JP5453002B2 - シート後処理装置及びこれを備えた画像形成システム - Google Patents

シート後処理装置及びこれを備えた画像形成システム Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンタなどの画像形成装置から搬出されたシートに紙綴じなど後処理を施すシート後処理装置に係わり、トレイ上に搬出されたシートを所定の位置に整合するシート整合機構の改良に関する。
一般に、この種のシート後処理装置は複写機、プリンタなどの画像形成装置の排紙口に処理トレイを設け、この処理トレイにステップラー装置、パンチ装置、スタンプ装置などの後処理装置を設け、画像形成装置から送られたシートを部揃え集積して後処理を施す装置として広く知られている。
従来このような装置で、排紙口の下流側に処理トレイを、この処理トレイの下流側にスタックトレイを配置し、処理トレイで後処理したシート(束)をスタックトレイに収納する装置構成が知られている。例えば特許文献1には、排紙口の下流側に段差を形成して処理トレイを配置し、更にその下流側にスタックトレイを、略々同一平面上に配置し、排紙口からのシートの先端部をスタックトレイで支持し、シート後端部を処理トレイで支持(ブリッジ支持)する構造が開示されている。
このような装置において、排紙口から搬出されたシートを2つのトレイ間にブリッジ支持した状態で所定の規制ストッパ位置に整合するためのシート整合機構を処理トレイに配置する必要が生ずる。特許文献1の装置では処理トレイ上に排紙口から送られたシートを規制ストッパに突き当て整合するための送り機構が開示されている。また同文献では処理トレイの上方に昇降自在のローラを設け、排紙口からシート先端がスタックトレイに到達した後に、このローラを上方の待機位置からシートと接する作動位置に降下させている。そしてこのローラを排紙方向と逆方向に回転させて排紙口から搬出されたシート後端を規制ストッパに突き当て整合している。
特許文献2には同様の装置が開示され、シートを処理トレイの規制位置(ストッパ位置)に位置決め集積する際に、上下昇降可能に構成したスタックトレイを、処理トレイと同一平面上に昇降制御する装置が開示されている。つまり排紙口からのシートを処理トレイに部揃集積する際には、この両トレイが実質的に同一面上に位置するようにスタックトレイを上下動させている。
特開2006−248686号公報 特公平8−9451号公報
上述のように処理トレイとスタックトレイ間に支持したシートを処理トレイの所定位置(後処理位置)に整合する場合に、従来は処理トレイとスタックトレイとを実質的に同一面上に位置するようにスタックトレイの高さ位置を調整している。そしてこの処理トレイとスタックトレイとを所定角度傾斜させることも既に知られている。
ところが最近の画像形成装置では、極めて広汎な性状のシートを使用することが余儀なくされている。例えば写真データの画像形成ではコーティングシートが、製本表紙の画像形成では極厚紙シートが、和紙などへの画像形成では極薄紙シートが使用され、画像形成システムの多機能化と共に使用するシートの性状は広汎になっている。そこで従来の整合機構では次の不具合が発生する。
図11に従来の整合機構をモデル化して示すが、排紙口100から処理トレイ101とスタックトレイ102上に搬出されたシートは、先端が排紙口から処理トレイ、次いでスタックトレイの順に移送される。そしてシート先端が正逆転ローラ103に到達した後に、このローラを上方の待機位置から降下させてシートと係合する作動位置で排紙方向と反対方向に回転させている。この動作でシート後端を処理トレイの後処理位置に設けた規制ストッパ104に突き当て規制している。このようなシートのスイッチバック搬送を確実に行うために排紙口と処理トレイとの間にリング状ベルト105などの掻き込み搬送手段を配置している。
従来、スタックトレイ102の高さ位置(図示Sh)は、シートの性状に関係なく、一定の高さ位置に設定され、この位置はシートを後処理位置に送る際(スイッチバック搬送時)には実質的に処理トレイと面一か、或いはスタックトレイ側が若干低い位置となるように設定される。
ところが排紙口100から極厚いシートを処理トレイ上に整合しようとすると、このシートは図11(a)示すようにスタックトレイ側を低く設定すると厚紙シートのときには、シート後端側がトレイ上に落下することなく図示のように弓状に湾曲した姿勢で排紙口近傍に迫り上がって停止するジャムが発生する。特にこの排紙口にリング状ベルト105などの掻込み搬送手段が配置されているときにはシート後端がこの掻込み搬送手段上に後端残りする現象が頻繁に起きる。そこでスタックトレイ側を高い位置に設定すると、弓状に湾曲したシート後端側に同図矢印方向の曲げ力が作用することが考えられる。
ところが薄紙シートのときには、スタックトレイの高さ位置を高く設定するとシート先端が排紙方向に送られる搬送力が軽減される。これを図11(b)に示すが、スタックトレイの位置が高いためにシートには図示矢印方向の排紙搬送力が軽減される。そこで腰の弱い薄紙シートは後端が排紙口に残留する後端残り現象が頻繁に起きる。このようなシート後端の引っ掛かりは正逆転ローラでシートをスイッチバック搬送するときにシートの先端折れ、或いはシートジャムを招く原因となる。
そこで本発明者は、排紙口から処理トレイの後処理位置にシートを部揃え集積する際に、シート先端部を支持するスタックトレイの高さ位置を、シートの坪量(重量)に応じて位置調整するとの着想に至った。これによってシートはその厚さに適した排紙方向に搬出され、トレイ上面に沿った方向で規制ストッパに向けて移送されることとなる。
本発明は、シートの厚さ、重さなどの坪量情報に基づいて排紙口からのシートの排紙方向を最適に設定することにより、処理トレイ上の規制位置に確実に搬送することが可能で、その搬送時の紙詰まりを少なくすることの可能なシート後処理装置の提供をその課題としている。
上記課題を達成するため本発明は、排紙口から送られたシートの先端部をスタックトレイに、シート後端部を処理トレイに支持するように構成し、処理トレイ上に配置したシート端規制手段に搬送回転体でシートを移送する際に、スタックトレイの高さ位置をシートの坪量(重量)に応じて異なる位置に設定することを特徴としている。
その構成を詳述すると、排紙口(24)と、排紙口の下流側に配置されシートを一時的に集積する処理トレイ手段(28)と、処理トレイ手段の下流側に配置され処理トレイ手段からのシートを収納するスタックトレイ(29)と、処理トレイ手段上に配置されシートの後端縁を規制するシート端規制手段(30)と、処理トレイ上に配置されシート端規制手段に向けてシートを移送する搬送回転体(35)と、スタックトレイをシートの積載量に応じて昇降するトレイ昇降手段と、トレイ昇降手段を制御する制御手段(65)とを備える。
そして処理トレイ手段とスタックトレイとは、排紙口から送られたシートの先端部をスタックトレイが、シート後端部を処理トレイがそれぞれ支持するように構成し、上記制御手段は、搬送回転体でシートをシート端規制手段に向けて移送する際に、スタックトレイの高さ位置をシートの坪量(重量)に応じて異なる位置に設定する。
本発明は、排紙口から送られたシートの先端部をスタックトレイで、シート後端部を処理トレイで支持し、処理トレイ上に配置したシート端規制手段に搬送回転体でシートを移送する際に、スタックトレイの高さ位置をシートの坪量(重量)に応じて異なる位置に設定するものであるから以下の効果を奏する。
排紙口から処理トレイ上に搬出するシートが、坪量(重量)の大きい厚紙シートのときには前後に配置されているスタックトレイの高さ位置を高く設定することによって、排紙口からのシートは高い位置のスタックトレイに向って勢い良く搬出されることとなり、シート後端が上方に迫り上がった姿勢で排紙口に残留してシートジャム、先端折れを招くことがない。
これと同時に排紙口からのシートが、坪量(重量)の小さい薄紙シートのときには、スタックトレイの高さ位置を低く設定することにより、シートは排紙口から低い位置のスタックトレイに向って勢い良く搬出されることとなり、シート後端が排紙口に残留することがない。これによってシートジャム、先端折れを招くことがない。
このように本発明は排紙口から搬出するシートが厚紙シートのときには、シート先端を受け止めるスタックトレイの高さ位置を高い位置に設定することによってシート後端側には排紙口下方の処理トレイ側に付勢する力が作用し、シート全体を処理トレイに沿った姿勢に変位させる。また、薄紙シートのときにはスタックトレイの高さ位置を低い位置に設定することによってシートには排紙方向の力が作用し、シート後端側が排紙口に残留することなく確実に処理トレイに落下収容されることとなる。このような作用によって厚紙シートでも薄紙シートでもシート後端部を確実に処理トレイに収容することが出来る。
従って本発明は、例えばシート坪量(重量)が所定値以上或いは所定値を超えたときにはスタックトレイの高さ位置を高い位置に設定し、シート坪量(重量)が所定値以下或いは所定値未満のときにはスタックトレイの高さ位置を低い位置に設定するように構成することによって簡単な構造で確実にシートを処理トレイに搬入することが可能となる。
本発明にかかわる画像形成装置形成システムの全体構成の説明図。 図1のシステムにおける排紙ユニット(シート後処理装置)の説明図であり、(a)はその全体構成を、(b)はシート移送手段の昇降機構の説明図。 図2の排紙ユニットの排紙機構の説明図であり、(a)は要部説明図、(b)は後端規制ストッパの説明図。 図2の排紙ユニットにおけるスタックトレイの紙面検知構造の説明図。 図2の排紙ユニットにおけるサイド整合機構の説明図であり、(a)は処理トレイの底面構造の説明図、(b)は処理トレイの紙載面の説明図。 図2の排紙ユニットにおけるシート移送手段の昇降機構の説明図。 図2の排紙ユニットにおけるスタックトレイの高さ位置調整の説明図であり、(a)は第1高さ位置を示し、(b)は第2高さ位置を示す。 図1の画像形成システムにおける制御構成を示すブロック図。 図8の制御構成における動作状態を示すフローチャート。 図8の制御構成における後処理動作状態を示すフローチャート。 従来の排紙装置におけるシートの排紙状態を示す説明図。
[画像形成システム]
図1に示す画像形成システムは画像形成装置Aとシート後処理装置Bとで構成され、画像形成装置Aは、シート上に指定された画像データに基づいて画像形成し、排紙口にシートを搬出するように構成されている。シート後処理装置Bは、この排紙口から画像形成されたシートを受取って、このシートを所定の後処理位置に整合して後処理を施し、その後、この処理シート(束)をスタックトレイに収容するように構成されている。各構成について詳述する。
[画像形成装置の構成]
画像形成装置Aは、ケーシング1内に給紙部2と画像形成部3と画像データ記憶部を備えている。給紙部2は、例えば複数の給紙カセット11a、11b、11cで構成され、各カセット11a〜11cには予め選定した規格サイズのシートが収納されている。また給紙部2には手差しトレイ(不図示)が設けられ、使用者が使用目的に応じたシートを挿入出来るように構成されている。このような構成の給紙部2にセットされたシートは、そのサイズ、紙質(コーティング紙か、普通紙か)、紙厚さ(厚紙か、薄紙か)などのシート条件が後述するコントロールパネル○から情報入力するように構成されている。
画像形成部3は、給紙部2から送られたシートに画像を形成するように構成され、図示のものは静電式画像形成機構を示している。画像形成部3には感光ドラム13と、このドラム表面に潜像を形成する印字ヘッド(レーザ光、LED光などの発光器)14と、現像器15から構成される画像形成ユニットがY(イエロー)、M(マジェンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の4つの画像形成ユニット3Y、3M、3C、3Kが設けられている。この各ユニット3Y〜3Kの感光ドラムに形成された画像インク(トナー)は転写ベルト16に転写チャージャ17で転写される。
そこで感光ドラム13上に印字ベッド14で静電潜像を形成し、現像器15でトナーを付着させ、この画像を転写チャージャ17で転写ベルト16上に画像転写する。カラー画像の場合この画像転写をYMCKの色データを重ね合わせて転写ベルト16上に最終画像を形成する。そしてこの画像を給紙部2から給紙経路P1に送られたシート上に転写する。図示18はシート上に画像転写するためのチャージャである。
このように画像転写されたシートは定着器19を経て排紙経路P2に搬出される。この他、画像形成部3としては、図示の静電式画像形成機構に限らず、インクジェット式画像形成機構、オフセット式画像形成機構など種々の画像形成機構が採用可能である。
上記画像データ記憶部は図示しないが、画像形成部3の印字ヘッド14で感光ドラム13上に形成する画像データの記憶メモリで構成され、この記憶部に画像読取ユニット5からデータ転送されるようになっている。この画像デデータ記憶部には例えばネットワーク構成されたコンピュータなどからもデータ転送される。
このように構成された画像形成装置Aには、その上部に原稿画像を読み取る画像読取ユニット5が、更にその上部に原稿給送ユニット6が搭載されている。画像読取ユニット5は図示しないが原稿シートをセットするプラテンと、このプラテンに沿って原稿画像を走査する読取キャリッジと、原稿画像からの反射光を結像して光電変換する光電変換手段、がケーシング7内に設けられている。また原稿給送ユニット6は給紙トレイ9上にセットした原稿シートを1枚ずつ分離して上記画像読取ユニット5のプラテンに自動的に給送するフィーダ機構(不図示)を備えている。
[シート後処理装置]
シート後処理装置Bは次のように上述の画像形成装置Aに内蔵されている。前述した画像形成装置Aはシート上に画像形成したシートを排紙経路P2に搬出する。この排紙経路P2はケーシング1の上部に排紙エリア21が配置され、このエリアに画像形成部3で画像形成されたシートを搬出するように構成されている。図示の排紙エリア21は画像形成装置Aの上部と、この上に配置された画像読取ユニット5との間に配置されている(図1参照)。
そしてこの排紙エリア21に排紙ユニットが組み込まれ、シート後処理装置Bは、このユニットの1つとしてケーシング1内に組み込まれるように構成されている。また上記排紙経路P2には、この排紙エリア21にシートを搬出するように搬送ローラ22が設けられ、排紙ユニットに連結される連結口23にシートを繰り出すようになっている。
次にシート後処理装置(以下「排紙ユニット」という)Bについて図2に従って説明する。排紙ユニットBは前記排紙経路P2の連結口23に連なる排紙経路(排紙ユニットの排紙経路;以下同様)P3と、この経路出口端に設けられた排紙口24を備えている。この排紙口24には排紙ローラ25が一対のローラ対(25a、25b)で設けられ、図示ローラ25bには駆動モータ(不図示)が連結されている。
また、この排紙ユニットの排紙経路P3には経路切換フラッパ26を介してイジェクト経路P4が分岐して構成され、このイジェクト経路P4の下流側には図示しないオーバフロスタッカが配置されている。このオーバフロスタッカにはオーバフロしたシート、割込みジョブシートなどが搬出される。上記排紙経路P3には、搬入センサS1と排紙センサS2がそれそれぞれ図示位置に配置され、搬入センサS1はシート先端を検知して後続する経路切換フラッパ26、排紙ローラ25などを制御する。また排紙センサS2はシートの前端及び後端を検知して後続するシート移送手段31、アライニング手段40などを制御する。
一方、上記排紙口24の下流側には段差Hd(図3(a)参照)を形成して処理トレイ28が、その下流側にスタックトレイ29が配置されている。この処理トレイ28とスタックトレイ29とは、排紙口24からのシートの先端部をスタックトレイ29が、後端部を処理トレイ28がブリッジ支持する寸法形状に配置されている。つまり処理トレイ28は、最小サイズシートの排紙方向長さより短い寸法形状で構成され、スタックトレイ29に先端部を支持されたシートの後端部を支持するようになっている。以下処理トレイ28、スタックトレイ29の順に説明する。
[処理トレイの構成]
図3(a)にその詳細を示すように、処理トレイ28は、紙載面28aを有するトレイ部材で構成され、その紙載面28aの端部には後端規制ストッパ(シート端規制手段;以下同様)30が配置されている。この紙載面28aはシートを水平姿勢で支持する形状でも、シート後端側(排紙方向後端側;以下同様)が低くなるようにシートを傾斜姿勢で支持する形状でも、いずれであっても良い。
後端規制ストッパ30は、排紙口24から距離Ld隔てた位置に配置され、シート後端縁を突当規制するシート端規制面30aとシート先端のカールによる乗り越えを規制するシート迫上げ規制面30bを有するストッパ部材で構成されている。図示30cはシート先端を押圧規制する先端押圧片であり、弾性変形可能な板材料で構成され、カールしたシート先端を押圧矯正するように基端部をストッパ部材30に固定されている(図3(b)参照)。
処理トレイ28には、排紙口24からのシートを後端規制ストッパ30に向けて移送するシート移送手段31と、シートの側縁を幅寄せ整合するサイド整合手段32が配置されている。このシート移送手段31は紙載面28aに対して上下昇降可能に構成されている。その構造を図2(b)に示すが、シート移送手段31は、上下に揺動するブラケット(昇降支持手段;以下同様)34と、これに支持された正逆転ローラ35と、昇降モータMSで構成されている。
ブラケット34は装置フレーム(不図示)に基端部を揺動回転軸33で軸支持され、先端部に正逆転ローラ35が軸受け支持されている。そしてこの正逆転ローラ35は正逆転モータMRに連結され、シートを図2左右方向(排紙方向と排紙反対方向)に移送する。これによって正逆転ローラ35を図2(b)反時計方向に回転するとシートを後端規制ストッパ30側に移送し、時計方向に回転するとスタックトレイ29側に移送するようになっている。
[正逆転ローラの昇降機構]
上記正逆転ローラ35の昇降機構について図2(b)及び図6に従って説明する。図2(b)に示すように、揺動回転軸33は装置フレーム(不図示)に軸受け支持され、この揺動回転軸33に正逆転モータMRの回転が歯車伝達されている(図示6参照)。これと共に揺動回転軸33には、ブラケット34の基端部に一体成形した従動側カラー34jが遊嵌支持されている。従って揺動回転軸33の正逆転には関係なくブラケット34は、この回転軸を中心に揺動することとなる。
一方、揺動回転軸33には、上記従動側カラー34jに隣接して駆動側カラー34dが遊嵌支持され、この駆動側カラー34dには昇降モータMSの駆動軸MSdがピニオン34pで歯車連結されている。従って駆動側カラー34dは、揺動回転軸33の回転に関係なく昇降モータMSの駆動軸MSdによって正逆転することとなる。そしてこの駆動側カラー34dと従動側カラー34jにクラッチスプリングCSが巻回されている。このクラッチスプリングCSは駆動側カラー34dの図6矢示a方向回転で緊縮し、その反対方向回転で弛緩するように構成されている。
これによって昇降モータMSで駆動側カラー34dを矢示a方向に回転するとクラッチスプリングCSが緊縮して従動側カラー34jを同一方向に回転する。このとき従動側カラー34jと一体のブラケット34は作動位置Fpから待機位置Wpに上昇移動する。そしてブラケット34が予め設定された待機位置Wpに上昇すると上限ストッパ34u(図2に図示)に突き当たり、その後はクラッチスプリングCSと従動側カラー34jとの間で滑り駆動側カラー34dの回転は従動側カラー34jに伝達されないように摩擦力が設定されている。
この摩擦力の設定は、クラッチスプリングCSが緊縮した状態ではこのスプリングと従動側カラー34jとの間の摩擦力でブラケット34は待機位置Wpに保持され、その自重でブラケット34が下降することがないように構成されている。尚図2(b)に示す図示34Sはブラケット34が退避位置Wpに位置するか否かを検出するポジションセンサであり、上限ストッパ34uと一体に構成され、この両者は、いずれも装置フレームに取り付けられている。
次に昇降モータMSで駆動側カラー34dを図6矢示a方向と反対方向に回転するとクラッチスプリングCSは緊縮した状態に保持されているため、その回転に従動してブラケット34は退避位置から下降する。このときの速度は昇降モータMSの駆動軸MSdの回転速度で制御される。
そしてブラケット34の先端部に支持されている正逆転ローラ35が処理トレイ28上の最上シートに当接すると駆動側カラー34dの回転(矢示a方向と反対方向の緩み側)でクラッチスプリングCSは弛緩し、このスプリングと駆動側カラー34dとの間の滑り回転でブラケット34は正逆転ローラ35の作動位置Fpで静止する。正逆転ローラ35がこのように退避位置Wpから作動位置Fpに移動する間に、後述する制御CPU65は正逆転モータMRを起動して正逆転ローラ35を、図2(b)反時計方向に回転してシートを後端規制ストッパ30側に移送する。
従って、昇降モータMSの正逆転でブラケット34が揺動回転軸33を中心に時計方向と反時計方向に揺動することとなる。つまり同図時計方向にピニオン34pを回転すると正逆転ローラ35は同図鎖線状態の紙載面28aから離間した待機位置Wpに、ピニオン34pを反時計方向に回転すると正逆転ローラ35は同図実線状態の紙載面28aに接した作動位置Fpに位置する。そして正逆転ローラ35には揺動回転軸33に連結された正逆転駆動モータMR(図6参照)から正逆転方向の回転力が伝達されるようになっている。
なお、処理トレイ28の紙載面28aには正逆転ローラ35と対向する位置に従動ローラ36が設けられている。この正逆転ローラ35は正逆転モータMRによって排紙口24からシートを後端規制ストッパ30に向けて移送するときには図2(a)反時計方向に回転し、後端規制ストッパ30から後処理されたシート(束)を下流側のスタックトレイ29に移送するときには同図時計方向に回転し、従動ローラ26はこのシートの移動に従動する。
「アライニング手段」
上記シート移送手段31と後端規制ストッパ30の間には、アライニング手段40が配置されている。図示のアライニング手段40は、シート移送手段31と協働して排紙口24から搬出されたシート後端を後端規制ストッパ30に向けて移送する。このためアライニング手段40は、図3(a)に示すようにリング状ベルト(以下「アライニングベルト」という)40vと、このベルトを処理トレイ28のシート積載量に応じて上下動する揺動レバー43とで構成されている。
揺動レバー43の一端(図3上方端)は前述の排紙ローラ(駆動側ローラ)25bの回転軸42に揺動可能に軸支持され、排紙ローラ25bにアライニングベルト40vの一端が巻装されている。そしてこのベルト先端は処理トレイ28上のシートと係合する位置に垂れ下がるように構成されている。従って排紙ローラ25bの駆動回転でアライニングベルト40vも図3(a)において反時計方向に回転し、揺動レバー43は回転軸42を中心に自重で揺動することとなる。
上記揺動レバー43には、アライニングベルト40vと共に先端ガイド部材41が固定されている。この先端ガイド41は、アライニングベルト40vで送られたシート後端を後端規制ストッパ30に向けて案内するフィルム部材(マイラ)で形成されている。そして揺動回転軸42の回転中心42oとアライニングベルト40vのシート係合部40pと先端ガイド部材41のシート係合部41pは、シートの移送方向に、回転中心42o、係合部40p、係合部41pの順に距離を隔てて配置されている(図3(b)参照)。
従って、上述のシート移送手段31からシートに過剰の搬送力が付与されたとき、シート後端は図3(b)に示すように後端ストッパ30に突き当たった後、ループ状に湾曲する力が作用する。このシートに作用する湾曲変形力に関係なく、シートをシート移送手段31とアライニングベルト40Vでストッパ側に搬送し続けると、シート後端は局部的に変形して皺、先端折れを引き起こす。
ところが、上述のように先端ガイド部材41にシート後端から迫り上げ力が作用すると、揺動レバー43には回転軸42を中心とする回転モーメントが作用し、このモーメントで揺動レバー43は同図反時計方向に回転する。この回転でアライニングベルト40vと、シート上面との間にはギャップが生ずる。このように形成されたギャップによってシートはループ状に湾曲することなく同図矢印g方向に伸張する。これによってシート後端部の皺、先端折れを未然に防止することが可能となる。
「サイド整合手段」
上記処理トレイ28には、後端を前述の後端規制ストッパ30に位置決めされたシートの側縁を位置規制するサイド整合手段32が配置されている。このサイド整合手段32は、排紙口24から処理トレイ28に搬入されたシートのセンター(中央)を基準に位置合わせするセンター基準と、シートの左右一側縁を基準に位置合わせするサイド基準のいずれかの基準位置にシート側縁を幅寄せ整合するように構成される。
図5に示すように、サイド整合手段32は処理トレイ28に搬入されたシートの左側縁と係合する左整合板32Lと、シートの右側縁と係合する右整合板32Rと、これらの整合板を排紙直交方向に位置移動する整合モータMz1、Mz2で構成されている。左右の整合板32L、32Rはそれぞれ処理トレイの紙載面28aに形成されているスリット溝28zに嵌合支持され、シート幅方向に位置移動可能になっている。このスリット溝28zに沿ってトレイ底部に一対のプーリ32pが配置され、このプーリ32pにベルト32vが架け渡してある。このベルト32vに左右の整合板32L,32Rが固定され、これと共にプーリ32pの一方には整合モータMz1、Mz2が連結されている。
この整合モータMz1、Mz2を同一量ずつ反対方向に回転すると左右の整合板32L、32Rはシートセンタに接近及び離反することとなる。そして左右の整合板32L,32Rには、予め設定したホームポジションにポジションセンサが配置され、装置起動時には整合板32L、32Rはホームポジションに位置付けられている。
そこで後述する制御手段(制御CPU)65は画像形成装置Aからシートのサイズ情報を受信し、この情報に基づいて制御手段は左右の整合板32L,32Rを所定の待機位置(図5(b)Wp)に移動して待機させる。この待機位置Wpは処理トレイ28に搬入されるシートの幅サイズから所定量離れた位置(整合動作幅を形成する位置)に設定されている。
そこで制御手段65は排紙口24から搬入されたシートの後端が後端規制ストッパ30に到達する見込み時間の後(排紙センサS2から所定時間経過後)左右の整合モータMz1,Mz2を反対方向に所定量ずつ同期回転し、左右の整合板32L,32Rを整合位置(図5(b)Ap)に移動する。これによって処理トレイ上に搬入されたシートは幅寄せ整合される。
[後処理手段]
上記処理トレイ28に配置される後処理手段37について説明する。この後処理手段37は、図3に示すように後端規制ストッパ30に突当て規制されたシート(束)に後処理を施すように排紙ユニットBのケーシング8に内蔵されている。図示の後処理手段37はステップル手段で構成されている。ステップル手段(装置)は良く知られているのでその説明を省くが、カートリッジ内に収納されている帯状に連結されたステップル針(ブランク)をコの字状に折り曲げてドライバ部材でシート束に刺入する。この針先をドライバ部材に対向して配置されたアンビル部材で折り曲げるユニットで構成されている。
そのユニットフレーム10には駆動カムとステップルモータがマウントされ、後述する後処理制御部(制御CPU)65からの指示信号でドライバ部材を降下させてステップル動作を実行するようになっている。上記ユニットフレーム10はガイドレール38a、38bに摺動可能に嵌合支持され、処理トレイ28上のシート(束)の幅方向に位置移動可能に構成されている。またユニットフレーム9にはスクリシャフト39が固定配置され、図示しない駆動モータでステップル手段37をシート幅方向に位置移動するようになっている。
[スタックトレイの構成]
そこで本発明はスタックトレイ29を次のように構成する。図2(a)にその全体構成を示すように、このスタックトレイ29は処理トレイ28の下流側に配置され、シートの積載量に応じて昇降するトレイ部材で構成されている。このトレイ部材(スタックトレイ:以下同様)29はシートを載置する載置面29aを備え、装置フレームに固定されたトレイフレーム44に昇降可能に支持されている。
上記トレイ部材29の昇降機構について説明すると、互いに支軸45で連結された一対のリンクリンクレバー46a、46bが設けられ、各レバーの基端部はトレイフレーム44に揺動可能に軸支持されている。そしてリンクレバー46a、46bの先端部にトレイ部材29がスリット−ピン連結によって支持されている。つまりトレイ部材側には嵌合スリット29b、29cが設けられ、このスリットにリンクレバー46a、46bの先端部がピン46c、46dで連結されている。
そして一方のリンクレバー46aの支持軸にはリフトモータMLがウオームギアを介してギア連結されている。従ってリフトモータMLの正逆転でリンクレバー46aが図2左右方向に揺動し、これに従動してリンクレバー46bが同一量で反対方向に揺動し、トレイ部材29は平行姿勢で上下動することとなる。上記トレイ部材29には紙面位置を検出する紙面検知手段47が設けられている。
[紙面検知手段の構成]
紙面検知手段47の構造を図4に示す。この紙面検知手段47は、トレイ部材29のシート搬入口(図4右端)に配置され、載置面29a上に堆積されたシートの最上面を位置検出する。このため最上シートと当接する紙面検出レバー47aと、この紙面検出レバー47aに連結された作動ソレノイド48と、紙面検出レバー47aのフラッグ47cを位置検出する第1第2センサ49a、49bで構成されている。
上記紙面検出レバー47aは支軸47bで揺動可能に装置フレームに支持され、スタックトレイ上にシートを搬入する際にはシート紙面からトレイ外方に退避し、シート搬入後に最上シートの紙面と当接するように構成されている。
上記紙面検出レバー47aには常時退避位置側に付勢するスプリング50が設けられ、上記作動ソレノイド48は、このスプリングに抗して紙面検出レバー47aを退避位置からトレイ上の紙面と当接する作動位置にシフトし、このときトレイ上の最上シートの紙面位置を検出するように構成されている。この紙面検出レバー47aにはフラッグ47cが一体的に設けられ、このフラッグ47cの回転変位を第1センサ49aと第2センサ49bでON−OFF検出する。
上述のように、紙面検出レバー47aは支軸47bを中心に揺動自在に構成され、レバー先端はスタックトレイ29上の最上シートの紙面と接触するように形成され、レバー基端部にはフラッグ47cが一体的に取付けられている。フラッグ47cは図示のように扇形形状の検知板で構成され、このフラッグ47cの位置を検出する第1センサ49a、第2センサ49bが間隔dを隔てて配置されている。
このような構成で第1センサ49aが「OFF」、第2センサ49bが「ON」のとき、この位置をホームポジション(図4の状態)に設定してある。従って第1第2センサ49a、49bの両方が「ON」のときには、検知紙面は高過ぎるためトレイ部材29を所定量下降させる。また第1第2センサ49a、49bの両方が「OFF」のときには、検知紙面は低過ぎるためトレイ部材29を所定量上昇させる。このような制御によってスタックトレイ(トレイ部材)29に積載されている最上シートの紙面レベルを予め設定したホームポジションに位置決めすることが可能となっている。尚図示51はスタックトレイの下限位置を検出する下限センサである。
上記紙面検知手段47の検知信号で上記スタックトレイ29の載置面29aを上下動する。このトレイの上下昇降は、前述のリフトモータMLを制御する。リフトモータMLを例えば、DCモータで構成する場合には、モータへの電源供給時間で回転量を制御するか、或いはモータ回転軸にエンコーダを設けてエンコーダパルスで回転量を制御する。またリフトモータをパルスモータで構成する場合には電源パルスで回転量を制御する。
[スタックトレイの高さ制御]
そこで本発明は、スタックトレイ29の高さ位置を、第1高さ位置(Th1)と第2高さ位置(Th2)の少なくとも2つの高さ位置に設定する。このトレイ高さ位置(Th)を2段階に設定する場合について以下説明するが、この高さを3段階或いはそれ以上に設定する場合も同様である。
そこで第1高さ位置(Th1)は、使用するシートの腰が最も弱いシート(条件は後述するが以下極薄シートという)について図7(a)に示すように排紙口24を通過した後にシート後端が排紙ガイド或いはアライニングベルト40vに残留しない落差Hd1を排紙口24と載置面29aとの間に形成する高さ位置に設定する。この高さ位置は実験によって求める。
同様に第2高さ位置(Th2)は、使用するシートの腰が最も強いシート(以下極厚シートという)について図7(b)に示すようにシートの先端が載置面29aに到達し、後端が排紙口24を通過したとき、このシート後端が弓状に湾曲されて、シート自体の腰で処理トレイ28の紙載面28aに落下する高さ位置に設定する。この高さ位置は環境条件を異ならせて後端残りすることなく確実にシートが処理トレイ上に収容される高さ条件を実験によって求める。
次にシートの腰について説明すると、シートの紙性状によって異なるが、シートの坪量(単位面積当たりの重量)が大きいときには、シートは厚く、その腰も強い。例えば紙質が同一の場合には、シートの坪量(重量)とシート厚さとシートの腰の強さは、略々比例関係にある。そこでシートの坪量(重量)が大きいときには載置面29aの高さレベルを低く設定するとシートは先端が載置面29a上の最上シートの上に摩擦で係止され、後端は排紙口24の排紙ガイド或いはアライニングベルト40vの上に迫り上がった状態で弓状に湾曲する。この現象が現れるとこのシートは、アライニングベルト40vによっても、また正逆転ローラ35によっても処理トレイ上に正しい姿勢で載置することは出来ない。従ってシートジャムを招く。
同様にシートの坪量(重量)が小さいときには、シートは薄く、その腰も弱い。そこでシートの坪量(重量)が小さいときには載置面29aの高さレベルを高く設定すると、シートは先端が載置面29aに沿って迫り上がるように搬出される。このため、シートに排紙ローラ25から付与される搬送力は低減する。そしてシート後端が排紙口24を通過するとシートはその慣性力でスタックトレイ側に送られるが、この慣性力が低減されるためシート後端は排紙口24の排紙ガイド或いはアライニングベルト40vの上に停滞する。
そこで本発明はスタックトレイ29の高さ位置をシートの坪量(重量)に応じて、シートの腰が最も弱いシート(坪量が小さいシート)であっても滞留することのない第1高さ位置(Th1)と、シートの腰が最も強いシート(坪量が大きいシート)であっても滞留することのない第2高さ位置(Th2)に設定することを特徴としている。
以上の説明から明らかなように、本発明にあってスタックトレイ29の高さ位置を第1、第2複数の高さ位置に選択的に設定する場合、シートの坪量(重量)から高さ位置を選定することと、シートの厚さから高さ位置を選定することはシートの腰の強さから比較すると実質的に同一に帰する。つまりシートの坪量情報から第1、第2高さ位置Th1、Th2を選定しても、シートの厚さ情報から第1、第2高さ位置Th1、Th2を選定してもほぼ同一の結果が得られる。
そこで「シートの坪量情報」は前述の画像形成装置Aの給紙カセット11a、11b、11cにシートをオペレータが準備する際に、後述するコントロールパネル64から情報入力し、画像形成装置の制御部60は、この入力情報を記憶する。そして画像形成する際に選択されたカセットに応じて「坪量情報」を後処理装置の制御部に転送するように構成する。また「シートの厚さ情報」はオペレータがコントロールパネル64から情報入力するか、或いは排紙経路P3に超音波センサを配置し、この経路を通過するシートの厚さを検出する。その構成は既に種々の方法が知られているので説明を省略する。
[スタックトレイの高さ位置調整]
上述のように、第1、第2高さ位置Th1、Th2にスタックトレイ29を位置調節するには、前述の紙面検知手段47のホームポジションを例えば第1高さ位置Th1に設定する。そして第2高さ位置Th2は、リフトモータMLを制御して第1高さ位置であるホームポジションに位置決めした後、このリフトモータMLを所定量回転させてスタックトレイ29を所定量上昇させる。このとき前記紙面検知手段47の第1センサ49aと第2センサ49bは、共に「ON」となって、前述の制御ではトレイを降下させることなるが、このトレイ下降の制御シーケンスを停止(不稼働状態)する。その詳細な制御は後述する。
[制御構成の説明]
上述した画像形成システムの制御構成を図8のブロック図に従って説明する。図1に示す画像形成システムは画像形成装置Aの制御部(以下「本体制御部」という)60と後処理装置Bの制御部(以下「後処理制御部」という)65を備えている。本体制御部60は印字制御部61と給紙制御部62と入力部63とコントロールパネル64を備えている。
そしてこのコントロールパネル64から「画像形成モード」と「後処理モード」の設定を行う。画像形成モードはカラー・モノクロ印刷、両面・片面印刷などのモード設定と、シートサイズ、シート紙質、プリントアウト部数、拡大・縮小印刷、などの画像形成条件を設定する。また「後処理モード」は、例えば「プリントアウトモード」「ステップル仕上げモード」「製本綴じ仕上げモード」などに設定する。
また、本体制御部60は後処理制御部65に後処理の仕上げモードとシート枚数、部数情報と綴じモード(1個所止綴じか2個所以上複数綴じか)情報、及び画像形成するシートの紙厚情報などをデータ転送する。これと同時に本体制御部60は画像形成の終了毎にジョブ終了信号を後処理制御部65に転送する。
上述の後処理モードについて説明すると、上記「プリントアウトモード」は排紙口24からのシートを、後処理を施すことなくスタックトレイ29に収容する。この場合にはシートを処理トレイ28に部揃え集積することなく、排紙口24から直接スタックトレイ29に搬出する。上記「ステップル仕上げモード」は、排紙口24からのシートを処理トレイ28上に集積して部揃えし、このシート束にステップル手段37で綴じ仕上げした後に、スタックトレイ29に収容する。この場合には画像形成されるシートは原則として同一紙厚さで同一サイズのシートにオペレータによって指定される。
上記「製本綴じ仕上げモード」は、画像形成装置Aで画像形成されたシートを処理トレイに部揃え集積し、最後に表紙シートを画像形成装置Aで画像形成して処理トレイ上のシートに重ね合わせ、ステップル綴じした後に、スタックトレイ29に収容する。この場合には表紙シートは給紙カセットに準備された厚紙シートが「シート厚さ情報」又は「シート坪量情報」としてオペレータによって指定される。
[後処理制御部]
後処理制御部65は、指定された後処理モードに応じて後処理装置Bを動作させる制御CPU65(制御手段;以下同様)で構成される。この制御部には、動作プログラムを記憶したROM67と、制御データを記憶するRAM66が備えられている。
上記動作プログラムは、装置起動時の初期化(イニシャライズ)時に、スタックトレイ29がホームポジション(前述の第1高さ位置Th1)に位置するか否かを紙面検知手段47からの信号で判別する。そして前述の第1第2センサ49a、49bの「ON」「OFF」情報でスタックトレイ29をホームポジションに位置決めする初期動作を実行するように構成されている。
上記動作プログラムは、排紙センサS2がシート後端を検知した信号で、タイマTを起動し、このタイマTのタイムアップ信号で昇降モータMSを下昇方向に起動してブラケット34を揺動させて正逆転ローラ35を退避位置Wpから作動位置Fp降下する。この正逆転ローラ35が作動位置Fpに到達する前に正逆転モータMRを図2反時計方向に回転するように構成されている。
また、上記後処理制御部65には、「シート坪量認識手段」又は「シート厚さ検知手段」が備えられている。「シート坪量認識手段」は、画像形成装置Aの制御部60で給紙カセット11a〜11cに準備されたシートの坪量に応じてオペレータがコントロールパネル64から入力した坪量情報が後処理制御部65に転送されるように構成する。そこで処理制御部(制御CPU)65に画像形成装置Aから転送された「坪量情報」に基づいて排紙経路P3に送られてくるシートの坪量を認識するシート坪量認識手段65aを設ける。
一方、上記「シート厚さ検知手段」は前述したように排紙経路P3に超音波センサなどの厚さ検知センサを設け、このセンサからの検知情報に基づいて排紙経路P3に送られてくるシートの厚さを判別する手段を制御CPU65に設ける。
そして後処理制御部65には、スタックトレイ高さ位置設定手段65xを設ける。この手段はRAM66に記憶されている基準値とシート坪量又はシート厚さを比較し、基準値未満のときには第1高さ位置Th1に、基準値以上のときには第2高さ位置Th2に設定するように構成する。
同様に、RAM66に記憶されている基準値とシート坪量又はシート厚さを比較し、基準値以下のときには第1高さ位置Th1に、基準値を超えたときには第2高さ位置Th2に設定するように構成してもよい。
[排紙動作フロー]
上述のように構成された制御手段65の作用について図9、図10に示すフローチャートに従って説明する。装置電源が投入される(St01)と排紙ユニットBは画像形成装置Aと共にイニシャル動作を実行する(St02)。このイニシャル動作では制御手段65は、スタックトレイ29をホームポジションに位置決めする。
次に制御手段65は画像形成装置Aで画像形成されたシート先端が搬入センサS1に到達するのを検知する(St03)。この搬入センサS1からのシート先端検知信号で制御手段65は、排紙ローラ25を排紙方向に回転駆動する(St04)。これと共に、後処理モードが前述のプリントアウトモードかステップル仕上げモードか製本綴じ仕上げモードに設定されているときには、経路切換えフラッパ26を図3(a)の状態にシフトする。これによってシートは排紙口24に案内される。また、割り込みモードに設定されているときは経路切換えフラッパ26でシートをイジェクト経路P4に案内する。
次に制御CPU65は画像形成装置Aから転送されたシートの「厚さ情報」又は「坪量情報」に基づいてシートの厚さ(坪量)がRAM66に記憶されている基準値と比較する(St05)。この比較結果で基準値以上のときにはスタックトレイ29の高さ位置を第2高さ位置Th2に設定し、基準未満のときには高さ位置を第1高さ位置Th1に設定する。同様に、上記比較結果で基準値を超えたときにはスタックトレイ29の高さ位置を第2高さ位置Th2に設定し、基準以下のときには高さ位置を第1高さ位置Th1に設定する構成としてもよい。
この場合、第2高さ位置Th2のときには制御CPU65は前述したようにホームポジションに位置するスタックトレイ29を、リフトモータMLの回転で所定高さ位置に上昇させる。このときのリフトモータMLの回転量はRAM66に記憶されている。
シートが排紙ローラ25に到達すると、その回転で処理トレイ28上に先端から徐々に搬出される。このとき制御手段65はシート後端を排紙センサS2が検出した検出信号(St06)でタイマTを起動する。このタイマTはCPU内部クロックをカウントするか、或いは外部に備えたクロックをカウントする(St07)。
そこで制御手段65は先に設定したタイマ時間が経過(St08)した段階で、排紙動作を実行する(St09)。この排紙動作は正逆転ローラ35を待機位置Wpから作動位置Fpに移動し、同時にこの正逆転ローラ35を排紙反対方向に回転する。すると排紙口24から処理トレイ上に搬出されたシートは、排紙方向と反対方向にスイッチバック搬送され、シート後端は後端規制ストッパ30に到達する。このシート後端がストッパに到達する見込み時間の後、正逆転ローラ35を停止し、退避位置Wpに復帰させる。
そこで制御CPU65は、画像形成装置Aからジョブ終了信号が発せられているか否かを判断する(St10)。この判断でジョブ終了でないときにはステップSt03に戻り、後続するシートを同様に処理トレイ上に搬出する。またジョブ終了のときには制御CPU65は後処理手段37に後処理動作を実行させる(St11)。
この後処理動作の後、制御CPU65は正逆転ローラ35を退避位置Wpから作動位置Fpに移動し、同時に正逆転ローラ35を図2時計方向に回転させる。すると処理トレイ28上のシート(束)は下流側のスタックトレイ29に搬出される(St12)。尚この場合スタックトレイ29を前述の第1第2高さ位置Th1,Th2と異なる高さ位置にシフトすることも可能であり、そのトレイ高さ位置は処理トレイ28上のシートを搬出する最適位置に設定することが好ましい。
以上の排紙動作が終了した後、制御CPU65はスタックトレイ29を所定量降下させる(St13)。これは処理トレイ28からのシート搬出でスタックトレイ29の最上紙の高さ位置がホームポジションより高くなっているので、予め設定された下降量、スタックトレイ29を降下させるためである。
そして制御CPU65は紙面検知手段47を作動位置に移動させて紙面レベルを検出する(St14)。この紙面レベル検出でスタックトレイ29がホームポジション以外のときは、第1第2センサ49a、49bの状態信号でトレイ高さを上昇又は下降させる(St16)。制御CPU65はこのようなトレイ高さ調整でスタックトレイ29の高さ位置をホームポジションに設定して、次ジョブのシート搬出に備える。
A 画像形成装置
B シート後処理装置(排紙ユニット)
P3 排紙経路
P4 イジェクト経路
ML リフトモータ
S1 搬入センサ
S2 排紙センサ
24 排紙口
25 排紙ローラ
25a ローラ対
25b ローラ対(駆動側ローラ)
26 経路切換フラッパ
28 処理トレイ
29 スタックトレイ(トレイ部材)
29a 載置面
29b 嵌合スリット
29c 嵌合スリット
30 後端規制ストッパ(シート端規制手段)
31 シート移送手段
32 サイド整合手段
35 正逆転ローラ(搬送回転体)
36 従動ローラ
37 後処理手段
40 アライニング手段
44 トレイフレーム
45 支軸
46a リンクレバー
46b リンクレバー
47 紙面検知手段
47a 紙面検出レバー
47b 支軸
47c フラグ
48 作動ソレノイド
49a 第1センサ
49b 第2センサ
50 スプリング
51 下限センサ
60 本体制御部
64 コントロールパネル
65 後処理制御部
66 RAM
67 ROM
Th1 第1高さ位置
Th2 第2高さ位置

Claims (8)

  1. 排紙口と、
    前記排紙口の下流側に配置されシートを一時的に集積する処理トレイ手段と、
    前記処理トレイ手段の下流側に配置され前記処理トレイ手段からのシートを収納するスタックトレイと、
    前記処理トレイ手段上に配置されシートの後端縁を規制するシート端規制手段と、
    前記処理トレイ上に配置され前記シート端規制手段に向けてシートを移送する搬送回転体と、
    前記スタックトレイをシートの積載量に応じて昇降するトレイ昇降手段と、
    前記トレイ昇降手段を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記排紙口から送られたシートの先端部が前記スタックトレイによって支持され、シート後端部を前記処理トレイが支持するように構成され、
    前記制御手段は、前記スタックトレイの高さ位置をシートの坪量に応じて異なる位置に設定することを特徴とするシート後処理装置。
  2. 前記制御手段は、前記排紙口からシート後端が搬出される前に、前記スタックトレイの高さ位置を設定することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
  3. 前記制御手段は、
    シートの坪量が所定値以上のときには、前記スタックトレイの高さ位置を高い位置に、
    シートの坪量が所定値未満のときには、前記スタックトレイの高さ位置を低い位置に、
    それぞれ設定することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
  4. 前記制御手段は、
    シートの坪量が所定値を超えるときには、前記スタックトレイの高さ位置を高い位置に、
    シートの坪量が所定値以下のときには、前記スタックトレイの高さ位置を低い位置に、
    それぞれ設定することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
  5. 前記制御手段は、前記排紙口から搬出されるシートの単位面積当たりの重量を判別するシート坪量認識手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
  6. 前記搬送回転体は、前記排紙口からのシートを前記シート端規制手段に向けて移送した後、このシートを前記スタックトレイに搬出するように正逆転可能な駆動手段に連結されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート後処理装置。
  7. 前記排紙口の上流側には、前記排紙口に送るシートの厚さを検出する厚さ検知手段が配置され、
    前記制御手段は、前記厚さ検知手段からの検出情報に基づいて前記スタックトレイの高さ位置を制御することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
  8. 順次シート上に画像形成する画像形成装置と、
    前記画像形成装置からのシートに後処理を施すシート後処理装置と、
    から構成され、
    前記シート後処理装置は、請求項1乃至のいずれか1項に記載の構成を備えていることを特徴とする画像形成システム。
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