブラック(ライオン社EC−600JD)10gに濃硝酸383gを添加し、48℃で24時間攪拌した。冷却後、2.5Lのイオン交換水で6回洗浄およびろ過を行った。得られた粒子を減圧乾燥し、ケッチェンブラック酸化物10gを得た。
(カソードの作製)
丸底フラスコに電極触媒として上記ケッチェンブラック酸化物0.2gを秤量し、フラスコ内をアルゴンガスで置換した。ここに、イソプロパノール1.5g、5%ナフィオン溶液1.0gを添加し、攪拌と超音波洗浄機による分散を2度行い、ケッチェンブラック酸化物分散液を得た。100mlのビーカーの底に撥水処理したカーボンペーパーを置き、これに上記ケッチェンブラック酸化物分散液を入れ、東レ社製カーボンペーパー(TGP−H−060)上で室温乾燥後、80℃でさらに10分間乾燥、続いて、アルゴン気流下130℃で1時間加熱しケッチェンブラック酸化物電極を得た。カーボンペーパーの重量変化量から、塗膜物の量は0.9mg/cm2であった。
(アノードの作製)
丸底フラスコに電極触媒として50%白金/バルカン(エヌ・イーケムキャット社)0.5gを秤量し、フラスコ内をアルゴンガスで置換した。ここに、イソプロパノール2.0g、5%ナフィオン溶液1.0gを添加し、攪拌と超音波洗浄機による分散を2度行い、白金/バルカン分散液を得た。100mlのビーカーの底に撥水処理したカーボンペーパーを置き、これに上記白金/バルカン分散液を入れ、カーボンペーパー上で室温乾燥後、80℃でさらに10分間乾燥、続いて、アルゴン気流下130℃で1時間加熱し白金/バルカン電極を得た。カーボンペーパーの重量変化量から、塗膜物の量は0.65mg/cm2であった。
(過酸化水素生成反応)
図1に示す反応セル(内径2.4cm)を用い、カソード室、集電板(図2参照。開口面積3.14cm、厚さ0.2mm)、カソード、カソード側中間室(厚さ5mm)、ナフィオン117膜(デュポン社)、アノード側中間室(厚さ5mm)、アノード、集電板(図2参照。開口面積3.14cm、厚さ0.2mm)、アノード室と積み重ね、外側から金具で押し付けた。なお、カソード室、カソード側中間室、アノード側中間室、アノード室はアクリル製、集電板はSUS板の金メッキである。続いて、カソード側中間室には2N水酸化ナトリウム水溶液20gをポンプで外部循環させ、また、アノード側中間室は2N水酸化ナトリウム水溶液を10g/時間の速度で流し続けた。次に、カソード室に酸素ガス、アノード室に水素ガスをそれぞれ30ml/分で流した。ここで、カソードとアノード間の電圧を測定したところ、0.888Vであった。続いて、アノードとカソードを無抵抗電流計(北斗電工社HM−104)を介して短絡したところ、平均812mAの電流値を観測した。反応セルの断面積を有効面積とすると、電流密度は、180mA/cmとなる。10分間反応を継続し、カソード液を全て捕集したところ、20.2gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.41wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は2.44mmolである。電流効率を以下の式で求めたところ、96%であった。
理論生成量(mmol)=平均電流値(mA)×時間(秒)/96500(C/mol)/2
電流効率(%)=過酸化水素生成量(mmol)/理論生成量(mmol)×100
実施例2
(カソードの作製)
実施例1と同様に行った。
(アノードの作製)
実施例1と同様に行った。
(過酸化水素生成反応)
実施例1と同様に行った。ただし、カソード室には空気圧縮機器を用いて空気を500ml/分で流した。平均722mAの電流値を観測した。電流密度は、160mA/cmとなる。つまり、酸素原料と比較して、89%の反応速度である。10分間反応を継続し、カソード液を全て捕集したところ、20.0gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.38wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は2.24mmolである。電流効率を実施例1と同様に求めたところ、99.6%であった。
次に、カソード液を、過酸化水素4.0wt%、水酸化ナトリウム9.4wt%の水溶液に変更した。その結果、電流値は628mAとなった。過水濃度0%の結果と比較して、77%の反応速度である。
実施例3
(カソードの作製)
実施例1と同様に行った。ただし、ケッチェンブラック酸化物は、濃硝酸中50℃で200時間酸化したものを用いケッチェンブラック酸化物電極を得た。
(アノードの作製)
実施例1と同様に行った。
(過酸化水素生成反応)
実施例1と同様に行った。ただし、カソードには上記のケッチェンブラック酸化物電極を用い、電解液には10%硫酸を用いた。電解液をセルに充填した後は、電解液の循環は行わなかった。水素と酸素を流通した後、カソードとアノード間の電圧を測定したところ、0.663Vであった。続いて、アノードとカソードを無抵抗電流計(北斗電工社HM−104)を介して短絡したところ、平均155mAの電流値を観測した。反応セルの断面積を有効面積とすると、電流密度は、34mA/cmとなる。15分間反応を継続し、カソード液を回収したところ、2.46gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.79wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は0.57mmolである。電流効率を実施例1と同様に求めたところ、79%であった。
実施例4
(カソードの作製)
実施例3と同様に行った。
(アノードの作製)
実施例1と同様に行った。
(過酸化水素生成反応)
図3に示す反応セルを用いた。すなわち、図1の装置のアノード側中間室のない装置構成である。なお、ナフィオン117膜とアノードは120℃の熱プレスであらかじめ密着した。電解液には10%硫酸を用い、電解液をセルに充填した後は、電解液の循環は行わなかった。そして水素と酸素を流通した。アノードとカソードを無抵抗電流計(北斗電工社HM−104)を介して短絡したところ、平均234mAの電流値を観測した。反応速度は実施例3に比較して151%であった。反応セルの断面積を有効面積とすると、電流密度は、52mA/cmとなる。10分間反応を継続し、カソード液を回収したところ、2.27gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.80wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は0.54mmolである。電流効率を実施例1と同様に求めたところ、78%であった。
実施例5
(カソードの作製)
実施例1と同様に行った。ただし、ケッチェンブラック酸化物は、濃硝酸中50℃で100時間酸化したものを用いケッチェンブラック酸化物電極を得た。
(アノードの作製)
丸底フラスコにカーボンブラック(東海カーボン社7100F)0.1gを秤量し、フラスコ内をアルゴンガスで置換した。ここに、イソプロパノール2.0g、5%ナフィオン溶液1.0gを添加し、攪拌と超音波洗浄機による分散を2度行いカーボンブラック分散液を得た。100mlのビーカーの底に撥水処理したカーボンペーパーを置き、これに上記カーボンブラック分散液を入れ、カーボンペーパー上で室温乾燥後、80℃でさらに10分間乾燥、続いて、アルゴン気流下130℃で1時間加熱しカーボンブラック電極を得た。カーボンペーパーの重量変化量から、塗膜物の量は0.30mg/cm2であった。
(過酸化水素生成反応)
図4に示す反応セルを用いた。すなわち、図1の装置と同様のセル構成で、アノード側中間室に参照電極を設置し、両電極と参照電極はポテンショスタット(北斗電工社:HA−151A)に結線した。カソードには上記のケッチェンブラック酸化物電極を用い、アノードには上記のカーボンブラック電極を用いた。また、電解液には10%硫酸を用いた。電解液をセルに充填した後は、電解液の循環は行わなかった。ポテンショスタットを用いて、Ag/AgCl参照電極に対するアノード電位を+2.0Vとし、カソードとアノード間に電圧を印加したところ、平均157mAの電流値を観測した。反応セルの断面積を有効面積とすると、電流密度は、35mA/cmとなる。10分間反応を継続し、カソード液を回収したところ、2.44gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.55wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は0.39mmolである。電流効率を実施例1と同様に求めたところ、81%であった。
実施例6
(カソードの作製)
実施例1と同様に行った。ただし、電極触媒にはカーボンファイバー粉末(昭和電工社)を100℃で24時間、硝酸酸化したものを用い、カーボンファイバー酸化物電極を得た。
(アノードの作製)
実施例1と同様に行った。
(過酸化水素生成反応)
実施例3と同様に行った。ただし、カソードには上記のカーボンファイバー酸化物電極を用いた。電解液には10%硫酸を用いた。電流値は平均45mAを観測した。電流密度は、10mA/cmとなる。10分間反応を継続し、カソード液を回収したところ、2.50gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.18wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は0.13mmolである。電流効率を実施例1と同様に求めたところ、95%であった。
比較例1
(カソードの作製)
電極触媒としてケッチェンブラックを用いた他は実施例1と同様に行い、ケッチェンブラック電極を得た。
(アノードの作製)
実施例1と同様に行った。
(過酸化水素生成反応)
カソードに上記のケッチェンブラック電極を用いた他は実施例1と同様に行った。
電流値は684mAを観測した。電流密度は、151mA/cmとなる。11分間反応を継続し、カソード液を回収したところ、20.4gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.39wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は2.34mmolである。電流効率を実施例1と同様に求めたところ、100%であった。
比較例2
(カソードの作製)
電極触媒としてケッチェンブラックを用いた他は実施例2と同様に行い、ケッチェンブラック電極を得た。
(アノードの作製)
実施例2と同様に行った。
(過酸化水素生成反応)
カソードに上記のケッチェンブラック電極を用いた他は実施例2と同様に行った。
電流値は566mAを観測した。電流密度は、125mA/cmとなる。つまり、酸素原料と比較して、83%の反応速度である。10分間反応を継続し、カソード液を回収したところ、20.2gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.29wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は1.72mmolである。電流効率を実施例1と同様に求めたところ、98%であった。
次に、カソード液を、過酸化水素4.0wt%、水酸化ナトリウム9.4wt%の水溶液に変更した。その結果、電流値は475mAとなった。過水濃度0%の結果と比較して、69%の反応速度であった。
比較例3
(カソードの作製)
電極触媒としてケッチェンブラックを用いた他は実施例3と同様に行い、ケッチェンブラック電極を得た。
(アノードの作製)
実施例3と同様に行った。
(過酸化水素生成反応)
カソードに上記のケッチェンブラック電極を用いた他は実施例3と同様に行った。7mAの電流値を観測した。反応セルの断面積を有効面積とすると、電流密度は、1.5mA/cmとなる。10分間反応を継続し、カソード液を回収したところ、2.38gであった。当カソード液を過マンガン酸カリウム水溶液で滴定したところ、過酸化水素の濃度は0.016wt%であった。つまり、過酸化水素生成量は0.011mmolである。電流効率を実施例1と同様に求めたところ、51%であった。
アルカリ性電解液の場合、従来電極においても過酸化水素が電流効率約95%以上で生成できるが、反応速度はカソード原料ガスを純酸素から空気に変更すると低下してしまう。比較例2のカソードに酸化処理を施していないケッチェンブラックを用いた場合では、反応速度が純酸素原料に対して83%にまで低下したが、実施例2のケッチェンブラック酸化物を用いた場合の反応速度は89%であり、安価な空気原料を使用しても反応速度の低下を抑制できることがわかった。
さらに、従来の電極では過酸化水素の生成反応が進行すると電解液中の過酸化水素濃度が上昇し反応速度の低下がさらに起こるといった問題があった。実施例2、比較例2に例示したカソード液の過酸化水素濃度を4.0wt%、水酸化ナトリウム9.4wt%の水溶液に変更した場合には、導電性炭素酸化物を用いた実施例2にて反応速度の低下を抑制できることが分かった。本発明の導電性炭素酸化物を用いるカソードを過酸化水素製造装置に使用すると、従来電極の問題であった空気の使用や過酸化水素濃度上昇による反応速度低下を改善する効果がある。
電解液が酸性の場合、比較例3に示した従来の電極では反応速度が遅く、電流効率は51%と低いものであった。一方、本発明の導電性炭素酸化物を用いた実施例3〜6では、反応速度が向上し電流効率は約80%以上に向上しており、酸性電解液での過酸化水素製造の実用可能レベルとなった。また、酸性電解液が適用可能であれば、実施例4に示したようにアノードとカチオン交換膜を貼り合せることも可能であり、これにより装置構造が簡略化され、さらに電極間距離の短縮により反応速度を向上させることができる。
実施例1で用いた装置の概略図。 実施例1で用いた集電板の概略図。 実施例4で用いた装置の概略図。 実施例5で用いた装置の概略図。
符号の説明
1 アノード室
2A カソード側中間室
2B アノード側中間室
3 カソード室
4 アノード
5 カソード
6 水素の入口
7 酸素(空気)の入口
8 生成液の出口
9 導線
10 電流計
11 電解質水溶液の入口
12 イオン交換膜
13 電解質水溶液の出口
14 水素の出口
15 酸素(空気)の出口
16 集電板
17 ポテンショスタット
18 参照電極(Ag/AgCl)

Claims (2)

  1. カーボンペーパーまたはカーボンクロスである導電性基体上にケッチェンブラックを、硝酸を用いて酸化した導電性炭素酸化物をバインダーで担持させたカソード(1)、アノード(2)およびカソードとアノード間にカチオン交換膜(3)を備え、かつ硫酸水溶液をアノードとカソードの中間槽に充填した装置により過酸化水素を製造する方法であって、アノード(2)の酸化反応を酸素が過酸化水素に還元される電極電位より低い電位で行うことを特徴とする過酸化水素の製造方法。
  2. アノード(2)の酸化反応に水素、メタノール、エタノール、ジメチルエーテルのいずれかを用いることを特徴とする請求項記載の過酸化水素の製造方法。
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