JP5455394B2 - 光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体製造法 - Google Patents

光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体製造法 Download PDF

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本発明は、光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体の製造方法に関する。
従来、光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体の製造方法としては、特許文献1で報告されているようにリパーゼ等の酵素を用いた不斉加水分解を経る方法が知られている。当該文献においては、下記式(7)で示されるスキームに従って光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体を製造している。
Figure 0005455394
しかしながら、当該文献の実施例においては、光学活性ヒドロキシ体である化合物(3)と光学活性アセテートである化合物(4)をシリカゲルカラムを用いて分離しており、非効率的な製造方法であった。
特許第2846770号公報
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体を、簡便に、かつ、収率良く製造する方法を提供することである。
そして本発明者は、上記課題に対して鋭意研究を行った結果、式(1)で表される化合物から、式(2)で表される化合物のラセミ体を製造し、その後、式(2)で表される化合物のラセミ体をリパーゼで処理して不斉加水分解を行うことによって式(3)及び式(4)で表される光学活性体の混合物を得、さらに、特定の有機溶媒を用いて洗浄を行うことにより、光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体を簡便に、かつ、収率良く製造できることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
工程(a):下記式(1)
Figure 0005455394

で表される化合物から下記式(2)
Figure 0005455394

で表される化合物のラセミ体を得る工程と、
工程(b):前記式(2)で表される化合物のラセミ体をリパーゼで処理して不斉加水分解することにより下記式(3)
Figure 0005455394

及び、下記式(4)
Figure 0005455394

で表される光学活性体の混合物を得る工程と、
工程(c):前記式(4)で表される化合物を溶解し、かつ、前記式(3)で表される化合物を溶解しない溶媒(A)を用いて、前記光学活性体の混合物から前記式(4)で表される化合物を溶解、ろ過して、洗浄する工程と、
を含む、光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体の製造方法。
[2]
前記工程(b)における前記式(2)で表される化合物のラセミ体は、水に湿潤した状態である、上記[1]項記載の製造方法。
[3]
前記溶媒(A)はSP値が8以下の有機溶媒である、上記[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]
工程(d):前記工程(b)の後、前記光学活性体の混合物を抽出溶媒を用いて抽出し、次いで前記式(4)で表される化合物を溶解し、前記式(3)で表される化合物を溶解せず、かつ、前記抽出溶媒より沸点の高い溶媒(B)を加えた後、前記抽出溶媒を留去する工程、をさらに含む、上記[1]〜[3]のいずれか記載の製造方法。
[5]
前記工程(d)における抽出溶媒は、脂肪族エステル系溶媒又はハロゲン系溶媒である、上記[4]記載の製造方法。
[6]
前記溶媒(B)はSP値が8以下の有機溶媒である、上記[4]又は[5]記載の製造方法。
[7]
工程(e):前記工程(c)の洗浄後の母液を濃縮し、残渣に水と混合する溶媒(C)と、水を加えて、前記式(4)で表される化合物を析出させて単離する工程、をさらに含む、上記[4]〜[6]のいずれか記載の製造方法。
[8]
前記溶媒(C)はSP値が10以上の有機溶媒である、上記[7]記載の製造方法。
本発明によれば、光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体を、簡便に、かつ、収率良く製造する方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体の製造方法は、
工程(a):下記式(1)
Figure 0005455394

で表される化合物から下記式(2)
Figure 0005455394

で表される化合物のラセミ体を得る工程と、
工程(b):前記式(2)で表される化合物のラセミ体をリパーゼで処理して不斉加水分解することにより下記式(3)
Figure 0005455394

及び、下記式(4)
Figure 0005455394

で表される光学活性体の混合物を得る工程と、
工程(c):前記式(4)で表される化合物を溶解し、かつ、前記式(3)で表される化合物を溶解しない溶媒(A)を用いて、前記光学活性体の混合物から前記式(4)で表される化合物を溶解、ろ過して、洗浄する工程と、
を含む。
本実施の形態の製造方法は、下記式(8)で示されるスキームに従った方法である。
Figure 0005455394
以下、各工程について説明する。
[工程(a)]
工程(a)は、式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)とも言う。)から式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)とも言う。)のラセミ体を得る工程である。
工程(a)においては、例えば、原料である式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)とも言う。)に、ジ−tert−ブチル−ジ−カーボネート及び無水酢酸を反応させることにより、式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)とも言う。)のラセミ体を得ることができる。以下、本工程における一態様について説明する。
まず化合物(1)((±)トランス−2−アミノシクロヘキサノール)を溶媒に溶解した後、ジ−tert−ブチル−ジ−カーボネートを加えてBoc化反応を行う。
ジ−tert−ブチル−ジ−カーボネートの使用量は、化合物(1)に対して、好ましくは1.0〜1.3当量であり、より好ましくは1.0〜1.1当量である。
Boc化に用いる溶媒としては、特に限定されないが、環境への負荷を低減する観点から、好ましくは、環状エーテル系溶媒、脂肪族ケトン系溶媒である。
環状エーテル系溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、4−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、モルフォリン等を用いることができ、好ましくは、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンであり、より好ましくは、テトラヒドロフランである。
脂肪族ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−sec−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、エチルプロピルケトン、ブチルエチルケトン等を用いることができ、好ましくは、アセトン、メチルエチルケトンである。
溶媒の使用量は、化合物(1)に対して、通常2〜20倍容量であり、好ましくは3〜5倍容量であり、より好ましくは約4倍容量である。
ジ−tert−ブチル−ジ−カーボネートによるBoc化反応における反応温度は、通常15〜50℃であり、好ましくは25〜45℃、より好ましくは30℃〜40℃である。また、反応時間は、通常0.5〜3時間であり、より好ましくは1.5〜2.5時間である。
上記Boc化反応終了後に、無水酢酸及び塩基を加えてアセチル化反応を行うことにより、化合物(2)のラセミ体を製造する。ここで、Boc化における反応溶媒として、化合物(1)及び化合物(2)の両方を溶解する溶媒を使用した場合には、ジ−tert−ブチル−ジ−カーボネートによるBoc化と、無水酢酸によるアセチル化を、同一容器内で連続的に行う(ワンポット反応)ことができるため好ましい。
無水酢酸によるアセチル化反応における反応温度は、通常20〜60℃であり、好ましくは30〜55℃であり、より好ましくは40〜50℃である。また、反応時間は、通常6〜24時間であり、好ましくは8〜16時間であり、より好ましくは8〜12時間である。
アセチル化に用いる塩基としては、特に限定されず、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用いることができる。塩基の使用量としては、無水酢酸に対して、好ましくは1〜2当量、より好ましくは1.0〜1.1当量である。
化合物(2)のラセミ体の単離、精製は常法により行うことができる。例えば、溶媒による抽出、シリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、減圧蒸留、再結晶等の当該分野で公知の方法によって、化合物(2)のラセミ体を単離、精製することができる。
[工程(b)]
工程(b)は、前記式(2)で表される化合物のラセミ体をリパーゼで処理して不斉加水分解することにより前記式(3)及び(4)で表される光学活性体(以下、それぞれ化合物(3)及び化合物(4)とも言う。)の混合物を得る工程である。
不斉加水分解には、通常使用されているリパーゼを用いればよく、例えば、Pseudomonas cepacia lipaseを起源とするリパーゼPS「アマノ」SDや、Aspergillus nigerを起源とするリパーゼA6が具体例として挙げられる。
リパーゼの使用量は、化合物(2)に対して、好ましくは0.1〜0.5倍質量、より好ましくは約0.125倍質量である。
この酵素反応は、反応を阻害しない適宜の媒体中で行うことができ、例えば、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH6.0〜7.0)中で行うことができる。媒体の使用量は、化合物(2)に対して、好ましくは10〜100倍容量であり、より好ましくは20〜25容量である。反応温度は、通常30〜50℃であり、好ましくは約45℃である。反応時間は、通常6〜24時間であり、好ましくは約20時間である。
酵素反応における撹拌速度は、好ましくは30〜300rpmであり、より好ましくは50〜150rpmである。攪拌速度が上記範囲であることにより、酵素の失活が低減され、不斉加水分解反応がより良好に進行する傾向にある。
また、工程(b)においては、式(2)で表される化合物のラセミ体は、水に湿潤した状態であるのが好ましい。化合物(2)が乾燥した状態であると、基質である化合物(2)の疎水性が強いため反応媒体として使用するリン酸緩衝液等との混合が困難となり、不斉加水分解反応が良好に進行しないおそれがある。
本実施の形態の製造方法においては、上記工程(a)及び(b)を実施することにより、下記式(3)
Figure 0005455394
及び、下記式(4)
Figure 0005455394
で表される、光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体の混合物を得ることができる。
[工程(c)]
本実施の形態の製造方法においては、前記工程(b)の後、前記式(4)で表される化合物を溶解し、かつ、前記式(3)で表される化合物を溶解しない溶媒(A)を用いて、前記光学活性体の混合物から前記式(4)で表される化合物を溶解、ろ過して、洗浄する工程を実施する。
本工程においては、特定の有機溶媒を用いて、光学活性体の混合物を洗浄することにより、従来のシリカゲルカラムを用いる方法と比較して、より簡便に、かつ、収率良く化合物(3)を単離することが可能となった。
前記式(4)で表される化合物を溶解し、かつ、前記式(3)で表される化合物を溶解しない溶媒(A)としては、好ましくはSP値が8以下の有機溶媒であり、より好ましくは炭素数5〜10の脂肪族炭化水素溶媒であり、さらに好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンであり、特に好ましくはヘキサンである。本実施の形態においてSP値(溶解度パラメーター)とは、ヒルデブランドの溶解パラメーターとも言われるものであり、代表的な溶媒については、Chemical Reviews,1975,Vol.75,No6,731−753のTABLEVにδ(cal1/2cm-3/2)として記載されている。
洗浄操作は、溶媒(A)を光学活性体の混合物に加えて、攪拌後、ろ過することにより行うことができる。洗浄操作は、複数回繰り返してもよい。洗浄操作における溶媒(A)の使用量としては、光学活性体の混合物に対して、好ましくは1〜10倍容量であり、より好ましくは約4倍容量である。
洗浄操作により光学活性ヒドロキシ体である化合物(3)が得られ、さらに必要に応じて溶媒(A)で再結晶を行うことにより、高い光学純度及び収率で化合物(3)を単離することができる。再結晶で使用する溶媒(A)の容量は化合物(3)に対して、好ましくは10〜40倍容量、より好ましくは約25倍容量である。
[工程(d)]
本実施の形態の製造方法においては、前記工程(b)の後、前記光学活性体の混合物を抽出溶媒を用いて抽出し、次いで前記式(4)で表される化合物を溶解し、前記式(3)で表される化合物を溶解せず、かつ、前記抽出溶媒より沸点の高い溶媒(B)を加えた後、前記抽出溶媒を留去する工程、をさらに含んでいてもよい。
本工程においては、光学活性ヒドロキシ体である化合物(3)と光学活性アセテートである化合物(4)の混合物を抽出溶媒を用いて抽出し、必要に応じて抽出溶媒を一定量まで留去した後、溶媒(B)を加えて抽出溶媒を完全に留去することにより溶媒の置換を行う。抽出溶媒よりも沸点の高い溶媒(B)を加えることにより、抽出溶媒をより迅速、かつ、完全に留去することができる。逆に、抽出溶媒よりも沸点が低い溶媒を加えた場合には、抽出溶媒が完全に留去しないため化合物(3)の一部が抽出溶媒に溶解した状態のままとなり、上述した工程(c)における化合物(3)の収率が悪化する傾向にある。
また、溶媒(B)を加えずに抽出溶媒を留去すると、化合物(3)及び化合物(4)が固化し、その後の単離、精製が困難となる。溶媒(B)を加えて抽出溶媒を完全に留去した場合には、抽出溶媒留去後に溶媒(B)が残存することになるため、光学活性ヒドロキシ体である化合物(3)と光学活性アセテートである化合物(4)の混合物が流動性の良い液体中で析出し、その後の単離、精製が容易となる傾向にある。
光学活性ヒドロキシ体である下記(3)式の化合物と光学活性アセテートである下記(4)式の化合物の混合物を抽出する抽出溶媒としては、化合物(3)及び化合物(4)を溶解するものであれば特に限定されないが、好ましくは脂肪族エステル系溶媒又はハロゲン系溶媒である。
脂肪族エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等を用いることができ、好ましくは酢酸エチルである。
ハロゲン系溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等を用いることができ、好ましくは塩化メチレン、クロロホルムである。
抽出溶媒の使用量は、化合物(3)と化合物(4)の混合物に対して、通常10〜30倍容量であり、好ましくは約15倍容量である。抽出後、必要に応じて抽出溶媒を結晶が析出するまで減圧留去する。抽出溶媒の留去は、好ましくは1/10〜3/10倍容量、より好ましくは約1.5/10倍容量まで行う。
溶媒(B)としては、好ましくはSP値が8以下の有機溶媒であり、より好ましくは炭素数6〜10の脂肪族炭化水素溶媒であり、さらに好ましくはヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンであり、特に好ましくはヘプタンである。
加える溶媒(B)の容量は、(一部留去後の)抽出溶媒に対して、好ましくは1〜10倍容量であり、より好ましくは約3倍容量である。その後、抽出溶媒を完全に留去して溶媒を置換する。
[工程(e)]
工程(e)は、前記工程(c)の洗浄後の母液を濃縮し、残渣に水と混合する溶媒(C)と、水を加えて、前記式(4)で表される化合物を析出させて単離する工程である。
本工程においては、工程(c)で行った洗浄後の母液を濃縮し、濃縮残渣に溶媒(C)を加え残渣を溶解したのち、水を加えて析出した結晶をろ取することにより光学活性アセテートである化合物(4)を単離することができる。
溶媒(C)としては、水と混合するものであれば特に限定されないが、好ましくはSP値が10以上の有機溶媒であり、より好ましくは炭素数3以下の低級アルコールであり、さらに好ましくはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールであり、特に好ましくはメタノールである。
使用する溶媒(C)の容量は濃縮残渣に対して、通常3〜10倍容量であり、好ましくは約5倍容量である。また、使用する水の容量は濃縮残渣に対して、通常3〜10倍容量であり、好ましくは約7.5倍容量である。
工程(e)で使用した水及び溶媒(C)の母液中に残存する化合物(3)及び(4)は、上記の工程(c)、(d)及び(e)を繰り返すことにより、さらに単離、精製することできる。
工程(c)の後、得られた式(3)で表される光学活性ヒドロキシ体は、下記式(9)で示すように、塩酸等の酸で処理することにより、下記式(5)で表される(1R,2R)トランス−2−アミノシクロヘキサノール塩酸塩等の適宜の塩に変換することができる。
Figure 0005455394
本実施の形態の製造方法を用いて得られた式(5)で表される(1R,2R)トランス−2−アミノシクロヘキサノール塩酸塩を、下記式(10)で示すように、2,4−ジニトロフルオロベンゼンで処理し下記式(11)で表される化合物を得て、高速液体クロマトグラフィーで光学純度を測定したところ100%e.e.であることが判明した。化合物(11)の絶対配置は特許第2846770号公報を参照した。
Figure 0005455394
また、工程(e)の後、得られた式(4)で表される光学活性アセテートを、下記式(12)で示すように、メタノール溶媒中1.0〜3.0当量のナトリウムメチラートで処理して下記式(13)で表される光学活性ヒドロキシ体に導き、次いで、1.0〜3.0当量の塩酸等の適宜の酸を用いてtert−ブチルオキシカルボニルを除去して、下記式(6)で表される(1S,2S)トランス−2−アミノシクロヘキサノール塩酸塩等の適宜の塩に変換することができる。
Figure 0005455394
以下に本実施の形態を具体的に説明した実施例を例示するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[工程(a)]
(±)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテートの製造
テトラヒドロフラン42mLにジ−tert−ブチル−ジ−カーボネートを18.9g(86.8mmol)を加え、(±)2−アミノシクロヘキサノール10.0g(86.8mmol)を30分かけて加えて、35℃で2時間反応させた後、トリエチルアミン17.6g(174mmol)と、無水酢酸17.7g(174mmol)を加え45℃で10時間反応させた。反応終了後、反応液を水245mLに加え、30分撹拌し、析出した結晶をろ取し、(±)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテート20.7g(80.34mmol、収率92.6%)を得た。
得られた化合物のNMRスペクトルは、特許第2846770号の実施例2のデータと一致した。
[工程(b)]
(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール及び(1S,2S)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテート混合物の製造
(±)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテート20g(77.7mmol)の50%湿品(含水品)を0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)400mLに懸濁させ、リパーゼPS(アマノ)SD(天野エンザイム株式会社製)を2.5g加えて、48℃で20時間、撹拌モーターを使用してゆっくり撹拌しながら不斉加水分解を行った。
[工程(c)]及び[工程(d)]
(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノールの製造
上記反応終了後、ケイソウ土5.0g、酢酸エチル180mL、塩化ナトリウム128.5gを加え、30分撹拌した後、ろ過、分液し、水層を再度、酢酸エチル90mLで抽出し、酢酸エチル層を併せて、1%炭酸水素ナトリウム水30mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層の酢酸エチルを230mL留去した後、ヘプタンを85mL加え、酢酸エチル、ヘプタン混合物を34mL留去した。さらにヘプタン34mLを加え、酢酸エチル、ヘプタン混合物を34mL留去する操作を2〜3回繰り返し、酢酸エチルをすべて留去した後、ヘキサンを68mL加え、析出した結晶をろ取した。ろ紙上の結晶をヘキサン200mL、25℃で30分間撹拌洗浄し、ろ過した。さらにろ紙上の結晶をヘキサン233mLで再結晶することにより光学活性な、(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール5.46g(24.9mmol、収率32.6%)を得た。
洗浄、再結晶後のヘプタン及びヘキサン母液を濃縮し、残留物をメタノール56mLに溶解し、水84mLを加えて析出した結晶をろ取した。母液を70mLに濃縮し、塩化ナトリウムを加え、酢酸エチル30mLで2回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、有機層を濃縮し、上記と同様の方法によりヘプタン及びヘキサンを用いて洗浄及び再結晶(精製)を行い、(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール1.56g(7.1mmol)を得た。
上記方法により得られた(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノールの合計量は、7.02g(32.2mmol、収率41.4%)であった。
また、得られた化合物のNMRスペクトルは、特許第2846770号の実施例1のデータと一致した。
これらの光学活性な(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール100mgをジオキサン1.5mL、濃塩酸120uL、10℃で1時間処理し、濃縮した後、クロロホルム10mL、2,4−ジニトロフルオロベンゼン1.86g、トリエチルアミン200uLを加え60℃で1時間処理し、溶媒を留去した後、エタノール100mLで希釈し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、保持時間18分付近に(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノールのピークを検出した。また、この化合物の鏡像異性体は検出されず光学純度100%e.e.であった。
HPLCの分析条件は、カラム:ダイセル化学工業 CHIRALPAK IB、カラム温度25℃、移動相:ヘキサン/tert−ブチルメチルエーテル/エタノール=50/50/2、流速:1.0mL/min、検出波長:350nmで行った。
[工程(e)]
(1S,2S)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノールの製造
上記工程(c)における洗浄、再結晶後のヘプタン及びヘキサン母液を濃縮し、残留物をメタノール56mLに溶解し、水84mLを加えて析出した結晶をろ取して(1S,2S)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテート7.30g(28.4mmol、収率36.6%)を得た。この結晶1.0gを特許第2846770号の実施例7と同様の処理を行うことにより、(1S,2S)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノールとし、上記と同様の塩酸処理と2,4−ジニトロフルオロベンゼン付加を行った後、高速液体クロマトグラフィーによる光学純度測定を行った結果、保持時間14分付近に(1S,2S)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノールのピークを検出した。また、この化合物の鏡像異性体は検出されず光学純度100%e.e.であった。光学純度の測定は上記と同様の方法により行った。
また、得られた化合物のNMRスペクトルは、特許第2846770号の実施例1のデータと一致した。
(実施例2)
(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール及び(1S,2S)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテートの製造
(±)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテート3.0g(11.66mmol)を6mLのメタノールに溶解し、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.0)60mLに加え、リパーゼPS(アマノ)SDを0.375g加えて、48℃、16時間不斉加水分解を行った。反応終了後、実施例1と同様の方法により、(1R,2R)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキサノール1.03g(4.72mmol、収率41.0%)及び(1S,2S)トランス−2−tert−ブトキシカルボアミドシクロヘキシルアセテート1.10g(4.27mmol、収率35.0%)を得た。光学純度はそれぞれ100%e.e.であった。光学純度の測定は実施例1と同様の方法により行った。

Claims (8)

  1. 工程(a):下記式(1)
    Figure 0005455394

    で表される化合物から下記式(2)
    Figure 0005455394

    で表される化合物のラセミ体を得る工程と、
    工程(b):前記式(2)で表される化合物のラセミ体をリパーゼで処理して不斉加水分解することにより下記式(3)
    Figure 0005455394

    及び、下記式(4)
    Figure 0005455394

    で表される光学活性体の混合物を得る工程と、
    工程(c):前記式(4)で表される化合物を溶解し、かつ、前記式(3)で表される化合物を溶解しない溶媒(A)を用いて、前記光学活性体の混合物から前記式(4)で表される化合物を溶解、ろ過して、洗浄する工程と、
    を含む、光学活性なトランス−2−アミノシクロヘキサノール誘導体の製造方法。
  2. 前記工程(b)における前記式(2)で表される化合物のラセミ体は、水に湿潤した状態である、請求項記載の製造方法。
  3. 前記溶媒(A)はSP値が8以下の有機溶媒である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 工程(d):前記工程(b)の後、前記光学活性体の混合物を抽出溶媒を用いて抽出し、次いで前記式(4)で表される化合物を溶解し、前記式(3)で表される化合物を溶解せず、かつ、前記抽出溶媒より沸点の高い溶媒(B)を加えた後、前記抽出溶媒を留去する工程、をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. 前記工程(d)における抽出溶媒は、脂肪族エステル系溶媒又はハロゲン系溶媒である、請求項4記載の製造方法。
  6. 前記溶媒(B)はSP値が8以下の有機溶媒である、請求項4又は5記載の製造方法。
  7. 工程(e):前記工程(c)の洗浄後の母液を濃縮し、残渣に水と混合する溶媒(C)と、水を加えて、前記式(4)で表される化合物を析出させて単離する工程、をさらに含む、請求項4〜6のいずれか1項記載の製造方法。
  8. 前記溶媒(C)はSP値が10以上の有機溶媒である、請求項7記載の製造方法。
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