JP5439394B2 - 現像装置およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性トナーを含有する現像剤を所定の像担持体に供給してトナー像を形成する現像装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
複写機、プリンタ等の電子写真方式を利用する画像形成装置の現像装置は、現像剤を感光体ドラム等の像担持体上に供給してトナー像を形成するものであって、現像剤を像担持体に搬送するための現像ローラと、現像剤が外部に漏出することを抑制するシール部材とを含む(例えば特許文献1)。現像剤が磁性トナーを含有する場合、磁性トナーは、現像ローラの回転に伴って現像ローラと接触し、その接触による摩擦によって帯電する。磁性トナーは、帯電した状態で現像ローラの周面から像担持体に搬送される。
特許文献1では、シール部材は、現像ローラに内蔵されている磁石ロールによって磁化される鉄板等の磁性体であって、現像ローラの軸方向両端部のそれぞれに隙間を介して対向配置されている。シール部材と磁石ロールとの間には、磁界が形成されている。現像ローラの軸方向端部から外部に漏出しようとする現像剤は、前記磁界によって前記隙間において磁気的に拘束される。これにより、現像剤の外部への漏出が抑制される。
特開平10−39629号公報
しかしながら、特許文献1の現像装置では、シール部材と現像ローラとの間の隙間に磁気的に拘束された磁性トナーは、トナー像の形成のために消費されないため、現像ローラとの摩擦によって過帯電されやすい。過帯電された磁性トナーは、現像ローラに付着した状態で前記隙間に滞留するだけでなく、周囲の磁性トナーを引き付ける。そのため、前記隙間に多量の磁性トナーが堆積する場合がある。磁性トナーが多量に堆積すると、堆積トナーの上層部分と感光体ドラムとの間の距離が小さくなるため、非画像部に、堆積トナーの一部が移動しやすくなる。堆積した磁性トナーの一部が感光体ドラムに移動してしまうと、感光体ドラム上で形成されるトナー像が汚れてしまう。その結果、良好なトナー像を形成することはできない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、現像剤漏出を抑制するためのシール部材を用いている構成において、シール部材に拘束された現像剤の過帯電を抑制することが可能な現像装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る現像装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に回転可能に配置され、回転に伴い、帯電性を備えた現像剤を所定の像担持体に搬送して、前記所定の像担持体上にトナー像を形成する現像ローラと、前記ハウジング内で前記現像ローラとの間に隙間が形成された状態で前記現像ローラに対向配置され、前記現像ローラ上の前記現像剤を前記隙間において拘束して、前記現像剤が前記ハウジングから漏出することを抑制するシール部材とを含み、前記現像ローラは、前記所定の像担持体に対向する第1領域と、前記シール部材に対向する第2領域とを有し、前記第1領域には、前記現像ローラの回転に伴う前記現像剤との接触により該現像剤を帯電させる帯電能力を備えた第1金属層が形成されており、前記第2領域には、前記第1金属層の前記帯電能力よりも低い帯電能力を備えた第2金属層が形成されている。
本発明に係る現像装置によれば、シール部材は、現像ローラの第2領域に形成された第2金属層との間の隙間において現像剤を拘束して、現像剤の外部への漏出を抑制する。第2金属層は、現像剤に対する帯電能力が低い。そのため、前記隙間に拘束されている現像剤は、現像ローラの回転に伴って第2金属層と接触を繰り返しても過帯電され難い。これにより、現像剤の過帯電に起因して多量の現像剤が前記隙間に堆積し、現像ローラに付着することが抑制される。その結果、堆積した現像剤が周囲に飛散することが抑制されると共に、堆積した現像剤の所定の像担持体への移動によってトナー像が汚されること、所謂カブリが抑制される。
本発明の好ましい実施形態では、前記現像剤は、プラスに帯電されるトナーを含有し、前記第1金属層は、クロムめっき層であり、前記第2金属層は、ニッケルめっき層である。
この構成によれば、第1金属層として、クロムめっき層が用いられており、第2金属層として、ニッケルめっき層が用いられている。クロムめっきは、プラス帯電トナーに対して高いイオン化傾向を示すため、トナーに対して高い帯電能力を有する。そのため、所定の像担持体に対向する第1金属層は、所定の像担持体にトナーを円滑に搬送することができる。これにより、良好なトナー像が形成される。しかも、クロムめっきは高い硬度を有しているので、現像ローラに対して耐久性を付与することができる。
一方、ニッケルめっきは、プラス帯電トナーに対して低いイオン化傾向を示すため、トナーに対する帯電能力は低い。そのため、シール部材に対向する第2金属層は、シール部材によって拘束されているトナーを過帯電させない。
本発明の他の好ましい実施形態では、前記シール部材は、磁気的に前記現像剤を拘束する。
本発明に係る現像装置では、シール部材が磁気的に現像剤を拘束する場合であっても、第2金属層の特性により、現像剤の過帯電を抑制することができる。
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記現像ローラは、磁石部材を内蔵しており、前記シール部材は、磁性体からなり、前記磁石部材との間で磁界を形成して前記現像剤を磁気的に拘束する。
この構成によれば、シール部材は磁石部材との間で形成する磁界によって現像剤を磁気的に拘束する。現像剤の磁気的拘束力は、磁石部材の磁力やシール部材の材料を適宜設定することで強くすることができる。本発明に係る現像装置では、磁気的拘束力を強くした場合であっても、第2金属層の特性により、現像剤の過帯電を抑制することができる。そのため、現像剤の外部への漏出を抑制するシール性能を高めることができる。また、現像ローラの回転速度を上げた場合であっても、現像剤の過帯電を抑制することができるので、現像装置の高速化に寄与することができる。
本発明に係る画像形成装置は、トナー像が形成される像担持体と、磁性トナーを含有する現像剤を前記像担持体に搬送して、該像担持体上に前記トナー像を形成する現像装置とを含み、前記現像装置として、上記構成の現像装置が用いられている。
本発明に係る画像形成装置は、現像ローラとシール部材との間で現像剤の過帯電を抑制することが可能な現像装置を用いているので、良好なトナー像を得ることができる。
本発明に係る現像装置および画像形成装置によれば、第2金属層は現像剤に対する帯電能力が低いので、シール部材によって拘束された現像剤が過帯電されることが抑制される。これにより、現像剤の過帯電に起因して現像ローラに付着することが抑制される。その結果、堆積した現像剤が周囲に飛散することが抑制されると共に、堆積した現像剤の所定の像担持体への移動によってトナー像が汚されること、所謂カブリが抑制される。
画像形成装置の内部構造を概略的に示す図である。 画像形成装置に用いられる現像装置の内部構成を示す図である。 現像スリーブ24を感光体ドラム10側から見た図である。 図3のIII−III線に沿って切断した断面図である。 現像スリーブの斜視図である。 現像スリーブの第1領域における3層構造を断面示す模式図である。 現像スリーブの第2領域における2層構造を断面示す模式図である。 図6においてサークルで囲った部分の拡大図であり、現像ローラの3層構造を示す。 ニッケルめっき層およびクロムめっき層のトナーに対する帯電特性、および各めっき層の作用について説明するための模式図である。 トナー帯電量、画像濃度、トナー搬送量およびカブリ濃度を調べるために行った実験において用いられた実施例および比較例の構成を示す図である。 実験におけるトナー帯電量の結果を示す図である。 実験における画像濃度の結果を示す図である。 実験におけるトナー搬送量の結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を詳しく説明する。尚、本発明の一実施形態として、以下の説明では、画像形成装置としてモノクロタイプのプリンタを示すが、本発明は、これに限定されるものではなく、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機などの他の画像形成装置にも適用可能である。
図1は、画像形成装置1の内部構造を概略的に示す図である。画像形成装置1は、外部(例えばパーソナルコンピュータ)からの画像データに基づいてシートP上にトナー像を形成する画像形成部4と、シートP上に形成されたトナー像を加熱してシートP上に定着させる定着部5と、シートPを収容する給紙カセット7と、シートPが排出される排紙トレイ12と、給紙カセット7から画像形成部4および定着部5を経由して排紙トレイ12に向けてシートPを搬送する搬送路6と、画像形成装置1の図1における右側面に設けられた手差しトレイ3と、各種のメニューを設定する複数のメニュー設定キー等が配置された操作部(図示せず)とを含む。
画像形成部4は、感光体ドラム10(像担持体)と、感光体ドラム10に帯電処理を実行する帯電器42と、帯電された感光体ドラム10にレーザ光Lを照射して、静電潜像を形成する露光器43と、感光体ドラム10に形成された静電潜像にトナーを静電付着させ、トナー像を顕像化する現像装置20と、内部に充填されたトナーを現像装置20へ供給するトナーカートリッジ45と、現像されたトナー像をシートPに転写する転写ローラ46(転写部材)と、感光体ドラム10のドラム表面上に残留するトナーを除去並びに回収するトナー除去器47とを含む。なお、感光体ドラム10の回転方向(図1では時計回りの方向)から見て、帯電器42、現像装置20、転写ローラ46、トナー除去器47の順に、感光体ドラム10の周方向に沿って配置されている。また、露光器43は、帯電器42の上方に配置されている。
感光体ドラム10は、例えば、アルミニウム製シリンダの表面に正帯電性光導電体であるアモルファスシリコン層が蒸着された感光体を有するドラムである。
帯電器42は、例えば帯電ローラ50を含む。帯電ローラ50は、直流電圧と交流電圧が重畳された所定の基準帯電電圧(基準帯電バイアス)をドラム表面に印加することにより、ドラム表面の表面電位を均一に帯電させる。
露光器43は、外部PC(パーソナルコンピュータ)等から入力された画像データに基づくレーザ光Lを感光体ドラム10のドラム表面に導くポリゴンミラー(図示せず)を有している。ポリゴンミラーは、所定の駆動源によって回転しつつ、感光体ドラム10のドラム表面上にレーザ光Lを走査して、ドラム表面に静電潜像を形成する。現像装置20は、静電潜像にトナーを供給してドラム表面上にトナー像を形成する現像動作を行う。
転写ローラ46は、搬送路6において感光体ドラム10のドラム表面に圧接されており、転写ローラ46とドラム表面との間には、ニップ部Nが形成されている。転写ローラ46には、ドラム表面の表面電位とは逆極性の電圧が印加されるので、ドラム表面上のトナー像は、シートPがニップ部Nを通過する際にシートP上に転写される。ニップ部Nを通過したシートPは搬送路6を通って定着部5に搬送される。
定着部5において、シートP上のトナー像が該シートP上に加熱定着された後、シートPは搬送路6を通って排紙トレイ12に搬送される。
以下、現像装置20について、図1に加え、図2を参照しながら詳述する。図2は、現像装置20の内部構成を示す図である。現像装置20は、帯電性を備えた磁性のトナーを含む1成分現像剤を使用するものであって、図1および図2に示すように、該現像装置20の内部空間を画定する現像容器21と、現像剤を貯留する現像剤貯留部11と、感光体ドラム10のドラム表面に対向する現像ローラ22と、規制ブレード30と、シール部材38とを、基本的な構成要素として含む。なお、現像装置20は、非磁性体のトナーと磁性体のキャリアとを含む2成分現像剤を用いることもできる。
現像容器21(ハウジング)は、底フレーム21bと、底フレーム21bを上方から覆う本体フレーム21aとを含み、これらの両フレーム21a,21b間において内部空間が画定されている。
現像剤貯留部11は、内部空間の大部分を占めて現像剤を貯留する現像剤貯留空間Sと、現像剤貯留空間Sにおいて底フレーム21bに形成され、現像装置20の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤循環路14,15とを含む。
現像剤循環路14,15は、例えばアルミニウム等の金属からなる仕切り板17によって長手方向において互いに仕切られているが、長手方向における両端部において互いに連通されている。各現像剤循環路14,15には、回転により現像剤を攪拌しつつ搬送するスクリューフィーダ18,19が回転可能に装着されている。スクリューフィーダ18,19は、搬送方向が互いに逆方向に設定されているので、現像剤は、現像剤循環路14および現像剤循環路15間を攪拌されつつ搬送される。現像剤貯留部11は、トナーカートリッジ45から図略の補給口を介してトナーを現像剤貯留空間S内に受け入れる。
現像ローラ22は、感光体ドラム10に現像剤を搬送して感光体ドラム10上にトナー像を形成するローラ部材であって、感光体ドラム10のドラム表面との間に0.2mm〜0.4mmの隙間が形成された状態で感光体ドラム10に対向配置されている。現像ローラ22は、現像装置20の長手方向(つまり、感光体ドラム10の軸方向)に延びる筒状の現像スリーブ24と、現像スリーブ24を図2では反時計回りの方向に回転させる図略の回転軸とを含むローラ部材である。現像スリーブ24は、現像剤循環路14から現像剤を受け取って外周面36上に担持し、回転に伴い、現像剤を後述する規制ブレード30、感光体ドラム10の順に搬送する。
現像スリーブ24の内部には、磁石ロール25が内蔵されている。磁石ロール25は、現像スリーブ24の長手方向に延び、現像スリーブ24の内周面との間で微小隙間が形成された状態で支持軸28に固定的に支持されている。
磁石ロール25には、汲上極27が形成されている。汲上極27は、現像スリーブ24を介して現像剤循環路14に対向配置された磁極、例えばN極である。汲上極27は、現像剤循環路14内のトナーを、回転している現像スリーブ24の外周面36上に磁気的に付着させ、現像剤層として外周面36上に担持させる。トナーは、現像スリーブ24の回転に伴って規制部Rに向けて搬送される。
規制部Rは、外周面36上の現像剤層の層厚を薄層化かつ均一化するために設けられている。規制部Rは、規制ブレード30、規制極29および磁石部材35から構成されている。
規制ブレード30は、現像スリーブ24の上方位置で現像スリーブ24に対向した状態で配設され、現像スリーブ24の長手方向に延びる薄板状のSUS部材である。規制ブレード30は、現像スリーブ24に向かって延びる先端部31を有しており、先端部31の先端面と現像スリーブ24の外周面36との間に0.3mm程度の規制ギャップG1が形成されている。
規制極29は、規制ブレード30の先端面に対向するように磁石ロール25に形成された磁極、例えばS極である。磁石部材35は、現像スリーブ24の回転方向から見た規制ブレード30の上流面に接合され、現像スリーブ24の長手方向に延びる板状の磁石である。磁石部材35は、現像スリーブ24に向かって延びる先端部を有しており、先端部には、規制極29と同極性の磁極、例えばS極が形成されている。
規制ブレード30の先端部31には、規制極29の磁界および磁石部材35の磁界により、規制極29および磁石部材35の先端部とは逆の磁極、例えばN極が誘起されており、規制ブレード30、規制極29および磁石部材35間には、磁路、いわゆる磁気シールドが形成されている。現像剤層は、現像スリーブ24の回転に伴って規制部Rに到達すると、磁気シールドの磁界によって規制ギャップG1において磁気的に拘束されつつ、規制ブレード30によって穂切りされる。これにより、現像剤層の層厚が適正に調整される。
現像剤層中のトナーは、現像スリーブ24の外周面36上に担持されるときに外周面36と摩擦接触するので、例えばプラスに帯電する。また、トナーは、規制部Rによって規制されるときにも規制ブレード30と摩擦接触することで帯電する。規制された現像剤層中のトナーは、そのように帯電された状態で現像スリーブ24の回転に伴って感光体ドラム10に向けて搬送される。トナーは、現像スリーブ24に印加される現像バイアスと感光体ドラム10に印加されるドラムバイアスとの電位差によって感光体ドラム10のドラム表面の静電潜像に付着する。これにより、ドラム表面上にトナー像が形成される。
シール部材38は、現像容器21の内部から、特に、トナーを担持する現像スリーブ24からトナーが外部に漏出することを抑制するための部材である。シール部材38について、図2に加え、図3および図4を参照しながら説明する。図3は、現像スリーブ24を感光体ドラム10側から見た図であり、図4は、図3のIII−III線に沿って切断した断面図である。
シール部材38は、現像容器21の内部空間に向かって、かつ現像スリーブ24の外周面36に沿って湾曲した形状を有し、現像スリーブ24の軸方向端部に対向配置されている。図示は省略するが、現像スリーブ24の他方の軸方向端部にもシール部材38が対向配置されている。シール部材38の内周面と現像スリーブ24の外周面36との間には、外周面36に沿って約0.5mmの隙間G2が形成されている。シール部材38における現像スリーブ24の周方向から見た一方の端部381は、現像容器21の内部空間側から規制ブレード30に対向している。シール部材38における他方の端部382は、現像容器21の内部空間側から感光体ドラム10に対向している。
磁石ロール25には、汲上極27および規制極29に加え、トナー飛散防止用の飛散防止極37が形成されている。飛散防止極37は、支持軸28を挟んで規制極29とは反対側に位置する磁極、例えばS極である。
シール部材38は、SECC等の磁性材料から形成されており、磁石ロール25の汲上極27、規制極29および剥離極37の磁力によって磁化され、それらの磁極27,29,37との間で磁界を形成する。シール部材38は、その磁界の作用により、トナーを、現像スリーブ24の軸方向端部における外周面36とシール部材38との間の隙間G2において磁気的に拘束する。そのため、現像スリーブ24の外周面36上に担持されているトナーが、現像スリーブ24の軸方向端部から外部に漏出することが抑制される。
次に、現像スリーブ24の構成について図5を参照して説明する。図5は、現像スリーブ24の斜視図である。現像スリーブ24は、回転に伴い、感光体ドラム10のドラム表面に対向する第1領域A1と、シール部材38に対向する第2領域A2とを有する。第2領域A2は、現像スリーブ24の軸方向両端部のそれぞれに設定されている。第1領域A1は、一対の第2領域A2間に設定されている。
現像スリーブ24は、第1領域A1において3層構造を有し、第2領域A2において2層構造を有する。図6は、現像スリーブ24の3層構造を示し、図7は、現像スリーブ24の2層構造を示す。具体的には、現像スリーブ24は、第1領域A1から第2領域A2にわたって延びるスリーブ基材32と、スリーブ基材32の基材表面(外周面36)の全体にわたって、つまり第1領域A1から第2領域A2にわたって積層されたニッケルめっき層33とを含む。現像スリーブ24は、さらに、第1領域A1のみにおいてニッケルめっき層33上に積層されたクロムめっき層34を含む。つまり、現像スリーブ24は、第1領域A1において、クロムめっき層34を最上層として有し、第2領域A2において、ニッケルめっき層33を最上層として有する。
スリーブ基材32は、アルミニウム等の非磁性材料から形成された素管である。ニッケルめっき層33は、無電解めっき加工によって形成されためっき層である。このニッケルめっき層33は、具体的には、Ni−P、Ni−B、Ni−W−P、Ni−Cu−P等が好適である。ニッケルめっき層33の層厚は、0.3μm〜10μmの範囲におけるいずれかの値に設定されている。ニッケルめっき層33は、本発明の第2金属層の一例である。
クロムめっき層34は、電解めっき加工によって形成されためっき層である。クロムめっき層34は、ニッケルめっき層33よりも高い硬度(ビッカース硬度)を有する。クロムめっき層34の層厚は、0.06μm〜0.2μmの範囲におけるいずれかの値に設定されている。クロムとしては、3価のクロムであることが好ましい。クロムめっき層34は、本発明の第1金属層の一例である。
図8は、図6においてサークルで囲った部分CAの拡大図である。同図に示すように、スリーブ基材32の外周面36には、ブラスト処理等によって凹凸が形成されている。外周面36の表面粗さRzは、トナーの平均粒子径に応じて設定されている。具体的には、外周面36の表面粗さRzは、トナーの平均粒子径よりも若干大きく設定されている。平均粒子径が7.1μmのトナーを用いる場合、外周面36の表面粗さRzは、十点平均粗さで7.5μm程度に設定される。
ニッケルめっき層33は、スリーブ基材32の外周面36の凹凸に沿って形成されている。また、クロムめっき層34は、ニッケルめっき層33を介してスリーブ基材32の外周面36の凹凸に沿うように形成されている。ニッケルめっき層33およびクロムめっき層34の外周面36上への形成に起因する凹凸の度合い(表面粗さRz)の低下は極力抑制されている。
次に、図9を参照しながら、ニッケルめっき層33およびクロムめっき層34のトナーに対する帯電特性、および各めっき層33,34の作用について説明する。
クロムめっきは、酸化皮膜が形成されやすい金属であるため、高いイオン化傾向を示す。そのため、クロムめっき層34は、プラスに帯電する特性を備えたトナーに対して高い帯電能力を有する。したがって、現像スリーブ24の回転に伴ってクロムめっき層34が第1領域A1においてトナーと接触すると、トナーは、接触による摩擦によって高いレベルで帯電される。これにより、第1領域A1において現像スリーブ24の外周面36上に担持されるトナーT1は、その帯電量(μC/g)が高くなる。その結果、トナーT1は、現像スリーブ24と感光体ドラム10との間の電位差に従って円滑に移動するので、感光体ドラム10上に良好なトナー像が形成される。
一方、ニッケルめっきは、酸化皮膜が形成され難い金属であり、クロムめっきよりも低いイオン化傾向を示す。ニッケルのイオン化傾向は、−0.257Vであり、クロムのイオン化傾向は、−0.74Vである。そのため、ニッケルめっき層33は、プラスに帯電する特性を備えたトナーに対してクロムめっき層34よりも低い帯電能力を有する。したがって、現像スリーブ24の回転に伴ってニッケルめっき層33が第2領域A2においてトナーと接触しても、トナーは、第1領域A1における場合よりも帯電され難い。これにより、第2領域A2において外周面36上に担持されるトナーT2は、つまり、シール部材38によって隙間G2内に磁気的に拘束されているT2は、その帯電量(μC/g)が第1領域A1におけるトナーT1の帯電量よりも低くなる。
トナーT2は、シール部材38によって隙間G2内に磁気的に拘束されているため、現像スリーブ24の回転に伴ってニッケルめっき層33と摩擦接触を繰り返す。しかしながら、ニッケルめっき層33は上述したように低い帯電能力を有するので、トナーT2は、ニッケルめっき層33と摩擦接触を繰り返しても過帯電され難い。そのため、過帯電されたトナーが外周面36に強固に付着してしまうことや、過帯電されたトナーが周囲のトナーを静電気的に引き付けつつ隙間G2において多量に堆積してしまうことが抑制される(トナーが多量に堆積して、堆積層における上層のトナーと感光体ドラム10との間の距離が小さくなることが抑制される)。これにより、隙間G2内に堆積したトナーが周囲に飛散したり、堆積トナーの感光体ドラム10への移動によってトナー像が汚されること、所謂カブリが抑制される。
以上説明したように、本実施形態に係る現像装置20では、現像スリーブ24は、第1領域A1においてクロムめっき層34が感光体ドラム10に対向しているため、感光体ドラム10に円滑にトナーを搬送して良好なトナー像を形成することができると共に、第2領域A2においてニッケルめっき層33がシール部材38に対向しているため、シール部材38によって隙間G2内に磁気的に拘束されているトナーが過帯電されることを抑制することができる(トナーの飛散およびカブリを抑制することができる)。
また、本実施形態に係る現像装置20では、シール部材38は、汲上極27、規制極29および剥離極37との間で形成する磁界によってトナーT2を隙間G2において磁気的に拘束する。トナーの磁気的拘束力は、磁極27,29,37の各磁力やシール部材38の材料を適宜設定することで強くすることができる。本実施形態に係る現像装置20では、磁気的拘束力を強くした場合であっても(言い換えれば、トナーT2とニッケルめっき層33との間の摩擦量が増加する場合であっても)、ニッケルめっき層33の特性により、トナーT2の過帯電を抑制することができる。そのため、トナーT2の外部への漏出を抑制するシール性能を高めることができる。
また、現像スリーブ24の回転速度を上げた場合であっても(言い換えれば、トナーT2とニッケルめっき層33との間の摩擦量が増加する場合であっても)、ニッケルめっき層33の特性により、トナーT2の過帯電を抑制することができる。これにより、現像装置20の高速化に寄与することができる。
さらに、本実施形態に係る現像装置20では、現像スリーブ24の第1領域A1において、クロムめっき層34が最上層として用いられている。ニッケルめっきは高い硬度を有しているので、現像スリーブ24に対して耐久性を付与することができる。
以下、上記説明した現像装置20、特に現像スリーブ24を用いて行った実験について、図10〜図13を参照して説明する。実験では、トナー帯電量、画像濃度およびトナー搬送量について調べるために、図10に示すように、実施例1と、比較例1および2とが用いられた。実施例1では、感光体ドラムに対向する第1金属層として、クロムめっき層が用いられ、シール部材に対向する第2金属層として、ニッケルめっきが用いられた。これに対し、比較例1では、第1金属層および第2金属層とも、ニッケルめっきが用いられ、比較例2では、第1金属層および第2金属層とも、クロムめっきが用いられた。
以下に、実験の条件を箇条書きにて示す。
現像スリーブの外径:20mm
現像スリーブの回転速度:496mm/s
トナー:磁性トナー
トナーの帯電極性:プラス
トナーの平均粒子径:7.1μm
現像スリーブの表面粗さ:7.5μm
規制ブレードの材料:SUS430
磁性シールの材料:SECC
上記の実験条件で、現像装置の現像剤貯留部に180gのトナーを補給し、30分間、トナー無消費の連続駆動を行った。そして、現像装置の連続駆動が終了した後に、実施例1および比較例1,2のそれぞれにおいて、第1金属層および第2金属層におけるトナー帯電量が測定された。トナー帯電量の結果を図11に示す。また、30分間の連続駆動の後、シート上にトナー像を形成し、そのトナー像の画像濃度を、分光濃度計を用いて測定した。画像濃度の結果を図12に示す。
図11に示すように、実施例1では、第1金属層におけるトナーの帯電量は7.7μC/gであり、第2金属層におけるトナーの帯電量は4.1μC/gであった。実施例1では、クロムめっきを第1金属層として用いたため、トナーが高いレベルで帯電された。そして、図12に示すように、第1金属層によって十分なトナー帯電量が確保されたため、形成されたトナー像の画像濃度は1.34であった。要求される画像濃度は1.2以上である。また、実施例1では、ニッケルめっきを第2金属層として用いたため、トナーが過帯電されず、トナーの帯電量を抑えることができた。
一方、比較例1では、第1金属層におけるトナーの帯電量は3.6μC/gであり、第2金属層におけるトナーの帯電量は4.2μC/gであった。比較例1では、ニッケルめっきを第1金属層として用いたため、トナーの帯電量が低くなった。そのため、図12に示すように、形成されたトナー像の画像濃度は1.14であり、要求画像濃度を超えなかった。
また、比較例2では、第1金属層におけるトナーの帯電量は7.3μC/gであり、第2金属層におけるトナーの帯電量は9.8μC/gであった。比較例2では、クロムめっきを第1金属層として用いたため、十分なトナー帯電量が確保された。しかしながら、第2金属層においてもクロムめっきを用いたため、トナーの帯電量が高くなり過ぎた。
さらに、実験では、30分間の現像装置の連続駆動の後に、実施例1および比較例1,2のそれぞれにおいて、第1金属層および第2金属層におけるトナー搬送量が測定された。トナー搬送量の結果を図13に示す。
図13に示すように、実施例1および比較例1,2において、トナー帯電量が増加するにつれてトナー搬送量が増加することが確認された。これは、トナー帯電量が増加するにつれ、帯電した下層のトナーが周囲のトナーを静電気的に引き付けるためである。
実施例1では、第1金属層におけるトナー搬送量は0.95mg/cmであり、第2金属層におけるトナー搬送量は0.84mg/cmであった。実施例1では、クロムめっきを第1金属層として用いたため、十分な搬送量が確保された。
一方、比較例2では、クロムめっきを第2金属層として用いたため、第2金属層におけるトナー搬送量(1.22mg/cm)が高くなり過ぎた。
以上の実験結果から明らかなように、クロムめっきを第1金属層として用いることにより、画像濃度を確保することができる(つまり、良好なトナー像の形成に寄与することができる)と共に、ニッケルめっきを第2金属層として用いることにより、トナーの搬送量を抑制することができる。
1 画像形成装置
10 感光体ドラム
20 現像装置
22 現像ローラ
24 現像スリーブ
32 スリーブ基材
33 ニッケルめっき層(第2金属層)
34 クロムめっき層(第1金属層)
36 外周面
38 シール部材
A1 第1領域
A2 第2領域
G2 隙間

Claims (5)

  1. ハウジングと、
    前記ハウジング内に回転可能に配置され、回転に伴い、帯電性を備えた現像剤を所定の像担持体に搬送して、前記所定の像担持体上にトナー像を形成する現像ローラと、
    前記ハウジング内で前記現像ローラとの間に隙間が形成された状態で前記現像ローラに対向配置され、前記現像ローラ上の前記現像剤を前記隙間において拘束して、前記現像剤が前記ハウジングから漏出することを抑制するシール部材と、
    を備え、
    前記現像ローラは、前記所定の像担持体に対向する第1領域と、前記シール部材に対向する第2領域とを有し、
    前記第1領域には、前記現像ローラの回転に伴う前記現像剤との接触により該現像剤を帯電させる帯電能力を備えた第1金属層が形成されており、
    前記第2領域には、前記第1金属層の前記帯電能力よりも低い帯電能力を備えた第2金属層が形成されている現像装置。
  2. 請求項1に記載の現像装置において、
    前記現像剤は、プラスに帯電されるトナーを含有し、
    前記第1金属層は、クロムめっき層であり、前記第2金属層は、ニッケルめっき層である現像装置。
  3. 請求項1または2に記載の現像装置において、
    前記シール部材は、磁気的に前記現像剤を拘束する現像装置。
  4. 請求項3に記載の現像装置において、
    前記現像ローラは、磁石部材を内蔵しており、
    前記シール部材は、磁性体からなり、前記磁石部材との間で磁界を形成して前記現像剤を磁気的に拘束する現像装置。
  5. トナー像が形成される像担持体と、
    磁性トナーを含有する現像剤を前記像担持体に搬送して、該像担持体上に前記トナー像を形成する現像装置と、
    を備え、
    前記現像装置として、請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像装置が用いられている画像形成装置。
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