JP5454511B2 - ソレノイドバルブ - Google Patents
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Description
なお、以下の明細書中では、説明の便宜上、プランジャの移動方向を左右方向(軸方向)とし、左右方向のうちヨークのカップ底側を右側と称し、ヨークのカップ開口側を左側と称して説明するが(例えば、図2参照)、この左右方向は説明のためのものであって、実際の搭載方向を限定するものではない。
図5、図6に示すように、外部コネクタ6とヨーク1の嵌合部βに呼吸通路5の外部開口部5aが設けられるリニアソレノイド4と、このリニアソレノイド4により駆動されるバルブV(図面はスプール弁)とを結合してなるソレノイドバルブが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
なお、特許文献1は、リングコア8(摺動コア12bと、ヨーク1のカップ底部との磁気の受渡しを行なう磁性体リング)を用いたソレノイドバルブを示すものであり、特許文献2はリングコア8を用いないソレノイドバルブを示すものである。
そのため、「上方から落下する異物{例えば、図6(b)の図示右側に示すように、自動変速機のメカ部からオイル飛沫が落下する場合等}」や「オイル中で緩やかに落下する異物{例えば、図6(b)の図示左側に示すように、オイルパン内に油中配置された場合等}」が、外部開口部5aから呼吸通路5の内部に入り易くなる。
このため、外部コネクタ6が上側に配置された場合、外部開口部5aから呼吸通路5に侵入した異物は、容積変動室α(プランジャ3の摺動部)に容易に到達してしまう。このため、容積変動室αに到達した異物によって、プランジャ3の摺動不良が発生する懸念がある。
即ち、従来技術のソレノイドバルブでは、外部コネクタ6が上側に向けて配置された場合には、異物の侵入により誤作動が発生する懸念があった。
請求項1は、ヨークと外部コネクタの嵌合部をなす外部コネクタの根元部の周囲に、リング状のゴムパッキンを装着したものである。
これにより、ヨークと外部コネクタの嵌合部に設けられた呼吸通路の外部開口部が、ゴムパッキンによってシールされる。
厳密には、ヨークに形成される切欠部の左側の開口部分の全てをゴムパッキンで完全に塞ぐことは困難(特に、切欠部の左側の開口部分の両端を完全に塞ぐことは困難)であって、僅かな隙間が形成される。この僅かな隙間を利用して、呼吸通路は外部と連通するものである。
このように、ヨークと外部コネクタの嵌合部(呼吸通路の外部開口部)が、ゴムパッキンによってシールされるため、外部コネクタの配置方向にかかわらず(即ち、外部コネクタが上側に向けて配置される場合であっても)、異物が呼吸通路に侵入しない。このため、ソレノイドバルブの作動不良の発生を防ぎ、信頼性を高めることができる。
特に、請求項1の手段によれば、外部コネクタは、ゴムパッキンの内外を連通させる呼吸溝を備えるものである。
これにより、ゴムパッキンが外部開口部を完全に塞ぐような場合であっても、呼吸溝によって呼吸通路を外部に連通させることができる。
そして、外部コネクタを上に配置して、ヨークを軸方向から見た場合に、呼吸溝を外部コネクタの下面で、且つ外部コネクタの左右幅の中間部に設けることにより、外部コネクタが上側に向けて配置されても、外部コネクタが傘の役割を果たすため、異物が呼吸溝に侵入するのを防ぐことができる。このように、異物が呼吸通路に侵入しないため、ソレノイドバルブの作動不良の発生を防ぎ、信頼性を高めることができる。
請求項2は、外部コネクタの根元部の周囲に、ゴムパッキンを嵌め入れる装着溝を設け、この装着溝における外部コネクタ側の溝壁面に、溝底(装着溝の中心側)に向かって溝幅を狭くするテーパ面を設けたものである。
このようにテーパ面を設けたことにより、ゴムパッキンの縮径力(復元力)によってゴムパッキンが、ゴムパッキンに当接する部材(外部コネクタやヨーク等)に強く圧迫され、ゴムパッキンのシール性を高めることができる。
請求項3のゴムパッキンは、矩形形状を呈するものである。
ゴムパッキンの形状を外部コネクタの根元部の形状に合致させることで、ゴムパッキンのシール性を高めることができる。
請求項4は、矩形形状を呈するゴムパッキンのうちの右側の一辺(カップ底部に近い側の一辺:後述する実施例では右辺ゴム7c)が、ヨークと外部コネクタとの間に挟まれて配置される。
これにより、外部コネクタに加わる外力をゴムパッキンで吸収することができ、外部コネクタの外力に対する耐荷重を高めることができる。このため、外部コネクタの信頼性を高めることができる。
請求項5は、矩形形状を呈するゴムパッキンのうちの左側の一辺(カップ開口側の一辺:後述する実施例では左辺ゴム7d)が、切欠部の開口幅に嵌まり合う突部を備える。
この突部により、切欠部の左側の開口部分を塞ぐことができ、切欠部の左側の開口部分のシール性を高めることができる。
また、突部が切欠部の左側の開口部分に嵌まり合うことで、突部が外部コネクタに対する位置決め手段として機能する。このため、外部コネクタに対してゴムパッキンがズレて組み付けられる不具合がなく、ゴムパッキンの信頼性を高め、安定して高いシール性を得ることができる。
ソレノイドバルブは、
・有底で略円筒状のカップ形状を呈する磁性体製のヨーク1と、
・このヨーク1の内部に収容されて通電により磁力を発生するコイル2と、
・このコイル2の発生磁力により直線方向へ変位するプランジャ3と、
を有するリニアソレノイド4を具備する。
リニアソレノイド4の内部には、「容積変動室α」と「ヨーク1の外部」とを連通する呼吸通路5が設けられる。
リニアソレノイド4は、ヨーク1の開口部に形成された切欠部1aから外部に露出してなる樹脂製の外部コネクタ6を備える。
呼吸通路5の外部開口部5aは、外部コネクタ6とヨーク1との嵌合部βをなす外部コネクタ6の根元部に設けられる。
外部コネクタ6の根元部の周囲には、リング状のゴムパッキン7が装着され、外部開口部5aが、ゴムパッキン7によって微細な隙間(呼吸のための隙間)を残した状態でシールされる。
なお、以下の実施例において上記[発明を実施するための形態]と同一符号は、同一機能物を示すものである。
図1〜図3を参照して実施例1を説明する。
この実施例に示すソレノイドバルブは、車両用自動変速機の油圧制御装置に搭載されるものであり、油路の切替制御や油圧制御を行なうバルブV(図面ではスプール弁を示すが、ボール弁であっても良い)と、このバルブVを駆動するリニアソレノイド4とを結合したものである。
・オイルサーキットハウジングの内部に直接挿入されるバルブボディ10と、
・このバルブボディ10の内部で変位する弁体と、
・この弁体をリニアソレノイド4が配置される側(右側)へ付勢するリターンスプリングと、
を備えて構成される。
(a)有底で略円筒状のカップ形状を呈する磁性体製のヨーク1と、
(b)通電により磁力を発生するコイル2と、
(c)コイル2の発生磁力により直線方向へ変位するプランジャ3(符号、図6参照)と、
(d)このコイル2をモールドしてヨーク1の内部に収容されるとともに、一部がヨーク1の外部において外部コネクタ6を成すコイルモールド樹脂11と、
(e)コイル2の発生した磁力によってプランジャ3を左側へ磁気吸引する磁気吸引コア12a、プランジャ3の周囲を覆ってプランジャ3を直接摺動させる円筒形状を呈してプランジャ3と径方向の磁気の受渡しを行なう摺動コア12b、磁気吸引コア12aと摺動コア12bの磁気遮断を行なう磁気遮断部12c(薄肉部)を備え、磁気吸引コア12a、摺動コア12b、磁気遮断部12cが一体に設けられた磁性体製のステータコア12と、
(f)摺動コア12b(ステータ部品に相当する)とヨーク1のカップ底部との磁気の受渡しを行なう磁性体製のリングコア13と、
(g)この摺動コア12bをヨーク1のカップ底部に向けて押し付ける付勢リング14と、
を備える。
なお、プランジャ3には、軸方向に貫通する呼吸孔または呼吸溝が形成されている。
外部コネクタ6は、ヨーク1の開口端側に形成された略コ字形の切欠部1aからヨーク1の外部へ突出配置されて、ソレノイドバルブを制御する電子制御装置(図示しないAT−ECU)と電気的な接続を行うための結合手段であり、この外部コネクタ6の内部にはコイル2の両端にそれぞれ接続されるコネクタ端子6aが配置されている。
そして、略円筒形の内周面には、ステータコア12の筒部が挿入配置される。また、略円筒形の外周面(外部コネクタ6を除く部分)は、ボビン2aの内部に挿入配置される。
具体的に、付勢リング14は、ウエーブワッシャ、皿バネなど金属製のリング弾性体、あるいはOリングあるいはリング円板ゴムなどのゴム製のリング弾性体である。
コイル2の発生磁力とリターンスプリングの付勢力とによりプランジャ3を左右方向へ変位させるには、容積変動室αを容積変動可能にする必要がある。
そこで、この実施例のリニアソレノイド4は、容積変動室αとヨーク1の外部とを連通する呼吸通路5を備える。
一方、内部開口部5bは、ヨーク1のカップ底部とリングコア13との間に設けられる。
なお、ヨーク1のカップ底部の中心部には、内側に突出する凸部1bが設けられており、プランジャ3がヨーク1のカップ底部に押し付けられた状態であっても、プランジャ3とヨーク1のカップ底部の間に隙間が形成される。
そこで、この実施例では、リングコア13の右面(カップ底部に当接する側の面)に、外周側と内周側を連通する呼吸溝を形成し、この呼吸溝を内部開口部5bとして用いている。
なお、この実施例では、内部開口部5bをリングコア13に形成する例を示すが、ヨーク1のカップ底部にリングコア13の内外を連通させる内部開口部5b(呼吸溝)を設けても良い。
すると、気中配置される場合は「上方から落下するオイルに含まれる異物」が外部開口部5aから呼吸通路5の内部に入り易くなる。また、油中配置される場合は「オイル中で緩やかに落下する異物」が外部開口部5aから呼吸通路5の内部に入り易くなる。
この装着溝15は、外部コネクタ6を上方から見た場合と同じく略矩形形状を呈する溝であり、軸方向に沿う2つの軸方向辺溝15a、15bと、右側(カップ底部に近い側)の右辺溝15cと、左側(カップ開口端に近い側)の左辺溝15dとで構成される。
具体的に、ゴムパッキン7は、軸方向辺溝15a、15bに嵌まり合う2つの軸方向辺ゴム7a、7bと、右辺溝15cに嵌まり合う右辺ゴム7cと、左辺溝15dに嵌まり合う左辺ゴム7dとを備えた矩形形状を呈するものである。
また、左辺ゴム7d(ゴムパッキン7のうちカップ開口側の一辺)には、切欠部1aの開口幅Lに嵌まり合う突部7d’が設けられている。
また、突部7d’の突出長(他のゴム断面より下方へ向かう長さ)は、「ヨーク1の外径寸法」と「ヨーク1の薄肉爪によりカシメられる部位の外径寸法(バルブハウジングの鍔部およびステータコアの鍔部の外径寸法)」との差厚分を、突部7d’によって埋めることができる長さに設けられている。
この実施例のソレノイドバルブは、上述したように、外部コネクタ6の根元部の周囲に、リング状のゴムパッキン7を装着して、外部開口部5aをゴムパッキン7によりシールするものである。なお、ゴムパッキン7は、外部開口部5aを完全にシールするものではなく、例えば、切欠部1aの開口幅Lの端部において微細な隙間が形成されるため、この微細な隙間によって外部開口部5aは外部と連通するものである。
このように、ヨーク1と外部コネクタ6の嵌合部β(呼吸通路5の外部開口部5a)が、ゴムパッキン7によってシールされるため、外部コネクタ6の配置方向にかかわらず(即ち、この実施例のように外部コネクタ6が上側に向けて配置される場合であっても)、異物が呼吸通路5に侵入しない。このため、ソレノイドバルブの作動不良の発生を防ぎ、信頼性を高めることができる。
この実施例では、上述したように、装着溝15における外部コネクタ6側(溝の上側面)にテーパ面Tを設けている。
このテーパ面Tにより、ゴムパッキン7の縮径力(復元力)によってゴムパッキン7が、ゴムパッキン7に当接する部材(外部コネクタ6やヨーク1等)に強く圧迫されるため、ゴムパッキン7のシール性を高めることができる。
この実施例では、上述したように、ゴムパッキン7を装着溝15に沿う矩形形状に設けている。
このため、ゴムパッキン7の形状が、外部コネクタ6の根元部の形状(具体的には、矩形形状を呈する装着溝15)に合致するため、ゴムパッキン7のシール性を高めることができる。
この実施例では、上述したように、矩形形状を呈するゴムパッキン7のうちの右辺ゴム7cが、ヨーク1の上面と外部コネクタ6の下面との間に挟まれて配置される。
これにより、外部コネクタ6に加わる外力をゴムパッキン7で吸収することができ、外部コネクタ6の外力に対する耐荷重を高めることができる。このため、外部コネクタ6の信頼性を高めることができる。
この実施例では、上述したように、矩形形状を呈するゴムパッキン7のうちの左辺ゴム7dに、切欠部1aの開口幅Lに嵌まり合う突部7d’を設けている。
この突部7d’により、切欠部1aの左側の開口部分を塞ぐことができ、切欠部1aの左側の開口部分のシール性を高めることができる。
また、突部7d’が切欠部1aの左側の開口部分に嵌まり合うことで、突部7d’が外部コネクタ6に対する位置決め手段として機能する。このため、外部コネクタ6(具体的には、矩形形状を呈する装着溝15)に対してゴムパッキン7がズレて組み付けられる不具合がなく、ゴムパッキン7の信頼性を高め、安定して高いシール性を得ることができる。
図4を参照して実施例2を説明する。なお、この実施例2において上記実施例1と同一符号は同一機能物を示すものである。
上記の実施例1では、ゴムパッキン7では塞ぐことのできない微細な隙間を利用して外部開口部5aを外部と連通させる例を示した。
しかるに、ゴムパッキン7のシール性能をさらに高める場合には、ゴムパッキン7が外部開口部5aを完全に塞ぐことが考えられる。あるいは、微細な隙間を介した呼吸ではリニアソレノイド4の応答性が遅い場合が想定される。
ここで、単に呼吸溝16を外部コネクタ6に追加すると、新たに設けた呼吸溝16から異物が呼吸通路5へ侵入する懸念がある。
そこで、この実施例では、図4(b)に示すように、外部コネクタ6を上に配置し、且つヨーク1をカップ底側から見た場合に(軸方向から見た場合の一例)、呼吸溝16を、外部コネクタ6の下面で、且つ外部コネクタ6の左右幅の略中央部(中間部の一例)に設けるものである。
なお、図面では呼吸溝16を2つ設ける例を示すが、呼吸溝16の数は限定されるものではなく、呼吸溝16の通路断面を小さくして溝数を増やしても良いし、逆に1つだけにしても良い。また、図面では、呼吸溝16を外部コネクタ6の右側の下面に設ける例を示すが、外部コネクタ6の左側の下面に設けても良い。
また、外部コネクタ6が上側に向けて配置されても、外部コネクタ6が異物の落下に対して傘の役割を果たすため、異物が重力によって呼吸溝16に侵入するのを防ぐことができる。このように、異物が呼吸通路5に侵入しないため、ソレノイドバルブの作動不良の発生を防ぎ、信頼性を高めることができる。
1a 切欠部
4 リニアソレノイド
5 呼吸通路
5a 外部開口部
6 外部コネクタ
7 ゴムパッキン
7c 右辺ゴム(カップ底部に近い側の一辺)
7d 左辺ゴム(カップ開口側の一辺)
7d’突部
15 装着溝
16 呼吸溝
α 容積変動室
β 嵌合部
L 開口幅
T テーパ面
Claims (5)
- 有底で略円筒状のカップ形状を呈する磁性体製のヨーク(1)と、このヨーク(1)の開口部に形成された切欠部(1a)から外部に露出してなる樹脂製の外部コネクタ(6)とを有するリニアソレノイド(4)を具備するソレノイドバルブにおいて、
前記リニアソレノイド(4)の内部には、作動に伴って容積変動する容積変動室(α)に通じる呼吸通路(5)が設けられ、
この呼吸通路(5)において前記ヨーク(1)の外部に開口する外部開口部(5a)は、前記ヨーク(1)と前記外部コネクタ(6)との嵌合部(β)をなす前記外部コネクタ(6)の根元部に設けられるとともに、この根元部の周囲に装着されたリング状のゴムパッキン(7)によってシールされており、
前記外部コネクタ(6)は、前記ゴムパッキン(7)の内外を連通させる呼吸溝(16)を備え、
この呼吸溝(16)は、前記外部コネクタ(6)を上に配置して、前記ヨーク(1)を軸方向から見た場合に、前記外部コネクタ(6)の下面で、且つ前記外部コネクタ(6)の左右幅の中間部に設けられることを特徴とするソレノイドバルブ。 - 請求項1に記載のソレノイドバルブにおいて、
前記外部コネクタ(6)の根元部の周囲には、前記ゴムパッキン(7)を嵌め入れる装着溝(15)が設けられ、
この装着溝(15)における前記外部コネクタ(6)側の溝壁面には、溝底に向かって溝幅を狭くするテーパ面(T)が設けられることを特徴とするソレノイドバルブ。 - 請求項1または請求項2に記載のソレノイドバルブにおいて、
前記ゴムパッキン(7)は、矩形形状を呈することを特徴とするソレノイドバルブ。 - 請求項3に記載のソレノイドバルブにおいて、
矩形形状を呈する前記ゴムパッキン(7)のうち前記ヨーク(1)のカップ底部に近い側の一辺(7c)は、前記ヨーク(1)と前記外部コネクタ(6)との間に挟まれて配置されることを特徴とするソレノイドバルブ。 - 請求項3または請求項4に記載のソレノイドバルブにおいて、
矩形形状を呈する前記ゴムパッキン(7)のうち前記ヨーク(1)のカップ開口側の一辺(7d)は、前記切欠部(1a)の開口幅(L)に嵌まり合う突部(7d’)を備えることを特徴とするソレノイドバルブ。
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