JP5445681B2 - 電動駆動ユニット - Google Patents

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Description

この発明は、電動駆動ユニットに関する。
インバータでモータを駆動する電動駆動ユニットがある(JP2004−260898A参照)。
JP2004−260898Aの技術では、モータとインバータの間にロータを保持する軸受が在るため、ある周波数帯域において、シャフトと軸受を介する電流経路のインピーダンスが、シャフトと軸受を介さない電流経路のインピーダンスよりも低くなる。このため、インバータスイッチングにより生じるコモンモード電圧によって、軸受を介してシャフトに高周波の電流が流れ、外部に電磁ノイズが放射するという問題があった。
本発明は、インバータ駆動のモータでも放射電磁ノイズを抑制し得る電動駆動ユニットを提供することを目的とする。
本発明のある態様における電動駆動ユニットは、インバータと、インバータからの交流電流を受けて磁界を形成するステータと、このステータの形成する磁界によって回転するロータと、このロータ軸方向の一方及び他方に突出してロータと一体動するシャフトと、インバータを電気的に絶縁した状態で収納するインバータケースと、ステータ及びロータを収納すると共に、シャフトの一端を第1軸受を介して、シャフトの他端を第2軸受を介して回転可能に支持するモータケースとを備える。そして、2つの軸受よりも内側にインバータ及びインバータケースを配置し、インバータから発生する高周波電流が流れる複数の経路のうち、ステータを経由する経路の長さは、シャフトを経由する経路の長さ以下である。
本発明の実施形態、本発明の利点については、添付された図面とともに以下に詳細に説明される。
図1Aは、第1実施形態の電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図1Bは、図1Aに高周波電流が流れる2つのルートを書き入れた電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図2は、第1実施形態の2つのルートのインピーダンスの周波数特性図である。 図3Aは、従来の電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図3Bは、図3Aに高周波電流が流れる2つのルートを書き入れた電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図4は、従来の2つのルートのインピーダンスの周波数特性図である。 図5は、寄生容量等を書き入れた電動駆動ユニットの概略回路図である。 図6Aは、第2実施形態の電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図6Bは、図6Aに2つのルートを書き入れた電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図7は、第2実施形態の2つのルートのインピーダンスの周波数特性図である。 図8Aは、第3実施形態の電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図8Bは、図8Aに2つのルートを書き入れた電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図9Aは、第4実施形態の電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図9Bは、図9Aに2つのルートを書き入れた電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図10Aは、第5実施形態の電動駆動ユニットの概略縦断面図である。 図10Bは、図10Aに2つのルートを書き入れた電動駆動ユニットの概略縦断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
図1Aは、本発明の第1実施形態の電動駆動ユニット1の概略縦断面図である。モータケース2は、円筒状の周方向保持部材3と、この周方向保持部材3の左右に設けられる軸受保持蓋4、5とからなる。周方向保持部材3の内周壁には、全体として円筒状(または多角筒形状)のステータコア7が固定されている。
ステータ6は、ステータコア7とコイル8と有する。コイル8は、ステータコア7に巻回されている。
ステータコア7の中心にできる空間には、円柱状のロータ9が所定のギャップをおいて配置されている。ロータ9の軸心を左右方向に貫通して、シャフト10が設けられている。
周方向保持部材3の右方に位置する第1軸受保持蓋4は、シャフト10を被覆して右方向に延びる第1筒状部材4aと、第1筒状部材4aの左端からシャフト10の径方向外側に向かって延びる第1鍔状部材4bとからなる。第1鍔状部材4bの外周端は、モータケース2の周方向保持部材3の右端に固定されている。第1筒状部材4aの右端内周壁には、第1軸受15が設けられている。シャフト10は、第1軸受15と後述する第2軸受16とで回転支持される。
周方向保持部材3の左方に位置する第2軸受保持蓋5の構成は、シャフト10の右方に位置する第1軸受保持蓋4の構成と同様である。すなわち、第2軸受保持蓋5は、シャフト10を被覆して左方向に延びる第2筒状部材5aと、第2筒状部材5aの右端からシャフト10の径方向外側に向かって延びる第2鍔状部材5bとからなる。第2鍔状部材5bの外周端は、モータケース2の周方向保持部材3の左端に固定されている。第2筒状部材5aの左端内周壁には、第2軸受16が設けられている。
このように構成されるステータ6と、ロータ9とを備えるモータは、ラジアルギャップインナーロータタイプのモータである。ただし、本発明は、ラジアルギャップインナーロータタイプのモータに限定されるものでない。ラジアルギャップアウターロータタイプのモータの詳細については、第5実施形態の図10Aおよび図10Bを用いて後述する。図示しないが、アキシャルギャップタイプのモータにも本発明を適用することができる。誘導機、同期機といったモータのタイプは特定していないが、ACモータであれば、どんな種類のモータに対しても本発明を適用することができる。一例として、永久磁石型AC同期モータを挙げておく。
シャフト10を回転支持する左側の第2軸受16よりもステータコア7に近い位置に、箱状のインバータケース21が配置されている。インバータケース21の内部には、インバータ回路部22(インバータ)が収納されている。インバータ回路部22は、インバータケース21と電気的に絶縁されている。
インバータ回路部22の出力側は、インバータケース21および第2鍔状部材5bを貫通する交流ケーブル23によって、コイル8と接続されている。インバータケース21と第2鍔状部材5bとの間の交流ケーブル23は、電磁シールド線24により被覆されている。インバータ回路部22には、インバータケース21を貫通する直流ケーブル25を介して、直流電流が供給される。
シャフト10及びモータケース2には、図示しない回転位置検出器や、複数の信号線も接続される。シャフト10の右端は、図示しない減速機などを介して、車輪と接続されており、シャフト10の回転により車輪が駆動する。
上記のインバータケース21及びモータケース2(周方向保持部材3及び2つの軸受保持蓋4、5)は、アルミ合金や鉄などで構成される。
図3Aは、従来の電動駆動ユニット1の概略縦断面図である。図1Aと同一部分には、同一の符号を付している。図3Aと図1Aとを比べればわかるように、第1実施形態の電動駆動ユニット1では、従来の電動駆動ユニット1と相違して、インバータケース21を2つの軸受15、16の間に配置している。
ところで、本発明は、例えば車体上もしくはホイール内に配置される電気自動車用のモータ・インバータユニットに適用することができる。電気自動車用のモータおよびインバータは、乗員の空間を確保するためにも、小型化することが強く求められる。インバータを小型化するためには、冷却を向上する必要があり、電気安全上絶縁されているインバータの冷却を向上するためには、熱伝導率が低い絶縁層を薄くしなければならない。また、モータを小型化するためには、モータ体格内の占積率を向上する必要がある。そのためには、絶縁を保ちながら、ステータコア部材とコイルを高密度に配置しなければならない。
前述の小型化を行うことにより、インバータと冷却チャネルを有するインバータケースとの間、またコイルとステータコアとの間の絶縁層の面積が広くなり、厚みが薄くなる。従って、グラウンド電位と同等となるインバータケースやステータコアと、インバータ回路部やモータコイル部の強電部との間の寄生容量が大きくなる。これにより、インバータスイッチングにより生じる対グラウンド電圧によって、ステータコア、ロータ、軸受、シャフトまたはシャフトにつながるあらゆる部品に高周波の電流が誘起され、電磁ノイズが外部へ放射されるという現象が生じる。
この現象について、図3B、図5に基づき詳細に説明する。図3Bは、図3Aに対して、高周波電流が流れる2つのルートに、抵抗、インダクタンス、キャパシタンス(寄生容量)を記号で書き入れた電動駆動ユニット1の概略縦断面図である。また、図5は、高周波電流が流れるルートに、抵抗、インダクタンス、キャパシタンス(寄生容量)を記号で書き入れた電動駆動ユニット1の概略回路図である。なお、図5には、抵抗を記載しているのに、図3Bでは抵抗を記載していないが、これは単に省略しただけで、抵抗がないということではない。
図3B、図5に示したように、インバータ回路部22は、インバータケース21と電気的に絶縁されるため、インバータ回路部22とインバータケース21との間に静電容量(キャパシタンス)31が寄生する。同様に、コイル8とステータコア7との間にも静電容量32が寄生する。また、モータのエアギャップ部にも静電容量33が寄生し、2つの軸受15、16には、回転中に生じる油膜部分に静電容量34、35が寄生する。インバータケース21やモータケース2の周方向保持部材3、左右2つの軸受保持蓋4、5(2つの鍔状部材4b、5b)は金属で構成されるため、導電性である。このため、図5に示すように、その材料特性と形状に応じたインダクタンス36a、36bと抵抗37a、37bが存在する。シャフト10もインダクタンス36cと抵抗37cを有する。
例えばPWMを用いるインバータでは、そのスイッチングに応じた高周波成分を持つコモンモード電圧がモータ中性点とグラウンド(図3B参照)の間に印加され、各静電容量31、32、33、34、35やインダクタンス36a、36b、36cを介して、高周波の電流が流れる。図3Bでは、高周波電流が流れる代表的な2つの電流経路(「ルート」ともいう。)を示している。
一方のルートは、インバータ回路部22からコイル8に到達した後、コイル8から下方に向かい、静電容量32、周方向保持部材3、第2軸受保持蓋5(第2鍔状部材5b)、静電容量31を通り(つまりシャフト10、第2軸受16を通らないで)、インバータ回路部22に戻る。この高周波電流のルートを「ステータルート」と名付ける。
他方のルートは、インバータ回路部22からコイル8に達した後、コイル8から上方に向かい、静電容量33、シャフト10、第2軸受16(静電容量35)、第2軸受保持蓋5(第2鍔状部材5b)、静電容量31を通り、インバータ回路部22に戻る。この高周波電流のルートを「ベアリングルート」と名付ける。
ステータルートとベアリングルートの2つのルートについて、高周波電流の流れやすさを示すインピーダンスの周波数特性を図4に示す。図4において、上の周波数特性は、図3Bに示すステータルートのインピーダンスZ1の特性、下の周波数特性は、図3Bに示すベアリングルートのインピーダンスZ2の特性である。図3A、図3Bに示すように、インバータケース21と第2軸受保持蓋5(第2鍔状部材5b)との間に第2軸受16が配置される構造では、図4に示すように、ある周波数範囲においてZ1>Z2となる。PWMを用いるインバータによって生じるコモンモード電圧は、広帯域の周波数成分を含む。従って、Z1>Z2の周波数帯域では、高周波電流がシャフト10に多く流れ、シャフト10の電位が振動することにより、外部に多くの電磁ノイズを放射する。
本発明では、モータ及びインバータの小型化により、避けることができないグラウンド系を流れる高周波電流について、モータ・インバータを含む電動駆動ユニットの構造を工夫することにより、外部へ電磁ノイズを放射しにくい経路(ルート)に高周波電流を導く。これにより、外部への放射電磁ノイズを低減させる。
次に、本発明の基本的な考え方について説明する。高周波電流の流れるルート(回路)をR−L−C直列回路で近似すると、R−L−C直列回路のインピーダンスZは、
Z={(R^2+(ωL−1/ωC)^2}^(1/2)
である(ただし「^」は累乗を表す)。従って、ステータルートのインピーダンスZ1’と、ベアリングルートのインピーダンスZ2’との間に、Z1’<Z2’を成立させるには、次の(a)、(b)のうちの少なくとも一方を実行すればよいと考えられる。
(a)ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLをステータルートの抵抗R及びインダクタンスLより大きくする。
(b)ベアリングルートの静電容量Cをステータルートの静電容量Cより小さくする。
上記(a)の方法として、さらに次の(a1)、(a2)の2つの態様が考えられる。
(a1)ステータルートの抵抗R及びインダクタンスLは、従来の電動駆動ユニットのままで、ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLを従来の電動駆動ユニットより大きくする。
(a2)ステータルートの抵抗R及びインダクタンスLを従来の電動駆動ユニットより小さくすると共に、ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLを従来の電動駆動ユニットより大きくする。
実際には上記(b)の方法は現実的でないので、上記(a1)や(a2)の方法を採用することとなる。
ここで、高周波電流が流れるルートを従来の電動駆動ユニットより長くすれば、抵抗R及びインダクタンスLが従来の電動駆動ユニットより大きくなる。よって、上記(a1)の場合、つまりステータルートの抵抗R及びインダクタンスLは従来の電動駆動ユニットのままで、ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLを従来の電動駆動ユニットより大きくするには、ステータルートの長さは従来の電動駆動ユニットのままで、ベアリングルートの長さを従来の電動駆動ユニットのベアリングルートより長くすればよい。
一方、上記(a2)の場合、つまりステータルートの抵抗R及びインダクタンスLを従来の電動駆動ユニットより小さくすると共に、ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLを従来の電動駆動ユニットより大きくするには、ステータルートの長さを従来の電動駆動ユニットのステータルートの長さより短くすると共に、ベアリングルートの長さを従来の電動駆動ユニットのベアリングルートの長さより長くすればよい。
以下で、より具体的に説明する。図1Aに示す第1実施形態の電動駆動ユニット1は、上記(a1)の場合、つまりステータルートの抵抗R及びインダクタンスLは従来の電動駆動ユニット1のままで、ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLを従来の電動駆動ユニット1より大きくするものである。図1Bは、図1Aに対して、ステータルートとベアリングルートを書き入れたものである。従来の電動駆動ユニット1に対して、ステータルートとベアリングルートを書き入れた図3Bと比較すればわかるように、第1実施形態の電動駆動ユニット1では、2つの軸受保持蓋4、5に、筒状部材4a、5aを追加して設けたことで、ベアリングルートの長さが従来の電動駆動ユニット1より長くなっている。一方、第1実施形態の電動駆動ユニット1のステータルートの長さは、従来の電動駆動ユニット1のステータルートの長さと同じである。第1実施形態の電動駆動ユニット1でベアリングルートの長さが従来の電動駆動ユニット1のベアリングルートの長さより長くなると、ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLがその分従来の電動駆動ユニット1より大きくなる。
図2は、第1実施形態の電動駆動ユニット1について、ステータルートのインピーダンスZ1’の周波数特性と、ベアリングルートのインピーダンスZ2’の周波数特性とを重ねて示したものである。従来の電動駆動ユニット1に対する周波数特性である図4と異なり、第1実施形態の電動駆動ユニット1では、ステータルートのインピーダンスZ1’、ベアリングルートのインピーダンスZ2’について、あらゆる周波数帯域においてZ1’<Z2’が成り立つ。また、Z1’、Z2’の極小点の周波数は、きわめて近い。Z1’<Z2’の関係が成り立つ場合、シャフト10や第2軸受16を介して流れる高周波電流が減少するため、シャフト10の電位変動を抑制し、外部への電磁ノイズ放射を低減することができる。
また、第2軸受16に存在する油(油膜)に高周波電流が流れると、油が劣化して第2軸受16の寿命が縮まる。しかし、第1実施形態によれば、第2軸受16を流れる高周波電流が従来の電動駆動ユニット1より減少するので、その分第2軸受16の寿命を延ばすことができる。
このように、本実施形態における電動駆動ユニットは、インバータ回路部22(インバータ)と、インバータ回路部22からの交流電流を受けて磁界を形成するステータ6と、ステータ6の形成する磁界によって回転するロータ9と、ロータ9の軸方向の一方及び他方に突出してロータ9と一体動するシャフト10と、インバータ22を電気的に絶縁した状態で収納するインバータケース21と、モータケース2とを備える。モータケース2は、ステータ6及びロータ9を電気的に絶縁した状態で収納すると共に、シャフト10の一端を第1軸受15を介して回転可能に支持し、シャフト10の他端を第2軸受16を介して回転可能に支持する。インバータ回路部22及びインバータケース21は、2つの軸受(15、16)よりも内側に配置する。このような構成により、シャフト10及び第2軸受16(インバータケース21に近い側の軸受)を介する電流経路であるベアリングルートが従来の電動駆動ユニット1のベアリングルートより長くなる。すなわち、シャフト10及び第2軸受16を介する電流経路であるベアリングルートのインピーダンスZ2’は、シャフト10及び第2軸受16を介さない電流経路であるステータルートのインピーダンスZ1’より高くなる。これにより、シャフト10に流れる高周波電流成分が減少し、放射電磁ノイズを抑制することができる。
図6A、図8A、図9A、図10Aはそれぞれ、第2、第3、第4、第5の実施形態の電動駆動ユニット1の概略縦断面図である。第1実施形態の図3Aと同一部分には、同一の符号を付している。第2〜第5の実施形態は、上記(a2)の場合、つまりステータルートの抵抗R及びインダクタンスLを、従来の電動駆動ユニット1のステータルートの抵抗R及びインダクタンスLより小さくすると共に、ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLを、従来の電動駆動ユニット1のベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLより大きくする。以下、個別に説明する。
なお、第2〜第5の実施形態では、第1実施形態と相違して、筒状部材4a、5aを設けていない。つまり、第2〜第5の実施形態では、第1軸受保持蓋4と第1鍔状部材4bは同じものであり、第2保持蓋5と第2鍔状部材5bは同じものである。従って、以下では、第1鍔状部材4b、第2鍔状部材5bで説明する。
図6Aに示す第2実施形態の電動駆動ユニット1は、図3Aに示す従来の電動駆動ユニット1を前提として、左側の第2鍔状部材5bをシャフト10の軸方向に(左側に)ずらせて空間を設け、この空間にインバータケース21及びインバータ回路部22を組み込んでいる。すなわち、モータケース2の周方向保持部材3の左端からシャフト10の径方向内側に延びるフランジ41を設ける。一方、インバータケース21を、モータケース2の周方向保持部材3と同径の円筒状の周方向保持部材42で構成する。このインバータケース21の周方向保持部材42を、モータケース2の周方向保持部材3の左隣りに配置する。
インバータケース21の周方向保持部材42の右端からシャフト10の径方向内側に延びるフランジ43を設ける。対向する2つのフランジ41、43について、シャフト10の径方向内側端までの長さを同じにする。また、2つのフランジ41、43の対向する面41a、43aを、導電性部材44を介して当接し、複数のボルト45、46、47、48などにより、2つのフランジ41、43を加圧固定する。
インバータケース21の周方向保持部材42の内周壁には、全体として円環状に形成したインバータ回路部22を電気的に絶縁して固定する。インバータケース21の周方向保持部材42の左端には、モータケース2の第2鍔状部材5bを固定する。
インバータ回路部22の出力側は、2つのフランジ41、43を貫通する交流ケーブル23によりコイル8と接続する。一方、第2鍔状部材5bを貫通する直流ケーブル25を介して、電流をインバータ回路部22に供給する。
シャフト10及びモータケース2には、第1実施形態と同様に、回転位置検出器、複数の信号線も接続される(図示せず)。左側の第2鍔状部材5bには、シャフト10の左端を被覆する金属製のキャップ49が設けられている。このキャップ49の内壁に回転位置検出器を取り付けることができる。シャフト10の右端は、減速機(図示せず)などを介して、車輪と接続されており、シャフト10の回転により車輪が駆動する。
図6Bは、図6Aに対して、ステータルート、ベアリングルートの2つのルートを書き入れた電動駆動ユニット1の概略縦断面図である。従来の電動駆動ユニット1に対してステータルート、ベアリングルートを書き入れた図3Bと比較すると、第2実施形態の電動駆動ユニット1では、以下のことが分かる。すなわち、左側の第2鍔状部材5bをシャフト10の軸方向に(左側に)ずらせて空間を設け、この空間にインバータケース21及びインバータ回路部22を組み込むことで、ベアリングルートの長さが従来の電動駆動ユニット1のベアリングルートの長さより長くなっている。
また、モータケース2の周方向保持部材3の左隣にインバータケース21の周方向保持部材42を増設し、インバータケース21の周方向保持部材42に設けたフランジ43と、モータケース2の周方向保持部材3に設けたフランジ41との当接面(41a、43a)を広くしている。さらに、導電性部材44を介して、インバータケース21の周方向保持部材42に設けたフランジ43と、モータケース2の周方向保持部材3に設けたフランジ41とを固定している。このような構成とすることにより、モータケース2の周方向保持部材3と、インバータケース21の周方向保持部材42との間の抵抗R及びインダクタンスLが従来の電動駆動ユニット1より小さくなる。すなわち、ステータルートの抵抗R及びインダクタンスLが従来の電動駆動ユニット1より小さくなっている。
図7は、第2実施形態の電動駆動ユニット1について、ステータルートのインピーダンスZ1’の周波数特性と、ベアリングルートのインピーダンスZ2’の周波数特性とを重ねて示したものである。従来の電動駆動ユニット1に対する周波数特性である図4とは異なり、第2実施形態の電動駆動ユニット1においても、ステータルートのインピーダンスZ1’ 、ベアリングルートのインピーダンスZ2’について、あらゆる周波数帯域において、Z1’<Z2’が成り立っている。Z1’<Z2’の関係が成り立つ場合、シャフト10や第2軸受16(インバータケース21に近い側の軸受)を介して流れる高周波電流が減少する。これにより、シャフト10の電位変動を抑制し、外部への電磁ノイズ放射を低減できるとともに、第2軸受16の寿命を延ばすことができる。
このように、第2実施形態では、モータケース2とインバータケース21とを導電性部材44を介して固定している。第2実施形態によれば、導電性部材44を介在させることにより、インバータケース21と、モータケース2の周方向保持部材3とが低インピーダンスで接続される。従って、シャフト10と第2軸受16(インバータケース21に近い側の軸受)を介する電流経路であるベアリングルートのインピーダンスZ2’は、導電性部材44を介さずに、インバータケース21とモータケース2の周方向保持部材3を接続する場合のベアリングルートのインピーダンスよりも高くなる。これにより、シャフト10と第2軸受16を介さない電流経路であるステータルートのインピーダンスZ1’は、あらゆる周波数帯域において、ベアリングルートのインピーダンスZ2’より低くなる。従って、シャフト10に流れる高周波電流成分が減少し、放射電磁ノイズを減少させることができる。
また、第2実施形態では、モータケース2の周方向保持部材3とインバータケース21とを少なくとも1つの面(41a、43a)で当接させている。第2実施形態によれば、シャフト10と第2軸受16を介する電流経路であるベアリングルートのインピーダンスZ2’は、少なくとも1つの面でモータケース2の周方向保持部材3とインバータケース21と当接させていない場合よりも高い。また、シャフト10と第2軸受16を介さない電流経路であるステータルートのインピーダンスZ1’は、あらゆる周波数帯域において、ベアリングルートのインピーダンスZ2’より低い。これにより、シャフト10に流れる高周波電流成分が減少し、これによって放射電磁ノイズを減少させることができる。
図8Aに示す第3実施形態の電動駆動ユニット1は、図3Aに示す従来の電動駆動ユニット1を前提として、シャフト10の径方向外側にモータケース2の周方向保持部材3(または多角筒形状部材)をずらせて円筒状の空間を設け、この円筒状の空間にインバータケース21及びインバータ回路部22を組み込んだものである。第2実施形態の電動駆動ユニット1では、シャフト10の軸方向に、モータ(6、9)とインバータ(22)とを並行配置した。これに対して、第3実施形態の電動駆動ユニット1では、シャフト10の径方向に、モータ(6、9)とインバータ(22)とを重ねて配置している。すなわち、インバータケース21をモータケース2の周方向保持部材3より小径の円筒状の周方向保持部材51で構成している。また、インバータケース21の周方向保持部材51を、従来の電動駆動ユニット1において、モータケース2の周方向保持部材3のあった位置に配置している。
インバータケース21の周方向保持部材51の右端は、右側の第1鍔状部材4bに固定する。また、インバータケース21の周方向保持部材51の左端は、左側の第2鍔状部材5bに固定する。
インバータケース21の周方向保持部材51の外周壁には、全体として円環状に形成したインバータ回路部22を固定し、インバータケース21の周方向保持部材51の内周壁には、ステータコア7を電気的に絶縁して固定する。つまり、第3実施形態の電動駆動ユニット1では、インバータケース21の周方向保持部材51は、ステータコア7の保持機能を兼ねている。一方、最外周に位置するモータケース2の周方向保持部材3は、インバータケースの一部を兼ねている。モータケース2の周方向保持部材3がインバータケースの一部を兼ねることは、モータケース2の周方向保持部材3とインバータケースの当接面積が広くなることを意味する。
実際に電動駆動ユニット1を製造する場合、焼き嵌め等を用いる。そのとき、モータケース2の周方向保持部材3の内周壁側に位置するインバータ回路部22、インバータケース21の周方向保持部材51及びステータ6がモータケース2の周方向保持部材3によってシャフト10の径方向内側に締め付けられる。従って、インバータケース21の周方向保持部材51及びステータ6には、圧力が作用したままの状態、つまり加圧状態となる。金属の部材間を当接(接触)させる場合、当接面(接触面)にかかる圧力により、当接部(接触部)の抵抗やインダクタンスが変化する。加わる圧力が大きいほど、当接部(接触部)の抵抗及びインダクタンスは小さくなる。
さらに、第3実施形態では、左右2つの鍔状部材4b、5bに複数の溝52、53を設けている。複数の溝52、53を設けることによって、溝52、53を設けない場合に比べて、左右2つの鍔状部材4b、5bの抵抗R及びインダクタンスLが大きくなる。これによって、特に左側の第2鍔状部材5bのインピーダンスが大きくなる。
第3実施形態では、電動駆動ユニット1がほぼ左右対称である。図8Aでは、シャフト10の右端がキャップ49で被覆され、シャフト10の左端が減速機(図示せず)などを介して、車輪と接続されている場合を示している。
図8Bは、図8Aに対して、ステータルート、ベアリングルートの2つのルートを書き入れた電動駆動ユニット1の概略縦断面図である。従来の電動駆動ユニット1に対してステータルート、ベアリングルートを書き入れた図3Bと比較すると、第3実施形態の電動駆動ユニット1では、以下のことが分かる。すなわち、ステータルートの長さが従来の電動駆動ユニット1のステータルートの長さより短く、ステータルートの抵抗R及びインダクタンスLが従来の電動駆動ユニット1のステータルートの抵抗R及びインダクタンスLより小さい。また、ベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLが従来の電動駆動ユニット1のベアリングルートの抵抗R及びインダクタンスLより大きい。
第3実施形態の電動駆動ユニット1においても、ステータルートのインピーダンスZ1’の周波数特性と、ベアリングルートのインピーダンスZ2’の周波数特性とを重ねた図は、図2、図7と同様となる。すなわち、全周波数帯域において、ステータルートのインピーダンスZ1’とベアリングルートのインピーダンスZ2’との間に、Z1’<Z2’の関係が成立する。これによって、外部への電磁ノイズ放射を低減するとともに、第2軸受16の寿命を延ばすことができる。
このように、第3実施形態では、モータケース2は、ステータ6及びロータ9の外周を電気的に絶縁した状態で収納する円筒状の周方向保持部材3と、第1鍔状部材4bと、第2鍔状部材5bとを有する。第1鍔状部材4bは、内周側に第1軸受15を備え、シャフト10の径方向外側に向かって延びている。第2鍔状部材5bは、内周側に第2軸受16を備え、シャフト10の径方向外側に向かって延びている。モータケース2の周方向保持部材3の内周側に、周方向保持部材3よりも小径の円筒状の周方向保持部材51を、インバータケース21の周方向保持部材51として配置する。インバータケース21の周方向保持部材51のシャフト軸方向の両端を第1、第2の鍔状部材4b、5bに固定すると共に、インバータケース21の周方向保持部材51とモータケース2の周方向保持部材3との間の空間に、インバータ回路部22(インバータ)を収納している。
第3実施形態によれば、インバータケース21とモータケース2の周方向保持部材3との当接面積(接触面積)が広くなる。また、焼き嵌め等を用いることに伴う加圧により、インバータケース21と、モータケース2の周方向保持部材3とが加圧状態でない場合より、低抵抗かつ低インダクタンスで接続される。シャフト10と第2軸受16(インバータケース21に近い側の軸受)を介さない電流経路であるステータルートのインピーダンスZ1’は、あらゆる周波数帯域において、シャフト10と第2軸受16を介する電流経路であるベアリングルートのインピーダンスZ2’より低くなる。これにより、シャフト10に流れる高周波電流成分が減少し、これによって放射電磁ノイズを減少させることができる。
第3実施形態では、2つの鍔状部材4b、5bに、複数の溝52、53を有している。第3実施形態によれば、2つの鍔状部材4b、5bの抵抗及びインダクタンスが、2つの鍔状部材4b、5bに複数の溝52、53を有しない場合より高くなる。これにより、シャフト10と第2軸受16を介さない電流経路であるステータルートのインピーダンスZ1’は、あらゆる周波数帯域において、シャフト10と第2軸受16を介する電流経路であるベアリングルートのインピーダンスZ2’より低くなる。従って、シャフト10に流れる高周波電流成分が減少し、放射電磁ノイズが減少する。
図9Aに示す第4実施形態の電動駆動ユニット1は、図3Aに示す従来の電動駆動ユニット1を前提として、シャフト10の径方向外側に、モータケース2の周方向保持部材3(または多角筒形状部材)をずらせて円筒状の空間を設け、この円筒状の空間にインバータケース21及びインバータ回路部22を組み込んだものである。この構成は、第3実施形態の電動駆動ユニット1と同じである。
ただし、第3実施形態の電動駆動ユニット1と相違して、モータケース2の周方向保持部材3の内周側に、インバータケース21の周方向保持部材51を配置せず、モータケース2の周方向保持部材3が、インバータケース21の周方向保持部材51の機能を兼ねている。すなわち、モータケース2の周方向保持部材3の内周壁に、全体として円環状に形成したインバータ回路部22を電気的に絶縁して固定し、インバータ回路部22の内周壁に、ステータコア7を電気的に絶縁して固定している。
また、第4実施形態の電動駆動ユニット1では、左右2つの鍔状部材4b、5bの軸断面は、階段状の形状である。2つの鍔状部材4b、5bの軸断面を階段状の形状とすることによって、2つの鍔状部材4b、5bの抵抗R及びインダクタンスLは、鍔状部材4b、5bを階段状の形状としない場合よりも大きくなる。
図9Bは、図9Aに対して、ステータルート、ベアリングルートの2つのルートを書き入れた電動駆動ユニット1の概略縦断面図である。第4実施形態の電動駆動ユニット1では、インバータ回路部22とステータコア7とが直接接続されるため、ステータルートの長さが第3実施形態の電動駆動ユニット1のステータルートの長さよりさらに短くなる。これにより、ステータルートのインピーダンスZ1’は、第3実施形態の電動駆動ユニット1のステータルートのインピーダンスより小さくなる。また、2つの鍔状部材4b、5bが従来の電動駆動ユニット1の鍔状部材4b、5bよりインピーダンスが高くなる構造なので、ベアリングルートのインピーダンスZ2’は、従来の電動駆動ユニット1のベアリングルートのインピーダンスZ2より大きくなる。
第4実施形態の電動駆動ユニット1においても、ステータルートのインピーダンスZ1’の周波数特性と、ベアリングルートのインピーダンスZ2’の周波数特性とを重ねた図は、図2、図7と同様となる。すなわち、全周波数帯域において、ステータルートのインピーダンスZ1’とベアリングルートのインピーダンスZ2’との間に、Z1’<Z2’の関係が成立する。これによって、外部への電磁ノイズ放射を低減するとともに、第2軸受16の寿命を延ばすことができる。
このように、第4実施形態では、モータケース2は、ステータ6及びロータ9の外周を電気的に絶縁した状態で収納する周方向保持部材3と、第1鍔状部材4bと、第2鍔状部材5bとを有する。第1鍔状部材4bは、内周側に第1軸受15を備え、シャフト10の径方向外側に向かって延びている。第2鍔状部材5bは、内周側に第2軸受16を備え、シャフト10の径方向外側に向かって延びている。モータケース2の周方向保持部材3の内周壁に、全体として円環状に形成したインバータ回路部22(インバータ)を固定し、円環状に形成したインバータ回路部22の内周壁に、ステータ6を固定している。第4実施形態によれば、インバータケース21とモータケース2の周方向保持部材3とを同一部材としているので、部品点数を削減できる。また、インバータケース21とモータケース2の周方向保持部材3との間の抵抗及びインダクタンスが無くなるので、シャフト10と第2軸受16を介さない電流経路であるステータルートのインピーダンスZ1’は、あらゆる周波数帯域において、シャフト10と第2軸受16を介する電流経路であるベアリングルートのインピーダンスZ2’より低くなる。これにより、シャフト10に流れる高周波電流成分が減少し、これによって放射電磁ノイズが減少させることができる。
第4実施形態では、2つの鍔状部材4b、5bの軸断面が階段状である。第4実施形態によれば、2つの鍔状部材4b、5bの抵抗及びインダクタンスが、2つの鍔状部材4b、5bの軸断面が階段状でない場合より高くなる。従って、シャフト10と第2軸受16を介さない電流経路であるステータルートのインピーダンスZ1’は、あらゆる周波数帯域において、シャフト10と第2軸受16を介する電流経路であるベアリングルートのインピーダンスZ2’より低くなる。これにより、シャフト10に流れる高周波電流成分が減少し、放射電磁ノイズが減少する。
図10Aに示す第5実施形態の電動駆動ユニット1は、第1〜第4の実施形態の電動駆動ユニット1と相違して、ラジアルギャップアウターロータタイプのモータを対象とする。
第5実施形態の電動駆動ユニット1では、インバータケース21は、ステータ保持機能とアウターロータ保持機能を有し、左右2つの鍔状部材4b、5bを2つの軸受15、16を介して保持する。すなわち、インバータケース21を円盤状部材61と、円盤状部材61の軸心位置に設けられる軸状部材62とからなる支持部材として構成する。軸状部材62の外周壁に、ステータ6を固定し、モータケース2の周方向保持部材3の内周壁に、ロータ9を固定する。
モータケース2の周方向保持部材3は、円筒状である。周方向保持部材3の右端には、第1鍔状部材4bを固定し、周方向保持部材3の左端には、第2鍔状部材5bを固定する。第1鍔状部材4bは、第1軸受15を介して、インバータケース21の軸状部材62(支持部材)に回転支持する。第2鍔状部材5bは、第2軸受16を介してインバータケース21の円盤状部材61(支持部材)に回転支持する。
ステータコア7の内部には、全体として円環状に形成したインバータ回路部22を絶縁して配置する。これは、インバータ回路部22とステータコア7とを広い面積で直接当接させることにより、ステータルートのインピーダンスZ1’を従来の電動駆動ユニット1のステータルートのインピーダンスZ1より小さくするためである。
このように構成されるラジアルギャップアウターロータタイプのモータでは、左右2つの鍔状部材4b、5bと、モータケース2の周方向保持部材3とがロータ9と一体で回転する。
図10Bは、図10Aに対して、ステータルート、ベアリングルートの2つのルートを書き入れた電動駆動ユニット1の概略縦断面図である。第5実施形態の電動駆動ユニット1では、インバータ回路部22とステータコア7とを広い面積で直接当接することにより、ステータルートのインピーダンスZ1’が従来の電動駆動ユニット1のステータルートのインピーダンスZ1より小さくなる。また、ベアリングルートのインピーダンスZ1’が従来の電動駆動ユニット1のベアリングルートのインピーダンスZ2より大きくなる。これによって、第5実施形態の電動駆動ユニット1においても、ステータルートのインピーダンスの周波数特性と、ベアリングルートのインピーダンスの周波数特性とを重ねた図は、図2、図7と同様となる。すなわち、全周波数帯域において、ステータルートのインピーダンスZ1’とベアリングルートのインピーダンスZ2’との間に、Z1’<Z2’の関係が成立する。これによって、外部への電磁ノイズ放射を低減するとともに、第2軸受16の寿命を延ばすことができる。
このように、第5実施形態では、モータケース2は、ステータ6及びロータ9の外周を電気的に絶縁した状態で収納する周方向保持部材3と、第1鍔状部材4bと、第2鍔状部材5bとを有する。第1鍔状部材4bは、内周側に第1軸受15を備え、シャフト10の径方向外側に向かって延びている。第2鍔状部材5bは、内周側に第2軸受16を備え、シャフト10の径方向外側に向かって延びている。インバータケース21は、円盤状部材61と、円盤状部材61の軸心位置に設けられる軸状部材62とからなる支持部材で構成する。軸状部材62の外周壁にはステータ6を固定し、周方向保持部材3の内周壁には、ロータ9を固定する。また、第1鍔状部材4bは、第1軸受15を介して、支持部材(61、62)に回転支持し、第2鍔状部材5bは、第2軸受16を介して、支持部材(61、62)に回転支持する。インバータ回路部22(インバータ)は、ステータ6に直接固定している。第5実施形態によれば、インバータケース21がステータ6と直接接続する構造により、インバータケース21とステータ6との間のインピーダンスが低減する。従って、シャフト10と第2軸受16を介さない電流経路であるステータルートのインピーダンスは、あらゆる周波数帯域において、シャフト10と第2軸受16を介する電流経路であるベアリングルートのインピーダンスより低くなる。これにより、シャフト10に流れる高周波電流成分が減少し、これによって放射電磁ノイズを減少させることができる。
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。
上述した各実施形態における電動駆動ユニットでは、インバータ22から発生する高周波電流が流れる複数の経路のうち、ステータ6を経由する経路(ステータルート)の長さがシャフト10を経由する経路(ベアリングルート)の長さより短くなるような構造とした。しかし、ステータルートの長さとベアリングルートの長さとが等しい場合でも、上述した効果はある。従って、ステータ6を経由する経路(ステータルート)の長さがシャフト10を経由する経路(ベアリングルート)の長さ以下となるように構成すればよい。
第3実施形態では、2つの鍔状部材4b、5bに、複数の溝52、53を設けたが、第4実施形態において、2つの鍔状部材4b、5bに、複数の溝52、53を設けるようにしてもよい。また、第4実施形態において、2つの鍔状部材4b、5bの軸断面が階段状となるようにしたが、第3実施形態において、2つの鍔状部材4b、5bの軸断面が階段状となるようにしてもよい。
本願は2010年7月26日に日本国特許庁に出願された特願2010−166851に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (8)

  1. インバータと
    前記インバータからの交流電流を受けて磁界を形成するステータと
    前記ステータの形成する磁界によって回転するロータと
    前記ロータの軸方向の一方及び他方に突出して、前記ロータと一体動するシャフトと
    前記インバータを電気的に絶縁した状態で収納するインバータケースと
    前記ステータ及び前記ロータを収納すると共に、前記シャフトの一端を第1軸受を介して回転可能に支持し、前記シャフトの他端を第2軸受を介して回転可能に支持するモータケースと
    を備え、
    前記第1軸受および前記第2軸受の2つの軸受よりも内側に、前記インバータ及び前記インバータケースを配置し、
    前記インバータから発生する高周波電流が流れる複数の経路のうち、前記ステータを経由する経路の長さは、前記シャフトを経由する経路の長さ以下である電動駆動ユニット。
  2. 請求項1に記載の電動駆動ユニットにおいて、
    前記モータケースと前記インバータケースとを導電性部材を介して固定する、
    電動駆動ユニット。
  3. 請求項1に記載の電動駆動ユニットにおいて、
    前記モータケースと前記インバータケースとを少なくとも1つの面で当接させる、
    電動駆動ユニット。
  4. 請求項1に記載の電動駆動ユニットにおいて、
    前記モータケースは
    前記ステータ及び前記ロータを収納する円筒状の周方向保持部材と
    内周側に前記第1軸受を備え、前記シャフトの径方向外側に向かって延びる第1鍔状部材と
    内周側に前記第2軸受を備え、前記シャフトの径方向外側に向かって延びる第2鍔状部材と
    を有し、
    前記モータケースの周方向保持部材の内周側に、前記周方向保持部材よりも小径の円筒状の周方向保持部材を前記インバータケースの周方向保持部材として配置し、
    前記インバータケースの周方向保持部材のシャフト軸方向の両端を前記第1の鍔状部材及び第2の鍔状部材に固定すると共に、
    前記インバータケースの周方向保持部材と前記モータケースの周方向保持部材との間の空間に、前記インバータを収納する、
    電動駆動ユニット。
  5. 請求項1に記載の電動駆動ユニットにおいて、
    前記モータケースは
    前記ステータ及び前記ロータを収納する周方向保持部材と
    内周側に前記第1軸受を備え、前記シャフトの径方向外側に向かって延びる第1鍔状部材と
    内周側に前記第2軸受を備え前記シャフトの径方向外側に向かって延びる第2鍔状部材と
    を有し、
    前記モータケースの周方向保持部材の内周壁に、全体として円環状に形成したインバータを固定し、
    前記円環状に形成したインバータの内周壁に、前記ステータを固定する、
    電動駆動ユニット。
  6. 請求項1に記載の電動駆動ユニットにおいて、
    前記モータケースは
    前記ステータ及び前記ロータを収納する周方向保持部材と
    内周側に前記第1軸受を備え、前記シャフトの径方向外側に向かって延びる第1鍔状部材と
    内周側に前記第2軸受を備え、前記シャフトの径方向外側に向かって延びる第2鍔状部材と
    を有し、
    前記インバータケースを円盤状部材と、この円盤状部材の軸心位置に設けられる軸状部材とからなる支持部材で構成し、
    前記軸状部材の外周壁に前記ステータを固定し、前記周方向保持部材の内周壁に前記ロータを固定し、
    前記第1鍔状部材を、前記第1軸受を介して前記支持部材に回転支持し、前記第2鍔状部材を、前記第2軸受を介して前記支持部材に回転支持し、
    前記インバータを前記ステータに直接固定する、
    電動駆動ユニット。
  7. 請求項4または5に記載の電動駆動ユニットにおいて、
    前記第1鍔状部材および前記第2鍔状部材は、複数の溝を有する、
    電動駆動ユニット。
  8. 請求項4または5に記載の電動駆動ユニットにおいて、
    前記第1鍔状部材および前記第2鍔状部材の軸断面は、階段状である、
    電動駆動ユニット。
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