JP2000256887A - 過酸化水素製造用電極及びその製造方法 - Google Patents

過酸化水素製造用電極及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の電極を使用して酸素を還元して過酸化
水素を製造しようとすると、生成した過酸化水素の一部
が前記電極表面で更に還元されて過酸化水素の生成効率
が低下する。 【解決手段】 導電性基体に電極触媒を被覆して構成し
た陰極6の表面の少なくとも一部にイオウを被覆して陰
極を修飾する。電極触媒を構成する金属の複数の結晶面
のうち過酸化水素の更に還元する機能を有する面がイオ
ウで被覆されて、過酸化水素を還元する能力が抑制さ
れ、その結果過酸化水素の生成効率が上昇する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面修飾を行った
過酸化水素製造用電極及びその製造方法に関し、より詳
細にはイオウにより表面修飾を行った高効率で過酸化水
素を製造できる電極及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】過酸化水素は、食品、医薬品、パルプ、
繊維、半導体工業において欠くことのできない有用な基
礎薬品である。従来より過酸化水素は、2−アルキルア
ントラキノールを自動酸化させることにより工業的に得
られ、同時に得られるアントラキノンを水素還元して元
のアントラキノールに戻すことで連続的に大量合成が行
われている。しかしその精製のためには精留を繰り返す
等の煩雑な操作が必要であり、しかも過酸化水素が不安
定であり長期間の保存が不可能なため、更に輸送に伴う
安全性及び汚染対策の面から、オンサイト型の過酸化水
素製造装置の需要が高まっている。
【0003】冷却水として海水を利用する発電所や工場
では復水器内部への生物付着防止のために、海水を直接
電解して次亜塩素酸を生成させ、これを利用することが
従来から行なわれているが、環境保全の観点から次亜塩
素酸の使用は規制されつつある。即ち次亜塩素酸と海水
中の生物や有機物の反応により有機塩素化合物が形成
し、それが二次公害の原因になることを防止するためで
ある。一方過酸化水素を前記冷却水中に微量添加すると
良好な生物付着防止効果があることも報告されている。
しかしながら前述の通り輸送に伴う安全性と汚染対策の
課題が残されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来から酸素ガスの還
元反応を用いる過酸化水素の電解製造が提案され、例え
ばJournal of Applied Electrochemistry Vol.25,613-
(1995) では各種電解生成方法の比較が示されている。
これらの生成方法はいずれもアルカリ水溶液の雰囲気で
効率良く得られるため、原料としてアルカリ成分を供給
する必要があり、KOHやNaOHなどのアルカリ水溶
液が必須である。Jounal of Electrochemical Society
Vol.140,1632-(1993) ではホルムアルデヒドの電解によ
る過酸化水素製造が報告されている。Journal of Elect
rochemical Society Vol.141,1174-(1994)では純水を原
料とするイオン交換膜を用いる電解でオゾンと過酸化水
素をそれぞれ陽極と陰極で合成する手段が提案されてい
るが、電流効率が小さく実用的でない。類似の方法とし
て高圧下で合成効率が増加することも報告されている
が、安全性の面からやはり実用的でない。パラジウム箔
を用いる電解方法も提案されているが、濃度が低く価格
的にも用途に制限がある。
【0005】高圧下で酸素と水素からパラジウム触媒を
用いて過酸化水素を合成する方法や、燃料電池的に合成
する方法も提案されているが、高圧下であるため実用的
でない。電極材料としてはカーボンが主として用いられ
るが、過酸化水素による消耗のため寿命が短い。カーボ
ンと同じ2電子還元を進行しうる金は化学的に安定であ
り、過酸化水素製造の触媒としても知られているが、電
流効率が低く実用的でない。更に処理水には、カルシウ
ムやマグネシウムなどの不純物が含有され、酸素の還元
反応により過酸化水素を生成する際には必ずアルカリが
生成するため、それらの水酸化物あるいは存在する二酸
化炭素との反応により沈澱を生じ、電極反応が阻害され
ることが知られている。本発明は、酸素を還元して過酸
化水素を高効率で得るための電極及び該電極の製造方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面に電極触
媒を被覆した導電性基体の少なくとも一部をイオウで修
飾したことを特徴とする過酸化水素製造用電極、及び導
電性基体の表面に電極触媒を被覆し、該導電性基体を、
イオウ又はイオウ化合物の溶液に浸漬し乾燥して該導電
性基体の少なくとも一部をイオウで修飾することを特徴
とする過酸化水素製造用電極の製造方法である。
【0007】以下本発明を詳細に説明する。電極表面で
酸素が還元されると、式に従って酸素1電子還元生成
物であるO 2 - (スーパーオキシドイオン)が生成す
る。 O2 +e- → O2 - 生成したスーパーオキシドイオンは一般に熱力学的に不
安定になるため、及び式に従って容易に2電子還元
生成物である過酸化水素イオンに変換される。 2O2 - + H2 O → O2 + HO2 - +OH- 2 - + H2 O + e- → HO2 - +OH-
【0008】この及びの反応のみが進行し、生成す
る過酸化水素イオンが分解しなければ高効率で過酸化水
素が得られるが、実際には副反応が進行し又生成する過
酸化水素イオンの分解も生ずる。従って電極触媒の最適
化設計を行う必要がある。本発明の電極触媒は特に限定
されないが、次に電極触媒の例として金触媒を挙げて機
能発現の原因を説明する。
【0009】一般に多結晶である金表面には(100 )、
(111 )、(110 )面等が混在する。酸素の2電子還元
反応は各面で進行するが、その触媒能力はそれぞれの面
で異なっている。又各面では過酸化水素イオンの分解反
応(例えば式)も起こり、(100 )面で最も迅速に進
行する。又過酸化水素イオンの還元反応(例えば式)
も(100 )面で進行しやすく、いずれも過酸化水素の生
成効率の低下となる。つまり金触媒の過酸化水素生成自
体の電流効率は高いものの、生成する過酸化水素の分解
を伴うため、見掛け上の電流効率は低くなってしまう。 2HO2 - → O2 + 2HO- HO2 - + 2e- + H2 O → 3OH-
【0010】一方酸素の4電子還元反応による水生成は
各面で進行するが、(100 )面では−0.35V(vs 銀/
塩化銀参照電極)より貴な電位で進行することが報告さ
れている。これはAuOHの形成に関係付けられ、酸素
の4電子還元反応や生成したHO2 - の更なる還元にお
いては、このAuOH層は電極表面触媒となっている。
図1は金電極に関する電流電位曲線のグラフである。こ
のグラフの中で破線は、直径1mm長さ1cmの金ワイヤを
0.1 モルの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し酸素を供給
しながら走査速度100 mV/秒で電位走査した場合の電
流電位曲線であり、実線は同じ金ワイヤを1ミリモルの
硫化ナトリウムの水溶液に浸漬して金ワイヤ表面にイオ
ウを吸着させた後に0.1 モルの水酸化ナトリウム水溶液
に浸漬し酸素を供給しながら走査速度100 mV/秒で電
位走査した場合の電流電位曲線である。
【0011】図1から明らかな通り、イオウを吸着させ
ると4電子還元の電流ピーク(−200 mV付近)が消失
し、これは特に(100 )面がイオウで被覆されているか
らと推察できる。つまりイオウの吸着により、生成する
過酸化水素イオンを更に還元して過酸化水素の生成効率
を低下させる反応を抑制して金触媒の過酸化水素生成の
選択率を向上させるからである。なお−0.9 Vより低い
電位では金触媒表面からのイオウの離脱が進行するた
め、これより貴な電位領域に電位を維持する必要があ
る。これまで金触媒に関して述べたが、他の電極触媒
(カーボン、ニッケル、銀等)でも同様にイオウが触媒
に吸着し、過酸化水素生成(過酸化水素の分解抑制)に
有利な触媒面の状態が得られる。又イオウが吸着するこ
とにより前記導電性基体の消耗も抑制され、又カルシウ
ムやマグネシウムの析出に対して不活性になることも期
待される。
【0012】本発明で使用する導電性基体は、カーボ
ン、チタン、ニオブ、タンタル、ニッケル、鉄あるいは
それらの酸化物等の耐食性を有する材料単独で又はそれ
らの表面に金や銀等を薄膜状に被覆して作製し、金網、
粉末焼結体、金属繊維焼結体等の形態に成型する。酸素
供給や処理能力向上のためには多孔体であることが望ま
しいが、平板状等としても生成効率上昇に寄与できる。
なおカーボンを導電性基体とする場合はカーボン自体が
電極触媒として機能するため、別個に電極触媒を被覆す
ることなく、カーボン基体にそのままイオウ修飾を行っ
ても良い。電極触媒の被覆は対応金属化合物の熱分解
法、対応金属の樹脂による固着法、蒸着法、電気めっき
法、無電解めっき法等を利用して金属濃度が10〜100 g
/m 2 程度になるように行う。
【0013】この電極触媒が被覆された導電性基体への
イオウの修飾法は特に限定されないが、最も簡単な手法
は前記基体をイオウやイオウ化合物を水や有機溶媒に溶
解した溶液に浸漬することである。これにより金属の結
晶面に選択的にイオウの層が形成される。本発明の過酸
化水素製造用電極は、ガス拡散電極の形態とすることも
好ましく、カーボン粉末を原料として導電性電極基体を
作製し、これを使用してガス拡散電極を作製しても良
い。この場合ガス供給層を電極内部に作製し、裏面から
ガスを供給するように構成することが望ましい。反応生
成ガス及び液の供給及び除去を速やかに行うために、疎
水性や親水性の材料を分散担持して使用することが好ま
しい。例として金触媒をカーボン粉末上に担持し、これ
をフッ素樹脂を用いて固定したカーボンクロス(日本カ
ーボン株式会社製)やカーボンフォーム製多孔製陰極が
ある。この他に親水性の反応層と撥水性のガス拡散層を
両面に有するいわゆる半疎水型ガス拡散電極の使用も望
ましい。このガス拡散電極の場合にも、前述と同様にイ
オウやイオウ化合物の溶液に導電性基体を浸漬するのみ
で該導電性基体表面にイオウの薄層を形成できる。
【0014】このガス拡散電極は陽イオン交換膜に密着
させて使用することもでき両者間の距離を最小に維持で
きるので、これにより電解電圧も最小にすることができ
る。但し生成した陰極液は、ガス拡散電極を通してイオ
ン交換膜とは反対側に抜くこと、又ガス供給は液抜き側
から行うため、構造としては僅かに複雑になる。前記ガ
ス拡散電極と陽イオン交換膜の密着は前もって機械的に
結合させておくか、あるいは電解時に0.1 から30kgf/cm
2 程度の圧力を与えれば良い。本発明の過酸化水素製造
用電極は過酸化水素製造用電解槽の陰極として使用でき
る。この電解槽は陽イオン交換膜で陽極室と陰極室に区
画された2室型電解槽とすることが望ましい。陽イオン
交換膜を使用するのは、陰極室で生成する過酸化水素が
陽極室へ移行して酸化され水と酸素に分解されることを
防止して高効率で過酸化水素を製造し、かつ過酸化水素
の濃度を高く維持してその生成量を減らすことにより電
解液の電気伝導度を高く保って電解電圧を低くし電力原
単位を低下させるためである。使用できる陽イオン交換
膜は特に限定されないが、過酸化水素のような酸化剤に
耐久性を有するフッ素樹脂系の膜を使用することが望ま
しく、代表的な陽イオン交換膜として、デュポン社製の
商品名ナフィオン115 、17、315 、350 等のパーフルオ
ロスルフォン酸系の膜がある。陽イオン交換膜の陽極室
側には陽極を設置する。この陽極に関しては特に限定さ
れず、電解液の液性により決定すれば良い。
【0015】なお陽イオン交換膜とガス拡散陰極の間に
酸化ジルコニウムや酸化珪素から成るシート状の親水性
液透過層を設置しても良い。この親水性液透過層は、ガ
ス拡散陰極を透過して陰極室側に取り出されるべき生成
物を含む陰極液を該親水性液透過層の周縁部に取り出し
すことにより、ガス供給を阻害することになる陰極液が
ガス拡散陰極中に滞留することを回避して、円滑なガス
供給及び取り出しを行って電解電圧の低下をも達成する
機能を有する。なお本発明に係る電極はその表面に金属
−S結合を介してイオウを修飾することを利用して、生
物が付着しやすい配管を本発明の電極で構成し、別個設
置した陽極との間に通電しかつ酸素を供給すると、配管
への生物付着を防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に添付図面に基づいて本発明の
過酸化水素製造用電極を使用する過酸化水素の製造用電
解槽を説明するが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。図2は、本発明の過酸化水素製造用電極を使用す
る過酸化水素製造用電解槽の一例を示す縦断面図であ
る。電解槽本体1は、陽イオン交換膜2により陽極室3
と陰極室4に区画され、陽極室3には前記陽イオン交換
膜2と僅かに離間して、エクスパンドメッシュ等の多孔
性の不溶性金属陽極5が設置されている。前記陽イオン
交換膜2の陰極室面にはガス拡散陰極6が密着し、該ガ
ス拡散陰極6の陽イオン交換膜の反対面には陰極集電体
7が接続されている。該ガス拡散陰極6は、カーボン粉
末をフッ素樹脂をバインダーとして成型したカーボンク
ロスの表面に金触媒を担持し、このカーボンクロスを硫
化ナトリウム等のイオウ化合物の水あるいは有機溶媒に
溶解した溶液に浸漬し取り出した後、洗浄及び乾燥して
作製する。8は陽極室3底板に形成された陽極液供給
口、9は陽極室3天板に形成された陽極液及び生成酸素
ガス取出口、10は陰極室4底板に形成された酸素含有ガ
ス供給口、11は陰極室4天板に形成された過酸化水素取
出口である。
【0017】このような構成から成る電解槽本体1の陽
極液供給口8から例えば水酸化ナトリウムの希釈水溶液
を、又酸素含有ガス供給口10から酸素含有ガスを供給し
ながら陽極5及び陰極6間に通電すると、陽極室でナト
リウムイオン及び水素イオンが生じ陽イオン交換膜2を
透過して陰極室4に達する。一方陰極室では酸素還元に
よりスーパーオキシドイオンが陰極表面で生成し、更に
過酸化水素イオンが生成する。イオウで修飾した陰極表
面では過酸化水素イオンの更なる還元及び自己分解が抑
制される。従って生成したスーパーオキシドイオンがほ
ぼ定量的に過酸化水素に変換されるため高電流効率が達
成される。
【0018】次に本発明に係る過酸化水素製造用電極を
使用する過酸化水素製造の実施例を記載するが、該実施
例は本発明を限定するものではない。実施例1 電極面積が0.2 dm2 であり、酸化イリジウム(Ir
2 )触媒を担持したチタン製の多孔性の不溶性電極を
陽極とした。熱分解法により金触媒を100 g/m2 の割
合で担持したカーボン粉末(商品名:Vulcan XC-72) を
フッ素樹脂(三井デュポン株式会社性、30J)をバイン
ダーとして、カーボンクロス(日本カーボン株式会社
製)製の多孔性電極基体に担持した。この基体を、50ミ
リモルの硫化ナトリウムの水溶液に1時間浸漬し取り出
し、更に水に浸漬して前記カーボンクロスに固着されな
かった硫化物イオンを除去し乾燥してガス拡散陰極とし
た。
【0019】このガス拡散陰極を陽イオン交換膜である
ナフィオン350 (デュポン社製)と密着するように設置
し、該陽イオン交換膜の反対側には極間距離が5mmとな
るように液流通用の空間を隔てて前記陽極を設置して図
2に示すような電解槽を構成した。陽極室側に1%の水
酸化ナトリウム水溶液を毎分6ml供給し、陰極ガス室側
の陰極の裏面には酸素を毎分10ml供給し、温度30℃で1
Aの電流を流したところ、槽電圧は3Vであり、3.2 g
/リットルの過酸化水素を含む溶液が電流効率90%で得
られた。電解を500 時間継続したが、性能は変化しなか
った。この操作の際に陰極前面に銀−塩化銀参照電極を
設置し、得られた電流と電極電位の関係を測定し、その
結果を図3に−▲−で示した。後述の比較例1のイオウ
修飾のない電極と比較して過酸化水素生成のための過電
圧が増大していることが分かる。
【0020】実施例2 金触媒を被覆しなかったこと以外は実施例1と同様にし
て電解槽を構成した。実施例1と同一条件で電解を行っ
たところ槽電圧は3Vであり、2.9 g/リットルの過酸
化水素を含む溶液が電流効率80%で得られた。電解を50
0 時間継続したが、性能は変化しなかった。
【0021】比較例1 電極基体を硫化ナトリウムの水溶液及び水に浸漬しなか
ったこと以外は実施例1と同一条件で電解槽を構成しか
つ電解を行ったところ、槽電圧は3Vであり、3.2 g/
リットルの過酸化水素を含む溶液が電流効率40%で得ら
れた。電解を500 時間継続したが、性能は低いままであ
った。この操作の際に陰極前面に銀−塩化銀参照電極を
設置し、得られた電流と電極電位の関係を測定し、その
結果を図3に−●−で示した。
【0022】比較例2 電極基体を硫化ナトリウムの水溶液及び水に浸漬しなか
ったこと以外は実施例2と同一条件で電解槽を構成しか
つ電解を行ったところ、開始直後は3.2 g/リットルの
過酸化水素を含む溶液が電流効率90%で得られたが、電
解を500 時間継続したところ電流効率が60%に低下し、
槽電圧も3.5 Vに上昇した。
【0023】
【発明の効果】本発明は、表面に電極触媒を被覆した導
電性基体の少なくとも一部をイオウで修飾したことを特
徴とする過酸化水素製造用電極である。本発明の電極を
過酸化水素製造用に使用すると長期間に渡り高い電流効
率で過酸化水素が製造できる。これは、電極触媒として
機能する金属の結晶面のうち特に過酸化水素の分解に寄
与する結晶面にイオウが吸着して酸素の還元により生成
した過酸化水素の更なる還元による生成効率の低下を抑
制しているからであると推察できる。又電極触媒が金触
媒であると、この傾向が顕著であり、金触媒自体の高い
過酸化水素製造能力がイオウ修飾により補完されて高電
流効率が達成できる。
【0024】本発明の電極はガス拡散電極の形態で過酸
化水素製造用陰極として使用することが望ましく、陰極
側に供給される酸素含有ガスがガス拡散陰極を透過して
イオン交換膜面で過酸化水素に還元され、過剰な還元を
受けることなく、陰極側のガス室に取り出される。本発
明の過酸化水素製造用電極は、電極触媒を被覆した導電
性基体を、イオウやイオウ化合物の溶液に浸漬すること
により製造でき、イオウによる修飾が容易で、使用によ
り電極が消耗した場合でも該電極を原料溶液に浸漬する
だけで簡単に再活性化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金電極に関する電流電位曲線のグラフ。
【図2】本発明による過酸化水素製造用電極を使用する
過酸化水素製造用電解槽の一例を示す縦断面図。
【図3】実施例1及び比較例1における電流と電極電位
の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 電解槽本体 2 陽イオン交換膜 3 陽極室 4 陰極室 5 不溶性金属陽極 6 ガス拡散陰極 7 陰極集電体 8 陽極液供給口 9 陽極液及び生成酸素ガス取出口 10 過酸化水素取出口 11 酸素含有ガス供給口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K011 AA04 AA23 AA68 AA69 DA01 DA11 4K021 AB15 BA01 DB05 DB16 DB18 DB31 DB53 DC15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に電極触媒を被覆した導電性基体の
    少なくとも一部をイオウで修飾したことを特徴とする過
    酸化水素製造用電極。
  2. 【請求項2】 電極触媒が金触媒である請求項1に記載
    の電極。
  3. 【請求項3】 導電性基体がカーボン製であり全体がガ
    ス拡散陰極として構成される請求項1に記載の電極。
  4. 【請求項4】 導電性基体の表面に電極触媒を被覆し、
    該導電性基体を、イオウ又はイオウ化合物の溶液に浸漬
    し乾燥して該導電性基体の少なくとも一部をイオウで修
    飾することを特徴とする過酸化水素製造用電極の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103695958A (zh) * 2013-12-13 2014-04-02 南开大学 一种高效产过氧化氢的空气扩散阴极的构型和制备方法
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