JP5457725B2 - 反応性固体表面の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム、樹脂、金属及びセラミックス等の固体材料との反応性に優れた反応性固体表面の形成方法に関する。
従来、異種材料同士を接着させる方法としては、接着剤を用いる方法が広く使用されている。特に樹脂、金属及びセラミックス等の固体材料にゴムを接着させることについては、電気・電子部品用ゴム製品や建築用ゴム製品、自動車部品等の多くのニーズがあるが、コストや信頼性の点において満足できる接着方法がないのが現状である。例えば、樹脂にゴムを接着させる場合、樹脂の表面に対し脱脂処理やブラスト処理等の前処理を行った後、プライマー塗布、接着剤塗布を行い、未加硫ゴムを接触させて加熱圧着する方法が知られている。しかし、この方法は複雑な工程を必要とするため、製品のコストが高くなるという問題があった。また、固体材料と接着剤の種類に合わせて接着剤を選定する必要があり、その選定に時間を要するという問題もあった。そのため、工程がより簡単で、かつより低コストで実施可能な接着方法が必要とされている。
これに対して、本発明者の一人は、ゴムと異種材料との接着方法として、トリアジンチオール誘導体を用いた接着方法を提案した(特許文献1)。この方法は、少なくとも表面に樹脂層を有する固体材料であって、その樹脂層が水酸基を有する固体材料を対象とするものである。ここで、樹脂層が水酸基を有するとは、樹脂の構成モノマー単位中に水酸基を有する場合と、表面処理により樹脂表面に水酸基を導入した場合をいう。この方法によれば、固体材料の表面にトリアジンチオール誘導体を付着させ、次いでこの固体材料の表面にゴムを熱圧着させるだけで、ゴムを固体材料に強固に接着させることができる。ここで、このトリアジンチオール誘導体は、固体材料の表面の水酸基と反応可能な官能基としてアルコキシシリル基を有している。このトリアジンチオール誘導体はゴムと反応する官能基(チオール基)も有しているので、ゴムを熱圧着することにより、ゴムと化学結合することができる。すなわち、このトリアジンチオール誘導体は、固体材料の表面の水酸基と反応可能な官能基と、ゴムと化学結合する官能基の両方を有するものであり、分子レベルで異種材料を接着させることができる。この接着方法は、トリアジンチオール誘導体を付着させることにより、固体材料の表面をゴムに対して高い反応性を有する反応性固体表面へと変化させるものであり、反応性固体表面の形成方法でもある。
特開2007−119752号公報
上記のトリアジンチオール誘導体を用いる反応性固体表面の形成方法は、表面に樹脂層を有する固体材料であれば、固体材料の前処理が不要であるので従来に比べより簡単な工程で行うことができ、かつ強固にゴムを接着できる。しかしながら、適用対象が水酸基を有する樹脂層に限定され、水酸基を有しない樹脂層に対しては適用ができないという問題がある。樹脂層に水酸基を導入することは、表面処理、例えば、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、化学処理等により可能であるが、それでは工程が複雑化し、コストを低減することが困難である。
そこで、本発明者は、トリアジンチオール誘導体を用いる反応性固体表面の形成方法であって、水酸基を有しない樹脂層を有する固体材料に対しても適用可能な反応性固体表面の形成方法を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明の反応性固体表面の形成方法は、少なくとも表面に樹脂層を有する固体材料の表面に、一般式(1)で示される化合物を付着させる工程と、次いで、該固体の表面に一般式(2)で示される化合物を付着させる工程とを有することを特徴とする。
Figure 0005457725
ここで、R1は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い1価の芳香族炭化水素基、又は水素原子を表す。R2は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素基、又はカルボニル基を表し、脂肪族炭化水素基はヘテロ原子又は官能基を含んでも良い。Xは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い1価の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Yは、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。nは、1〜3の自然数である。
Figure 0005457725
ここで、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有しても良い1価の芳香族炭化水素基、又は水素原子を表す。R4は、置換基を有してもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表し、その脂肪族炭化水素基はヘテロ原子又は官能基を含んでも良い。Xは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基を表す。Yは炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。nは1〜3の自然数を表す。Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。
上記樹脂層に用いる樹脂は、少なくとも1つの構成モノマー単位中にカルボニル基を有するものが好ましい。
また、一般式(1)で示される化合物において、R1が水素原子であることが好ましい。
また、一般式(1)で示される化合物において、R2が置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
本発明においては、少なくとも表面に樹脂層を有する固体材料の表面に、一般式(1)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン化合物を付着させ、次いで一般式(2)で示されるトリアジンチオール誘導体を付着させる。一般式(1)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン化合物は、上記樹脂層が水酸基を含有しない樹脂からなる場合であっても、その樹脂層に結合することができる。そしてトリアジンチオール誘導体とアミノ基含有アルコキシシラン化合物は、縮合反応によりシリル基同士が結合する。その結果、トリアジンチオール誘導体は、アミノ基含有アルコキシシラン化合物を介して固体材料の表面樹脂層に固定される。トリアジンチオール誘導体は反応性基としてチオール基を有しているので、別の材料と反応することが可能となる。これにより、樹脂層の種類に制限されることなく、トリアジンチオール誘導体を用いて種々の固体材料同士を接着させることが可能となる。もちろん、従来のように、樹脂層に水酸基を導入するために、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、化学処理等を行う必要がないので、より低コストで接着を行うことができる。
本発明の反応性固体表面の形成方法は、少なくとも表面に樹脂層を有する固体材料の表面に、一般式(1)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン化合物を付着させる工程と、次いで、該固体材料の表面に一般式(2)で示されるトリアジンチオール誘導体を付着させる工程とを有する。
本発明の反応性固体表面とは、ゴム、樹脂、金属又はセラミックスからなる固体材料を基材とし、その基材の表面に樹脂層が形成されている固体表面であって、その樹脂層に反応性基が固定されているものをいう。その反応性基とは、他の固体材料と反応可能なものをいう。なお、固体材料が樹脂である場合には、樹脂層とは、固体材料と組成が異なる層部分あるいは固体材料自身の表面部分をいう。本発明に用いる固体材料は、表面に樹脂層を形成可能であればその形状は特に限定されず、板状、フィルム状、粉末状、微粒子状等の形状をとることができる。また、固体材料の大きさや厚さも特に限定されない。
本発明では、一般式(1)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン化合物を固体材料の表面の樹脂層に付着させる。次いで、一般式(2)で示されるトリアジンチオール誘導体(以下、トリアジンチオール誘導体と略す。)を固体材料の表面に付着させる。アミノ基含有アルコキシシラン化合物のシリル基は、トリアジンチオール誘導体のシリル基と縮合反応を起こし、トリアジンチオール誘導体はアミノ基含有アルコキシシラン化合物を介して固体材料の表面の樹脂層に固定される。トリアジンチオール誘導体は、反応性基としてチオール基を有しているので、他の固体材料との反応が可能である。
固体材料の表面に形成する樹脂層に用いる樹脂は、構成モノマー単位に水酸基を有しない樹脂であれば特に限定されない。具体例としては、オレフィン樹脂、スチロール樹脂、ビニル樹脂、クロマン・インデン樹脂、テルペン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エチレンオキシド樹脂、プロピレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂や、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フラン樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂、マレイン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。もちろん、これらの樹脂を反応性固体の基材としても用いることができる。
固体材料の表面に形成する樹脂層に用いる樹脂としては、さらに少なくとも1つの構成モノマー単位中にカルボニル基を有するものが好ましい。アミノ基含有アルコキシシラン化合物のアミノ基と水素結合することにより、アミノ基含有アルコキシシラン化合物が樹脂により強く固定されるからである。カルボニル基を有する樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。好ましくはアクリル樹脂である。さらに好ましくは感光性アクリル樹脂である。感光性アクリル樹脂を用いることにより、現像処理を行うことで、所望のパターンを有する樹脂層を形成することができるからである。感光性アクリル樹脂としては、例えば、カルボニル基を有するアクリルアミドやメタクリルアミド等を挙げることができる。
なお、本発明は、樹脂層に用いる樹脂として、構成モノマー単位中に水酸基を有する樹脂を使用することを何等排除するものではない。構成モノマー単位中に水酸基を有する樹脂に対しても適用可能である。その樹脂としては、例えば、セルロース及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、二酢酸セルロース、表面ケン化酢酸ビニル樹脂、フェノール−ホルマリン樹脂、ヒドロキノン−ホルマリン樹脂、クレゾール−ホルマリン樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、レゾルシン−ホルマリン樹脂、セロファン、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、水酸基含有ポリビニルホルマール樹脂、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの単独重合体又はその共重合体、ポリビニルアルコール又はその共重合体等を挙げることができる。
本発明では、以下の一般式(1)で示されるアミノ基含有アルコキシシラン化合物を用いる。
Figure 0005457725
ここで、R1は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い1価の芳香族炭化水素基、又は水素原子を表す。R1は好ましくは、水素原子である。アミノ基含有アルコキシシラン化合物が固体材料の表面に配列し易くなるからである。R2は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素基、又はカルボニル基を表し、脂肪族炭化水素基はヘテロ原子又は官能基を含んでも良い。R2は好ましくは脂肪族炭化水素基である。アミノ基含有アルコキシシラン化合物が固体材料の表面に配列し易くなるからである。Xは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い1価の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Yは、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。nは、1〜3の自然数である。
ここで、炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコサン基等を挙げることができる。また、1価の芳香族炭化水素としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素が好ましく、フェニル基、ナフチル基、トルイル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラニル基、そしてメシチル基等のアリール基や、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等のアラルキル基を挙げることができる。また、炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、イソプロピリデン基等を挙げることができる。また、2価の芳香族炭化水素としては,フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基等を挙げることができる。また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、そしてヨウ素原子を挙げることができる。また、炭素数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基等を挙げることができる。
また、上記の脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素が有してもよい置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基や炭素数1〜10のアルコキシ基を挙げることができる。ここで、炭素数1〜10のアルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等を挙げることができる。また、炭素数1〜10のアルコキシ基は上記のものと同様である。
アミノ基含有アルコキシシラン化合物の具体例としては、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルプロピルトリメトキシシラン、アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらの化合物を1種あるいは2種以上用いることができる。好ましくは、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルプロピルトリメトキシシラン、アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシランである。さらに好ましくは、アミノプロピルトリメトキシシラン又はアミノプロピルトリエトキシシランである。
アミノ基含有アルコキシシラン化合物は溶媒に希釈して用いる。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、カルビトール、セロソルブ、エチレングリコール、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、ヘキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、ジブチルエーテル、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができ、これらの溶媒を1種あるいは2種以上用いることができる。アミノ基含有アルコキシシラン化合物の濃度は、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。10重量%を超えると、液が不安定となり、沈殿が生じるからである。また、0.01重量%より少ないと、十分な効果が得られないからである。
本発明では、以下の一般式(2)で示されるトリアジンチオール誘導体を用いる。
Figure 0005457725
ここで、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有しても良い1価の芳香族炭化水素基、又は水素原子を表す。R4は、置換基を有してもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表し、その脂肪族炭化水素基はヘテロ原子又は官能基を含んでも良い。好ましくは、その脂肪族炭化水素基はヘテロ原子又は官能基を含み、そのヘテロ原子又は官能基としては、2価の硫黄原子、2価の窒素原子、カルバモイルオキシ基又はウレア基が好ましい。ヘテロ原子又は官能基を含むことにより、固体材料の表面でトリアジンチオール誘導体が配列し易くなり、反応性基をより均一に分布させることができるからである。Xは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基を表す。Yは炭素数1から10のアルコキシ基を表す。nは1〜3の自然数を表す。Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。
ここで、R3としては、例えば、水素原子、メチル基、プロピル基、アリル基、ブチル基、フェニル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。また、R4としては、−CHCH−、−(CH−、−(CH10−、−CHCHSCHCH−、−CHCHCHSCHCHCH−、−CHCHNHCHCHCH−、−(CHCHNCHCHCH−、−C−、−C−、−CHCH−、−CHCHOCONHCHCHCH−、−CHCHNHCONHCHCHCH−、又は−(CHCHCHOCONHCHCHCH−等を挙げることができる。また、Xとしては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。また、nは1〜3の自然数を示す。また、Mは水素原子、Li、Na、K又はCeである。
また、上記の脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素が有してもよい置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基や炭素数1〜10のアルコキシ基を挙げることができる。ここで、炭素数1〜10のアルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等を挙げることができる。また、炭素数1〜10のアルコキシ基は上記のものと同様である。
トリアジンチオール誘導体の具体例としては、6−(トリエトキシシラン)プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオールモノナトリウム)、6−(トリメトキシシラン)プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオールモノナトリウム、6−(トリエトキシシラン)エチルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオールモノナトリウム等を挙げることができる。
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、カルビトール、セロソルブ、エチレングリコール、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、ヘキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、ジブチルエーテル、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレン等を挙げることができ、これらの溶媒を1種あるいは2種以上用いることができる。トリアジンチオール誘導体の濃度は、0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。10重量%を超えると、液が不安定となり、沈殿が生じるからである。また、0.01重量%より少ないと、十分な効果が得られない。
(反応性固体表面の形成)
本発明の形成方法は、少なくとも表面に樹脂層を有する固体材料の表面にアミノ基含有アルコキシシラン化合物を付着させる工程と、次いで固体材料の表面にトリアジンチオール誘導体を付着させる工程を含む。
固体材料に樹脂を用いる場合以外は、固体材料の表面に樹脂層を形成する必要がある。樹脂層の厚さは10nm以上が望ましい。10nmより小さいとアミノ基含有アルコキシシラン化合物を結合しにくくなるからである。
樹脂層を形成する方法は特に限定されない。樹脂がフィルム状であれば圧着又は熱圧着法、樹脂が溶媒に可溶であれば塗布法、そして溶媒に不溶で蒸着可能であれば蒸着法等の方法を用いて形成することができる。樹脂層には、構成モノマー単位中に水酸基を有しない樹脂を用いる。
アミノ基含有アルコキシシラン化合物を付着させる工程(以下、APS付着工程という。)では、固体材料の表面にアミノ基含有アルコキシシラン化合物を含む溶液を接触させ、次いで加熱する。接触方法として、例えば、浸漬、塗布、噴霧等の方法を用いることができる。均一に溶液と接触させることができることから、浸漬が好ましい。浸漬条件は、特に限定されるものではないが、10℃〜60℃の温度で1分〜60分間、浸漬することが好ましい。加熱条件としては、40〜250℃の温度で1秒〜30分間加熱することが好ましい。加熱方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、オーブン、ドライヤー、高周波加熱等を用いることができる。なお、アミノ基含有アルコキシシラン化合物を樹脂層と十分に反応させるため、必要に応じて、上記の接触と加熱を複数回繰り返して行っても良い。
トリアジンチオール誘導体を付着させる工程(以下、TES付着工程という。)は、APS付着工程の後、さらに固体材料の表面にトリアジンチオール誘導体を含む溶液を接触させ、次いで加熱する。接触方法として、例えば、浸漬、塗布、噴霧等の方法を用いることができる。均一に溶液と接触させることができることから、浸漬が好ましい。浸漬条件は、特に限定されるものではないが、0℃〜100℃の温度で1分〜60分間、浸漬することが好ましい。加熱条件としては、40〜250℃の温度で1秒〜30分間加熱することが好ましい。加熱方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、オーブン、ドライヤー、高周波加熱等を用いることができる。なお、トリアジンチオール誘導体をアミノ基含有アルコキシシラン化合物と十分に反応させるため、必要に応じて、上記の接触と加熱を複数回繰り返して行っても良い。
(反応性固体表面と異種材料との反応)
上記の方法で作製した反応性固体表面を、ゴム、金属又はセラミックスと反応させることができる。
(ゴムとの反応)
反応性固体表面にゴムを熱圧着して、ゴムを接着させることができる。具体的には、反応性固体表面に未架橋ゴムの配合物を熱圧着する。未架橋ゴムの配合物は、ゴム材料、充填剤、架橋剤、架橋促進剤、金属活性剤を必須成分とし、必要に応じて安定剤、老化防止剤、紫外線防止剤、軟化剤、着色剤、リターダー等を添加して用いる。
ゴム材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、アルキル化クロルスルホン化ポリエチレン、クロロプレンゴム、塩素化アクリルゴム、臭素化アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンとその共重合ゴム、塩素化エチレンプロピレンゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、ウレタンゴム、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素添加クロロプレンゴム、水素添加スチレン−ブタジエンゴムを架橋させた三次元架橋ゴム等を挙げることができる。
充填剤として、例えば、HAF、FEF等の各種グレードのカーボンブラック、シリカ、ニプシル、タルク、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭素繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維等を挙げることができる。充填剤の使用量は、ゴム材料100重量部に対して1〜200重量部、より好ましくは20〜80重量部を添加する。
架橋剤として、トリアジントリチオール、2−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオール、エチレンチオウレア、ビスフェノールA、硫黄、コロイド硫黄、ジクミルペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等の過酸化物、ベンゾキノンジオキシム、ザリゲン、ジメチロール・フェノール等を、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部添加する。0.1重量部より少ないと架橋が不十分であり弾性体とならず、10重量部より多いと架橋度が高すぎて硬い弾性体となり気密性やシール性が低下するからである。
架橋を促進させるため、ジベンゾチアゾイルジスルフィド、4−モルホリノジチオベンゾチアゾール等のアゾール系、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N−オキシジエチエレン−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド、N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系、テトラメチルチューラムジスルフィド、テトラエチルチューラムジスルフィド、テトラブチルチューラムジスルフィド、テトラオクチルチューラムジスルフィド等のチューラム系の架橋促進剤を、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部添加する。0.1重量部より少ないと架橋が不十分となり、十分な弾性体とならず、10重量部より多いと架橋度が高すぎて硬い弾性体となり、気密性やシール性が低下するからである。
架橋速度を調節したり、受酸の目的で、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化鉄、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、脂肪酸ナトリウム、オクチル酸カルシウム、イソオクチル酸カリウム、カリウムブトキサイド、オクチル酸セシウム、イソステアリン酸カリウム等の金属活性剤を0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部を添加する。1重量部より少ないと十分な効果が得られず、20重量部より多いとゴムの性質が変化して所望の特性が得られないからである。
上記の未架橋ゴムの配合物を、バンバリーミキサーによる混合、そしてロールによるブレンドを経てシート状に成形して用いる。
このようにして得られた未架橋ゴムの配合物を、反応性固体表面と接触させ、0.1〜3MPaの加圧下、40〜200℃で1〜60分間加熱することにより接着物を得ることができる。
(金属との反応)
本発明により得られる反応性固体表面は、反応性基としてチオール基を有しており、このチオール基は、パラジウム、白金又は銀等の無電解メッキの触媒となる金属と化学的に結合する。したがって、無電解メッキを用いることにより、反応性固体表面上に種々の金属を結合させることができる。
具体的には、触媒液に反応性固体表面を浸漬して触媒を付着させる。触媒液には、パラジウム塩、白金塩、銀塩又は塩化スズ等を含む水溶液を用いる。
次いで、無電解メッキ液に、触媒を担持させた反応性固体表面を浸漬すると、触媒が存在する部分のみがメッキされて金属層が形成される。
無電解メッキ液には、金属塩と還元剤を主成分とし、これにpH調整剤、緩衝剤、錯化剤、促進剤、安定剤及び改良剤等の補助成分を添加したものを用いることができる。無電解メッキを行うことができる金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、白金、真鍮、モリブデン、タングステン等を挙げることができ、これらの金属塩を用いる。
具体的な金属塩としては、AuCN、Ag(NHNO、AgCN、CuSO・5HO、CuEDTA、NiSO・7HO、NiCl、Ni(OCOCH、CoSO、CoCl、PdCl等を挙げることができる。
還元剤は、上記の金属塩を還元して金属を生成させる作用を有するものであり、KBH、NaBH、NaHPO、(CHNH・BH、CHO、NHNH、ヒドロキシアミン塩、N,N−エチルグリシン等を挙げることができる。濃度は、0.001〜1mol/Lの範囲が好ましい。
以上のような主成分に対して、無電解メッキ浴の寿命を延長させることを目的とし、あるいは還元効率を高めることを目的として、以下の補助成分を添加しても良い。塩基性化合物、無機塩、有機酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、水酸化アンモニア、EDTA、ジアミノエチレン、酒石酸ナトリウム、エチレングリコール、チオ尿素、トリアジンチオール、トリエタノールアミン等である。濃度は、0.001〜1mol/Lの範囲が好ましい。
無電解メッキは、0〜98℃の温度範囲で、1〜300分間の浸漬時間で行うことが好ましい。
無電解メッキの後で電気メッキを行うことにより、無電解メッキにより形成した金属層の上にさらに金属を析出させ、金属層をさらに厚膜とすることができる。金属層の電気抵抗を下げる必要がある場合には有効である。電気メッキに用いる金属には、Au、Ag、Pt、Cu、Ni、Pd等を挙げることができるが、Ag、Cu又はNiが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の「部」又は「%」は、特に断らない限り、重量基準である。また、「phr」は、樹脂100部に対する添加剤の部数を意味する。
実施例1.
(樹脂層形成工程)
厚さ0.7mm、大きさ5cm×5cmのソーダガラス基板上に、樹脂材料として、アクリル樹脂からなるポジ型レジスト(PC−403:JSR社製)(組成:アクリル樹脂(カルボニル基を有するアクリルアミド及びメタクリルアミド)、ナフトキノンジアドスルホン酸エステル、カップリング剤、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル)をスピンコーターにより500nmの厚さとなるように塗布し、基板上に樹脂膜を形成した(以下、樹脂膜付き基板という。)。なお、この樹脂膜材料は、所定のパターンを有するフォトマスクを介して紫外線露光し、次いでアルカリ現像することで、所定のパターン形状とすることができる。
(APS付着工程)
溶媒にヘキサンを用い、アミノプロピルトリエトキシシランの2%溶液を調製した。樹脂膜付き基板をこの溶液に浸漬し(20℃、10分間)、その後、オーブン中で80℃で加熱した。これにより、アミノプロピルトリエトキシシランを樹脂膜の表面に付着させた。
(TES付着工程)
トリアジンチオール誘導体には、6−(トリエトキシシラン)プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオールモノナトリウム)を用いた。溶媒にエタノール95%/水5%の混合液を用い、このトリアジン化合物の0.1%溶液を調製した。アミノ基含有アルコキシシラン化合物処理した樹脂膜付き基板を、この溶液に浸漬し(室温、20秒間)、オーブン中で180℃で加熱した。これにより、トリアジンチオール誘導体を樹脂膜の表面に付着させ、反応性固体表面を有する基板を得た。
(表面分析)
APS付着工程後及びTES付着工程後の表面をそれぞれXPS(X線光電子分光法)により分析したところ、APS由来の珪素に基づくSi2pピークとTES由来の硫黄に基づくS2pピークが確認された。比較のため、未処理の樹脂基板と、APS付着工程を行わずTES付着工程のみを行った基板表面とをXPSにより分析したところ、硫黄に基づくピークはいずれの基板からも確認されなかった。この結果から、アミノプロピルトリエトキシシランとトリアジンチオール誘導体が結合していることがわかる。
実施例2.
(ゴムとの反応)
BR(ブタジエンゴム、日本ゼオン社製、nipoleBR)100phr、CB(SRFカーボンブラック、旭カーボン社製)40phr、硫黄2phr、ステアリン酸1phr、酸化亜鉛5phr、MBTS(DM、大内新興化学工業社製)1phrをバンバリーミキサーで混練り後、シート状に成形した。実施例1で作製した反応性固体表面の上にこのゴムシートをのせ、プレス機にて160℃、10分、0.98MPaの条件で加熱圧着した。このゴムシートを手で基板から剥がすことはできなかった。
比較例1.
APS付着工程を行わず、トリアジンチオール誘導体処理のみを行った以外は、実施例1と同様にして樹脂膜付きの基板を得た。この基板に実施例2と同様の方法によりゴムシートを熱圧着した。シートは基板に密着したが、手で容易に剥がすことができた。
比較例2.
TES付着工程を行わず、APS付着工程のみを行った以外は、実施例1と同様にして樹脂膜付きの基板を得た。この基板に実施例2と同様の方法によりゴムシートを熱圧着した。シートは基板に密着したが、手で容易に剥がすことができた。
比較例3.
TES付着工程とAPS付着工程を行なかった以外は、実施例1と同様にして樹脂膜付きの基板を得た。この基板に実施例2と同様の方法によりゴムシートを熱圧着した。シートは基板に密着したが、手で容易に剥がすことができた。
実施例3.
(金属との反応)
実施例1で作製した反応性固体表面の上に、無電解メッキ法により、銅からなるメッキ膜を作製した。具体的には、以下の手順で行った。
(1)プレディップ処理(浸漬25℃・1分、キャタプレット404(ロームアンドハース社製))
(2)キャタライズ処理(浸漬80℃・1分、キャタプレット404とキャタポジット44の混合液(ロームアンドハース社製))
(3)水すすぎ
(4)アクセラート処理(浸漬25℃・10分、アクセラレーター19E(ロームアンドハース社製))
(5)水すすぎ
(6)無電解銅メッキ処理(浸漬25℃・20分、スルカップPSY(上村工業社製))
(7)水すすぎ
(8)置換金メッキ処理(浸漬80℃・5分、NCゴールドBS(小島化学薬品社製))
(9)水すすぎ
(10)焼成(オーブン中で150℃、10分)
(テープ剥離試験)
テープには、ポリイミドテープ(アズワン社製、型番1−6797−01、粘着力:5.69N/25mm)を用いた。メッキ膜を1mm角の碁盤目状にカットした後、このテープを貼り付けて引き剥がしたが、メッキ膜は全く剥がれることはなかった。
比較例4.
APS付着工程を行わず、TES付着工程のみを行った以外は、実施例1と同様にして樹脂膜付きの基板を得た。この基板に実施例3と同様の方法により無電解メッキを行ったが、メッキ膜を形成することはできなかった。
比較例5.
TES付着工程を行わず、APS付着工程のみを行った以外は、実施例1と同様にして樹脂膜付きの基板を得た。この基板に実施例3と同様の方法により無電解メッキを行ったが、メッキ膜を形成することはできなかった。
比較例6.
APS付着工程とTES付着工程を行なわなかった以外は、実施例1と同様にして樹脂膜付きの基板を得た。この基板に実施例3と同様の方法により無電解メッキを行ったが、メッキ膜を形成することはできなかった。
実施例4.
(異なる樹脂層の例)
上記実施例1と同様のソーダガラス基板上に、樹脂材料として、ウレタン樹脂(371G:テクノアルファ社製)を、スクリーン印刷によってパターン印刷した。印刷後、80℃のホットプレート上で乾燥させ、150℃のオーブンで1時間焼成し、樹脂膜を形成した。樹脂膜の厚さは500nmであった。
(APS付着工程)
溶媒にヘキサンを用い、アミノプロピルトリエトキシシランの2%溶液を調製した。樹脂膜付き基板をこの溶液に浸漬し(20℃、10分間)、その後、オーブン中で80℃で加熱した。これにより、アミノプロピルトリエトキシシランを樹脂膜の表面に付着させた。
(TES付着工程)
トリアジンチオール誘導体には、6−(トリエトキシシラン)プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−4,6−ジチオールモノナトリウム)を用いた。溶媒にエタノール95%/水5%の混合液を用い、このトリアジン化合物の0.1%溶液を調製した。アミノ基含有アルコキシシラン化合物処理した樹脂膜付き基板を、この溶液に浸漬し(室温、20秒間)、オーブン中で180℃で加熱した。これにより、トリアジンチオール誘導体を樹脂膜の表面に付着させ、反応性固体表面を有する基板を得た。
(表面分析)
APS付着工程後及びTES付着工程後の表面をそれぞれXPS(X線光電子分光法)により分析したところ、APS由来の珪素に基づくSi2pピークとTES由来の硫黄に基づくS2pピークが確認された。比較のため、未処理の樹脂基板と、APS付着工程を行わずTES付着工程のみを行った基板表面とをXPSにより分析したところ、硫黄に基づくピークはいずれの基板からも確認されなかった。この結果から、アミノプロピルトリエトキシシランとトリアジンチオール誘導体が結合していることがわかる。
実施例5.
(ゴムとの反応)
BR(ブタジエンゴム、日本ゼオン社製、nipoleBR)100phr、CB(SRFカーボンブラック、旭カーボン社製)40phr、硫黄2phr、ステアリン酸1phr、酸化亜鉛5phr、MBTS(DM、大内新興化学工業社製)1phrをバンバリーミキサーで混練り後、シート状に成形した。実施例4で作製した反応性固体表面の上にこのゴムシートをのせ、プレス機にて160℃、10分、0.98MPaの条件で加熱圧着した。このゴムシートを手で基板から剥がすことはできなかった。

Claims (4)

  1. 少なくとも表面に樹脂層を有する固体の表面に、一般式(1)で示される化合物を付着させる工程と、次いで、該固体の表面に一般式(2)で示される化合物を付着させる工程とを有する反応性固体表面の形成方法。
    Figure 0005457725
    (式中、R1は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い1価の芳香族炭化水素基、又は水素原子を表す。R2は、置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い2価の芳香族炭化水素基、又はカルボニル基を表し、脂肪族炭化水素基はヘテロ原子又は官能基を含んでも良い。Xは、置換基を有していても良い炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していても良い1価の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。Yは、炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。nは、1〜3の自然数である。)
    Figure 0005457725
    (式中、R3は、置換基を有してもよい炭素数1〜4の1価の脂肪族炭化水素基、置換基を有しても良い1価の芳香族炭化水素基、又は水素原子を表す。R4は、置換基を有してもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基を表し、その脂肪族炭化水素基はヘテロ原子又は官能基を含んでも良い。Xは、置換基を有してもよい炭素数1〜20の1価の脂肪族炭化水素基を表す。Yは炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。nは1〜3の自然数を表す。Mは水素原子又はアルカリ金属を表す。)
  2. 上記樹脂層に用いる樹脂が、少なくとも1つの構成モノマー単位中にカルボニル基を有する請求項1記載の形成方法。
  3. 一般式(1)で示される化合物において、R1が水素原子である請求項1又は2に記載の形成方法。
  4. 一般式(1)で示される化合物において、R2が置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基である請求項1から3のいずれか一つに記載の形成方法。
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