JP5445220B2 - ロール紙搬送装置およびインクジェットプリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、ロール紙を所定の印字位置に搬送するロール紙搬送装置およびこれを用いたインクジェットプリンタに関する。
画像を印刷する印刷媒体としてロール紙を用いるロール紙対応型プリンタは、セットされているロール紙の残量に応じて負荷が変動するため、印字位置への紙送り量を正確に制御することが求められる搬送ローラでロール紙を直接牽引すると、搬送ローラを駆動する搬送モータの制御に負荷変動が外乱として作用し、制御が不安定となって所望の停止位置精度が得られない。また、慣性モーメントが大きなロール紙を搬送ローラで直接牽引すると、搬送ローラとロール紙との間にすべりが生じて、搬送モータの制御が正しく行われていたとしても紙送り量が変動し、印字のずれが生じる懸念がある。
そこで、この種のロール紙対応型プリンタでは、ロール紙を巻きほどいて搬送ローラ側に牽引搬送するための駆動源を、搬送ローラを駆動する搬送モータとは別に設けるようにしている。また、搬送ローラの上流側に、巻きほどかれたロール紙に当接して最適なテンションを与える可動部材を配設するようにしている。これにより、ロール紙の残量に応じた負荷変動が搬送モータの制御に悪影響を与えることを防止することができ、また、ロール紙にすべりが生じたとしても印字位置への紙送り量を正確に制御することが可能となる。
また、ロール紙の搬送に関する技術として、特許文献1には、可動部材の変位量を連続的に検出し、この可動部材の変位量に追従してロール紙の巻きほどき量を増減することで、ロール紙の牽引搬送およびテンション管理を連続的に行えるようにする、という技術が開示されている。具体的には、この特許文献1にて開示される技術は、ロール紙軸を駆動するロール紙駆動モータの回転に応じたエンコーダのパルスを電圧に変換し、この電圧を基準電圧と比較して、基準電圧との差分がゼロになるように比例制御する。このとき、基準電圧を、ロール紙径に応じた回転式可変抵抗の値と可動ガイド板の位置に応じた回転式可変抵抗の値を用いて増減する、というものである。
ところで、ロール紙に当接して最適なテンションを与える可動部材の可動範囲は、機器内部における可動部材の設置スペースによって制約を受け、特に機器の小型化が求められる状況では、可動部材の可動範囲は大幅に制限される傾向にある。ここで、特許文献1にて開示される技術では、可動部材(可動ガイド板)の変位量に応じてロール紙駆動モータの回転を制御しているため、可動部材の変位量が大きくなったとしてもロール紙駆動モータの制御を継続的に行うことで可動部材が徐々にホームポジション(以下、基準位置という。)に戻ることが期待されるが、制御の応答性が悪いという問題がある。制御の応答性は、フィードバックゲインを高めることによって改善が見込まれるが、質量の大きいロール紙を巻きほどいて搬送する必要のあるロール紙駆動モータの制御では、フィードバックゲインを大きくすると発振して制御が不安定となるため、フィードバックゲインを高めることができない。
このため、ロール紙を印字幅ごとに印字位置へと間欠送りする必要があるインクジェットプリンタでは、特許文献1にて開示される技術を応用して可動部材の変位量を制御しようとしたとしても、1回の紙送り周期内で可動部材を基準位置に戻すことは難しく、間欠的な紙送りが繰り返されるたびに可動部材の基準位置からの誤差が徐々に蓄積されていくことになる。その結果、可動部材が可動範囲を超えた位置にまで変位し、例えば機器の筐体内面や機器内部の他の部品などに衝突することで、可動部材の損傷、振動や異音の発生、用紙の汚れ付着などの問題が生じる虞がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、可動部材の変位量を応答性よく制御して可動部材が可動範囲を超えて変位することを有効に防止し、機器の筐体内面に衝突することによる可動部材の損傷、振動や異音の発生、用紙の汚れ付着などの問題を未然に回避することができるロール紙搬送装置およびインクジェットプリンタを提供することを目的としている。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるロール紙搬送装置は、搬送モータによって駆動され、ロール紙を所定の印字幅に相当する紙送り量ずつ所定の印字位置へと間欠的に搬送する搬送ローラと、給紙モータによって駆動され、前記ロール紙を巻きほどいて前記搬送ローラ側へと間欠的に牽引搬送する給紙ローラと、前記給紙ローラの回転角度を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段の検出値を用いて前記ロール紙の搬送速度および搬送位置が目標値に追従するように前記給紙モータをフィードバック制御する給紙モータ制御手段と、前記給紙ローラと前記搬送ローラの間にて前記ロール紙に当接し、基準位置に対して変位することで、前記給紙ローラと前記搬送ローラとの回転速度の差に起因する前記ロール紙の張力変化を吸収する可動部材と、前記可動部材の位置を検出する第2の検出手段と、前記第2の検出手段の検出値に基づいて、前記可動部材の前記基準位置からの変位量および該変位量の積分値に応じた補正値を算出し、算出した補正値により前記給紙モータ制御手段の出力を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明にかかるインクジェットプリンタは、本発明にかかるロール紙搬送装置と、前記ロール紙搬送装置の前記搬送ローラによって前記印字位置へと間欠的に搬送される前記ロール紙に対して、該ロール紙の搬送が停止されている間に該ロール紙の主走査方向に走査しながらインクを付着させるプリンタヘッドと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、給紙モータをフィードバック制御する給紙モータ制御手段の出力を、可動部材の基準位置からの変位量と変位量の積分値に応じた補正値により補正するようにしているので、短い紙送り周期の中で可動部材の変位量を応答性よく制御して可動部材が可動範囲を超えて変位することを有効に防止し、機器の筐体内面や他の部品に衝突することによる可動部材の損傷、振動や異音の発生、用紙の汚れ付着などの問題を未然に回避することができるという効果を奏する。
図1は、第1の実施形態にかかるインクジェットプリンタの用紙搬送機構の概要を示す模式図である。 図2は、可動部材の近傍を拡大して示す要部拡大図である。 図3は、第1の実施形態にかかるインクジェットプリンタの用紙搬送に関わる制御系の構成を示すブロック図である。 図4は、給紙モータコントローラの内部構成を示すブロック図である。 図5は、補正値算出部の内部構成を示すブロック図である。 図6−1は、給紙モータコントローラの出力の補正を行わない場合の給紙ローラおよび搬送ローラによるロール紙の搬送速度の時間変化を表したグラフ図である。 図6−2は、給紙モータコントローラの出力の補正を行わない場合の可動部材の変位量の時間変化を表したグラフ図である。 図7−1は、給紙モータコントローラの出力の補正を行った場合の給紙ローラおよび搬送ローラによるロール紙の搬送速度の時間変化を表したグラフ図である。 図7−2は、給紙モータコントローラの出力の補正を行った場合の可動部材の変位量の時間変化を表したグラフ図である。 図8−1は、ロール状に巻かれているロール紙の残量が中程度の場合における給紙モータの駆動電流の電流波形を示すグラフ図である。 図8−2は、ロール状に巻かれているロール紙の残量が少ない場合における給紙モータの駆動電流の電流波形を示すグラフ図である。 図8−3は、ロール状に巻かれているロール紙の残量が多い場合における給紙モータの駆動電流の電流波形を示すグラフ図である。 図9は、第2の実施形態にかかるインクジェットプリンタの用紙搬送に関わる制御系の構成を示すブロック図である。 図10は、第2の実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける補正値算出部の内部構成を示すブロック図である。 図11は、第3の実施形態にかかるインクジェットプリンタの用紙搬送に関わる制御系の構成を示すブロック図である。 図12は、第3の実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける給紙モータコントローラの内部構成を示すブロック図である。 図13−1は、ロール状に巻かれたロール紙の残量が中程度であり、そのロール紙残量に応じて最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータを設定した場合における給紙ローラによるロール紙の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。 図13−2は、ロール状に巻かれたロール紙の残量が少なくなっているにも関わらず、ロール紙残量が中程度の場合に最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータが設定されている場合の給紙ローラによるロール紙の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。 図13−3は、ロール状に巻かれたロール紙の残量が多いにも関わらず、ロール紙残量が中程度の場合に最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータが設定されている場合の給紙ローラによるロール紙の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。 図13−4は、ロール状に巻かれたロール紙の残量が少なく、そのロール紙残量に応じて最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータを設定した場合における給紙ローラによるロール紙の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。 図13−5は、ロール状に巻かれたロール紙の残量が多く、そのロール紙残量に応じて最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータを設定した場合における給紙ローラによるロール紙の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。 図14は、第4の実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける給紙モータコントローラの内部構成を示すブロック図である。 図15は、第5の実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける給紙モータコントローラの内部構成を示すブロック図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるロール紙搬送装置およびインクジェットプリンタの最良な実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるインクジェットプリンタの用紙搬送機構の概要を示す模式図である。本実施形態にかかるインクジェットプリンタは、画像を印刷する印刷媒体としてロール紙1を用い、このロール紙1をプリンタヘッド2による印字幅分ずつ巻きほどいて副走査方向に間欠的に送りつつ、ロール紙1の送り動作が停止している間に、プリンタヘッド2がプラテン3上でロール紙1の主走査方向(図1の紙面に垂直な方向)に走査しながらインクを付着させることで、ロール紙1上に所望の画像を印刷するものである。
印刷媒体として用いるロール紙1は、ロール状に巻かれた状態で幅方向の両端が一対のフランジ4により保持されて、インクジェットプリンタ内部の所定の用紙装着位置にセットされている。ロール紙1両端のフランジ4は、ロール紙1の巻きの中心軸を介して連結され、フランジガイド5上に載置されている。フランジガイド5は回転可能に構成されており、このフランジガイド5の回転に伴ってフランジ4が回転することによって、ロール紙1が巻きほどかれる。なお、フランジガイド5は、フリーで回転するように構成されていてもよいし、後述する給紙モータ9の駆動力が伝達されることで回転するように構成されていてもよい。
インクジェットプリンタ内部におけるロール紙1の搬送経路には、搬送経路の上流側に給紙ローラ6、下流側(印字位置の直前の位置)に搬送ローラ7がそれぞれ設けられている。また、ロール紙1の搬送経路における給紙ローラ6と搬送ローラ7との間の位置には、ロール紙1に当接して最適なテンションを与える可動部材8が設けられている。
給紙ローラ6は、隣接配置された一対のローラ6a,6bにより構成される。これら一対のローラ6a,6bのうちの一方のローラ6aは、給紙モータ9によって回転駆動される駆動ローラであり、他方のローラ6bは、駆動ローラ6aの回転に伴い連れまわり回転する従動ローラである。給紙ローラ6は、これら一対のローラ6a,6b間のニップ部にロール紙1を挟み込んだ状態で給紙モータ9により駆動されることにより、ロール状に巻かれた状態のロール紙1を巻きほどいて搬送ローラ7側へと間欠的に牽引搬送する。
給紙ローラ6(6a)の回転軸には、エンコーダ(以下、給紙エンコーダ10という。)が取り付けられており、この給紙エンコーダ10によって給紙ローラ6の回転角度(回転位置)を検出できるようになっている。給紙エンコーダ10としては、いわゆる透過型エンコーダや反射型エンコーダなど、一般的に知られている様々なタイプのエンコーダを用いることができる。この給紙エンコーダ10によって検出される給紙ローラ6の回転位置の情報は、後述するモータコントロールユニット21に入力される。なお、給紙ローラ6に給紙エンコーダ10を設けて給紙ローラ6の回転位置を直接検出する代わりに、給紙モータ9にエンコーダを設けて給紙モータ9の回転位置を検出し、この給紙モータ9の回転位置とギヤ減速比などから給紙ローラ6の回転位置を算出するようにしてもよい。
搬送ローラ7は、隣接配置された一対のローラ7a,7bにより構成される。これら一対のローラ7a,7bのうちの一方のローラ7aは、搬送モータ11によって回転駆動される駆動ローラであり、他方のローラ7bは、駆動ローラ7aの回転に伴い連れまわり回転する従動ローラである。また、従動ローラ7bは図示しない加圧装置によって駆動ローラ7a側に付勢され、一対のローラ7a,7b間のニップ部の用紙保持力を高めている。搬送ローラ7は、これら一対のローラ7a,7b間のニップ部にロール紙1を挟み込み、搬送モータ11により駆動されることで、ロール紙1をプリンタヘッド2の1回の走査による印字幅に相当する紙送り量ずつ、プラテン3上の印字位置へと間欠的に搬送する。
搬送ローラ7(7a)の回転軸にも、給紙ローラ6と同様にエンコーダ(以下、搬送エンコーダ12という。)が取り付けられており、この搬送エンコーダ12によって搬送ローラ7の回転角度(回転位置)を検出できるようになっている。搬送エンコーダ12としては、給紙エンコーダ10と同様、一般的に知られている様々なタイプのエンコーダを用いることができる。この搬送エンコーダ12によって検出される搬送ローラ7の回転位置の情報は、後述するモータコントロールユニット21に入力される。なお、搬送ローラ7に搬送エンコーダ12を設けて搬送ローラ7の回転位置を直接検出する代わりに、搬送モータ11にエンコーダを設けて搬送モータ11の回転位置を検出し、この搬送モータ11の回転位置とギヤ減速比などから搬送ローラ7の回転位置を算出するようにしてもよい。
可動部材8は、一端側が支軸に支持されるとともに他端側が自由端とされ、スプリング13により懸架された状態で給紙ローラ6と搬送ローラ7との間のロール紙1に当接することで、ロール紙1に最適なテンションを与える。この可動部材8は、ロール紙1の搬送中にスプリング13を伸縮させながら支軸を中心として回動し、基準位置(ホームポジション)から変位することによって、給紙ローラ6と搬送ローラ7との回転速度の差に起因するロール紙1の張力変化(巻出し量の誤差)を吸収する機能を有している。なお、可動部材8は、一端側を支持する支軸を搬送ローラ7の回転軸と同軸とし、搬送ローラ7の回転軸の軸周りに回動する構造としてもよい。
可動部材8の近傍には、可動部材8の位置を検出するためのエンコーダ(以下、可動部材エンコーダ14という。)が設けられている。この可動部材エンコーダ14によって検出される可動部材8の位置の情報は、給紙エンコーダ10によって検出される給紙ローラ6の回転位置の情報や、搬送エンコーダ12によって検出される搬送ローラ7の回転位置の情報と同様に、後述するモータコントロールユニット21に入力される。
図2は、可動部材8の近傍を拡大して示す要部拡大図である。可動部材8は、図2に示すように、取り付け部材15によって支軸16の軸周りに回動可能に取り付けられている。取り付け部材15にはスプリング13の先端が固定されており、可動部材8に加わる負荷に応じてスプリング13が伸縮することで、可動部材8が支軸16の軸周りに回動して位置を変化させる。ここで、支軸16にはスリット円板14aが固定されている一方で、取り付け部材15にはエンコーダセンサ14bが固定されており、これらスリット円板14aとエンコーダセンサ14bとにより、可動部材8の位置を検出するための可動部材エンコーダ14が構成されている。
インクジェットプリンタでは紙送りの精度が印字品質に直接影響するため、搬送ローラ7が、プリンタヘッド2の1回の走査による印字幅分ずつロール紙1を正確に印字位置へと搬送する必要がある。このとき、ロール状に巻かれたロール紙1はその使用過程で質量が変化し、ロール紙1を搬送する際の負荷が変動するため、この負荷変動の影響を搬送ローラ7側に伝えないようにすることが求められる。そこで、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙ローラ6によってロール紙1を巻きほどいて搬送ローラ7側へと牽引搬送するとともに、給紙ローラ6と搬送ローラ7との間に可動部材8を配設し、給紙ローラ6と搬送ローラ7との紙送り量の差をこの可動部材8の変位によって吸収できるようにしている。
ここで、給紙ローラ6はロール紙1を直接引き出すため、回転開始時(加速時)や停止時(減速時)の負荷トルクが搬送ローラ7に比べて極めて大きく、使用電流に制約があるため回転開始時の加速度や停止時の減速度を大きくできない。一方、搬送ローラ7は、印刷所要時間をできるだけ短くするために迅速な用紙搬送が求められるので、正確な停止位置を確保できる範囲で加減速度を高めている。このため、給紙ローラ6と搬送ローラ7とでは過渡的に紙送り量に差が生じて、加速時にはロール紙1の張力を高める方向の力が作用し、減速時にはロール紙1の張力を低下させる方向の力が作用する。このロール紙1の張力変化は、可動部材8が給紙ローラ6と搬送ローラ7との間で基準位置から変位することにより吸収できるが、可動部材8にはインクジェットプリンタ内部の部品レイアウトに依存した可動範囲があり、可動部材8が可動範囲を超えると例えばインクジェットプリンタの筐体内面や筐体内部の他の部品などに衝突することで、可動部材8の損傷、振動や異音の発生、用紙の汚れ付着などの問題が生じる虞がある。
給紙ローラ6を駆動する給紙モータ9と搬送ローラ7を駆動する搬送モータ11は、ともに後述するモータコントロールユニット21によって位置・速度のフィードバック制御が行われているため、十分な時間が経てば、給紙ローラ6による紙送り量と搬送ローラ7による紙送り量とが徐々に同一となって、可動部材8も基準位置に復帰することが期待される。しかしながら、インクジェットプリンタでは、プリンタヘッド2の印字幅ごとに間欠的に紙送りをする必要があり、紙送りの1周期が短いため、その周期内で給紙ローラ6による紙送り量と搬送ローラ7による紙送り量とを一致させて可動部材8を基準位置に戻すことは難しい。また、ロール紙1を牽引搬送する給紙ローラ6においてロール紙1の滑りが発生することも想定され、給紙ローラ6と搬送ローラ7とが同一の紙送り量を実現すべく回転したとしても、実際の紙送り量には差が生じ、可動部材8の変位として現れることも考えられる。その結果、可動部材8の変位が徐々に蓄積されていき、最終的にその可動範囲を超えてしまう懸念がある。
なお、給紙ローラ6を駆動する給紙モータ9のフィードバック制御のゲインを高めることによって給紙ローラ6の応答性を高め、短い紙送り周期の中でも可動部材8を基準位置に戻れるようにすることも考えられるが、負荷の大きい給紙モータ9の制御では、フィードバックゲインを大きくすると発振して制御が不安定となるため、フィードバックゲインを無闇に高めることができない。
そこで、本実施形態にかかるインクジェットプリンタにおいては、可動部材8の位置を可動部材エンコーダ14により検出して、この可動部材エンコーダ14によって検出される可動部材8の位置情報をモータコントロールユニット21に入力し、可動部材8の基準位置に対する変位量および変位量の積分値に応じた補正値を算出して、算出した補正値により給紙モータ9に対する制御出力を補正することにより、短い紙送り周期の中で可動部材8の変位量を応答性よく制御して可動部材8が可動範囲を超えて変位することを有効に防止し、インクジェットプリンタの筐体内面に衝突することによる可動部材8の損傷、振動や異音の発生、用紙の汚れ付着などの問題を未然に回避できるようにしている。
図3は、本実施形態にかかるインクジェットプリンタの用紙搬送に関わる制御系の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるインクジェットプリンタは、用紙搬送に関わる制御機能として、CPU20、モータコントロールユニット21、搬送モータドライバ22および給紙モータドライバ23を備えている。
CPU20は、インクジェットプリンタ全体の動作制御を司る上位の制御装置である。このCPU20は、モータコントロールユニット21に対して、ロール紙1の搬送速度の目標値(最高速度)および搬送位置の目標値(停止位置)の指令を与える。なお、CPU20からモータコントロールユニット21に対しての速度に関する指令は速度制御の指標となるものであればよく、例えば最高速度の代わりに平均速度の指令を与えるようにしてもよい。
モータコントロールユニット21は、CPU20からの指令と、搬送エンコーダ12からの位置検出値、給紙エンコーダ10からの位置検出値、可動部材エンコーダ14からの位置検出値を入力とし、搬送モータドライバ22および給紙モータドライバ23に対して電圧指令値を出力することによって、搬送モータ11および給紙モータ9の駆動を制御する。このモータコントロールユニット21は、搬送モータコントローラ24と、給紙モータコントローラ25と、補正値算出部26と、減算器27とを備える。
搬送モータコントローラ24は、一定の時間間隔(以下、制御周期という。)ごとに、CPU20からの指令と搬送エンコーダ12からの位置情報とに基づいて、搬送ローラ7により印字位置へと搬送されるロール紙1の搬送速度及び搬送位置を目標値に追従させるために搬送モータ11に与える電圧値を算出する。この搬送モータコントローラ24により算出された電圧値は、搬送モータドライバ22に電圧指令値として入力される。
給紙モータコントローラ25は、制御周期ごとに、CPU20からの指令と給紙エンコーダ10からの位置情報とに基づいて、給紙ローラ6により搬送ローラ7側へと牽引搬送されるロール紙1の搬送速度及び搬送位置を目標値に追従させるために給紙モータ9に与える電圧値を算出する。この給紙モータコントローラ25により算出された電圧値は、補正値算出部26により算出された補正値により補正された上で、給紙モータドライバ23に電圧指令値として入力される。
補正値算出部26は、制御周期ごとに、可動部材エンコーダ14からの位置情報に基づいて、可動部材8の基準位置からの変位量および該変位量の積分値に応じた補正値(変位量および変位量の積分値に比例した電圧値)を算出する。減算器27は、搬送モータコントローラ24により算出された電圧値から補正値算出部26で算出された補正値(電圧値)を減算(もしくは加算)することによって、搬送モータコントローラ24により算出された電圧値を補正し、補正した電圧値を電圧指令値として給紙モータドライバ23に対して出力する。
図4は、給紙モータコントローラ25の内部構成をより詳細に示すブロック図である。給紙モータコントローラ25は、目標速度プロファイル生成部31と、速度演算部32と、減算器33と、制御演算部34とを有している。
目標速度プロファイル生成部31は、CPU20から指令されるロール紙1の搬送速度の目標値(最高速度)および搬送位置の目標値(停止位置)と、給紙エンコーダ10によって検出された給紙ローラ6の回転位置とに基づいて、給紙ローラ6の回転速度、つまり、給紙ローラ6によって搬送ローラ7側へと牽引搬送されるロール紙1の搬送速度の目標速度プロファイルを生成する。ここで、目標速度プロファイルとは、時系列で変化する制御周期ごとの目標速度を表すものであり、給紙ローラ6の現在の動作状況に応じて、CPU20からの指令どおりにロール紙1を適切に搬送するための制御周期ごとの目標速度として、予め設定されたパラメータに従って生成される。すなわち、目標速度プロファイル生成部31は、時系列で変化する制御周期ごとの目標速度を予め設定されたパラメータに従って算出している。
速度演算部32は、給紙エンコーダ10によって検出された給紙ローラ6の回転位置と、前の制御周期において給紙エンコーダ10によって検出された給紙ローラ6の回転位置との差分から、給紙ローラ6の現在の回転速度、つまり、給紙ローラ6によって搬送ローラ7側へと牽引搬送されるロール紙1の現在の搬送速度を算出する。
減算器33は、目標速度プロファイル生成部31によって算出された現在の目標速度と、速度演算部32によって算出されたロール紙1の現在の搬送速度との差分を算出する。また、制御演算部34は、減算器33により算出された差分をゼロにするように、比例−積分制御(PI制御)によって、給紙モータ9に対して印加すべき電圧を算出する。
図5は、補正値算出部26の内部構成をより詳細に示すブロック図である。補正値算出部26は、基準位置記憶部41と、減算器42と、制御演算部43とを有している。
基準位置記憶部41は、可動部材8の位置の制御目標となる基準位置(ホームポジション)を記憶している。減算器42は、基準位置記憶部41に記憶されている可動部材8の基準位置と、可動部材エンコーダ14によって検出された現在の可動部材8の位置との差分、すなわち、可動部材8の基準位置からの変位量を算出する。また、制御演算部43は、減算器42によって算出された可動部材8の変位量を入力し、この可動部材8の変位量および変位量の積分値に比例した電圧値を、給紙モータコントローラ25の出力を補正するための補正値として出力する。なお、図5中のSはラプラス演算子、K1,K2は比例定数を示している。
本実施形態にかかるインクジェットプリンタにおいては、以上のように、補正値算出部26により可動部材8の基準位置に対する変位量および変位量の積分値に応じた補正値を算出し、この補正値算出部26が算出した補正値により給紙モータコントローラ25の出力を補正することによって、プリンタヘッド2の印字幅分の短い紙送り周期の中で可動部材8の変位量を応答性よく制御し、可動部材8が可動範囲を超えて変位することを防止できるようにしている。以下では、補正値算出部26が算出した補正値により給紙モータコントローラ25の出力を補正した場合の可動部材8の動きを、このような補正を行わない場合と対比しながら説明する。
図6−1は、給紙モータコントローラ25の出力の補正を行わない場合の給紙ローラ6および搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表したグラフ図であり、図6−2は、そのときの可動部材8の変位量の時間変化を表したグラフ図である。なお、図6−1中の実線のグラフが1回の紙送り周期あたりの給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、破線のグラフが給紙モータコントローラ25において生成される目標速度プロファイルを表している。また、図6−1中の一点鎖線のグラフは1回の紙送り周期あたりの搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、二点鎖線のグラフは搬送モータコントローラ24において生成される目標速度プロファイルを表している。また、図6−2では紙送り周期の2周期分の可動部材8の変位量を表しており、+側が給紙ローラ6と搬送ローラ7との間のロール紙1の巻き出し量を減少させる方向の変位量を表し、−側がロール紙1の巻き出し量を増加させる方向の変位量を表している。
図6−1から、搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度は、搬送モータコントローラ24により生成される目標速度プロファイルに対して比較的応答性よく追従しているのに対し、給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度は、加速時および減速時の応答性が悪く、給紙モータコントローラ25により生成される目標速度プロファイルに追従できていないことが分かる。これは、上述したように、負荷の大きい給紙モータ9を駆動制御する給紙モータコントローラ25では、制御の安定化のためにフィードバックゲインを高められないことに起因している。
以上のように、搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度と比較して、給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の応答性が悪いため、図6−2に示すように、ロール紙1の搬送速度が最高速度に向かい増加する加速時(時間軸で1.1秒前後)には、可動部材8は給紙ローラ6と搬送ローラ7との間のロール紙1の巻き出し量を減少させる方向に変位し、逆に、ロール紙1の搬送速度が最高速度から減少していく減速時(時間軸で1.4秒前後)には、可動部材8は給紙ローラ6と搬送ローラ7との間のロール紙1の巻き出し量を増加させる方向に変位する。そして、給紙ローラ6と搬送ローラ7とが停止した時点(時間軸で1.5秒前後)では、給紙ローラ6の停止が遅れるために、給紙ローラ6と搬送ローラ7との間のロール紙1の巻き出し量を増加させる方向に変位した状態で可動部材8は停止する。
ここで、給紙ローラ6は給紙モータコントローラ25によって位置のフィードバック制御も行われているため、フィードバックのゲインが高く設定されていれば停止時の摩擦に打ち勝って給紙ローラ6が動き、可動部材8が徐々に基準位置に戻ることも期待されるが、上述したように制御の安定化を図るためには給紙モータコントローラ25のフィードバックゲインを高めることができず、可動部材8は基準位置から変位したままの状態で停止することになる。なお、以上の説明は、ロール状に巻かれた状態のロール紙1の残量が多く、給紙ローラ6の応答性が搬送ローラ7よりも悪い場合の例であるが、ロール紙1の残量が少なく、給紙ローラ6の応答性が搬送ローラ7よりも高くなると、可動部材8が逆側に変位した状態で停止することもあり得る。
インクジェットプリンタでは、プリンタヘッド2による印字幅分の紙送りが短い紙送り周期で間欠的に繰り返されるため、可動部材8が基準位置から変位した状態で停止すると、その変位が紙送り周期ごとに徐々に蓄積されていき、最終的には可動部材8が可動範囲を超えて変位してしまって、例えばインクジェットプリンタの筐体内面に衝突することによる可動部材8の損傷、振動や異音の発生、用紙の汚れ付着などの問題を招く虞がある。
図7−1は、可動部材8の基準位置からの変位量および変位量の積分値に応じて給紙モータコントローラ25の出力を補正した場合の給紙ローラ6および搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表したグラフ図であり、図7−2は、そのときの可動部材8の変位量の時間変化を表したグラフ図である。なお、図7−1中の実線のグラフが1回の紙送り周期あたりの給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、破線のグラフが給紙モータコントローラ25において生成される目標速度プロファイルを表している。また、図7−1中の一点鎖線のグラフは1回の紙送り周期あたりの搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、二点鎖線のグラフは搬送モータコントローラ24において生成される目標速度プロファイルを表している。また、図7−2では紙送り周期の2周期分の可動部材8の変位量を表しており、+側が給紙ローラ6と搬送ローラ7との間のロール紙1の巻き出し量を減少させる方向の変位量を表し、−側がロール紙1の巻き出し量を増加させる方向の変位量を表している。
図7−1の実線のグラフを図6−1の実線のグラフと比較すると明らかなように、可動部材8の基準位置からの変位量および変位量の積分値に応じて給紙モータコントローラ25の出力を補正した場合には、給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度が過渡的に(時間軸で1.25秒付近)目標速度を超えるまでに高められており、これにより給紙ローラ6が停止するまでの時間が短縮され、結果として減速時の応答性が改善されていることが分かる。
このときの可動部材8の動きは、図7−2に示すように、給紙モータコントローラ25の出力に対する補正を行わない場合(図6−2)と比較して、給紙ローラ6の加速時における最大変位量が減少している。また、時間軸で約1.6秒以降に、可動部材8の位置が基準位置(図7−2の縦軸の0の位置)へと戻り、次の紙送り周期の開始時点(時間軸で2.4秒付近)では、可動部材8が基準位置へと完全に復帰していることが確認できる。したがって、可動部材8の変位が紙送り周期ごとに蓄積されることはなく、可動部材8が可動範囲を超えて変位することを有効に防止することができる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態にかかるインクジェットプリンタは、可動部材8の位置を可動部材エンコーダ14により検出し、可動部材8の基準位置からの変位量および変位量の積分値に応じた補正値を補正値算出部26で算出して、給紙モータコントローラ25から出力される給紙モータ9に対する電圧指令値を補正値算出部26により算出された補正値を用いて補正するようにしている。これにより、本実施形態にかかるインクジェットプリンタは、プリンタヘッド1の印字幅分の短い紙送り周期の中で可動部材8の変位量を応答性よく制御して、可動部材8が可動範囲を超えて変位することを有効に防止し、可動部材8がインクジェットプリンタの筐体内面や他の部品に衝突することによって可動部材8が破損するといった問題や、可動部材8の衝突により振動や異音が発生するといった問題、搬送中のロール紙1に汚れが付着するといった問題などを未然に回避することができる。
また、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、ロール紙1の残量などに応じた負荷変動が応答性の高い可動部材8の変位によって適切に吸収され、搬送ローラ7側には伝達されないので、搬送ローラ7による紙送り量の制御を高精度に行って、紙送り精度の低下に起因した印字ずれを有効に防止することができる。特に、搬送ローラ7は従動ローラ7bを加圧ローラとしてニップ部の用紙保持力を高めているので、印字位置への紙送りを正確に行うことができ、印字ずれを確実に防止することができる。
さらに、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、慣性モーメントの大きいロール紙1を給紙ローラ6が牽引搬送することにより給紙ローラ6にすべりが生じたとしても、この給紙ローラ6でのすべりに起因した紙送り量の誤差が応答性の高い可動部材8の変位によって適切に吸収され、搬送ローラ7側には伝達されないので、搬送ローラ7による紙送り量の制御を高精度に行って、紙送り精度の低下に起因した印字ずれを有効に防止することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかるインクジェットプリンタについて説明する。本実施形態は、給紙モータ9に通電される駆動電流を検出し、検出した給紙モータ9の駆動電流に応じて可動部材8の基準位置を切り替えるようにした例である。なお、インクジェットプリンタにおける用紙搬送機構の構成や制御系の基本的な構成は第1の実施形態と共通しているため、以下では、第1の実施形態と共通の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
第1の実施形態では、可動部材8の基準位置を予め定められた固定値としている。可動部材8の可動範囲は、インクジェットプリンタの筐体内部における可動部材8の配置レイアウトによって定まるため、その可動範囲の中間位置を可動部材8の基準位置としておけば、給紙ローラ6と搬送ローラ7との間のロール紙1の巻き出し量を減少させる方向とロール紙1の巻き出し量を増加させる方向との双方で、平均的に可動部材8の可動範囲を確保することができる。しかしながら、給紙ローラ6による紙送りの応答性は、上述したようにロール状に巻かれているロール紙1の残量に応じて変化し、可動部材8が大きく変位する方向もロール紙1の残量に応じて決まってくることになる。したがって、可動部材8の可動範囲内における基準位置をロール紙1の残量に応じて切り替えるようにすれば、可動部材8が大きく変位する方向での可動範囲を広くすることができ、可動部材8がインクジェットプリンタの筐体内面や他の部品に衝突することをより効果的に防止することができる。
ここで、ロール状に巻かれているロール紙1の残量の変化は、図8−1〜図8−3に示すように、給紙モータ9に通電される駆動電流の波形の変化として現れる。図8−1は、ロール状に巻かれているロール紙1の残量が中程度の場合における給紙モータ9の駆動電流の電流波形を示し、図8−2は、ロール状に巻かれているロール紙1の残量が少ない場合における給紙モータ9の駆動電流の電流波形を示し、図8−3は、ロール状に巻かれているロール紙1の残量が多い場合における給紙モータ9の駆動電流の電流波形を示している。これら図8−1〜図8−3を比較すると分かるように、特に給紙ローラ6の加速時(時間軸で1〜1.1秒)における給紙モータ9の駆動電流がロール状に巻かれているロール紙1の残量に応じて大きく変化し、ロール紙1の残量が少ない場合は約2.5A、ロール紙1の残量が中程度の場合は約5A、ロール紙の残量が多い場合は約7.5Aとなっている。
そこで、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙モータ9に通電される駆動電流を検出してCPU20に入力し、CPU20が給紙モータ9の駆動電流に応じて、つまり、給紙モータ9の駆動電流の変化として現れるロール紙1の残量に応じて、可動部材8の基準位置を決定するようにしている。そして、このCPU20で決定した可動部材8の基準位置を補正値算出部26に入力し、ロール紙1の残量に応じて決定された基準位置に可動部材8を戻すための補正値を補正値算出部26にて算出するようにしている。
図9は、本実施形態にかかるインクジェットプリンタの用紙搬送に関わる制御系の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、用紙搬送に関わる制御機能として、第1の実施形態の構成(図3参照)に加えて、給紙モータドライバ23から給紙モータ9へと供給される駆動電流を検出する電流検出器50が付加されている。また、電流検出器50により検出された給紙モータ9の駆動電流の情報がCPU20に入力され、CPU20が補正値算出部26に対して、給紙モータ9の駆動電流に応じて決定した可動部材8の基準位置の情報を出力するようになっている。
図10は、本実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける補正値算出部26の内部構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、補正値算出部26に第1の実施形態のような基準位置記憶部41(図5参照)は設けられておらず、給紙モータ9の駆動電流に応じてCPU20により決定された可動部材8の基準位置が、減算器42に入力されている。減算器42は、このCPU20から入力された可動部材8の基準位置と、可動部材エンコーダ14によって検出された現在の可動部材8の位置との差分、すなわち、可動部材8の基準位置からの変位量を算出し、制御演算部43は、減算器42によって算出された可動部材8の変位量および変位量の積分値に比例した電圧値を、給紙モータコントローラ25の出力を補正するための補正値として出力する。
以上のように、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙モータ9に通電される駆動電流を電流検出器50で検出してCPU20に入力し、CPU20が給紙モータ9の駆動電流に応じて可動部材8の基準位置を決定し、補正値算出部26がCPU20で決定された基準位置からの可動部材8の変位量と変位量の積分値に応じた補正値を算出するようにしているので、ロール状に巻かれたロール紙1の残量に応じて可動部材8が大きく変位する方向での可動範囲を広くとることができ、可動部材8がインクジェットプリンタの筐体内面や他の部品に衝突することをより効果的に防止することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかるインクジェットプリンタについて説明する。本実施形態は、給紙モータ9に通電される駆動電流を検出し、検出した給紙モータ9の駆動電流の変化に応じて給紙モータコントローラ25におけるフィードバックゲインと時系列で変化する制御周期ごとの目標速度(上述した目標速度プロファイル)を算出するためのパラメータとを切り替えるようにした例である。なお、インクジェットプリンタにおける用紙搬送機構の構成や制御系の基本的な構成は第1の実施形態と共通しているため、以下では、第1の実施形態と共通の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
給紙ローラ6による紙送りの応答性は、上述したようにロール状に巻かれているロール紙1の残量に応じて変化するため、給紙モータコントローラ25におけるフィードバック制御が発振せずに安定的に実現できる範囲内において、フィードバック制御のゲインおよび時系列で変化する目標速度算出のパラメータをロール紙1の残量に応じて切り替えるようにすれば、ロール紙1の残量変化によらず給紙ローラ6によるロール紙1の牽引搬送を安定的に行うことができ、ひいては可動部材8の変位量の制御も安定的に実施できると考えられる。また、ロール状に巻かれたロール紙1の残量は、給紙モータ9に供給される駆動電流を検出することによって推定できる。
そこで、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙モータ9に通電される駆動電流を検出してモータコントロールユニット21の内部に記憶させておき、給紙モータコントローラ25が、この給紙モータ9の駆動電流の変化に基づいて、制御演算部34でのPI制御のフィードバックゲインおよび目標速度プロファイル生成部31で目標速度を算出する際のパラメータを変更するようにしている。
給紙モータコントローラ25内部では、給紙モータ9の駆動電流の変化量から、以下のようにして、ロール状に巻かれたロール紙1の残量(ロール質量)の変化量と慣性モーメントの変化量を求めることができる。
運動方程式により、
給紙モータ9の発生トルク(駆動電流×トルク定数)−ロール紙1のモータ軸周りの定常摩擦トルク=モータ軸周りの慣性モーメント×給紙モータ9の加速度
である。
ここで、給紙モータ9が一定速で動作している状態では給紙モータ9の加速度は0なので、
給紙モータ9の発生トルク(駆動電流×トルク定数)=ロール紙1のモータ軸周りの定常摩擦トルク=摩擦係数×ロール質量
となり、給紙モータ9の駆動電流の変化量からロール質量の変化量を求めることができる。また、上記の式に基づいて給紙モータ9の加速中の駆動電流と加速度から慣性モーメントの変化量を求めることができる。なお、給紙モータ9の角加速度は、給紙エンコーダ10の検出値および給紙モータ9と給紙ローラ6の間のギヤの減速比から求めることができる。
給紙モータコントローラ25では、以上のようにして給紙モータ9の駆動電流から求めたロール質量および慣性モーメントに応じて、フィードバックゲインおよび目標速度プロファイル生成部31で目標速度を算出するためのパラメータを最適化する。
図11は、本実施形態にかかるインクジェットプリンタの用紙搬送に関わる制御系の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、用紙搬送に関わる制御機能として、第1の実施形態の構成(図3参照)に加えて、給紙モータドライバ23から給紙モータ9へと供給される駆動電流を検出する電流検出器51が付加されている。また、モータコントロールユニット21の内部に、電流検出器51により検出された給紙モータ9の駆動電流を記憶する電流記憶部52が設けられ、給紙モータコントローラ25が、この電流記憶部52から給紙モータ9の駆動電流を取得できるようになっている。
図12は、本実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける給紙モータコントローラ25の内部構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙モータコントローラ25の内部に、フィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53が設けられている。
フィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53は、電流記憶部52から給紙モータ9の駆動電流を取得し、給紙モータ9の駆動電流に基づいて、上述した方法によりロール状に巻かれたロール紙1の残量を推定する。すなわち、給紙モータ9のトルク定数は予め分かっているので、給紙モータ9の駆動電流にトルク定数を掛け合わせることによって、給紙モータ9が発生しているトルクを求める。そして、給紙モータ9の発生トルクから上述した運動方程式にしたがい、ロール紙1および給紙ローラ6を合わせた負荷および慣性モーメントを概算し、負荷および慣性モーメントの変化によって、ロール状に巻かれたロール紙1の残量を推定する。そして、フィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53は、制御演算部34におけるPI制御のゲインをロール紙1の残量に応じた最適な値に設定するとともに、目標速度プロファイル生成部31において時系列で変化する制御周期ごとの目標速度を算出する際のパラメータを、ロール紙1の残量に応じて最適な値に設定する。
ここで、制御演算部34におけるPI制御のフィードバックゲインと、目標速度プロファイル生成部31において時系列で変化する制御周期ごとの目標速度を算出する際のパラメータとを変更した場合に、給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度がどのように変化するかの具体例について、図13−1〜図13−5を参照して説明する。
図13−1は、ロール状に巻かれたロール紙1の残量が中程度であり、給紙モータコントローラ25のフィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53が、ロール紙1の残量が中程度の場合に最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータを設定した場合における給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。なお、図13−1中の実線のグラフが1回の紙送り周期あたりの給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、破線のグラフが給紙モータコントローラ25において生成される目標速度プロファイルを表している。ここでは、制御演算部34における比例ゲイン(P)を50、積分ゲイン(I)を1300に設定している。この設定は、ロール紙1の残量が中程度の場合に給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度の時間変化にもっとも近づけることができる設定である。
図13−2は、ロール状に巻かれたロール紙1の残量が少なくなっているにも関わらず、フィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータの設定が、ロール紙1の残量が中程度の場合に最適な状態のままとなっている場合の給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。なお、図13−2中の実線のグラフが1回の紙送り周期あたりの給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、破線のグラフが給紙モータコントローラ25において生成される目標速度プロファイルを表している。
また、図13−3は、逆にロール状に巻かれたロール紙1の残量が多いにも関わらず、フィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータの設定が、ロール紙1の残量が中程度の場合に最適な状態のままとなっている場合の給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。なお、図13−3中の実線のグラフが1回の紙送り周期あたりの給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、破線のグラフが給紙モータコントローラ25において生成される目標速度プロファイルを表している。
これら図13−1〜図13−3に示すように、制御演算部34におけるPI制御のフィードバックゲインと、目標速度プロファイル生成部31において時系列で変化する制御周期ごとの目標速度を算出する際のパラメータとを固定にした場合には、ロール状に巻かれたロール紙1の残量に応じて給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化の振る舞いが変化し、搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度に対する差異が大きくなる。具体的には、図13−2に示すように、ロール状に巻かれたロール紙1の残量が少なくなっているにも関わらず、ロール紙1の残量が中程度の場合に最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータが設定されたままとなっていると、加速度および減速度が過大となって搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度に対する差異が大きくなる。一方、図13−3に示すように、ロール状に巻かれたロール紙1の残量が多いにも関わらず、ロール紙1の残量が中程度の場合に最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータが設定されたままとなっていると、十分な加速度および減速度が得られずに搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度に対する差異が大きくなる。
図13−4は、ロール状に巻かれたロール紙1の残量が少なく、給紙モータコントローラ25のフィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53が、ロール紙1の残量が少ない場合に最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータを設定した場合における給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。なお、図13−4中の実線のグラフが1回の紙送り周期あたりの給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、破線のグラフが給紙モータコントローラ25において生成される目標速度プロファイルを表している。ここでは、制御演算部34における比例ゲイン(P)を25、積分ゲイン(I)を1300に設定している。この設定は、ロール紙1の残量が少ない場合に給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度の時間変化にもっとも近づけることができる設定である。
図13−5は、ロール状に巻かれたロール紙1の残量が多く、給紙モータコントローラ25のフィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53が、ロール紙1の残量が多い場合に最適なフィードバックゲインおよび目標速度算出のパラメータを設定した場合における給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表すグラフ図である。なお、図13−5中の実線のグラフが1回の紙送り周期あたりの給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を表し、破線のグラフが給紙モータコントローラ25において生成される目標速度プロファイルを表している。ここでは、制御演算部34における比例ゲイン(P)を115、積分ゲイン(I)を1950に設定している。この設定は、ロール紙1の残量が多い場合に給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化を搬送ローラ7によるロール紙1の搬送速度の時間変化にもっとも近づけることができる設定である。
図13−4および図13−5に示すように、制御演算部34におけるPI制御のフィードバックゲインと、目標速度プロファイル生成部31において時系列で変化する制御周期ごとの目標速度を算出する際のパラメータとを、ロール状に巻かれたロール紙1の残量に応じて最適な値に設定することによって、ロール紙1の残量が変化しても給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化の振る舞いをほぼ一定に保つことができ、給紙ローラ6によるロール紙1の牽引搬送を安定的に行うことができる。そして、給紙ローラ6によるロール紙1の牽引搬送を安定化させることで、可動部材8の変位量の制御も安定的に実施することが可能となる。
以上のように、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙モータ9に通電される駆動電流を電流検出器51で検出してモータコントロールユニット21の内部の電流記憶部52に記憶させておき、給紙モータコントローラ25のフィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53が、この電流記憶部52から給紙モータ9の駆動電流を取得してロール状に巻かれたロール紙1の残量を推定し、ロール紙1の残量に応じて最適な値となるように、制御演算部34でのPI制御のフィードバックゲインおよび目標速度プロファイル生成部31で目標速度を算出する際のパラメータを変更するようにしている。したがって、ロール紙1の残量が変化しても給紙ローラ6によるロール紙1の搬送速度の時間変化の振る舞いをほぼ一定に保って給紙ローラ6によるロール紙1の牽引搬送を安定的に行うことができ、可動部材8の変位量の制御も安定的に実施することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態にかかるインクジェットプリンタについて説明する。本実施形態は、上述した第3の実施形態の変形例であり、給紙モータ9の駆動電流を電流検出器51で検出する代わりに、給紙モータコントローラ25の内部で推定するようにしたものである。以下、第3の実施形態と共通の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
図14は、本実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける給紙モータコントローラ25の内部構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるインクジェットプリンタは、給紙モータコントローラ25の内部に電流推定部54が設けられている。
電流推定部54は、制御演算部34によって算出された給紙モータ9への印加電圧の電圧値と、速度演算部32により算出された給紙ローラ6の回転速度の情報とを入力し、給紙モータ9への印加電圧と、給紙ローラ6の回転速度からギヤ減速比を用いて近似的に求めた給紙モータ9の回転速度とから、給紙モータ9の駆動電流を推定する。具体的には、まず、給紙モータ9の回転速度に逆起電力定数を乗じて逆起電力を計算する。そして、給紙モータ9への印加電圧から逆起電力を減じることにより、給紙モータ9の実効電圧を算出する。そして、抵抗およびインダクタンスによって構成されるフィルタを給紙モータ9の実効電圧に適用することで、給紙モータドライバ23から給紙モータ9に供給される駆動電流を推定する。
詳述すると、トルク定数(=逆起電力定数):ke、インダクタンス:La、電機子抵抗:Raとして、給紙モータ9の駆動電流Iは、
i)実効電圧=(印加電圧―逆起電力)
ii)電流=実効電圧×(時定数(La/Ra)の一次遅れの伝達関数)であるので、
I=(V−Ke・ω)×(1/((La/Ra)×S+1))として求められる。
ここで、ωは給紙モータ9の回転数、Sはラプラス演算子、Vは給紙モータ9への印加電圧である。これは微分方程式であるので、ルンゲタック法等の一般的な積分アルゴリズムによって数値的に解くことができる。デジタル制御の場合は、上記の式を双一次変換によって差分方程式に変換することができ、これにより給紙モータ9の駆動電流を推定することができる。また、給紙モータ9がロール紙1および給紙ローラ6に対して与えているトルク、つまり、ロール紙1および給紙ローラ6の負荷トルク(加速トルク+定常摩擦トルク)を推定することができ、加速トルク(駆動電流×トルク定数)と、このときの給紙モータ9の角加速度から慣性モーメントを推定することができる。なお、給紙モータ9への印加電圧から推定電流値を近似的に求める方法としては、給紙モータ9が定速回転している定常状態であるとしてインダクタンスの影響を無視し、給紙モータ9への印加電圧を抵抗値で除算するという手法も挙げられる。
電流推定部54により算出された給紙モータ9の駆動電流の推定値は、フィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53に入力される。フィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53は、電流推定部54により算出された給紙モータ9の駆動電流の推定値に基づいて、第3の実施形態と同様に、ロール状に巻かれたロール紙1の残量を推定し、制御演算部34におけるPI制御のゲインをロール紙1の残量に応じた最適な値に設定するとともに、目標速度プロファイル生成部31において時系列で変化する制御周期ごとの目標速度を算出する際のパラメータを、ロール紙1の残量に応じて最適な値に設定する。
以上のように、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙モータ9の駆動電流を電流検出器51で検出するのではなく、給紙モータコントローラ25の内部において推定し、この駆動電流の推定値に基づいて給紙モータコントローラ25でのフィードバックゲインや目標速度算出のためのパラメータを変更するようにしているので、電流検出器51を不要としながら、上述した第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態は第3の実施形態の変形例として説明したが、給紙モータコントローラ25が出力する電圧値に基づいて給紙モータ9の駆動電流を推定する手法を第2の実施形態に応用し、第2の実施形態の変形例として実施することもできる。この場合には、CPU20が給紙モータ9への印加電圧から駆動電流を推定して可動部材8の基準位置を決定することで、電流検出器50を不要としながら、上述した第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態にかかるインクジェットプリンタについて説明する。本実施形態は、上述した第4の実施形態の変形例であり、給紙モータ9のトルク定数、電機子抵抗、インダクタンスの値を給紙モータ9の固有データとして記憶しておき、この記憶した固有データを用いて給紙モータ9の駆動電流を推定するようにしたものである。以下、第4の実施形態と共通の部分については同一の符号を付して重複した説明を省略し、本実施に特徴的な部分についてのみ説明する。
図15は、本実施形態にかかるインクジェットプリンタにおける給紙モータコントローラ25の内部構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるインクジェットプリンタは、給紙モータコントローラ25の内部にモータ固有データ記憶部55が設けられている。
モータ固有データ記憶部55は、給紙モータ9に固有の特性値であるトルク定数、電機子抵抗、インダクタンスの値を記憶している。このモータ固有データ記憶部55に記憶されている給紙モータ9に固有の特性値は、例えば給紙モータ9が故障などによって新たなモータに交換された場合には、新たなモータに固有の特性値に書き換えられる。つまり、モータ固有データ記憶部55は、給紙モータ9として現在使用しているモータに固有の特性値を記憶している。このように給紙モータ9に固有の特性値を固有データ記憶部55に記憶させておく理由は、モータごとに上記特性値にばらつきがあるため、給紙モータ9の特性値を固定値として上述した駆動電流推定の計算を行うと、給紙モータ9の交換などによって駆動電流推定の精度が低下するためである。
本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙モータコントローラ25内部の電流推定部54が、モータ固有データ記憶部55に記憶された給紙モータ9のトルク定数、電機子抵抗、インダクタンスの値を用いて、制御演算部34によって算出された給紙モータ9への印加電圧の電圧値と、速度演算部32により算出された給紙ローラ6の回転速度の情報とに基づき、給紙モータ9の駆動電流を推定する。そして、フィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部53が、給紙モータ9の駆動電流の推定値に基づいてロール状に巻かれたロール紙1の残量を推定し、制御演算部34におけるPI制御のゲインをロール紙1の残量に応じた最適な値に設定するとともに、目標速度プロファイル生成部31において時系列で変化する制御周期ごとの目標速度を算出する際のパラメータを、ロール紙1の残量に応じて最適な値に設定する。
以上のように、本実施形態にかかるインクジェットプリンタでは、給紙モータ9として現在使用しているモータに固有の特性値であるトルク定数、電機子抵抗、インダクタンスの値をモータ固有データ記憶部55に記憶しておき、電流推定部54が、このモータ固有データ記憶部55に記憶された給紙モータ9のトルク定数、電機子抵抗、インダクタンスの値を用いて給紙モータ9の駆動電流を推定するようにしているので、例えば給紙モータ9が故障などによって新たなモータに交換された場合であっても、給紙モータ9の駆動電流を精度よく推定することができる。
以上、本発明を適用したインクジェットプリンタの具体例として第1乃至第5の実施形態を例示したが、本発明は、上述した各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。
1 ロール紙
2 プリンタヘッド
6 給紙ローラ
7 搬送ローラ
8 可動部材
9 給紙モータ
10 給紙エンコーダ(第1の検出手段)
11 搬送モータ
12 搬送エンコーダ
14 可動部材エンコーダ(第2の検出手段)
20 CPU
25 給紙モータコントローラ(給紙モータ制御手段)
26 補正値算出部(補正手段)
27 減算器(補正手段)
50,51 電流検出器
53 フィードバックゲイン・目標速度算出パラメータ演算部
54 電流推定部
55 モータ固有データ記憶部
特開昭62−83968号公報

Claims (5)

  1. 搬送モータによって駆動され、ロール紙を所定の印字幅に相当する紙送り量ずつ所定の印字位置へと間欠的に搬送する搬送ローラと、
    給紙モータによって駆動され、前記ロール紙を巻きほどいて前記搬送ローラ側へと間欠的に牽引搬送する給紙ローラと、
    前記給紙ローラの回転角度を検出する第1の検出手段と、
    前記第1の検出手段の検出値を用いて前記ロール紙の搬送速度および搬送位置が目標値に追従するように前記給紙モータをフィードバック制御する給紙モータ制御手段と、
    前記給紙ローラと前記搬送ローラの間にて前記ロール紙に当接し、基準位置に対して変位することで、前記給紙ローラと前記搬送ローラとの回転速度の差に起因する前記ロール紙の張力変化を吸収する可動部材と、
    前記可動部材の位置を検出する第2の検出手段と、
    前記第2の検出手段の検出値に基づいて、前記可動部材の前記基準位置からの変位量および該変位量の積分値に応じた補正値を算出し、算出した補正値により前記給紙モータ制御手段の出力を補正する補正手段と、を備えることを特徴とするロール紙搬送装置。
  2. 前記給紙モータに通電される駆動電流を検出または推定する電流検出手段と、
    前記電流検出手段により検出または推定された電流値に基づいて、前記可動部材の基準位置を決定する基準位置決定手段と、をさらに備え、
    前記補正手段は、前記基準位置決定手段により決定された基準位置と前記第2の検出手段の検出値との差分を前記変位量とすることを特徴とする請求項1に記載のロール紙搬送装置。
  3. 前記給紙モータに通電される駆動電流を検出または推定する電流検出手段をさらに備え、
    前記給紙モータ制御手段は、前記電流検出手段により検出または推定された電流値に基づいて、フィードバック制御のゲインおよび前記ロール紙の時系列で変化する目標速度を算出するためのパラメータを変更することを特徴とする請求項1または2に記載のロール紙搬送装置。
  4. 前記給紙モータのトルク定数、電気子抵抗、インダクタンスの値を前記給紙モータの固有データとして記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記電流検出手段は、前記記憶手段に記憶された固有データを用いて前記給紙モータに通電される駆動電流を推定すること、を特徴とする請求項2または3に記載のロール紙搬送装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載のロール紙搬送装置と、
    前記ロール紙搬送装置の前記搬送ローラによって前記印字位置へと間欠的に搬送される前記ロール紙に対して、該ロール紙の搬送が停止されている間に該ロール紙の主走査方向に走査しながらインクを付着させるプリンタヘッドと、を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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