JP4291183B2 - クレセント錠 - Google Patents

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本発明は、室内障子及び室外障子が共に閉鎖された状態時にのみ施錠を可能とした空掛け防止機能付きのクレセント錠に関する。
従来より、引き違い窓等のサッシ用施錠装置としてクレセント錠が知られている。このクレセント錠は、図11に示されるように、室内障子54の縦框に取り付けられるベース部材51と、このベース部材51に対してクレセント軸53を介して回動自在に取り付けられた笠金状のクレセント52と、室外障子55に取り付けられ前記クレセント52が係合するためのフック部56aを有するクレセント受け金具56とからなる施錠装置50である(例えば、下記特許文献1等参照)。
上記クレセント錠50の場合は、内障子又は外障子が開放状態にあっても、クレセント52を回動させることが可能であり、この施錠状態のまま障子を閉めると、外障子の縦框(召合せ框含む。)が室外側に突出したクレセント52に衝突し、クレセントが変形したり損傷したりすることがあった。
上記問題を解決するために、例えば下記特許文献2〜4では、内障子及び外障子が正常閉鎖位置にあるとき以外はクレセント錠のハンドルが施錠方向に回転しないようにしたクレセント錠が提案されている。
前記特許文献2,3で提案されているクレセント錠は、外障子側へ突出した状態でハンドルの回動を阻止している突出部(感知部)を有しており、内障子および外障子を閉鎖したときに上記突出部が外障子の召合せ框に接触して没入することによりハンドルの回動阻止状態が解除されるように構成されたものであり、特許文献4で提案されているクレセント錠は、基台とクレセントとの間においてクレセント軸に回転自在に嵌め被せられ、かつクレセントの回転に伴ってこれと同方向に回転してその一部が内側障子の縦框の外面よりも外方に突出するようになされた施錠可能位置確認部材と、受け金に設けられかつクレセントと受け金とが施錠可能位置にあるときにクレセントとともに回転した施錠可能位置確認部材の一部が当接する当接部と、施錠可能位置確認部材の一部が受け金の当接部に当接した場合にクレセントのそれ以上の施錠方向への回転を許容するとともに、施錠可能位置確認部材の一部が受け金の当接部に当接しない場合にクレセントのそれ以上の施錠方向への回転を阻止する手段とを備えているものである。
さらに下記特許文献5では、室内障子及び室外障子が共に閉鎖された状態にある時以外は、クレセント錠の操作レバーが施錠方向に回動できないようにした空掛け防止機能を備えたクレセント錠が提案されている。具体的に、内障子の召合せ框に操作レバーの回動により回動しつつ延出する掛け部を有するクレセント錠を設け、外障子の召合せ框に上記掛け部が係合するクレセント受けを設け、上記掛け部を含む回動側に揺動可能な揺動体を設け、この揺動体の一端を固定側に設けられた係止部に係止させて上記操作レバーの所定角度以上の回動を阻止すると共に、上記内障子と外障子が正常閉鎖位置にあるときに上記操作レバーの回動で上記揺動体の他端が上記クレセント受けもしくは外障子の召合せ框に当接する反力で上記揺動体の一端と係止部の係止状態を解除するようにしたクレセント錠が提案されている。
特開平11−93488号公報 実公昭57−52303号公報 実開昭58−25467号公報 特開平9−217537号公報 特開平9−158584号公報
しかしながら、上記特許文献2、3に記載されるクレセント錠の場合には、内障子や外障子を開閉する度に上記突出部が外障子の縦框等に接触するため、縦框に擦り傷が生じるようになる。また、前記突出部を外障子に対して接触させるためには、突出部側の機構を内障子の縦框内部に組み込まなければならず、構造が複雑化するなどの問題がある。
また、前記特許文献4に記載されるクレセント錠の場合には、受け金にL字状の屈曲する当接部を連設するものであり、この当接部が衣類に引っ掛かったり、手に切り傷を負う原因となるなどの問題がある。
さらに、前記特許文献5に記載されるクレセント錠の場合には、前記揺動体の他端が上記クレセント受けもしくは外障子の召合せ框に当接する反力によって作動するとともに、前記揺動体がクレセント受け金具の表面を摺接するため、操作レバーの回動操作の抵抗が大きくなるため施錠操作がしづらいなどの問題があった。
そこで本発明の主たる課題は、空掛け防止機能を備えたクレセント錠であって、室外障子の縦框に擦り傷を付けることが無いとともに、操作レバーの回動操作も通常のクレセントと同様の力で容易に回動操作できるようにしたクレセント錠を提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、室内障子側に固定されるベース部材と、このベース部材に対して回動軸を回転中心として回動自在に取り付けられたクレセントと、このクレセントを回動操作する操作レバーとを備える施錠側金具、及び室外障子側に固定され前記クレセントが係合するためのクレセント受け金具からなるクレセント錠において、
前記施錠側金具のベース部材内部に、一部に傾斜辺を有するとともに、回動阻止部を有し、上下方向に移動可能に配設されるとともに、弾発部材により付勢保持されたスライド部材と、一端側が室外障子側に突出するとともに、他端側が前記スライド部材の傾斜辺に摺接し、没入動作により前記スライド部材を付勢力に抗して上下方向に移動させるトリガー部材と、前記回動軸と連結され、前記トリガー部材の非没入時には前記スライド部材の回動阻止部に衝合して回動が阻止されるとともに、前記トリガー部材の没入によりスライド部材が移動された際に回動が許容される回動子とが設けられ、前記クレセント受け金具に、障子の閉鎖状態時に前記トリガー部材が乗り上げ、該トリガー部材を没入させるための突出段部を設けたことを特徴とするクレセント錠が提供される。
上記請求項1記載の発明においては、トリガー部材がクレセント受け金具の突出段部に乗上げると没入動作し、スライド部材を上下方向に移動させる。このスライド部材が上下方向に移動されると、クレセントの回動軸に一体的に設けられた回動子の回動を阻止している前記スライド部材の回動阻止部が待避し、操作レバーの回動が許容されるようになる。
従って、前記トリガー部材は外障子と接触することがないので、室外障子の縦框に擦り傷を付けることが無いとともに、操作レバーの回動操作も通常のクレセントと同様の力で回動操作できるようになる。
以上詳説のとおり本発明によれば、空掛け防止機能を備えたクレセント錠であって、室外障子の縦框に擦り傷を付けることが無いとともに、操作レバーの回動操作も通常のクレセントと同様の力で回動操作できるようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係るクレセント錠1の障子への取付状態を示す要部平面図であり、図2(A)は前記クレセント錠1の正面図、(B)は室内側からの視図(縦断面図)、図3(A)は施錠状態、(B)は解錠状態を夫々示す正面図である。
前記クレセント錠1は、図1および図2に示されるように、室内障子7の召合せ縦框7Aにビス孔9,9を介してビス等で取り付けられるベース部材3と、このベース部材3に対して回動軸4を回転中心として回動自在に取り付けられたクレセント5と、前記回動軸4と一体的に連設された操作レバー6とからなる施錠側金物2、及び室外障子8の召合せ框8Aにビス孔10,10を介してビス等で取り付けられ、前記クレセント5が係合するためのフック11aを備えたクレセント受け金具11からなる。
前記クレセント錠1は、図2および図3に示されるように、前記操作レバー6を摘み、クレセント5をほぼ180度範囲で回動させることにより、クレセント5の周囲に形成された、壁高を漸次テーパー状に変化させた環状周壁5Aが前記クレセント受け金具11に対して係脱し、窓の施錠または解錠が成されるようになっている。なお、符号12はベース部材3の一端とクレセント5とを後述する回動子17を介して間接的に連結している第1バネ部材であり、クレセント5の回動時に操作レバー6が水平の状態から施錠位置および解錠位置に対して付勢させるためのものである。また、符号13は上下方向にスライド可能に設けられたロック片であり、ロック時には図3(A)に示されるように、クレセント5の回動範囲内に位置しクレセント5が回動できないように阻止するようになっており、特に図示の例では開閉表示が設けられ、前記クレセント5の回動が可能か否か一目で確認できるように配慮されている。また、ロック時にはベース部材3に埋め込まれた蛍光材3aが露出することにより施錠の確認ができるように配慮されている。
本クレセント錠1では、室内障子7及び室外障子8が共に閉鎖された状態にある時以外は、クレセント上の操作レバー6が施錠方向に回動できないようにした空掛け防止装置14を備えている。すなわち、図3(B)に示されるように、室内障子及び室外障子(図3以降では図示せず)共に閉鎖されていなければ、操作レバー6は解錠状態で回動が阻止され操作できないようになっている。
前記空掛け防止装置14は、図3に示されるように、前記ベース部材3の内部に、上下方向に移動可能に設けられたスライド部材15と、一端側16aが室外障子側に突出するとともに、他端側16bが前記スライド部材15に摺接し、没入動作により前記スライド部材15を上下方向に移動させるトリガー部材16と、前記回動軸4に連結され、前記スライド部材15との衝合により障子が正常に閉鎖されているときのみ回動が許容される回動子17とが設けられ、前記クレセント受け金具11に、障子の閉鎖状態時にトリガー部材16が乗り上げ、該トリガー部材16を没入させるための突出段部11bを設けた構成となっている。
以下、前記空掛け防止装置14について、さらに詳細に部材毎に構造を詳述するとともに、作動状態について詳述する。
先ず、前記スライド部材15は、図4に示されるように、内部に大きな開口15bが形成された略板状の部材であり、取付状態で室外障子側となる辺の上部に、トリガー部材16の他端側16bが摺接する傾斜辺15aが形成されているとともに、下端部の一方側寄り位置には外方に突出して回動子17の回動阻止部15cが形成されている。また、下端面にはバネ用係合突起15dが設けられている。ベース部材3に対する取付状態では、一端がベース部材3に係合し他端が前記バネ用係合突起15dに係合したバネ材18により上方側に付勢保持された状態で配設される。
次いで、前記トリガー部材16は、図5に示されるように、一端側に船先状に尖った尖鋭部16aが形成されるとともに、他端側16bに前記スライド部材15の傾斜辺15aに摺接する傾斜面16cが形成された小片部材であり、側部にはストッパー用突片16dが形成されている。ベース部材3に対する取付け状態では、ベース部材3の室外障子側の壁面に形成された開口3bから尖鋭部16a側を突出させるとともに、他端側の傾斜面16cをスライド部材15の傾斜辺15aに摺接させたた状態で組み付けられる。
一方、前記回動子17は、図6に示されるように、内部に回動軸4の挿通孔17aが形成された略馬蹄形状の小片部材であり、表面側には第1バネ部材12の係止突起17cが形成されているとともに、下端側部には他の部分よりも肉厚とされる衝合部17bが形成されている。ベース部材3に対する取付け状態では、前記スライド部材15の上面に位置させながらクレセント5の回動軸4を挿通孔17aに通しカシメることによって抜脱不能に取り付けられる。
一方、クレセント受け金具は、図10に示されるように、略方形金属板の内部が切り抜かれ、先端側枠片部11A、上部枠片部11B及び下部枠片部11Cを有し、前記先端側枠片部11Aの内側部分にフック11aが形成され、切り抜き部の基端がわ側辺部分に障子側に突出した突出段部11bが形成されている。
次に、前述したクレセント錠1の作動状態を図7〜図9により説明する。図7は室内障子及び/又は室外障子が開放されているため施錠側金物2が施錠不能となっている場合の状態図であり、図8は室内障子及び室外障子が共に閉鎖されているため施錠が可能となっている場合のクレセント錠1の作動図であり、図9はその空掛け防止装置14の作動図である。
前記クレセント錠1は、室内障子及び/又は室外障子が開放されている状態の場合には、図7および図9(A)に示されるように、前記トリガー部材16が室外障子側に突出した状態とされ、回動子17の衝合部17bがスライド部材15の回動阻止部15cに衝合しているため回転が規制され、操作レバー6は回動できず施錠が不能な状態となっている。
前記室内障子及び室外障子を共に閉鎖すると、図8(A)および図9(B)に示されるように、前記トリガー部材16の尖鋭部16aがクレセント受け金具11の突出段部11bに乗り上げるように位置し、トリガー部材16がベース部材3側に没入する。前記トリガー部材16は第2バネ部材18の付勢力に抗してスライド部材15を押し下げ、前記回動子17の衝合部17bと、スライド部材15の回動阻止部15cとの衝合関係が解除され、回動子17が自由に回動可能な状態となるため、図8及び図9(C)に示されるように、操作レバー6を180°回動させることにより施錠を成すことができる。
その後に、前記操作レバー6を反対側に180°回動することにより解錠し、室内障子または室外障子を開放すると、トリガー部材16が突出しながら、第2バネ部材18の付勢力によりスライド部材15が上方に移動し、スライド部材15の回動阻止部15cと回動子17の衝合部17bとが再び衝合する関係となり、前記回動子17の回動動作を阻止する状態となるため、操作レバー6の回動操作が不能となる。
本発明に係るクレセント錠1の障子への取付状態を示す要部平面図である。 (A)は前記クレセント錠1の正面図、(B)は室内側からの視図(縦断面図)である。 クレセント錠1の(A)は施錠状態、(B)は解錠状態を示す裏面図である。 スライド部材15の(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。 トリガー部材16の(A)は左側面図、(B)は平面図、(C)は正面図である。 回動子17の(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。 クレセント錠1の施錠不能状態図である。 クレセント錠1の施錠可能状態における作動図(A)〜(C)である。 空掛け防止装置14の作動図(A)〜(D)である。 クレセント受け金具11の(A)は正面図、(B)は水平横断面図である。 従来のクレセント錠を示す斜視図である。
符号の説明
1…クレセント錠、2…施錠側金物、3…ベース部材、4…回動軸、5…クレセント、6…操作レバー、7…室内障子、8…室外障子、11…クレセント受け金具、12…第1バネ部材、13…ロック片、14…空掛け防止装置、15…スライド部材、16…トリガー部材、17…回動子、18…第2バネ部材

Claims (1)

  1. 室内障子側に固定されるベース部材と、このベース部材に対して回動軸を回転中心として回動自在に取り付けられたクレセントと、このクレセントを回動操作する操作レバーとを備える施錠側金具、及び室外障子側に固定され前記クレセントが係合するためのクレセント受け金具からなるクレセント錠において、
    前記施錠側金具のベース部材内部に、一部に傾斜辺を有するとともに、回動阻止部を有し、上下方向に移動可能に配設されるとともに、弾発部材により付勢保持されたスライド部材と、一端側が室外障子側に突出するとともに、他端側が前記スライド部材の傾斜辺に摺接し、没入動作により前記スライド部材を付勢力に抗して上下方向に移動させるトリガー部材と、前記回動軸と連結され、前記トリガー部材の非没入時には前記スライド部材の回動阻止部に衝合して回動が阻止されるとともに、前記トリガー部材の没入によりスライド部材が移動された際に回動が許容される回動子とが設けられ、前記クレセント受け金具に、障子の閉鎖状態時に前記トリガー部材が乗り上げ、該トリガー部材を没入させるための突出段部を設けたことを特徴とするクレセント錠。
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