JP2009171750A - モールドモータ - Google Patents

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Yasuyuki Okumura
康之 奥村
Matsuo Shiraishi
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Abstract

【課題】モールドモータに簡単で安価な方法で導電層を形成するだけで、ベアリング電流を消滅させて軸受け部の磨耗、損傷、破壊等を解消することができるモールドモータを提供することを目的とする。
【解決手段】絶縁層3で被服された固定子鉄心2にコイル4を巻回した後、絶縁樹脂にてモールド一体成形したモータフレーム8の外周側表面14に凹部10を設けた後、固定子鉄心2の外周側端面11の一部分12に形成した露出部13を介して固定子鉄心2と導通するように外周側表面9に形成した第2の導電層23と、内周側表面14に形成した第1の導電層22で、固定子6を密閉することにより、コイル4と回転子18を該導電層で静電遮蔽することにより、ベアリング電流を消滅させ、軸受部の磨耗、損傷、破壊等を解消することができるモールドモータが得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、インバータ駆動される電食防止装置を搭載した樹脂モールドモータに関する。
従来、固定子鉄心に巻き線を巻回した鉄心をモールド樹脂によってモールド成型してハウジングを形成し、この内部に軸受けを介して回転子を内臓するモールドモータがある。上記のモールドモータは、固定子鉄心および巻き線がモールド樹脂で覆われているため、アースについてはあまり考慮する必要はないが、インバータ装置を使用してモールドモータを使用する場合、インバータ装置のスイッチング時に生じる急峻な電圧変化に起因する高周波誘導電流によって、ベアリングの内輪部と外輪部の軌道面ならびに転導体表面が電食を起こし、ベアリング損傷が発生することがある。
従来のこの種のモールドモータは、電食を防止するために、モータ回転軸側である出力側のブラケットと反出力側のブラケットの両方に金属製のブラケットを設けたもので、モータフレームの内周面に塗布された導電塗料によって、出力側のブラケットと反出力側のブラケットを短絡して電食の発生を防止したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
以下、図12を用いて説明する。
図12は、モールドモータ101の各部間の静電結合容量の分布状況を示すモデル図である。モールドモータ101はブラシレスDCモータであって、鋼板を積層した固定子鉄心102に絶縁層103を形成し、この絶縁層103を介して固定子鉄心102にコイル104が巻回されている。コイル104の固定子鉄心102からはみ出したコイルエンド105の付近であって、モールドモータ101の出力側にはドーナツ状の配線基板106が設けられている。この配線基板106には、PWM制御によりブラシレスDCモータを駆動するインバータ装置が組み込まれている。さらに、固定子鉄心102、絶縁層103、コイル104、および、コイルエンド105を、固定子鉄心102の端面の露出部をモールド樹脂によって一体成形して略円筒状のモータフレーム107が形成されている。モータフレーム107の出力側、および、反出力側の端面には金属製のブラケット108、ブラケット109がそれぞれモータフレーム107と一体にして埋設されている。
次に、ブラケット108とブラケット109を同電位にするために、モータフレーム107内周面と金属製のブラッケット108、109の内周面に、導電性塗料を塗布して、導電層110を形成していた。
そして、モータフレーム107の内周面には回転子111が収納される。回転子111は、金属製の回転軸112が取付けられており、回転軸112の両端はベアリング113、114を介してブラケット108、109に回転自在に取付けられている。
上記構成のモールドモータ101は、ブラッケット108と、ブラケット109とは導電層110を介して電気的に短絡されることになる。そのため、2個のブラケット108、109の電位が同電位となり、循環電流が発生することがなく、ベアリング113、114においてベアリング電流が発生しないので、電食を防止していた。
特開2007−89338号公報(第6頁、第1図)
以上のように従来2個のブラケット間の電位を同電位とすることでベアリング電流が発生しないとしていたが、従来のモールドモータ101におけるベアリング電流が発生するメカニズムについて図12から図16を用いて説明する。図12に図示するように、コイル104は強磁性体である固定子鉄心102に巻回されているので、比較的大きな等価インダクタンスLcが存在する。回転子111と固定子鉄心102は、空隙間隔が、例えば、0.35〜0.5mmの範囲内に収まるように近い位置に配置されるので、回転子111と固定子鉄心102の間には比較的大きなエアーギャップ容量Crsが存在する。コイル104は厚みの小さな絶縁層103を隔てて固定子鉄心102に巻回されているので、コイルの巻き取り方向に沿ってコイル104と固定子鉄心102間に比較的大きな静電結合容量Ccsが存在する。また、コイル104と回転子111との静電結合容量Ccrが存在する。さらに、ブラケット108と大地の間にも静電結合容量Csが存在している。
また、ベアリング113の内輪−外輪間には、転動体をはさんで内輪−外輪間の静電結合容量Cb1が存在している。また、ベアリング114の内輪−外輪間には、転動体をはさんで内輪−外輪間の静電結合容量Cb2が存在している。
モールドモータ101単体では、以上の静電結合容量を考慮して、モールドモータ101構造により電食対策を施せば良い。
しかし、実際のモータの使用にあっては、コイルエンド105と回転軸112の間には、図示するようにコイル104と回転軸112の間の静電結合容量Ccr1の存在が大きく影響する。すなわち、ここでは図示していないが、回転軸112に金属製のファンのように導体でできた回転体が取り付けられた場合は、該金属製ファンとコイル104間の静電結合容量Ccr1が回転子111とコイル104の間の静電結合容量Ccrに並列に追加接続されることになるので、これらを合成した静電結合容量は無視できない大きさの静電結合容量となる。
図13は、ベアリングが流体潤滑状態のモールドモータ101のコモンモード等価回路である。図のように、等価インダクタンスLc、静電結合容量Ccs、Ccr、Ccr1、Crs、Cs、Cb1、Cb2より構成される閉じた回路115が形成される。ベアリングが流体潤滑状態となる場合、配線基板106に組み込まれたインバータ装置より図14に示す矩形波状のコモンモード電圧116がコイル104と大地間に印加されると、閉じた回路115の応答電圧として、ベアリング113の内輪と外輪の間に内輪−外輪間電圧117、すなわち、ベアリング113の内輪−外輪間の寄生容量(静電容量Crs、Cb1、および、Cb2の並列合成容量)にチャージされる電圧が発生する。この内輪−外輪間電圧117は、閉じた回路115に固有な伝達特性によって、コモンモード電圧116の立ち上がりエッジにおいて、減衰振動する波形となる。次に、ベアリング113の内輪―外輪間117の電圧があるしきい値を超えると、外輪、転動体、内輪の間の潤滑油の油膜が絶縁破壊をおこし、ベアリングの内輪、転動体、および、外輪間の空隙部に放電現象が発生し、このときの放電破壊によるベアリング損傷の直接的な原因となるベアリングに与える損傷ストレスの大きいディスチャージモードのベアリング電流118が発生する。
図15は、ベアリング113、114が境界潤滑状態の場合のモールドモータ101のコモンモード等価回路である。図13と図15の相違点は、流体潤滑状態となる図13ではベアリング113、114は電気的に開放状態であるが、境界潤滑状態となる図15ではベアリング113、114は電気的に導通状態である。等価回路は、等価インダクタンスLc、静電結合容量Ccs、Ccr、Ccr1、Crs、Cs、Cb1、Cb2より構成される閉じた回路119となる。ベアリング113、114が境界潤滑状態となる場合、図16に示すコモンモード電圧116がコイル104と大地間に印加されると、コモンモード電圧116の閉じた回路119の応答電流として、ベアリング113、114にコンダクティブモードのベアリング電流120が発生する。このベアリング電流120は、閉じた回路119に固有な伝達特性によって、コモンモード電圧116の立ち上がりエッジにおいて、振動する波形となる。このコンダクティブモートのベアリング電流120は、ベアリング113、114の内輪と外輪が導通している時にベアリングを通過する電流なので、ベアリングに与える損傷ストレスはディスチャージモードのベアリング電流118ほど大きいものでないが、インバータ装置よりコモンモード電圧116が発生する都度、必ず発生し、その発生頻度が多く、ベアリングに与える損傷ストレスは無視できない。
以上で説明したように、ベアリング電流による電食対策機能として、2つのブラケットをモータフレームの内周面に塗布した導電塗料で短絡して電食対策したモールドモータでも、金属製のファンのように導体でできた回転体が取り付けられた場合には、ベアリングが流体潤滑状態のときに、ベアリングに与える損傷ストレスの大きいディスチャージモードのベアリング電流が発生し、ベアリングが境界潤滑状態のときに、発生頻度が多く、ベアリングに与える損傷ストレスを無視できないコンダクティブモードのベアリング電流が発生するため、ベアリングに損傷ストレスを与えるこれらのベアリング電流を消滅できないので、経年変化によるベアリングの電食を防止することができなかった。
以上で説明したように、ベアリング電流による電食対策機能を備えていない従来のモールドモータでは、ベアリングが流体潤滑状態のときに発生するベアリングに与える損傷ストレスの大きいディスチャージモードのベアリング電流と、ベアリングが境界潤滑状態のときに発生する発生頻度が多く、ベアリングに与える損傷ストレスを無視できないコンダクティブモードのベアリング電流が発生し、これらのベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消することができないため、ベアリング電流による損傷ストレスを与えつづけたベアリングに、いつかは電食が発生してしまうという課題があり、これらのベアリング電流を消滅させて、電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することが要求されている。
また、ベアリング電流による電食対策機能として、2つのブラケットをモータフレームの内周面に塗布した導電塗料で短絡して電食対策した従来のモールドモータでは、回転子とコイル間の静電容量を除去することが考慮されていないためにベアリングが流体潤滑状態のときに発生するベアリングに与える損傷ストレスの大きいディスチャージモードのベアリング電流と、ベアリングが境界潤滑状態のときに発生する発生頻度が多く、ベアリングに与える損傷ストレスを無視できないコンダクティブモードのベアリング電流が発生し、これらのベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消することができないため、ベアリング電流による損傷ストレスを与えつづけたベアリングに、いつかは電食が発生してしまうという課題があり、これらのベアリング電流を消滅させて、電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することが要求されている。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流解消させてベアリングの電食を防止することができる構造のモールドモータを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のモールドモータは、樹脂にて絶縁された固定子鉄心にコイルを巻回した固定子をモールド樹脂にてモールド一体成形してモータフレームを設け、回転子を回転自在に保持するために回転子の回転軸の両端に取り付けられた2個のベアリングのうち、一方のベアリングをモータフレームに嵌合させた金属製のブラケットで保持し、他方のベアリングを前記モータフレームの内部に保持するようにしたインナーロータ型のモールドモータにおいて、前記モータフレームの外周側表面に凹部を設けて固定子鉄心の外周側端面の一部分に露出部が形成され、前記露出部が形成される前記外周側端面の前記一部分を除く前記外周側端面に露出部が形成されないように、かつ、前記モータフレームの内周側表面に前記固定子鉄心の内周側端面の露出部が形成されないように、前記固定子を前記モールド樹脂で覆って前記モータフレームを形成し、前記モータフレームの内周側表面の全面に形成した第1の導電層と、前記固定子鉄心の前記外周側端面の前記一部分に形成した露出部を介して前記固定子鉄心と導通するように、前記固定子鉄心の前記外周側端面の前記一部分に形成した露出部を含む前記モータフレームの外周側表面の全面に形成した第2の導電層を有し、前記固定子を前記第1の導電層と前記第2の導電層で囲って完全密閉状態にして前記コイルと前記回転子間を静電遮蔽したことを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、樹脂にて絶縁された固定子鉄心にコイルを巻回した固定子をモールド樹脂にてモールド一体成形してモータフレームを設け、回転子を回転自在に保持するために回転子の回転軸の両端に取り付けられた2個のベアリングのうち、一方のベアリングをモータフレームに嵌合させた金属製のブラケットで保持し、他方のベアリングを前記モータフレームの内部に保持するようにしたインナーロータ型のモールドモータにおいて、前記モータフレームの内周側表面に凹部を設けて固定子鉄心の内周側端面の一部分に露出部が形成され、前記露出部が形成される前記内周側端面の前記一部分を除く前記内周側端面に露出部が形成されないように、かつ、前記モータフレームの外周側表面に前記固定子鉄心の外周側端面の露出部が形成されないように、前記固定子を前記モールド樹脂で覆って前記モータフレームを形成し、前記固定子鉄心の前記内周側端面の前記一部分に形成された前記露出部を介して前記固定子鉄心と導通するように、前記固定子鉄心の前記内周側端面の前記一部に形成された前記露出部を含むモータフレームの内周側表面の全面に形成した第1の導電層と、前記モータフレームの外周側表面の全面に形成した第2の導電層を有し、前記固定子を前記第1の導電層と前記第2の導電層で囲って完全密閉状態にして前記コイルと前記回転子間を静電遮蔽したことを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を導電塗料で塗布して形成した導電層であることを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、第2の導電層は、モータフレームの外周側表面の全面を導電塗料で塗布して形成した導電層であることを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を透明導電塗料で塗布して形成した導電層であることを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、第2の導電層は、モータフレームの外周面表面の全面を透明導電塗料で塗布して形成した導電層であることを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を金属箔で覆うようにして形成した導電層であることを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、第2の導電層は、モータフレームの外周面表面の全面を金属箔で覆うようにして形成した導電層であることを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を金属立体で覆うようにして形成した導電層であることを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
また、本発明のモールドモータは、第2の導電層は、モータフレームの外周側表面の全面を金属立体で覆うようにして形成した導電層であることを特徴とするモールドモータとしたものである。
これにより、ベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消させてベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
本発明によればベアリングに損傷ストレスを与えるベアリング電流を解消することができ、ベアリングの電食を防止することができる電食対策機能を備えた構造のモールドモータを提供することができる。
本発明は、モータフレームの外周側表面に凹部を設けた際に固定子鉄心の外周側端面の一部に形成される露出部、または、モータフレームの内周側表面に凹部を設けた際に固定子鉄心の内周側端面の一部に形成される露出部を介して、固定子鉄心と第1の導電層および第2の導電層を電気的に接続する構成とした上で、モータフレームの内周側表面の全面に形成した第1の導電層と、モータフレームの外周側表面の全面に形成した第2の導電層で、コイルを巻回した固定子鉄心を密閉、すなわち、コイルと回転子を静電遮蔽したものであり、これらの構成により、コイルと回転子間の静電結合容量、および、コイルとブラケット間の静電結合容量を消滅させ、回転子とブラケット間の静電結合容量を、回転子と固定子鉄心間の静電結合容量に並列接続させるという構成のコモンモード等価回路が形成されるので、従来のモールドモータのように、ベアリングが流体潤滑状態となる場合に、コイルと大地間に印加された電圧を、ベアリングの内輪―外輪間の寄生容量に発生する電圧として伝達する従来のモールドモータに存在していた閉じた回路が形成されなくなり、ベアリングが流体潤滑状態となる場合に、インバータ装置より供給されるコモンモード電圧に対する応答電圧として、ベアリングの内輪―外輪間の寄生容量に電圧が発生しなくなるので、内輪―外輪間に並列に接続される寄生容量に蓄積される内輪−外輪間電圧の放電現象として発生していたディスチャージモードのベアリング電流を消滅させることができるという作用を有する。また、ベアリングが境界潤滑状態となる場合に、コイルと大地間に印加された電圧を、ベアリングの内輪―外輪間を流れる電流として伝達する従来のモールドモータに存在していた閉じた回路が形成されなくなり、ベアリングが境界潤滑状態となる場合に、インバータ装置より供給されるコモンモード電圧に対する応答電流として、ベアリングの内輪―外輪間を流れるコンダクティブモードのベアリング電流消滅させることができるという作用を有する。
すなわち、固定子鉄心の外周部端面の一部分に形成された露出部、または、固定子鉄心の内周側端面の一部分に形成された露出部を介して、固定子鉄心と第1の導電層および第2の導電層を電気的に接続する構成とした上で、モータフレームの内周側表面の全面に形成した第1の導電層と、モータフレームの外周側表面の全面に形成した第2の導電層で、コイルを巻回した固定子鉄心を密閉、すなわち、コイルと回転子を静電遮蔽したものであり、これらの構成により、前述したようなベアリングに与える損傷ストレスの大きいディスチャージモードのベアリング電流、および、損傷ストレスはディスチャージモードのベアリング電流ほど大きくないが発生頻度が多く、ベアリングに与える損傷ストレスを無視できないコンダクティブモードのベアリング電流の両者を消滅することができ、これらのベアリング電流によるベアリングの電食解消することができるという作用を有する。
さらに、請求項1の発明は、モータフレームの外周側表面に凹部を設け、固定子鉄心の外周側端面の一部分に露出部が形成されるように固定子を覆うモールド樹脂部を形成し、固定子鉄心の外周部端面の一部分に形成された露出部を介して、固定子鉄心と導通するように第2の導電層を形成するようにしたものであり、これらの構成により、固定子鉄心を構成する任意の積層板は、固定子鉄心が第2の導電層と接触する固定子鉄心の外周側端面の一部分のみを介して他の積層板に導通するので、互いに絶縁される隣り合う積層板間に、回転磁界によって固定子鉄心の外周から中心に向かう方向に変化する磁束と鎖交する電流ループが形成されないので、該磁束の変化によって、隣合う積層板間を流れる渦電流は発生せず、渦電流の発生による鉄損を最小限に抑えることができるという作用を有する。
また、本発明の請求項2記載の発明は、モータフレーム内周側表面に凹部を設け、固定子鉄心の内周側端面の一部分に露出部が形成されるように固定子を覆うモールド樹脂部を形成し、固定子鉄心の内周側端面の一部分に形成された露出部を介して、固定子鉄心と導通するように第1の導電層を形成するようにしたものであり、これらの構成により、固定子鉄心を構成する任意の積層板は、固定子鉄心が第1の導電層と接触する固定子鉄心の内周側端面の一部分のみを介して他の積層板に導通するので、互いに絶縁される隣り合う積層板間に、回転磁界によって固定子鉄心の外周から中心に向かう方向に変化する磁束と鎖交する電流ループが形成されないので、該磁束の変化によって、隣合う積層板間を流れる渦電流は発生せず、渦電流の発生による鉄損を最小限に抑えることができるという作用を有する。
また、本発明の請求項3記載の発明は、第1の導電層は、モータフレームの内周面全体を導電塗料で塗布して形成した導電層としたものであり、モータフレームの内周面全体に、容易な方法で迅速に導電層を形成できるという作用を有する。
また、本発明の請求項4記載の発明は、第2の導電層は、モータフレームの外周面全体を導電塗料で塗布して形成した導電層としたものであり、モータフレームの外周面全体に、容易な方法で迅速に導電層を形成できるという作用を有する。
また、本発明の請求項5の発明は、第1の導電層は、モータフレームの内周面全体を透明導電塗料で塗布して形成した導電層としたものであり、モータフレームの内周面全体に、容易な方法で迅速に導電層を形成できるという作用を有する。
また、本発明の請求項6の発明は、第2の導電層は、モータフレームの外周面全体を透明導電塗料で塗布して形成した導電層としたものであり、モータフレームの外周面全体に、容易な方法で迅速に導電層を形成でき、導電塗料の外観上の違和感もなくなるという作用を有する。
また、本発明の請求項7の発明は、第1の導電層は、モータフレームの内周面全体を金属箔で覆うようにして形成した導電層としたものであり、モータフレームの内周面全体に、均一な厚さの導電層を確実に形成することができるという作用を有する。
また、本発明の請求項8の発明は、第2の導電層は、モータフレームの外周面全体を金属箔で覆うようにして形成した導電層としたものであり、モータフレームの外周面全体に、均一な厚さの導電層を確実に形成することができるという作用を有する。
また、本発明の請求項9の発明は、第1の導電層は、モータフレームの内周面全体を金属立体で覆うようにして形成した導電層としたものであり、モータフレームの内周面全体に、均一な厚さの導電層を迅速に形成することができるという作用を有する。
また、本発明の請求項10の発明は、第2の導電層は、モータフレームの外周面全体を金属立体で覆うようにして形成した導電層としたものであり、モータフレームの外周面全体に、均一な厚さの導電層を迅速に形成することができるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のモールドモータの構造を説明するための構造断面図である。図示するように、モールドモータ1はブラシレスDCモータであって、後述する構成の固定子鉄心2の表面に絶縁層3を形成し、この絶縁層3を介して固定子鉄心2にコイル4を巻回し、固定子鉄心2、絶縁層3、コイル4、コイル4の一部分であってコイル4が固定子鉄心2からはみ出したコイルエンド部5から固定子6が形成されている。固定子6を、例えばエポキシ樹脂、または、不飽和ポリエステル樹脂などのモールド樹脂7によって覆い、モータフレーム8が形成されている。固定子6をモールド樹脂7で覆って略円筒状のモータフレーム8を形成する際に、モータフレーム8の外周側表面9に凹部10を設けて固定子鉄心2の外周側端面11の一部分12に露出部13が形成され、一部分12を除く外周側端面11は露出部が形成されないように、かつ、モータフレーム8の内周側表面14に固定子鉄心2の内周側端面15の露出部が形成されないように、モールド樹脂7で覆うものである。モータフレーム8の開口部出力側には、ドーナツ状の配線基板16が図示するように取り付けられている。この配線基板16には、PWM制御によりモールドモータ1を駆動するインバータ装置が組み込まれている。モータフレーム8の出力側の端面には、金属製のブラケット17がモータフレーム8に埋設されている。モータフレーム8の内側には、空隙を介して回転子18が挿入されている。回転子18の中心に取り付けられた回転軸19の両側には2つのベアリング20、21が取り付けられている。ベアリング20は、ブラケット17に保持されており、もう一方のベアリング21は、モータフレーム8のモールド樹脂7に保持されている。回転子18は、回転軸19が2つのベアリング20、21に支承され回転することが可能である。モータフレーム8の内周側表面14の全面には、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布された第1の導電層22が形成されている。さらに、外周側表面9の全面は、露出部13を介して固定子鉄心2と導通するように、この露出部13を含むモータフレーム8の外周側表面9の全面を、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布し、第2の導電層23が形成されている。
第1の導電層22と第2の導電層23により、モータフレーム8の表面全体は導電塗料で塗布されることになり、コイル4を含む固定子6は、第1の導電層22と第2の導電層23により包まれるので、コイル4は第1の導電層22と第2の導電層23により回転子18から静電遮蔽されることになる。
図2は図1で図示する固定子鉄心の三角投影図である。図示するように、珪素鋼板を代表とする強磁性体を加工した積層板24a〜24cを、絶縁樹脂を介して絶縁した上で積層して、固定子鉄心2が形成されている。前述したように、固定子6をモールド樹脂7で覆ってモータフレーム8を形成する際に、外周側端面11の一部分12は、モールド樹脂7から露出した露出部13が形成される箇所であり、該一部分12を除く外周側端面11、および、内周側端面15は、モールド樹脂7で覆われ露出部が形成されない。
図3は、図1で図示するAの方向からみた外周側延長部周辺の構造図、および、図示するBの方向からみた外周側延長部周辺の断面図である。図示するように、珪素鋼板のような強磁性体を加工した積層板24a〜24cを、絶縁樹脂を介して絶縁して積層して、固定子鉄心2が成形されている。固定子6をモールド樹脂7で覆ってモータフレーム8を形成する際に、モータフレーム8の外周側表面9に凹部10を設けて固定子鉄心2の外周側端面11の一部分12に露出部13が形成され、一部分12を除く外周側端面11には露出部が形成されないように、固定子6をモールド樹脂7で覆ってモータフレーム8が形成されている。さらに、固定子鉄心2の外周側端面11の一部分12に形成された露出部13を含むモータフレーム8の外周側表面9の全面に、銀塗料のような導電塗料が塗布されて、外周側端面11の一部分12に形成された露出部13を介して固定子鉄心2に導通する第2の導電層23が形成されている。図示するように、隣り合う積層板、例えば、積層板24aと積層板24b間は、外周側端面11の一部分12に形成された露出部13に塗布した導電塗料、すなわち、第2の導電層23を介してのみ導通し、その他の箇所は、前述した絶縁樹脂を介して絶縁されているので、隣り合う積層板を通る電流ループは形成されない。同様に、積層板24a、24b以外の任意の隣り合う積層板についても、隣り合う積層板を通る電流ループは形成されない。回転磁界により、図示するCの方向、すなわち、紙面の裏から表の方向に変化する磁束が発生しても、該磁束と鎖交する隣り合う積層板間を通る電流ループが存在しないので、該磁束の変化によって、隣合う積層板間を流れる渦電流は発生せず、渦電流の発生による鉄損を最小限に抑えることができる。
図4は、本実施の形態のモールドモータの各部間の静電結合容量の分布状況を示すモデル図である。図4において、コイル4は強磁性体でできた固定子鉄心2に巻回されているので比較的大きな等価インダクタンスLcが存在している。コイル4は絶縁層3をはさんで固定子鉄心2と接近した位置に配置されているので、コイル4の巻き取り方向に沿って、コイル4と固定子鉄心2の間に比較的大きな静電結合容量Ccsが存在する。モールドモータ1はブラシレスDCモータなので、一般的に、モータフレーム8の内周側表面14と回転子18間の空隙間隔は、例えば、0.35〜0.5mmの範囲内に収まるように狭く設計されており、固定子鉄心2と回転子18の間にも比較的大きなエアーギャップ容量Crsが存在する。ブラケット17と回転子18の間には静電結合容量Cbrが存在している。ベアリング20の内輪−外輪間には、転動体をはさんで内輪−外輪間の静電結合容量Cb1が存在している。さらに、ブラケット17と大地の間には静電結合容量Csが存在している。コイル4は、固定子鉄心2の外周側端面11の一部分12に形成された露出部13を介して固定子鉄心2と導通する第2の導電層23および第1の導電層22により密閉、すなわち、コイル4は第1の導電層22と第2の導電層23により、回転子18または回転軸19と静電遮蔽され、回転軸19にファン等の回転体が取り付けられているような場合であっても、従来のモールドモータ101に存在していた回転子111または回転軸117とコイル104間の静電結合容量Ccr、Ccr1は、本実施の形態のモールドモータ1では存在しなくなる。さらに、ブラケット17とコイル4間の静電結合容量Cbcは、図示するように、ブラケット17が、第2の導電層23を経て固定子鉄心2の外周側端面11の一部分12の露出部13を介して固定子鉄心2に導通しているので、コイル4と固定子鉄心2間の静電結合容量Ccsに並列接続される回路構成となり、静電結合容量Ccsの一部となる。
図5は、実施の形態1のモールドモータのベアリングが流体潤滑状態となる場合において、モールドモータの各部の波形を説明するためのコモンモード等価回路である。図示するように、図4で説明した等価インダクタンスLc、静電結合容量Ccs、Crs、Cbr、Cs、Cb1より構成されるコモンモード等価回路25が形成される。従来のモールドモータ101のコモンモード等価回路と比較した場合の大きな相違点は、コイル4と回転子18および回転軸19間の静電結合容量CcrおよびCcr1が、コイル4が第1の導電層22と第2の導電層23により密閉された構成で回転子18と静電遮蔽されるので、静電結合容量CcrおよびCcr1は零とみなせる大きさ(静電結合容量として無視できる大きさ)となる点である。
さらに、ブラケット17とコイル4間に存在する静電結合容量Cbcは、前述したように、ブラケット17が固定子鉄心2と導通するため、コイル4と固定子鉄心2間の静電容量Ccsの一部となるので、ここでは省略する。さらに、ブラケット17と回転子18間の静電結合容量Cbrは、回転子18と固定子鉄心2間の静電結合容量Crsに並列に接続される回路構成となる。以上で述べた構成から、ベアリング20の内輪−外輪間には、寄生容量としての静電結合容量Crs、Cbr、および、Cb1を並列接続した寄生容量が存在することになる。
また、図示するコモンモード等価回路25から明らかなように、配線基板16のインバータ装置から供給されるコモンモード電圧26がコイル4に印加されても、本実施の形態のモールドモータ1では、回転子18や回転軸19とコイル4の間に存在する静電結合容量Ccrを消滅させることができるので、従来のモールドモータ101に形成されたような閉じた回路115は形成されなくなり、コモンモード電圧26に対するコモンモード等価回路25の応答電圧として、従来のモールドモータ101に発生していたような流体潤滑状態のベアリング20またはベアリング21の内輪−外輪間に存在している寄生容量に伝達される電圧は発生しない。
図6は、本実施の形態のモールドモータのベアリングが流体潤滑状態となる場合において、ディスチャージモードのベアリング電流が発生しないことを説明する各部のタイムチャートである。図5で説明したコモンモード等価回路25の構成から明らかなように、配線基板16に組み込まれたインバータ装置より、図示するようなコモンモード電圧26がコイル4と大地間に印加されても、コモンモード電圧26に対するコモンモード等価回路25の応答電圧として、流体潤滑状態のベアリング20の内輪―外輪間の寄生容量に電圧はチャージされないので、図示するように、該寄生容量の放電現象として発生するディスチャージモードのベアリング電流も発生しない。
図7は、本実施の形態のモールドモータのベアリングが境界潤滑状態となる場合において、モールドモータの各部の波形を説明するためのコモンモード等価回路である。図5で説明したベアリングが流体潤滑状態となる場合のコモンモード等価回路と異なるのは、ベアリング20、21が常に導通しており、ベアリング20、21の電気的表現であるスイッチが閉じた状態となっているところである。図示するように、図4で説明した等価インダクタンスLc、静電結合容量Ccs、Crs、Cbr、Cb1、Csより構成されるコモンモード等価回路27が形成される。図7示すコモンモード等価回路27から明らかなように、配線基板16のインバータ装置から供給されるコモンモード電圧26がコイル4に印加されても、本実施の形態のモールドモータ1では、回転子18や回転軸19とコイル4の間に存在する静電結合容量Ccrや静電結合容量Ccr1を消滅させることができるので、従来のモールドモータ101に形成されたような閉じた回路119は形成されなくなり、ベアリング20には、コモンモード電圧26に対するコモンモード等価回路27の応答電流として、従来のモールドモータ101に発生していたような境界潤滑状態のコンダクティブモードのベアリング電流は流れない。
図8は実施の形態1のモールドモータのベアリングが境界潤滑状態となる場合において、コンダクティブモードのベアリング電流が発生しないことを説明する各部のタイムチャートである。モールドモータ1が低速で回転し、ベアリング20が境界潤滑状態となる場合、配線基板16に組み込まれたインバータ装置より、図示するようなコモンモード電圧26がコイル4と大地間に印加されても、コモンモード電圧26に対するコモンモード等価回路27の応答電流として、境界潤滑状態のベアリング20にコンダクティブモードのベアリング電流は発生しない。
以上で述べたように、本実施の形態のモールドモータでは、第1の導電層と第2の導電層をモーターの固定子側内周面と外周面の表面に塗布して、外周側端面の一部分に露出部を形成して、固定子鉄心の各積層板と一箇所で接続する構成にしたことで、ベアリングに与える損傷ストレスの大きいディスチャージモードのベアリング電流と、損傷ストレスはディスチャージモードのベアリング電流ほど大きくないが発生頻度が多く、ベアリングに与える損傷ストレスを無視できないコンダクティブモードのベアリング電流の両者を消滅することができ、これらのベアリング電流によるベアリングの電食を解消することができる。
また、積層板の一箇所を外周面の表面で第2の導電層と接続することで、隣り合う積層板間を通る電流ループは形成されないので、この電流による鉄損の増加は発生しない。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2のモールドモータの構造を説明するための構造断面図である。
実施の形態1のモールドモータ1では、モータフレーム8の外周側表面9に凹部10を設けて固定子鉄心2の外周側端面11の一部分12に形成した露出部13を介して、固定子鉄心2と第2の導電層23を導通させている構成としているのに対して、本実施の形態のモールドモータ28では、モータフレーム29の内周側表面30に凹部31を設けて固定子鉄心32の内周側端面33の一部分34に形成した露出部35を介して、固定子鉄心32と第1の導電層37を導通させている個所であり、固定子鉄心32を第1の導電層37または第2の導電層36に導通させるための構成が異なる。実施の形態1と同一の個所については同じ符号を用い、構成の説明を省略する。
図9において、モールドモータ28のモータフレーム29の内側には、空隙を介して回転子18が挿入されている。後述する固定子鉄心32の表面に形成された絶縁層38を介して、固定子鉄心32にコイル4が巻回され、固定子39が形成されている。固定子39をモールド樹脂7で覆って略円筒状のモータフレーム29を形成する際に、モータフレーム29の内周側表面30に凹部31を設けて固定子鉄心32の内周側端面33の一部分34に露出部35が形成され、一部分34を除く内周側端面33は露出部が形成されないように、かつ、モータフレーム29の外周側表面40には固定子鉄心32の外周側端面41の露出部が形成されないように、固定子39をモールド樹脂7で覆ってモータフレーム29が形成されている。
固定子鉄心32の内周側端面33の一部分34に形成された露出部35を介して固定子鉄心32と導通するように、この露出部35を含むモータフレーム29の内周側表面30の全面を、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布し、第1の導電層37が形成されている。モータフレーム29の外周側表面40の全面には、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布された第2の導電層36が形成されている。第1の導電層37と第2の導電層36により、モータフレーム29の表面全体は導電塗料で塗布されていることになり、コイル4を巻回した固定子鉄心32は、第1の導電層37と第2の導電層36により密閉、すなわち、コイル4は第1の導電層37と第2の導電層36により回転子18から静電遮蔽されることになる。
図10は図9で図示する固定子鉄心の三角投影図である。図示するように、珪素鋼板を代表とする強磁性体を加工した積層板42a〜42cを、絶縁樹脂を介して絶縁した上で積層して、固定子鉄心32が形成されている。前述したように、固定子39をモールド樹脂7で覆ってモータフレーム29を形成する際に、内周側端面33の一部分34は、モールド樹脂7から露出した露出部35が形成される箇所であり、該一部分34を除く内周側端面33、および、外周側端面41は、モールド樹脂7で覆われ露出部が形成されない。
図11は、図9で図示するDの方向から見た内周側延長部周辺のモータフレームの構造図、および、図示するEの方向からみた内周側延長部周辺のモータフレームの断面図である。固定子39をモールド樹脂7で覆ってモータフレーム29を形成する際に、モータフレーム29の内周側表面30に凹部31を設けて固定子鉄心32の内周側端面33の一部分34に露出部35が形成され、一部分34を除く内周側端面33には露出部が形成されないように、モータフレーム29が形成されている。
そして、露出部35を含むモータフレーム29の内周側表面30の全面は、銀塗料のような導電塗料が塗布され、第1の導電層37が形成されて、内周側端面33の一部分34に形成される露出部35を介して、固定子鉄心32と第1の導電層37が導通する。図示するように、隣り合う積層板、例えば積層板42aと積層板42b間は、内周側端面33の一部分34に形成される露出部35に塗布された導電塗料、すなわち、第1の導電層37を介してのみ導通し、その他の個所は、前述したように絶縁樹脂で絶縁されているので、隣り合う積層板42a、42bを通る電流ループは形成されない。同様に、積層板42a、42b以外の任意の隣り合う積層板についても、これを通る電流ループは形成されない。すなわち、回転磁界により、図示するFの方向、紙面の表から裏の方向に変化する磁束が発生しても、該磁束に鎖交する隣り合う積層板間を通る電流ループが形成されないので、該磁束の変化によって、隣合う積層板間を流れる渦電流は発生せず、渦電流の発生が起因して増大する鉄損を最小限に抑えることができる。
以上で述べたように、本実施の形態2のモールドモータは、実施の形態1と同様の効果であるベアリングに与える損傷ストレスの大きいディスチャージモードのベアリング電流、および、損傷ストレスはディスチャージモードのベアリング電流ほど大きくないが発生頻度が多く、ベアリングに与える損傷ストレスを無視できないコンダクティブモードのベアリング電流の両者消滅することができ、これらのベアリング電流によるベアリングの電食解消することができる。
以上で述べたように、本実施の形態のモールドモータでも、ベアリングに与える損傷ストレスの大きいディスチャージモードのベアリング電流、および、損傷ストレスはディスチャージモードのベアリング電流ほど大きくないが発生頻度が多く、ベアリングに与える損傷ストレスを無視できないコンダクティブモードのベアリング電流の両者消滅することができ、これらのベアリング電流によるベアリングの電食解消することができる。
なお、実施の形態1〜実施の形態2では、第1の導電層は、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布して形成した導電層とするかわりに、連鎖状Au−Ag微粒子を用いた透明導電塗料を用いてもよく、その作用効果に差異を生じない。
なお、実施の形態1〜実施の形態2では、第2の導電層は、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布して形成した導電層とするかわりに、連鎖状Au−Ag微粒子を用いた透明導電塗料を用いてもよく、その作用効果に差異を生じない。
なお、実施の形態1〜実施の形態2では、第1の導電層は、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布して形成した導電層とするかわりに、例えば銅箔のような金属箔で覆うようにして形成した導電層としてもよく、その作用効果に差異を生じない。
なお、実施の形態1〜実施の形態2では、、第2の導電層は、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布して形成した導電層とするかわりに、例えば銅箔のような金属箔で覆うようにして形成した導電層としてもよく、その作用効果に差異を生じない。
なお、実施の形態1〜実施の形態2では、第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布して形成した導電層とするかわりに、例えば銅、または、鋼板製の金属立体で覆うようにして形成した導電層としてもよく、その作用効果に差異を生じない。金属立体はモータフレームの内周側表面の全面を覆えればよく、例えば銅製などの円筒などがある。
なお、実施の形態1〜実施の形態2では、第2の導電層は、モータフレームの外周側表面の全面を、例えば銀塗料のような導電塗料で塗布して形成した導電層とするかわりに、例えば鋼板製の略円筒形状などの金属立体で覆うようにして形成した導電層としてもよく、その作用効果に差異を生じない。金属立体はモータフレームの外周側表面の全面を覆えればよく、例えば銅製、鋼板製などの金属箱または円筒などがある。
なお、実施の形態1〜実施の形態2では、第2の導電層は、モータフレームの外周側表面全体に、例えば銀塗料のような導電塗料を塗布して、モータフレームの外周面側表面に密着させた導電層とするかわりに、例えば鋼板製の略円筒形状などの金属立体で、モータフレームの外周側表面の全面に密着させずに、モータフレーム外周側表面を覆うようにして形成した導電層としてもよく、その作用効果に差異を生じない。金属立体はモータフレームの外周側表面の全面を、モータフレームの外周側表面の全面に密着させずに覆えればよく、例えば銅製、鋼板製などの金属箱または円筒などがある。
モールドモータを駆動するインバータ装置が組み込まれた配線基板を内蔵するモールドモータの、ベアリング電流が原因で発生していたベアリングの電食を解消することができ、モールドモータの外部にあるインバータ装置でモールドモータを駆動するような構成の産業機器や家電製品などに使用されるモールドモータなどの用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1のモールドモータの構造を説明するための構造断面図 同固定子鉄心の三角投影図 同図1で図示するAの方向からみた外周側延長部周辺の構造図、および、図示するBの方向からみた外周側延長部周辺の断面図 同モールドモータの各部間の静電結合容量の分布状況を示すモデル図 同モールドモータのベアリングが流体潤滑状態となる場合において、モールドモータの各部の波形を説明するためのコモンモード等価回路図 同モールドモータのベアリングが流体潤滑状態となる場合において、ディスチャージモードのベアリング電流が発生しないことを説明する図 同モールドモータのベアリングが境界潤滑状態となる場合において、モールドモータの各部の波形を説明するためのコモンモード等価回路図 同モールドモータのベアリングが境界潤滑状態となる場合において、コンダクティブモードのベアリング電流が発生しないことを説明する図 同実施の形態2のモールドモータの構造を説明するための構造断面図 同固定子鉄心の三角投影図 同図9で図示するDの方向から見た内周側延長部周辺のモータフレームの構造図、および、図示するEの方向からみた内周側延長部周辺のモータフレームの断面図 従来のモールドモータの各部間の静電結合容量の分布状況を示すモデル図 同従来のモールドモータのベアリングが流体潤滑状態の場合のモールドモータのコモンモード等価回路図 同モールドモータのベアリングが流体潤滑状態のときのベアリング電流が発生するメカニズムを説明する図 同従来のモールドモータのベアリングが境界潤滑状態の場合のモールドモータのコモンモード等価回路図 同モールドモータのベアリングが境界潤滑状態のときのベアリング電流が発生するメカニズムを説明する図
符号の説明
1 モールドモータ
2 固定子鉄心
4 コイル
5 コイルエンド部
6 固定子
7 モールド樹脂
8 モータフレーム
9 外周側表面
10 凹部
11 外周側端面
12 一部分
13 露出部
14 内周側表面
15 内周側端面
16 配線基板
18 回転子
19 回転軸
20 ベアリング
21 ベアリング
22 第1の導電層
23 第2の導電層
28 モールドモータ
29 モータフレーム
30 内周側表面
31 凹部
32 固定子鉄心
33 内周側端面
34 一部分
35 露出部
36 第2の導電層
37 第1の導電層
39 固定子
40 外周側表面
41 外周側端面
101 モールドモータ
102 固定子鉄心
104 コイル
107 モータフレーム
110 導電層
111 回転子
112 回転軸
113 ベアリング
114 ベアリング

Claims (10)

  1. 樹脂にて絶縁された固定子鉄心にコイルを巻回した固定子をモールド樹脂にてモールド一体成形してモータフレームを設け、回転子を回転自在に保持するために回転子の回転軸の両端に取り付けられた2個のベアリングのうち、一方のベアリングをモータフレームに嵌合させた金属製のブラケットで保持し、他方のベアリングを前記モータフレームの内部に保持するようにしたインナーロータ型のモールドモータにおいて、前記モータフレームの外周側表面に凹部を設けて固定子鉄心の外周側端面の一部分に露出部が形成され、前記露出部が形成される前記外周側端面の前記一部分を除く前記外周側端面に露出部が形成されないように、かつ、前記モータフレームの内周側表面に前記固定子鉄心の内周側端面の露出部が形成されないように、前記固定子を前記モールド樹脂で覆って前記モータフレームを形成し、前記モータフレームの内周側表面の全面に形成した第1の導電層と、前記固定子鉄心の前記外周側端面の前記一部分に形成した露出部を介して前記固定子鉄心と導通するように、前記固定子鉄心の前記外周側端面の前記一部分に形成した露出部を含む前記モータフレームの外周側表面の全面に形成した第2の導電層を有し、前記固定子を前記第1の導電層と前記第2の導電層で囲って完全密閉状態にして前記コイルと前記回転子間を静電遮蔽したことを特徴とするモールドモータ。
  2. 樹脂にて絶縁された固定子鉄心にコイルを巻回した固定子をモールド樹脂にてモールド一体成形してモータフレームを設け、回転子を回転自在に保持するために回転子の回転軸の両端に取り付けられた2個のベアリングのうち、一方のベアリングをモータフレームに嵌合させた金属製のブラケットで保持し、他方のベアリングを前記モータフレームの内部に保持するようにしたインナーロータ型のモールドモータにおいて、前記モータフレームの内周側表面に凹部を設けて固定子鉄心の内周側端面の一部分に露出部が形成され、前記露出部が形成される前記内周側端面の前記一部分を除く前記内周側端面に露出部が形成されないように、かつ、前記モータフレームの外周側表面に前記固定子鉄心の外周側端面の露出部が形成されないように、前記固定子を前記モールド樹脂で覆って前記モータフレームを形成し、前記固定子鉄心の前記内周側端面の前記一部分に形成された前記露出部を介して前記固定子鉄心と導通するように、前記固定子鉄心の前記内周側端面の前記一部に形成された前記露出部を含むモータフレームの内周側表面の全面に形成した第1の導電層と、前記モータフレームの外周側表面の全面に形成した第2の導電層を有し、前記固定子を前記第1の導電層と前記第2の導電層で囲って完全密閉状態にして前記コイルと前記回転子間を静電遮蔽したことを特徴とするモールドモータ。
  3. 第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を導電塗料で塗布して形成した導電層であることを特徴とする請求項1または2記載のモールドモータ。
  4. 第2の導電層は、モータフレームの外周側表面の全面を導電塗料で塗布して形成した導電層であることを特徴とする請求項1または2記載のモールドモータ。
  5. 第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を透明導電塗料で塗布して形成した導電層であることを特徴とする請求項1または2記載のモールドモータ。
  6. 第2の導電層は、モータフレームの外周面表面の全面を透明導電塗料で塗布して形成した導電層であることを特徴とする請求項1または2記載のモールドモータ。
  7. 第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を金属箔で覆うようにして形成した導電層であることを特徴とする請求項1または2記載のモールドモータ。
  8. 第2の導電層は、モータフレームの外周面表面の全面を金属箔で覆うようにして形成した導電層であることを特徴とする請求項1または2記載のモールドモータ。
  9. 第1の導電層は、モータフレームの内周側表面の全面を金属立体で覆うようにして形成した導電層であることを特徴とする請求項1または2記載のモールドモータ。
  10. 第2の導電層は、モータフレームの外周側表面の全面を金属立体で覆うようにして形成した導電層であることを特徴とする請求項1または2記載のモールドモータ。
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