JP5465466B2 - 鉛蓄電池用電極の作製方法 - Google Patents
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Description
また、当該極板の製造を連続鋳造で行う場合には、未化成電極を1枚毎に希硫酸で処理して、その後乾燥すると言う工程となるため、設備の設置スペースが大きくなり、更には設備のコストUPに繋がっていた。
本発明の目的とするところは、未化成電極を熟成後に希硫酸処理を行う電池用電極において、前記未化成電極表面に形成される硫酸鉛層の厚みのばらつきを抑制すると共に、電槽化成による化成処理時の電極間短絡事故を未然に防止した鉛蓄電池用電極を提供することである。
なお、希硫酸への浸漬時間が10秒未満である場合、平均硫酸鉛層の厚みが薄いため電解液注液後に直ぐに電槽化成を行わないと、化成処理時の電極間短絡事故(デンドライトショート)が発生する恐れがあり、40秒超過の場合、硫酸鉛層の厚さのばらつき(特に極板上部が薄く下部が厚い)が大きくなり、電池性能が安定しない。従って、希硫酸処理時間(浸漬)を10〜40秒とすることで、硫酸鉛層の厚みのばらつきを抑制すると共に、電槽化成による化成処理時の電極間短絡事故を未然に防止することが可能である。
また、平均硫酸鉛層の厚さが100μm未満の場合、極板間短絡事故(デンドライトショート)が発生する恐れがある。また、平均硫酸鉛層の厚さが300μm超過の場合、電池性能のばらつきと共に性能が低下する恐れがある。従って、平均硫酸鉛層の厚さを100〜300μmとすることで、硫酸鉛層の厚みのばらつきを抑制すると共に、電池性能のばらつきを抑えることが可能である。
なお、希硫酸への噴霧時間が10秒未満である場合、平均硫酸鉛層の厚みが薄いため電解液注液後に直ぐに電槽化成を行わないと、化成処理時の電極間短絡事故(デンドライトショート)が発生する恐れがあり、90秒超過の場合、硫酸鉛層の厚さのばらつき(特に極板上部が薄く下部が厚い)が大きくなり、電池性能が安定しない。従って、希硫酸処理時間(噴霧)を10〜90秒とすることで、硫酸鉛層の厚みのばらつきを抑制すると共に、電槽化成による化成処理時の電極間短絡事故を未然に防止することが可能である。
鉛蓄電池に求められる効率的な放電性能、小型化、軽量化、シール型化並びに長寿命化の要求に対処するには、電槽化成における電解液の注入時に硫酸イオンの濃度を高く維持することが最も有効で、未化成極板中の酸化鉛と電解液の反応を抑制することにより達成される。
以下に、希硫酸の比重と硫酸鉛層の厚さとの相関関係の確認を行った。
まず、Pb−Ca合金で鋳造式基板を製造した。鋳造した基板は100℃で1時間熱処理を施し時効硬化させた。そして、公知のボールミル法により酸化鉛100重量部にカーボンブラック粉末0.2重量部、硫酸バリウム粉末1.0重量部を夫々添加し、乾式混合を行った。次いで、リグニン粉末を0.3重量部加え、その後、イオン交換水を加えながら混練し、更に比重1.36の希硫酸を10重量部加えながら混練し、負極活物質ペーストを作製した。この負極活物質ペーストを前記負極基板に充填し、その後、予備乾燥を施し、雰囲気温度40℃
、湿度95%の雰囲気中で24時間熟成し、乾燥して負極未化成板を作製した。
なお、イオン交換水の添加量は、出来上がった負極活物質ペーストのカップ密度が135g/2in3となる様に調整しながら行った。
まず、Pb−Ca合金で鋳造式基板を製造した。鋳造した基板は100℃で1時間熱処理を施し時効硬化させた。そして、公知のボールミル法により酸化鉛100重量部にイオン交換水10重量部、更に比重1.27の希硫酸を10重量部加えながら混練し、正極活物質ペーストを作製した。この正極活物質ペーストを前記正極基板に充填し、その後、予備乾燥を施し、雰囲気温度40℃
、湿度95%の雰囲気中で24時間熟成し、乾燥して正極未化成板を作製した。
なお、正極活物質ペーストのカップ密度は140g/2in3であった。
1.浸漬
前記作製した負極未化成板および正極未化成板を夫々50枚ずつ密着しない程度に極板懸垂具に互いに多少の隙間を存して懸垂して1個の束とし、比重1.00〜1.45(20℃換算)(表1参照)の希硫酸槽に垂直に30秒間浸漬し、その後60℃で1時間乾燥を行った(実験1〜10)。
この際、負極未化成板および正極未化成板は別々に希硫酸槽に投入し希硫酸処理を行った。
2.噴霧
前記作製した負極未化成板および正極未化成板を夫々50枚ずつ密着しない程度に極板懸垂具に互いに多少の隙間を存して懸垂して1個の束とし、比重1.00〜1.45(20℃換算)(表2参照)の希硫酸を負・正未化成極板の表面(表裏面)に均一に30秒間噴霧し、その後60℃で1時間乾燥を行った(実験11〜20)。
ここで、前記噴霧は、負極未化成板と正極未化成板を夫々所定数束ねて極板の束とし、前記極板の束の上部から所定時間行った。
なお、希硫酸処理の時間が60秒程度であれば、夫々の極板を希硫酸槽に浸漬する場合に比べ、噴霧する方が希硫酸の使用量を削減することが可能となり、コストの面で有利である。
前記希硫酸処理を行った夫々の負極未化成板(実験1〜20)について、負極未化成板表面の硫酸鉛層の厚み測定を行った。前記硫酸鉛層の厚みの測定は、夫々の作製した負極未化成板の任意の点9点(極板の縦横を等間隔で9点)に関し、夫々の点をSEMを用いて断面測定を行い、各々の点の硫酸鉛層の厚みの平均値を求めた。
その結果を図1に示す。
以上のことにより、希硫酸比重によって平均硫酸鉛層厚みを推定することが可能であり、また、平均硫酸鉛層厚みを薄く形成したい場合には、希硫酸処理は極板を希硫酸に浸漬するより極板に希硫酸を噴霧の方が適していることが分った。
この際、負極未化成板および正極未化成板は別々の希硫酸槽にて希硫酸処理を行った。
そして、夫々作製した希硫酸処理を行った未化成正極板5枚と未化成負極板6枚とをAGMセパレータ(合計10枚)を介して交互に積層し、その後、同極板同士をCOS方式で溶接して極板群とした。次いで、前記極板群をポリプロピレン製の6セルモノブロック電槽に夫々挿入し、この電槽にヒートシールにより蓋をし、前記蓋の液口から比重1.15の希硫酸電解液を注入し、10min経過後のものと、60min経過後のものを用意し電槽化成を行い、5時間率容量が10Ahの12V密閉形鉛蓄電池を夫々50個製造した。
なお、前記電解液には硫酸アルミニウム18水塩を30g/l溶解した硫酸水溶液を用い、電解液比重は化成後の上がり比重が1.32になるように調整した。
また、極板群の圧迫度は50kPaになるように調整を行った。
また、前記電槽化成は1Aで1時間通電した後、電流を4Aに上げて正極活物質の正極理論容量に対して250%になるように行った。
浸漬時間を本発明規定外(浸漬時間:10秒未満および40秒超過)とした以外は、実施例1と同様に希硫酸処理を行い、その後60℃で1時間乾燥を行った。その後、実施例1と同様に希硫酸電解液を注入し、10min経過後のものと、60min経過後のものを用意し電槽化成を行い、5時間率容量が10Ahの12V密閉形鉛蓄電池を夫々50個製造した(比較例1〜5)。
(従来例)
希硫酸処理、および、その後の乾燥を行わなかった以外は実施例1と同様に未化成負極板および未化成正極板の作製を行った。その後、実施例1と同様に希硫酸電解液を注入し、10min経過後のものと、60min経過後のものを用意し電槽化成を行い、5時間率容量が10Ahの12V密閉形鉛蓄電池を夫々50個製造した。
この際、負極未化成板および正極未化成板は別々に希硫酸の噴霧を行った。
噴霧時間を本発明規定外(噴霧時間:10秒未満および100秒超過)とした以外は、実施例2と同様に希硫酸処理を行い、その後60℃で1時間乾燥を行った。その後、実施例1と同様に希硫酸電解液を注入し、10min経過後のものと、60min経過後のものを用意し電槽化成を行い、5時間率容量が10Ahの12V密閉形鉛蓄電池を夫々50個製造した(比較例6〜9)。
(従来例)
希硫酸処理、および、その後の乾燥を行わなかった以外は実施例1と同様に未化成負極板および未化成正極板の作製を行った。その後、実施例1と同様に希硫酸電解液を注入し、10min経過後のものと、60min経過後のものを用意し電槽化成を行い、5時間率容量が10Ahの12V密閉形鉛蓄電池を夫々50個製造した(従来例1)。
また、電解液注入後に10min経過したものと、60min経過したものと夫々25個の密閉形鉛蓄電池(本発明1〜16、比較例1〜9および従来例1)を解体して1500枚のセパレータについて短絡の有無を確認した。
更に、前記硫酸鉛層の厚みおよび短絡の有無の確認に使用した以外の夫々作製した25個(夫々合計50個)の5時間率容量が10Ahの12V密閉形鉛蓄電池の5時間率容量(本発明1〜16、比較例1〜9および従来例1)のばらつきを確認した。なお、5時間率容量試験は、放電を放電電流0.1Cで放電末期電圧を10.5Vとし、その後、充電を0.1Cで行った。
夫々の結果を、表3および4に示す。
また、電槽化成終了後の短絡の有無は、電解液注入後に10min経過したものでは本発明1〜15および比較例2〜9は共に短絡は確認されなかった。しかし、電解液注入後に60min経過したものでは、比較例1及び比較例6で短絡が確認され、これは硫酸鉛層厚みが薄いためにデンドライトが発生した際に、容易に異極性の極板にデンドライトが到達し短絡が発生したものと考えられる。
比較例2〜5及び比較例7〜9は本発明1〜15に比し、5時間率容量が低い値を示した。これは、化成効率が低下したためであると考えられる。
なお、表3及び表4に示されるように、希硫酸処理を浸漬とする場合に比し噴霧とすることで硫酸鉛層厚みのばらつきを小さくすることが可能であり、これは浸漬に比し噴霧とすることで硫酸鉛層厚みを薄く制御することが可能であるからであると考えられる。
Claims (2)
- 基板へ酸化鉛と水と希硫酸を含む活物質ペーストを充填し未化成電極を作製し、次いで熟成工程、乾燥工程を経て前記未化成電極を希硫酸処理してなる鉛蓄電池用電極の製造方法において、前記未化成電極を比重1.00〜1.30(20℃換算)の希硫酸に10〜40秒間浸漬し、前記未化成電極の表面に硫酸鉛層を平均100〜300μmの厚さに形成することを特徴とする鉛蓄電池用電極の製造方法。
- 基板へ酸化鉛と水と希硫酸を含む活物質ペーストを充填し未化成電極を作製し、次いで熟成工程、乾燥工程を経て前記未化成電極を希硫酸処理してなる鉛蓄電池用電極の製造方法において、前記未化成電極の少なくとも表面に比重1.00〜1.45(20℃換算)の希硫酸を10〜90秒間噴霧し、前記未化成電極表面に硫酸鉛層を平均100〜300μmの厚さに形成することを特徴とする鉛蓄電池用電極の製造方法。
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