以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表す斜視模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかるトイレ装置においてハンドルを引き出した状態を表す斜視模式図である。
また、図3は、本実施形態にかかるトイレ装置においてハンドルを回動させた状態を表す斜視模式図である。
本実施形態にかかるトイレ装置は、前部にボウル810を有する便器800と、便器800の上部に設置された局部洗浄装置100と、を備える。局部洗浄装置100は、ボウル810の後方上部に設置されたケーシング200と、そのケーシング200に対して開閉自在に軸支された便座300および便蓋400と、を有する。また、ケーシング200の内部には、便座300に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。
なお、ケーシング200の内部には、例えば、便器800のボウル810内の空気を吸い込み、フィルタや触媒などを介して臭気成分を低減させる脱臭機能部や、便座300に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる温風乾燥機能部や、トイレ室内に温風を吹き出してトイレ室を暖房する室内暖房機能部などが内蔵されていてもよい。
また、便器800の後方側部には、パネル830が設けられている。これによれば、パネル830は、便器800の側面や適宜設けられた配管などを覆い隠すことができるため、意匠性を確保することができる。
ケーシング200の下部には、図1に表したように、ハンドル(作動部)540が設けられている。使用者は、例えば手などを利用することにより、図2に表した矢印A1のように、ハンドル540を右側方に引き出すことができる。そしてさらに、使用者は、図3に表した矢印A2のように、その引き出したハンドル540を回動させることができる。そうすると、ケーシング200の前方側は、図3に表した矢印A3のように、ケーシング200の後方側を中心として回動し、便器800の上面820から上昇して離間できる。
そうすると、図3に表したように、ハンドル540を矢印A2の方向に回動させる前、すなわちケーシング200の前方側が上昇する前よりも大きな隙間が、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間において生ずる。これによれば、使用者は、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間から清掃用具や手などを入れることにより、その隙間の部分や、ケーシング200と便器800との間への汚水浸入を防止するシール材221などを容易に清掃することができる。なお、シール材221は、後述するように、ケーシング200の下面と、便器800の上面820と、の間に設けられている。
また、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間に汚れやゴミが溜まったり、シール材221に汚れが付着したままの状態となることを抑制することができる。そのため、便器800の上面820との間の隙間や、シール材221から異臭が発生することを抑制することができる。またさらに、本実施形態では、ケーシング200の全体を上昇させるわけではなく、ケーシング200の前方側を回動させて上昇させるため、ケーシング200に内蔵された各種機能部品への給水および給電のためにそれぞれ使用される配管および配線は、ほとんど伸縮しない。そのため、ケーシング200の前方側の昇降時には、これらの配管および配線などが破損したり損傷を受けるおそれは少ない。
次に、ケーシング200の前方側を上昇させる機構および動作について、図面を参照しつつさらに詳細に説明する。
図4は、本実施形態のケーシングを下側から眺めた斜視模式図である。
また、図5は、ケーシングの前方側が上昇した状態を側方から眺めた断面模式図である。
なお、図4(a)は、ハンドル540を回動させる前の状態を表しており、図4(b)は、ハンドル540を回動させた後の状態を表している。
また、図5は、図3に表したD−D断面図である。
図4(a)および図4(b)に表したように、ケーシング200は、ケースカバー210と、ケースプレート220と、を有する。局部洗浄機能などの機能部品は、ケースプレート220に適宜載置され、その上方をケースカバー210により覆われている。ケースプレート220の下面には、図4(a)および図4(b)に表したように、便器800のボウル810の形状に略沿うように直線部分や湾曲部分などを有するシール材221が付設されている。つまり、シール材221は、ケースプレート220の下面におけるボウル810側の前端部に付設されている。
但し、シール材221の設置位置は、これだけに限定されるわけではなく、便器800の上面820に付設されていてもよい。あるいは、シール材221は、ケースプレート220の下面と、便器800の上面820と、の両方に付設されていてもよい。なお、本実施形態では、シール材221がケースプレート220の下面に付設されている場合を例に挙げて説明する。
シール材221は、例えばゴムなどの弾性を有する材料により形成されている。そのため、ケーシング200が便器800の上面820に設置された際には、シール材221は、圧縮変形し便器800の上面820に密着する。そのため、シール材221は、ケーシング200と便器800との間への汚水浸入を防止できる。
また、ケースプレート220の下面には、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させ離間させる昇降装置(第2の固定部)500が付設されている。昇降装置500は、図4(a)および図4(b)に表したように、回動軸530と、回動軸530の一端に固定されたハンドル540と、回動軸530の中間部に固定された支柱(受け部)550と、を有する。回動軸530は、ハンドル540の回動と連動して回動することができる。また、支柱550は、回動軸530に固定されているため回動軸530の回動と連動して回動することができる。つまり、ハンドル540を回動させると、回動軸530を介して支柱550を回動させることができる。なお、回動軸530と支柱550とは、一体的に形成されていてもよい。
ケーシング200は、後方側において、固定具(第1の固定部)240により便器800に取り付けられている。固定具240については、後に詳述するが、ケーシング200は、固定具240により取り付けられた部分を中心として便器800に対して回動することができる。
そして、ケーシング200の前方側が下降した状態(図4(a)参照)から、図4(b)および図3に表した矢印A2のように、使用者がハンドル540を回動させると、支柱550は、回動軸530を介して伝達されたハンドル540からの回動力を受け、図4(b)に表したように回動する。すなわち、使用者がハンドル540を回動させると、支柱550は、ケースプレート220の下面からみて倒立した状態となる。
そうすると、支柱550は、図5に表したように、便器800の内部に設置されたガイドプレート(ガイド部)840に支持される。その結果として、支柱550は、昇降装置500が付設されたケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させ離間させることができる。支柱550が回動する際には、回動軸530に固定されていない側の支柱550の端部は、ガイドプレート840の表面と当接しつつその表面上をスライドする。このとき、支柱550およびガイドプレート840は、例えば樹脂などのような摺動性のより良い材料から形成されており、また支柱550の端部は、略円形の断面形状を有するため、その支柱550は、ガイドプレート840の表面上を滑らかにスライドすることができる。
これによれば、使用者は、より小さな力で楽にハンドル540を回動させ、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させ離間させることができる。また、これにより、ケースプレート220の下面に付設されたシール材221を便器800の上面820から離間させることができる。そのため、図1〜図3に関して前述したように、使用者は、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間から清掃用具や手などを入れることにより、その隙間の部分やシール材221などを容易に清掃することができる。一方で、ケーシング200は、上昇および下降していない状態では、昇降装置500および固定具240により前方側および後方側を便器800にそれぞれ固定されているため、使用者が便座300に座ったときの安定感を確保することができる。また、昇降装置500やガイドプレート840を簡略的な構造とすることができ、大幅なコストアップを必要とせずにトイレ装置に昇降機能を付加することができる。
次に、本実施形態の固定具240について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態の固定具を説明するための斜視模式図である。
また、図7は、本実施形態の固定具を説明するための断面模式図である。
なお、図6(a)は、本実施形態の便器800の後方側を表す斜視模式図であり、図6(b)は、本実施形態の固定具240近傍の拡大模式図、すなわち図6(a)に表した領域L1における拡大模式図である。
また、図7(a)は、図6(b)に表したA−A断面図であり、図7(b)は、図6(b)に表したB−B断面図であり、図7(c)は、図6(b)に表したC−C断面図である。
まず、図6(a)に表したように、便器800の後方上部には、便器プレート850が固定されている。この便器プレート850は、例えば樹脂などにより形成されている。
また、本実施形態の固定具240は、図6(b)に表したように、ナット固定部材(固定部)241と、ナット固定部材241に上に載置されるナット242と、ナット242と締結されることによりナット固定部材241を便器プレート850に取り付ける取付具245と、取付具246によりケースプレート220に取り付けられる回動軸部材243と、を有する。
なお、本実施形態の固定具240の近傍の構造は一例であり、これだけに限定されるわけではない。例えば、便器プレート850が設けられることなく、ナット固定部材241は、取付具245により直接的に便器800に取り付けられてもよい。また、ナット242がナット固定部材241の上に載置されることなく、取付具245は、直接的にナット固定部材241に締結されてもよい。
回動軸部材243は、図6(b)に表したように、表面から突出した軸部243aを有する。一方、ナット固定部材241は、図6(b)に表したように、回動軸部材243の軸部243aを挿入可能な軸挿入部241aを有する。そして、図7(c)に表したように、取付具246によりケースプレート220に取り付けられた回動軸部材243の軸部243aが、ナット固定部材241の軸挿入部241aに挿入される。なお、取付方法はこれだけに限定されず、例えば、回動軸部材243の軸部243aがナット固定部材241の軸挿入部241aに挿入され、その後に、ナット固定部材241と連接された回動軸部材243が取付具246によりケースプレート220に取り付けられてもよい。
続いて、図7(a)および図7(b)に表したように、取付具245がナット242に締結されることにより、ナット固定部材241は、便器プレート850あるいは便器800に固定される。このとき、ナット固定部材241は、図7(c)に表したように、ケースプレート220に設けられた凹部223に収められる。そのため、ナット固定部材241がケースプレート220の底面と干渉することはなく、ケースプレート220がナット固定部材241との干渉により便器800の上面820から浮き上がることはない。また、ナット固定部材241は、凹部223に収められ、トイレ装置の外部から見られることはないため、トイレ装置の意匠性が損なわれることはない。
そして、回動軸部材243の軸部243aは、図7(a)に表した矢印A4のように、ナット固定部材241の軸挿入部241aの内部において回動することができる。つまり、回動軸部材243は、軸部243aを中心としてナット固定部材241に対して回動することができる。その結果として、回動軸部材243に固定されたケースプレート220は、ナット固定部材241に固定された便器プレート850および便器800に対して軸部243aを中心として回動することができる。これにより、使用者がハンドル540を回動させることにより支柱550を回動させると、ケーシング200は、図7(a)に表した矢印A5のように、回動軸部材243の軸部243aを中心として便器800に対して回動することができる。
次に、本実施形態の昇降装置500について、図面を参照しつつ説明する。
図8は、本実施形態の昇降装置の取付構造を表す斜視模式図である。
図9は、本実施形態の昇降装置を分解して眺めた分解模式図である。
本実施形態の昇降装置500は、図8に表したように、例えばねじなどの取付具501によりケースプレート220の下面に固定される。また、昇降装置500は、図9に表したように、ケース510と、回動軸530と、回動軸530の一端に固定されたハンドル540と、回動軸530の中間部に固定された支柱(受け部)550と、フック570と、フック570を移動させるスライダ560と、ケース510を覆うカバー520と、を有する。
回動軸530には、ばね(付勢部材)586が挿入されており、そのばね586を押さえる第1のばね押さえ585およびブッシュ587が取り付けられている。また、ケース510には、回動軸530の先端部の回動をロックするロック部材581が固定される。このロック部材581については、後に詳述する。スライダ560は、その側面から側方に突出した突部561を有し、その突部561にはばね589が挿入される。また、回動軸530には、スライダ560を回動軸530の軸方向に移動させる第2のばね押さえ583が取り付けられている。
フック570は、図9に表したように、その上面に溝部571を有する。一方、スライダ560は、下面から下方に突出した略円筒状の突部563と、前面から前方に突出した突部565と、を有する。スライダ560の突部563と、フック570の溝部571と、は互いに係合可能であり、突部563は、溝部571内を移動することができる。そして、後に詳述するが、スライダ560が回動軸530の軸方向に移動することにより、すなわちスライダ560の突部563がフック570の溝部571内を移動することにより、フック570の一部は、ケース510から進出したり後退したりできる。また、支柱550は、回動軸530に取り付けられた状態において、左右側方に突出した係合凸部551を有する。なお、図9に表した分解模式図では、左側方に突出した係合凸部551については、図示していない。
そして、回動軸530の一部、支柱550、スライダ560、ロック部材581、第1および第2のばね押さえ583、585、ブッシュ587、およびばね586、589は、ケース510に収納され、その上をカバー520により覆われている。このようにして組み立てられた昇降装置500は、前述したように、取付具501によりケースプレート220の下面に固定される。
ここで、前述したように、使用者は、ハンドル540を回動させることにより、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させ離間させることができる。そして、使用者は、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間から清掃用具や手などを入れることにより、その隙間の部分やシール材221などを容易に清掃することができる。そのため、使用者が無理にあるいは悪戯にケーシング200の前方側を必要以上に上昇させないように、本実施形態にかかるトイレ装置は、ロック機構を備えることがより好ましい。また、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させた状態において、使用者や清掃用具などがハンドル540に不意に接触することによりハンドル540が回動すると、ケーシング200の前方側が不意に下降する場合がある。そのため、ケーシング200の前方側が上昇した状態から不意に下降しないように、本実施形態にかかるトイレ装置は、他のロック機構を備えることがより好ましい。以下、これらのロック機構について、図面を参照しつつ説明する。
まず、ケーシング200が上昇した状態からさらに上昇することを防止するロック機構について、図面を参照しつつ説明する。
図10は、便器800の後方側における内部構造を表す斜視模式図である。
また、図11は、本実施形態のガイドプレートを表す斜視模式図である。
便器800の後方側には、図10に表したように、昇降装置500の支柱550を支持するガイドプレート840が固定されている。このガイドプレート840は、図11に表したように、底部841と、その底部841の周縁部から上方に延在した壁面842と、を有する。また、ガイドプレート840は、略中央部において、係合部844を有する。
この係合部844は、先端部が左右側方から中央部に向かって屈曲した一対の係合壁844aと、一対の係合壁844aの間に形成された係合凹部844bと、を有する。そして、係合部844は、図11に表したように、後方端では開口し、前方端では壁面842に接続されている。そのため、例えば、ある部材などは、係合部844の後端部に形成された開口から前方に向かって係合壁844aと底部841との間を進入できる。
また、係合部844の左右側方の底部841には、貫通孔845が設けられている。そして、ガイドプレート840は、図示しないねじなどの取付具を貫通孔845に通し締結させることにより、便器800に適宜固定される。
図12は、ケーシングの前方側が上昇した状態において昇降装置の近傍を眺めた断面模式図である。
また、図13は、ケーシングの前方側が上昇した状態において係合部を拡大して眺めた拡大模式図である。
なお、図13は、係合部844を図12に表した矢視A6の方向にみたときの拡大模式図である。
図4および図5に関して前述したように、使用者がハンドル540を回動させると、支柱550は、ケースプレート220の下面からみて倒立した状態となる。つまり、使用者がハンドル540を回動させると、回動軸530に取り付けられた支柱550は、その回動軸530の回動に連動して回動し、図12に表した二点鎖線の支柱550の状態から実線の支柱550の状態へと遷移する。
このとき、支柱550は、係合部844の係合凹部844b(図11参照)に入り込む。これと同様に、支柱550の係合凸部551は、係合部844の係合壁844a(図11参照)と、ガイドプレート840の底部841と、の間を前方へ向かって進入する。つまり、支柱550の係合凸部551と、係合部844と、は図13に表したように係合する。この状態から、例えば、使用者が無理にあるいは悪戯にケーシング200の前方側を上昇させようとしても、支柱550の係合凸部551が係合壁844aに当接するため、支柱550は、図12に表した矢印A7のようには、この状態から上昇することはできない。
これにより、支柱550が倒立し、支柱550の係合凸部551と、係合部844と、が係合した状態から、使用者が無理にあるいは悪戯にケーシング200の前方側を上昇させようとしても、ケーシング200は、その状態よりも上昇することはできない。つまり、ケーシング200は、その前方側が便器800の上面820から上昇した状態から無理にあるいは悪戯に持ち上げられても必要以上に上昇しない。そのため、本実施形態にかかるトイレ装置の固定具240などが破壊したり破損したりすることを抑制することができる。
次に、ケーシング200が下降した状態から上昇することを防止するロック機構について、図面を参照しつつ説明する。
図14は、ケーシングの前方側が下降した状態において昇降装置の近傍を眺めた断面模式図である。
本実施形態のフック570は、図14に表したように、昇降装置500の外部へ向かって突出した爪部573を有する。一方、ガイドプレート840は、図14および図11に表したように、第1のロック部847を有する。第1のロック部847は、図14に表したように、フック570の爪部573と係合可能な係合溝847aを有する。そして、ケーシング200が下降した状態では、図14に表したように、フック570の爪部573と、第1のロック部847の係合溝847aと、は互いに係合している。
そのため、この状態から、例えば、使用者が無理にあるいは悪戯にケーシング200の前方側を上昇させようとしても、爪部573と係合溝847aとが互いに係合しているため、フック570を有する昇降装置500は、この状態から上昇することはできない。つまり、昇降装置500が取り付けられたケーシング200は、図14に表した矢印A8のようには、この状態から上昇することはできない。
これにより、ケーシング200が下降した状態から、使用者が無理にあるいは悪戯にケーシング200の前方側を持ち上げて上昇させようとしても、ケーシング200は、その状態から上昇することはできない。そのため、本実施形態にかかるトイレ装置の昇降装置500などが破壊したり破損したりすることを抑制することができる。
なお、本実施形態の第1のロック部847は、複数の係合溝847aを有しているが、便器800の製造誤差などを考慮すると、このように複数の係合溝847aを有することがより好ましい。これによれば、便器800の製造誤差などにより、便器800の上面820の高さや表面形状などにばらつきが生じた場合でも、フック570の爪部573は、複数の係合溝847aのいずれかと係合することができる。つまり、第1のロック部847が複数の係合溝847aを有することにより、便器800の製造誤差などに対して柔軟に対応することができる。
一方、使用者が、ハンドル540を回動させ、ケーシング200の前方側を上昇させようとしても、爪部573と係合溝847aとが係合したままでは、ケーシング200の前方側は上昇できない。そこで、本実施形態にかかるトイレ装置では、使用者がハンドル540を図2に表した矢印A1のように引き出すと、フック570の爪部573は、昇降装置500のケース510内に後退できる。これにより、爪部573と係合溝847aとの係合が解除され、ケーシング200の前方側は、便器800の上面820から上昇して離間することができる。このフック570の動作の詳細について、図面を参照しつつ説明する。
図15は、ハンドルを操作するときのフックの動作を説明するための平面模式図である。
なお、図15(a)は、第2のばね押さえ583とスライダ560とが当接したときの状態を表す平面模式図であり、図15(b)は、第2のばね押さえ583がスライダ560を押しているときの状態を表す平面模式図であり、図15(c)は、第2のばね押さえ583とスライダ560とが離間したときの状態を表す平面模式図である。
まず、使用者が、図2に表した矢印A1のように、ばね586の付勢力に逆らいつつハンドル540を引き出すと、回動軸530は、図15(a)に表した矢印A11のように、軸方向に移動する。この回動軸530の移動と連動して、回動軸530に固定された第2のばね押さえ583は、図15(a)に表した矢印A11のように、回動軸530の軸方向に移動する。そうすると、第2のばね押さえ583は、図15(a)に表したように、スライダ560の突部565と当接する。
この状態から、使用者が、ばね586、589の付勢力に逆らいつつハンドル540を矢印A1(図2参照)の方向にさらに引き出すと、スライダ560は、図15(a)に表した矢印A12のように、回動軸530の軸方向に移動する。これに伴い、スライダ560の突部563は、矢印A12の方向に移動する。そうすると、スライダ560の突部563は、図15(b)に表した矢印A14のように、見かけ上フック570の溝部571内を移動する。
より具体的には、フック570の上面に設けられた溝部571は、図15(a)〜(c)に表したように、ハンドル540側(図15では右側)へ向かうにつれて爪部573側(図15では上側)へ向かうように、回動軸530からみて斜めに形成されている。そして、爪部573の近傍では、溝部571は、回動軸530の軸方向と並行するように形成されている。
そのため、スライダ560の突部563が回動軸530の軸方向と並行してハンドル540側へ移動すると、その突部563は、回動軸530からみて斜めに形成された溝部571の壁面をハンドル540側へ押す。そうすると、フック570は、溝部571の壁面がスライダ560の突部563から受けた力により、図15(a)に表した矢印A13の方向に移動する。これに伴い、スライダ560の突部563は、図15(b)に表した矢印A14のように、見かけ上フック570の溝部571内を移動する。
これにより、フック570の爪部573は、図15(b)に表したように、昇降装置500のケース510内に後退する。そうすると、フック570の爪部573と、第1のロック部847の係合溝847aと、の係合は解除される。そのため、この状態において、使用者がハンドル540を図3に表した矢印A2のように回動させると、ケーシング200の前方側は、便器800の上面820から上昇し離間する。つまり、使用者は、ハンドル540を引き出した状態のままで回動させることにより、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させ離間させることができる。
続いて、使用者がハンドル540から手を離す、あるいはハンドル540を引き出す力を小さくすると、回動軸530は、ばね586からの付勢力を受け、図15(c)に表した矢印A15のように、軸方向に移動する。この回動軸530の移動と連動して、回動軸530に固定された第2のばね押さえ583は、図15(c)に表した矢印A15のように、回動軸530の軸方向に移動する。
そうすると、スライダ560は、ばね589からの付勢力を受け、図15(c)に表した矢印A16の方向に移動する。これに伴い、スライダ560の突部563は、矢印A16の方向に移動する。このとき、突部563は、回動軸530からみて斜めに形成された溝部571の壁面をハンドル540とは反対側(図15では左側)へ押す。そうすると、フック570は、溝部571の壁面がスライダ560の突部563から受けた力により、図15(c)に表した矢印A17の方向に移動する。
これにより、フック570の爪部573は、図15(c)に表したように、昇降装置500のケース510外に進出する。そうすると、フック570の爪部573と、第1のロック部847の係合溝847aと、が係合しロックがかかる。そのため、ケーシング200が下降した状態から、使用者が無理にあるいは悪戯にケーシング200の前方側を持ち上げて上昇させようとしても、ケーシング200は、その状態から上昇することはできない。
次に、ケーシング200を便器800の上面820に設置するときのフック570の動作について、図面を参照しつつ説明する。
図16は、ケーシングを便器の上面に設置するときのフックの動作を説明するための断面模式図である。
また、図17は、ケーシングを便器の上面に設置するときのフックおよびスライダの動作を説明するための平面模式図である。
まず、作業者などが、図16(a)に表した矢印A21のように、昇降装置500が取り付けられたケーシング200を下降させる。フック570の爪部573が、図16(a)に表したように、第1のロック部847の上端に接触していないときには、図16(a)および図17(a)に表したように、その爪部573は、昇降装置500のケース510外に進出している。
続いて、作業者などが、図16(b)に表した矢印A22ように、ケーシング200をさらに下降させると、フック570の爪部573は、第1のロック部847の上端に接触する。そうすると、爪部573は、第1のロック部847から力を受け、図16(b)および図17(b)に表した矢印A23のように、ケース510内に後退しようとする。このとき、フック570の溝部571は、フック570(爪部573)の移動に連動して矢印A23の方向に移動する。
そうすると、スライダ560の突部563は、回動軸530からみて斜めに形成された溝部571の壁面から矢印A23の方向へ力を受ける。これにより、スライダ560は、ばね589からの付勢力に逆らいつつ図17(b)に表した矢印A24の方向に移動する。これは、図15に関して前述したように、フック570の溝部571が、ハンドル540側(図17では右側)へ向かうにつれて爪部573側(図17では上側)へ向かうように、回動軸530からみて斜めに形成されているためである。
そして、作業者などが、図16(c)に表した矢印A25のように、ケーシング200をさらに下降させると、爪部573は、図16(c)および図17(c)に表した矢印A26のように、ケース510内にさらに後退する。このとき、スライダ560は、ばね589からの付勢力に逆らいつつ図17(c)に表した矢印A27の方向にさらに移動する。
続いて、作業者などは、フック570の爪部573と、第1のロック部847の係合溝847aと、が略同じ高さの位置になるまでケーシング200をさらに下降させる。そうすると、爪部573と、第1のロック部847と、は非接触となるため、爪部573が第1のロック部847から受けていた力は、解除される。そうすると、スライダ560は、ばね589からの付勢力を受け、図17(d)に表した矢印A29の方向に移動する。
これに伴い、スライダ560の突部563は、矢印A29の方向に移動する。このとき、突部563は、回動軸530からみて斜めに形成された溝部571の壁面を矢印A29の方向へ押す。そうすると、フック570は、溝部571の壁面がスライダ560の突部563から受けた力により、図16(d)および図17(d)に表した矢印A28の方向に移動する。これにより、爪部573は、図16(d)に表したように、ケース510外に進出して係合溝847aと係合し、ロックがかかる。そのため、ケーシング200が下降した状態から、使用者が無理にあるいは悪戯にケーシング200の前方側を持ち上げて上昇させようとしても、ケーシング200は、その状態から上昇することはできない。
なお、図16(d)に表した状態では、爪部573は、上から2段目の係合溝847aと係合しているが、これだけに限定されるわけではない。爪部573が上から1段目あるいは3段目の係合溝847aと係合する場合でも、前述したフック570およびスライダ560の動作により、爪部573は、係合溝847aと係合可能である。
本実施形態によれば、作業者などがケーシング200を便器800の上面820に設置するときには、ケーシング200を便器800の上面820に下降させることにより、爪部573と係合溝847aとを係合させロックをかけることができる。つまり、作業者などがケーシング200を便器800の上面820に設置するときには、ハンドル540を操作する必要はない。また、そのときには、ハンドル540や回動軸530は、移動あるいは回動しない。そのため、ケーシング200を便器800の上面820に楽に設置することができる。
次に、ケーシング200の前方側が上昇した状態から不意に下降することを防止するロック機構について、図面を参照しつつ説明する。
まず、昇降装置500のケース510に固定されたロック部材581と、回動軸530と、の構造あるいは形状について説明する。
図18は、昇降装置の内部構造を表す斜視模式図である。
図9に関して前述したように、昇降装置500のケース510には、回動軸530の先端部の回動をロックするロック部材581が固定されている。このロック部材581は、図18の挿入図に表したように、ロック部材581の表面を垂直にみたときに矩形状をした貫通孔(第2のロック部)581aを有する。一方、回動軸530は、図18に表したように、回動軸530を軸方向にみたときに矩形状の断面を有する。そして、回動軸530の矩形状の断面形状(外形)は、ロック部材581の貫通孔581aよりもやや小さい。
そのため、回動軸530は、ロック部材581の貫通孔581aを所定の回動角度において貫通できる。そして、図18に表したように、回動軸530が貫通孔581aを貫通した状態では、回動軸530の外面と、貫通孔581aの内面と、が当接するため、回動軸530は回動できない。あるいは、回動軸530の外面と隣接する外面との稜線部分(角部)と、貫通孔581aの内面と、が当接するため、回動軸530は、この状態では回動できない。
一方、回動軸530がハンドル540側へ移動し、その先端部がロック部材581の貫通孔581aから抜けると、回動軸530の外面あるいは角部と、貫通孔581aの内面と、は当接しない。そのため、回動軸530の先端部がロック部材581の貫通孔581aから抜けた状態では、回動軸530は回動できる。そのため、使用者は、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させ離間させるためにハンドル540を回動させるときには、図2に表した矢印A1のように、ハンドル540を側方に引き出す必要がある。
ここで、回動軸530の先端部には、図18に表したように、回動軸530を軸方向に対して垂直にみたときに傾斜した第1の面取り部531が形成されている。そのため、回動軸530の先端部がロック部材581の貫通孔581aから完全に抜けていなくとも、第1の面取り部531が貫通孔581a内にあれば、回動軸530は回動できる。またさらに、回動軸530の先端部には、図18に表したように、回動軸530を軸方向にみたときに傾斜した第2の面取り部533(図18に表した斜線部分)が、軸方向に並行して形成されている。そして、第2の面取り部533と、ロック部材581の貫通孔(第2のロック部)581aと、により、ケーシング200の前方側が上昇した状態から不意に下降することを防止することができる。
次に、ケーシング200が不意に下降することを防止するロック機構の動作について、図面を参照しつつ説明する。
図19は、ケーシングが不意に下降することを防止するロック機構の動作を説明するための平面模式図である。
また、図20は、回動軸の先端部を軸方向にみたときの回動軸とロック部材との関係を表す平面模式図である。
なお、図20は、回動軸530およびロック部材581を図18に表した矢視A30の方向にみたときの平面模式図である。
また、図20(a)は、ハンドル540の回動角度が0度のときの状態を表しており、図20(b)は、ハンドル540の回動角度が80度のときの状態を表しており、図20(c)は、ハンドル540の回動角度が90度のときの状態を表している。
まず、使用者がハンドル540を引き出していないときには、回動軸530に固定された第1のばね押さえ585は、左側方(図19での左方向)への付勢力をばね586から受けている。そのため、回動軸530は、第1のばね押さえ585を介して左側方への付勢力をばね586から受けている。このとき、図19(a)に表したように、ロック部材581と第2のばね押さえ583とは、当接する。これにより、回動軸530は、左側方への移動を抑制され停止している。つまり、この状態において、ロック部材581および第2のばね押さえ583は、回動軸530のストッパとして機能している。
そして、この状態では、図20(a)に表したように、回動軸530の外面あるいは角部と、貫通孔581aの内面と、が当接するため、回動軸530は回動できない。すなわち、この状態では、使用者は、ハンドル540を回動させることができない。
続いて、使用者が、図19(a)に表した矢印A31のように、ばね586の付勢力に逆らいつつハンドル540を引き出すと、回動軸530は、図19(b)に表した矢印A32のように軸方向に移動する。そうすると、第2のばね押さえ583は、図19(b)に表したように、スライダ560の突部565と当接する。この状態から、使用者が、ばね586、589の付勢力に逆らいつつハンドル540を矢印A32の方向にさらに引き出すと、スライダ560は、図19(b)に表した矢印A33の方向に移動する。そして、フック570の爪部573は、ケース510内に後退する。これらの動作については、図15に関して前述した如くである。
続いて、使用者が、図19(c)に表した矢印A34のように、ハンドル540をさらに引き出すと、回動軸530の先端部に設けられた第2の面取り部533は、ロック部材581の貫通孔581aを貫通する。また、回動軸530の先端部に設けられた第1の面取り部531の一部は、貫通孔581aを貫通し、第1の面取り部531の他部は、貫通孔581a内に存在する。この状態では、図18に関して前述したように、回動軸530は回動できる。すなわち、使用者は、ハンドル540を回動させることができる。
続いて、使用者が、ハンドル540を約80〜90度ほど回動させ、ハンドル540から手を離す、あるいはハンドル540を引き出す力を小さくする。そうすると、第1のばね押さえ585は、左側方への付勢力をばね586から受けているため、回動軸530は、図19(d)に表した矢印A35の方向に移動する。
このとき、第1の面取り部531の他部は、前述したように貫通孔581a内に存在するため、回動軸530は、ロック部材581から抵抗をほとんど受けることなく、矢印A35の方向になめらかに移動できる。より具体的には、回動軸530がロック部材581の貫通孔581aを完全に貫通すると、回動軸530の軸方向が振れたりずれたりする場合がある。この場合には、回動軸530が矢印A35の方向に移動する際に、その先端がロック部材581に引っ掛かる場合がある。
これに対して、本実施形態では、第1の面取り部531の他部は、貫通孔581a内に存在するため、回動軸530は、矢印A35の方向に移動する際にロック部材581に引っ掛かることなくなめらかに移動できる。また、回動軸530の移動に伴い、スライダ560は、図19(d)に表した矢印A36の方向に移動する。これらの動作については、図15に関して前述した如くである。
このとき、図19(d)に表したように、回動軸530に固定された第1のばね押さえ585と、ケース510の壁面511(図9参照)と、は当接する。より具体的には、第1のばね押さえ585は、偏った形状、あるいは所定方向にだけ突部が形成された形状を有する。そのため、第1のばね押さえ585が、ハンドル540の回動に連動して所定角度以上回動すると、偏った部分あるいは所定方向にだけ形成された突部と、ケース510の壁面511と、は当接する。
これにより、回動軸530は、図19(d)に表したように、その先端部に形成された第2の面取り部533の一部が貫通孔581a内に移動したところで停止する。つまり、使用者がハンドル540を約80〜90度ほど回動させた状態において、第1のばね押さえ585およびケース510の壁面511は、回動軸530のストッパとして機能する。
ここで、図18に関して前述したように、回動軸530の先端部には、回動軸530を軸方向にみたときに傾斜した第2の面取り部533が軸方向に並行して形成されている。そのため、図20(b)に表したように、使用者がハンドル540を約80度ほど回動させると、第2の面取り部533と、貫通孔581aの内面と、は略並行となる。そうすると、図19(d)に表したように、第2の面取り部533の一部は、貫通孔581a内に移動できる。
そして、この状態において、使用者や清掃用具などがハンドル540に不意に接触しても、第2の面取り部533と、貫通孔581aの内面と、が当接するため、回動軸530は回動できない。すなわち、この状態において、使用者や清掃用具などがハンドル540に不意に接触しても、回動軸530に固定された支柱550は回動できない。これによれば、使用者がハンドル540を約80度ほど回動させた状態、すなわち、ケーシング200の前方側が便器800の上面820からある程度上昇して離間した状態において、使用者や清掃用具などがハンドル540に不意に接触しても、ケーシング200の前方側が不意に下降することを防止することができる。これにより、使用者は、より安心してシール材221や離間した隙間の部分を清掃することができる。
また、図20(c)に表したように、使用者がハンドル540を約90度ほど回動させたときでも、回動軸530の先端部に第2の面取り部533が形成されているため、第2の面取り部533の一部は、貫通孔581a内に移動できる。そして、この状態において、使用者や清掃用具などがハンドル540あるいは回動軸530や支柱550に不意に接触しても、第2の面取り部533と、貫通孔581aの内面と、が当接するため、回動軸530および支柱550は回動できない。つまり、使用者がハンドル540を約90度ほど回動させた状態において、使用者や清掃用具などがハンドル540あるいは回動軸530や支柱550に不意に接触しても、ケーシング200の前方側が不意に下降することを防止することができる。
このように、本実施形態では、使用者がハンドル540を約80〜90度ほど回動させると、第2の面取り部533の一部は貫通孔581a内に移動し、回動軸530および支柱550は回動できない。これによれば、支柱550がガイドプレート840の底部841(図11参照)からみて90度よりも小さい角度、すなわち支柱550が中立角度よりも小さい角度の状態でも、回動軸530および支柱550の回動をロックすることができる。そのため、ケーシング200の前方側が最も上昇する前であって、便器800の上面820からある程度離間した状態においても、ケーシング200の前方側が不意に下降することを防止することができる。これにより、使用者は、より安心してシール材221や離間した隙間の部分を清掃することができる。
また、ハンドル540を約80〜90度ほど回動させた位置で回動軸530は回動できなくなるので、ガイドプレート840の底部841に対して支柱550がほぼ垂直に倒立した状態で回動軸530は回動できなくなる。よって、ケーシング200を便器800の上面820から最も離間させた状態を安定的に保持できるので、支柱550の長さを長くすることなしにケーシング200と便器800の上面820との距離を稼ぐことができる。そのため、昇降装置が大型化することがない。また、使用者は、シール材221や離間した隙間をより簡単に清掃することができる。
但し、これらの角度は、前述した角度に限定されるわけではなく、第2の面取り部533の傾斜角度を設定変更することにより、適宜変更することができる。すなわち、第2の面取り部533の傾斜角度を設定変更することにより、使用者がハンドル540を約75度ほど回動させたときからロックがかかるようにしてもよい。また、使用者がハンドル540を回動させていない状態において、支柱550は、ガイドプレート840の底部841からみて予め傾斜して回動軸530に固定されていてもよい。これによれば、例えば、使用者がハンドル540を約90度ほど回動させたときには、支柱550は、ガイドプレート840の底部841からみて90度の状態、すなわち中立状態をすでに過ぎているため、より安定的にケーシング200を支持することができる。
次に、ハンドル540の近傍の構造および形状について、図面を参照しつつ説明する。 図21は、本実施形態にかかるトイレ装置を右側方から眺めた平面模式図である。
また、図22は、ハンドルの近傍の構造を説明するための拡大模式図である。
また、図23は、ハンドルの把持方法の一例を表す斜視模式図である。
また、図24は、ハンドルと回動軸との取付構造を例示する拡大模式図である。
なお、図22(a)は、ハンドルの近傍を拡大して眺めた平面模式図であり、図22(b)は、ハンドルの収納部の近傍を拡大して眺めた斜視模式図である。
また、図24(a)は、ハンドルを回動軸側からみた斜視模式図であり、図24(b)は、ハンドルを上方あるいは下方から眺めたときの断面模式図である。
便器800の後方側部には、図21に表したように、パネル830が設けられている。このパネル830は、引き出されていない状態のハンドル540、すなわち収納状態にあるハンドル540を収納可能な収納部831を有する。この収納部831は、図22(b)に表したように、パネル830の外面すなわちトイレ装置の外郭面から内部へ後退した凹形状を有している。そのため、ハンドル540が収納部831に収納された状態では、図22(b)に表したように、ハンドル540の外面541と、パネル830の外面すなわちトイレ装置の外郭面と、は同一面となっている。これにより、本実施形態にかかるトイレ装置の意匠性を損なうことはない。
また、ハンドル540は、図23に表したように、切り欠き部544を有する。そのため、使用者は、例えばこの切り欠き部544を通して収納部831に親指を挿入できる。そして、使用者は、その親指をハンドル540の外面541に対向する裏面543(図24参照)に引っ掛け、図23に表した矢印A41の方向に引くことにより、ハンドル540を引き出すことができる。
そして、使用者は、ハンドル540を持ち替えることなく、人差し指、中指、薬指、および小指をハンドル540の上面542に載せることができる。続いて、使用者は、ハンドル540の上面542に載せた人差し指、中指、薬指、および小指により、図23に表した矢印A42のように、ハンドル540を回動させることができる。つまり、使用者は、ハンドル540を引き出す動作と、ハンドル540を回動させる動作と、を手を持ち替えることなく一連の動作として楽に行うことができる。これによれば、使用者は、ハンドル540の引き出し動作および回動動作を行うことにより、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から楽に上昇させ離間させることができる。
なお、ハンドル540は、図24(a)および図24(b)に表したように、蓋体545を介してねじなどの取付具546により回動軸530に取り付けられている。
以上説明したように、本実施形態によれば、使用者は、ハンドル540を回動させることにより、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させ離間させることができる。そのため、使用者は、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間から清掃用具や手などを入れることにより、その隙間の部分や、ケーシング200と便器800との間への汚水浸入を防止するシール材221などを容易に清掃することができる。また、本実施形態にかかるトイレ装置には、各種ロック機能が設けられているため、使用者が無理にあるいは悪戯にケーシング200の前方側を上昇させようとしても、その上昇を防止することができる。また、使用者や清掃用具などがハンドル540に不意に接触しても、ケーシング200の前方側が不意に下降することを防止することができる。そのため、トイレ装置が破壊したり破損したりすることを抑制することができる。また、使用者は、より安心してシール材221や離間した隙間の部分を清掃することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、昇降装置500などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや回動軸530やガイドプレート840の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
すなわち、例えば、昇降装置500は、ケーシング200ではなく、便器800に適宜取り付けられていてもよい。そして、ガイドプレート840は、便器800ではなく、ケーシング200に適宜取り付けられていてもよい。この場合であっても、支柱550が回動し倒立することにより、ケーシング200の前方側を便器800の上面820から上昇させ離間させることができる。
またさらに、本実施形態では、ハンドル540により回動軸530を回動させる場合を例に挙げて説明したがこれだけに限定されず、モータなどにより回動軸530を回動させてもよい。つまり、回動軸530の作動部は、モータであってもよい。これによれば、使用者は、例えば図示しないリモコンなどを操作することにより、電気的に回動軸530を回動させることができる。
またさらに、回動軸530と、支柱550と、は一体的に形成されていてもよく、便器800あるいはケーシング200と、ガイドプレート840と、は一体的に形成されていてもよく、便器プレート850と、便器800と、は一体的に形成されていてもよい。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。