JP5469968B2 - 植毛装置 - Google Patents
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Description
このような多工程植毛には、次のような問題がある。
(1)一台の平線式の植毛装置は、単一の穴径の植毛穴にしか植毛できないため、穴径毎に植毛装置を設置する必要があり、設備投資の増大や生産性の低下を招く。
(2)複雑な植毛パターンとした場合には、毛分け作業装置による対応が困難であり、植毛パターンの設計仕様に制限が生じる。
(3)植毛装置は単位時間当たりの植毛速度(毛束数/秒)と、穴径毎に用意した各植毛装置への歯ブラシハンドルの供給能力とのバランスがとれず、生産性の低下を招く。
また、特許文献2には、植毛ヘッドに毛束を供給するピッカーに用毛ストッパーを設けた植毛装置が開示されている。特許文献2の植毛装置は、1台の植毛装置により、ヘッド部に植毛する毛束の用毛数を可変可能とすることができる。
そこで、本発明は、植毛パターンが制限されることなく、異なる穴径の植毛穴に対して1台で植毛でき、設備投資の増大を抑制しつつ高い生産性を備えた植毛装置を目的とする。
前記毛束供給機構は、外周縁部に形成された用毛かき取り溝により前記毛束を確保すると共に、前記の確保した毛束を前記毛束供給路に供給するピッカーを備え、前記植毛ヘッドには、前記ピッカーが前記の確保した毛束を前記毛束供給路に供給する時の前記用毛かき取り溝に対応する位置に、前記の確保した毛束が挿入される毛束挿入口が形成されていることが好ましい。
前記植毛針は、前記毛束供給路に沿って形成されたガイド溝に案内される長尺状の平板部と、該平板部の両面に軸線上に沿って直交して設けられたリブを有し、前記リブは、先端に向かって前記平板部に近づく方向の傾斜面が形成され、前記植毛ヘッドには、前記リブを案内するリブガイド溝が形成されていることが好ましい。
本発明の植毛装置は、植毛ヘッドに毛束を挿入する毛束供給口が形成されているため、毛束供給路の幅を変更するための駆動部を簡略化できる。
本発明の植毛装置は、植毛針に補強用のリブが設けられ、かつ該リブを案内するリブガイド溝が形成されているため、植毛穴の正確な位置に平線を安定的に打ち込むことができる。加えて、該リブが先端に向かって前記平板部に近づく方向の傾斜面が形成されているため、平線で毛束を二つ折りする際の障害となることがない。
固定具20は、植毛面103を植毛ヘッド5の先端に対向するように配置されている。また、固定具20は、移動テーブル(不図示)に取り付けられており、この移動テーブルにより毛束12の供給方向と直交する方向に移動操作される。これにより、植毛ヘッド5に対するヘッド部102の位置を変え、複数の植毛穴104の中の植毛対象となる任意の植毛穴104に毛束12を植毛可能とされている。
図1〜3に示すように、植毛ヘッド5の先端側には、天面補助器具57と底面補助器具58と間に、第一の側面補助器具51と第二の側面補助器具52とが離間して設けられ、第一の側面補助器具51と第二の側面補助器具52との間には毛束供給路50が形成されている。第一の側面補助器具51には、位置決め穴153が形成され、位置決め穴153は、底面補助器具58に設けられた位置決めピン155と係合されている。第二の側面補助器具52には、位置決め穴154が形成され、位置決め穴154は、底面補助器具58に設けられた位置決めピン156と係合されている。第一の側面補助器具51は、第一の駆動部151と接続され、第二の側面補助器具52は、第二の駆動部152と接続されている。第一の駆動部151としては、例えばエアシリンダー、サーボモーター、ステッピングモーター等が挙げられ、中でも高精度で設定柔軟性が高いサーボモーター又はステッピングモーターが好ましい。第二の駆動部152は、第一の駆動部151と同様である。
こうして、「拡縮手段」は、第一の側面補助器具51、第二の側面補助器具52、第一の駆動部151及び第二の駆動部152で構成され、植毛ヘッド5は、前記拡縮手段により毛束供給路50の幅がW1(図2(a)参照)〜W2(図2(b)参照)の間で可変とされている。「W2−W1」で表される可変幅は、植毛穴104の穴径を勘案して決定でき、例えば0.2〜2.0mm程度とされる。
図3に示すように、天面補助器具57には、毛束供給路50に沿って第一のリブガイド溝55aが形成され、底面補助器具58には、毛束供給路50に沿って第二のリブガイド溝55bが形成されている。また、天面補助器具57には、毛束12が挿入される毛束挿入口54aが形成され、底面補助器具58には、毛束12が挿入される毛束挿入口54bが形成されている。
第一のガイド溝56aの深さは、特に限定されないが、例えば0.2〜0.5mmと程度とされる。第二のガイド溝56bの深さは、第一のガイド溝56aの深さと同様である。
第一のリブガイド溝55aの深さは、例えば0.2〜0.5mm程度とされる。このような深さであれば、植毛針60を正確に案内できる。第二のリブガイド溝の深さは、第一のリブガイド溝の深さと同様である。
ピッカー30は、その外周縁部に用毛かき取り溝31が形成されており、用毛かき取り溝31は、用毛10の進入を容易とすると共に、後述の用毛ストッパー36による溝面積の調整を容易とするため、用毛10の進入方向に細長い溝形状とされている。ピッカー30は、図示されない駆動機構により、支持軸32を支点としてY方向に回動自在とされており、用毛10群から毛束12を確保した位置(毛束確保位置)と毛束挿入口54aの上方との往来が可能とされている。
用毛10としては、ナイロン製等の樹脂製の毛、獣毛又はテーパー毛等の加工毛等が挙げられる。
図4(a)に示すように、植毛装置1には、ピッカー30により毛束挿入口54aの位置に持来された毛束12を毛束挿入口54aに挿入するプッシャー130が設けられている。さらに、植毛ヘッド5の毛束挿入口54bに対応する位置には、毛束挿入口54aから挿入された毛束12を受け止め、所定の位置に保持する位置決め部材132が設けられている。
歯ブラシ100aは、第一の植毛穴104aと、第一の植毛穴104aの穴径よりも大きい穴径の第二の植毛穴104bとがヘッド部102aに形成されたブラシハンドル101aを備えるものである。この植毛パターンは、複数個の第二の植毛穴104bが植毛面の略中央部に長手方向に並んで形成された中央植毛部107と、中央植毛部107の外側の一方に複数の第一の植毛穴104aが形成された第一外側植毛部106と、他方に複数の第一の植毛穴104aが形成された第二外側植毛部108とを備えるものである。
まず、第一植毛操作として、以下の操作により、第一外側植毛部106へ毛束12を植毛する。
図2(a)及び図3(a)に示すように、第一の駆動部151を作動させて第一の側面補助器具51を内側にスライドさせると共に、第二の駆動部152を作動させて第二の側面補助器具52を内側にスライドさせる。こうして、毛束供給路50を第一の植毛穴104aに適応する幅W1に調整する。
用毛10を毛束供給機構3に供給し、用毛10を用毛かき取り溝31で毛束12として確保する。この時、第一の植毛穴104aに適応する用毛本数をかき取るために、用毛ストッパー36を回動制御し、用毛かき取り溝31の一部を用毛ストッパー36で覆い用毛かき取り溝31の溝面積を狭めて、用毛かき取り溝31で確保できる用毛10の本数を規制する。
第二植毛操作では、図2(b)及び図3(b)に示すように、第一の駆動部151を作動させて第一の側面補助器具51を外側にスライドさせると共に、第二の駆動部152を作動させて第二の側面補助器具52を外側にスライドさせる。こうして、毛束供給路50を植毛穴104bに適応する幅W2に調整する。この際、植毛針60は、平板部62が第一のガイド溝56a及び第二のガイド溝56bと離間されるものの、リブ64が第一のリブガイド溝55a及び第二のリブガイド溝55bとで支持されているため(図3(b))、正確な位置に平線45を打ち込むことができる。
用毛10を毛束供給機構3に供給し、用毛10を用毛かき取り溝31で毛束12として確保する。この時、第二の植毛穴104bに適応する用毛本数をかき取るために、用毛ストッパー36を回動制御し、用毛かき取り溝31の溝面積を広げて用毛かき取り溝31で確保できる用毛10の本数を規制する。
平線供給機構4は、リール42から平線44を毛束供給路50内に繰り出し、図示されないカッターが用毛供給路50の幅W2に合わせて移動し、平線44を切断して平線45とする。平線45の長さは、第二の植毛穴104bの穴径に合わせた長さとされ、例えば第二の植毛穴104bの穴径+0.5mm程度とされる。
こうして得られる歯ブラシ100aには、中央植毛部107に用毛数が多い毛束(毛束径が太い)群と、第一外側植毛部106及び第二外側植毛部108に、中央植毛部107の毛束よりも用毛数が少ない毛束(毛束径が細い)群とが形成される。
本発明の植毛装置は、用毛ストッパーを備える毛束供給機構を備えるため、植毛穴の穴径に応じて必要な用毛数の毛束を植毛ヘッドに供給できる。加えて、植毛ヘッドが拡縮機構を備えるため、毛束供給路の幅を植毛穴に応じて調整し、植毛穴の穴径に応じて平線の長さを調整できる。このため、ブラシハンドルを付け替えることなく、1台の植毛装置によって植毛対象となる植毛穴の穴径に応じた毛束の径を調整すると共に、適切な長さの平線を植毛穴に打ち込んで歯ブラシを製造できる。そして、1台の植毛装置で異なる穴径の植毛穴に植毛できるため、設備投資の増大を抑制できる。
例えば、本発明の植毛装置を適用する歯ブラシは、ヘッド部に中央植毛部、第一外側植毛部、第二外側植毛部の3つの植毛部が形成されたものに限られず、図6の歯ブラシ200に示すように4以上の植毛部が形成されたものでもよい。また、例えば、図7の歯ブラシ300のように、3種の穴径の異なる植毛穴が混在して形成されたものでもよい。本発明の植毛装置は、このような複雑な植毛パターンの歯ブラシの製造に適用すると、従来の植毛装置に比べて生産性の向上が顕著となる。
例えば、従来の植毛装置による歯ブラシ200の製造方法としては、第一の植毛穴204aに適応する植毛装置(第一植毛装置)と、第二の植毛穴204bに適応する植毛装置(第二植毛装置)とを交互に用い、第一外側植毛部210、第一中間植毛部212、中央植毛部214、第二中間植毛部216、第二外側植毛部218との順に植毛する方法がある(多工程植毛法)。あるいは、第二植毛装置を用い第一外側植毛部210、中央植毛部214、第二外側植毛部218に植毛した後、毛分け機を用いて矢印F2のように毛分けをしながら第一植毛装置で第一中間植毛部212、第二中間植毛部216に植毛する方法がある(毛分け植毛法)。
多工程植毛法では、第一植毛装置での植毛と、第二植毛装置での植毛との間に、ブラシハンドルを付け替える必要がある。毛分け植毛法では、ブラシハンドル201を付け替える回数は減るものの、第一植毛装置と第二植毛装置での処理能力差による低生産性を解消できない。
本発明の植毛装置であれば、歯ブラシ200や歯ブラシ300のような複雑な植毛パターンであっても、1台の植毛装置で歯ブラシを製造できる。
植毛装置500は、天面補助器具557と底面補助器具558との間に第一の側面補助器具551と第二の側面補助器具552が離間して設けられ、第一の側面補助器具551と第二の側面補助器具552との間に毛束供給路550が形成された植毛ヘッド505を有するものである。第一の側面補助器具551には、スリット554が形成されており、先端部材555と中央部材553とに分割されている。先端部材555、中央部材553、第二の側面補助器具552には、それぞれ駆動部(不図示)が接続され、植毛装置1と同様に毛束供給路550の幅が可変可能とされている。即ち「拡縮手段」は、先端部材555、中央部材553、第二の側面補助器具552及びこれらに接続された駆動部により構成されている。
毛束供給機構3から供給される毛束12は、その幅方向にスリット554へ挿入され植毛ヘッド505に供給される。即ち、植毛装置500は、毛束12が側面から供給される点で、植毛装置1と異なる。
植毛装置500は、先端部材555、中央部材553及び第二の側面補助器具552のそれぞれに駆動部を接続する必要があり、かつ駆動部の設置位置が制限される。このため、拡縮手段の簡易化の観点からは、植毛装置1のように、植毛ヘッドの上部から毛束12を供給するものが好ましい。
3 毛束供給機構
4 平線供給機構
5、505 植毛ヘッド
10 用毛
12 毛束
30 ピッカー
31 用毛かき取り溝
44、45 平線
50、550 毛束供給路
55a 第一のリブガイド溝
55b 第二のリブガイド溝
56a 第一のガイド溝
56b 第二のガイド溝
60 植毛針
62 平板部
64 リブ
104、104a、104b、204a、204b、304a、304b、304c 植毛穴
Claims (3)
- 用毛の毛束を二つ折りにし、その間に挟みこまれた平線をブラシの植毛穴に打ち込むことによって毛束を植毛する植毛装置において、
前記毛束を案内する毛束供給路が形成され、前記植毛穴に対向配置された植毛ヘッドと、前記平線を前記植毛ヘッドに供給する平線供給機構と、前記毛束を前記植毛ヘッドに供給する毛束供給機構とを備え、
前記毛束供給機構は、前記の供給する毛束の用毛数が可変可能とされ、
前記植毛ヘッドには、前記毛束供給路内に前記平線で前記毛束を二つ折りにしつつ先端へ送り出す植毛針と、前記毛束供給路の幅を拡縮する拡縮手段とが備えられていることを特徴とする植毛装置。 - 前記毛束供給機構は、外周縁部に形成された用毛かき取り溝により前記毛束を確保すると共に、前記の確保した毛束を前記毛束供給路に供給するピッカーを備え、
前記植毛ヘッドには、前記ピッカーが前記の確保した毛束を前記毛束供給路に供給する時の前記用毛かき取り溝に対応する位置に、前記の確保した毛束が挿入される毛束挿入口が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の植毛装置。 - 前記植毛針は、前記毛束供給路に沿って形成されたガイド溝に案内される長尺状の平板部と、該平板部の両面に軸線上に沿って直交して設けられたリブを有し、
前記リブは、先端に向かって前記平板部に近づく方向の傾斜面が形成され、
前記植毛ヘッドには、前記リブを案内するリブガイド溝が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の植毛装置。
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