JP2001307718A - 鉛蓄電池とその製造法 - Google Patents

鉛蓄電池とその製造法

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JP2001307718A
JP2001307718A JP2000290399A JP2000290399A JP2001307718A JP 2001307718 A JP2001307718 A JP 2001307718A JP 2000290399 A JP2000290399 A JP 2000290399A JP 2000290399 A JP2000290399 A JP 2000290399A JP 2001307718 A JP2001307718 A JP 2001307718A
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material slurry
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Yoshibumi Hisama
義文 久間
Kiichi Koike
喜一 小池
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力化を目的とした鉛蓄電池において、P
b−Sn合金の圧延シートからなる集電体表面上に活物
質層を薄く形成させる必要があるが、集電体表面上に金
属鉛と鉛酸化物の混合粉体を硫酸を含有する練水で混練
した場合は、粗大粒子の発生により安定した薄型塗工が
困難になる。また硫酸を含有しない練水で混練すると、
塗工が可能になるが、集電体表面は殆ど化学変化を受け
ず、中間層が殆ど生成しないため、集電体と活物質との
密着性を確保することが困難となり、薄型の集電体との
密着性が低下する。 【解決手段】 Snを0.5質量%〜2.5質量%含む
Pb−Sn合金の圧延シートからなる集電体表面上に鉛
および鉛酸化物からなる粉体を硫酸を含まないでホウ酸
塩を含有する練水で混練してなる活物質スラリーもしく
は活物質ペーストを塗着して活物質層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉛蓄電池、特に高出
力化を目的として薄型極板を採用した鉛蓄電池に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】過去より鉛蓄電池は自動車用を始めとし
て様々な分野で用いられている。
【0003】特に自動車用の鉛蓄電池はエンジンの始動
用を主目的として用いられてきた。しかしながら近年、
鉛蓄電池においても、自動車の燃費改善を目的としてエ
ンジンのアシスト用モータ電源や、車両減速時の回生エ
ネルギーの蓄電用電池として用いることが検討されてき
ている。
【0004】一般に鉛蓄電池を高出力化するためには蓄
電池を構成するセル数を増加させて出力電圧を上げると
ともに、薄型極板を用いて反応面積,集電効率を高める
手法が考えられる。
【0005】特に薄型極板を構成するためには集電体と
活物質層の厚みをそれぞれ0.5mm程度以下に薄くす
る必要がある。活物質については薄い厚みで均一に塗着
する必要があることから練液に硫酸を含有しない活物質
スラリーもしくは活物質ペーストが用いられる。練液中
に硫酸を含有させると硫酸鉛が生成して比較的粗大な径
100μm以上の粒子が発生するので粒子径未満の厚み
で活物質スラリーもしくは活物質ペースト層を形成する
ことができなくなってしまうからである。
【0006】また、従来の練液に硫酸を含む活物質ペー
ストの場合には集電体−活物質界面で集電体側に中間層
として腐食層が形成され、活物質と集電体とはこの中間
層を介して強固な結合が存在していたが、このような練
液中に硫酸を含有しない活物質スラリーもしくは活物質
ペーストを用いて活物質層を形成する場合、集電体表面
は殆ど化学変化を受けず、前記したような中間層が殆ど
生成しないため、集電体と活物質との密着性を確保する
ことが困難となる。また、特に集電体が圧延シートであ
る場合、さらにはこの圧延シートがSnを0.5質量%
〜2.5質量%程度含むものは耐食性も高く、集電体表
面に中間層を形成させにくい構成である。
【0007】鉛蓄電池を高出力化することが大前提であ
る以上、精度良く薄型極板を構成するために集電体とし
て圧延体、活物質スラリーもしくは活物質ペーストとし
て硫酸を含有しないものが必要である。特に蓄電池の高
出力化とともに、回生電力を受け入れる必要性があり、
大電流で充電されることから、少なくとも正極集電体と
しては耐食性の高いSnを含有したものを使用する必要
があった。そうすると結果として前記したような現象に
より、集電体と活物質との間の密着性を確保することが
大きな課題となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記したよう
なPb−Sn合金の圧延シートからなる集電体表面上に
金属鉛と鉛酸化物の混合粉を硫酸を含有しない練水で混
練した活物質スラリーもしくは活物質ペーストを塗着し
た場合に発生する集電体と活物質との間の密着性の低下
を抑制し、安定して高出力を発生する鉛蓄電池を得るこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記した課題を解決する
ために本発明の請求項1記載に係る発明は、Pb−Sn
合金の圧延シートからなる集電体とこの集電体表面上に
形成した活物質スラリーもしくは活物質ペーストを塗着
してなる極板を少なくとも正極に備えた鉛蓄電池におい
て、前記活物質スラリーもしくは活物質ペーストは鉛お
よび鉛酸化物からなる粉体を硫酸を含まない練水で混練
してなるとともに、ホウ酸塩を含有することを特徴とす
る鉛蓄電池を示したものである。
【0010】本発明の請求項2記載に係る発明は、請求
項1に記載の構成を有する鉛蓄電池において前記圧延シ
ートはSnを0.5質量%〜2.5質量%含有すること
を特徴とする鉛蓄電池を示したものである。
【0011】本発明の請求項3記載に係る発明は、請求
項1もしくは2に記載の構成を有する鉛蓄電池において
前記圧延シートは鋳造スラブを圧延してなり、圧延シー
ト厚に対する鋳造スラブ厚の比率を2.5以上としたこ
とを特徴とするものである。
【0012】本発明の請求項4記載に係る発明は、ホウ
酸塩を水に溶解もしくは分散させた練水を鉛酸化物を主
体とする粉体に添加して混練してなる活物質スラリーも
しくは活物質ペーストを集電体に塗着して構成した極板
を具備することを特徴とする鉛蓄電池を示したものであ
る。
【0013】本発明の請求項5記載に係る発明は、ホウ
酸塩を水に溶解もしくは分散させて練水を調整する練水
調整工程と、前記練水調整工程による練水を鉛酸化物を
主体とする粉体に添加して混練した活物質スラリーもし
くは活物質ペーストを集電体に塗着する塗着工程と、前
記塗着工程によって構成された極板を組立てる組立工程
を有することを特徴とする鉛蓄電池の製造法を示したも
のである。
【0014】
【発明の実施の形態】鉛および鉛酸化物からなる粉体に
ホウ酸塩水溶液を添加して混練することにより活物質ス
ラリーを作製する。ホウ酸塩の粉末を粉体に混合して水
を添加する方式ももちろん可能であるが、ホウ酸塩を均
一に分散させるためにはホウ酸塩をあらかじめ水に溶解
したものを練液として用いる。ホウ酸塩としては蓄電池
の自己放電特性に悪影響を与えないように、アルカリ金
属塩もしくはアルカリ土類金属塩を用いる。
【0015】ホウ酸塩の添加量はその溶解度を限度とし
て添加することが好ましい。例えば四ホウ酸ナトリウム
を用いる場合には25℃で40g/リットルとなる。粉
体とホウ酸塩水溶液との混合比率は粉体1kgに対して
ホウ酸塩水溶液240ミリリットル〜260ミリリット
ル程度が良い。この範囲よりもホウ酸塩水溶液量が少な
い場合には活物質の多孔度が低下するとともに活物質ス
ラリーの粘度が高くなり、集電体への塗着が困難にな
る。また前記した範囲の量を超えてホウ酸塩水溶液を添
加した場合には活物質スラリーの粘度は低く、集電体に
塗着するのには適さない。
【0016】集電体としてはPb−Sn合金の圧延シー
トが使用される。正極に用いた場合の耐酸化性を考慮し
てSnは0.5質量%〜2.5質量%程度添加される。
圧延シートの厚みとしては50μm〜600μmのもの
が使用される。
【0017】Pb−Sn合金の圧延シートには開口部が
形成された後に前記した活物質スラリーが塗着される。
塗着厚みは0.30mm以下が好ましい。もちろんこれ
以上の厚みで活物質スラリー層を形成することは練水量
を減らして粘度を高めることにより可能であるが、活物
質利用率が低下して蓄電池の出力特性を損なうこと、そ
してこの程度の塗着厚みであれば従来の硫酸を含む活物
質ペーストでも可能であることから、本発明の効果を得
る上で好ましい構成とは言えない。
【0018】活物質スラリーを塗着した集電体は切断加
工されて規定の寸法に成形されるとともに、活物質スラ
リーを塗着しない無地部から耳部を形成した後、乾燥工
程を経て極板となる。
【0019】前記した極板の構成は正極・負極ともに適
用可能であるが、負極に適用する場合には従来の負極と
同様、リグニン,硫酸バリウム等を添加することができ
る。
【0020】このようにして得られた正極板と負極板と
をガラスマット等のセパレータと組み合わせて極板群を
構成し、以降は常法にしたがって本発明の鉛蓄電池を得
ることができる。特に集電体として200μm未満の厚
みのものを用いれば極板は容易に巻回して円筒形の蓄電
池を得ることができる。
【0021】
【実施例】(実施例1)Pb−Sn合金の圧延シートと
連続鋳造シートとを作製し、これらのシート上に本発明
の実施の形態による活物質スラリー、従来の硫酸を含有
する活物質ペーストおよび比較例による活物質スラリー
を塗着し、塗着厚みのばらつきおよび活物質層とシート
との密着性を評価した。
【0022】シート Sn濃度を変化させたPb−Sn合金を調整し、これら
の合金を用いて圧延シートと連続鋳造法により鋳造シー
トを作製した。圧延シートについては50μm程度の非
常に薄いものでも厚み精度を±0.5%程度で精度良く
作製できる。一方、鋳造シートに関しては厚み1.0m
m以上では±1%程度の精度で作製可能であるが厚みが
500μm未満では溶湯の流れが極端に悪化し、穴明き
等が発生して鋳造シートを安定して作製することができ
なかった。
【0023】そこでシート厚みに関していずれも安定し
て作製可能な厚みが1.0mmのものを作製した。な
お、圧延シートに関しては鋳造シートを多段階で圧延し
たものを使用したが元厚に対する率、すなわち圧延率が
0.05%のものを用いた。
【0024】活物質スラリー(活物質ペーストとも云
う) i)本発明の実施例による活物質スラリーを活物質スラ
リーAと云い、比較例による活物質スラリーを活物質ス
ラリーBと云うことにし、以下にその説明をする。
【0025】ボールミル法による金属鉛25質量%,一
酸化鉛75質量%の粉体1kg当たりに40g/リット
ルの四ホウ酸ナトリウム水溶液を0.25リットル添加
して混練し、本発明例の活物質スラリーAを作製した。
他方、上記と同じ粉体1kg当たり水0.25リットル
を添加して混練し、比較例の活物質スラリーBを作製し
た。
【0026】ii)従来例の活物質ペーストを活物質ペ
ーストCと云い、以下にその説明をする。
【0027】前記と同様のボールミル法による粉体1k
g当たり0.28リットルの水を添加して混練した後、
20℃で比重1.400の希硫酸を0.10リットル添
加して混練して従来例の活物質ペーストCを作製した。
なお、希硫酸の添加量が0.1リットルを超えると、粗
大粒子の生成により粒子と水分の分離が発生し、集電体
上への塗着が極めて困難となった。
【0028】前記したシート上に本発明例の活物質スラ
リーA、比較例の活物質スラリーBおよび従来例の活物
質ペーストCを表1に示した組み合わせで300μmの
厚みになるよう塗着した。
【0029】
【表1】
【0030】塗着方法は、図1に示すように水平に配置
した鉛合金集電体となるシート1上に活物質スラリーA
またはBまたは活物質ペーストCによる活物質層2を擦
り切り板3をシート1上に300μmの定位置に設置
し、一定の速度で移動させ活物質層2を塗着するブレー
ド法にて行った。
【0031】塗着後のシートは、加湿下での40℃、1
0時間の熟成および送風下での65℃、20時間の乾燥
条件で熟成乾燥して極板片を作製し、これらの活物質層
の厚み測定と活物質層とシートとの密着性を評価した。
【0032】なお、活物質層の厚み測定と活物質層の密
着性の評価は下記の試験方法で行った。 活物質層の厚み測定方法 試験方法:マイクロメータによる測定 試験極板:No.10,11,12,(圧延シート、S
n1.6%)および19,20,21(鋳造シート、S
n1.6%) 測定方法:塗着部(100mm×200mm)を20m
m間隔で32点測定 また、測定値の平均および分布(図中のエラーバーによ
り表示)を求めた。 活物質層の密着性測定方法 試験:極板落下試験 試験極板 シート寸法:100mmの高さ×100mmの巾×1.
0mmの厚み(極板No.1〜No.21) 活物質層の厚み:0.3mm 落下条件:極板を水平方向に1m上方から木片に落下さ
せた。 脱落量の算出:落下前後の極板重量の差から活物質の脱
落量を求めた。
【0033】前記した活物質の厚み測定結果と活物質層
の脱落量からの密着性評価結果を図2および図3に示
す。
【0034】図2に示した結果から、硫酸を含まない活
物質スラリーAおよび活物質スラリーBを用いることに
より硫酸を含む従来の活物質ペーストCを用いた極板に
比較して安定して好ましい活物質層を形成できることが
わかる。
【0035】活物質ペーストCが活物質層が薄い方に分
布しているのは、粗大粒子の発生により、塗着中に粗大
粒子が、集電体表面上方300μmに設置された塗着擦
り切り板に引きずられるために塗着ムラが生じるためで
ある。また、鋳造の集電体でやや厚みにバラツキが大き
くなっているのは、鋳造表面の凹凸が上記塗着ムラをさ
らに大きくしたためである。よって、希硫酸を添加した
活物質ペーストを使用することは300μm以下の厚み
の活物質層を形成するのには適さない。
【0036】また、図3に示した結果から、集電体とし
て圧延シートを用いた場合、本発明例による活物質スラ
リーAが従来の硫酸を含む活物質ペーストCとほぼ同等
の密着性を有していることがわかる。一方、比較例の活
物質スラリーBを用いたものは密着性が他のものと比較
して著しく劣っている。特にシート中のSnが0.5質
量%を超えるものについては鉛合金の耐食性が増加する
ことから、この傾向が顕著であった。
【0037】また、鋳造シートを用いた場合には比較例
の活物質スラリーBを用いても圧延シートの場合と比較
して密着性は強かった。これは、鋳造により作製したシ
ート集電体中の鉛合金の結晶が圧延シートのものより大
きいため、結晶の粒界に隙間を生じ、この粒界への腐食
が進行し易いため生じたと考えられる。
【0038】なお、ホウ酸塩の添加による圧延シート集
電体上への活物質の密着性の向上の機構については、ホ
ウ酸塩の添加による練り液中の電子伝導性の向上による
鉛および酸化鉛の溶解度が向上したことによるものと推
測される。
【0039】(実施例2)表1に示した極板No.1,
2,(圧延、Sn0.3%),No.4,5,(圧延、
Sn0.5%),No.7,8,(圧延、Sn1.0
%),No.10,11,(圧延、Sn1.6%),N
o.13,14,(圧延、Sn2.5%),No.1
6,17,(鋳造、Sn0.3%),No.19,2
0,(鋳造、Sn1.6%)を正極板として2V2Ah
(5HR)密閉形鉛蓄電池を作製した。なお、負極板と
してはNo.1の構成に加えて実施例1で示した粉体中
にリグニンスルホン酸ナトリウムと硫酸バリウムを添加
したものを用いた。これらの蓄電池を高率放電を含む過
充電サイクル寿命試験を行った。これらの結果を表2に
表す。
【0040】
【表2】
【0041】(試験条件) ・過充電電流:0.2A(0.1CA)定電流 ・放電電流:10A(5CA) ・試験温度:25℃ ・方法:過充電期間の1週間おきに放電試験を行い放電
持続時間が3分以下になったところで試験終了とした
(判定寿命は、寿命に達した週とその前の周の放電時間
を直線で結び、放電時間3分になる期間で表示した)。
【0042】なお、図4は各種極板を用いた蓄電池の過
充電試験結果を示すものである。
【0043】表2に示した結果から、圧延シート集電体
上に活物質スラリーAを塗着した極板は、活物質スラリ
ーBを塗着した極板に比べて著しく過充電特性が向上す
ることがわかる。活物質スラリーBが過充電により容量
低下を起こしたのは、集電体と活物質の初期の密着が弱
いため、極板の充電により界面からの活物質の剥離が生
じることにより、蓄電池の内部抵抗の増加が起き、高率
放電時の活物質の利用率が減少したためである。また圧
延シート中のSn濃度は、活物質スラリーAを塗着した
ものについてはほぼ同様の結果を示したが、0.3%以
下では過充電寿命が短かった。これは、Sn濃度の低下
により、圧延シートの腐食量が増加したためである。
【0044】なお、活物質スラリーAを塗着した極板が
寿命に至った原因は、正極格子の腐食によるものではな
く、過充電による二酸化鉛活物質粒子の微細化によるも
のであった。
【0045】また、鋳造シート集電体上に活物質スラリ
ーAまたは活物質スラリーBを塗着した極板について
は、圧延シート集電体を用いた極板より過充電寿命は短
かった。これは、正極の鋳造シートの結晶粒界中への粒
界腐食が進行する集電体腐食により、極板の集電能力が
低下したためである。
【0046】なお、圧延シート中のSn濃度を2.5%
以上にした場合は、合金結晶中にSnの偏析が発生し、
過充電時のシート腐食が増加するため本発明には適さな
い。
【0047】よって、Sn0.5%〜2.5%を含有す
る圧延シート集電体上に、鉛および酸化鉛の粉体にホウ
酸塩および水を含有させた活物質スラリーを塗着するこ
とで安定した過充電特性が得られる。
【0048】(実施例3)次に圧延シートの圧延率が過
充電寿命に及ぼす影響を確認した。
【0049】Pb−1.6質量%Snの鋳造スラブを種
々の厚みで作製し、これらの鋳造スラブを圧延して圧延
シートを作製した。圧延後のシート厚みはすべて1.0
mmと一定とした。これらの圧延シートを集電体として
実施例2に示したと同じ活物質スラリーAを塗着して正
極板を作製するとともにこの正極板を用いて実施例2と
同様の鉛蓄電池を作製し、同じく実施例2と同様な過充
電試験を行った。
【0050】その結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3に示した結果から比率(t2/t1)が
2.5以上で安定して高い過充電寿命を得ることがで
き、本発明の効果をより顕著に得ることができることが
わかる。この比率が2.0未満でも圧延なしのもの(t
2/t1=1)に比較して過充電特性を改善することがで
きる。過充電試験を終了した蓄電池について分解調査を
行ったところ、鋳造スラブ厚の圧延シートに対する比率
(t2/t1)が2.0以下になると正極における集電体
の腐食は激しく、殆ど原形をとどめていなかった。この
比率が2.5以上のものについても集電体の腐食は進行
しているものの、腐食は厚み方向に均一に進行してお
り、集電体の原型は保たれていた。
【0053】以上の結果から本発明に用いる圧延体とし
ては鋳造スラブの元厚に対して2.5分の1以下の厚み
までに圧延したものを用いることがより好ましい。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように本発明によればPb
−Sn合金の圧延シートからなる集電体表面上に金属鉛
と鉛酸化物の混合物の粉体を硫酸を含有しない練水で混
練した活物質スラリーもしくは活物質ペーストを塗着し
た場合に発生する集電体と活物質との間の密着性の低下
を抑制し、過充電を受けても安定して高出力を発生する
鉛蓄電池を得ることができることから工業上、極めて有
用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブレード法による集電体上への活物質スラリー
または活物質ペーストの塗着工程を示す説明図
【図2】各種極板の活物質層の厚みの分布を示す図
【図3】各種極板の活物質脱落率(%)を示す図
【図4】各種極板を用いた蓄電池の過充電試験結果を示
す図
【符号の説明】
1 シート 2 活物質層 3 擦り切り板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H017 AA01 AS02 BB06 CC03 EE02 HH01 HH03 5H050 AA02 AA14 BA09 CA06 CA17 CB02 CB15 DA05 DA09 EA11 FA17 GA03 GA10 GA22 HA01 HA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pb−Sn合金の圧延シートからなる集
    電体の表面に活物質スラリーもしくは活物質ペーストを
    塗着してなる極板を少なくとも正極に備えた鉛蓄電池に
    おいて、前記活物質スラリーもしくは活物質ペーストは
    鉛および鉛酸化物からなる粉体を硫酸を含まない練水で
    混練してなるとともに、ホウ酸塩を含有することを特徴
    とする鉛蓄電池。
  2. 【請求項2】 前記圧延シートはSnを0.5質量%〜
    2.5質量%含有することを特徴とする請求項1に記載
    の鉛蓄電池。
  3. 【請求項3】 前記圧延シートは鋳造スラブを圧延して
    なり、圧延シート厚に対する鋳造スラブ厚の比率を2.
    5以上としたことを特徴とする請求項1もしくは2に記
    載の鉛蓄電池。
  4. 【請求項4】 ホウ酸塩を水に溶解もしくは分散させた
    練水を鉛酸化物を主体とする粉体に添加して混練してな
    る活物質スラリーもしくは活物質ペーストを集電体に塗
    着して構成した極板を具備することを特徴とする鉛蓄電
    池。
  5. 【請求項5】 ホウ酸塩を水に溶解もしくは分散させて
    練水を調整する練水調整工程と、前記練水調整工程によ
    る練水を鉛酸化物を主体とする粉体に添加して混練した
    活物質スラリーもしくは活物質ペーストを集電体に塗着
    する塗着工程と、前記塗着工程によって構成された極板
    を組立てる組立工程を有することを特徴とする鉛蓄電池
    の製造法。
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