以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置30を用いたナビゲーションシステム1について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<第1実施形態>
<ナビゲーションシステム1の全体構成>
図1は、ナビゲーションシステム1全体の概略構成を示す図である。ナビゲーションシステム1は、フリーアドレス制の複数の座席が配置される室内において、座席を利用する利用者に対して、その利用者毎に好適な空調環境(例えば、温度、湿度、風量)が提供される座席のナビゲーションを行うシステムである。ナビゲーションシステム1では、利用者へのナビゲーションは、後述するナビゲーション装置30を用いることで実行される。
ナビゲーションシステム1は、図1に示すように、主として、室内機4a1,4a2,・・・,4an(図2を参照)をそれぞれ含む複数の空調機50a1,50a2,・・・,50anと、空調機50a1,50a2,・・・,50anの制御を行う空調制御装置80と、ナビゲーション装置30とから構成される。以下、これらの構成について説明する。
なお、室内機4a1,4a2,・・・,4anはそれぞれ、図2や図6に示すように、4人掛けのテーブル(図5を参照)が配置される空間エリア(以下、テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bという)毎に1台が対応するように設置されている。
<空調機50a1,50a2,・・・,50anの構成>
以下、図3を参照しながら空調機50a1のみの構成について説明するが、空調機50a2,・・・,50anも空調機50a1と同様の構成を有する。
空調機50a1は、空気調和を行う対象空間である居室の外部に設置される室外機(図示せず)と、居室内の天井に設置される室内機4a1と、室外機と室内機4a1とを接続するための配管(図示せず)とから成る。なお、室内機4a1は、壁に設置されていてもよい。また、空調機50a1は、圧縮機や熱交換器等(図示せず)の冷媒回路(図示せず)を構成する機器を有している。
また、空調機50a1には、室内温度センサ12a1、外気温度センサ12b1、冷媒温度センサ12c1、冷媒圧力センサ12d1等のセンサが取り付けられている。室内温度センサ12a1は、室内機4a1が設置される居室内の温度を検出する。外気温度センサ12b1は、室外機の近傍の外気温度を検出する。冷媒温度センサ12c1は、冷媒回路の所定の位置における冷媒温度を検出する。冷媒圧力センサ12d1は、冷媒回路の所定の位置における冷媒圧力を検出する。
また、空調機50a1は、制御部11a1を有している。制御部11a1は、空調機50a1を構成する室内機4a1及び室外機にそれぞれ設置される制御ユニットの集合体である。
制御部11a1は、後述する空調制御装置80から送られる制御指令に基づいて、空調機50a1の運転を制御する。具体的には、制御部11a1は、空調機50a1内の圧縮機等の各種機器の動作を制御している。ここで、空調制御装置80から送られる制御指令とは、例えば、各空調機50a1,50a2,・・・,50anに対する運転/停止指令等である。
また、制御部11a1は、空調機50a1に関する機器データを空調制御装置80に送信する。具体的には、制御部11a1は、各種のセンサ12a1〜12d1の検出値等を空調制御装置80に送信する。なお、本発明はこれに限られるものではなく、各種のセンサ12a1〜12d1の出力信号は、制御部11a1を介さずに直接空調制御装置80に送信されてもよい。
<空調制御装置80の構成>
空調制御装置80は、居室内に配置され、空調機50a1,50a2,・・・,50anの監視及び制御を行う。また、空調制御装置80は、図4に示すように、空調機通信部81と、ナビ通信部82と、記憶部83と、制御部84と、入力部85と、出力部86とを有する。
空調機通信部81は、空調制御装置80の、複数の空調機50a1,50a2,・・・,50anのそれぞれとのローカルエリアネットワーク5(以下、LAN5という)を介したデータのやり取りを可能にする。ナビ通信部82は、空調制御装置80の、ナビゲーション装置30との専用の通信線6を介したデータのやり取りを可能にする。入力部85及び出力部86は、タッチパネル機能及びスピーカー機能付きディスプレイとして一体に構成されている。管理者は入力部85を介して室内機4a1,4a2,・・・,4an(空調機50a1,50a2,・・・,50an)に対する運転命令を入力することができる。
記憶部83は、空調機データベース83aと、第1テーブルデータベース83bとを保持する。
空調機データベース83aには、各空調機50a1,50a2,・・・,50anの機器データが格納される。
第1テーブルデータベース83bには、所定の空調ゾーンと、その所定の空調ゾーンに含まれる空調機の運転条件(例えば、設定温度)との関係を示すテーブル(以下、第1テーブルという)が記憶されている。なお、第1テーブルに所定の空調ゾーンとの関係が示される所定数の空調機の運転条件は、上記の設定温度に限られず、設定湿度、設定風量が追加されてもよいし、設定湿度又は設定風量であってもよいし、これら3つの任意の組み合わせであってもよいし、また、これら3つ以外の空調に関する条件が含まれていてもよい。
ここで、空調ゾーンとは、ナビゲーション装置30の制御部33を構成する空調ゾーン設定部33i(後述する)が、居室内空間に設定する空調に関するゾーンである。空調ゾーンには、例えば、室内空間において最も冷えたゾーンである強冷ゾーンや、強冷ゾーンよりも冷え度を落とした弱冷ゾーンや、全く空調を行わない停止ゾーン等がある。なお、第1テーブルには、例えば、強冷ゾーンに含まれる所定数の空調機の設定温度は20℃〜24℃のいずれかであるといった関係や、弱冷ゾーンに含まれる所定数の空調機の設定温度は25℃〜29℃のいずれかであるといった関係が示される。
制御部84は、主として、CPUから構成され、データ送信部84aと、データ取得部84bと、空調機運転プログラム作成部84cと、空調機運転プログラム実行部84dとを有する。
データ送信部84aは、空調機50a1,50a2,・・・,50anの制御部11a1,11a2,・・・,11anに制御指令のデータ等を送信する。これにより、制御部84は、空調機50a1,50a2,・・・,50anの運転制御を行っている。
データ取得部84bは、空調機50a1,50a2,・・・,50anの制御部11a1,11a2,・・・,11anから送られてくる機器データを取得する。なお、データ取得部84bは、当該機器データを空調機データベース83aに格納している。
空調機運転プログラム作成部84cは、第1テーブルデータベース83bに記憶される第1テーブルを参照して、各空調機50a1,50a2,・・・,50anの運転プログラムを作成する。なお、この運転プログラムは、上述した空調条件だけでなく、何時から何時まで運転する等の時刻や時間を考慮したものであってもよい。
空調機運転プログラム実行部84dは、空調機運転プログラム作成部84cによって作成される各空調機50a1,50a2,・・・,50anの運転プログラムを実行する。運転プログラムの実行により、データ送信部84aは、各空調機50a1,50a2,・・・,50anの制御部11a1,11a2,・・・,11anに当該プログラムに基づいた運転を行う旨の制御指令のデータを送信する。
<ナビゲーション装置30の構成>
ナビゲーション装置30は、居室内に配置され、利用者の要望する空調環境に適合する座席を案内するための装置である。図7は、ナビゲーション装置30の概略構成を示す図である。図7に示すように、ナビゲーション装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33と、入出力部34とを有する。
(1)通信部31
通信部31は、ナビゲーション装置30の、空調制御装置80に接続される専用の通信線6への接続を可能にする。これにより、ナビゲーション装置30の制御部33と空調制御装置80の制御部84とのデータのやり取りが可能になる。
(2)記憶部32
記憶部32は、主として、ハードディスクから構成されており、座席レイアウトデータベース32aと、第2テーブルデータベース32bと、設定空調ゾーンデータベース32cとを保持している。
(2―a)座席レイアウトデータベース32a
座席レイアウトデータベース32aには、例えば、図5に示すような、室内全体における座席のレイアウト図(配置図)が記憶されている。当該レイアウト図は、居室内全体の平面図であって、テーブル、ドア等が図示される画像データである。
(2―b)第2テーブルデータベース32b
第2テーブルデータベース32bには、図8に示すような、各利用者の識別IDに対応する空調要望情報を示すテーブル(以下、第2テーブルという)が記憶されている。空調要望情報とは、利用者の空調(環境)に関する要望を示す情報、すなわち、利用者が要望する空調環境を示す情報である。具体的には、空調要望情報とは、利用者が最適と感じる空調ゾーンである最適空調ゾーン(すなわち、本実施形態においては、強冷ゾーン、弱冷ゾーン、停止ゾーンのいずれか)、利用者が最適と感じる空調温度である最適空調温度、利用者が許容する空調ゾーンである許容空調ゾーン、及び、利用者が許容する空調温度である許容空調温度である。
なお、以下の説明においては、適宜、最適空調ゾーン及び最適空調温度を総称して最適空調環境(最適空調条件に相当)といい、許容空調ゾーン及び許容空調温度を総称して許容空調環境(許容空調条件に相当)という。
(2−c)設定空調ゾーンデータベース32c
設定空調ゾーンデータベース32cには、空調ゾーン設定部33iによって設定される、室内空間における複数の空調ゾーンのデータが格納される。具体的には、所定の空調ゾーンと、所定の空調ゾーンに含まれる所定のテーブルエリア(所定の空調機)との関係が示されるテーブルデータ(以下、第3テーブルという)が格納されている。
(3)制御部33
制御部33は、主として、CPU,ROM及びRAMから構成されており、識別ID取得部33aと、空調要望情報取得部33bと、検索対象設定部33cと、センサ出力取得部33dと、座席検索部33eと、判定部33fと、検索対象修正部33gと、表示制御部33hと、空調ゾーン設定部33iとを有している。
(3―a)識別ID取得部33a
識別ID取得部33aは、利用者が入出力部34(後述する)を介して利用者自身の識別IDを入力することによって、該識別IDを取得する。
(3−b)空調要望情報取得部33b
空調要望情報取得部33bは、利用者の識別IDに対応する空調要望情報を、記憶部32に確保される第2テーブルデータベース32b内に記憶される第2テーブルを参照して取得する。
(3―c)検索対象設定部33c
検索対象設定部33cは、空調要望情報取得部33bが取得する空調要望情報を参照して検索対象(ここでは、例えば、空調要望情報に含まれる最適空調環境や許容空調環境)を設定する。
(3―d)センサ出力取得部33d
センサ出力取得部33dは、各テーブルに設置され各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの実温度を検出する実温センサ91(図2を参照)、及び、各座席に設置され各座席における利用者の在席/空席(不在)状態を検出する(すなわち、各座席における利用者の在/不在の情報を取得する)着座センサ92(在席情報取得手段に相当)(図2を参照)からの出力を定期的に取得する。
なお、センサ出力取得部33dは、着座センサ92からの出力を定期的に取得し、在席/空席状態が所定時間継続した場合に在席状態又は空席状態と判断している。なお、在席状態を判断する所定時間と、空席状態を判断する所定時間とは、同一の値であっても異なる値であってもよい。
また、これらのセンサ91,92からの出力の取得経由は、ネットワーク経由であってもよいし、無線経由であってもよい。
(3―e)座席検索部33e
座席検索部33eは、利用者の空調要望情報に適合する座席を検索する。具体的には、例えば、各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの実温度のデータ、及び、各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bに配置される各座席における在席データを取り込んで、これらのデータと、利用者の空調要望情報とが適合する座席を検索する。
(3−f)判定部33f
判定部33fは、座席検索部33eによって利用者の空調要望情報に適合する座席が検索されたか否か等を、判定する。
(3―g)検索対象修正部33g
検索対象修正部33gは、設定した検索対象の修正を行う。
(3―h)表示制御部33h
表示制御部33hは、入出力部34(表示部に相当)(図10を参照)上に、好適な空調環境が得られる座席を探す利用者にとって必要な情報等を表示する。なお、具体的な入出力部34を介しての利用者への情報表示については、後に説明する。
(3−i)空調ゾーン設定部33i
空調ゾーン設定部33iは、室内空間に複数の空調ゾーンを設定する。具体的には、空調ゾーン設定部33iは、図5に示すように、テーブルエリア4A,4B,5A,5Bを強冷ゾーンに設定し、テーブルエリア2A,2B,3A,3Bを弱冷ゾーンに設定し、テーブルエリア1A,1Bを停止ゾーンに設定している。そして、空調制御装置80は、空調ゾーン設定部33iによって設定される複数の空調ゾーンのそれぞれに含まれる室内機4a1,4a2,・・・,4an(空調機50a1,50a2,・・・,50an)毎に独立した空調制御を行っている。
なお、本実施形態においては、強冷ゾーン・弱冷ゾーン・停止ゾーンの3つのゾーンを設けているが、ゾーン数は、室内の規模によって変更されるものであってもよい。また、空調ゾーンの種類は、季節や人の生活行動パターンによって変更されるものであってもよい(例えば、夏場は、停止ゾーンをなくし、強冷ゾーンと弱冷ゾーンとの間の冷え度である中冷ゾーンを設定する等)。
また、空調ゾーンの設定は、空調ゾーン設定部33iによって設定されるものに限られず、管理者が予め入出力部34を介して設定するものであってもよい。
本実施形態では、室内空間に複数の空調ゾーンを設定することにより、利用者に好適な空調環境を提供することができる。また、本実施形態のように、所定の空調ゾーンに含まれる室内機(空調機)が複数台ある場合は、これらの室内機(空調機)はほぼ同様の制御が行われるので、さまざまに制御が行われる室内機(空調機)が隣接するような場合と比べると空調ロスを低減することができ、省エネルギー及び省コストに貢献する。
(4)入出力部34(表示部、受付部に相当)
入出力部34は、主としてタッチパネル機能付きディスプレイから構成され、当該ディスプレイ上に表示される利用者等の入力を受け付ける受付部としての機能を有するボタン等に利用者等が触れることによって、当該ボタンに対応する制御処理が制御部33によって実行される。
なお、入出力部34は、例えば、マウスやキーボード等の入力部(受付部)や、入力部を介して入力される指令を表示するための表示部等から成るものであってもよい。
<ナビゲーション装置30における制御処理の流れ>
以下、ナビゲーション装置30の制御部33が行う制御処理について図9のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1では、識別ID取得部33aは、利用者が入出力部34を介して識別IDを入力することによって識別IDを取得する。そして、識別ID取得部33aは、この識別IDを空調要望情報取得部33bに送信する。
ステップS2では、空調要望情報取得部33bは、識別ID取得部33aから送信される識別IDを受け取ると、第2テーブルデータベース32b内に記憶される第2テーブルを参照し、利用者の識別IDに対応する空調要望情報を取得する。そして、空調要望情報取得部33bは、空調要望情報を検索対象設定部33cに送信する。
ステップS3では、検索対象設定部33cは、空調要望情報取得部33bから受信した空調要望情報の中から最適空調環境を検索対象として設定する。
よって、例えば、識別IDが1の利用者の場合(図8を参照)、検索対象とする空調ゾーン(以下、検索対象ゾーンと呼ぶ)として強冷ゾーンが設定され、検索対象とする空調温度(以下、検索対象温度と呼ぶ)として22℃が設定される。
ステップS4では、センサ出力取得部33dは、実温センサ91からの出力を取得する。ステップS5では、センサ出力取得部33dは、着座センサ92からの出力を取得する。なお、ステップS4,S5で得られる各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの実温度のデータ、及び、各座席における実際の在席データは、センサ出力取得部33dによって記憶部32内の所定の領域に格納される。
ステップS6では、座席検索部33eは、設定した検索対象(検索対象ゾーン及び検索対象温度)に適合する座席を検索する。具体的には、まず、第3テーブルのデータと、ステップS4で取得した各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの実温度のデータとを参照して、設定された検索対象ゾーンにおける所定のテーブルエリアの中から、設定された検索対象温度となっている所定のテーブルエリアを検索する。次に、ステップS5で取得した実際の在席データを参照して、当該テーブルエリアの中から空席を検索する。
例えば、識別IDが1の利用者の場合であって、検索対象として最適空調環境が設定されている場合、座席検索部33eは、まず、強冷ゾーンにおけるテーブルエリア4A,4B,5A,5Bの中から実温度が22℃となっているテーブルエリアを検索する。次に、実温度が22℃となっているテーブルエリアにおいて空席を検索している。
なお、ここでの検索対象温度の設定は、22℃のように1℃単位の設定としているが、実温度が0.1℃の単位で計測される場合は、ステップS6の座席の検索では、設定する検索対象温度に、実温度に対する所定の許容範囲を予め設定していてもよい。
例えば、設定した検索対象温度が22℃の場合であって、設定する検索対象温度に、±0.5℃を実温度に対する許容範囲として設定している場合は、設定する検索対象温度が22℃の場合、実温度が21.5℃以上22.5℃未満となっているテーブルエリアがあれば、後述するステップS7で、判定部33fは、座席検索部33eによって座席が検索されたと判定することになる。
ステップS7では、判定部33fは、座席検索部33eによって座席が検索されたか否かを判定する。検索されたと判定する場合は、ステップS8へ移行する。他方、検索されていないと判定する場合は、ステップS9へ移行する。
ステップS8では、表示制御部33hは、入出力部34上に、設定された検索対象に適合する座席を表示する。
具体的には、表示制御部33hは、図10に示すように、設定された検索対象に適合する座席を文字表示及び画像表示によって表示している。また、設定された検索対象に適合する座席が配置されるテーブルエリアの実温度(室内環境情報に相当)、室内全体に設定される空調ゾーン、室内全体における利用者の実際の在席/空席情報(複数の座席における利用者の在/不在の情報)も表示する。これにより、利用者は、着席する座席の周辺(テーブルエリア)の空調状態、在席/空席状態を知ることができる。なお、設定された検索対象に適合する座席の表示手段は、図10に示すものに限られるものではなく、例えば、設定された検索対象に適合する座席を示す表示色を他の座席を示す表示色と変えることによって表示するものであってもよい。また、設定された検索対象に適合する座席が配置されるテーブルエリア以外のテーブルエリアの実温度を表示してもよい。また、空調ゾーン毎や、実温度毎に表示色を変更するような表示方法を採ってもよい。
ステップS9では、検索対象修正部33gは、第2テーブルデータベース32b内に記憶されている許容空調環境を参照して、設定された検索対象を修正する処理を行う。
ステップS10では、判定部33fは、ステップS9で設定された検索対象が、利用者の許容空調環境の範囲内に入っているか否かを判定する。入っていると判定する場合は、ステップS6に戻って繰り返す。他方、入っていないと判定する場合は、ステップS11へ移行する。
ここで、ステップS9における検索対象修正部33gの検索対象の修正処理としては、例えば、利用者の許容空調環境の範囲内で、設定された検索対象に近い空調ゾーン及び空調温度から徐々に検索対象を修正するものがある。なお、このような修正処理は、予め、管理者等による入出力部34を介しての入力等によって設定されている。
検索対象修正部33gの検索対象の具体的な修正処理としては、例えば、まず、設定された検索対象ゾーンを固定しながら(修正はせずに)、設定された検索対象温度の修正を行う処理が考えられる。この場合、まず、検索対象修正部33gは、検索対象設定部33c又は検索対象修正部33gによって設定された検索対象温度(このステップにおける説明では、基準温度という)を所定温度(例えば、1℃)低温側に移動させる修正を行い、ステップS10で利用者の許容空調環境の範囲内であると判定される場合であって、ステップS7で適合する座席が検索されないと判定される場合に、設定された検索対象温度(基準温度)を所定温度(例えば、1℃)高温側に移動させる修正を行う。
より具体的には、識別IDが1の利用者は最適空調ゾーンが強冷ゾーン、最適空調温度が22℃であるので、検索対象設定部33cによって設定される検索対象ゾーン及び検索対象温度はそれぞれ強冷ゾーン、22℃である。このとき、ステップS9において検索対象修正部33gが修正を行う場合、まず、検索対象ゾーンは固定したままで、検索対象温度を22℃(基準温度)から低温側に1℃移動させた21℃に設定する。これは、識別IDが1の利用者の許容空調温度の範囲内であるので、ステップS10では、許容空調環境の範囲内であると判定される。そして、ステップS6で座席の検索が行われ、ステップS7で適合する座席が検索されていないと判定される場合は、検索対象修正部33gは、検索対象温度を、22℃(基準温度)から高温側に1℃移動させた23℃に設定する。
ここで、検索対象の修正処理の結果、検索対象温度が許容空調温度外となるような場合(例えば、識別IDが1の利用者の場合、検索対象温度が19℃や25℃になるような場合)は、検索対象修正部33gは、検索対象ゾーンを最適空調ゾーンから許容空調ゾーンに変更(識別IDが1の利用者の場合は、強冷ゾーンから弱冷ゾーンに変更)し、検索対象温度を、検索対象設定部33cによって初めに設定されていた検索対象温度に戻す修正をして、利用者の許容空調温度の範囲内で上記と同様の処理を行っていく。なお、このような処理は、予め管理者等により設定されているものとする。
よって、識別IDが1の利用者の場合、検索対象修正部33gが、検索対象ゾーン及び検索対象温度の組み合わせを、強冷ゾーン且つ20℃〜24℃の組み合わせ及び弱冷ゾーン且つ20℃〜24℃の組み合わせ以外に修正した場合は、ステップS10で利用者の許容空調環境範囲内でないと判定され、ステップS11へ移行することになる。
なお、上記の検索対象の修正処理では、設定された検索対象温度(基準温度)を、まず低温側に移動させて適合する座席がないと判定する場合に、設定された検索対象温度(基準温度)を高温側に移動させる修正を行ったが、これに限られるものではなく、まず、検索対象温度(基準温度)を高温側に移動させる修正を行ってもよい。なお、設定された検索対象温度(基準温度)を、まず低温側に移動させるか、高温側に移動させるかについては、利用者の最適空調ゾーンを考慮してもよい。具体的には、識別IDが1の利用者の場合は、最適空調ゾーンが強冷ゾーンであるため、空調温度は低いほうが好ましいと考えられる。よって、このような場合は、設定された検索対象温度をまず低温側に移動させる修正を行うことが望ましい。なお、このような制御パターンは、予め入出力部34を介して管理者等が設定していてもよいし、また、制御部が検索対象温度を高温側に移動させるか低温側に移動させるかを優先する優先部(図示せず)を有していてもよい。
また、本発明は、上記のように設定された検索対象温度(基準温度)を低温側、高温側に交互に移動していく処理に限られるものではなく、まず、設定された検索対象温度(基準温度)からいずれかの方向(高温側又は低温側)に許容空調温度の範囲内で移動する修正を行い、その検索条件においては適合する座席がないと判定される場合に、設定された検索対象温度(基準温度)から反対側の方向に許容空調温度の範囲内で移動していく修正を行ってもよい。
また、上記では、検索対象ゾーンを最適空調ゾーンに固定したままで検索対象温度を許容空調温度の範囲内で修正しても適合する座席が検索されない場合にはじめて検索対象ゾーンを許容空調ゾーンに修正する処理を採っているが、これに限られるものではなく、逆の処理構成であってもよい。すなわち、検索対象温度を最適空調温度に固定したままで検索対象ゾーンを許容空調ゾーンの範囲内で修正しても適合する座席が検索されない場合にはじめて検索対象温度を修正する処理を採ってもよい。
ステップS11では、表示制御部33hは、入出力部34上に、利用者の空調要望情報に適合する座席がない旨を表示する。具体的には、図11に示すように、利用者の空調要望情報に適合する座席がない旨を画像や文字によって表示すると共に、室内における室内環境情報(具体的には、各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの実温度)や室内における実際の在席/空席情報(複数の座席における利用者の在/不在の情報に相当)も画像や文字によって表示する。このようにテーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5B毎の実温度が表示されることで、利用者の空調要望情報に適合する座席がない場合であっても、利用者は空席の中から利用者自身の現在の状態に最も適した空調環境が提供される座席を選択することができる。なお、温度の表示方法は、数字で表すものに限られず、色を変更することで表示するものであってもよい(例えば、温度域毎に多段階の色で示す等)。
<第1実施形態に係るナビゲーションシステム1の特徴>
フリーアドレス制のオフィスにおいては、オフィス内の各人の座席の位置は基本的に毎日変更される。このため、各人に対して固定した空調環境を提供することは難しいと考えられる。この状況を解消するために、例えば、各人に対して空調を行うパーソナル空調システムを導入することが考えられるが、パーソナル空調システムの導入は、コスト的には望ましくないと考えられる。
そこで、本実施形態に係るナビゲーションシステム1では、予め、フリーアドレスの複数の座席が配置される室内空間に強冷ゾーン、弱冷ゾーン、停止ゾーン等の複数の空調ゾーンを設定しておき、ナビゲーション装置30を用いて各人の空調要望情報に適合する空調環境が提供される座席を各人に対して案内している。具体的には、テーブル毎に各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの実温度を検出する実温センサ91を設置し、予め室内に設定される空調ゾーン、及び、その空調ゾーンにおける所定のテーブルエリアの実際の温度が各人の空調要望情報と一致し、かつ、そのテーブルエリアに配置される座席のうち空席があれば、当該空席を案内する。
なお、空調要望情報には、最適空調環境と許容空調環境とが含まれており、本実施形態では、まず、座席検索部33eは、利用者の最適空調環境に基づいて座席を検索している。このとき、利用者の最適空調環境に適合する座席が検索されれば、利用者に対して最適な空調環境を提供することができる。
他方、利用者の最適空調環境に適合する座席がない場合であっても、座席検索部33eは、利用者の許容空調環境に基づいて座席を検索することもできる。このとき、利用者の許容空調環境に適合する座席が検索されれば、利用者に対して好適な空調環境を提供することができる。また、他方、利用者の許容空調環境に適合する座席が検索されない場合であっても、表示制御部33hは、室内における室内環境情報(具体的には、各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの実温度)や室内における実際の在席/空席情報を表示している。これにより、利用者は、自身の現在の状態に最も適した空調環境が提供される着席可能な座席を知ることができる。
以上により、本実施形態では、各人に好適な空調環境を提供しつつ、パーソナル空調システムを導入する場合と比較してコストを抑制することができる。
また、本実施形態では、実温センサ91により各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの現在の温度情報を把握することができるので、利用者の空調要望情報に適合する空席がある場合は、利用者に最適な空調環境を提供することができる。
<第1実施形態に係るナビゲーションシステム1の変形例>
(A)
上記実施形態では、利用者自身がナビゲーション装置30の入出力部34を介して識別IDを入力すると説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、ナビゲーション装置30がカードリーダー機能を有する場合は、利用者が、利用者の識別IDを記憶したICカードをナビゲーション装置30の所定の位置に設けられるカード挿入口に挿入することにより、又は、ナビゲーション装置30の所定の位置に設けられるカードリーダーにかざすことにより、ナビゲーション装置30が利用者の識別IDを自動的に受信する方法であってもよい。
また、上記実施形態では、利用者が利用者の識別IDを入力すれば、後は、ナビゲーション装置30内で自動的に空調要望情報を取得する制御処理が行われるが、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、利用者が識別IDを入力する際に、合わせて空調要望情報も入力するものであってもよい。また、ICカードに識別IDと、識別IDに対応する空調要望情報とが記憶されており、上述のように、ICカードをカードリーダーにかざす等をすることによって、ナビゲーション装置30は利用者の識別ID及び空調要望情報を取得するものであってもよい。また、利用者が識別IDを入力する際に、合わせて利用者に空調要望情報を選択入力させるものであってもよい。
この場合、ナビゲーション装置30に予め自身の空調要望情報を設定していない場合に有効である。また、データベースをナビゲーション装置30以外のサーバ等が保持している場合、そのサーバ等の故障やそのサーバ等との通信における異常が発生しても、利用者は、自身の要望する空調環境が提供される座席を見つけることができる。
(B)
上記実施形態では、ステップS3において、空調ゾーン及び空調温度を検索対象として設定しているが、本発明はこれに限られるものではなく、空調ゾーン及び空調温度のいずれかを設定してもよい。
(C)
上記実施形態では、座席毎に設置された着座センサ92によって、利用者の在席状態を検出すると説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、テーブル毎に設置されたLANに利用者のパーソナルコンピュータが接続されることによって利用者の在席を検出してもよい。また、天井に赤外線カメラを取り付ける等によって利用者の在席を検出してもよい。また、無線LANでパーソナルコンピュータを接続する場合は、無線LANスポットにおける電波受信の強度からパーソナルコンピュータの位置、すなわち、利用者の在席を検出してもよい。
(D)
上記実施形態では、テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの実温度は、テーブル毎に設置される実温センサ91によって検出されると説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、室内の天井に設置した赤外線カメラによって検出してもよい。
(E)
上記実施形態では、入出力部34への表示方法は、画像表示や文字表示であると説明したが、本発明はこれに限られるものはなく、例えば、ナビゲーション装置30がスピーカー機能を有する場合は、音声表示であってもよい。
また、入出力部34上には、テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bにおける実温度が表示されると説明したが、これに限られるものではなく、テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bにおける風速(風量)、湿度(これらは、室内環境情報に相当)、風向等が表示されてもよい。
(F)
上記実施形態では、ナビゲーション装置30と空調制御装置80とは別体であるとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、ナビゲーション装置30及び空調制御装置80の機能を有する一体の装置であってもよい。
(G)
上記実施形態では、ナビゲーション装置30に記憶部32が確保されていると説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、記憶部32に格納されるデータベースは、空調制御装置80や、ナビゲーション装置30にネットワークで接続された別のサーバ内に保持されてもよい。
(H)
上記実施形態では、空調ゾーンの設定は、ナビゲーション装置30の制御部33が行うと説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、空調制御装置80の制御部84が行ってもよいし、ナビゲーション装置30や空調制御装置80以外に別に設けられるゾーン設定装置(図示せず)が行ってもよい。
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、空調機50a1,50a2,・・・,50an等の第1実施形態と共通する構成部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
第1実施形態と第2実施形態との異なる点について簡単に説明すると、第1実施形態においては、各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの座席における利用者の在/不在や利用者の入室の有無に関わらず、各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの空調を行う空調機50a1,50a2,・・・,50anを予め運転させているが、第2実施形態では、利用者の入室がある場合(具体的には、利用者によるナビゲーション装置30(具体的には、ナビゲーション装置30の入出力部34)への入力がある場合)を条件として、空調制御装置80(具体的には、空調制御装置80の制御部84)が所定の空調機50a1,50a2,・・・,50anの運転を開始する。すなわち、ナビゲーション装置30を利用せずに座席を利用する利用者がいる場合を除いて、居室内に誰もいない初期状態においては、全ての空調機50a1,50a2,・・・,50anは停止状態にある。
以下、第2実施形態に係るナビゲーションシステム1について、第1実施形態と異なるところを主として説明する。
(1)構成について
第2実施形態では、ナビゲーション装置30の制御部33は、図12に示すように、空調制御部33jと、座席記憶部33kとをさらに有する。空調制御部33jは、空調制御装置80の制御部84に対して空調機50a1,50a2,・・・,50anに対する制御指令のデータを送信したり、空調制御装置80の制御部84から各空調機50a1,50a2,・・・,50anの機器データ等を受信したりする。すなわち、ナビゲーション装置30の制御部33から送信される利用者の空調要望情報に基づいて、空調制御装置80の制御部84は空調機50a1,50a2,・・・,50anの制御を行っている。座席記憶部33kは、利用者の空調要望情報に適合する座席が座席検索部33eによって検索された旨やその利用者の空調要望情報に適合する座席の位置を、記憶部32内に確保される適合座席データベース32f(後述する)に記憶したり、また、利用者の空調要望情報に適合する座席が座席検索部33eによって検索されなかった旨を記憶したりする。
また、記憶部32は、空調機データベース32dと、第4テーブルデータベース32eと、適合座席データベース32fとをさらに保持する。空調機データベース32dには、空調制御装置80の制御部84から送られてくる各空調機50a1,50a2,・・・,50anの機器データ等が格納される。第4テーブルデータベース32eには、図6に示すように、各テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bに対応する各室内機4a1,4a2,・・・,4an(空調機50a1,50a2,・・・,50an)の関係を示すテーブル(以下、第4テーブルという)が記憶されている。適合座席データベース32fには、座席検索部33eによって利用者の空調要望情報に適合する座席が検索された/検索されなかった旨やその検索された座席の位置のデータ等が格納される。
なお、第2実施形態では、第1テーブルのデータは、ナビゲーション装置30の記憶部32内の所定領域に記憶されていてもよいし、空調制御部33jが空調制御装置80の制御部84から受け取ってもよい。
(2)制御について
以下、第2実施形態に係るナビゲーション装置30における制御処理の流れを図13〜図19のフローチャートを用いて説明する。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と異なり、座席検索部33eは、実温度のデータに代えて、空調機50a1,50a2,・・・,50anの設定温度のデータを参照して座席を検索している。これは、例えば、あるテーブルエリアの座席に識別IDが1の利用者(最適空調温度は22℃)が着席している状況下において、次に識別IDが2の利用者(最適空調温度は26℃)が入室した場合、識別IDが1の利用者のテーブルエリアの温度が未だ22℃に達しておらず26℃であるような場合には、そのテーブルにおける空席の座席を識別IDが2の利用者に対して案内することが懸念されるからである。
ステップS21及びステップS22は、第1実施形態のステップS1及びステップS2と同様であり、ステップS23及びステップS24は、第1実施形態のステップS4及びステップS5と同様であるため、説明を省略する。
ステップS25では、空調制御部33jは、空調制御装置80の制御部84から、各空調機50a1,50a2,・・・,50anの機器データ等を受信する。なお、受信した各空調機50a1,50a2,・・・,50anの機器データ等は、空調機データベース32dに一時的に格納される。
ステップS26では、利用者の空調要望情報に適合する座席を検索する座席検索処理を行う。この座席検索処理については、後に説明する。
ステップS27では、ステップS26で行われた座席検索処理の検索結果を入出力部34上に表示する検索結果表示処理を行う。この検索結果表示処理については、後に説明する。
(ステップS26における座席検索処理について)
以下、図14,図15,図17〜図19を用いて、ステップS26における座席検索処理について説明する。
まず、図14に示すように、ステップS31では、第1実施形態のステップS3(図9を参照)と同様に、検索対象設定部33cは、空調要望情報取得部33bから受信した利用者の空調要望情報の中から最適空調ゾーンを検索対象として設定する。
ステップS32では、判定部33fは、ステップS25で取得した空調機50a1,50a2,・・・,50anの機器データ、第3テーブルや第4テーブルのデータを参照して、ステップS31で設定された検索対象ゾーン内に、空調機が運転しているテーブルエリア(以下の説明及び図面においては、空調機運転エリアという)が存在するか否かを判定する。空調機運転エリアが存在すると判定する場合は、ステップS33へ移行し、他方、空調機運転エリアが存在しないと判定する場合は、ステップS34へ移行する。
ステップS33では、空調機運転エリアにおいて座席の検索処理(空調機運転エリアにおける座席検索処理)を行う。このステップS33における処理については、図17を用いて説明する。
図17に示すように、まず、ステップS33aでは、検索対象設定部33cは、検索対象温度に最適空調温度を設定する。
ステップS33bでは、座席検索部33eは、まず、運転中の空調機の設定温度のデータを参照して、当該空調機の設定温度が、設定された検索対象温度と一致するテーブルエリアを検索する。次に、在席データを参照して、当該テーブルエリアの中から空席を検索する。
ステップS33cでは、判定部33fは、座席検索部33eによって、設定された検索対象温度に適合する座席が検索されたか否かを判定する。検索されたと判定する場合は、ステップS33dへ移行し、他方、検索されていないと判定する場合は、ステップS33eへ移行する。
ステップS33dでは、座席記憶部33kは、設定された検索対象温度に適合する座席が検索された旨及びその座席の位置を、記憶部32内に確保される適合座席データベース32f内に格納する。
ステップS33eでは、検索対象修正部33gは、設定された検索対象温度の修正を行う。
ステップS33fでは、判定部33fは、ステップS33eで修正された検索対象温度が利用者の許容空調温度の範囲内であるか否かを判定する。許容空調温度の範囲内であると判定する場合は、ステップS33bに戻って上記と同様の処理を繰り返す。他方、許容空調温度の範囲内でないと判定する場合は、ステップS33gに移行する。
ここで、ステップS33eにおける検索対象温度の修正処理としては、例えば、第1実施形態におけるステップS9とほぼ同様に、利用者の許容空調温度の範囲内で利用者の最適空調温度を所定温度ずつ移動させるものがある。具体的には、例えば、検索対象修正部33gは、まず、ステップS33aで設定された検索対象温度を最適空調温度から所定温度(例えば、1℃)低温側に移動させる修正を行い、ステップS33fで利用者の許容空調温度の範囲内であると判定される場合であって、ステップS33cでその設定した検索対象温度に適合する座席が検索されないと判定される場合に、設定した検索対象温度を最適空調温度から所定温度(例えば、1℃)高温側に移動させる修正を行う。そして、この修正した検索対象温度がステップS33fで利用者の許容空調温度の範囲内であると判定される場合であって、ステップS33cでその設定した検索対象温度に適合する座席が検索されないと判定される場合に、上記と同様の処理方法で、利用者の許容空調温度の範囲内で、検索対象温度をさらに低温側、高温側と交互に所定温度(例えば、1℃)ずつ移動させる修正を行う。
ステップS33gでは、座席記憶部33kは、空調機運転エリアにおいて利用者の最適空調温度及び許容空調温度に適合する座席がない旨を適合座席データベース32fに格納する。
ステップS34では、ステップS32で空調機運転エリアは存在しないと判定されているので、設定された検索対象ゾーンに含まれる空調機は全て停止している状態にある。よって、ここでは、設定された検索対象ゾーンに含まれる全ての空調機停止エリアにおける座席の検索処理(全空調機停止エリアにおける座席検索処理)を行う。ここで、空調機停止エリアとは、そこに含まれる空調機が停止しているテーブルエリアを意味する。以下、空調機停止エリアにおける座席検索処理について図18を用いて説明する。
まず、図18に示すように、ステップS34aでは、判定部33fは、在席データを読み込んで、全ての空調機停止エリアにおいて空席があるか否かを判定する。あると判定する場合は、ステップS34bへ移行し、他方、ないと判定する場合は、ステップS34dへ移行する。なお、ステップS34aの処理を組み込んでいるのは、ナビゲーション装置30を利用せずに利用者が座席を利用している場合が考えられるからである。
ステップS34bでは、空席が存在するテーブルエリアの空調を行う空調機の運転を開始する。具体的には、空調制御部33jが、第3テーブルや第4テーブルのデータを参照して、空調制御装置80の制御部84に対して空席が存在するテーブルエリアの空調を行う空調機に対する制御指令(具体的には、運転開始指令)のデータを送信する。なお、空席が存在するテーブルエリアが複数存在する場合は、空調制御部33jは、空調制御装置80の制御部84に対して、そのうちのいずれか1つのテーブルエリアの空調を行う1台の空調機に対する制御指令のデータを送信する。このとき、利用者に最適な空調環境を提供するために、空調制御部33jは、利用者の最適空調温度を参照して、利用者の最適空調温度と一致する設定温度が設定されている空調機があれば、当該空調機に対する制御指令を、空調制御装置80の制御部84に送信する。
そして、空調制御装置80の制御部84は、当該制御指令を受信して、制御指令が出された空調機の制御部に第1テーブルに基づいた固定の運転条件で運転を開始する旨の制御指令を送信する。
ステップS34cでは、座席記憶部33kは、ステップS34bで空調機の運転が開始されたテーブルエリア内において空席となっている座席の位置のデータ、及び、設定された検索対象ゾーンに適合する座席がある旨のデータを記憶する。具体的には、座席記憶部33kは、上述のデータを適合座席データベース32fに格納している。
ステップS34dでは、座席記憶部33kは、設定された検索対象ゾーンに適合する座席がない旨を適合座席データベース32fに格納する。
ステップS35では、判定部33fは、設定された検索対象ゾーンの空調機運転エリアにおいて利用者の最適空調温度又は許容空調温度に適合する座席が存在するか否かを判定する。具体的には、判定部33fは、適合座席データベース32fに記憶される各種のデータを参照して、利用者の最適空調温度又は許容空調温度に適合する座席が存在するか否かを判定する。存在すると判定する場合は、ステップS39へ移行し、他方、存在しないと判定する場合は、ステップS36へ移行する。
ステップS36では、判定部33fは、設定された検索対象ゾーンにおいて空調機停止エリアが存在するか否かを判定する。存在すると判定する場合は、ステップS37へ移行し、他方、存在しないと判定する場合は、図15に示すステップS40(後述する)へ移行する。
ステップS37では、空調機停止エリアにおいて座席の検索処理(空調機停止エリアにおける座席検索処理)を行う。以下に、空調機停止エリアにおける座席検索処理について図19を用いて説明する。なお、空調機停止エリアにおける座席検索処理は、全空調機停止エリアにおける座席検索処理とほぼ同様の処理を行うため、簡単に説明する。
まず、図19に示すように、ステップS37aで、判定部33fは、空調機停止エリアに空席があるか否かを判定し、あると判定する場合は、空席が存在するテーブルエリアの空調を行う空調機の運転を開始し(ステップS37b)、設定された検索対象ゾーンに適合する座席がある旨及びその座席位置を記憶する(ステップS37c)。他方、ステップS37aで空調機停止エリアに空席がないと判定する場合は、設定された検索対象ゾーンに適合する座席がない旨を記憶する(ステップS37d)。
ステップS38では、判定部33fは、全空調機停止エリアにおける座席検索処理又は空調機停止エリアにおける座席検索処理の結果、設定された検索対象ゾーンに適合する座席が存在するか否かを判定する。具体的には、判定部33fは、適合座席データベース32fに記憶される各種のデータを参照して、設定された検索対象ゾーンに適合する座席が存在するか否かを判定する。存在すると判定する場合は、ステップS39へ移行し、他方、存在しないと判定する場合は、図15に示すステップS40へ移行する。
ステップS39では、座席記憶部33kは、設定された検索対象ゾーンに適合する座席が存在する旨及び当該座席の位置を、適合座席データベース32fに格納する。
次に、図15に示すように、ステップS40では、検索対象修正部33gは、設定された検索対象ゾーンの修正を行う。具体的には、例えば、利用者の最適空調ゾーンに適合する座席が存在しない場合は、検索対象修正部33gは、検索対象ゾーンを最適空調ゾーンから許容空調ゾーンに変更する修正を行う。よって、例えば、この場合、識別IDが1の利用者の場合は、強冷ゾーンから弱冷ゾーンに変更する修正を行う。
ステップS41では、ステップS40で設定された検索対象ゾーンが利用者の許容空調ゾーンの範囲内であるか否かを判定する。範囲内であると判定する場合は、図14に示すステップS32に戻って上記と同様の処理を繰り返す。他方、範囲内でないと判定する場合は、ステップS42へ移行する。
ステップS42では、座席記憶部33kは、利用者の空調要望情報に適合する座席がない旨を適合座席データベース32fに格納する。
(ステップS27における検索結果表示処理について)
以下、ステップS27における検索結果表示処理について図16を用いて説明する。
まず、図16に示すように、ステップS51では、判定部33fは、適合座席データベース32fを参照して、利用者の空調要望情報に適合する座席が存在するか否かのデータを取得したり、適合する座席が存在する場合はその座席の位置のデータを取得したりする。次に、判定部33fは、これらのデータを基に、利用者の空調要望情報に適合する座席が存在するか否かを判定する。適合する座席が存在すると判定する場合は、ステップS52へ移行し、他方、適合する座席が存在しないと判定する場合は、ステップS53へ移行する。
ステップS52では、表示制御部33hは、第1実施形態のステップS8と同様に、利用者の空調要望情報に適合する座席等を入出力部34上に表示する。但し、第2実施形態のステップS52においては、実温センサ91によって検出される実際の温度を表示せず、空調機50a1,50a2,・・・,50anの設定温度(動作モード情報に相当)を表示する。なお、設定温度以外にも設定湿度、設定風速(設定風量)(これらは、動作モード情報に相当)、設定風向等を表示してもよい。
ステップS53では、表示制御部33hは、第1実施形態のステップS11と同様に、入出力部34上に、利用者の空調要望情報に適合する座席がない旨を表示すると共に、空調機50a1,50a2,・・・,50anの設定温度等や室内における実際の在席/空席情報等を表示する。なお、この場合も、ステップS52と同様に、設定温度以外にも設定湿度、設定風速(設定風量)、設定風向等を表示してもよい。
ここで、第2実施形態において実際の温度を表示せず、各空調機50a1,50a2,・・・,50anの設定温度を表示するのは、例えば、あるテーブルエリアの座席に識別IDが1の利用者(最適空調温度は、22℃)が着席している状況下において、次に識別IDが2の利用者(最適空調温度は26℃)が入室した場合、識別IDが1の利用者が着席しているテーブルエリアの温度が未だ22℃に達しておらず26℃であるような場合にはそのテーブルエリアにおける座席に識別IDが2の利用者が着席することが懸念されるからである。
<第2実施形態に係るナビゲーションシステム1の特徴>
第2実施形態では、利用者によってナビゲーション装置30への入出力部34を介しての入力が開始されてから、その入力に対応する空調機50a1,50a2,・・・,50anの運転を開始している。これにより、ナビゲーション装置30を利用せずに座席を利用する利用者がいる場合を除いて、基本的に利用者の不在時には全ての空調機50a1,50a2,・・・,50anの運転は行わない。よって、省エネルギー及び省コストに貢献する。
また、第2実施形態では、例えば、ある空調ゾーンにおいて、運転している所定の空調機が空調を行うテーブルエリアに空席があり、且つ、次の入室者がその空調ゾーンを希望している場合は、そのテーブルエリアにある空席から順に利用者を案内する処理構成になっている。すなわち、基本的には、ある空調ゾーンにおいて運転している空調機が空調を行うテーブルエリアの全座席が埋まった場合に、その空調ゾーンにおける他の空調機の運転を開始するようにしている。これにより、省エネルギー及び省コストに貢献する。
<第2実施形態に係るナビゲーションシステム1の変形例>
(A)
上記実施形態では、空調機50a1,50a2,・・・,50anの運転の開始は、利用者のナビゲーション装置30への入力であると説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、着座センサ92が人の着席を検出することによってその座席が配置されるテーブルエリアの空調を行う空調機の運転を開始するものであってもよい。すなわち、それぞれのテーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bにおける全ての座席が空席である場合は、そのテーブルエリアの空調を行う空調機の運転は行わない(開始しない)。それぞれのテーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bにおいて少なくとも1席の利用者による在席状態が検知される場合に、そのテーブルエリアの空調を行う空調機の運転を開始する。
この場合、センサ出力取得部33dが着座センサ92からの出力信号を受信して、空調制御部33jが、空調制御装置80の制御部84に対して、利用者が在席する座席が位置するテーブルエリアの空調を行う空調機に対する制御指令(運転開始指令)を送信している。
(B)
上記実施形態においては、退室者がいる場合については述べていないが、退室者がいる場合を考慮した制御処理を行ってもよい。
例えば、退室者が出た結果、運転中の空調機50a1,50a2,・・・,50anが位置するテーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bのうちいずれかのテーブルエリアの座席が全て空席になった場合、空調制御部33jは、センサ出力取得部33dからの信号を受けて、空調制御装置80の制御部84に、当該テーブルエリア1A,1B,2A,2B,3A,3B,4A,4B,5A,5Bの空調機50a1,50a2,・・・,50anを停止する旨の制御指令を送信する。
また、ある空調ゾーンの複数の全てのテーブルエリアの空調機が運転中で、全てのテーブルエリアのそれぞれに少なくとも1席の空席がある場合であって、次の入室者の要望に適合する座席が当該空調ゾーンにある場合は、当該空調ゾーンにおける複数のテーブルエリアで空席数が少ないテーブルエリアにおける座席から優先的に案内することが可能な優先部(図示せず)を設けた処理構成としてもよい。これにより、あるテーブルエリアにおいては全て空席となる状態を発生させやすいので、空調機50a1,50a2,・・・,50anの空調負荷を低減することを期待でき、省エネルギー及び省コストに貢献する。一方、利用者の在席履歴情報等を分析する分析部(図示せず)が利用者の在席履歴情報等を分析することにより、全てのテーブルエリアにおける利用者の在席率が高く、その全てのテーブルエリアの空調を行う空調機を全て運転させる必要があると判断部(図示せず)が判断する場合は、優先部は空席数の多いテーブルエリアから優先的に案内する処理構成を採ってもよい。これにより、空調機50a1,50a2,・・・,50anの空調負荷を分散することができる。
(C)
上記実施形態では、ステップS34bにおいて、空席が存在するテーブルエリアが複数存在する場合は、空調制御部33jが空調制御装置80の制御部84に対してそのうちのいずれか1つのテーブルエリアの空調を行う1台の空調機に対する制御指令のデータを送信すると説明した。そして、このとき、利用者の最適空調温度と一致する設定温度が設定されている空調機があれば、空調制御部33jは、当該空調機に対する制御指令を、空調制御装置80の制御部84に送信すると説明した。しかし、空席が存在するテーブルエリアが複数存在する場合の1台の空調機の選択処理は、これに限られるものではない。
例えば、既に弱冷ゾーンにおいてテーブルエリア3Aの空調機50a5が運転している状況下において、検索対象設定部33cが設定した検索対象ゾーンが強冷ゾーンである場合、空調制御部33jは、既に運転している空調機に近接する空調機、すなわち、テーブルエリア4Aの空調機50a7に対する運転開始指令を送信してもよい。これは、現在運転中の空調機が位置するテーブルエリアに近接したテーブルエリアから空調を行うほうが空調ロスを低減できるからである。
(D)
上記実施形態では、それぞれの空調ゾーンに空調機が少なくとも2台配置されていることを前提として説明しているが、本発明はこれに限られるものではなく、1台であってもよい。この場合、ナビゲーション装置30の制御部33は、ステップS36及びステップS37の制御処理は行わない。
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と共通する構成部分については、同じ符号を付して説明を省略する。第3実施形態では、省エネルギー及び省コストを考慮して、第2実施形態と同様に、利用者による入出力部34を介してのナビゲーション装置30への入力を条件として空調機50a1,50a2,・・・,50anの運転を開始するものとする。
第3実施形態の、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について簡単に説明すると、第1実施形態及び第2実施形態においては、室内には、空調ゾーン設定部33iによって、その空調ゾーンに位置する空調機の設定温度等の運転条件が予め固定された(一定に制御された)固定空調ゾーン(強冷ゾーン・弱冷ゾーン・停止ゾーン)のみが設定されているが、第3実施形態においては、図20に示すように、空調ゾーン設定部33iによって、固定空調ゾーンに加え、設定温度等の運転(制御)条件を状況に応じて変更可能な可変空調ゾーンが設定されている。なお、図20に示す可変空調ゾーン(強冷or弱冷)とは、強冷ゾーン及び弱冷ゾーンのいずれの設定にも変更可能な空調ゾーンであり、また、強冷ゾーンの設定値と弱冷ゾーンの設定値との範囲内の値にも変更可能な空調ゾーンを意味する。また、可変空調ゾーン(弱冷or停止)とは、弱冷ゾーン及び停止ゾーンのいずれの設定にも変更可能な空調ゾーンを意味する。
<第3実施形態に係るナビゲーション装置30における制御処理の流れ>
まず、入出力部34を介して利用者から識別IDの入力がされると、図21に示すように、制御部33を構成する各部が初期処理を行う(ステップS301)。初期処理とは、第2実施形態に係るナビゲーション装置30におけるステップS21〜ステップS25の制御処理と同様の制御処理をいう。よって、初期処理についての説明は省略する。
次に、ステップS302で、固定空調ゾーンにおいて、利用者の空調要望情報に適合する座席の検索処理(固定空調ゾーンにおける座席検索処理)を行う。この固定空調ゾーンにおける座席検索処理は、第2実施形態におけるステップS26の座席検索処理と同様の処理を行う。よって、説明を省略する。
ステップS303では、判定部33fは、固定空調ゾーンにおいて利用者の空調要望情報に適合する座席が存在するか否かを判定する。存在すると判定する場合は、第2実施形態のステップS52と同様に、その座席等を入出力部34上に表示する(ステップS304)。他方、存在しないと判定する場合は、ステップS305へ移行する。
ステップS305では、可変空調ゾーンにおいて、利用者の空調要望情報に適合する座席の検索処理(可変空調ゾーンにおける座席検索処理)を行う。この可変空調ゾーンにおける座席検索処理については、後述する。
ステップS306では、判定部33fは、可変空調ゾーンにおいて利用者の空調要望情報に適合する座席が存在するか否かを判定する。存在すると判定する場合は、ステップS304へ移行する。他方、存在しないと判定する場合は、第2実施形態のステップS53と同様に、入出力部34上に利用者の空調要望情報に適合する座席がない旨や空調機50a1,50a2,・・・,50anの設定温度等を表示する(ステップS307)。
(可変空調ゾーンにおける座席検索処理について)
可変空調ゾーンにおける座席検索処理については、基本的に、ステップS302の固定空調ゾーンにおける座席検索処理と同様である。よって、以下では、可変空調ゾーンにおける座席検索処理について、図22〜図24を用いて、両者の主として異なる制御処理に重点を置きながら簡単に説明する。なお、両者の特に異なる点は、固定空調ゾーンにおける座席検索処理では、座席記憶部33kによって利用者の空調要望情報に適合する座席が記憶されると、検索結果表示処理に移行するが、可変空調ゾーンにおける座席検索処理では、これらの制御処理の間に、ステップS305j、又は、ステップS305j及びステップS305kの制御処理が組み込まれている点である。
まず、ステップS305aでは、検索対象設定部33cは、検索対象ゾーンとして、可変空調ゾーンの中から利用者の許容空調ゾーンに適合する空調ゾーンを設定する。
次に、判定部33fは、設定された検索対象ゾーンに空調機運転エリアが存在するか否かを判定する。そして、固定空調ゾーンにおける座席検索処理と同様に、空調機運転エリアが存在すると判定する場合は、空調機運転エリアにおける座席検索処理を行い(ステップS305c)、他方、存在しないと判定する場合は、全空調機停止エリアにおける座席検索処理を行う(ステップS305d)。
ステップS305eでは、判定部33fは、設定された検索対象ゾーンの空調機運転エリアにおいて利用者の最適空調温度又は許容空調温度に適合する座席が存在するか否かを判定する。存在しないと判定する場合は、空調機停止エリアが存在するか否かを判定し(ステップS305f)、存在すると判定する場合は、空調機停止エリアにおける座席検索処理を行う(ステップS305g)。空調機停止エリアが存在しないと判定する場合は、図23に示すステップS305lに移行する。
ステップS305hでは、判定部33fは、全空調機停止エリアにおける座席検索処理又は空調機停止エリアにおける座席検索処理の結果、設定された検索対象ゾーンに適合する座席が存在するか否かを判定する。存在すると判定する場合は、図24に示すステップS305iに移行して、座席記憶部33kが、設定された検索対象ゾーンに適合する座席がある旨及びその座席の位置を記憶する。
ステップS305jでは、判定部33fは、第2テーブルデータベース32b内に記憶される第2テーブルと、空調機データベース32dに格納される各空調機50a1,50a2,・・・,50anの機器データとを参照し、ステップS305iで記憶された座席が配置されるテーブルエリアの空調を行う空調機の運転条件が、利用者の最適空調温度と一致しているか否かを判定する。一致していると判定する場合は、ステップS306(図21を参照)へ移行する。他方、一致していないと判定する場合は、ステップS305kへ移行する。
ステップS305kでは、空調制御部33jは、記憶された座席が配置されるテーブルエリアの空調を行う空調機の運転条件の変更を行う。
具体的には、空調制御部33jは、第2テーブルのデータ等を参照して、記憶された座席が配置されるテーブルエリアに在席する全ての利用者の最適空調温度の平均値を算出する。そして、空調制御装置80の制御部84に対して、当該空調機に対する制御指令(算出した温度値を設定温度として運転する旨の指令)を送信する。そして、これにより、当該空調機の運転条件が変更されるようになっている。なお、この運転条件には、設定湿度や設定風量が含まれていてもよい。この場合、空調制御部33jは、設定湿度や設定風量に関する平均値を算出して、当該平均値で運転する旨の制御指令を含んだ上記空調機に対する制御指令を、空調制御装置80の制御部84に送信することになる。
なお、ステップS305fで空調機停止エリアが存在しないと判定される場合又はステップS305hで判定部33fが利用者の空調要望情報に適合する座席は存在しないと判定される場合は、図23に示すステップS305lで検索対象修正部33が検索対象ゾーンの修正を行い、次にステップS305mで判定部33fが設定された検索対象ゾーンが利用者の許容空調ゾーンの範囲内であるか否かを判定する。このとき許容空調ゾーンの範囲内であると判定する場合は、ステップS305bに戻って以降の処理を繰り返し、他方、範囲内でないと判定する場合は、ステップS305nにおいて、座席記憶部33kが、利用者の空調要望情報に適合する座席がない旨を記憶する。ここで、ステップS305fでNOと判定される場合又はステップS305hでNOと判定される場合以降の処理において、ステップS305lで検索対象修正部33が検索対象ゾーンの修正を行う場合には、可変空調ゾーンを複数設定した場合(強冷ゾーンor中冷ゾーン、中冷ゾーンor弱冷ゾーン等の可変空調ゾーンを本実施形態に追加した場合)や、利用者の許容空調ゾーンが3つ以上にまたがる場合等が考えられる。
<第3実施形態に係るナビゲーションシステム1の特徴>
第3実施形態では、空調ゾーン設定部33iによって、予めそこに含まれる空調機の運転条件が一定である固定空調ゾーンと、条件や状況に応じてそこに含まれる空調機の運転条件が変更される可変空調ゾーンとが室内(空間)に設定されている。
そして、第3実施形態では、固定空調ゾーンに利用者に対して案内できる座席があれば、まずは固定空調ゾーンにおける座席から優先して利用者に案内している。
固定空調ゾーンに利用者の空調要望情報に適合する座席がない場合であっても、利用者の許容空調ゾーンを満たす可変空調ゾーンに空席があれば、利用者は当該座席に案内され、かつ、当該座席が位置するテーブルエリアに他の利用者が存在しない場合は、当該利用者の最適空調温度と同様の設定で空調機の運転が行われる。よって、固定空調ゾーンの満席等により、固定空調ゾーンに利用者の空調要望情報に適合する座席がない場合でも、利用者に最適な空調環境を提供することが可能になる。また、ある利用者の入室の際、当該利用者の空調要望情報に適合する座席が位置するテーブルエリアに他の利用者が存在する場合であっても、その都度、そのテーブルエリアに在席する全ての利用者の最適空調温度の平均値が算出され、そのテーブルエリアの空調機の運転条件が変更されるようになっている。よって、利用者に好適な空調環境(利用者の最適な空調環境により近づいた空調環境)を提供することができる。
また、第3実施形態では、第2実施形態と同様に、ある空調ゾーンにおいて、運転している空調機が空調を行うテーブルエリアに空席があり、かつ、次の入室者がその空調ゾーンを希望している場合は、基本的にそのテーブルエリアにある空席から順に利用者を案内する処理構成にしている。よって省エネルギー及び省コストに貢献している。
<第3実施形態に係るナビゲーションシステム1の変形例>
上記実施形態では、省エネルギー及び省コストを考慮して、異なる最適空調環境を要望する利用者が、ある可変空調ゾーンに混在する場合は、当該複数の利用者の最適空調温度の平均値を算出して、その平均値をそのテーブルエリアの空調機の設定温度とすると説明したが、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、快適性を優先させることを考慮すると、利用者の入室により、ある可変空調ゾーンにおける複数のテーブルエリアのうち、あるテーブルエリアの空調を行う1台の空調機が当該利用者の最適空調温度に適合する運転条件で運転しており、他の空調機は停止状態にある場合、次の入室者の空調要望情報に適合する座席が当該テーブルエリアにあっても、停止状態にある1台の空調機を、その入室者の最適空調温度に適合する運転条件で運転開始をさせるといった処理構成を採ってもよい。