JP5456048B2 - 医療用アレイ式超音波プローブおよび医療用超音波診断装置 - Google Patents

医療用アレイ式超音波プローブおよび医療用超音波診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、医療用アレイ式超音波プローブおよび医療用超音波診断装置に関する。
医療用の超音波診断装置や超音波画像検査装置は、対象物に対し超音波信号を送信し、その対象物内からの反射信号(エコー信号)を受信して対象物内を画像化するものである。この医療用の超音波診断装置や超音波画像検査装置は、超音波信号送受信機能を有する電子操作式のアレイ式超音波プローブが主に用いられている。
一般的な超音波プローブは、バッキング部材と、バッキング部材上に接合され、圧電素子と、圧電素子上に接合された音響整合層とを有する。圧電素子は、圧電体の両面に電極を形成した構造を有する。圧電素子および音響整合層は、アレイ状にダイシングすることにより複数のチャンネルが形成される。音響整合層上には音響レンズが形成される。各チャンネルの圧電素子の電極は、制御信号基板(フレキシブル印刷配線板(FPC))、さらにケーブルを通して診断装置に接続される。
このような超音波プローブにおいて、音響インピーダンスが2〜10MRaylsの有機物から構成されるバッキング部材は圧電素子の背面から放射される不要な超音波を吸収する。圧電素子は超音波の送受信素子として用いられる。音響整合層は圧電素子と人体との音響的なインピーダンスを整合し、超音波の送受信効率を上げる。したがって、音響整合層の音響インピーダンスは、圧電素子の圧電体(20〜38MRayls)と人体(1.5MRayls)の中間の値に設定される。複数(例えば2〜3層)の音響整合層が用いられる場合には、各層の音響インピーダンスは人体に向かって徐々に小さくなるように設定される。アレイ状に切断して形成されるチャンネルは、配列ピッチが50μm〜300μm程度である。音響レンズは超音波の送受信時に超音波の焦点を絞る役割をなす。
一方、特許文献1には別の概念を持つ超音波プローブが開示されている。この特許文献1には圧電体が使用する周波数の波長(λ)の約半分であるλ/2の厚さで用いられ、整合層がλ/4近傍の厚さで用いられることが開示されている。また、圧電体が使用する周波数の波長(λ)の約25%であるλ/4の厚さで用い、その背後に高い音響インピーダンスを有する厚さがλ/4のバッキング層(背面層(波長板))を配置した構成が記載されている。この具体的な例として、圧電体が薄膜酸化亜鉛、高音響インピーダンスバッキング層が金箔から作られ、金箔の上に圧電体である酸化亜鉛が直接に形成することが開示されている。
特許文献2には、シリコーン樹脂に金属タングステンを添加したZ=2MRaylsのバッキング層上にλ/4厚さのエポキシ樹脂薄膜(Z=4MRayls)を配置した構造の超音波プローブが開示されている。
特許文献3には、音響インピーダンスが約90MRaylsのタングステンカーバイト材料を高い音響インピーダンスを有する導電性バッキング層(音響反射層)として圧電素子の下部に配置して用いる例が開示されている。
前述したλ/4の圧電素子および高い音響インピーダンスを持つ導電性バッキング層を用いる超音波プローブは、次のような方法で製造される。チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系セラミックスまたはリラクサ系圧電単結晶のような圧電材料からなる圧電体の両面に電極を形成した圧電素子を作製する。この圧電素子の下面に高い音響インピーダンスを持つ導電性バッキング層、その上面に低い音響インピーダンスを持つ音響整合層をそれぞれ接着して積層体とする。この接着工程において、加熱処理を施して接着を行う場合がある。つづいて、積層体を音響整合層側から導電性バッキング層まで50〜300μm程度の幅にアレイ状に切断して複数のチャンネルを形成する。この切断時において、音響整合層、圧電素子および導電性バッキング層のそれぞれの接着層は高い切断加工性が要求される。ひきつづき、複数のチャンネルの音響整合層上に第2制御信号基板(例えばアース板)および音響レンズをこの順序で接着することにより超音波プローブを製造する。
このような超音波プローブの製造において、接着時の加熱、切断時に発生する熱などの負荷によって、圧電素子の圧電体のキュリー点を越え、圧電素子の一部の分極が消失する、いわゆる脱分極現象が起こる。この場合、アレイ状に切断した後に100℃以下の温度で圧電素子の厚さあたり、0.1から1.0kV/mmの直流電圧で再分極処理を行い、圧電特性を回復させることが一般的に行われている。この電圧は圧電材料の抗電界Ec以上の電圧を印加して行う。再分極処理はダイシング後および組み立て終了後などで数回、行われる場合もある。
従来、高い音響インピーダンスを持つバッキング部材と圧電素子、および圧電素子と音響整合層をそれぞれ互いに接合するには、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂が用いられている。接着工程は、室温から150℃の加熱処理を施して熱硬化性樹脂の接着剤層を硬化する。加熱処理は、適度に加圧しながら行なわれる。これは、接着後のダイシングにおいて接着強度を保ち、かつ導電性バッキング部材と圧電素子の接合のような導電性を保つ必要のある部分で、接着層を均一厚さで薄く形成し、電気的な接合と音響的な結合を確実にするためである。
また、特許文献4には導電性を必要とする超音波プローブの部材間を板状の低融点のインジウム系または鉛系ハンダで接合することが記載されている。
特開昭53−25390号公報 特開昭60−35256号公報 特表2005−507581号公報 特開昭52−132789号公報
しかしながら、高い音響インピーダンスを持つ導電性バッキング部材と圧電素子を互いに接合するにあたり、エポキシ樹脂のような絶縁性の熱硬化性樹脂が用いると、導電性バッキング部材と圧電素子の間の導通を良好に確保することが困難になる。特に、チャンネルの微細化が進み、分割された各圧電素子の面積が小さくなると、絶縁性の熱硬化性樹脂の接合では前記部材間の導電性を確保することが困難になる。
一方、一般的な錫鉛ハンダ、インジウムハンダ、金材料で制御信号基板(例えばFPC)、圧電素子および音響整合層を互いに接合する場合、これらのハンダ材料では次のような問題がある。すなわち、圧電素子および音響整合層の積層体はダイシングブレードでアレイ状に切断される。アレイ状の切断は、狭いピッチ(幅)で数十回繰返される。インジウム系、鉛系のハンダおよび純粋の金材料は、比較的柔らかく硬度が低く、伸びが大きい。このため、ダイシングブレードの目詰まりが生じやすく、切断時のピッチが変動して均一な切断を行なうことが困難になる。その結果、圧電素子が均等な幅で分割されず、チャンネル毎の容量ばらつきが生じる。容量ばらつきは、超音波プローブの感度ばらつきに影響し、超音波画像の品質を低下させる。また、切断性の低下はこれらの金属材料がダイシングブレードを介して積層体の切断面、特に圧電素子の下部電極を含む切断面、にスミア(塑性流動による汚れ)となって付着する恐れがある。スミアは、圧電素子に直流電圧を印加して再分極を行う際、放電を発生して圧電素子を破壊して超音波プローブの製造歩留まりの低下を招く。
また、接合材料に硬度が低い(ビッカース硬度で50以下)の材料を用いると、圧電材料の脱分極を抑制する効果がほとんど見られないために、逆電界が印加された場合に容易に脱分極が生じる。
本発明は、第1信号制御基板上の導電性バッキング層、圧電素子および音響整合層の積層体をアレイ状に切断して複数のチャンネルを形成するときのピッチ変動を低減し、再分極時の放電を抑制し、かつ圧電素子を導電性バッキング層および音響整合層に対して良好に接合できると共に、圧電素子と導電性バッキング層の間および圧電素子と音響整合層の間の導電性を良好に確保し、さらに脱分極が生じ難い医療用アレイ式超音波プローブ、並びにこの超音波プローブを備える医療用超音波診断装置を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によると、第1制御信号基板上に導電性バッキング層を積層して接続し、この導電性バッキング層上に圧電体の両面に電極を形成した圧電素子および第1音響整合層をこの順序で積層し、前記第1音響整合層から前記圧電素子および前記導電性バッキング層を通して前記第1制御信号基板の表面に亘ってアレイ状に切断することにより前記圧電素子および前記第1音響整合層を有する複数のチャンネルをスペースをあけて形成した構造のアレイ式超音波プローブであって、厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層を前記第1制御信号基板と前記導電性バッキング層の間に存在させ、それらの部材を互に接合し、厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層を前記導電性バッキング層と前記圧電素子の間に存在させ、それらの部材を互に接合し、かつ厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層を前記圧電素子と前記第1音響整合層の間に存在させ、それらの部材を互に接合し、前記導電性バッキング層はタングステン−ニッケル−銅合金またはタングステンカーバイト系炭化物合金から作られ、前記金錫合金層は19〜21重量%Sn−Auの組成を有する医療用アレイ式超音波プローブが提供される。
本発明の第2側面によると、第1制御信号基板と、前記第1制御信号基板上に設けられた導電性バッキング層、前記導電性バッキング層上に設けられ、圧電体および前記圧電体の両面に形成された電極を有する圧電素子、および前記圧電素子上に設けられた第1音響整合層を有する複数の積層体と、を備え、前記複数の積層体はスペースをあけてアレイ状に互いに配置され、複数のチャンネルを形成し、前記複数の積層体は、前記第1制御信号基板と分離された前記導電性バッキング層の間に存在し、それらの部材を互に接合する厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層と、分離された前記導電性バッキング層とチャンネルの前記圧電素子の間に存在し、それらの部材を互に接合する厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層と、各チャンネルの前記圧電素子と前記第1音響整合層の間に存在し、それらの部材を互に接合する厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層と、を備え、前記導電性バッキング層はタングステン−ニッケル−銅合金またはタングステンカーバイト系炭化物合金から作られ、前記金錫合金層は19〜21重量%Sn−Auの組成を有する医療用アレイ式超音波プローブが提供される。
本発明の第側面によると、前記第1側面または前記第2側面の医療用アレイ式超音波プローブと、前記超音波プローブにケーブルを通して接続された超音波プローブ制御器とを具備した医療用超音波診断装置が提供される。
本発明の実施形態に係る医療用アレイ式超音波プローブを示す部分切欠正面図である。 本発明の実施形態に係わる超音波診断装置を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態に係る医療用アレイ式超音波プローブを詳細に説明する。
実施形態に係る医療用アレイ式超音波プローブは、第1制御信号基板上に導電性バッキング層を積層して接続し、この導電性バッキング層上に圧電体の両面に電極を形成した圧電素子および第1音響整合層をこの順序で積層し、前記第1音響整合層から前記圧電素子および前記導電性バッキング層を通して前記第1制御信号基板の表面に亘ってアレイ状に切断することにより前記圧電素子および前記第1音響整合層を有する複数のチャンネルをスペースをあけて形成した構造のアレイ式超音波プローブである。厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層は、導電性バッキング層と圧電素子の間に存在し、導電性バッキング層および圧電素子を互に接合している。厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層は、圧電素子と第1音響整合層の間に存在し、圧電素子および第1音響整合層を互に接合している。
ここで、「導電性バッキング層」とは、体積抵抗率が2×10-5Ω−cm以下、より好ましくは1×10-5〜6×10-6Ω−cmの材料から作られることを意味する。このような体積抵抗率を有する材料は、例えばタングステン系合金が好ましい。タングステン系合金の例は、タングステン−ニッケル−銅合金またはタングステンカーバイト系炭化物合金を含む。タングステン−ニッケル−銅合金の具体的な組成は、93〜97wt%タングステン−2〜4wt%ニッケル−1〜3wt%銅を挙げることができる。タングステンカーバイト系炭化物合金の具体的な組成は、90wt%WC−10wt%Coを挙げることができる。
圧電素子は、例えばジルコンチタン酸鉛(PZT)系圧電セラミック材料、リラクサ系およびチタン酸バリウム系のセラミック、単結晶材料からなる圧電体とこの圧電体の両面、つまり下面の導電性バッキング部材側および上面の音響整合層側にそれぞれ形成された電極とから構成される。特に、リラクサ系圧電単結晶のようなキュリー点が200℃以下の圧電材料を用いることが超音波を高効率で送受信できるために好ましい。リラクサ系圧電単結晶は、5〜40モル%のチタン酸鉛と60から95モル%のPb(B1,Nb)O(ここで、B1はマグネシウム、亜鉛、インジウム、スカンジウム、およびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を示す)にて表わされるリラクサ系鉛複合ペロブスカイト化合物とを含む圧電単結晶であることがより好ましい。
圧電素子上の音響整合層は、1層のみならず、2層から3層を用いることを許容する。複数の音響整合層は、圧電素子から最上層の音響整合層に配置される音響レンズに向けて音響インピーダンスが段階的に小さくなっている。
音響整合層が例えば1層の場合、圧電素子上の1番目の音響整合層(第1音響整合層)は25℃にて4〜7MRaylsの音響インピーダンスを有することが好ましい。
音響整合層が2層の場合は圧電素子上の1番目の音響整合層(第1音響整合層)が25℃にて5〜10MRayls、2番目の音響整合層(第2音響整合層)が2〜4MRaylsの音響インピーダンスを有することが好ましい。
音響整合層が1層の場合、第1音響整合層は例えばカーボンのような導電材料またはエポキシ樹脂に酸化物粒子を添加して音響インピーダンスを調整した材料から作られることが好ましい。
音響整合層が2層の場合、第1音響整合層は例えばカーボン、酸化物粒子含有エポキシ樹脂の材料から作られ、第2音響整合層は例えばエポキシシリコンまたはポリエチレン系樹脂材料から作られることが好ましい。この形態において、第1、第2の音響整合層の間に第2制御信号基板を配置、固定してもよい。このような構成において、第2音響整合層および第2制御信号基板をもアレイ状の切断がなされる。
金錫合金接合層は、0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜3μmの厚さを有することが望ましい。このような厚さの金錫合金層は、導電性バッキング層と圧電素子の部材同士、および圧電素子と第1音響整合層の部材同士を高強度で接合することを可能にする。また、複数のチャンネルを形成する際の切断時において、切断の直線性をより向上させることが可能になる。金錫合金接合層は、音響インピーダンスが圧電素子から人体側に位置する第1音響整合層よりも高い。ただし、金錫合金接合層の厚さを前記範囲に調節することにより、超音波の送受信効率の低下を最小限にすることが可能になる。
金錫合金層は、19〜21重量%Sn−Auの組成を有する金錫合金から作られることが好ましい。このような金錫合金層は前記部材同士を高強度で接合できる。また、金錫合金層は複数のチャンネルを形成する切断操作において、切断の直進性をより一層向上できる。
金錫合金接合層による導電性バッキング層と圧電体の両面に一対の電極を形成した圧電素子との接合において、圧電素子の圧電体と導電性バッキング層は圧電体側に配置されるチタン層およびこのチタン層と導電性バッキング層の間に配置される金錫合金接合層で接合され、かつ前記チタン層および前記金錫合金接合層は前記導電性バッキング層側に位置する前記圧電素子の一方の電極機能と接合機能とを兼ねる。このような接合構造において、チタン層は0.01〜0.05μmの厚さを有し、金錫合金接合層は19〜21重量%Sn−Auの組成を有する金錫合金から作られることが好ましい。
圧電素子と第1音響整合層の接合においても、圧電素子の圧電体と第1音響整合層は圧電体側に配置されるチタン層およびこのチタン層と第1音響整合層の間に配置される金錫合金層で接合される。このような形態において、チタン層および金錫合金層は第1音響整合層側に位置する前記圧電素子の他方の電極機能と接合機能とを兼ねる。
金錫合金層は、導電性バッキング層と圧電素子、圧電素子と第1音響整合層をそれぞれ互いに接合する場合に限らない。例えば金錫合金層は、第1制御信号基板と導電性バッキング層の間に存在させ、第1制御信号基板および導電性バッキング層を互いに接合してもよい。
また、金錫合金層は第1制御信号基板/導電性バッキング層/圧電素子/第1音響整合層/第2制御信号基板のそれぞれの接合箇所に存在し、隣接する部材を互いに接合してもよい。このように複数の隣接する部材を金錫合金層で互いに接合する場合、金錫合金層は同一の組成を有することが好ましい。すなわち、金錫合金層による隣接する部材を互いに接合するには金錫合金層を加熱溶融するため、各金錫合金層を同一組成にすることにより加熱温度を統一化できる。その結果、例えば各部材間に金錫合金層を介在した後に同じ温度で全ての金錫合金層を加熱溶融、その後の冷却により隣接する部材を互いに接合することが可能になり、接合操作を簡便化できる。
次に、実施形態に係る超音波プローブの製造方法の一例を説明する。
まず、例えば厚さ150〜250μmの金属タングステン合金(94W−4Ni−2Cu)からなる導電性バッキング層の両面にメッキ法で所定厚さ、20〜21wt%Sn−Auの金錫合金層を形成する。
また、例えば厚さ100〜200μmのマグネシウムニオブ酸鉛(PMN)―チタン酸鉛(PT)[70/30]系の圧電単結晶(PMNT)がからなる圧電体を用意する。この圧電体の両面にスパッタ法で例えば厚さ0.01〜0.1μmのTi層を形成し、さらにスパッタ法で例えば厚さ0.1〜0.2μmのAu層を形成する。その後、圧電体の両面にメッキ法で所定厚さ、20〜21wt%Sn−Auの組成の金錫合金層を形成する。
さらに、音響インピーダンスが5〜8MRaylsの酸化物粒子含有樹脂材料またはカーボンからなる厚さ150〜200μmの第1音響整合層を用意し、第1音響整合層の両面にメッキ法で所定厚さ、20〜21wt%Sn−Auの組成の金錫合金層を形成する。
次いで、第1制御信号基板上に導電性バッキング層を金錫合金層を介して重ねる。つづいて、導電性バッキング層上に圧電素子および第1音響整合層をこの順序で積層し、加圧機能を有する固定治具を用いて相互に固定して積層体を作製する。前記積層体の固定は、温度が290〜350℃のベルト炉で1〜10分間加熱することによりなされる。この方法により第1制御信号基板上に高い音響インピーダンスを持つ導電性バッキング層が金錫合金層で加熱融着される。同時に導電性バッキング層と圧電素子の間に存在される金錫合金層が加熱溶融し、それら部材を互いに接合する。圧電素子と第1音響整合層の間に存在される金錫合金層もまた加熱溶融し、それら部材を互いに接合する。このような方法で導電性バッキング層、圧電素子および第1音響整合層が金錫合金層で接合される積層体は、例えば約1〜5μmの厚さを有する。
加熱工程は、真空減圧下または窒素雰囲気下で行って隣接する各部材の密着強度(接合強度)を高めることが望ましい。
金錫合金層は、各部材の接合面にメッキにより形成する方法の他に、例えば圧延加工した箔を用いることもできる。また、各部材の接合面に蒸着、スパッタで金錫合金層を形成してもよい。各部材間に介在する金錫合金層は、同一組成で、接合時に0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜3μmの厚さを有することが望ましい。
次いで、第1制御信号基板を有する導電性バッキング層、圧電素子および第1音響整合層からなる積層体をアレイ状に切断する。すなわち、第1音響整合層側から第1制御信号基板に向けて、例えばダイシングブレードで50〜200μmの幅(ピッチ)でアレイ状に切断して複数分割する。これによって、スペースをあけて1次元的に配列された圧電素子および第1音響整合層を有する複数のチャンネルを形成する。必要に応じて、各チャンネル間のスペースに例えば低音響インピーダンス、高減衰性のウレタンゴムのような比較的柔らかい樹脂を充填して各チャンネルの機械的な強度を保持する。各チャンネルの第1音響整合層上に第2制御信号基板(例えばアース側基板)を例えばエポキシ樹脂系接着剤層で接合する。その後、第2制御信号基板上に第2音響整合層および音響レンズをそれぞれエポキシ樹脂系接着剤層、シリコーンゴム系接着剤層で接着して固定し、ケース内に収納してアレイ式超音波プローブを製造する。
このような超音波プローブの製造において、圧電素子の圧電体が350℃を超えるキュリー点を有する圧電材料、例えばチタン酸鉛系圧電セラミックス(Tc=400℃)から形成される場合、ダイシングブレードによる切断および金錫合金層で接合するための加熱処理で脱分極され難い。これに対し、超音波を高効率に発生する高誘電率系PZT圧電材料およびリラクサ系圧電単結晶のような圧電材料は、キュリー点が120〜200℃と低い。このため、アレイ状の切断時および接合時に熱影響を受けると、圧電体が脱分極する。
このようなことから、第1制御信号基板と第2制御信号基板の間に例えば室温から60℃で0.2〜1kv/mmの直流電圧を5〜30分間印加高電圧を印加して再分極を行う。この処理によって、超音波プローブとして最良の特性を保証できる。
なお、ダイシングブレードによるアレイ状の切断工程に先立って、第1音響整合層上に第2信号制御基板および第2音響整合層をこの順序で重ね、かつ第1音響整合層と第2制御信号基板の間に所定厚さ、20〜21wt%Sn−Auの組成の金錫合金層を介在してもよい。このような第2信号制御基板および第2音響整合層を重ねた後、前述したように加熱融着して積層体を作製する。この積層体の切断は、第2音響整合層から第1制御信号基板に向けて例えばダイシングブレードで50〜200μmの幅(ピッチ)でアレイ状に切断して複数分割する。
次に、実施形態に係るアレイ式超音波プローブを図1を参照して詳細に説明する。
医療用アレイ式超音波プローブ1は、低い音響インピーンアスを有する樹脂製のバッキング部材2を備えている。第1制御信号基板である信号用フレキシブル印刷配線板(信号用FPC)3は、バッキング部材2上面に例えばエポキシ樹脂接着剤層(図示せず)により接着されている。音響インピーダンスが高い例えばタングステン−ニッケル−銅合金から作られる導電性バッキング層4は信号用FPC3上に配置されている。導電性バッキング層4と信号用FPC3は、それら部材間に存在させた19〜21wt%Sn−Auからなる厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金接合層5により接合されている。圧電素子6は、導電性バッキング層4上に配置されている。圧電素子6は、圧電体7とこの圧電体7の両面に形成された例えばTiからなる第1電極(上部電極)8aおよび第2電極(下部電極)8bとから構成されている。圧電素子6の第2電極8bと導電性バッキング層4は、それらの間に存在させた19〜21wt%Sn−Auからなる厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金接合層9により接合されている。なお、金錫合金接合層9は圧電素子6の第2電極8bと共に電極機能を兼ねる。
例えば導電性のカーボンから作られる第1音響整合層10は、圧電素子6の第1電極8a上に配置されている。第1音響整合層10と圧電素子6の第1電極8aは、それらの間に存在させた19〜21wt%Sn−Auからなる厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金接合層11により接合されている。なお、金錫合金接合層11は圧電素子6の第1電極8aと共に電極機能を兼ねる。
前記圧電素子6および第1音響整合層10は、第1音響整合層10から信号用FPC3に向けて例えばダイシングブレードで所定の幅でアレイ状に切断され、複数分割されることによって、スペース12をあけて1次元的に配列された圧電素子6および第1音響整合層10からなる複数のチャンネル17を形成している。これらのスペース12には、例えば低音響インピーダンス、高減衰性のシリコーンゴムのような比較的に柔らかい樹脂を充填することを許容する。
第2制御信号基板であるアース用フレキシブル配線板(アース用FPC)13は、各チャンネル17の第1音響整合層10上に例えばエポキシ樹脂接着剤層14により接着、固定されている。第2音響整合層15は、アース用FPC13上に例えばエポキシ樹脂接着剤層(図示せず)により接着、固定されている。音響レンズ16は、第2音響整合層15上にシリコーンゴム系接着剤層(図示せず)により接着、固定されている。
これらのスペースには、例えば低音響インピーダンス、高減衰性のシリコーンゴムのような比較的に柔らかい樹脂を充填することを許容する。
低い音響インピーダンスを有する樹脂製のバッキング部材2は支持台(図示せず)に載置され、かつこの支持台を含むバッキング部材2、信号用FPC3、導電性バッキング層4、複数のチャンネル17、アース用FPC13、第2音響整合層15および音響レンズ16は、上端に開口部を有するケース(図示せず)内に収納されている。ケース内には、各チャンネル17の圧電素子6の駆動タイミングを制御する制御回路および圧電素子6に受信された受信信号を増幅するためのアンプ回路を含む信号処理回路(図示せず)が内蔵される場合もある。信号側FPC3は、一端が導電性バッキング層4を通して圧電素子6の下部電極8bに接続され、他端が制御回路に接続されている。アース側FPC13は、一端が導電性の第1音響整合層10を通じて圧電素子6の上部電極8aに接続され、他端が信号処理回路に接続されている。
このような構成のアレイ式超音波プローブ1において、各チャンネル17における圧電素子6の第1、第2の電極8a,8b間に電圧を印加して、圧電体7を共振させることにより超音波を各チャンネル17の第1音響整合層10、および第2音響整合層15、音響レンズ16を通して人体に放射(送信)する。受信時には、人体から音響レンズ16、第2音響整合層14、各チャンネル17の第1の音響整合層10を通して受信された超音波によって各チャンネル17の圧電素子6を振動させ、この振動を電気的に変換して信号とし、画像を得る。また、第1、第2の音響整合層10,15の音響インピーダンスを圧電体(音響インピーダンス:20〜38MRayls)6と人体(音響インピーダンス:1.5MRayls)の間で徐々に人体のそれに近付くように設定することよって、超音波の送受信効率を向上することが可能になる。
次に、実施形態に係る超音波プローブを備えた医療用超音波診断装置を図2を参照して説明する。
対象物に対し超音波信号を送信し、その対象物からの反射信号(エコー信号)を受信して対象物を画像化する医療用超音波診断装置(または医療用超音波画像検査装置)は、超音波信号送受信機能を有するアレイ式超音波プローブを備えている。この超音波プローブは、例えば前述した図1に示す1次元アレイ構造を有する。この超音波プローブ1は、ケーブル21を通して超音波診断装置本体22に接続されている。超音波診断装置本体22内には超音波プローブの超音波信号の送信、受信処理等を行う図示しない超音波プローブ制御器、およびディスプレイ23が設けられている。
以上説明した実施形態に係るアレイ式超音波プローブは、第1制御信号基板、高い音響インピーダンスを有する導電性バッキング層、圧電素子および第1音響整合層を備える。このような積層体は第1音響整合層から信号用FPCに向けてアレイ状に切断して圧電素子および第1音響整合層を有する複数のチャンネルをスペースをあけて形成する。厚さが0.1〜5μmで、好ましくは19〜21重量%Sn−Auの組成を有する金錫合金接合層は、少なくとも圧電素子の第2電極(下部電極)と導電性バッキング層、および圧電素子の第1電極(上部電極)と第1音響整合層を接合している。このような構成の超音波プローブは以下のような効果を奏する。
(1)圧電素子の第2電極(下部電極)と導電性バッキング層、および圧電素子の第1電極(上部電極)と第1音響整合層を接合する金錫合金接合層は、ダイシングブレードによるアレイ状の切断において、従来知られている一般の鉛ハンダ接合層または金接合層に比べて切断の直線性が向上するため、目的とする幅を持つ均一なピッチでチャンネルを形成することが可能になる。その結果、チャンネル間のシグナルノイズ(SN)比を向上できるため、高解像度のアレイ式超音波プローブを実現できる。
特に、前記第1制御信号基板から第1音響整合層までの隣接する部材同士、すなわち第1制御信号基板/高い音響インピーダンスを有する導電性バッキング層/圧電素子/第1音響整合層の隣接する部材同士金錫合金接合層で接合した後、ダイシングブレードによるアレイ状の切断を行うことによって、より一層均一なピッチでチャンネルを形成することが可能になる。その結果、チャンネル間のシグナルノイズ(SN)比をより一層向上できるため、極めて高解像度のアレイ式超音波プローブを実現できる。
(2)金錫合金接合層での良好な切断性は、ダイシングブレードによるアレイ状の切断において、圧電素子の下部電極を含む切断面にスミア(塑性流動による汚れ)を発生するのを抑制できる。
一方、各部材同士の金錫合金接合層による接合は、300℃程度の条件でなされるため、圧電素子の圧電体を抗電界Ec以上の電圧、通常は0.2から1kv/mmの直流電圧、で再分極する必要がある。この再分極の際に前述したスミア発生を抑制できるため、圧電素子に放電破壊が生じにくく、安定に再分極ができ、超音波プローブの歩留まりを向上できる。
(3)金錫合金は、耐熱性に優れ、高い接着性を有する。このため、超音波エネルギーの吸収、減衰に伴って第1音響整合層に熱および機械的な圧力が加わっても、例えば圧電素子と高い音響インピーダンスの導電性バッキング層の間などでの金錫合金接合層での剥離を防止できる。その結果、長期信頼性の優れたアレイ式超音波プローブを提供できる。
(4)金錫合金接合層で第1制御信号基板/導電性バッキング層/圧電素子までの各部材間を接合することによって、それらの間の導電性を良好に確保することができる。その結果、超音波のエネルギーを効率的に送受信できる高性能のアレイ式超音波プローブを提供できる。
実施形態に係る超音波診断装置は、高性能、高信頼性のアレイ式超音波プローブを備えるため、断層像の画質向上および感度向上を達成できる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
まず、長さ25mm、幅12.5mm、厚さ200μmの外形形状を持ち、音響インピーダンスが95MRaylsのタングステン合金(94W−4Ni−2Cu)からなる導電性バッキング層の両面にメッキ法で20wt%Sn−Auの組成からなる厚さ1.0μmの金錫合金層をそれぞれ形成した。
また、導電性バッキング層と同様な長さおよび幅を有し、厚さが150μmのマグネシウムニオブ酸鉛(PMN)―チタン酸鉛(PT)[重量比で70:30]系の圧電単結晶[PMNT]からなる圧電体の両面に厚さ0.05μmのTi層をスパッタ法で堆積し、さらに厚さ0.1μmのAu層をスパッタ法で堆積することにより第1、第2の電極を形成することにより圧電素子を作製した。その後、圧電素子の各電極上にメッキ法で20wt%Sn−Auの組成からなる厚さ1.0μmの金錫合金層をそれぞれ形成した。
さらに、導電性バッキング層と同様な長さおよび幅を有し、厚さが180μmで、音響インピーダンスが6.5MRaylsのカーボン板からなる第1音響整合層の両面にメッキ法で20wt%Sn−Auの組成からなる厚さ1.0μmの金錫合金層をそれぞれ形成した。
次いで、信号制御用FPC上に前記金錫合金接合層をそれぞれ有する導電性バッキング層、圧電素子および第1音響整合層をこの順序で正確に位置合わせして積層し、加圧機能を有する固定治具で固定した。固定治具で固定された積層体を窒素雰囲気、310℃に設定したベルト炉で5分間加熱した。この加熱により導電性バッキング層と圧電素子、圧電素子と第1音響整合層が約2μmの金錫合金層で加熱融着された。この加熱融着時には、金錫合金層部分に耐熱性フッ素樹脂シートを載せ、加圧治具と金錫合金層との融着を防いだ。なお、加熱融着時において圧電素子の第1、第2電極を構成するAu層がその表面にメッキした20wt%Sn−Auの組成からなる金錫合金層に拡散して実質的に消滅した。その結果、圧電体の両面にはTi層と堆積初期の組成よりAu量が多い、つまりSn量が相対的に減少した19wt%Sn−Auの組成に変化した金錫合金接合層とが形成された。金錫合金接合層は、導電性バッキング層と圧電素子、圧電素子と第1音響整合層の接合機能に加え、圧電素子の第1、第2の電極の機能を兼ねる。
次いで、エポキシ樹脂に平均粒径10μmの金属タングステン粉末及び酸化亜鉛繊維を充填した、音響インピーダンスが5MRalysの音響インピーダンスを有する樹脂系バッキング素材を用意した。この樹脂系バッキング素材を導電性バッキング層と同様な長さおよび幅で厚さ10mmに精密に研磨して樹脂系バッキング部材を作製した。バッキング部材上に低い粘性のエポキシ樹脂接着剤を塗布し、接着剤層に前述した積層体の信号用FPCを重ね、60℃、12時間で硬化させることにより樹脂系バッキング材、信号制御用FPC、導電性バッキング層、圧電素子および第1音響整合層の積層体構造を作製した。
次いで、厚さ50μmのダイシングブレードにて第1音響整合層側から信号制御用FPCに向かって200μmの幅(ピッチ)で切断処理して96本のアレイ状に分割した。これによりスペースをあけて1次元的に配列する圧電素子および第1音響整合層を有する96個のチャンネルを形成した。アレイ状の切断は信号制御用FPCの一部まで行なった。つづいて、各チャンネル間のスペースに低音響インピーダンスの液状ウレタンゴム(水酸基末端ポリオレフィン系ポリオール、日本ポリウレタン社)を充填した。ひきつづき、各チャンネルの第1音響整合層上にアース側FPCをエポキシ樹脂接着剤を介在して配置し、60℃、12時間で加圧しながら、硬化させることにより接合した。その後、アース用FPC上にポリエチレン系樹脂からなる第2音響整合層およびシリコーンゴムからなる音響レンズをそれぞれエポキシ樹脂系接着剤層、シリコーンゴム系接着層で接着固定し、ケース内に収納してアレイ式超音波プローブの主要部品を製造した。
このような工程により低い音響インピーダンスの樹脂系バッキング部材/エポキシ樹脂/信号制御用FPC/導電性バッッキング層/金錫合金接合層/圧電素子/金錫合金接合層/第1音響整合層/エポキシ樹脂/アース用FPC/第2音響整合層からなるアレイ式超音波プローブ素体を製造した。アレイ切断において切断幅はすべてのチャンネルで均一で素子の倒れや破壊は見られなかった。
次いで、得られた超音波プローブ素体を40℃の恒温オーブン内で前記2つのFPC間に圧電素子の圧電体の厚さ1mmあたり0.5kVの電界、すなわち75Vの直流電圧を10分間印加し、圧電体を再分極した。分極工程において、放電、ショートなどは発生しなかった。すなわち、各チャンネルでの短絡数はゼロであった。
その後、超音波プローブ素体をケーシングして超音波プローブサンプルを製造した。
得られた超音波プローブサンプルの各チャンネルの感度と相関のある静電容量をLCRメータにより測定した。その結果、96チャンネル全てが設計された容量を示した。また、容量のばらつきは2%であった。また、目標とした中心周波数3.5MHzが達成されていた。
(実施例2)
21wt%Sn−Auの組成を持つ厚さ2.5μmの金錫合金層を用い、キュリー温度が210℃で厚さが250μmのPZT系圧電セラミクス5Hの圧電体を用いた以外、実施例1と同様な方法により超音波プローブ素体を製造した。
得られた超音波プローブ素体を実施例1と同様な条件で再分極した。この分極工程において、放電、ショートなどは発生しなかった。すなわち、各チャンネルでの短絡数はゼロであった。
その後、超音波プローブ素体をケーシングして超音波プローブサンプルを製造し、得られた超音波プローブサンプルの各チャンネルの感度と相関のある静電容量をLCRメータにより測定した。その結果、96チャンネル全てが設計された容量を示した。また、容量のばらつきは2.5%であった。また、目標とした中心周波数3MHzが達成されていた。
(実施例3)
音響インピーダンスが90MRaylsのコバルト添加タングステンカーバイト(90WC−10Co)からなる導電性バッキング層を用い、80wt%Au−20wt%Snの組成を持つ厚さ2μmの金錫合金層を用いた以外、実施例1と同様な方法により超音波プローブ素体を製造した。
得られた超音波プローブ素体を実施例1と同様な条件で再分極した。この分極工程において、放電、ショートなどは発生しなかった。すなわち、各チャンネルでの短絡数はゼロであった。
その後、超音波プローブ素体をケーシングして超音波プローブサンプルを製造し、得られた超音波プローブサンプルの各チャンネルの感度と相関のある静電容量をLCRメータにより測定した。その結果、96チャンネル全てが設計された容量を示した。また、容量のばらつきは3%であった。また、目標とした中心周波数3MHzが達成されていた。
(実施例4)
音響インピーダンスが90MRaylsのコバルト添加タングステンカーバイト(90W−10Co)からなる導電性バッキング層を用い、80wt%Au−20wt%Snの組成を持つ厚さ2μmの金錫合金層を用いた以外、実施例1と同様な方法により超音波プローブ素体を製造した。
得られた超音波プローブ素体を実施例1と同様な条件で再分極した。この分極工程において、放電、ショートなどは発生しなかった。すなわち、各チャンネルでの短絡数はゼロであった。
その後、超音波プローブ素体をケーシングして超音波プローブサンプルを製造し、得られた超音波プローブサンプルの各チャンネルの感度と相関のある静電容量をLCRメータにより測定した。その結果、96チャンネル全てが設計された容量を示した。また、容量のばらつきは3%であった。また、目標とした中心周波数3MHzが達成されていた。
(比較例1)
金錫合金層の代わりに63wt%Sn−37%Pbの組成を持つ厚さ3μmの鉛ハンダ箔を用い、鉛ハンダ箔による各部材の接合時の温度を220℃にした以外、実施例1と同様な方法により超音波プローブ素体を製造した。
超音波プローブ素体の製造時におけるダイシングブレードを用いる切断工程において、切断回数が増えるに伴ってピッチにぶれが生じ始めた。そのため、一定回数の切断後、切断を中止してダイシングブレードを洗浄(ドレッシング)するか、もしくはダイシングブレードを交換し改めて切断を行うことを繰り返した。切断面を観察したところ、鉛ハンダ箔の延伸に起因する細かな破片が付着していることが確認された。ダイシング後に実施例1と同条件で再分極を行なった。その結果、複数(10個)のチャンネルで放電が起こり、そのチャンネルはショートにより使用不能となった。
その後、超音波プローブ素体をケーシングして超音波プローブサンプルを製造し、得られた超音波プローブサンプルの各チャンネルの感度と相関のある静電容量をLCRメータにより測定した。その結果、96チャンネル中、86チャンネルが正常で、残りの10チャンネルがオープンまたはショート不良であった。また、容量のばらつきは12%であった。
(比較例2)
まず、音響インピーダンスが90MRaylsのコバルト添加タングステンカーバイト(90WC−10Co)からなる導電性バッキング層を用い、導電性バッキング層、圧電素子および第1音響整合層を低粘性エポキシ系樹脂でそれぞれ接着した。つづいて、樹脂計バッキング部材上に信号制御用FPCを配置し、この信号制御用FPC上に導電性バッキング層を配置し、低粘性エポキシ系樹脂でそれぞれ接着した。接着は、50℃、12時間の条件で行なった。さらに、第1音響整合層上にアース用FPC、第2音響整合層をエポキシ系樹脂でそれぞれ接着した。なお、圧電素子、第1音響整合層および第2音響整合層は実施例1と同様な材料のものを用いた。
このような工程により樹脂系バッキング部材/エポキシ樹脂接着剤層/信号制御用FPC/導電性バッッキング層/エポキシ系樹脂接着剤層/圧電体/エポキシ系樹脂接着剤層/第1音響整合層が一体化した積層構造体をダイシングブレードにより第1音響整合層側から信号用FPCまでを第1整合層の長手方向に沿う側面の電極層に対して直角になるように切断してアレイ分割した。アレイ分割幅を長手方向に200μmピッチで行って96個のチャンネルを形成した。
200μmピッチの3MHzの超音波プローブサンプルは切断時、問題はなかった。いずれの周波数のサンプルも、再分極で放電は発生しなかった。
各チャンネルの感度と相関のある静電容量をLCRメータにより測定した。その結果、96チャンネル中、中16チャンネルがオープンであった。また、容量のばらつきは20%であった。
これら実施例1〜4および比較例1,2の超音波プローブサンプルの評価結果を下記表1にまとめて示す。
Figure 0005456048

Claims (8)

  1. 第1制御信号基板上に導電性バッキング層を積層して接続し、この導電性バッキング層上に圧電体の両面に電極を形成した圧電素子および第1音響整合層をこの順序で積層し、前記第1音響整合層から前記圧電素子および前記導電性バッキング層を通して前記第1制御信号基板の表面に亘ってアレイ状に切断することにより前記圧電素子および前記第1音響整合層を有する複数のチャンネルをスペースをあけて形成した構造のアレイ式超音波プローブであって、
    厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層を前記第1制御信号基板と前記導電性バッキング層の間に存在させ、それらの部材を互に接合し、
    厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層を前記導電性バッキング層と前記圧電素子の間に存在させ、それらの部材を互に接合し、かつ
    厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層を前記圧電素子と前記第1音響整合層の間に存在させ、それらの部材を互に接合し、
    前記導電性バッキング層はタングステン−ニッケル−銅合金またはタングステンカーバイト系炭化物合金から作られ、
    前記金錫合金層は19〜21重量%Sn−Auの組成を有する
    医療用アレイ式超音波プローブ。
  2. 第1制御信号基板と、
    前記第1制御信号基板上に設けられた導電性バッキング層、前記導電性バッキング層上に設けられ、圧電体および前記圧電体の両面に形成された電極を有する圧電素子、および前記圧電素子上に設けられた第1音響整合層を有する複数の積層体と、
    を備え、前記複数の積層体はスペースをあけてアレイ状に互いに配置され、複数のチャンネルを形成し、
    前記複数の積層体は、
    前記第1制御信号基板と分離された前記導電性バッキング層の間に存在し、それらの部材を互に接合する厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層と、
    分離された前記導電性バッキング層とチャンネルの前記圧電素子の間に存在し、それらの部材を互に接合する厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層と、
    各チャンネルの前記圧電素子と前記第1音響整合層の間に存在し、それらの部材を互に接合する厚さ0.1〜5.0μmの金錫合金層と、
    備え、
    前記導電性バッキング層はタングステン−ニッケル−銅合金またはタングステンカーバイト系炭化物合金から作られ、
    前記金錫合金層は19〜21重量%Sn−Auの組成を有する
    医療用アレイ式超音波プローブ。
  3. 前記導電性バッキング層は50MRayls以上の音響インピーダンスを有する請求項1または2記載の医療用アレイ式超音波プローブ。
  4. 前記圧電素子は、圧電体と、この圧電体の両面に形成される一対の電極とを備え、前記圧電素子の圧電体と前記導電性バッキング層は前記圧電体側に配置されるチタン層およびこのチタン層と前記導電性バッキング層の間に配置される前記金錫合金層で接合され、かつ前記チタン層および前記金錫合金層は前記導電性バッキング層側に位置する前記圧電素子の一方の電極機能と接合機能とを兼ねる請求項1または2記載の医療用アレイ式超音波プローブ。
  5. 前記チタン層は0.01〜0.05μmの厚さを有する請求項4記載の医療用アレイ式超音波プローブ。
  6. 前記圧電素子は、5〜40モル%のチタン酸鉛と60から95モル%のPb(B1,Nb)O(ここで、B1はマグネシウム、亜鉛、インジウム、スカンジウム、およびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を示す)にて表わされるリラクサ系鉛複合ペロブスカイト化合物とを含む圧電単結晶からなる圧電体を備える請求項1または2記載の医療用アレイ式超音波プローブ。
  7. 前記第1音響整合層上に形成される第2制御信号基板と、この第2制御信号基板上に形成される第2音響整合層と、この第2音響整合層に形成される音響レンズとをさらに備える請求項1または2記載の医療用アレイ式超音波プローブ。
  8. 請求項1または2記載の医療用アレイ式超音波プローブと、前記超音波プローブにケーブルを通して接続された超音波プローブ制御器とを具備した超音波診断装置。
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