JP5451510B2 - 内燃機関用のスパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、自動二輪、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等に使用する内燃機関用のスパークプラグに関する。
従来より、図11(A)に示すように、例えば、自動車等の内燃機関の燃焼室に導入される混合気の着火手段として用いられる内燃機関用のスパークプラグ9がある。
該スパークプラグ9は中心電極94と接地電極95とを有する。
該接地電極95はその一端が取付金具92に固定されるとともに屈曲して、他端を中心電極94に対向する位置に配置している。
上記接地電極95における上記中心電極94側の面である電極対向面は、上記中心電極94と接地電極95との間に火花放電ギャップを形成し、該火花放電ギャップに放電がなされ、この放電により混合気に着火する。
ここで、近年、燃費向上を図るべく、希薄燃焼による内燃機関が種々開発されている。かかる希薄燃焼においては混合気への着火性を保持すべく、燃焼室内の混合気の流速を大きくする必要があった。
ところが、その場合、混合気の流速を大きくする分、火花放電ギャップにおいて混合気が放電される火花によって温められる前に、放電が引き伸ばされて切れてしまうという問題が生じていた。
上記問題点を解消するため、放電電流を大きくして、切れにくくすることが考えられるが、その場合、中心電極や接地電極の消耗が早くなり、スパークプラグの耐久性が低下するおそれが生じる。
そこで、放電切れを防ぐべく、火花放電ギャップの前に混合気の流れを遮る装置を設けたスパークプラグが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、中心電極と接地電極とに、互いの対向部からそれぞれプラグ径方向に延設した電極延長部を設けたスパークプラグが提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2000−235885号公報 特開2008−303840号公報
しかし、一般にスパークプラグにおける燃焼室内の燃焼は、火花放電によって生成される火炎が周囲の混合気に伝播して成長することによって行われるが、その際、火炎の外形が多少乱れることで伝播が促進される。そして、この乱れは混合気の流れによって生じるものである。
ところが、上記特許文献1のように混合気の流れを遮ると火炎の外形に乱れが生じず、火炎が成長しにくく着火性が低下してしまうことが懸念される。
また、上記特許文献2に記載のスパークプラグを、電極延長部が混合気の流動方向を向くように、燃焼室に設置することで、放電が流されても、多少は放電を維持することができる。
しかし、上記電極延長部は電極中心部を起点に半径方向の一方へ延びている短いものであるため、放電の維持時間を充分に稼ぎにくい。
特に、希薄燃焼による内燃機関の高気流速度場においては、放電の維持時間が短くなりすぎ、混合気の加熱時間が短くなるため、着火性を充分に改善できなかった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、混合気の流速の大きい燃焼室において、特に放電電流を高くすることなく、着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグを提供できるものとする。
第1の発明は、外周に取付用ネジ部を設けた取付金具と、上記取付金具に保持される絶縁碍子と、電極先端部が突出するように上記絶縁碍子に保持される中心電極と、上記取付金具に固定されるとともに上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備えた内燃機関用のスパークプラグであって、
上記中心電極における上記電極先端部から、軸方向に略直交する方向であって互いに反対方向の双方に延設された高電圧側延設電極と、
上記中心電極の上記電極先端部に対向する上記接地電極の対向部から、上記高電圧側延設電極と略同一方向に延設された低電圧側延設電極とを備え、
上記高電圧側延設電極の一端部と上記低電圧側延設電極の一端部との間の一端ギャップと、上記高電圧側延設電極の他端部と上記低電圧側延設電極の他端部との間の他端ギャップとは、互いに異なる大きさを有することを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項1)。
第2の発明は、外周に取付用ネジ部を設けた取付金具と、上記取付金具に保持される絶縁碍子と、電極先端部が突出するように上記絶縁碍子に保持される中心電極と、上記取付金具に固定されるとともに上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備えた内燃機関用のスパークプラグであって、
上記中心電極における上記電極先端部から、軸方向に略直交する方向に延設された高電圧側延設電極と、
上記中心電極の上記電極先端部に対向する上記接地電極の対向部から、上記高電圧側延設電極と略同一方向に延設された低電圧側延設電極と、
燃焼室内における上記火花放電ギャップ付近の気流を減速させるための気流減速機構を備え、
上記高電圧側延設電極の延設側端部と上記低電圧側延設電極の延設側端部との間の端部ギャップは、上記中心電極の上記電極先端部と上記接地電極の上記対向部との間の中心ギャップよりも大きく、
上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極は、延設方向の長さが3mm以上であって、
上記気流減速機構は、上記中心ギャップを上記端部ギャップとの間に挟む位置において、上記取付金具から先端側に突出形成され、かつ軸方向及び上記高電圧側延設電極の延設方向に直交する方向の上記気流減速機構の幅が2mm以下であることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項2)。
第1の発明にかかるスパークプラグは、上記中心電極における電極先端部から、軸方向に略直交する方向であって互いに反対方向の双方に延設された高電圧側延設電極と、上記接地電極の対向部から、上記高電圧側延設電極と略同一方向に延設された低電圧側延設電極とを備える。
これによって、混合気の流れが生じている燃焼室内において、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極の延設方向が、混合気の流れと略平行となるようにスパークプラグを設置することにより、火花放電ギャップに発生した放電は、混合気の気流に流されても、引き伸ばされることなく、上記高電圧側延設電極と上記低電圧側延設電極との間を、その延設方向に沿って、混合気と併走するように移動することができる。
したがって、放電が高気流速度の混合気により引き伸ばされて切れるまでの時間を稼ぐことができる。しかも、混合気と共に放電が移動する。
それ故、この間に放電によって混合気の温度が充分に高まり、着火しやすくなる。
特に第1の発明においては、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極が、それぞれ電極先端部及び対向部から、軸方向に略直交する方向であって互いに反対方向の双方に延設されている。それ故、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極の長さを長くしやすい。
その結果、火花放電ギャップにおいて発生した放電の維持時間を略直径長さに亘り稼ぐことができ、着火性を向上させることができる。
さらに、上記一端ギャップと上記他端ギャップとは、互いに異なる大きさを有する。
それ故、上記一端ギャップと上記他端ギャップのうち小さい方(以下これを「小ギャップ」という。)を混合気の流れの上流側に、大きい方(以下これを「大ギャップ」という。)を下流側に配置することによって、確実に上記のような混合気との放電の併走現象が実現でき、着火の確実性を向上できる。
すなわち、火花放電ギャップにおける放電は、上記小ギャップが混合気の上流側となるようにスパークプラグを配設することで、混合気の上流側で最初にブレイクダウン(発生)し、その後上記高電圧側延設電極及び低電圧側延設電極の延設方向に沿って、上記大ギャップへ向かって混合気と併走することができる。
よって、上述したごとく、放電の維持時間を稼ぐとともに、放電によって混合気の温度を高めやすくなるため、放電電流を高くすることなく着火性を向上させることができる。
また、本発明のスパークプラグにおいては、火花放電ギャップにおける気流を遮ることも特にないため、火炎の成長が妨げられることもない。
すなわち、上述したごとく、混合気の流れによって生じる火炎の外形の乱れによって、火炎が周囲の混合気と伝播して、火炎が成長することとなるが、本発明の構成によれば、このような火炎の成長を妨げることはない。それ故、着火性を充分に確保できる。
第2の発明にかかるスパークプラグは、上記中心電極における電極先端部と、上記接地電極の対向部から、互いに略同一方向に延設された上記高電圧側延設電極と上記低電圧側延設電極とを備える。
これによって、混合気の流れが生じている燃焼室内において、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極の延設方向を混合気の流れと略平行に配置することにより、火花放電ギャップに発生した放電は引き伸ばされることなく、上記高電圧側延設電極と上記低電圧側延設電極との間を、混合気と併走するように移動することができる。
特に、第2の発明においては、上記気流減速機構が設けられているため、燃焼室内における上記火花放電ギャップ付近の気流を減速できる。
その結果、火花放電ギャップに発生した放電が、上記高電圧側延設電極と上記低電圧側延設電極との間において、これらに沿って流される速度を小さくすることができる。
これにより、放電が混合気と併走する時間を稼ぐことができる。
したがって、この間に放電によって混合気の温度が充分に高まり着火しやすくなる。
さらに、上記端部ギャップは、上記中心ギャップよりも大きい。
それ故、上記気流減速機構を上記中心ギャップよりも混合気の流れの上流側となるように配置したとき、より小さい小ギャップである上記中心ギャップが混合気の流れの上流側に、より大きい大ギャップである上記端部ギャップが下流側に配置されることとなる。
これによって、確実に、上記のような混合気との放電の併走現象が実現でき、着火の確実性を向上できる。
すなわち、火花放電ギャップにおける放電は、ギャップの小さい上記小ギャップが混合気の上流側となるようにスパークプラグを配設することで、混合気の上流側で最初にブレイクダウン(発生)し、その後上記高電圧側延設電極及び低電圧側延設電極の延設方向に沿って、上記大ギャップへ向かって混合気と併走することができる。
よって、上述したごとく、放電の維持時間を稼ぐとともに、放電によって混合気の温度を高めやすくなるため、放電電流を高くすることなく着火性を向上させることができる。
また、第2の発明においては、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極は、延設方向の長さが3mm以上であるため、放電の維持時間を稼ぐことができる。
また、上記気流減速機構の幅は2mm以下である。そのため、上記気流減速機構が、火花放電ギャップへの気流を遮りすぎることも特にないため、火炎の成長が妨げられることもなく、充分な着火性を得ることができる。
すなわち、上述したごとく、混合気の流れによって生じる火炎の外形の乱れによって、火炎が周囲の混合気と伝播して、火炎が成長することとなるが、本発明の構成によれば、このような火炎の成長を妨げることはない。それ故、着火性を充分に確保できる。
以上のごとく、本発明によれば、混合気の流速の大きい燃焼室において、特に放電電流を高くすることなく、着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
実施例1における、スパークプラグの正面図による説明図。 実施例1における、スパークプラグの側面図による説明図。 実施例1における、スパークプラグの底面図による説明図。 実施例1における、スパークプラグの先端部分説明図。 実施例2における、スパークプラグの先端部分説明図。 実施例3における、スパークプラグの正面図による説明図。 実施例3における、スパークプラグの側面図による説明図。 実施例3における、スパークプラグの底面図による説明図。 実施例3における、スパークプラグの先端部分説明図。 実施例4における、スパークプラグの先端部分説明図。 比較例1における、スパークプラグの先端部分の説明図であって、(A)放電発生直後の状態の図、(B)放電が気流に引き延ばされた状態の図、(C)放電切れの状態の図。 比較例2における、スパークプラグの先端部分の説明図であって、(A)放電発生直後の状態の図、(B)中心電極延長部と接地電極延長部の間を放電が混合気と併走しながら移動する状態の図、(C)放電切れの状態の図。 実施例1における、スパークプラグの先端部分の説明図であって、(A)放電発生直後の状態の図、(B)中心電極延長部と接地電極延長部の間を放電が混合気と併走しながら移動する状態の図、(C)火炎が成長した状態の図。 実施例3における、スパークプラグの先端部分の説明図であって、(A)放電発生直後の状態の図、(B)中心電極延長部と接地電極延長部の間を放電が混合気と併走しながら移動する状態の図、(C)火炎が成長した状態の図。 実験例1における、放電時間と火炎核面積との関係を表す線図。 実験例2における、気流減速機構の幅Wと電極延設部間の気流速度Vとの関係を表す線図。
本願発明において、上記内燃機関用のスパークプラグは、例えば、自動車、自動二輪、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等における内燃機関の着火手段として用いることができる。
また、本願発明のスパークプラグにおいて、内燃機関の燃焼室内に挿入される側を先端側、その反対側を基端側として説明する。
第2の発明において、上記気流減速機構の幅が2.0mmを超える場合には上記気流減速機構が気流を遮り、火炎の成長を妨げるおそれがある(図16参照)。
また、上記気流減速機構の幅が1.6〜1.9mmであることが好ましい(請求項3)。
この場合には、火花放電ギャップにおける混合気の気流を適度に減速し、着火性の一層の向上を図ることができる(図16参照)。
また、上記気流減速機構の幅が1.6mm未満の場合には、上記気流減速機構が気流を減速する効果が低くなるおそれがある(図16参照)。
また、第2の発明において、上記中心電極における上記電極先端部は、上記高電圧側延設電極よりも、先端側へ突出した中心突起部を形成してもよい(請求項4)。
この場合には、上記中心ギャップを容易に、上記端部ギャップよりも小さくすることができ、中心ギャップにおいて、最初にブレイクダウン(放電)させやすくすることができる。
また、第2の発明において、上記接地電極における上記対向部は、上記低電圧側延設電極よりも、中心電極側へ突出した接地突起部を形成してなることが好ましい(請求項5)。
この場合も、上記中心ギャップを容易に、上記端部ギャップよりも小さくすることができ、中心ギャップにおいて、最初にブレイクダウン(放電)させやすくすることができる。
第1の発明又は第2の発明において、上記接地電極は、上記取付金具から先端側へ立設された立設部と、該立設部から略直角に屈曲されてその先端部に上記対向部を有する横設部とを有し、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極は、上記軸方向から見たとき、上記横設部と直交していることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極が、火花放電ギャップにおける混合気の流れ方向に略平行となるように、スパークプラグを燃焼機関に取り付けたとき、上記立設部が混合気の気流を妨げにくい。
すなわち、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極が、軸方向から見たとき、上記横設部と直交していることにより、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極を、火花放電ギャップにおける混合気の流れ方向に略平行にした状態において、上記立設部が、上記高電圧側延設電極と上記低電圧側延設電極との間の火花放電ギャップの上流側又は下流側に配置されることはない。そのため、火花放電ギャップに発生した放電の上記併走現象や火炎の外形の乱れを効果的に生じさせることができ、着火性を向上させることができる。
また、上記高電圧側延設電極は、上記軸方向に直交する方向に延設され、上記軸方向及び上記高電圧側延設電極の延設方向に直交する方向から見たとき、上記低電圧側延設電極は、上記高電圧側延設電極に対して傾斜していることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記一端ギャップと上記他端ギャップとを互いに異なる大きさとなる構成、あるいは上記端部ギャップと上記中心ギャップとを互いに異なる大きさとなる構成を簡単な構成にて実現することができる。
(実施例1)
本願発明の第1の発明の実施例に係る内燃機関用のスパークプラグについて、図1〜図4及び図13を用いて説明する。
本例のスパークプラグ1は、図1に示すように、外周に取付用ネジ部20を設けた取付金具2と、取付金具2に保持される絶縁碍子3と、電極先端部40が突出するように絶縁碍子3に保持される中心電極4と、取付金具2に固定されるとともに中心電極4との間に火花放電ギャップを形成する接地電極5とを有する。
また、スパークプラグ1は、中心電極4における電極先端部40から、軸方向に略直交する方向であって互いに反対方向の双方に延設された高電圧側延設電極42と、中心電極4の電極先端部40に対向する接地電極5の対向部55から、高電圧側延設電極42と略同一方向に延設された低電圧側延設電極52とを備える。
高電圧側延設電極42の一端部421と低電圧側延設電極52の一端部521との間の一端ギャップEG1と、高電圧側延設電極42の他端部422と低電圧側延設電極52の他端部522との間の他端ギャップEG2と、互いに異なる大きさに構成されている。本例では、EG1<EG2の関係で形成される。
ここで、本例では、図2に示されるとおり、接地電極5は取付金具2から先端側へ立設された立設部50と、該立設部50から略直角に屈曲されてその先端部に対向部55を有する横設部51とを有する。
そして、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52は、図3に示すとおり、軸方向から見たとき、上記横設部51と直交して形成される。
また、本例では、図1及び図4に示すとおり、高電圧側延設電極42の一端部421には、高電圧側延設電極42から先端側(低電圧側延設電極52側)へ突出した中心突起部43が形成されている。
また、低電圧側延設電極52の一端部521には、低電圧側延設電極52から基端側(高電圧側延設電極42側)へ突出した接地突起部53が形成されている。
これにより、一端ギャップEG1は、中心突起部43と接地突起部53との間に形成され、EG1<EG2の関係となる。
上記中心突起部43及び接地突起部53は、例えば、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、あるいはこれらの合金からなる。
本例のスパークプラグ1は、例えば、自動車、自動二輪、コージェネレーション、ガス圧送用ポンプ等における内燃機関用の着火手段に用いることができる。特に、希薄燃焼を用いる内燃機関の着火手段に用いることができる。
スパークプラグ1は上述のように、外周に取付用ネジ部20を有する取付金具2を有する。そして、取付用ネジ部20において、内燃機関用の燃焼室(図示略)の壁部に螺合される。
本例における上記高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52とは、互いに略同等の長さ及び幅にて構成される。
また、高電圧側延設電極42と低電圧側延設52の延設方向の長さは、例えば、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の両端が、中心電極4の外形よりも外側へ突出し、取付用ネジ部20よりは外側へ突出しない程度とする。
すなわち、中心電極4の直径よりも大きく、取付用ネジ部20の直径よりも小さい。
高電圧側延設電極42は中心電極4の電極先端部40に対して溶接され、高電圧側延設電極42における一端部421の先端側の面に中心突起部43が溶接されている。
また、低電圧側延設電極52は接地電極5の立設部50及び横設部51と共に一体的に成形されてなる。そして、低電圧側延設電極52における一端部521の基端側の面に接地突起部53が溶接されている。
次に、本例の作用効果について、説明する。
本例のスパークプラグ1は、中心電極4における電極先端部40から、軸方向に略直交する方向であって互いに反対方向の双方に延設された高電圧側延設電極42と、接地電極5の対向部55から、高電圧側延設電極42と略同一方向に延設された低電圧側延設電極52とを備える。
これによって、混合気Mの流れが生じている燃焼室内において、図4に示すとおり、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の延設方向が混合気Mの流れと略平行となるようにスパークプラグ1を設置することにより、火花放電ギャップに発生した放電Eは、混合気Mの気流に流されても、引き伸ばされることなく、高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52との間を、その延設方向に沿って、混合気Mと併走するように移動することができる(図13参照)。
したがって、放電Eが高気流速度の混合気Mにより引き伸ばされて切れるまでの時間を稼ぐことができる。しかも、混合気Mと共に放電Eが移動する。
それ故、この間に放電Eによって混合気Mの温度が充分に高まり、着火しやすくなる。
特に第1の発明に係る本例においては、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52が、それぞれ電極先端部40及び対向部55から、軸方向に略直交する方向であって互いに反対方向の双方に延設されている。それ故、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の長さを長くしやすい。
その結果、火花放電ギャップにおいて発生した放電Eの維持時間を略直径長さに亘り稼ぐことができ、着火性を向上させることができる。
さらに、一端ギャップEG1と他端ギャップEG2とは、互いに異なる大きさを有する。
それ故、一端ギャップEG1と他端ギャップEG2のうち小さい方(小ギャップ)を混合気Mの流れの上流側に、大きい方(大ギャップ)を下流側に配置することによって、確実に上記のような混合気Mとの放電Eの併走現象が実現でき、着火の確実性を向上できる。
すなわち、火花放電ギャップにおける放電Eは、小ギャップの一端ギャップEG1が混合気Mの上流側となるようにスパークプラグ1を配設することで、図13(A)に示すとおり、混合気Mの上流側で最初にブレイクダウン(発生)し、その後、図13(B)、(C)に示すとおり、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の延設方向に沿って、大ギャップへ向かって混合気Mと併走することができる。
よって、上述したごとく、放電Eの維持時間を稼ぐとともに、放電Eによって混合気Mの温度を高めやすくなるため、放電電流を高くすることなく着火性を向上させることができる。
また、本発明のスパークプラグ1においては、火花放電ギャップにおける気流を遮ることも特にないため、火炎Fの成長が妨げられることもない。
すなわち、上述したごとく、混合気Mの流れによって生じる火炎Fの外形の乱れによって、火炎Fが周囲の混合気Mと伝播して、火炎Fが成長することとなるが、本発明の構成によれば、このような火炎Fの成長を妨げることはない。それ故、着火性を充分に確保できる。
以上のごとく、本例によれば、混合気の流速の大きい燃焼室において、特に放電電流を高くすることなく、着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
(実施例2)
本例は、図5に示すとおり、軸方向及び高電圧側延設電極42の延設方向に直交する方向から見たとき、低電圧側延設電極52が高電圧側延設電極42に対して傾斜したスパークプラグ1の例である。
また、高電圧側延設電極42の一端部421と低電圧側延設電極52の一端部521との間の一端ギャップEG1は、高電圧側延設電極42の他端部422と低電圧側延設電極52の他端部522との間の他端ギャップEG2よりも小さい。すなわちEG1<EG2の関係が成立する。
高電圧側延設電極42は、軸方向に直交する方向に延設されている。
そして、軸方向及び高電圧側延設電極42の延設方向に直交する方向から見たとき、低電圧側延設電極52は、高電圧側延設電極42に対して傾斜するように形成してある。
具体的には、低電圧側延設電極52は、一端部521から他端部522へ行くに従い高電圧側延設電極42から遠ざかるように傾斜している。
本例のスパークプラグ1は、一端ギャップEG1が混合気Mの流れの上流側に、他端ギャップEG2が下流側となるように、内燃機関の燃焼室内に取り付けられる。その他は、実施例1と同様である。
本例の場合には、中心突起部43及び接地突起部53(図4参照)を設ける必要がない。そのため、小ギャップの一端ギャップEG1と大ギャップの他端ギャップEG2の構成を簡素化できると共に、コスト低減を図ることができる。
すなわち、小ギャップが混合気Mの上流側となるようにスパークプラグ1を配設することで、放電Eは、混合気Mの上流側で最初にブレイクダウン(発生)し、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の延設方向に沿って、略直径長さに亘り大ギャップへ向かって、混合気Mと併走することができる。
その他は実施例1と同様の作用効果を有する。
(実施例3)
本願の第2の発明の実施例に係る内燃機関用のスパークプラグについて、図6〜図9及び図14を用いて説明する。
本例のスパークプラグ1は図6に示すように、中心電極4における電極先端部40から、軸方向に略直交する方向に延設された高電圧側延設電極42と、中心電極4の電極先端部40に対向する接地電極5の対向部55から、高電圧側延設電極42と略同一方向に延設された低電圧側延設電極52と、燃焼室内における火花放電ギャップ付近の気流を減速させるための気流減速機構22を備える。
上記高電圧側延設電極42の延設側端部420と上記低電圧側延設電極52の延設側端部520との間の端部ギャップEGは、中心電極4の電極先端部40と接地電極5の対向部55との間の中心ギャップCGよりも大きく構成されている。
すなわち、CG<EGの関係で形成される。
また、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52は、延設方向の長さが3mm以上に構成される。
そして、気流減速機構22は、中心ギャップCGを端部ギャップEGとの間に挟む位置において、取付金具20から先端側に突出形成されている。また、軸方向及び高電圧側延設電極42の延設方向に直交する方向の気流減速機構22の幅は2mm以下である。
また、本例では、図6及び図9に示すとおり、中心電極4における電極先端部40は、高電圧側延設電極42よりも、先端側へ突出した中心突起部43を有する。また、接地電極5における対向部55は、低電圧側延設電極52よりも、中心電極4側へ突出した接地突起部53を有する。
これにより、中心ギャップCGは、中心突起部43と接地突起部53との間に形成され、CG<EGの関係となる。
本例における上記高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52とは、互いに略同等の長さ及び幅にて構成される。
また、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設52の延設方向の長さは、例えば、中心電極4の外形よりも外側へ突出し、取付用ネジ部20よりは外側へ突出しない程度とする。
本例では、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52は、延設方向の長さが3mm以上に構成される。
高電圧側延設電極42は中心電極4に対して溶接され、電極先端部40は高電圧側延設電極42における先端側の面に中心突起部43を溶接することにより形成されている。
また、低電圧側延設電極52は接地電極5の立設部50及び横設部51と共に一体的に成形されてなる。そして、横設部51と低電圧側延設電極52との交わる位置(屈曲部)において、その基端側の面に接地突起部53が溶接されている。
また、上記中心突起部43及び接地突起部53は中心電極4の中心軸上に配置されている。
そして、気流減速機構22は、中心ギャップCGを端部ギャップEGとの間に挟む位置において、取付金具20から先端側に突出するよう溶接される。
ここで、軸方向及び高電圧側延設電極42の延設方向に直交する方向の気流減速機構22の幅は2mm以下に形成される。
また、図8に示すごとく、気流減速機構22は、略四角柱状の金属部材によって構成することができる。
次に、本例の作用効果について、説明する。
本例のスパークプラグ1は、中心電極4における電極先端部40と、接地電極5の対向部55から、互いに略同一方向に延設された高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52とを備える。
これによって、混合気Mの流れが生じている燃焼室内において、図9に示すとおり、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の延設方向を混合気Mの流れと略平行に配置することにより、火花放電ギャップに発生した放電Eは引き伸ばされることなく、高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52との間を、混合気Mと併走するように移動することができる(図14参照)。
特に、本例においては、気流減速機構22が設けられているため、燃焼室内における火花放電ギャップ付近の気流を減速できる。
その結果、火花放電ギャップに発生した放電Eが、高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52との間において、それらに沿って流される速度を小さくすることができる。
これにより、放電Eが混合気Mと併走する時間を稼ぐことができる。
したがって、この間に放電Eによって混合気Mの温度が充分に高まり着火しやすくなる。
さらに、端部ギャップEGは、中心ギャップCGよりも大きい。
それ故、気流減速機構22を中心ギャップCGよりも混合気Mの流れの上流側となるように配置したとき、より小さい小ギャップである中心ギャップCGが混合気Mの流れの上流側に、より大きい大ギャップである端部ギャップEGが下流側に配置されることとなる。これによって、確実に、上記のような混合気Mとの放電Eの併走現象が実現でき、着火の確実性を向上できる。
すなわち、火花放電ギャップにおける放電Eは、小ギャップの中心ギャップCGが混合気Mの上流側となるようにスパークプラグ1を配設することで、図14(A)に示すとおおり、混合気Mの上流側で最初にブレイクダウン(発生)し、その後、図14(B)、(C)に示すとおり、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の延設方向に沿って、大ギャップへ向かって混合気Mと併走することができる。
よって、上述したごとく、放電Eの維持時間を稼ぐとともに、放電Eによって混合気Mの温度を高めやすくなるため、放電電流を高くすることなく着火性を向上させることができる。
また、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52は、延設方向の長さが3mm以上であるため、放電Eの維持時間を稼ぐことができる。
また、気流減速機構22の幅は2mm以下である。
そのため、気流減速機構22が火花放電ギャップへの気流を遮りすぎることも特にないため、火炎Fの成長が妨げられることもなく、充分な着火性を得ることができる。
すなわち、上述したごとく、混合気Mの流れによって生じる火炎Fの外形の乱れによって、火炎Fが周囲の混合気Mと伝播して、火炎Fが成長することとなるが、本発明の構成によれば、このような火炎Fの成長を妨げることはない。それ故、着火性を充分に確保できる。
以上のごとく、本例によれば、混合気の流速の大きい燃焼室において、特に放電電流を高くすることなく、着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグを提供できる。
(実施例4)
本例は、図10に示すとおり、軸方向及び高電圧側延設電極42の延設方向に直交する方向から見たとき、低電圧側延設電極52が高電圧側延設電極42に対して傾斜した第2の発明にかかるスパークプラグ1の例である。
低電圧側延設電極52は、上記接地電極5の対向部55から延設方向へ行くほど、高電圧側延設電極42から離れるように、傾斜している。
すなわち、中心ギャップCGが端部ギャップEGよりも小さく、CG<EGの関係が成立する。
また、本例のスパークプラグ1は、中心突起部43及び接地突起部53を設けていない。
そして、本例のスパークプラグ1は、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の、電極先端部40及び対向部55からの延設方向が、混合気Mの流れの下流側方向となるように、内燃機関の燃焼室内に取り付けられる。その他は、実施例3と同様である。
本例の場合には、中心突起部43及び接地突起部53(図4参照)を設ける必要がない。そのため、小ギャップの中心ギャップCGと大ギャップの端部ギャップEGの構成を簡素化できると共に、コスト低減を図ることができる。
すなわち、小ギャップが混合気Mの上流側となるようにスパークプラグ1を配設することで、放電Eは、混合気Mの上流側で最初にブレイクダウン(発生)し、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の延設方向に沿って、大ギャップへ向かって、混合気Mと併走することができる。
その他は実施例3と同様の作用効果を有する。
(比較例1)
本例は、図11に示すごとく、上記高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52を有していないスパークプラグ9の例である。
気流速度が特に大きくない低気流速度場の燃焼室内にスパークプラグ9を設置した場合、図11(A)に示すごとく、スパークプラグ9における中心電極94と接地電極95との火花放電ギャップに生じた放電Eが、上流から流れる混合気Mにさらされることで、混合気Mが温められ、着火に至る。
しかし、燃焼室内の混合気Mの流速が大きいと、図11(B)、(C)に示すごとく、放電Eが混合気Mの流れ方向に大きく引き伸ばされることがある。そして、混合気Mが放電Eより生成される火炎核によって温められ着火に至る前に、放電切れが生じ、火炎核が消炎してしまうことがある。
(比較例2)
本例は、図12に示すごとく、中心電極94と接地電極95とに、互いの対向部からそれぞれプラグ径方向に延設した中心電極延長部96及び接地電極延長部97を設けたスパークプラグ90の例である。
この場合、中心電極延長部96及び接地電極延長部97の延設方向を燃焼室内の気流の方向に沿うようにスパークプラグ90を設置すれば、中心電極94と接地電極95との火花放電ギャップに放電された放電Eが、気流に流されても、中心電極延長部96及び接地電極延長部97の間を混合気Mと併走しながら移動する[図12(B)参照]。
ここで、気流の速度が小さければ、この間に放電Eによって、混合気Mが温められ着火に至る。
しかし、燃焼室内の混合気Mの流速が大きいと、図12(B)、(C)に示すごとく、中心電極延長部96及び接地電極延長部97の先端まで放電Eが移動する時間が短くなり、混合気Mが放電Eによって温められ着火に至る前に、放電切れが生じ火炎核が消炎してしまう。
上記比較例1及び比較例2に対し、実施例1のスパークプラグ1を高気流速度場となる燃焼室内に取り付けた場合、図13(A)に示すとおり、一端ギャップEG1において飛火した放電Eが、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52に沿って、他端ギャップEG2に至るまで、混合気Mと併走することができる。
実施例1のスパークプラグ1における高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52は、中心電極4の電極先端部40及び接地電極5の対向部55からそれぞれ、径方向の双方へ延設されており、その長さを図12に示すスパークプラグ90の中心電極延長部96と接地電極延長部97よりも長くすることができる。
その結果、放電Eと混合気Mとの併走距離を長くでき、放電Eの維持時間を稼ぐことができ、着火性を向上させることができる。[図13(B)、(C)参照]。
すなわち、混合気Mが放電Eにより温められ着火するまで、放電Eが高気流速度の混合気Mにより引き伸ばされて、放電切れ及び消炎することなく維持できる[図13(C)参照]。
その結果、上記比較例にかかるスパークプラグ9及びスパークプラグ90に比べ着火性を大きく向上させることができる。
また、上記比較例1及び比較例2に対し、実施例3のスパークプラグ1を高気流速度場となる燃焼室内に取り付けた場合は、図14(A)に示すとおり、気流減速機構22が設けられているため、燃焼室内における火花放電ギャップ付近の気流を減速できる。
その結果、火花放電ギャップに発生した放電Eが、高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52との間において、これらに沿って流される速度を小さくすることができる。
これにより、放電Eが混合気Mと併走する時間を稼ぐことができる。
したがって、この間に放電Eによって混合気Mの温度が充分に高まり着火しやすくなる。[図14(B)、(C)参照]。
つまり、実施例3のスパークプラグ1は、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の長さが比較例2のスパークプラグ90と同等であっても、放電Eの移動速度を落とすことができるために、放電Eの維持時間を稼ぐことができる。
よって、混合気Mが放電Eにより温められ着火するまで、放電Eが高気流速度の混合気Mにより引き伸ばされて、放電切れ及び消炎することなく維持できる[図14(C)参照]。
その結果、上記比較例にかかるスパークプラグ9及びスパークプラグ90に比べ着火性を向上することができる。
(実験例1)
本例は、図15に示すごとく、上記実施例1に示したスパークプラグ1と、上記比較例1のスパークプラグ9とによる着火性能の比較を行った実験例である。
まず、内燃機関の燃焼室と同様の状況を作ることができる試験容器にスパークプラグを取り付け、空燃比(A/F)が23.5の混合気Mを試験容器内に噴射するとともに、火花放電ギャップにおける混合気Mの流速が25m/秒となるような気流を形成した。
この状況下において、試験容器内の圧力を0.6MPaとすると共に、スパークプラグの電極間に放電電流が50mAとなるように電圧をかけて火花放電を行う。
このとき、放電Eによって火花放電ギャップに火炎核が形成され成長する。この火炎核の大きさを観察窓から観察し、スパークプラグの接地電極における横設部(図2の符号51参照)の延設方向(図1のように見える方向)から見た火炎核の面積を遂時測定した。
その結果を図15に示す。同図において、Aを付したデータ群が実施例1にかかる本発明のスパークプラグ1によるものであり、Bを付したデータ群が比較例のスパークプラグ9によるものである。
同図から分かるように実施例1のスパークプラグ1は、放電時間の経過に伴い、火炎核の面積が大きくなっている。
これは放電が切れることなく火炎核が成長していることを意味する。そして、火炎核の面積が基準となっている15.0mmを超えており、混合気Mへの着火が正常に行える状態になっている。
一方、比較例のスパークプラグ9は放電時間が経過しても、火炎核の面積は大きくならない。これは、放電、放電切れ、再放電を繰り返して、火炎核が成長せず着火に至らないことを意味する。
なお、図示しないが、本実験例における同条件下では、上記比較例2におけるスパークプラグ90による着火性能の実験を行った場合、スパークプラグ90の中心電極延長部96及び接地電極延長部97は、図12に示すとおり中心電極94と接地電極95とに、互いの対向部からそれぞれプラグ径方向に延設したものであるため、実施例1のスパークプラグ1の放電時間経過の約半分の時点までしか、火炎核面積は拡大しないと考えられる。
すなわち、図15に示すAを付したデータ群の約半分の放電時間しか、放電Eを維持できず、同データ群から鑑みて、着火可能な火炎核の面積の基準である15.0mmを大きく下回る火炎核面積しか得ることができず、火炎核が成長せず着火に至らないと考えられる。
以上により、高気流速度場において、比較例のスパークプラグ9及びスパークプラグ90では着火が困難であったが本発明のスパークプラグを用いることにより、より充分に着火が可能となることがわかる。
なお、上記の実験は、スパークプラグ1、スパークプラグ9のプラグ径(直径)が12mmのものを用いて行ったが、少なくともプラグ径10〜14mmのものについては、同様の傾向が得られる。
(実験例2)
本例は、上記実施例3に示したスパークプラグ1における気流減速機構22の幅W(mm)と、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の間における気流速度V(m/秒)との相関関係を調べた実験例である。
まず、内燃機関の燃焼室と同様の状況を作ることができる試験容器にスパークプラグを取り付け、空燃比(A/F)が23.5の混合気Mを試験容器内に噴射するとともに、火花放電ギャップにおける混合気Mの流速が30m/秒となるような気流を形成した。
なお、本実験例では、取付用ネジ部20の直径が12mmのスパークプラグを用いた。
また、軸方向及び高電圧側延設電極42の延設方向に直交する方向の気流減速機構22の厚みは1.3mmにて一定とした。
そして、気流減速機構22の外縁から電極先端部40の中央までの径方向の距離を4.7mmとする。
この状況下において、試験容器内の圧力を0.6MPaとすると共に、スパークプラグの電極間に放電電流が50mAとなるように電圧をかけて火花放電を行う。
このとき、上記実施例3に示したスパークプラグ1における気流減速機構22の幅Wと、高電圧側延設電極42及び低電圧側延設電極52の間における気流速度Vとの相関関係を図16に示す。
同図から分かるように実施例3のスパークプラグ1は、気流減速機構22の幅Wが1.0mmから2.3mmまで大きくなるに伴い、高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52との間における気流速度Vが24m/秒から0m/秒まで減少している。
そして、幅Wが2.0mmを超え、2.3mmとなると気流減速機構22が気流を完全に遮蔽し、電極延設部間の気流がほとんどなくなってしまう。
これは気流減速機構22の幅Wを広げれば気流の減速効果が確実に高まるが、幅Wが広すぎると、高電圧側延設電極42と低電圧側延設電極52との間の混合気Mの流動を遮蔽してしまうことを意味する。
上述したごとく、混合気Mの流れにより生じる火炎Fの外形の乱れによって、火炎Fが周囲の混合気Mと伝播して、火炎Fが成長することができず、着火性を充分に確保できない。
したがって、この結果から鑑みて、気流減速機構22の幅Wは2.0mm以下とする必要があることがわかる。
また、気流減速機構22の幅Wが1.3mm以下のとき、気流速度Vは20m/秒以上であり、気流減速機構22による気流の減速の効果が不十分であり、放電Eの維持時間を充分に稼げない。
一方、気流減速機構22の幅Wが1.6〜1.9mm以下の場合、気流を完全に遮ることを確実に防ぎつつ、気流速度Vを充分に抑制することができる。
それ故、気流減速機構22の幅を1.6mm〜1.9mmとすることによって、火炎Fの外形を適度に乱しつつ、放電Eの維持時間を充分に長くすることができるため、着火性を確保することができる。
したがって、気流減速機構22の幅Wが1.6〜1.9mmであることがより好ましい。
以上により、高気流速度場において、本発明のスパークプラグを用いることにより、着火性を大きく向上させることができることがわかる。
1 スパークプラグ
2 取付金具
20 取付用ネジ部
3 絶縁碍子
4 中心電極
40 電極先端部
42 高電圧側延設電極
421 一端部
422 他端部
5 接地電極
52 低電圧側延設電極
521 一端部
522 他端部
55 対向部
EG1 一端ギャップ
EG2 他端ギャップ

Claims (7)

  1. 外周に取付用ネジ部を設けた取付金具と、上記取付金具に保持される絶縁碍子と、電極先端部が突出するように上記絶縁碍子に保持される中心電極と、上記取付金具に固定されるとともに上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備えた内燃機関用のスパークプラグであって、
    上記中心電極における上記電極先端部から、軸方向に略直交する方向であって互いに反対方向の双方に延設された高電圧側延設電極と、
    上記中心電極の上記電極先端部に対向する上記接地電極の対向部から、上記高電圧側延設電極と略同一方向に延設された低電圧側延設電極とを備え、
    上記高電圧側延設電極の一端部と上記低電圧側延設電極の一端部との間の一端ギャップと、上記高電圧側延設電極の他端部と上記低電圧側延設電極の他端部との間の他端ギャップとは、互いに異なる大きさを有することを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
  2. 外周に取付用ネジ部を設けた取付金具と、上記取付金具に保持される絶縁碍子と、電極先端部が突出するように上記絶縁碍子に保持される中心電極と、上記取付金具に固定されるとともに上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備えた内燃機関用のスパークプラグであって、
    上記中心電極における上記電極先端部から、軸方向に略直交する方向に延設された高電圧側延設電極と、
    上記中心電極の上記電極先端部に対向する上記接地電極の対向部から、上記高電圧側延設電極と略同一方向に延設された低電圧側延設電極と、
    燃焼室内における上記火花放電ギャップ付近の気流を減速させるための気流減速機構を備え、
    上記高電圧側延設電極の延設側端部と上記低電圧側延設電極の延設側端部との間の端部ギャップは、上記中心電極の上記電極先端部と上記接地電極の上記対向部との間の中心ギャップよりも大きく、
    上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極は、延設方向の長さが3mm以上であって、
    上記気流減速機構は、上記中心ギャップを上記端部ギャップとの間に挟む位置において、上記取付金具から先端側に突出形成され、かつ軸方向及び上記高電圧側延設電極の延設方向に直交する方向の上記気流減速機構の幅が2mm以下であることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
  3. 請求項2に記載の内燃機関用のスパークプラグにおいて、上記気流減速機構の幅が1.6〜1.9mmであることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
  4. 請求項2又は3に記載の内燃機関用のスパークプラグにおいて、上記中心電極における上記電極先端部は、上記高電圧側延設電極よりも、先端側へ突出した中心突起部を形成してなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の内燃機関用のスパークプラグにおいて、上記接地電極における上記対向部は、上記低電圧側延設電極よりも、中心電極側へ突出した接地突起部を形成してなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関用のスパークプラグにおいて、上記接地電極は、上記取付金具から先端側へ立設された立設部と、該立設部から略直角に屈曲されてその先端部に上記対向部を有する横設部とを有し、上記高電圧側延設電極及び上記低電圧側延設電極は、上記軸方向から見たとき、上記横設部と直交していることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関用のスパークプラグにおいて、上記高電圧側延設電極は、上記軸方向に直交する方向に延設され、上記軸方向及び上記高電圧側延設電極の延設方向に直交する方向から見たとき、上記低電圧側延設電極は、上記高電圧側延設電極に対して傾斜していることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
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