JP5462919B2 - 基材の修飾方法 - Google Patents

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Description

本開示は、基材の修飾方法、デバイスの製造方法、及びデバイスに関する。
基材表面への官能基の導入は、例えば、基材同士の接合や、基材表面に生体分子等の固定化のために様々な分野で用いられている。例えば、特許文献1には、高温加熱を必要とする樹脂を無機系の基材に良好に密着させるために、アミノ基を有するシランカップリング剤にテトラカルボン酸無水物を反応させることによって得られるシランカップリング剤が記載されている。特許文献2には、基材表面に導入した無水官能基を加水分解してカルボキシル基とし、ついでカルボジイミド及びコハク酸イミドと反応させてカルボキシル基を活性化させた後、生体分子を接触させて生体分子を固定化する方法が記載されている。
マイクロチップデバイスは、従来の分析に比べて、必要な試薬や試料の量を低減できたり、分析時間を短縮できたりする等の利点がある。このため、キャピラリー電気泳動法を用いた血液中のヘモグロビンA1c(HbA1c)や、血清中のタンパク質であるAFP及びプロトロンビン等の様々な分析対象物の分析に使用されている。一方で、マイクロチップデバイスを用いてキャピラリー電気泳動法による分離分析を行った場合、マイクロチップデバイスの基材の材質や分析対象物の種類によっては、十分な分離能が得られないという問題がある。この問題を解決するために、例えば、マイクロチップデバイスの流路の内壁表面に官能基を導入することが提案されている。流路内壁への官能基の導入は、流路内における電気浸透流(EOF)の発生を制御するために有用な場合がある。特許文献3には、溶融石英ガラス製キャピラリーチューブの内壁表面のシラノール基に極性基を有した化合物を化学結合させて、キャピラリーチューブの内壁表面に安定な解離性を付与することが記載されている。
特開2003−165867号公報 特開2005−201901号公報 特開2005−291926号公報
しかしながら、従来の方法では、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性が十分ではないという問題がある。その他には、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における分離精度が十分ではないとの問題がある。
本開示は、一態様として、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性が向上可能な基材の修飾方法、デバイスの製造方法、及びデバイスを提供する。また、本開示は、一態様として、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性及び分離精度が向上可能な基材の修飾方法、デバイスの製造方法、及びデバイスを提供する。
本開示は、一態様として、基材表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種を固定化することを含む、基材の修飾方法に関する。
本開示は、その他の態様として、流路を備える分離分析用デバイスの製造方法であって、前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種基を固定化することを含む、分離分析用デバイスの製造方法に関する。
本開示は、さらにその他の態様として、流路を備える分離分析用デバイスであって、前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種が固定化している、デバイスに関する。
本開示によれば、一態様として、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性が向上可能な基材の修飾方法、デバイスの製造方法、及びデバイスを提供できる。本開示によれば、一態様として、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性及び分離精度が向上可能な基材の修飾方法、デバイスの製造方法、及びデバイスを提供できる。
図1は、実施例1の結果の一例を示すグラフである。 図2は、比較例1の結果の一例を示すグラフである。 図3は、比較例2の結果の一例を示すグラフである。 図4は、実施例2のデバイスに用いた樹脂プレートの上面図ある。 図5は、実施例2の結果の一例を示すグラフである。 図6は、比較例4の結果の一例を示すグラフである。
本明細書において「キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性が十分ではない」とは、測定間差及び/又はキャピラリー間差における測定結果のばらつきのことをいい、一又は複数の実施形態において、以下の1)及び/又は2)のことをいう。
1)同一のキャピラリー流路を用いてキャピラリー電気泳動法を用いた測定を少なくとも2回以上行った場合、測定毎における各成分及び/又はEOFのピーク検出時間が、一又は複数の実施形態において、1秒を超える差が生じること、又は検出時間に対して1%超えて差が生じること。
2)キャピラリー流路を複数作製し、それぞれのキャピラリー流路を用いてキャピラリー電気泳動法を用いた測定を行った場合、それらの各成分及び/又はEOFのピーク検出時間の平均値が、一又は複数の実施形態において、1秒を超える差が生じること、又は、検出時間に対して1%超えて差が生じること。
本明細書において「キャピラリー電気泳動法を用いた測定における分離精度が十分ではない」とは、一又は複数の実施形態において、ピークの分離度及び/又はピークの検出感度が低いことをいい、一又は複数の実施形態において、以下の1)及び/又は2)のことをいう。
1)ピーク幅が広い(緩やかである)こと。
2)測定対象となる物質のピークと、その前及び/又は後に存在する物質のピークとが一体となって一つのピークとして検出されること。
本明細書において、「キャピラリー電気泳動法を用いた測定における分離精度が向上する」とは、ピークの分離度及び/又はピークの検出感度が高いことをいい、一又は複数の実施形態において、以下の1)及び/又は2)のことをいう。
1)ピーク幅が狭い(鋭い)こと。一又は複数の実施形態において、ピーク幅が、2mm以下、好ましくは1.8mm以下であること。又は、ピークの高さ値の半分となる点の幅を示す半値幅が、0.9mm以下、好ましくは0.85mm以下であること。なお、ピーク幅の算出は、以下のようにして行うことができる。まず、キャピラリー電気泳動では物質の移動速度は、検出される時間により異なる。このため、「ピークの移動速度」を分離長÷ピークトップ検出時間とし、「ピークの始まりの時間」及び「ピークの終わりの時間」は、それぞれフェログラムの傾きを元に算出したピークの立ち上がりと立ち下がりとする。得られた移動速度と、ピークの終わりの時間からピークの始まりの時間を引いた値とを掛け合わせることによって、ピーク幅が得られる。一方、半値幅は、前記移動速度に、ピークトップの前後に生じるピークトップの高さの1/2の値を持つ2点間の時間差を掛けることにより得られる。
2)測定対象となる物質のピークと、その前及び/又は後に存在する物質のピークが分離して検出されること。一又は複数の実施形態において、ヘモグロビンA1cのピークとヘモグロビンA1cの前及び/又は後ピークとをそれぞれ1つのピークとして分離検出できること、及び/又は、ヘモグロビンA0のピークとヘモグロビンA0の前及び/又は後ピークとをそれぞれ1つのピークとして分離検出できること、及び/又は、ヘモグロビンA1a及び/又はヘモグロビンA1bをそれぞれ1つのピークとして検出できること。
本発明者は、十分な再現性が得られない原因が、流路内壁の修飾の状態にあること、より具体的には流路内壁(基材表面)を修飾する官能基の数、及び/又は官能基間に生じる間隙にあることを見出した。具体的には以下の通りである。表面に固定化される官能基の数は、通常、基材表面に存在する該官能基を固定化するための結合基の数に応じて決定される。特許文献1及び2の方法では、基材と反応させる反応物質が基材表面を修飾する官能基を2基以上有することから、基材表面に存在する結合基1つに対して2基以上の官能基を固定化することができる。このため、基材表面に存在する結合基の数よりも多くの官能基を導入することができる。一方で、反応物質の大きさが結合基の大きさと比較して大きくなることから、反応物質が固定化された結合基と隣接する結合基に反応物質が固定化されず、反応物質間に間隙が生じうる。また、特許文献3の方法では、基材表面を修飾するための官能基を一基する反応物質が例示されているが、このような場合、基材表面に存在する結合基に対して導入できる官能基が一基のみになることから、十分な官能基を導入できない場合や、また、基材表面に存在する結合基の間隔によっては、反応物質間に間隙が生じる場合がある。このようにして生じた反応物質間の間隙は、基材表面を露出させることになる。基材表面は、一又は複数の実施形態において、基材自身が有する炭化水素、官能基及び/又はシラノール、並びにシランカップリング剤のシラノール及び/又は炭化水素等が存在することから、反応物質とは異なる性状を示す基が露出されることになる。そして、この反応物質間の間隙及び/又は基材表面に導入される官能基の数が、測定時の再現性に影響を及ぼしうることを見出した。
すなわち、本開示は、基材表面に官能基を一基有する修飾基(以下、「修飾基A」ともいう)、官能基を二基〜九基有する修飾基(以下、「修飾基B」ともいう)、及び官能基を十基以上有する修飾基(以下、「修飾基C」ともいう)の3種類の修飾基のうちの2種類又は3種類の修飾基を導入することによって基材表面を修飾すれば、上記再現性を向上できるという知見に基づく。
基材表面に上記修飾基を導入することにより、再現性を向上できるメカニズムの詳細は不明であるが、以下のように推定される。基材表面に修飾基A及び修飾基Bを導入すると、修飾基Bは官能基を二基以上有することから、隣接する修飾基Bと修飾基Bとの間には間隙が生じうる。一方で、修飾基Aが有する官能基の数は一基であるため、修飾基Bと比較してその大きさは小さい。このため、隣接する修飾基Bと修飾基Bとの間に生じた間隙に修飾基Aが固定化される。その結果、十分な数の官能基を基材表面に導入することができる。また、官能基と官能基との間に生じる間隙の発生を抑制できることから、基材表面を均一に修飾することができる。これらにより、基材表面に試料中の成分の吸着を防止することができ、その結果再現性が向上されると考えられる。また、修飾基Aと修飾基Cとの組み合わせ、修飾基Bと修飾基Cとの組み合わせ、及び修飾基Aと修飾基Bと修飾基Cとの組み合わせの場合においても同様であると考えられる。但し、本開示はこれらのメカニズムに限定されなくてもよい。
本明細書において「修飾基を固定化する」とは、修飾基の官能基の1つ又は2つ以上が、その他の分子と、好ましくは基材表面の分子と共有結合を形成している状態で、修飾基が基材表面に固定化されていることをいう。共有結合としては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、アミノ基とアルデヒド基とのシッフ塩基形成、アミノ基とカルボキシル基とのアミド結合、二重結合間の共重合、及び水酸基とエポキシ基とのエーテル結合等が挙げられる。
[官能基]
官能基は、一又は複数の実施形態において、分析対象との相互作用及びEOF速度の制御の点から、極性基であることが好ましい。極性基としては、一又は複数の実施形態において、負電荷を有する陰極性基、及び正電荷を有する陽極性基がある。陰極性基としては、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、及びシラノール基等が挙げられる。陽極性基としては、一又は複数の実施形態において、アミノ基、及び4級アンモニウム基等が挙げられる。アミノ基は第1級アミノ基、第2級アミノ基又は第3級アミノ基のいずれであってもよい。これらの中でも、極性基としては、分析対象との相互作用及びEOF速度の制御の点から、カルボキシル基、スルホン酸基、及びアミノ基等が好ましい。本開示における一又は複数の実施形態において、EOF速度を制御することで、例えば、EOF速度を一様に速くすることで、短時間に試料を電気泳動することが可能となり、測定時間の短縮ができることとなる。特に、擬似固定相が試料と逆方向に移動するような動電クロマトグラフィーでは、同じ精度を保ったまま時間の短縮の効果が期待できる。
本開示において、基材表面に固定化される修飾基の組み合わせとしては、官能基を一基有する修飾基Aと官能基を二基〜九基有する修飾基Bとの組み合わせ、官能基を一基有する修飾基Aと官能基を十基以上有する修飾基Cとの組み合わせ、官能基を二基〜九基有する修飾基Bと官能基を十基以上有する修飾基Cとの組み合わせ、及び官能基を一基有する修飾基Aと官能基を二基〜九基有する修飾基Bと官能基を十基以上有する修飾基Cとの組み合わせが挙げられる。本開示の一又は複数の実施形態において、修飾基A、修飾基B及び修飾基Cは、それぞれ、1種類であってもよいし、異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
[官能基を一基有する修飾基(修飾基A)]
本明細書において「官能基を一基有する修飾基」とは、基材表面に露出する一基の官能基と、その他の分子(好ましくは基材表面の分子)との共有結合部分(以下、「結合部分」ともいう)とを有する基をいう。修飾基Aにおいて基材表面に露出する官能基は一基のみである。修飾基Aとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、シラノール基、リン酸基、又は水酸基を一基有する基が挙げられ、具体的には下記式(I)又は(II)で表される基が挙げられる。
Figure 0005462919
式(I)において、R1は、結合手、水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜5のアルケニレン基、又はフェニレン基を示す。式(II)において、R2は、結合手、水酸基で置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜5のアルケニレン基、又はフェニレン基を示す。炭素数1〜5のアルキレン基としては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、及びテトラメチレン基等が挙げられる。炭素数2〜5のアルケニレン基としては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、ビニレン、プロピレン、ブテニレン、及びペンテニレン等が挙げられる。R1及びR2としては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、−CH=CH−、−CH2−CH2−、−CH(OH)−CH(OH)−、及び−CH2−等が挙げられる。式(I)及び(II)において、Y1及びY2は官能基を示し、好ましくはカルボキシル基、アミノ基、シラノール基、水酸基、リン酸基、又はスルホン酸基を示す。
修飾基Aは、一又は複数の実施形態において、1種類であってもよいし、異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。修飾基Aとしては、下記式で表される基(マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、エチレンジアミン)等が好ましい。
Figure 0005462919
修飾基Aの分子量は、一又は複数の実施形態において、45以上、74以上、又は87以上であり、また324以下、253以下、又は173以下である。また、修飾基Aの分子量は、一又は複数の実施形態において、45〜324、74〜253、又は87〜173である。
[官能基を二基〜九基有する修飾基(修飾基B)]
本明細書において「官能基を二基〜九基有する修飾基」とは、基材表面に露出する二基以上の官能基と、その他の分子(好ましくは基材表面の分子)との共有結合部分(以下、「結合部分」ともいう)とを有する基をいう。本開示における一又は複数の実施形態において、修飾基Bにおいて基材表面に露出する官能基は二基〜九基あればよく、三基、四基、五基、六基、七基、又は八基であってもよい。修飾基Bにおける官能基は、中でも基材表面における官能基の平面的な集積密度の点から、二〜五基が好ましく、より好ましくは三〜五基である。修飾基Bとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、シラノール基、リン酸基、及び水酸基からなる群から選択される二以上の官能基を有する基が挙げられる。修飾基Bの官能基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。修飾基Bにおける異なる官能基の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基とアミノ基、カルボキシル基とスルホン酸基、カルボキシル基と水酸基、及びアミノ基とスルホン酸基等が挙げられる。修飾基Bの具体例としては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、下記式(III)〜(V)で表される基が挙げられる。
Figure 0005462919
式(III)において、R3は、芳香族化合物の四価基を示し、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、下記式で表される基が挙げられる。式(III)において、Y4、Y5、及びY6は、それぞれ独立して官能基を示し、好ましくはカルボキシル基、アミノ基、又はスルホン酸基を示す。Y4、Y5、及びY6は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Figure 0005462919
式(IV)及び(V)において、R4及びR5は、炭素数2〜6の分枝鎖のアルキレン基、又は芳香族化合物の三価基を示す。芳香族化合物の三価基としては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、下記式で表される基等が挙げられる。式(IV)において、Y7及びY8は、それぞれ独立して官能基を示し、好ましくはカルボキシル基、アミノ基、又はスルホン酸基を示す。Y7及びY8は同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(V)において、Y9及びY10は、それぞれ独立して官能基を示し、好ましくはカルボキシル基、アミノ基、又はスルホン酸基を示す。Y9及びY10は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Figure 0005462919
修飾基Bは、一又は複数の実施形態において、1種類であってもよいし、異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。修飾基Bとしては、一又は複数の実施形態において、下記式で表される基(ピロメリット酸、オキシジフタル酸、メリト酸、ナフタレンテトラカルボン酸)等が好ましい。
Figure 0005462919
修飾基Bの分子量は、一又は複数の実施形態において、89以上、131以上、又は173以上であり、また934以下、534以下、又は325以下である。また、修飾基Bの分子量は、一又は複数の実施形態において、89〜934、131〜534、又は173〜325である。
[官能基を十基以上有する修飾基(修飾基C)]
本明細書において「官能基を十基以上有する修飾基」とは、基材表面に露出する十基以上の官能基と、その他の分子(好ましくは基材表面の分子)との共有結合部分(以下、「結合部分」ともいう)とを有する基をいう。修飾基Cにおける官能基は、中でも基材表面における官能基を立体的に配置することで全体における官能基の総数を増やす点から、数多くの官能基を有する高分子物質を用いることができる。修飾基Cにおいて基材表面に露出する官能基は少なくとも十基あればよく、二十基以上、四十基以上、又は五十基以上であってもよく、また、一万基以下、二千基以下、又は四百基以下であってもよい。また、修飾基Cにおいて基材表面に露出する官能基は、一又は複数の実施形態において、十基〜一万基、二十基〜二千基、四十基〜四百基、又は五十基〜四百基である。修飾基Cとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、シラノール基、リン酸基、及び水酸基からなる群から選択される二以上の官能基を有する基が挙げられる。修飾基Cの官能基は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。修飾基Cにおける異なる官能基の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基とアミノ基、カルボキシル基とスルホン酸基、カルボキシル基と水酸基、及びアミノ基とスルホン酸基等が挙げられる。修飾基Cの分子量は、一又は複数の実施形態において、千以上あればよく、好ましくは三千以上、五千以上、又は一万以上あればよく、また、二百五十万以下、五十万以下、又は十万以下であればよい。また、修飾基Cの分子量は、一又は複数の実施形態において、千〜二百五十万、三千〜五十万、五千〜十万、又は一万〜十万である。
修飾基Cとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、環状の糖が重合した構造に官能基が結合している基、及びメタクリル酸メチルなどが重合した構造に官能基が結合している基等が挙げられる。環状の糖が重合した構造に官能基が結合している基としては、一又は複数の実施形態において、下記式で表される基(アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、コンドロイチン硫酸C)、及びヘパリン等が挙げられる。エチレンやメタクリル酸メチル等が重合した構造に官能基が結合している基としては、一又は複数の実施形態において、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸・ポリメタクリル酸共重合体等が挙げられる。
Figure 0005462919
修飾基Aと修飾基Bとの組み合わせは、修飾後の基材の用途、基材の種類等に応じて適宜決定することができる。また、修飾基Bの官能基の数及び/又は分子量の大きさ等に応じて組み合わせる修飾基Aを決定してもよい。修飾基Aと修飾基Bとの組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、式(I)で表される基と式(III)で表される基との組み合わせが挙げられる。式(I)で表される基と式(III)で表される基との組み合わせとしては、一又は複数の実施形態において、以下の組み合わせ(1)〜(3)((1)コハク酸とピロメリット酸、(2)マレイン酸とピロメリット酸、(3)コハク酸とナフタレンテトラカルボン酸)等が挙げられ、反応物質の分子の大きさと官能基の数の点から、好ましくは組み合わせ(1)(コハク酸とピロメリット酸)である。なお、本開示において修飾基Aと修飾基Bとの組み合わせはこれらに限定されるものではない。
Figure 0005462919
修飾基Cと修飾基Aとの組み合わせ、又は、修飾基Cと修飾基Bとの組み合わせは、修飾後の基材の用途、基材の種類等に応じて適宜決定することができる。また、修飾基Cの官能基の数及び/又は分子量の大きさ等に応じて組み合わせる修飾基A又は修飾基Bを決定してもよい。修飾基Cと修飾基Aとの組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、コンドロイチン硫酸とコハク酸(下記(4)の組み合わせ)、コンドロイチン硫酸とマレイン酸(下記(5)の組み合わせ)、ポリマレイン酸とコハク酸、ヘパリンとコハク酸、及びヘパリンとマロン酸等が挙げられる。なお、本開示において、修飾基Cと修飾基Aとの組み合わせはこれらに限定されるものではない。
Figure 0005462919
修飾基Cと修飾基Bとの組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、コンドロイチン硫酸とピロメリット酸(下記(6)の組み合わせ)、ヘパリンとメリト酸、及びコンドロイチン硫酸とナフタレンテトラカルボン酸(下記(7)の組み合わせ)等が挙げられる。特に、修飾基Cと修飾基Bとの組み合わせは、修飾基Cが環状の糖が重合した構造に官能基が結合している場合には、修飾基Cの立体構造が大きいことから、特に有効である。なお、本開示において、修飾基Cと修飾基Bとの組み合わせはこれらに限定されるものではない。
Figure 0005462919
[基材]
基材の材質としては、無機材料及び有機材料が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂、石英、及びガラス等が挙げられる。これら中でも、取り扱い性及び安価である点からは、樹脂が好ましい。樹脂としては、流路の成型が容易で変形しにくいものが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、流路の成型が容易で変形しにくいという観点から、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニリデン、環状ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が好ましく、ポリメタクリル酸メチルがより好ましい。基材の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、プレート状であってもよいし、管状であってもよい。
[基材の修飾方法]
本発明は、一態様として、基材表面に、官能基を一基有する修飾基(修飾基A)、官能基を二基〜九基有する修飾基(修飾基B)、及び官能基を十基以上有する修飾基(修飾基C)の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種を固定化することを含む基材の修飾方法(以下、「本発明の修飾方法」ともいう)に関する。本発明の修飾方法によれば、一又は複数の実施形態において、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性が向上可能な基材を提供できる。また、本発明の修飾方法によれば、一又は複数の実施形態において、キャピラリー電気泳動法を用いた測定において分離精度を向上できるという効果を奏しうる。
基材表面への修飾基の固定化は、一又は複数の実施形態において、官能基を二基有する化合物A、官能基を三基〜十基有する化合物B、及び官能基を十一基以上有する化合物Cの3種類の化合物から選択される少なくとも2種の化合物を基材表面に接触させることにより行うことができる。化合物の接触は、一又は複数の実施形態において、塗布、浸漬、滴下、及び噴霧等により行うことができる。
修飾基A及び修飾基Bの固定化を基材表面に固定化する場合、基材表面への修飾基A及び修飾基Bの固定化は、一又は複数の実施形態において、官能基を二基有する化合物Aと、官能基を三基以上有する化合物Bとを基材表面に接触させることにより行うことができる。化合物A及びBの接触は、例えば、塗布、浸漬、滴下、及び噴霧等により行うことができる。化合物A及び化合物Bを基材表面に接触させる順序は特に制限されず、一又は複数の実施形態において、化合物A及び化合物Bを混合したものを基材表面に接触させて化合物Aと化合物Bとを同時に接触させてもよいし、化合物Aと化合物Bとをそれぞれ基材表面に接触させてもよい。中でも、官能基間の間隙の発生を抑制し、効率よく官能基を固定化させる点からは、化合物Bを基材表面に接触させた後、化合物Aを基材表面に接触させることが好ましい。
修飾基A、修飾基B及び修飾基Cを基材表面に固定化する場合、基材表面への修飾基A、修飾基B、及び修飾基Cの固定化は、一又は複数の実施形態において、官能基を二基有する化合物Aと、官能基を三基〜十基有する化合物Bと、官能基を十一基以上有する化合物Cとを基材表面に接触させることにより行うことができる。化合物A、B及びCの接触は、例えば、塗布、浸漬、滴下、及び噴霧等により行うことができる。化合物A、化合物B及び化合物Cを基材表面に接触させる順序は特に制限されず、化合物A及び化合物Cを混合したもの、化合物B及び化合物Cを混合したもの、及び化合物A、化合物B及び化合物Cを混合したものを基材表面に接触させて、化合物Aと化合物C、化合物Bと化合物C、化合物Aと化合物Bと化合物Cとを同時に接触させてもよいし、化合物Aと化合物Bと化合物Cをそれぞれ基材表面に接触させてもよい。中でも、官能基間の間隙の発生を抑制し、効率よく官能基を固定化させる点からは、化合物Cを基材表面に接触させた後、化合物A及び化合物Bを基材表面に接触させることが好ましい。
化合物Aは、官能基を二基有する化合物であって、修飾基Aを基材表面に導入するための化合物であり、好ましくは修飾基の一部として機能する一基の官能基と、基材表面と結合する官能基とを有する化合物である。修飾基の一部として機能する官能基としては、上記の官能基が使用でき、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、水酸基、及びシラノール基等が挙げられる。基材表面と結合する官能基としては、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等が挙げられる。基材表面と結合する官能基の数は特に限定されるものではなく、一又は複数の実施形態において、一基、又は二基以上であり、好ましくは一基である。化合物Aとしては、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基を2基有する化合物、カルボキシル基とアミノ基とをそれぞれ1基有する化合物、カルボキシル基とスルホン酸基とをそれぞれ1基有する化合物、カルボキシル基と水酸基とをそれぞれ1基有する化合物、アミノ基を2基有する化合物、及びアミノ基とスルホン酸基とをそれぞれ1基有する化合物等が挙げられる。化合物Aの具体例としては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、ジカルボン酸、モノアミノカルボン酸、ジアミン、及びモノアミノスルホン酸等が挙げられる。ジカルボン酸としては、一又は複数の実施形態において、コハク酸、グルタル酸、及びマレイン酸等が挙げられる。ジカルボン酸は無水物であってもよい。ジカルボン酸の無水物としては、一又は複数の実施形態において、無水コハク酸、無水グルタル酸、及び無水マレイン酸等が挙げられる。モノアミノカルボン酸としては、一又は複数の実施形態において、4−アミノ安息香酸、及びグリシン等が挙げられる。ジアミンとしては、一又は複数の実施形態において、エチレンジアミン等が挙げられる。モノアミノスルホン酸としては、一又は複数の実施形態において、アミド硫酸、及びタウリン等が挙げられる。化合物Aとしては、基材表面に導入される修飾基Aの分子の大きさ、再現性向上の点から、マレイン酸、コハク酸、エチレンジアミン等が好ましい。化合物Aは、1種類であってもよいし、異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物Aの分子量は、一又は複数の実施形態において、46以上、75以上、95以上、又は104以上であり、また340以下、270以下、又は190以下である。また、化合物Aの分子量は、一又は複数の実施形態において、46〜340、75〜270、95〜190、又は104〜190である。
化合物Bは、官能基を少なくとも三基〜十基有する化合物であって、修飾基Bを基材表面に導入するための化合物であり、好ましくは修飾基の一部として機能する二基〜九基の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有する化合物である。修飾基の一部として機能する官能基、及び基材表面と結合する官能基としては、一又は複数の実施形態において、化合物Aと同様のものが挙げられる。基材表面と結合する官能基の数は、一又は複数の実施形態において、化合物Aと同様である。化合物Bとしては、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基を三基又は四基〜九基有する化合物、二基以上のカルボキシル基と一基以上のアミノ基とを有する化合物、一基以上のカルボキシル基と二基以上のスルホン酸基とを有する化合物、一基以上のカルボキシル基と二基以上の水酸基とを基有する化合物、及び一基以上のアミノ基と二基以上のスルホン酸基とをそれぞれ一基有する化合物等が挙げられる。化合物Bの具体例としては、特に限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、テトラカルボン酸、ヘキサカルボン酸、及びジスルホ安息香酸等が挙げられる。テトラカルボン酸としては、一又は複数の実施形態において、ピロメリット酸、オキシジフタル酸、メリト酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、スルホニルジフタル酸、m−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸、p−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4'−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4'−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。テトラカルボン酸は無水物であってもよく、テトラカルボン酸の無水物としては、一又は複数の実施形態において、ピロメリット酸二無水物、及びオキシジフタル酸等が挙げられる。ヘキサカルボン酸としては、一又は複数の実施形態において、メリト酸、1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサカルボン酸等が挙げられる。ヘキサカルボン酸は無水物であってもよく、ヘキサカルボン酸の無水物としては、一又は複数の実施形態において、メリト酸無水物等が挙げられる。モノアミノジカルボン酸としては、一又は複数の実施形態において、5−アミノイソフタル酸、グルタミン酸、及びアスパラギン酸等が挙げられる。ジスルホ安息香酸としては、一又は複数の実施形態において、3,5−ジスルホ安息香酸等が挙げられる。化合物Bとしては、基材表面に導入される修飾基Bの分子の大きさ、再現性向上の点から、テトラカルボン酸が好ましく、これらに限定されないが、一又は複数の実施形態において、ピロメリット酸、オキシジフタル酸、及びナフタレンテトラカルボン酸等がより好ましい。化合物Bは、一又は複数の実施形態において、1種類であってもよいし、異なる2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物Bの分子量は、一又は複数の実施形態において、90以上、150以上、又は190以上であり、また950以下、550以下、又は342以下である。また、化合物Bの分子量は、一又は複数の実施形態において、90〜950、150〜550、又は190〜342である。
化合物Cは、官能基を少なくとも十基以上有する化合物であって、修飾基Cを基材表面に導入するための化合物であり、好ましくは修飾基の一部として機能する九基以上の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有する化合物である。修飾基の一部として機能する官能基、及び基材表面と結合する官能基としては、化合物Aと同様のものが挙げられる。化合物Cとしては、一又は複数の実施形態において、カルボキシル基を十基以上有する化合物、十基以上のスルホン酸基とを有する化合物、五基以上のカルボキシル基と五基以上のスルホン酸基とを基有する化合物等が挙げられる。化合物Cの具体例としては、特に限定されるものではないが、アルギン酸、ポリアクリル酸、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、コンドロイチン硫酸C、コンドロイチン硫酸D、コンドロイチン硫酸E、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。
化合物Cの分子量は、一又は複数の実施形態において、三千以上、五千以上、又は一万以上であり、また、二百五十万以下、五十万以下、又は十万以下である。また、化合物Cの分子量は、一又は複数の実施形態において、三千〜二百五十万、五千〜五十万、又は一万〜十万である。
化合物Aと化合物Bとの組み合わせは、一又は複数の実施形態において、修飾後の基材の用途、基材の種類等に応じて適宜決定することができる。化合物Aと化合物Bとの組み合わせとしては、これらに限定されるものではないが、一又は複数の実施形態において、マレイン酸とピロメリット酸、コハク酸とナフタレンテトラカルボン酸等が挙げられ、反応物質の分子の大きさと官能基の数の点から、コハク酸とピロメリット酸が好ましい。化合物Aは、例えば、化合物Bの官能基の数及び/又は化合物Bの分子量等に応じて適宜決定することができる。化合物Aの分子量は、基材表面に発生しうる官能基の間隙をより低減する点からは、化合物Bの分子量の1/2以下であることが好ましく、より好ましくは1/4以下である。同様の点から、化合物Bは、その分子占有面積が、例えば、基材表面に存在するアンカー化合物のそれよりも大きいことが好ましく、より好ましくはアンカー化合物の2倍以上である。化合物B及びアンカー化合物の分子占有面積は、表面元素分析、接触角によって測定することができる。
得られる基材における官能基の集積密度の点からは、一又は複数の実施形態において、化合物Bとしてピロメリット酸を使用し、化合物Aとしてコハク酸を使用することが好ましい。
化合物Aと化合物Bとを同時に基材に接触させる場合、化合物Aと化合物Bとの割合は、例えば、化合物A及びBの分子量、化合物Bの官能基の数等に応じて適宜決定することができる。特に制限されるものではないが、化合物Aと化合物Bとの割合(化合物A/化合物B、モル比)は、一又は複数の実施形態において、1/10以上、1/5以上、又は1/3以上、また10/1以下、4/1以下、又は1/1以下である。化合物Aと化合物Bとの割合(化合物A:化合物B、モル比)は、一又は複数の実施形態において、1:10〜10:1であり、好ましくは1:5〜4:1であり、より好ましくは1:3〜1:1である。
化合物Aと化合物Cとの組み合わせ、又は、化合物Bと化合物Cとの組み合わせは、例えば、修飾後の基材の用途、基材の種類等に応じて適宜決定することができる。化合物Aは、例えば、化合物Cの官能基の数及び/又は化合物Cの分子量等に応じて適宜決定することができる。化合物Aの分子量は、基材表面に発生しうる官能基の間隙をより低減する点からは、化合物Cのモノマー<糖の重合体ならば官能基を含む糖のことを示し、ポリマレイン酸ならマレイン酸を示す>の分子量の1倍以下であることが好ましく、より好ましくは0.6倍以下である。化合物Bの分子量は、基材表面に発生しうる官能基の間隙をより低減する点からは、化合物Cのモノマー<糖の重合体ならば官能基を含む糖のことを示し、ポリマレイン酸ならマレイン酸を示す>の分子量の1.5倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.0倍以下である。
本開示の修飾方法において、一又は複数の実施形態において修飾基を固定化する基材表面は、基材表面に修飾基を固定化するための官能基(以下、「固定化用官能基」ともいう)を導入されていることが好ましく、アンカー化合物で処理されていることがより好ましい。固定化用官能基としては、一又は複数の実施形態において、アミノ基、ビニル基、カルボキシル基、メトキシ基、アルデヒド基、エポキシ基及び水酸基等が挙げられる。
アンカー化合物としては、一又は複数の実施形態において、シランカップリング剤、ポリシラザン等が挙げられ、汎用性の点から、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、一又は複数の実施形態において、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、ビニルシラン化合物、及びカルボキシシラン化合物等が挙げられ、中でも、操作の容易性からアミノシラン化合物が好ましい。
アミノシラン化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、及びトリス(ジメチルアミノ)シラン等が挙げられる。ビニルシラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、及びビニル(トリフルオロメチル)ジメチルシラン等が挙げられる。カルボキシシラン化合物としては、例えば、特許4336970に記載されているような、p−メチルジエトキシシリルエチル安息香酸トリメチルシリル、及びp−ジメチルエトキシシリルエチル安息香酸トリメチルシリル等が挙げられる。
その他には、基材がポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂の場合、例えば、下記の方法により、基材表面に固定化用官能基を導入することができる。一又は複数の実施形態において、メタクリル酸のアシル基に対する1級又は2級アミン化合物の求核付加脱離反応、基材表面を強アルカリ処理等することによるポリメタクリル酸メチル等が有するメタクリル酸基のカルボキシル基への変換、基材表面をVUV(真空紫外線)又はプラズマ等で処理することによるアクリル樹脂が有するメチル基等のカルボキシル基への変換等が挙げられる。1級又は2級アミン化合物の求核付加脱離反応において、アミノ基の導入に好適な1級又は2級アミン化合物としては、一又は複数の実施形態において、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、及びジアミノピリジン等が挙げられる。ビニル基の導入に好適な1、2級アミン化合物としては、アクリルアミド等が挙げられる。カルボキシル基の導入に好適な1、2級アミン化合物としては、例えば、4−アミノ−安息香酸、3−アミノ−安息香酸、及び3−アミノ−イソブチリックアシッド等が挙げられる。
本開示の修飾方法は、一又は複数の実施形態において、修飾基の固定化に先立ち、上述の基材表面に固定化用官能基を導入するための処理を行ってもよい。固定化用官能基の導入は、基材の材質に応じて適宜決定することができる。
本開示の修飾方法によれば、一又は複数の実施形態において、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性が向上可能な基材を提供できる。本開示によれば、一又は複数の実施形態において、分析用具、又は分析チップ等の分離分析用デバイスを提供することができる。
[デバイスの製造方法]
本開示は、その他の態様として、流路を備える分離分析用デバイスの製造方法であって、前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基(修飾基A)、官能基を二基〜九基有する修飾基(修飾基B)、及び官能基を十基以上有する修飾基(修飾基C)の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種を固定化することを含む、分離分析用デバイスの製造方法(以下、「本開示の製造方法」ともいう)に関する。本開示の製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、キャピラリー電気泳動法を用いた測定における再現性が向上可能なデバイスを提供できる。また、本開示の製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、キャピラリー電気泳動法を用いた測定において分離精度を向上できるデバイスを提供できるという効果を奏しうる。
本明細書において「デバイス」とは、流路を備える分離分析用デバイスのことをいい、好ましくはキャピラリー電気泳動法及び/又はキャピラリー電気クロマトグラフィー等の分離分析法に用いるキャピラリー管、又は電気泳動チップ等が挙げられる。
本開示のデバイスの製造方法において、修飾基の固定化は、本開示の修飾方法及び公知の流路の修飾方法に基づき行うことができる。
[デバイス]
本開示は、さらにその他の態様として、流路を備える分離分析用デバイスであって、前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基(修飾基A)、官能基を二基〜九基有する修飾基(修飾基B)、及び官能基を十基以上有する修飾基(修飾基C)の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種が固定化している、デバイス(以下、「本開示のデバイス」ともいう)に関する。また、本開示のデバイスは、本開示のデバイスの製造方法により得られたデバイスであってもよい。流路の内壁面に固定化された修飾基における官能基(流路内壁表面に露出する官能基)の数は、例えば、表面元素分析や、官能基に特異的結合する蛍光物質や酵素標識物質等の標識物質を結合させる方法、修飾基を含む化合物をアルカリ又は酸等で分解抽出し定量することにより測定することができる。
本開示のデバイスにおいて、官能基を一基有する修飾基(修飾基A)、官能基を二基〜九基有する修飾基(修飾基B)、及び官能基を十基以上有する修飾基(修飾基C)は、アンカー化合物を介して流路内壁に固定化されていることが好ましい。アンカー化合物としては、上記の通りであり、中でも、シランカップリング剤が好ましい。
本開示のデバイスは、流路を備えるから、一又は複数の実施形態において、試料の分析装置、分析用具、又は分析チップとして利用できる。本開示のデバイスは、一又は複数の実施形態において、混合、抽出、相分離の操作や化学反応を行わせ、必要に応じで物質を生成させる装置、用具、又はチップとして利用できる。本開示のデバイスは、一実施形態において、試料の分離分析法に使用することができ、より具体的には、キャピラリー電気泳動法のマイクロチップ、又はキャピラリー電気泳動法又は電気クロマトグラフィー用キャピラリー管とすることができる。
デバイスがキャピラリー管である場合、その内径は特に制限されるものではないが、一又は複数の実施形態において、10〜200μm、又は25〜100μmである。キャピラリー管の長さは、一又は複数の実施形態において、10〜1000mmである。
デバイスがマイクロチップである場合、その形態は特に制限されるものではないが、一又は複数の実施形態において、2つの接合された基材を含み、該2枚の基板の対応する側の表面の少なくとも一方に凹部が形成されていることにより上記流路が形成される形態が挙げられる。この形態において、使用する2枚の基材の材質は異なってもよい。例えば、無機材料と有機材料の組み合わせや、異なる有機材料の組み合わせ等が挙げられる。無機材料と有機材料の組み合わせとしては特に制限されるものではないが、石英基材と熱可塑性樹脂の組み合わせ等が挙げられる。異なる有機材料の組み合わせとしては特に制限されるものではないが、一又は複数の実施形態において、アクリル樹脂と環状ポリオレフィンの組み合わせ等が挙げられる。デバイスの大きさは特に制限されるものではないが、一又は複数の実施形態において、その一辺の長さが、例えば、10〜200mmであり、厚みは、例えば、0.3〜5mmである。また、流路の寸法、長さ及び形状は特に制限されない。一又は複数の実施形態において、流路断面の外接円の直径は、例えば、28〜280μmであり、一般的に35〜140μmである。流路の断面の形状は、矩形、半円形、台形、円形、楕円形であってもよい。流路の形状は、直線に限らず、端部に分岐路を有する等任意に設定することができる。例えば、十文字形状、T字形状、Y字形状、X字形状等があり、また、それらを組み合わせた形状でもよい。
[基材修飾用キット]
本開示は、さらにその他の態様として、官能基を一基有する修飾基と基材結合基とを有する化合物A、官能基を二基〜九基有する修飾基と基材結合基とを有する化合物B、及び官能基を十基以上有する修飾基と基材結合基とを有する化合物Cの3種類の化合物から選択される少なくとも2種と、本開示の修飾方法により基材表面を修飾する方法が記載された取り扱い説明書とを含む、基材修飾用キット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。なお、本開示のキットは、説明書が本開示の分析用キットの同梱されることなくウェブ上で提供される場合も含みうる。
[電気泳動方法]
本開示は、さらにその他の態様として、本開示のデバイスを用いてキャピラリー電気泳動法をする方法(以下、「本開示の電気泳動方法」ともいう)に関する。本明細書において「キャピラリー電気泳動をする」とは、キャピラリー電気泳動法又はキャピラリー電気クロマトグラフィーを用いて試料を分離することを含む。本開示の電気泳動方法によれば、本開示のデバイスを用いることから、優れた分離精度で試料を分離することができる。
本開示の電気泳動方法は、試料を分離し、分析することを含んでいてもよい。試料としては、特に制限されるものではなく、試料原料から調製したものあるいは該原料そのものがあげられる。前記試料原料としては、特に制限されるものではなく、一又は複数の実施形態において、水溶液の試料、生体試料、及び食品等が挙げられる。生体試料としては、特に制限されるものではなく、一又は複数の実施形態において、血液、血液中の成分を含む血液由来物等、菌等の培養液、植物等の抽出液等が挙げられる。血液中の成分としては、一又は複数の実施形態において、血清、血漿、赤血球、白血球、及び血小板等が挙げられる。血液としては、生体から採取された血液が挙げられる。赤血球成分を含む血液由来物としては、一又は複数の実施形態において血液から分離又は調製されたものであって赤血球成分を含むものが挙げられ、例えば、血漿が除かれた血球画分や、血球濃縮物、血液又は血球の凍結乾燥物、全血を溶血処理した溶血試料、遠心分離血液、自然沈降血液、洗浄血球等を含む。分析対象としては、特に制限されるものではないが、一又は複数の実施形態において、ヌクレオチド鎖(例えば、オリゴヌクレオチド鎖、ポリヌクレオチド鎖)、染色体、ペプチド鎖(例えば、C−ペプチド、アンジオテンシンI等)、蛋白質(例えば、ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、免疫グロブリンA、免疫グロブリンE、免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、アルブミン、これらの分解産物等)、酵素(例えば、アミラーゼ、アルカリホスファターゼ、γ−グルタミルトランスファラーゼ、リパーゼ、クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)、細菌(例えば、結核菌、肺炎球菌、ブドウ球菌、大腸菌、ヘリコバクター・ピロリ等)、ウイルス(例えばヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、HBV、HCV、HIV等)、真菌(例えば、カンジダ、クリプトコッカス等)、微生物に由来するタンパク質又はペプチド或いは糖鎖抗原、アレルギーの原因となる各種アレルゲン(例えば、ハウスダスト、ダニ、スギ・ヒノキ・ブタクサ等の花粉、エビ・カニ等の動物、卵白等の食物、真菌、昆虫、薬剤、化学物質等に由来するアレルゲン等)、脂質(例えば、リポタンパク質等)、腫瘍マーカータンパク抗原(例えば、PSA、PGI等)、糖鎖抗原(例えば、AFP、hCG、トランスフェリン、IgG、サイログロブリン、CA19−9、前立腺特異抗原、癌細胞が産生する特殊な糖鎖を有する腫瘍マーカー糖鎖抗原等)、糖鎖(例えば、ヒアルロン酸、β−グルカン、上記糖鎖抗原等が有する糖鎖等)、ホルモン(例えば、T3、T4、TSH、インシュリン、LH等)、化学物質(例えば、ノニルフェノール、4−オクチルフェノール、ベンゾフェノン等の環境ホルモン)等が挙げられる。
以下に、本開示を好適な実施の形態を示しながら詳細に説明する。但し、本開示は以下に示す実施の形態に限定されない。
(実施形態1)
実施形態1は、本開示の基材の修飾方法の一実施形態について、基材が流路を備えるデバイスの流路の内壁であり、流路の内壁表面にまず修飾基Bを導入した後、修飾基Aを導入する形態を例にとり説明する。
まず、流路を備えるデバイスを準備する。デバイスは、市販品を使用してもよいが、中でもデバイスの流路がシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
つぎに、化合物Bを含む溶液をデバイスの流路に所定の時間通液する。化合物Bを含む溶液は、化合物Bを溶媒に溶解することによって調製できる。溶媒としては、例えば、水、ジクロロメタン、メタノール、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロパノール、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。通液条件は特に制限されるものではないが、圧力が、例えば、0.001〜1MPa、好ましくは0.005〜0.1MPa、通液時間が、例えば、0.5〜24時間、好ましくは1〜6時間である。ついで、乾燥処理を行い、溶媒を蒸発除去させることによって、流路の内壁表面に修飾基Bが固定化される。乾燥処理は、例えば、N2ガス、Arガス等を導入することによって行うことができる。乾燥条件は、化合物Bが内壁表面に固定化されかつ溶媒が除去される条件であれば特に制限されるものではないが、圧力は、例えば、0.001〜1MPa、好ましくは0.005〜0.1MPa、温度は、例えば、15〜150℃、好ましくは25〜110℃、時間は、例えば、0.5〜24時間、好ましくは1〜6時間である。
そして、修飾基Bを固定化した流路に、化合物Aを含む溶液を所定の時間通液し、ついで乾燥処理を行い、溶媒を蒸発除去させる。これにより、修飾基Bが固定化された流路の内壁表面に修飾基Aが固定化される。化合物Aを溶解する溶媒、通液条件及び乾燥条件は、化合物Bと同様である。
修飾基Bの固定化と修飾基Aの固定化との間、及び/又は修飾基Aの固定化の後に、洗浄処理及び乾燥処理を行うことが好ましい。洗浄処理は、例えば、有機溶媒を流路内に通液することにより行うことができる。その条件は特に制限されるものではない。
実施形態1では、流路の内壁表面に修飾基A及びBを導入する形態を例にとり説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。修飾基Cと修飾基Aとを用いた場合、修飾基Cと修飾基Bとを用いた場合、修飾基Cと修飾基Aと修飾基Bとを用いた場合のいずれにおいても、前記の修飾基Bと修飾基Aとを用いた場合と同様な操作によって実現できる。
(実施形態2)
実施形態2は、本開示の基材の修飾方法の一実施形態について、基材に樹脂を用いた場合を例にとり説明する。
まず、流路を備えるデバイスを準備する。
デバイスに樹脂を用いた場合には、溶媒としてジクロロメタン、メタノール、アセトンなどの有機溶媒を用いることが難しい場合がある。このような場合に、シランカップリング剤を結合する場合には、単純にシランカップリング剤と接触させる以外に、真空紫外線VUVやプラズマなどの表面処理により、カルボキシル基や水酸基やアルデヒド基などを生成することで、容易にシランカップリング剤を結合できるようになる。
さらに、修飾基を導入する場合にも、有機溶媒を用い難いことがある。この場合には、水溶性の触媒試薬を用いることによって、樹脂表面に直接又は樹脂表面のシランカップリング剤などの上に修飾基を導入することができる。樹脂にアミノシランが結合されている場合には、修飾基にカルボキシル基があるならば、DMT−MM(4-(4,6-Dimethoxy-1,3,5-triazin-2-yl)-4-methylmorpholinium Chloride n-Hydrate)やWSC(Water Soluble Carbodiimide, 1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide, hydrochloride)といった水溶性の触媒によりアミド結合を形成させることで修飾基を導入することができる。処理は室温から60℃程度の条件で10分から数時間で終了できる。このような触媒を用いた場合には、修飾基を導入後に触媒を完全に除くため、精製水などでよく洗浄することが望ましい。
(実施形態3)
実施形態3は、本開示の電気泳動方法の一実施形態について、キャピラリー電気泳動法を用いた場合を例にとり説明する。
まず、デバイスの流路に泳動液を充填する。泳動液の充填は、例えば、圧力又は毛細管現象等を利用することにより行うことができる。また、あらかじめ流路に泳動液が充填されたデバイスを使用してもよい。泳動液としては、例えば、試料及び分析対象の種類に応じて適宜決定することができる。
つぎに、流路に形成された一方の孔に試料を導入し、流路の両端に位置する孔にそれぞれ配置された電極間に電圧を印加する。これにより、試料が導入された孔から他方の孔に向かって試料が移動する。流路の両端に印加する電圧は、特に限定されるものではなく、試料、分析対象及び泳動液等に応じて適宜決定でき、例えば、0.5〜10kVであり、好ましくは0.5〜5kVである。
泳動液として、陰極性の高分子を含む泳動液を使用してもよい。これにより、泳動液中の陰極性の高分子が、試料中の正電荷を有する物質と電気的に結合するため、例えば、試料に含まれる物質間の+電荷の差が僅かであっても、これらを分離分析することができる。この場合、正電荷を有する物質と陰極性の高分子とが結合した物質の電荷は負電荷となるため、流路内に上記の+極から−極に向かう方向の電気浸透流を発生させることが好ましい。この態様は、例えば、分析対象がHbA1cである場合の測定に好ましく適用することができる。分析対象物がHbA1cである場合、陰極性の高分子としては、特に制限されるものではないが、例えば、陰イオン性基含有多糖類、又は陰イオン性基含有アクリルポリマー等が好ましく、より好ましくはカルボキシル基含有多糖類、スルホン酸基含有多糖類、カルボキシル基含有アクリルポリマー、又はスルホン酸基含有アクリルポリマーである。
そして、所定の位置において測定を行う。測定は、例えば、光学的手法により行うことができる。光学的手法としては、例えば、吸光度測定、透過度測定、反射率測定、及び蛍光測定等が挙げられる。測定波長は、例えば、試料及び分析対象等に応じて適宜決定できる。
本開示は、以下の一又は複数の実施形態に関しうる;
〔1〕 基材表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種を固定化することを含む、基材の修飾方法。
〔2〕 基材表面に、官能基を一基有する修飾基と官能基を二基〜九基有する修飾基、官能基を一基有する修飾基と官能基を十基以上有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基と官能基を十基以上有する修飾基、又は官能基を一基有する修飾基と官能基を二基〜九基有する修飾基と官能基を十基以上有する修飾基を固定化することを含む、基材の修飾方法。
〔3〕 前記修飾基の固定化は、官能基を二基有する化合物A、官能基を三基〜十基有する化合物B、及び官能基を十一基以上有する化合物Cの3種類の化合物から選択される少なくとも2種を基材表面に接触させることを含む、〔1〕又は〔2〕記載の修飾方法。
〔4〕 前記化合物Aは、前記修飾基の一部として機能する一基の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有し、及び/又は
前記化合物Bは、前記修飾基の一部として機能する二基〜九基の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有し、及び/又は
前記化合物Cは、前記修飾基の一部として機能する十基以上の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有する、〔3〕記載の修飾方法。
〔5〕 前記修飾基の固定化は、
(1)前記化合物Bを前記基材表面に接触させること、及び前記化合物Bを接触させた基材表面に、前記化合物Aを接触させること、又は
(2)前記化合物Cを前記基材表面に接触させること、及び前記化合物Cを接触させた基材表面に、前記化合物B及び/又は前記化合物Aを接触させること、
を含む、〔3〕又は〔4〕に記載の修飾方法。
〔6〕 基材表面に、官能基を一基有する修飾基、及び官能基を二基以上有する修飾基を固定化することを含む、基材の修飾方法。
〔7〕 前記修飾基の固定化は、官能基を二基有する化合物Aと、官能基を三基以上有する化合物B’とを基材表面に接触させることを含む、〔6〕記載の修飾方法。
〔8〕 前記化合物Aは、前記修飾基の一部として機能する一基の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有し、及び/又は前記化合物B’は、前記修飾基の一部として機能する二基以上の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有する、〔7〕記載の修飾方法。
〔9〕 前記修飾基の固定化は、前記化合物B’を前記基材表面に接触させること、及び前記化合物B’を接触させた基材表面に、前記化合物Aを接触させることを含む、〔7〕又は〔8〕に記載の修飾方法。
〔10〕 前記修飾基を固定化する基材表面は、シランカップリング剤により処理されている、〔1〕から〔9〕のいずれかに記載の修飾方法。
〔11〕 前記官能基は、極性基である、〔1〕から〔10〕のいずれかに記載の修飾方法。
〔12〕 前記極性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される、〔11〕記載の修飾方法。
〔13〕 前記化合物Aは、ジカルボン酸、モノアミノカルボン酸、ジアミン、及びモノアミノスルホン酸からなる群から選択され、前記化合物B又はB’は、テトラカルボン酸、ヘキサカルボン酸、モノアミノジカルボン酸、及びジスルホ安息香酸からなる群から選択される、〔2〕から〔5〕及び〔7〕から〔12〕のいずれかに記載の修飾方法。
〔14〕 前記基材の材質は、樹脂、石英、又はガラスである、〔1〕から〔13〕のいずれかに記載の修飾方法。
〔15〕 流路を備える分離分析用デバイスの製造方法であって、
前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種を固定化することを含む、分離分析用デバイスの製造方法。
〔16〕 流路を備える分離分析用デバイスの製造方法であって、
前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基と官能基を二基〜九基有する修飾基、官能基を一基有する修飾基と官能基を十基以上有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基と官能基を十基以上有する修飾基、又は官能基を一基有する修飾基と官能基を二基〜九基有する修飾基と官能基を十基以上有する修飾基を固定化することを含む、分離分析用の製造方法。
〔17〕 前記修飾基の固定化は、官能基を二基有する化合物A、官能基を三基〜十基有する化合物B、及び官能基を十一基以上有する化合物Cの3種類の化合物から選択される少なくとも2種を基材表面に接触させることを含む、〔15〕又は〔16〕記載の製造方法。
〔18〕 前記化合物Aは、前記修飾基の一部として機能する一基の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有し、及び/又は
前記化合物Bは、前記修飾基の一部として機能する二基〜九基の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有し、及び/又は
前記化合物Cは、前記修飾基の一部として機能する十基以上の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有する、〔17〕記載の製造方法。
〔19〕 前記修飾基の固定化は、
(1)前記化合物Bを前記基材表面に接触させること、及び前記化合物Bを接触させた基材表面に、前記化合物Aを接触させること、又は
(2)前記化合物Cを前記基材表面に接触させること、及び前記化合物Cを接触させた基材表面に、前記化合物B及び/又は前記化合物Aを接触させること、
を含む、〔17〕又は〔18〕に記載の製造方法。
〔20〕 流路を備える分離分析用デバイスの製造方法であって、
前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基、及び官能基を二基以上有する修飾基を固定化することを含む、分離分析用デバイスの製造方法。
〔21〕 前記修飾基の固定化は、官能基を二基有する化合物Aと、官能基を三基以上有する化合物B’とを前記流路の内壁表面に接触させることを含む、〔20〕記載の製造方法。
〔22〕 前記化合物Aは、前記修飾基の一部として機能する一基の官能基と、前記流路の内壁表面と結合する官能基とを有し、及び/又は前記化合物B’は、前記修飾基の一部として機能する二基以上の官能基と、前記流路の内壁表面と結合する官能基とを有する、〔21〕記載の製造方法。
〔23〕 前記修飾基の固定化は、前記化合物B’を前記流路の内壁表面に接触させること、及び前記化合物B’を接触させた前記流路の内壁表面に、前記化合物Aを接触させることを含む、〔21〕又は〔22〕に記載の製造方法。
〔24〕 前記修飾基を固定化する基材表面又は前記流路の内壁表面は、シランカップリング剤により処理されている、〔15〕から〔23〕のいずれかに記載の製造方法。
〔25〕 前記官能基は、極性基である、〔15〕から〔24〕のいずれかに記載の修飾方法。
〔26〕 前記極性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される、〔25〕記載の製造方法。
〔27〕 前記化合物Aは、ジカルボン酸、モノアミノカルボン酸、ジアミン、及びモノアミノスルホン酸からなる群から選択され、前記化合物B又はB’は、テトラカルボン酸、ヘキサカルボン酸、モノアミノジカルボン酸、及びジスルホ安息香酸からなる群から選択される、〔17〕から〔19〕及び〔21〕から〔26〕のいずれかに記載の製造方法。
〔28〕 前記基材又は前記流路の内壁の材質は、樹脂、石英、又はガラスである、〔15〕から〔27〕のいずれかに記載の修飾方法。
〔29〕 流路を備える分離分析用デバイスであって、
前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種が固定化している、デバイス。
〔30〕 前記官能基を一基有する修飾基、前記官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基は、シランカップリング剤を介して前記流路の内壁表面に固定化している、〔29〕記載のデバイス。
〔31〕 流路を備える分離分析用デバイスであって、
前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基、及び官能基を二基以上有する修飾基が固定化している、デバイス。
〔32〕 前記官能基を一基有する修飾基及び前記官能基を二基以上有する修飾基は、シランカップリング剤を介して前記流路の内壁表面に固定化している、〔31〕記載のデバイス。
〔33〕 前記デバイスが、キャピラリー管、又は電気泳動チップである、〔29〕から〔32〕のいずれかに記載のデバイス。
〔34〕 〔29〕から〔33〕のいずれかに記載のデバイスを用いて、キャピラリー電気泳動をする方法。
以下に、実施例及び比較例を用いて本開示をさらに説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定して解釈されない。
[実施例1]
キャピラリー管の内壁が官能基を二基有する化合物と官能基を四基有する化合物とで修飾されたキャピラリー管(キャピラリー管の内壁表面に官能基を一基有する修飾基と官能基を三基有する修飾基とが固定化されたキャピラリー管)を製造した。
〔アンカー化合物による処理〕
キャピラリー管(溶融石英ガラス製、全長:320mm、有効長:85mm、内径:50μm)を準備し、以下の手順で、キャピラリー管の内壁をアンカー化合物(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)で処理して、キャピラリー管の内壁をアミノシランで修飾した。まず、キャピラリー管に1N NaOHを0.1MPaで1時間通液し、ついでイオン交換水を0.1MPaで15分間通液した後、N2ガスを0.1MPa、110℃で1時間導入した。ついで、5% 3−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液を0.1MPaで1時間通液し、N2ガスを0.1MPaで3分間導入した後、酸素混合バーナーを用いてキャピラリー管の両端を熔封し、110℃で6時間加熱した。その後、熔封したキャピラリー管の両端を開封し、N2ガスを0.1MPaで20分間導入した後、ジクロロメタン、メタノール及びイオン交換水をこの順でそれぞれ0.1MPaで20分間通液し、そしてN2ガスを0.1MPa、50℃で1時間導入した。
〔官能基を二基有する化合物と官能基を四基有する化合物とによる処理〕
まず、内壁がアミノシランで修飾されたキャピラリー管に、0.1mol/L ピロメリット酸二無水物溶液(分子量:218.12、溶媒:N−メチルピロリドン)を0.1MPaで1時間通液し、1時間保持した後、さらに0.005MPaで1時間通液した。ついで、N2ガスを0.1MPa、50℃で1時間導入した後、N−メチルピロリドンを0.1MPaで30分間、メタノールを0.1MPaで30分間通液し、ついでN2ガスを0.1MPa、50℃で30分間導入することによって洗浄及び乾燥を行った。つぎに、0.1mol/L コハク酸無水物溶液(分子量:100.07、溶媒:N−メチルピロリドン)を0.1MPaで通液し、1時間保持した後、さらに0.005MPaで1時間通液した。ついで、N2ガスを0.1MPa、50℃で1時間導入した後、N−メチルピロリドンを0.1MPaで30分間、メタノールを0.1MPaで30分間通液し、ついでN2ガスを0.1MPa、50℃で30分導入することによって洗浄及び乾燥を行った。そして、泳動液を0.1MPaで10分間、イオン交換水を0.1MPaで10分間通液した後、N2ガスを0.1MPa、50℃で1時間導入した。
[比較例1]
ピロメリット酸二無水物溶液による処理並びにそれに続く洗浄及び乾燥を行わない以外は、実施例1と同様にしてキャピラリー管を製造した。すなわち、比較例1では、アミノシランで修飾されたキャピラリー管の内壁に、コハク酸無水物溶液(官能基を二基有する化合物)による処理のみを行った。
[比較例2]
コハク酸無水物溶液による処理並びにそれに続く洗浄及び乾燥を行わない以外は、実施例1と同様にしてキャピラリー管を製造した。比較例2では、アミノシランで修飾されたキャピラリー管の内壁に、ピロメリット酸二無水物溶液(官能基を三基有する化合物)による処理のみを行った。
[キャピラリー管の評価]
実施例1、比較例1及び2にて作製したキャピラリー管を用いて以下の条件で測定を行い、各キャピラリー管のEOF速度及びヘモグロビンの成分の分離状態(ピーク幅、ピーク検出時間))を評価した。
[測定条件]
装置:アジレント製CE装置
分離長:8.5cm(全長32cm)
電圧:12.8kV(400V/cm)
泳動液:100mM L−酒石酸−アルギニン(pH4.9)(0.8%コンドロイチン硫酸Cナトリウム及び2mM CyDTAを含む)
試料:凍結乾燥ヘモグロビンを蒸留水で溶解したもの(ヘモグロビン濃度:約5g/L)
試料導入方法:圧力法による部分導入(50mbar、5sec)
測定方法:泳動液通液(2分間)→プレ通電(1分間)→試料導入→測定
上記測定により得られた結果を下記表1及び図1〜3に示す。図1〜3は得られたエレクトロフェログラムを処理して得た吸光度の変化を示すグラフであって、図1が実施例1、図2が比較例1、図3が比較例2の結果をそれぞれ示す。図1〜3において、上部に丸を付したピークがEOFのピーク、三角を付したピークがHbA1cのピーク、四角を付したピークがHbA0のピークを示し、B図は、A図の部分拡大図である。
Figure 0005462919
実施例1のキャピラリー管は、表1及び図1に示すように、EOFが平均79.3秒に観測され、EOF速度が1.1mm/secと速く良好な結果であった。また、図1に示すように、ピークの半値幅が1.8mmと狭く、良好なヘモグロビン成分の分離能を示した。さらに、表1及び図1に示すように、EOF速度、及びヘモグロビンの各成分のピーク検出時間が、1測定目と2測定目とでほとんど差が見られず、再現性よく分離が行われることが確認できた。ヘモグロビンA1cの直前直後のピークをピークとして分離検出でき、また、ヘモグロビンA0の直前直後ピークもピークとして分離検出できた。したがって、実施例1のキャピラリー管は、EOF速度が速く、分離が良好で、再現性の良い分離が可能な表面状態が形成されていることが確認できた。
一方、コハク酸無水物溶液による処理のみを行った比較例1のキャピラリー管は、EOFが1測定目79.3秒、2測定目80.6秒にそれぞれ観測され、EOF速度が1.1mm/secと良好な結果であったが、ピークの半値幅が2.1mmであり、実施例1と比較してヘモグロビンの成分の分離能が低かった。また、EOF速度、及びヘモグロビンの各成分のピーク検出時間について、1測定目と2測定目との差が、実施例1と比較して大きくなった。また、ピロメリット酸二無水物溶液による処理のみを行った比較例2のキャピラリー管では、1測定目において最初に多量のHbの吸着が起こり、HbA1cより前の付近のヘモグロビンのピークが検出されなかった。なお、このHbの吸着は2測定目では抑制された。しかしながら、最初に検出されるヘモグロビンA1aやヘモグロビンA1bはピークとして検出できなかった。ヘモグロビンA1cの直前直後ピークはピークとして検出できずヘモグロビンA1cと一体となって検出されており、また、ヘモグロビンA0の直前直後ピークもピークとして検出できずヘモグロビンA0と一体となって検出された。EOFが1測定目90.4秒、2測定目94.5秒にそれぞれ観測され、EOF速度は、0.9mm/secと遅く、また、ピークの半値幅が7.0mmであり、実施例1と比較してヘモグロビン成分の分離能が大きく低下した。さらに、EOF速度、及びヘモグロビンの各成分のピーク検出時間について、1測定目と2測定目との差が、実施例1と比較して大きくなった。
[実施例2]
チップ内の流路の内壁が、官能基を二基有する化合物と官能基を十基以上有する化合物とで修飾された樹脂製のチップ(チップ内の流路の内壁表面に官能基を一基有する修飾基と官能基を十基以上有する修飾基とが固定化されたチップ)を製造した。
〔樹脂チップの作製〕
図4に示すように、分離流路1と検出窓2を備えるポリメタクリル酸メチル製樹脂プレートAと、2つの貫通孔3(試料バイアルと泳動液バイアル)を備えるポリメタクリル酸メチル製樹脂プレートBを準備した。樹脂プレートAの流路を形成した面と、樹脂プレートBにおいて樹脂プレートAと接合する面とに真空紫外線(VUV)処理を行い、樹脂プレートA及びBのそれぞれの一方の面にカルボキシル基などの官能基を導入した。VUV処理した樹脂プレートA及びBを、3−アミノプロピルトリメトキシシランの5%水溶液に30℃3時間浸漬した後、精製水にて余剰な3−アミノプロピルトリメトキシシランを除去し、真空乾燥器にて45℃で1時間乾燥し、アミノシラン処理した樹脂プレートA及びBを得た。
〔官能基を二基有する化合物と官能基を十基以上有する化合物とによる処理〕
まず、アミノシラン処理樹脂プレートA及びBを、0.5M塩酸に10分間浸漬した後、精製水で洗浄した。その後、1%コンドロイチン硫酸C(生化学工業製、分子量:4万〜8万、官能基の数:略80〜160基)と10mMのDMT−MMを含む処理液に室温で4時間浸漬し、さらに、100mMのコハク酸と10mMのDMT−MMを含む処理液に室温で4時間浸漬し、アミノシラン処理樹脂プレートの表面にコンドロイチン硫酸とコハク酸を導入した。コンドロイチン硫酸とコハク酸を導入した樹脂プレートを、水酸化ナトリウムと塩酸と精製水で十分に洗浄した後に、真空乾燥器にて45℃で1時間乾燥した。この樹脂プレートAの流路を形成した面と、樹脂プレートBにおける樹脂プレートAと接合する面とを合わせて加熱圧着にて接合した。これにより、コンドロイチン硫酸及びコハク酸が導入された樹脂チップ(デバイス)を得た。
[比較例3]
1%コンドロイチン硫酸Cと10mMのDMT−MMを含む処理液に室温で4時間浸漬する工程を行わない以外は、実施例2と同様にして樹脂チップを製造した。すなわち、比較例3では、コハク酸(官能基を二基有する化合物)による処理のみを行い、コハク酸導入樹脂チップを得た。
[比較例4]
100mMのコハク酸と10mMのDMT−MMを含む処理液に室温で4時間浸漬する工程を行わない以外は、実施例2と同様にして樹脂チップを製造した。すなわち、比較例4では、コンドロイチン硫酸(官能基を十基以上有する化合物)による処理のみを行い、コンドロイチン硫酸導入樹脂チップを得た。
[樹脂チップの評価]
実施例2、比較例3及び4にて作製した樹脂チップを用いて以下の条件で測定を行い、各樹脂チップのEOF速度及びヘモグロビンの成分の分離状態(ピーク幅、ピーク検出時間))を評価した。測定は、分離流路と泳動液バイアルに泳動液を満たした後に、試料バイアルにヘモグロビン試料溶液を満たし、600V/cmの電圧を印加してヘモグロビンを測定した。
[測定条件]
装置:自作の電気泳動測定装置を用いた。
分離長:20mm
電圧:1800V(600V/cm)
泳動液:40mMのクエン酸(pH5.3)(1%のコンドロイチン硫酸ナトリウム)
試料:ヘモグロビンA1c用管理物質を泳動液で希釈したもの(ヘモグロビン濃度:5g/L)
各樹脂チップのEOF速度は、実施例2が2.2mm/秒、比較例3が0.7mm/秒、
比較例4が1.8mm/秒であった。コンドロイチン硫酸(官能基を十基以上有する化合物)とコハク酸(官能基を二基有する化合物)との双方を導入した実施例2の樹脂チップは、いずれかの化合物のみを導入した比較例3及び4の樹脂チップと比較して、最も早いEOF速度を示した。
上記測定により得られた結果を図5及び6に示す。図5及び6は得られたエレクトロフェログラムを処理して得た吸光度の変化を示すグラフであって、図5が実施例2、図6が比較例4の結果をそれぞれ示す。図5及び6において、上部に三角を付したピークがHbA1cのピーク、四角を付したピークがHbA0のピーク、白抜きの三角を付したピークがHbA1a及びHbA1bのピークを示す。
図5に示すように、実施例2の樹脂チップは、ヘモグロビンの分離は25秒で完了しており、ヘモグロビンA1c及びヘモグロビンA0などの全てのピーク幅が狭くシャープであった。ヘモグロビンA1cのピーク幅は1.4mm(半値幅0.65mm)であり、及びヘモグロビンA1cのピークの直前直後のピークを個別の独立したピークとして分離して検出できた。最初に検出されるヘモグロビンA1aやヘモグロビンA1bも個々のピークとして検出されており、極めて精度の良い測定が達成できた。また、ヘモグロビンA0のピークの直前直後のピークも分離して検出できており、極めて精度の良い測定が達成できた。
これに対し、比較例3の樹脂チップでは、ヘモグロビンが検出できなかった。これは、ヘモグロビンが分離流路内に非特異的に吸着したこと、及び、EOF速度が遅いため測定時間の60秒間にヘモグロビンが泳動できなかったためと推測される。
また、比較例4の樹脂チップでは、ヘモグロビンの分離が40秒かかり、実施例2と比較して約1.6倍の時間かかった。また、全てのヘモグロビンのピーク幅が広くなった。ヘモグロビンA1cのピーク幅は2.8mm(半値幅1.3mm)であり、及びヘモグロビンA1cのピークの直前直後のピークを個別の独立したピークとして検出できず、ヘモグロビンA1cのピークと一体となって検出された。また、最初に検出されるヘモグロビンA1aやヘモグロビンA1bはピークとして検出できなかった。さらに、ヘモグロビンA0のピークの直前直後のピークも個別の独立したピークとして検出できずヘモグロビンA0のピークと一体となって検出された。これらの結果より比較例4の樹脂チップを用いた測定では、精度の悪い測定となった。
本開示は、医療分野、及び/又は、医療を目的としない医学、生化学、生物学等の学術分野で有用である。

Claims (11)

  1. 基材表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種を固定化することを含み、
    前記修飾基を固定化する基材表面は、シランカップリング剤により処理されている、基材の修飾方法。
  2. 前記修飾基の固定化は、官能基を二基有する化合物A、官能基を三基〜十基有する化合物B、及び官能基を十一基以上有する化合物Cの3種類の化合物から選択される少なくとも2種の化合物を基材表面に接触させることを含む、請求項1記載の修飾方法。
  3. 前記化合物Aは、前記修飾基の一部として機能する一基の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有し、及び/又は
    前記化合物Bは、前記修飾基の一部として機能する二基〜九基の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有し、及び/又は
    前記化合物Cは、前記修飾基の一部として機能する十基以上の官能基と、前記基材表面と結合する官能基とを有する、請求項2記載の修飾方法。
  4. 前記修飾基の固定化は、
    (1)前記化合物Bを前記基材表面に接触させること、及び前記化合物Bを接触させた基材表面に、前記化合物Aを接触させること、又は
    (2)前記化合物Cを前記基材表面に接触させること、及び前記化合物Cを接触させた基材表面に、前記化合物B及び/又は前記化合物Aを接触させること、
    を含む、請求項2又は3に記載の修飾方法。
  5. 前記官能基は、極性基である、請求項1からのいずれかに記載の修飾方法。
  6. 前記極性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される、請求項記載の修飾方法。
  7. 流路を備える分離分析用デバイスの製造方法であって、
    前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種を固定化することを含む、分離分析用デバイスの製造方法。
  8. 流路を備える分離分析用デバイスであって、
    前記流路の内壁表面に、官能基を一基有する修飾基、官能基を二基〜九基有する修飾基、及び官能基を十基以上有する修飾基の3種類の修飾基から選択される少なくとも2種が固定化している、デバイス。
  9. 前記修飾基は、シランカップリング剤を介して前記流路内壁に固定化している、請求項記載のデバイス。
  10. 前記デバイスが、キャピラリー管、又は電気泳動チップである、請求項又はに記載のデバイス。
  11. 請求項から10のいずれかに記載のデバイスを用いて、キャピラリー電気泳動をする方法。
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