JP5436342B2 - 吐出ポンプ - Google Patents
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Description
そして、バルブの下側弁体部がシリンダの下側弁座に着座して下側弁座が閉塞されると、バルブの下降が規制される。そして、その後のさらなる押下ヘッドの押し下げによって、バルブは下降せずにピストンだけが下降して、該ピストンの上側弁座が上側弁体部から離間して上側弁座が開放される。その後、引き続き押下ヘッド(ステム)が押し下げられることで、ピストンがシリンダの内周面に沿って下方に向かって摺動する。これにより、ピストンの下方に形成されたシリンダ内の収容室が減容されてその内圧が上昇し、収容室内の内容物が上側弁座の内側を通ってステム内に流入し、押下ヘッドのノズルから吐出される。
そのため、下側弁座が閉塞されてから上側弁座が開放されるまでの間、収容室内を減容させ難く、押下ヘッドが押し下がり難くなり易かった。
(1)本発明に係る吐出ポンプは、内容物を収容した容器内に配置され、下部の内側に下側弁座が設けられたシリンダと、該シリンダの内側に配置されて該シリンダの内周面に液密に摺接されていると共に、内周部に上側弁座が設けられた環状のピストンと、該ピストンを上方に付勢する付勢部材と、前記ピストンに連結されて該ピストンに連通されていると共に、前記シリンダの上方に上方付勢状態で押込み可能に突出されたステムと、該ステムの上端部に装着され、該ステムに連通するノズルが備えられた押下ヘッドと、前記シリンダの内側に配置されていると共に、前記下側弁座の上方に離間して配置されて該下側弁座に対して着座可能な下側弁体部、及び前記上側弁座に対して離間可能に着座された上側弁体部がそれぞれ設けられたバルブと、を備え、前記下側弁体部と前記下側弁座との間には、該下側弁体部の着座時に、前記シリンダの内圧をシリンダ外に逃がす逃し部が画成され、前記下側弁体部の着座面、及び前記下側弁座の着座面のうちの少なくとも一方は、前記バルブの外表面及び前記シリンダの内表面のうち、着座面以外の他の部分よりも粗い粗面とされ、該粗面の凹凸により前記逃し部が画成されていることを特徴とする。
その後、押下ヘッドが引き続き押し下げられることで、ピストンがシリンダの内周面に沿って下方に向かって摺動する。これにより、シリンダ内のうちのピストンよりも下方の部分(収容室)の内圧が上昇し、収容室内の内容物が上側弁座の内側を通ってステム内に流入してノズルの先端から外部に吐出される。
従って、速やかにピストンを下降させて上側弁座を開放させると同時に収容室内の内圧を上昇させて、内容物を吐出させることができる。
特に、粗面の凹凸により逃し部を画成するので、例えば収容室内の内容物を逃すことで内圧を逃す場合には、内容物に流動抵抗を付与し易い。そのため、逃し量をできるだけ抑制しながら内容物をシリンダ外に逃すことができるので、下側弁座が閉塞された後に、収容室内の内容物の量が減少してしまうことを極力抑えることができる。
従って、内容物の吐出量に影響がでてしまい難く、十分な吐出量の内容物を吐出することができる。また、粘度が低い内容物であっても、十分な吐出量を確保しながら吐出することが可能であるので、内容物の選択性を広げることができ、内容物のバリエーションを増やすことができる。
なお、本実施形態では、吐出ポンプ1における押下ヘッド7側(図1における上側)を上方とし、その反対側(図1における下側)を下方とする。また、図1に示す符号Oは、吐出ポンプ1の中心軸線を示しており、以下、単に軸線Oと記す。また、この軸線O方向を、以下、単に「軸方向」と記し、軸線Oに直交する方向を、以下、単に「径方向」と記し、軸線O回りの方向を、以下、単に「周方向」と記す。
吐出ポンプ1の概略構成としては、装着キャップ2と、シリンダ3と、ピストン4と、コイルスプリング(付勢部材)5と、ステム6と、押下ヘッド7と、バルブ8と、ディップチューブ9と、補助キャップ10と、を備えている。
このシリンダ3は、容器の内側に配設されており、直筒部30と、直筒部30の下端に連設された下筒部31と、ディップチューブ9が連結される連結筒部32と、直筒部30の上端から径方向外側に突出したフランジ部33と、フランジ部33の上面に立設された立上り筒部34と、を備えている。
この下側弁座36の内周面である着座面36aは、軸方向下側に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状に形成されている。また、下筒部31の内周面であって、且つ下側弁座36の上方に位置する部分には、軸方向に延在する複数の凸リブ37が周方向に間欠的に配設されている。
フランジ部33は、直筒部30の外周面に沿って全周に亘って形成された円環状の壁部であり、装着キャップ2(周壁部21の上端部)の内側に嵌合され、装着キャップ2の天壁部20の下面に当接されている。
立上り筒部34は、フランジ部33の上面から軸線Oに沿って上方に延設された略円筒形状の筒部であり、装着キャップ2の円環状の天壁部20の内側に挿通され、天壁部20の上方に突出されている。
内筒部41は、外筒部40の内側に配設された円筒形状の筒部であり、軸線Oを共通軸にして外筒部40と同軸上に配設されている。
上側弁座43は、内筒部41の上端に連設された略円筒形状の筒部であり、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設されている。この上側弁座43の上部は、軸方向上側に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状を成している。
詳しく説明すると、ステム6は、シリンダ3の上端部の内側から上方に向けて起立されている。そして、ステム6の下端部にはピストン4の内筒部41の上部の外周が嵌合されており、ステム6の内側に上側弁座43が配置されている。また、ステム6の上端部の内側には、軸方向下側に向かうに従い漸次縮径されたテーパー状の弁座部60が設けられており、この弁座部60上に球状の弁体61が離間可能に着座されている。
この押下ヘッド7は、平面視円形の天壁部70と、天壁部70の外縁から垂下された周壁部71と、周壁部71の内側に配設されていると共に天壁部70から垂下された連通筒部72と、連通筒部72に連通されたノズル73と、を備えている。
このバルブ8は、円筒形状のパイプ部80と、パイプ部80の上端に連結されたロッド部81と、パイプ部80の下端に設けられた下側弁体部82と、ロッド部81の上端に設けられた上側弁体部83と、を備えている。
詳しく説明すると、下側弁体部82は、パイプ部80に連通された円筒形状の筒部であり、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延在されている。下側弁体部82の下端部の外周面である着座面82aは、軸方向下側に向かうに従い漸次縮径されており、シリンダ3の下側弁座36の着座面36aに当接可能とされている。
また、下側弁体部82の上端部の外周面には、径方向外側に向けて突出した複数の凸部85が周方向に間欠的に配設されている。これら複数の凸部85は、周方向に隣り合う凸リブ37の間にそれぞれ配設されている。
天壁部11は、軸線Oに対して垂直に配設された板部であり、シリンダ3の立上り筒部34の上方に配置されている。外筒部12は、立上り筒部34の外周に配設されていると共に軸線Oを共通軸にして立上り筒部34と同軸上に配設された円筒形状の筒部であり、立上り筒部34に対してアンダーカット嵌合されている。
ガイド筒部14は、ステム6が内側に挿通されてステム6の押込み動作を軸方向に案内する筒部である。このガイド筒部14は、内筒部13よりも小径の円筒形状の筒部であり、内筒部13の下端から軸方向に沿って下方に延設されている。
なお、粗面の形成方法としては、例えばヤスリ等による機械的研磨で行っても構わないし、シボ加工で行っても構わない。機械的研磨を行う場合には、周方向に沿った横磨きではなく、縦磨きが好ましい。
まず、押下ヘッド7の天壁部70の上面を押圧して押下ヘッド7を軸方向に沿って押し下げる。すると、ステム6を介してピストン4がコイルスプリング5の付勢力に抵抗しながら押し下げられる。このとき、バルブ8の上側弁体部83がピストン4の上側弁座43の内側に嵌め込まれているので、ピストン4と共にバルブ8が軸方向に沿って下降する。
そして、押下ヘッド7のさらなる押し下げによって、バルブ8は下降せずにピストン4だけが下降するので、図5に示すように、ピストン4の上側弁座43がバルブ8の上側弁体部83から離間し、該上側弁座43が開放される。
従って、速やかにピストン4を下降させて上側弁座43を開放させると同時に収容室16内の内圧を上昇させて、内容物を吐出させることができる。よって、吐出操作性を向上させることができる。
また、粗面の凹凸により逃し部100を画成するので、例えば収容室16内の内容物を逃し部100を通じて逃すことで収容室16の内圧を逃す場合、内容物に流動抵抗を付与し易い。そのため、逃し量をできるだけ抑制しながら内容物を収容室16外に逃すことができるので、下側弁座36が閉塞された後に、収容室16内の内容物の量が減少してしまうことを極力抑えることができる。
・突出高さが0.08mmの縦リブを1本形成した場合(比較例)
・前記着座面36aを平滑面とした場合(従来例)
・前記着座面36aをヤスリ(800番)で縦磨きして粗面を形成した場合(実施例)
を比較するため、下側弁体部82を前記着座面36aに着座(閉塞)させた状態で、シリンダ3における前記閉塞部分より連結筒部32側の空間を−50kPaの減圧状態にする。この減圧状態で静置してその圧力変化を観察したところ、従来例では1分以上経過しても圧力に変化は見られなかったのに対し、比較例では約3秒、実施例では10秒から30秒程度で圧力変化が0kPa(常圧)に戻った。
また、押下ヘッド7を繰り返し操作し、50%アルコール溶液の吐出量を比較したところ、実施例では設定値(設計値)の約90%以上、比較例では60%以下(約50%)となっていた。
また、一般的なシャンプーを内容物として吐出操作を行ったところ、比較例、実施例では使用上問題となるような大きな押圧力(押下力)の上昇は見られなかったが、従来例では大幅に押圧力が上昇した。
従って、本願発明の構成(実施例)は、低粘度のアルコール溶液からシャンプーのような高粘度の内容物まで、幅広い内容物に対応できることが確認できた。
その後、引き続きコイルスプリング5によってピストン4が押し上げられ、ピストン4がシリンダ3の直筒部30の内周面に沿って上方に向かって摺動し、シリンダ3内の収容室16の内圧がさらに低下する。
そして、図1に示すように、ピストン4が上死点の位置まで上昇することでピストン4の上側弁座43にバルブ8の上側弁体部83が着座して上側弁座43が閉塞され、内容物の吐出が終了する。
3…シリンダ
4…ピストン
5…コイルスプリング(付勢部材)
6…ステム
7…押下ヘッド
8…バルブ
36…下側弁座
36a…下側弁座の着座面
43…上側弁座
73…ノズル
82…下側弁体部
82a…下側弁体部の着座面
83…上側弁体部
100…逃し部
Claims (1)
- 内容物を収容した容器内に配置され、下部の内側に下側弁座が設けられたシリンダと、
該シリンダの内側に配置されて該シリンダの内周面に液密に摺接されていると共に、内周部に上側弁座が設けられた環状のピストンと、
該ピストンを上方に付勢する付勢部材と、
前記ピストンに連結されて該ピストンに連通されていると共に、前記シリンダの上方に上方付勢状態で押込み可能に突出されたステムと、
該ステムの上端部に装着され、該ステムに連通するノズルが備えられた押下ヘッドと、
前記シリンダの内側に配置されていると共に、前記下側弁座の上方に離間して配置されて該下側弁座に対して着座可能な下側弁体部、及び前記上側弁座に対して離間可能に着座された上側弁体部がそれぞれ設けられたバルブと、を備え、
前記下側弁体部と前記下側弁座との間には、該下側弁体部の着座時に、前記シリンダの内圧をシリンダ外に逃がす逃し部が画成され、
前記下側弁体部の着座面、及び前記下側弁座の着座面のうちの少なくとも一方は、前記バルブの外表面及び前記シリンダの内表面のうち、着座面以外の他の部分よりも粗い粗面とされ、該粗面の凹凸により前記逃し部が画成されていることを特徴とする吐出ポンプ。
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