JP5452888B2 - 有機薄膜太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、有機薄膜太陽電池用材料及びそれを用いた有機薄膜太陽電池に関する。
太陽電池は、光信号を電気信号に変換するフォトダイオードや撮像素子と同様、光入力に対して電気出力を示す装置であり、電気入力に対して光出力を示すエレクトロルミネッセンス(EL)素子とは逆の応答を示す装置である。かかる太陽電池は、化石燃料の枯渇問題や地球温暖化問題を背景に、クリーンエネルギー源として近年大変注目されてきており、研究開発が盛んに行なわれるようになってきた。これまでに、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等を用いたシリコン系太陽電池が実用化されてきたが、シリコン系太陽電池が高価であることや原料シリコンの不足の問題等が表面化してきたことにより、次世代太陽電池開発の要望が高まりつつある。このような背景の中、安価で毒性が低く、且つ原材料不足の懸念も無い有機薄膜太陽電池が、シリコン系太陽電池に次ぐ次世代の太陽電池として大変注目を集めている。
有機薄膜太陽電池は、最初、メロシアニン色素等を用いた単層膜で研究が進められてきたが、正孔を輸送する「p層」と電子を輸送する「n層」とを有する多層膜にすることで、光入力から電気出力への変換効率(光電変換効率)が向上することが見出されて以降、多層膜が主流になってきている。多層膜の検討が行なわれ始めた頃に用いられた材料は、p層としては銅フタロシアニン(CuPc)、n層としてはペリレンイミド類(PTCBI)であった。この後、p層とn層の間に「i層(p材料とn材料の混合層)」を挿入して積層を増やすことにより、光電変換効率が向上することが見出されたが、依然として、p層及びn層には、それぞれ同じ材料が使用されていた。
さらにその後、「p層/i層/n層」を何層も繰り返し積層するというスタックセル構成により、さらに光電変換効率が向上することが見出された。この時に使用された材料は、p層としてはフタロシアニン類、n層としてはフラーレン(C60)であった。
一方、高分子を用いた有機薄膜太陽電池では、p層の材料として導電性高分子を用い、n材料としてC60誘導体を用いてそれらを混合し、熱処理することによりミクロ層分離を誘起してヘテロ界面を増やし、光電変換効率を向上させるという、所謂バルクヘテロ構造の研究が主に行なわれてきた。ここで用いられてきた材料系は、主に、p層の材料としてはポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、n材料としてはC60誘導体(PCBM)であった。
このように、有機薄膜太陽電池では、各層の材料は初期の頃からあまり進展がなく、依然としてフタロシアニン誘導体、ペリレンイミド誘導体、C60誘導体が用いられている。従って、光電変換効率を高めるべく、これら従来の材料に代わる新規な材料の開発が熱望されている。
ところで、一般に有機太陽電池の動作過程は、(1)光吸収及び励起子生成、(2)励起子拡散、(3)電荷分離、(4)キャリア移動、(5)起電力発生の素過程からなっており、有機物は概して太陽光スペクトルに合致する吸収特性を示すものが多くないため、高い光電変換効率を達成できないことが多かった。例えば、近年精力的に開発が行なわれている有機EL素子において、優れた正孔輸送材料及び正孔注入材料であるアミン化合物が見出されているが、それらは、有機薄膜太陽電池用のp材料として使用しても、太陽光スペクトルに対する吸収特性が不十分であり、光電変換効率が十分得られないという欠点を有している。
一般に、有機化合物において可視光領域に吸収を持たせるためには、π電子共役構造を拡大して吸収極大波長を長波長化すればよいことが知られている。ただし、あまりに共役系を拡張して分子量が大きくなり過ぎると、溶媒に対する溶解性が低下して精製が困難になり、且つ昇華温度が上昇して昇華精製できなくなる等の難点がある。そこで、ある程度分子量を抑えながら効率的に吸収波長を長波長化した材料として、ポリアセン類が開発されてきた(特許文献1〜3参照)。
特開2007−335760号公報 特開2008−34764号公報 特開2008−91380号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載のポリアセン類では、可視吸収領域を広げるためにポリアセン構造部位の縮合環数を増やすと、光や酸素に対する不安定性から、精製や取り扱いが困難であり、高純度化が困難であり実用性に乏しいという問題がある。
本発明は、このような状況下になされたもので、光や酸素に対して安定であり、有機薄膜太陽電池に利用したときに高効率の光電変換特性を示し得る新規な材料を提供することを目的とする。
本発明者等は上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、フルオランテン骨格を有する特定の化合物を用いることで、高効率の光電変換特性を示す有機薄膜太陽電池を得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]下記一般式(I)
Figure 0005452888
(式中、R1〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキル基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルケニル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルキニル基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、環形成原子数6〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルコキシ基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルコキシ基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基又は炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を表し、R1〜R12のうち少なくとも1つは環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基又は炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基である。)
で示される有機薄膜太陽電池用材料、
[2]上記一般式(I)中、R1〜R12が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキル基又は環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基を表し、R1〜R12のうち少なくとも1つが環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基である、上記[1]に記載の有機薄膜太陽電池用材料、
[3]上記一般式(I)中、R3が環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基である、上記[1]又は[2]に記載の有機薄膜太陽電池用材料、
[4]上記一般式(I)中、R10が環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基である、上記[1]又は[2]に記載の有機薄膜太陽電池用材料、
[5]一対の電極の間に少なくともp層を有し、該p層が上記[1]〜[4]のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池用材料を含有する、有機薄膜太陽電池、
[6]上記[5]に記載の有機薄膜太陽電池を具備する装置、
を提供するものである。
本発明によれば、光や酸素に対して安定であり、有機薄膜太陽電池に利用したときに高効率の光電変換特性を示す材料を提供することができる。
<有機薄膜太陽電池用材料>
本発明の有機薄膜太陽電池用材料は、前記の通り、下記一般式(I)
Figure 0005452888
で示される。
式中、R1〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキル基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルケニル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルキニル基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、環形成原子数6〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルコキシ基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルコキシ基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基又は炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を表し、R1〜R12のうち少なくとも1つは環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基又は炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基である。
1〜R12が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
1〜R12が表す炭素数1〜40のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基(「各種」は、直鎖及びあらゆる分岐鎖を含むことを示す。以下同様。)、各種ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、各種オクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコサニル基、各種ドコサニル基、各種テトラコサニル基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基がさらに好ましい。かかるアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の好ましくは環形成炭素数6〜14のアリール基;シアノ基等が挙げられる。置換基を有するアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基等が挙げられる。
1〜R12が表す環形成炭素数3〜40のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。これらの中でも、環形成炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基がより好ましく、シクロヘキシル基がさらに好ましい。かかるシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の好ましくは環形成炭素数6〜14のアリール基;シアノ基等が挙げられる。
1〜R12が表す炭素数2〜40のアルケニル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。該アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、オレイル基(9−オクタデセニル基)、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、炭素数2〜20のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜5のアルケニル基がより好ましく、ビニル基がさらに好ましい。かかるアルケニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の好ましくは環形成炭素数6〜14のアリール基;シアノ基等が挙げられる。置換基を有するアルケニル基の具体例としては、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基が好ましい。
1〜R12が表す炭素数2〜40のアルキニル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。該アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、炭素数2〜20のアルキニル基が好ましく、炭素数2〜5のアルキニル基が好ましく、エチニル基がさらに好ましい。かかるアルキニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の好ましくは環形成炭素数6〜14のアリール基;シアノ基等が挙げられる。置換基を有するアルキニル基の具体例としては、2−フェニルエチニル基等が好ましく挙げられる。
1〜R12が表す環形成炭素数6〜40のアリール基としては、フェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、テトラセニル基、コロニル基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、環形成炭素数6〜18のアリール基が好ましく、環形成炭素数6〜14のアリール基がより好ましく、フェニル基、4−ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−フェナントリル基がさらに好ましい。かかるアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基;ビニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基等のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の好ましくは環形成炭素数6〜14のアリール基;シアノ基等が挙げられる。置換基を有するアリール基の具体例としては、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基等が挙げられる。
1〜R12が表す環形成原子数6〜40のヘテロアリール基は、可能な限り、どの原子で結合していてもよい。かかるヘテロアリール基としては、フラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾピラゾリル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、環形成原子数6〜20のヘテロアリール基が好ましく、環形成原子数6〜14のヘテロアリール基がより好ましく、フラニル基、チオフェニル基、ピリジニル基、カルバゾリル基がさらに好ましい。かかるヘテロアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ヒドロキシル基;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の好ましくは環形成炭素数6〜14のアリール基等が挙げられる。
1〜R12が表す炭素数1〜40のアルコキシ基としては、アルキル基部位が、前記したR1〜R12が表す炭素数1〜40のアルキル基と同様のものが挙げられる。それらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブチルオキシ基がさらに好ましい。かかるアルコキシ基が有していてもよい置換基としても、前記したR1〜R12が表す炭素数1〜40のアルキル基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
1〜R12が表す環形成炭素数3〜10のシクロアルコキシ基及びその好ましい例としては、シクロアルキル基部位及びその好ましい例が、前記したR1〜R12が表す環形成炭素数3〜40のシクロアルキル基及びその好ましい例と同様のものが挙げられる。かかるシクロアルコキシ基が有していてもよい置換基としても、前記したR1〜R12が表す炭素数3〜40のシクロアルキル基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
1〜R12が表す環形成炭素数6〜40のアリールオキシ基及びその好ましい例としては、アリール基部位及びその好ましい例が、前記した前記したR1〜R12が表す環形成炭素数6〜40のアリール基及びその好ましい例と同様のものが挙げられる。それらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、環形成炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、環形成炭素数6〜14のアリールオキシ基がより好ましく、フェノキシ基、ナフトキシ基、フェナントリルオキシ基がさらに好ましい。かかるアリールオキシ基が有していてもよい置換基としても、前記したR1〜R12が表す炭素数6〜40のアリール基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
1〜R12が表す環形成炭素数6〜40のアリールアミノ基は、アミノ基に結合する置換基のうち少なくともひとつがアリール基であればよい。かかるアリールアミノ基としては、フェニルアミノ基等のモノアリールアミノ基;メチルフェニルアミノ基、フェニルt−ブチルアミノ基等のアルキルアリールアミノ基;ジフェニルアミノ基、フェニル−1−ナフチルアミノ基、フェニル−2−ナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基等が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ビス(4−メトキシフェニル)アミノ基が好ましい。かかるアリールアミノ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基;ビニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基等のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の好ましくは環形成炭素数6〜14のアリール基;シアノ基等が挙げられる。置換基を有するアリールアミノ基の具体例としては、ジp−トリルアミノ基、ジm−トリルアミノ基、フェニルm−トリルアミノ基、フェニル(sec−ブチルフェニル)アミノ基、ビス(4−メトキシフェニル)アミノ基等が挙げられる。
1〜R12が表す炭素数1〜40のアルキルアミノ基は、ジアルキルアミノ基においては、アミノ基に結合するアルキル基は同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環(環の一部は窒素原子や酸素原子で置換されていてもよい。)を形成していてもよい。かかるアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ピロリジニル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基等の環形成原子数5〜20(好ましくは5〜10)の含窒素複素環基が挙げられる。これらの中でも、原料の入手容易性等の観点から、ジアルキルアミノ基、含窒素複素環基が好ましく、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピペリジノ基がさらに好ましい。なお、モノアルキルアミノ基及びジアルキルアミノ基において、アルキル基部位の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5である。
かかるアルキルアミノ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ヒドロキシル基;メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、各種プロポキシ基、各種ブトキシ基等の好ましくは炭素数1〜10(より好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基等が挙げられる。置換基を有するアルキルアミノ基の具体例としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、ビス(2−メトキシエチル)アミノ基、ピペコリノ基等が挙げられる。
上記一般式(I)において、R1〜R12が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキル基又は環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基であり、且つR1〜R12のうち少なくとも1つが環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基である有機薄膜太陽電池用材料が好ましく、さらに前記条件において、R3又はR10が環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基である有機薄膜太陽電池用材料がより好ましい。
また、上記一般式(I)において、R1〜R12のうち、R7及び/又はR12(好ましくはR7及びR12)が環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、且つR3又はR10が環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基であり、R1、R2、R4〜R6、R8、R9及びR11がいずれも水素原子である有機薄膜太陽電池用材料がさらに好ましい。
以下に、上記一般式(I)で示される有機薄膜太陽電池用材料の具体例を挙げるが、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 0005452888
これらの中でも、以下の有機薄膜太陽電池用材料が好ましい。
Figure 0005452888
<有機薄膜太陽電池用材料の製造方法>
本発明の有機薄膜太陽電池用材料の製造方法に特に制限は無いが、例えば、一般式(I)のR7及びR12がフェニル基である有機薄膜太陽電池用材料に関しては、以下の合成経路aに準じた製造方法を利用できる。
Figure 0005452888
(合成経路a)
上記合成経路aでは、まず1,3−ジフェニルイソベンゾフランとアセナフチレンのDiels−Alder反応を行なうことにより、ベンゾフルオランテン誘導体を合成する。得られたベンゾフルオランテン誘導体をハロゲン化(好ましくは臭素化)してハロゲノベンゾフルオランテン誘導体を得た後、HNR1314で示されるアミン化合物(前記したR1〜R12が表す置換もしくは無置換の炭素数1〜40のアルキルアミノ基、又はR1〜R12が表す置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜40のアリールアミノ基に水素原子が結合した化合物に相当する。)と反応させることにより目的とする有機薄膜太陽電池用材料を得ることができる。
また別法として、最初のDiels−Alder反応で、アセナフチレンの代わりにハロゲノアセナフチレンを用いることにより、一段階でハロゲノベンゾフルオランテン誘導体を得ることもできる。
合成経路aにおけるDiels−Alder反応は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の溶媒の存在下に実施することが好ましい。反応温度は、通常80〜180℃であり、110〜160℃であることが好ましい。反応時間は、通常、1〜30時間である。こうして得られる反応混合液から、溶媒を留去した後、残渣をジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素に溶解し、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の強酸を加えてから室温〜40℃に加熱した後、適宜中和・洗浄することにより、ベンゾフルオランテン誘導体を得ることができる。
該ベンゾフルオランテン誘導体とハロゲン剤との反応におけるハロゲン化剤としては、例えばN−ブロモスクシンイミド、臭素等が挙げられる。ハロゲン化剤の使用量は、ベンゾフルオランテン誘導体に対して、通常1〜1.5倍モルが好ましく、1〜1.3倍モルがより好ましい。
また、溶媒の存在下に実施してもよく、溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム等が挙げられる。この際の反応温度は、通常、20〜60℃が好ましい。反応時間に特に制限はないが、通常、1〜10時間である。
ハロゲノベンゾフルオランテン誘導体のアミノ化反応は、塩基性化合物、触媒及び配位子の存在下に実施する。
アミノ化反応に使用する前記アミン化合物の使用量は、ハロゲノベンゾフルオランテン誘導体のハロゲン原子に対して、好ましくは1〜2倍モルであり、より好ましくは1.1〜1.5倍モルである。
塩基性化合物としては、アミン化合物の水素をプロトンとして解離させるものであれば特に制限は無く、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。塩基性化合物の使用量は、アミン化合物に対して0.9〜1.5倍モルが好ましく、1〜1.3倍モルがより好ましい。
触媒としてはパラジウム触媒が好ましく、パラジウム触媒としては、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、PdCl2、Pd(OAc)2などのパラジウム源と配位子との組み合わせが挙げられる。触媒の使用量は、ハロゲノベンゾフルオランテン誘導体に対して、好ましくは0.001〜0.1倍モルであり、より好ましくは0.005〜0.05倍モルである。
配位子としては、周期律表の第15族又は第16族の原子を含む化合物、好ましくは第15族の原子を含む化合物、さらに好ましくはリン原子を含む化合物であり、トリo−トリルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィン;トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン等、BINAP[2,2’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)−1,1’−ビナフチル]、DPPF[1,1’−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]等の二座ホスフィン等が挙げられる。配位子の使用量は、触媒の金属原子に対して、好ましくは0.1〜1倍モルであり、より好ましくは0.5〜0.9倍モルである。
また、アミノ化反応は溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
(合成経路b)
合計経路aにおいて出発原料として用いるイソベンゾフランを適宜変更することにより、種々の置換基を導入することができる。例えば、以下の合成経路bに準じた製造方法が挙げられる。
Figure 0005452888
上記合成経路bでは、ハロゲノ無水フタル酸とベンゼン等の芳香族化合物とをFriedel−Crafts反応させることによりケトカルボン酸を合成し、ケト基をヒドロキシル基に還元すると同時に閉環してフタリド類を合成する。次いで、フェニルリチウム等の有機金属試薬を反応させてアルコールとし、脱水反応を行なうことによりイソベンゾフラン誘導体を合成する。その後は合成経路aと類似の方法により、Diels−Alder反応及びアミノ化反応を経由して目的とする有機薄膜太陽電池用材料を得ることができる。
合成経路bにおけるFriedel−Crafts反応は、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の溶媒の存在下に実施してもよいし、反応基質がベンゼン、トルエン、キシレンなどのように室温で液体の場合は反応基質を溶媒として兼用させてもよい。また、塩化アルミニウム、四フッ化ホウ素、四塩化チタン等のルイス酸触媒の存在下に実施する。触媒の使用量は、ハロゲノ無水フタル酸に対して1〜3倍モルが好ましい。反応温度は、通常、室温〜100℃であり、反応時間に特に制限は無いが、通常、30分〜8時間である。
合成経路bにおいて、ケト基を還元することによりラクトン環を形成してフタリド誘導体を合成する反応は、水素化ホウ素ナトリウム等のホウ素化合物等を還元剤として用いることが好ましい。溶媒の存在下に実施してもよく、かかる溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノールなどが好ましい。さらに、反応系内に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基を存在させることが好ましい。反応温度は、室温〜80℃が好ましく、反応時間は、通常、1時間〜72時間である。反応終了後、得られた反応混合液へ塩酸や硫酸などの酸を添加して酸性にすることにより、還元反応で生じた水酸基と隣接するカルボキシル基がエステル化し、容易にラクトン環を形成する。
また、出発原料としては、上述のイソベンゾフラン類以外にも種々の化合物が用いることができる。
例えば下記の合成経路cに示すように、アセナフテンキノンを出発原料として用い、ジベンジルケトンとのアルドール縮合を経てアセサイクロンを合成し、これとベンザイン類を反応(Diels−Alder反応)させることにより、ベンゾフルオランテン誘導体とすることもできる。その後は合成経路aと同様に、ハロゲン化反応及びアミノ化反応を経由して目的とする有機薄膜太陽電池用材料を得ることができる。
Figure 0005452888
アセナフテンキノンとジベンジルケトンとのアルドール縮合反応は、酸又は塩基の存在下に実施する。酸としては、酢酸、プロピオン酸等の有機酸等が挙げられる。塩基としては、トリエチルアミン、リチウムジイソプロピルアミド等の有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。酸を使用する場合、その使用量は、ケトン化合物に対して、通常0.01〜1倍モルであることが好ましい。一方、塩基を使用する場合、その使用量は、ケトン化合物に対して、通常0.01〜1倍モルであることが好ましい。
また、アルドール縮合反応は、溶媒の存在下に実施してもよい。溶媒としては、メタノール、エタノール等が挙げられる。反応温度は、通常、室温〜100℃であることが好ましく、反応時間に特に制限は無いが、通常1〜24時間である。
なお、合成経路a〜cにおいて、適宜原料を変更することで、同様の方法で構造の異なる有機薄膜太陽電池用材料を得ることができる。
以上の様にして得られる有機薄膜太陽電池用材料を、適宜、カラムクロマトグラフィー、再結晶、昇華精製等の、通常の有機化合物の精製手段により精製することにより、純度を高めることができる。
<有機薄膜太陽電池>
本発明の有機薄膜太陽電池用材料を含む有機薄膜太陽電池は、電極以外の層が本発明の材料単独から形成されていてもよいし、本発明の材料と他の成分の混合物から形成されていてもよい。
本発明の材料を用いる有機薄膜太陽電池は、高効率の光電変換特性を示す。
本発明の有機薄膜太陽電池のセル構造は、一対の電極の間に本発明の有機薄膜太陽電池用材料を含有する構造であれば特に限定はない。具体的には、安定な絶縁性基板上に下記の構成を有する構造が挙げられる。
(1)下部電極/本発明の有機薄膜太陽電池用材料の単独層/上部電極
(2)下部電極/p層/n層/上部電極
(3)下部電極/p層/i層(p層の材料とn層の材料の混合層)/n層/上部電極
(4)下部電極/p層の材料とn層の材料の混合層/上部電極
(5)下部電極/[p層/(i層/)n層の繰り返し層]/上部電極
及び上記(2)、(3)の構成のp層とn層を置換した構造が挙げられる。
また、必要に応じて、電極と有機層の間にバッファー層を設けてもよい。例えば具体例として、上記構成(1)にバッファー層を設けた場合、下記構成を有する構造が挙げられる。
(6)下部電極/バッファー層/p層/(i層/)n層/上部電極
(7)下部電極/p層/(i層/)n層/バッファー層/上部電極
(8)下部電極/バッファー層/p層/(i層/)n層/バッファー層/上部電極
(9)下部電極/バッファー層/[p層/(i層/)n層の繰り返し層]/上部電極
(10)下部電極/[p層/(i層/)n層の繰り返し層]/バッファー層/上部電極
(11)下部電極/バッファー層/[p層/(i層/)n層の繰り返し層]/バッファー層/上部電極
本発明の有機薄膜太陽電池用材料は、両電極間に単独層として使用できるが、例えば上記p層、n層、i層、バッファー層にも使用することもできる。
本発明の有機薄膜太陽電池用材料を含まない層の材料や、本発明の有機薄膜太陽電池用材料と混合する層の材料としては、有機薄膜太陽電池で使用される公知の材料を使用することができる。
次に、上記構成において使用し得る各層の材料について説明する。
(下部電極、上部電極)
下部電極、上部電極の材料に特に制限はなく、公知の導電性材料を使用できる。
例えば、p層と接続する電極としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)や金(Au)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)等の金属が使用できる。また、n層と接続する電極としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、カルシウム(Ca)、白金(Pt)、リチウム(Li)等の一成分金属や、マグネシウム(Mg)−Ag、Mg−In、Al−Li等の二成分金属、さらには、上記のp層と接続する電極として例示した金属が使用できる。
なお、一対の電極構成の好ましい構成は、電極部の一方が仕事関数の大きな金属を含み、他方は仕事関数の小さな金属を含む構成である。仕事関数の大きな電極材料としては、ITO、Os、Pd等であり、仕事関数の小さな電極材料としては、Al、In、Mg−Agの合金、Ca、Li、Mg等である。
高効率の光電変換特性を得るためには、太陽電池の少なくとも一方の面は太陽光スペクトルにおいて充分透明にすることが望ましい。そのためには、公知の導電性材料を使用し、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように電極を形成すればよい。受光面の電極の光透過率としては、10%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
膜厚は材料により適宜選択可能であるが、好ましくは1nm〜10μmであり、より好ましくは5nm〜1μmである。
(p層)
p層に使用し得る材料としては、正孔受容体としての機能を有する公知の材料を使用することができる。
p層の材料としては、N,N’−ビス(3−トリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(mTPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)、4,4’,4’’−トリス(フェニル−3−トリルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等のアミン化合物;フタロシアニン(Pc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、チタニルフタロシアニン(TiOPc)等のフタロシアニン類;オクタエチルポルフィリン(OEP)、白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)、亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)等のポルフィリン類;ポリヘキシルチオフェン(P3HT)、メトキシエチルヘキシロキシフェニレンビニレン(MEHPPV)等の主鎖型共役高分子類やポリビニルカルバゾール等の側鎖型高分子類等の高分子化合物等が挙げられる。
p層の膜厚は、好ましくは5nm〜5μmであり、より好ましくは10nm〜1μmである。
(n層)
n層に使用し得る材料としては、電子受容体としての機能を有する公知の材料を使用できる。
n層の材料としては、有機化合物であれば、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体、多環キノン、キナクリドン等や、ビニル基の水素原子がシアノ基に置換したCN−ポリ(フェニレン−ビニレン)[CN−PPV]又はMEH−CN−PPV、シアノ基又はトリフルオロメチル基含有ポリマー、ポリ(フルオレン)誘導体等を挙げることができる。これらの中でも、電子の移動度が高い材料、さらには、電子親和力が小さい材料が好ましい。このように、電子親和力の小さい材料をn層として組み合わせることで、充分な開放端電圧を実現することができる。
また、n層の材料としては、無機化合物であれば、n型シリコン(n−Si)、GaAs、CdS、PbS、CdSe、InP、Nb25、WO3、Fe23等のドーピング半導体及び化合物半導体や、二酸化チタン(TiO2)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti23)等の酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、酸化チタンが好ましく、二酸化チタンがより好ましい。n層の材料として無機化合物を用いる場合、無機化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、n層には上記公知の材料を使用し、p層に本発明の有機薄膜太陽電池用材料を用いて得られる有機薄膜太陽電池が、光電変換効率の観点から好ましい。この場合、n層の公知材料としては、フラーレン誘導体が好ましく、フラーレン(C60)がより好ましい。
n層の膜厚は、好ましくは5nm〜5μmであり、より好ましくは10nm〜1μmである。
(i層)
n層とp層の間にi層を設ける場合、i層の材料としては、通常、n層に使用する材料とp層に使用する材料の混合物を使用する。つまり、本発明の有機薄膜太陽電池用材料をn層に用いるときは、本発明の有機薄膜太陽電池用材料と上記p層の公知材料との混合物であり、本発明の有機薄膜太陽電池用材料をp層に用いるときは、本発明の有機薄膜太陽電池用材料と上記n層の公知材料との混合物である。また、本発明の有機薄膜太陽電池用材料を単独でi層として用い、p層、n層の材料として上記公知材料を使用することもできる。
n層の材料とp層の材料との混合比は、体積比で1:5〜5:1が好ましく、1:2〜2:1がより好ましく、0.9:1.1〜1.1:0.9がさらに好ましい。
i層を設ける場合、その膜厚は、好ましくは1nm〜2μmであり、より好ましくは5nm〜1μmである。
(バッファー層)
一般に、有機薄膜太陽電池はその総膜厚が薄いため、上部電極と下部電極が短絡し、セル作製の歩留まりが低下することが多い。このような場合には、バッファー層を積層することによってこれを防止することが好ましい。
バッファー層に好ましい化合物としては、膜厚を厚くしても短絡電流が低下しないようにキャリア移動度が充分に高い化合物が好ましい。例えば、低分子化合物であれば下記のNTCDAに代表される芳香族環状酸無水物等が挙げられ、高分子化合物であればポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン;下記のポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、ポリアニリン;カンファースルホン酸(PANI:CSA)等に代表される公知の導電性高分子等が挙げられる。
Figure 0005452888
また、バッファー層には、励起子が電極まで拡散して失活してしまうのを防止する役割を持たせることも可能である。このように励起子阻止層としてバッファー層を挿入することは、高効率化のために有効である。バッファー層に励起子阻止層としての役割を持たせる場合の好ましい材料としては、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)用途で公知な正孔障壁層用材料又は電子障壁層用材料等が挙げられる。正孔障壁層として好ましく利用されている材料は、イオン化ポテンシャルが充分に大きい化合物であり、電子障壁層として好ましく利用されている材料は、電子親和力が充分に小さい化合物である。陰極側の正孔障壁層材料としては、具体的には、下記のバソクプロイン(BCP)、下記のバソフェナントロリン(BPhen)等が挙げられる。
Figure 0005452888
さらに、バッファー層には、n層の材料として例示した無機化合物を用いてもよい。また、p型特性の公知の無機化合物である、CdTe、p型シリコン(p−Si)、SiC、GaAs、WO3等を用いてもよい。
バッファー層の膜厚は、好ましくは1nm〜3μmであり、より好ましくは5nm〜1μmである。
なお、有機薄膜太陽電池のセル構造を、「下部電極/本発明の有機薄膜太陽電池用材料の単独層/上部電極」とする場合は、単独層の膜圧は、好ましくは1nm〜10μmであり、より好ましくは5nm〜1μmである。
(基板)
基板は、通常、有機薄膜太陽電池に用いられる基板でよい。機械的、熱的強度を有し、透明性を有するガラス基板や透明性樹脂フィルムを使用することが好ましい。
透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
(有機薄膜太陽電池の各層の形成方法)
本発明の有機薄膜太陽電池の各層の形成方法に特に制限はなく、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法や、スピンコーティング、ディップコート、キャスティング、ロールコート、フローコーティング、インクジェット等の湿式成膜法を適用することができる。この方法により、各層を前記した各層の膜厚に調整することが好ましい。一般に有機薄膜の励起子拡散長は短いことが知られているため、膜厚が厚すぎると励起子がヘテロ界面に到達する前に失活してしまうため光電変換効率が低くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生してしまうため、充分なダイオード特性が得られないため、変換効率が低下する。
上記乾式成膜法を適用する場合、抵抗加熱法を用いて材料を加熱蒸発させることが好ましい。また、混合層を形成する場合には、例えば、複数の蒸発源からの同時蒸着による成膜方法が好ましい。成膜時には、基板温度を一定に制御することが好ましい。
上記湿式成膜法を適用する場合、材料を適切な溶媒に溶解又は分散させて発光性有機溶液を調製してから薄膜を形成する。かかる溶媒としては任意の溶媒を使用でき、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン系炭化水素系溶媒;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒;メタノールやエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、オクタン、デカン、テトラリン等の炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、炭化水素系溶媒又はエーテル系溶媒が好ましい。また、これらの溶媒は、単独で使用しても複数混合して用いてもよい。なお、溶媒は特にこれらに限定されるものではない。
本発明においては、有機薄膜太陽電池のいずれの有機薄膜層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため、適切な樹脂や添加剤を含有させてもよい。使用可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体;ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂;ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂等が挙げられる。
また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が挙げられる。
以上の様にして得られる、本発明の有機薄膜太陽電池用材料を「下部電極/p層/n層/上部電極」のセル構造においてp層に用いると、0.98%以上の光電変換効率、材料によっては、1.48%以上の光電変換効率を得られる。
本発明で得られる有機薄膜太陽電池材料を用いた有機薄膜太陽電池は、太陽電池モジュール、太陽光発電パネル、時計、携帯情報端末、パーソナルコンピューター等の装置に有効に利用される。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、各例において、ソーラーシミュレーター(装置名「SS−50XIL」、英弘精機株式会社製)を用いて、AM1.5条件(光強度100mW/cm2)下で、I−V特性を測定し、開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)、変換効率(η)を求めた。同じPin(光強度)において、Voc、Jsc及びFFがいずれも大きな化合物ほど優れた変換効率を示す。なお、光電変換効率は下記式によって導出した。
Figure 0005452888
(製造例1)
以下の合成経路で、下記化合物Aを製造した。
Figure 0005452888
−中間体A1の製造−
窒素雰囲気下、ジフェニルイソベンゾフラン(6.5g、24mmol)、アセナフチレン(4.6g、24mmol)をp−キシレン(100ml)に溶かし、18時間還流した。反応混合物を減圧蒸留してキシレンを留去し、残渣をジクロロメタン(100ml)に溶かし、トリフルオロ酢酸(10ml、0.13mol)を加えて、窒素雰囲気下で22時間還流した。反応混合物を水(100ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)、飽和食塩水(50ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去して、淡黄色固体(10g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(「ヘキサン+10%ジクロロメタン」、続いて「ヘキサン+33%ジクロロメタン」、最後に「ヘキサン+50%ジクロロメタン」)で精製して淡黄色固体の中間体A1(9.1g、収率94%)を得た。
得られた中間体A1の1H−NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS)δ:6.61(2H,d,J=7Hz)、7.30(2H,t,J=8Hz)、7.37(2H,dd,J=6Hz,3Hz)、7.57−7.68(14H,m)
−中間体A2の製造−
中間体A1(6.0g、15mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(60ml)に懸濁し、これにN−ブロモスクシンイミド(2.9g、16mmol)のDMF溶液(10ml)を加えて40℃で4時間撹拌し、一晩放置した。反応混合物を水浴で冷却した後、水(100ml)で失活させ、生じた固体をろ別後、水、メタノールで洗浄して黄色固体の中間体A2(6.7g、収率92%)を得た。
得られた中間体A2の1H−NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS)δ:6.37(1H,d,J=8Hz)、6.59(1H,d,J=7Hz)、7.34−7.39(3H,m)、7.49−7.54 (5H,m)、7.59−7.68(8H,m)、7.85(1H,d,J=8Hz)
−化合物Aの製造−
窒素雰囲気下、中間体A2(3.7g、7.7mmol)、ジフェニルアミン(1.6g、9.5mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.11g、0.12mmol、3%Pd)、ナトリウムt−ブトキシド(1.0g、10mmol)を無水トルエン(25ml)に懸濁し、トリt−ブチルホスフィン/トルエン溶液(66質量%、0.06ml、0.20mmol、パラジウム原子に対して0.8倍モル)を加えて11時間還流した。反応混合物を、シリカゲルパッドを通してろ別し、トルエン(100ml)で洗浄した。ろ液から溶媒を留去して得られた濃褐色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(「ヘキサン+17%ジクロロメタン」、続いて「ヘキサン+33%ジクロロメタン」、最後に「ヘキサン+50%ジクロロメタン」)で2回精製して橙色固体(3.1g、71%)を得た。これをヘキサン及びトルエンを用いて再結晶し、黄色固体の化合物A(2.0g)を得た。
得られた化合物Aの物性を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS)δ:6.49(1H,d,J=7Hz)、6.53(1H,d,J=7Hz)、6.92(2H,t,J=8Hz)、6.99−7.02 (5H,m)、7.10(1H,t,J=7Hz)、7.15(4H,t,J=8Hz)、7.36−7.39(2H,m)、7.50(1H,d,J=8Hz)、7.53−7.65(12H,m)
FDMS(フィールドディソープションマス分析):計算値C4429N=571、実測値m/z=571(M+,100)
HPLC(高速液体クロマトグラフィー):純度98.2%(UV254、面積%)
さらに、得られた固体(2.0g)を330℃/5.6×10-4Paで昇華精製することにより橙色アモルファス固体(1.4g、純度98.2%)を得た。
(製造例2)
以下の合成経路で、下記化合物Bを製造した。
Figure 0005452888
−化合物Bの製造−
製造例1と同様にして中間体A2を製造した。
窒素雰囲気下、該中間体A2(3.0g、6.2mmol)、4,4’−ジメトキシジフェニルアミン(1.7g、7.4mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.09g、98μmol、3%Pd)、ナトリウムt−ブトキシド(0.8g、8.3mmol)を無水トルエン(20ml)に懸濁し、トリt−ブチルホスフィン/トルエン溶液(66質量%、0.05ml、0.16mmol、パラジウム原子に対して0.8倍モル)を加えて11時間還流した。反応混合物を、シリカゲルパッドを通してろ別し、トルエン(100ml)で洗浄した。ろ液を溶媒留去して得られた橙色個体(3.3g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(「ヘキサン+33%ジクロロメタン」、続いて「ヘキサン+50%ジクロロメタン」)で精製して橙色固体(2.5g、64%)を得た。これをヘキサン及びトルエンを用いて再結晶し、黄色固体の化合物B(2.1g)を得た。
化合物Bの物性を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS)δ:3.74(6H,s)、6.44(1H,d,J=8Hz)、6.51(1H,d,J=7Hz)、6.72(4H,d,J=9Hz)、6.85(1H,d,J=8Hz)、6.92(4H,d,J=9Hz)、7.06(1H,dd,J=8Hz,7Hz)、7.35−7.37(2H,m)、7.49(1H,d,J=8Hz)、7.53−7.66(12H,m)
FDMS:計算値C4633NO2=631、実測値m/z=631(M+,100)
HPLC:97.8%(UV254、面積%)
さらに、得られた固体(1.5g)を320℃/3.9×10-4Paで昇華精製することにより、橙色アモルファス固体(1.4g、純度97.6%)を得た。
(製造例3)
以下の合成経路で、下記化合物Cを製造した。
Figure 0005452888
−中間体C1の製造−
アルゴン雰囲気下、ジフェニルブロモイソベンゾフラン(5.0g、14mmol)及びアセナフチレン(2.6g、17mmol)をp−キシレン(70ml)に溶解し、4時間還流した。反応混合物を減圧蒸留してキシレンを留去し、残渣をジクロロメタン(70ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(7ml、0.09mol)を加えて、アルゴン雰囲気下で19時間還流した。反応混合物から溶媒留去して褐色固体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(「ヘキサン+10%ジクロロメタン」、続いて「ヘキサン+33%ジクロロメタン」、最後に「ヘキサン+50%ジクロロメタン」)で精製して褐色固体(5.3g、収率76%)を得た。
−化合物Cの製造−
アルゴン雰囲気下、中間体C1(4.8g、10mmol)、ジフェニルアミン(2.0g、12mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.13g、0.15mmol、3%Pd)、ナトリウムt−ブトキシド(1.3g、12mmol)を無水トルエン(50ml)に懸濁し、トリt−ブチルホスフィン/トルエン溶液(66質量%、0.07ml、0.24mmol、パラジウム原子に対して0.8倍モル)を加えて15時間還流した。反応混合物を、シリカゲルパッドを通してろ別し、トルエン(100ml)で洗浄した。ろ液を溶媒留去して得られた濃褐色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(「ヘキサン+17%ジクロロメタン」、続いて「ヘキサン+33%ジクロロメタン」、最後に「ヘキサン+50%ジクロロメタン」)で精製して橙色固体の化合物C(3.1g、収率55%)を得た。
化合物Cの物性を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS)δ:6.58(1H,d,J=7Hz)、6.64(1H,d,J=7Hz)、6.98−7.31(13H,m)、7.39−7.68 (14H,m)
FDMS:計算値C4429N=571、実測値m/z=571(M+,100)
HPLC:純度94.8%(UV254、面積%)
さらに、得られた固体(3.0g)を250℃/5.8×10-1Paで昇華精製することにより、橙色アモルファス固体(1.3g、純度94.4%)を得た。
(実施例1)
「25mm×75mm×厚さ0.7mm」のITO透明電極付きガラス基板について、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行った後、UVオゾン洗浄を30分間行った。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず、下部電極である透明電極ラインが形成されている側の面上に、前記透明電極を覆うようにして、化合物Aを抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜(p層:膜厚30nm)した。続けて、この化合物A膜上にフラーレン(C60)を抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜(n層:膜厚60nm)し、その上に下記のバソクプロイン(BCP)を抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜(バッファー層:膜厚10nm)した。最後に、連続して対向電極として金属Alを膜厚80nmで蒸着させ、有機薄膜太陽電池を形成した。面積は0.5cm2であった。
得られた有機薄膜太陽電池の性能を表1に示す。
Figure 0005452888
(実施例2)
実施例1において、化合物Aを製造例2で得られた化合物Bへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作製した。得られた有機薄膜太陽電池の性能を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、化合物Aを製造例3で得られた化合物Cへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機薄膜太陽電池を作製した。得られた有機薄膜太陽電池の性能を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、化合物Aを下記のmTPDへ変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機太陽電池を作製した。
Figure 0005452888
Figure 0005452888
表1より、本発明の有機薄膜太陽電池用材料を用いると、公知の化合物(mTPD)に比べ変換効率が大幅に向上(0.98〜1.48%)しており、本発明の有機薄膜太陽電池用材料が優れた太陽電池特性を示すことがわかる。
本発明の有機薄膜太陽電池用材料は、有機薄膜太陽電池の構成材料として利用可能である。

Claims (6)

  1. 一対の電極の間に電子受容体としての機能を有する材料を含む層と接合するp層を少なくとも備え、該p層が下記一般式(I)で示される有機薄膜太陽電池用材料を含有する、有機薄膜太陽電池
    Figure 0005452888
    (式中、R1〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキル基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルケニル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルキニル基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、環形成原子数6〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルコキシ基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルコキシ基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基又は炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基を表し、R1〜R12のうち少なくとも1つは環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基又は炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基である。)
  2. 上記一般式(I)中、R1〜R12が、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキル基又は環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基を表し、R1〜R12のうち少なくとも1つが環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基である、請求項1に記載の有機薄膜太陽電池
  3. 上記一般式(I)中、R3が環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基である、請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池
  4. 上記一般式(I)中、R10が環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基であり、
    1〜R9、R11、R12が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキル基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルケニル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルキニル基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、環形成原子数6〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルコキシ基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルコキシ基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、又は炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基である、請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池
  5. 上記一般式(I)中、R7及びR12が、それぞれ独立して、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基であり、
    10が環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールアミノ基であり、
    1〜R6、R8、R9、R11が、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキル基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルケニル基、炭素数2〜40の置換もしくは無置換のアルキニル基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基、環形成原子数6〜40の置換もしくは無置換のヘテロアリール基、炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルコキシ基、環形成炭素数3〜10の置換もしくは無置換のシクロアルコキシ基、環形成炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、又は炭素数1〜40の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基である、請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池を具備する装置。
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