(実施形態の説明)
(定義)
本明細書において用いられる用語は、下に示されるように、その通常の意味を有し、そして本明細書の文脈でさらに理解され得る。
「単球、顆粒球および樹状細胞コロニー刺激因子(monocyte、granulocyte,and dendritic cell colony stimulating factor)」(MGD−CSF)とは、新規な、単離された、分泌された分子であって、それぞれ配列番号1および7に示されるような核酸およびアミノ酸配列を有する分子をいう。仮出願60/590,565号および同第60/564,932号は、MGD−CSFをFPT025と呼んだ。「本発明の分子(molecules of the invention)」という用語は、配列番号1〜13のいずれか、配列番号1〜13のいずれかと配列番号14〜211のいずれかの分泌性リーダー、および配列番号212〜271の構築物のいずれかを含むものとして本明細書において用いられる。
「核酸分子(nucleic acid molecule)」、「ヌクレオチド(nucleotide)」、「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」および「核酸(nucleic acid)」という用語は、ポリマー形態の任意の長さのヌクレオチドを指すものとして本明細書において交換可能に用いられる。それらは、二本鎖および一本鎖の両方の配列を含んでもよく、そして限定はしないが、ウイルス、原核生物および真核生物の供給源由来のcDNA;mRNA;ウイルス(例えば、DNAウイルスおよびレトロウイルス)または原核生物の供給源由来のゲノムDNA配列;RNAi;cDNA;アンチセンス分子;リボザイム;および合成のDNA配列を包含する。この用語はまた、DNAおよびRNAの任意の公知の塩基アナログを含む配列を包含する。
「組み換え体(recombinant)」とは、本明細書において用いる場合、核酸分子を表し、ゲノム、cDNA、ウイルス、半合成および/または合成に由来するポリヌクレオチドであって、その起源もしくは操作のおかげでそれが天然に会合しているポリヌクレオチドの全てまたは一部とは会合していないポリヌクレオチドを意味する。「組み換え体」という用語は、タンパク質またはポリペプチドに関して用いられる場合、組み換えポリヌクレオチドの発現によって生成されるポリペプチドを意味する。「組み換え体」という用語は、宿主細胞に関して用いられる場合、組み換えポリヌクレオチドが導入されている宿主細胞を意味する。
「相補的な(complementary)」ヌクレオチド配列核酸分子とは、その塩基対の相補体からなるものである。塩基アデニンを有するデオキシリボヌクレオチドは、塩基チミジンを有するデオキシリボヌクレオチドに相補的であり、そして塩基チミジンを有するデオキシリボヌクレオチドは、塩基アデニンを有するデオキシリボヌクレオチドに対して相補的である。塩基シトシンを有するデオキシリボヌクレオチドは、塩基グアニンを有するデオキシリボヌクレオチドに相補的であり、そして塩基グアニンを有するデオキシリボヌクレオチドは、塩基シトシンを有するデオキシリボヌクレオチドに対して相補的である。塩基アデニンを有するリボヌクレオチドは、塩基ウラシルを有するリボヌクレオチドに相補的であり、そして塩基ウラシルを有するリボヌクレオチドは、塩基アデニンを有するリボヌクレオチドに対して相補的である。塩基シトシンを有するリボヌクレオチドは、塩基グアニンを有するリボヌクレオチドに相補的であり、そして塩基グアニンを有するデオキシリボヌクレオチドは、塩基シトシンを有するデオキシリボヌクレオチドに対して相補的である。
「プロモーター(promotor)」とは、本明細書において用いる場合、哺乳動物細胞においてRNAポリメラーゼに結合して、それに作動可能に連結された下流(3’方向)のコード配列の転写を開始し得るDNA調節性領域である。本発明の目的のためには、プロモーター配列は、バックグラウンドを超える検出可能なレベルで目的の遺伝子の転写を開始するのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列は転写開始部位内であってもよく、そして同様にRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)であってもよい。真核生物プロモーターは常にではないが、しばしば、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含む。プロモーターとしては、核酸分子に対して自然に近接しているプロモーター、および核酸分子に対して自然には近接していないプロモーターが挙げられる。さらに、「プロモーター」という用語は、誘導性プロモーター、条件的活性プロモーター、例えば、cre−loxプロモーター、構成的プロモーターおよび組織特異的プロモーターを包含する。
「作動可能に連結された(operably linked)」とは、エレメントの配置であって、そのように表された成分が、その所望の機能を行うように構成される配置をいう。従って、あるポリペプチド配列に作動可能に連結された分泌性リーダー配列は、細胞からのこのポリペプチドの分泌を達成し得る。
「トランスフェクトされた(transfected)」とは、リポフェクタミンのような任意の補助促進因子の使用の有無において、導入されたDNAまたはRNAを保有することを意味する。当該分野で公知であるトランスフェクションの方法としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラントランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーションおよびリポフェクションが挙げられる。
「核酸分子の発現(expression of nucleic acid molecule)」とは、この核酸分子に含まれる情報の遺伝子産物への変換をいう。遺伝子産物は、ある遺伝子の直接の転写産物(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、構造的RNAまたは任意の他のタイプのRNA)またはmRNAの翻訳によって生成されるペプチドもしくはポリペプチドであり得る。遺伝子産物としてはまた、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化および編集のようなプロセスによって改変されるRNA;ならびに例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン結合、ADPリボシル化、ミリストイル化およびグリコシル化によって改変されるタンパク質が挙げられる。
「ベクター(vector)」とは、遺伝物質を細胞または生物体に変換させるために用いられ得る因子、代表的にはウイルスまたはプラスミドである。
「宿主細胞(host cell)」とは、任意の組み換えベクター(単数または複数)または単離されたポリヌクレオチド(単数または複数)のレシピエントであり得るかまたはレシピエントにとなっている、個々の細胞または細胞培養物である。宿主細胞は、単独の宿主細胞の子孫を含み、そしてこの子孫は、天然の、偶発的なもしくは意図的な変異および/または変化に起因してもとの親細胞に対して完全に同一である(形態学的にまたは総DNA相補体において)必要はない。宿主細胞としては、本発明の組み換えベクターまたはポリヌクレオチドを用いてインビボまたはインビトロでトランスフェクトされるかまたは感染された細胞が挙げられる。本発明の組み換えベクターを含む宿主細胞は、「組み換え宿主細胞(recombinant host cell)」と呼ばれてもよい。
「幹細胞(stem cell)」とは、自己再生する、未分化のままで残る、そして分化する能力を有する未分化の多能性または多分化能の細胞である。幹細胞は、限定はしないが、幹細胞が天然に存在する動物の少なくともその寿命の間、分裂し得る。幹細胞は、最終分化されず、そのことは分化経路の終わりではないことを意味する。幹細胞が分裂する場合、各々の娘細胞は、幹細胞に残ってもよいし、または娘細胞は、最終分化をもたらす経路に乗り出してもよい。幹細胞は、胚性幹細胞、若年性幹細胞、または成体幹細胞であってもよい。「造血幹細胞(hematopoeitic stem cell)」は、前駆細胞から成熟血球を形成する過程である造血の過程に関与する。
「ポリペプチド(polypeptide)」および「タンパク質(protein)」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために交換可能に用いられ、そして最小の長さに限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などがこの定義内に包含される。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方とも、この定義によって包含される。この用語はまた、ポリペプチドの発現後改変、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを包含する。さらに、本発明の目的のためには、「ポリペプチド」とは、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然の配列に対して、欠失、付加および置換(一般には、事実上保存的)のような改変を含むタンパク質をいう。これらの改変は、部位特異的変異誘発などを通じて意図されてもよいし、または、タンパク質を生成する宿主の変異、もしくはPCR増幅に起因するエラーなどを通じて偶発的であってもよい。
「リーダー配列(leader sequence)」は、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸残基1で開始して、かつタンパク質切断の際に成熟タンパク質の形成を生じる切断部位へ伸長する、アミノ酸残基の配列を含む。リーダー配列は一般には、疎水性であって、いくつかの正に荷電した残基を有する。リーダー配列は、天然であっても、または合成であっても、それらが結合されるタンパク質と異種であっても、または同種であってもよい。「分泌リーダー(secretory leader)」とは、タンパク質が細胞から分泌されることを指示するリーダー配列である。
「融合パートナー(fusion partner)」とは、治療用もしくは予防用のポリペプチドのN末端および/もしくはC末端でインフレームに、または治療用もしくは予防用のポリペプチドに対して内部的に融合されたポリペプチドである。
「レセプター(receptor)」という用語は、特定のリガンドに結合するポリペプチドをいう。このリガンドは通常、細胞外分子であって、これは、レセプターへの結合の際に、通常、シグナル伝達経路の開始のような細胞応答を開始する。「可溶性レセプター(soluble receptor)」とは、膜貫通ドメインのような膜結合ドメインを欠くレセプターである。「可溶性レセプター」は、膜貫通ドメインがスプライシングされてなくなっている、野性型の膜貫通タンパク質レセプターの天然に存在するスプライシング改変体を含んでもよい。「可溶性レセプター」は、膜貫通タンパク質レセプターの細胞外ドメインまたは細胞外ドメインの任意のフラグメントを含んでもよい。可溶性レセプターは、標的タンパク質を調節し得る。それらは、例えば、リガンド結合のための野性型レセプターと競合してもよいし、リガンド/レセプター相互作用に関与してもよく、これによって、レセプターの活性もしくは数、および/またはこのレセプターから下流の細胞活性を調節する。この調節は、細胞内応答、例えば、細胞を活性化するシグナル伝達事象、細胞を阻害するシグナル伝達事象、または細胞の成長、増殖、分化および/もしくは死亡を調節する事象を誘発し得、あるいはこのような活性を順次調節する他の因子の産生を誘導しる。
「単離された(isolated)」、「精製された(purified)」、「実質的に単離された(substantially isolated)」または「実質的に純粋な(substantially pure)」分子(例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド)とは、天然の状態よりも高濃度で存在するように操作されている分子である。例えば、本発明の抗体は、それが天然に関連している、この抗体ではない物質のうち少なくとも10%または20%または40%または50%または70%または90%が除去されている場合に、単離され、精製され、実質的に単離され、または実質的に精製されている。本明細書において用いる場合、「単離された」、「精製された」、「実質的に単離された」または「実質的に精製された」分子とは、組み換え分子を包含する。
「生物学的に活性な(biologically active)」な実体、または「生物学的活性(biological activity)」を有する実体とは、天然に存在する分子の構造的、調節的もしくは生化学的機能、または代謝過程もしくは生理学的過程に関するかもしくは関連する任意の機能を有する実体である。生物学的に活性なポリヌクレオチドフラグメントは、本発明のポリヌクレオチドの活性と同一である必要はないが類似である活性を示すフラグメントである。この生物学的活性は、改善された所望の活性または低下された所望されない活性を含み得る。例えば、ある実体は、別の分子との分子相互作用に関与する場合、例えば、ハイブリダイゼーション、疾患状態を軽減するのに治療的な役割を有する場合、免疫応答を誘導するのにおいて予防的な値を有する場合、ポリヌクレオチド分子について特有であることが決定され得るか、またはポリメラーゼ連鎖反応におけるプライマーとして用いられ得るポリヌクレオチドの生物学的に活性なフラグメントのような分子の存在を決定するのにおいて診断的および/または予防的な価値を有する場合、生物学的活性を示す。生物学的に活性なポリペプチドまたはそれらのフラグメントとしては、生物学的反応に関与し得るものが挙げられ、これには、限定はしないが、抗体の産生のような免疫応答を刺激するためのエピトープもしくは免疫原として機能し得るもの;または免疫応答を調節するのに関与し得るものが挙げられる。
「抗体(antibody)」および「免疫グロブリン(immunoglobulin)」という用語は交換可能に用いられて、タンパク質、例えば、免疫系によって、合成的にまたは組み換え的に生成されるタンパク質であって、特定の抗原を認識してそれに結合し得るタンパク質を指す。抗体は通常当該分野で公知である。抗体は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド抗原を認識し得る。この用語は活性なフラグメントを包含し、これには例えば、免疫グロブリンの抗原結合フラグメント、重鎖の可変領域および/または定常領域、軽鎖の可変領域および/または定常領域、相補性決定領域(cdr)、およびフレームワーク領域が挙げられる。この用語は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体調製物、ならびにハイブリッド抗体、変更された抗体、キメラ抗体、ハイブリッド抗体分子、F(ab’)2およびF(ab)フラグメント;Fv分子(例えば、非共有結合ヘテロ二量体)、二量体および三量体抗体フラグメント構築物;ミニボディ(minibody)、ヒト化抗体分子およびこのような分子から得られた任意の機能的フラグメントであって、このようなフラグメントは特異的な結合を保持するフラグメントを包含する。
「ワクチン(vaccine)」とは、特定の疾患に対する免疫を生じるかまたは人工的に増大する調製物である。これは、特定の疾患に対する免疫を生じる化合物または人工的に増大するために投与される、例えば、殺傷された微生物、生きている弱毒化された生物体、または生きている病原性の生物体から構成され得る。これは、特定の疾患を生じる種類の弱毒化または殺傷された微生物を含む調製物であって、その疾患に対する抗体を生じるように免疫系を刺激するために投与される調製物を包含する。この用語は核酸およびポリペプチドワクチンを包含する。
「特異的に結合する(binds specifically)」という用語は、抗体結合の文脈では、特定のエピトープに対する高い結合活性および/または高い親和性の結合をいう。従って、1つのエピトープ(「第一のエピトープ(first epitope)」に対して特異的に結合して、別の(「第二のエピトープ(second epitope)」)には結合しない抗体は、「特異的な抗体(specific antibody)」である。第一のエピトープに特異的な抗体は、2つのエピトープが相同性または他の類似性を共有する場合、第二のエピトープと交差反応して結合してもよい。「特異的に結合する」という用語は、ポリヌクレオチドの文脈では、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイズをいう。DNA/DNAおよびDNA/RNAの両方のハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを増大する条件は、広く公知であり、そして当該分野で公開されている(Curr.Prot.Molec.Biol.,John Wiley&Sons(2001))。
「被験体(subject)」、「個体(individual)」、「宿主(host)」および「患者(patient)」という用語は、本明細書において交換可能に用いられて、ヒトおよび非ヒト動物を含む生きた動物を指す。被験体とは、例えば、抗原刺激、ならびに細胞表面レセプター結合を通じた刺激および阻害性のシグナル伝達に応答し得る免疫細胞を保有する生物体であってもよい。この被験体は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラットおよびマウスであってもよい。「被験体(subject)」という用語は、疾患に関して完全に正常であるか、または全ての観点において正常である個体を除外しない。
「患者サンプル(patient sample)」とは、患者由来の任意の生物学的な標本である。この用語は、限定はしないが、生物学的な液体、例えば、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、涙液、唾液、リンパ液、透析液、洗浄液、精液および他の液体サンプル、ならびに生物学的起源の細胞および組織を包含する。この用語はまた、細胞およびそれに由来する細胞およびその子孫を含み、これには、培養中の細胞、細胞上清および細胞溶解液が挙げられる。これはさらに、器官または組織培養物由来の液体、組織生検サンプル、腫瘍生検サンプル、糞便サンプルおよび生物学的組織から抽出された液体、ならびに固形組織、組織切片および細胞溶解液から分離された細胞を包含する。この定義は、その調達後任意の方法で、例えば、試薬での処置、可溶化または特定の成分、例えばポリヌクレオチドまたはポリペプチドについての富化によって、操作されているサンプルを包含する。またこの用語には、患者サンプルの誘導体および画分も包含される。患者サンプルは、診断、予後または他のモニタリングアッセイにおいて用いられ得る。
「疾患(disease)」とは、病理学的状態であって、例えば、健康な状態または正常な状態とは異なるとして症状または他の同定因子によって同定され得る病理学的状態である。「疾患」という用語は、障害、症候群、状態および傷害を包含する。疾患としては、限定はしないが、増殖性、炎症性、免疫、代謝の、感染性の、そして虚血性の疾患が挙げられる。
「調節する(modulate)」という用語は、適切なコントロールと比較した場合、測定された活性における、増大または減少、刺激、阻害、干渉、または妨害の、直接的または間接的ないずれかの生成をいう。ポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、またはある「因子(agent)」の「修飾因子(modulator)」とは、本明細書において交換可能に用いられて、適切なコントロールと比較した場合、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの測定された活性に影響する、例えば、増大、減少、刺激、阻害、干渉またはブロックする物質を指す用語である。
「予防する(preventing)」とは、本明細書において用いる場合、疾患の素因があり得るが、その疾患とはまだ診断されていない被験体においてその疾患の発現または再発に関して予防を提供することを包含する。処置および予防は、ヒトを含む生物体に対して、または細胞に対して、インビボ、インビトロもしくはエキソビボで投与され得、そしてその細胞が引き続きその被験体に投与され得る。
「処置する(treatment)」とは、本明細書において用いる場合、ヒトを含む哺乳動物における疾患のための治療薬の任意の投与または適用を包含し、そして疾患を阻害する工程を包含する。これは、機能の損失、欠失または欠損を抑制または回復または修復を生じること、あるいは不十分なプロセスを刺激することなどによって、疾患の進行を阻止すること、およびこの疾患を救済することを包含する。
「キャリア(carrier)」とは、固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化剤、処方物助剤、または任意の従来のタイプの賦形剤をいう。「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、非毒性の「キャリア(carrier)」をいう。薬学的に受容可能なキャリアは、使用される用量および濃度でレシピエントに対して非毒性であって、処方物の他の成分と適合性である。薬学的に受容可能なキャリアは、例えば、ビヒクル、アジュバントまたは希釈剤であってもよい。
(MGD−CSFおよび関連の核酸およびポリペプチド)
本発明は、新規な単離された分泌分子であって、「単球、顆粒球および樹状細胞コロニー刺激因子(monocyte、granulocyte,and dendritic cell colony stimulating factor)」(MGD−CSF)として本明細書において同定された分泌分子を提供する。本発明は、MGD−CSFを用いる方法、ならびにMGD−CSFの改変体および変異体を包含する関連の因子を提供する。MGD−CSFは、下にさらに記載されるように、NP_689669、Molecular Genomics Clone MGC34647、およびIncyte配列番号232、255および257(WO 2002/048337)に関連する。
MGD−CSFは、241アミノ酸長であり、そしてシグナルペプチドまたは分泌性リーダー配列を含む。MGD−CSFは、クローンファミリーCLN00212388における、マザークローンCLN00506579由来のサブクローンである。MGD−CSFは、Five Primerのクラスター190647に属する。分泌されたタンパク質のこのクラスターは、単独の遺伝子に相当する全ての発現された配列を含む。その状況は、分泌された分子として、0.92というそのTreevoteによって確認される。このTreevoteは、予測アミノ酸配列が分泌されるか否かを予測する多数の物理的および化学的な属性に基づいて構築されるアルゴリズムの結果である;0.50より大きいTreevoteは、分泌型分子の指標である。
図1に示されるとおり、MGD−CSFは、National Center for Biotechnology(NCBI)によって命名される、NP_689669のmRNA配列によってコードされると予測される仮定のタンパク質に関する(Strausbergら、Proc.Natl.Acad.Sci.99:16,899(2002))。この仮定的なヒトタンパク質は、242アミノ酸を含むことが予測される。NP_689669のコード配列は、MCG34647としてNational Institute of Health(国立衛生研究所)のMammalian Gene Collection(MGC)によって記載されている。MGC34647の核酸配列は、WO 2002/048337に指定される、それぞれ配列番号49および配列番号103に相当しており、ここでは配列番号49は、配列番号103によってコードされる、未知の機能の分泌タンパク質として記載された。MGC34647およびNP_689669の機能は、従来開示されていなかった。MGD−CSFは、MGC34647の新規なスプライシング改変体である。エキソン3とエキソン4との間の接合は、アミノ酸L80にR81が続くように示差的にスプライシングされる。
遺伝子MGC34647は、729ヌクレオチド長の核酸コード配列を有する、242アミノ酸のオープンリーディングフレームを有するタンパク質をコードすることが予測される。この前駆タンパク質は、27,479ダルトンと秤量されて、7.72という等電点を有することが予測される。アミノ酸1〜20を含むシグナルペプチドの切断後、この成熟タンパク質は、25,229ダルトンと秤量されて、6.74という等電点を有することが予測される。この成熟タンパク質は、669ヌクレオチドの核酸分子によってコードされる、222アミノ酸長であると予測される。MGC34647は、6つのエキソンを有する。これは、染色体16q22.1上のゲノムに、70456649の開始位置から70470765の停止位置へマッピングする。
MGC34647発現は、下にさらに記載されるとおり、脾臓、耳下腺、関節の半月板、胆管、精嚢、延髄、脳下垂体、唾液腺および配列表で観察されている。これらの局在に基づいて、MGC34647は、いくつかの特異的な治療用途を有することが予測される。これは、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、関節リウマチおよび全身性エリテマトーデス(SLE)の拮抗性の抗体の標的であり得る。これは、例えば、化学療法および骨髄移植の間の造血細胞再生のためのタンパク質治療アゴニストとして、感染性疾患を処置するために細胞媒介性免疫を増強するための拮抗性のタンパク質治療剤として、または細胞保護のためのタンパク質治療アンタゴニストとして用いられ得る。
(核酸)
本発明は、表および配列表、例えば、配列番号1、2、3および5に示されるような新規なMGD−CSF配列に相当するポリヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。本発明は、これらの核酸分子について、そして関連の核酸分子、例えば、配列番号4および13に示される核酸分子についての用途を提供する。これらの用途は、本明細書において記載される。
本発明は、MGD−CSFまたはNP−688669をコードする遺伝子に対して作動可能に連結された肝臓発現遺伝子のプロモーターを含み、機能的に活性であるタンパク質を生じるようにインビボで発現され得るDNA分子を提供する。記載されたDNA分子は、種々の用途を、例えば、人工的に導入されたMGD−CSFもしくはNP_688669のインビボ機能、2つ以上の人工的に導入されたMGD−CSFもしくはNP_688669の相互作用、人工的に導入されたMGD−CSFもしくはNP_688669融合タンパク質のインビボ動態を研究するため、または人工的に導入されたMGD−CSFもしくはNP_688669タンパク質のインビボ標的を同定するための基礎的な研究におけるツールとして、そして下にさらに記載されるような治療処置として、種々の用途を有する。
核酸分子の非限定的な実施形態としては、遺伝子または遺伝子フラグメント、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、siRNA、リボザイム、アンチセンスcDNA、組み換えポリヌクレオチド、分枝したポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよびプライマーが挙げられる。核酸分子としては、mRNAのスプライシング改変体が挙げられる。核酸は、天然に存在する、例えば、DNAもしくはRNAであってもよいし、または当該分野で公知のような合成アナログであってもよい。このようなアナログは、アッセイ条件下で安定性を実証し、従ってそれらは、プローブとして適切である。核酸分子はまた、改変された核酸分子、例えば、メチル化核酸分子および核酸分子アナログを含んでもよい。プリンおよびピリミジンのアナログは当該分野で公知である。
本発明の核酸は、生物学的サンプルに存在する組織(単数または複数)または細胞タイプ(単数または複数)の示差的な同定のためのハイブリダイゼーションプローブとして有用である。全長MGD−CSF改変体のフラグメントは、全長遺伝子を単離するため、そして高い配列類似性または類似の生物学的活性を有する他の遺伝子を単離するためのcDNAライブラリーについてのハイブリダイゼーションプローブとして用いられ得る。このタイプのプローブは、少なくとも30塩基を有してもよいし、そして例えば、50以上の塩基を含んでもよい。このプローブはまた、全長転写物に相当するcDNAクローン、ならびに調節領域およびプロモーター領域、エキソンおよびイントロンを含む、完全なMGD−CSF遺伝子を含むゲノムクローン(単数または複数)を同定するためのスクリーニング手順において用いられ得る。このようなスクリーニングの例は、オリゴヌクレオチドプローブを合成するために公知の核酸配列を用いることによって、MGD−CSF遺伝子のコード領域を単離する工程を包含する。本発明の遺伝子に相補的な配列を有する標識されたオリゴヌクレオチドは、ヒトcDNA、ゲノムDNAまたはmRNAライブラリーをスクリーニングして、相補的なライブラリー成分を同定するために用いられ得る。
本発明はさらに、本明細書において上記される配列であって、その配列の間に少なくとも91%、少なくとも92%または少なくとも95%同一性がある場合、その配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。本発明は、本明細書において上記されるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。ストリンジェントな条件とは一般に、その配列の間で少なくとも95%、または少なくとも97%の同一性が存在する場合のみハイブリダイゼーションが生じる条件を包含する。例えば、50%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mM クエン酸三ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハート溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含有する溶液中での42℃での一晩のインキュベーション、その後の0.1×SSC中で約65℃でのフィルターの洗浄がストリンジェントな条件を構成する。
表および配列表に示されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を実質的に保持するポリペプチドをコードし得る。あるいは、ポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズして、それに対して同一性を有する、少なくとも20塩基、少なくとも30塩基または少なくとも50塩基を有してもよく、そしてこれは成熟ポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を保持してもしなくてもよい。従って、本発明は、配列表に示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して少なくとも70%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも90%の同一性、または少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチド、ならびにそのフラグメントであって、少なくとも30塩基または少なくとも50塩基を有するフラグメントに、そしてこのようなポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドに関する。
本明細書に提供される情報、例えば、表および配列表に示されるヌクレオチド配列を用い、MGD−CSFポリペプチドをコードする本発明の核酸分子は、標準的なクローニングおよびスクリーニング手順、例えば、開始物質としてmRNAを用いてcDNAをクローニングするための手順を用いて得ることができる。
(改変体および変異体ポリヌクレオチド)
本発明はさらに、MGD−CSF分子の一部、アナログまたは誘導体をコードする、本発明の核酸分子の改変体に関する。改変体は、例えば、Gene II,Lewin,B編、John Wiley & Sons,New York(1985)に記載されるように、ある生物体の染色体上の所定の遺伝子座を占有する遺伝子のいくつかの別の形態のうちの1つのような、天然の対立遺伝子改変体のように天然に存在し得る。天然には存在しない改変体は、当該分野で公知の変異誘発技術を用いて生成され得る。
このような改変体としては、ヌクレオチド置換、欠失または付加によって生成される改変体が挙げられる。この置換、欠失または付加は、1つ以上のヌクレオチドを含んでもよい。この改変体は、コード領域、非コード領域またはその両方において変更され得る。コード領域における変更は、保存的または非保存的なアミノ酸の置換、欠失または付加を生じ得る。これらは、所望のMGD−CSFタンパク質、またはその部分の特性または活性を変更しない、サイレントな置換、付加または欠失の形態をとってもよい。
ある実施形態では、本発明は、例えば、配列表に示されるような、切断されたシグナルペプチドまたはリーダー配列を有するタンパク質を含む、成熟タンパク質をコードする核酸分子を提供する。他の実施形態は、配列表由来のポリヌクレオチドに対して少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一もしくは少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む単離された核酸分子、配列表に示されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、配列表に示されるポリペプチド、またはこれらのいずれかの生物学的に活性なフラグメントを包含する。
MGD−CSFポリペプチドをコードする参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとは、この参照ヌクレオチド配列の各々100ヌクレオチドあたり最大5つの点変異まで含んでもよいこと以外は、ヌクレオチド配列が参照配列と同一であるポリヌクレオチドである。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、この参照配列におけるヌクレオチドの最大5%までが、欠失されるかもしくは別のヌクレオチドで置換されてもよく、またはこの参照配列中の総ヌクレオチドの最大5%までの多数のヌクレオチドがこの参照配列に挿入されてもよい。この参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’末端もしくは3’末端の位置で、またはそれらの末端位置の間のいずれかで、参照配列におけるヌクレオチドの間で個々に分散されて、もしくは参照配列内の1つ以上の連続する群において、生じてもよい。
実際問題として、任意の特定の核酸分子が、例えば、配列表に示されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、80%、90%または95%同一であるか否かは、Bestfitプログラム(WisconsinSequence Analysis Package,Version 8 for Unix(登録商標),Genetics Computer Group,Madison、WI)のような公知のコンピュータープログラムを用いて都合よく決定され得る。Bestfitは、SmithおよびWaterman,Advances in Applied Mathematics 2:482〜489(1981)の局所相同性アルゴリズムを用いて、2つの配列の間の相同性の最適のセグメントを見出す。特定の配列が、本発明による参照配列に対して例えば95%同一であるか否かを決定するためにBestfitまたは任意の他の配列アラインメントプログラムを用いる場合、そのパラメーターは、当然ながら、同一性のパーセンテージが、この参照ヌクレオチド配列の全長にわたって算出され、そして、この参照配列中のヌクレオチドの総数の最大5%までの相同性におけるギャップが許容されるように設定される。
本出願は、核酸分子がMGD−CSF活性を有するポリペプチドをコードするか否かに関わらず、配列表に示される核酸配列に対して少なくとも70%、80%、90%または95%同一である核酸分子に関する。特定の核酸分子が、MGD−CSF活性を有するポリペプチドをコードしない場合でさえ、当業者は、核酸分子を、例えば、ハイブリダイゼーションプローブ、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマーとして用いる方法を公知である。MGD−CSF活性を有するポリペプチドをコードしない本発明の核酸分子の用途としては、とりわけ、MGD−CSF遺伝子またはその対立遺伝子改変体をcDNAライブラリー中で単離すること;およびVernaら、Human Chromosomes:A Manual of Basic Techniques,Pergamon Press,New York(1988)に記載されるような、MGD−CSF遺伝子の正確な染色体位置を予測するために中期染色体開裂に対するハイブリダイゼーション(例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH));および特定の組織においてMGD−CSF mRNA発現を検出するためのノーザンブロット分析が挙げられる。
本出願はまた、配列表の核酸配列に対して少なくとも70%、80%、90%または95%同一である配列を有する核酸分子であって、MGD−CSFポリペプチド活性を有するポリペプチドすなわち、特定の生物学的アッセイにおいて測定した場合、本発明のMGD−CSFポリペプチドの活性に対して同一であるかまたは類似である活性を示すポリペプチドをコードする、核酸分子に関する。例えば、本発明のMGD−CSFポリペプチドは、免疫細胞増殖を刺激し、腫瘍増殖を阻害し、そして/または腫瘍細胞を殺傷し得る。
遺伝子コードの縮重に起因して、当業者は、配列表に示される核酸配列の核酸配列に対して少なくとも70%、80%、90%または95%同一である配列を有する多数の核酸分子が、MGD−CSFポリペプチド活性を有するポリペプチドをコードすることを直ちに認識する。実際、これらのヌクレオチド配列の複数の縮重改変体が同じポリペプチドをコードするので、上記の比較アッセイを行わなくても当業者にはこれは明白である。縮重改変体でない相当な数の核酸分子がまた、MGD−CSFポリペプチド活性を有するポリペプチドをコードすることが当業者には認識され、そして当業者は、下にさらに記載されるように、タンパク質機能に影響する可能性が低いか、または有意に影響する可能性がないアミノ酸置換(例えば、1つの脂肪族アミノ酸を第二の脂肪族アミノ酸で置換すること)を十分に承知している。
(ベクターおよび宿主細胞)
本発明はまた、本発明の単離された核酸分子を含むベクター、組み換えベクターで遺伝子操作される宿主細胞、および組み換え技術によるMGD−CSFポリペプチドまたはそのフラグメントの生成に関する。これは、分泌性リーダー配列(例えば、配列表を参照のこと;分泌性リーダーは、コラーゲン分泌リーダーであってもよい)をコードする例えば核酸構築物を含む組み換えベクター、および目的の選択された異種ポリペプチド、および組み換えベクターで遺伝子操作された宿主細胞を提供する。ベクターは、例えば、ファージ、プラスミドまたはウイルスベクターであってもよい。レトロウイルスベクターは、複製コンピテントまたは複製欠損であってもよい。後者の場合、ウイルスの伝播は、補完している宿主細胞においてのみ生じる。本発明のベクターは、Kozak配列(Lodishら、Molecular Cell Biology、第4版、1999)を含んでもよい。本発明のベクターはまた、目的の配列のATG開始コドンを含んでもよい。
ポリヌクレオチドは、宿主における増殖のために選択マーカーを含むベクターに連結され得る。一般には、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿のような沈殿で、または荷電された脂質との複合体において導入される。ベクターがウイルスである場合、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでパッケージングされ、次いで宿主細胞に形質転換されてもよい。
DNAインサートは、適切なプロモーター、例えば、2〜3例を挙げれば、λファージPLプロモーター;E.coliのlac、trp、phoAおよびtacプロモーター;SV40初期および後期プロモーター;ならびにレトロウイルスLTRのプロモーターに作動可能に連結されてもよい。他の適切なプロモーターは、当業者に公知である。発現構築物はさらに、転写開始、終結および転写領域の部位、翻訳のためのリボソーム結合部位を含む。この構築物によって発現される転写物のコード部分は、翻訳されるポリペプチドの末端に適切に位置する開始コドンおよび終結コドン(UAA、UGAまたはUAG)で翻訳開始コドンを含んでもよい。
本発明は、とりわけ肝臓において機能するプロモーターの制御下で、ヒトを含む動物において目的の遺伝子の発現を提供する。尾静脈注射の流体力学に基づく手順(Zhangら、Hum.Gene Ther.10:1735(1999))は、目的の遺伝子を用いて細胞をトランスフェクトすることが実証されている。本発明はまた、血管内のDNA投与の量および頻度を制御することによって遺伝子発現のレベルの操作を提供する。本発明はさらに、肝臓において遺伝子を発現するように機能するプロモーターを提供する。
肝臓において発現されるタンパク質の1つの大きいファミリーは、チトクロムP450タンパク質ファミリーである。これらのタンパク質は、しばしば、有害な物質をさらに水溶性にさせることによってその物質を処分する身体の機構の一部として、種々の酸化反応を行う一群のヘム−チオレートモノオキシゲナーゼである。チトクロムP450タンパク質の身体の総量のほとんどが、肝臓で、詳細には、肝細胞のミクロソームにおいて見出される。千を超える異なるチトクロムP450タンパク質が存在する。しかし、わずか49の遺伝子および15の偽遺伝子しかヒトでは配列決定されていない。ヒトでは、チトクロムP450 3A4は、酸化的代謝における最も重要なチトクロムP450タンパク質として同定されている。これは身体における最も一般的なチトクロムP450タンパク質であり、誘導性タンパク質である。
肝臓において発現される遺伝子のプロモーター配列、例えば、任意のチトクロムP450タンパク質のプロモーター配列を目的の遺伝子に作動可能に連結させることによって、肝臓およびこのプロモーターが活性である任意の他の部位における遺伝子の発現がもたらされ得る。本発明は、限定はしないが、チトクロムP450遺伝子、例えばチトクロムP450 3A4;c−jun;jun−b;c−fos;c−myc;血清アミロイドA;アポリポプロテインB編集触媒サブユニット(apolipoprotein B editing catalytic subunit);肝臓再生因子;例えば、LRF−1シグナル伝達因子、および転写活性化因子、例えば、STAT−3;血清アルカリホスファターゼ(SAP);インスリン様増殖因子結合タンパク質、例えばIGFBP−1;サイクリンD1;活性タンパク質−1(active protein−1);CCAATエンハンサーコア結合タンパク質;βオルニチンデカルボキシラーゼ;肝臓再生ホスファターゼ−1(phosphatase of regenerating liver−1);早期増殖応答遺伝子−1(early growth response gene−1);肝細胞増殖因子;ヘモペキシン;インスリン様増殖因子(IGF)例えばIGF2;肝細胞核ファミリー1;肝細胞核ファミリー4;肝細胞Arg−Ser−リッチドメイン含有タンパク質;グルコース6−ホスファターゼ;および急性期タンパク質、例えば、血清アミロイドAおよび血清アミロイドP(SAA/SAP)を包含する遺伝子を発現するように機能するプロモーターを包含する。
表1および実施例9に示されるとおり、MGD−CSFに対してチトクロムP450 3A4のプロモーター配列を作動可能に連結させて、得られたこの構築物をマウスの尾静脈へ注射することによって、MGD−CSFの発現、およびそれに伴うマウスによる単球産生の増大が誘導される。従って、本発明は、インビボで送達される、本発明の治療用分子を提供する。本発明は、裸のDNAを、薬学的に受容可能なキャリアの有無において、または目的の配列を有するベクターDNAを送達するために用いられ得る。インビボで送達される本発明の分子の機能を評価する方法は、当該分野で公知であり、そしていくつかが本明細書に記載される。
示されたとおり、発現ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを包含し得る。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養物については、ジヒドロ葉酸還元酵素、G418またはネオマイシン耐性、そしてE.coliおよび他の細菌における培養についてはテトラマイシン、カナマイシンまたはアンピシリン耐性の遺伝子が挙げられる。適切な宿主の代表的な例としては、限定はしないが、細菌細胞、例えば、E.coli,Streptomyces、およびSalmonella typhimurium細胞;真菌細胞、例えば、酵母細胞;昆虫細胞、例えば、Drosophila S2およびSpodoptera Sf9細胞;動物細胞、例えば、CHO、COS、293およびBowes黒色腫細胞;ならびに植物細胞が挙げられる。上記の宿主細胞の適切な培養培地および条件は当該分野で公知である。
選択マーカーは、マーカーを発現する細胞に対して表現型を付与して、その結果この細胞が適切な条件下で同定され得る遺伝子である。一般には、選択マーカーは、必須の細胞機能を阻害する化合物または他の因子の有無において形質転換された細胞が育つ能力に基づいてそれらの形質転換された細胞の選択を可能にする。従って、適切なマーカーとしては、薬物耐性または薬物に対する感受性を付与し、選択マーカーをコードする分子でトランスフェクトされた細胞が、適切な選択培地中で増殖された場合、その細胞に色を与えるかまたは抗原の特徴の変化を付与するタンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。例えば、選択マーカーとしては、細胞毒性マーカーおよび薬物耐性マーカーであって、これによって細胞が1つ以上の細胞毒素または薬物を含む培地上で増殖する能力によって選択されるマーカー;栄養要求性のマーカーであって、チミジンおよびヒポキサンチンのような特定の栄養素または補充物の有無において規定の培地で細胞が増殖する能力についてその細胞が選択されるマーカー;代謝マーカーであって、例えば、細胞が唯一の炭素原として適切な糖を含有する規定の培地で増殖する能力について選択されるマーカー、ならびに発色基質上で着色されたコロニーを形成するか細胞が蛍光を発するように細胞の能力を付与するマーカーが挙げられる。
なかでも細菌における使用に適切なベクターとしては、Qiagen,Mississauga,Ontario,Canadaから入手可能なpQE70、pQE60およびpQE−9;Stratagene(La Jolla,CA)から入手可能なpBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH8A、pNH6a、pNH18A、pNH46A;ならびにPharmacia(Peapack,NJ)から入手可能なptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、pRIT5が挙げられる。とりわけ適切な真核生物ベクターは、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG;ならびにPharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV,pMSGおよびpSVLである。他の適切なベクターは、当業者に明白である。
他の適切なベクターとしては、pTTベクター骨格を使用するベクターが挙げられる(図2、図3およびDurocherら、Nucl.Acids Res.30(2002))。要するに、pTTベクター骨格は、例えば、Clontech(Palo Alto,CA)から、pIRESpuro/EGFP(pEGFP)およびpSEAP基本ベクター(単数または複数)を得ることによって調製され得、そしてpcDNA3.1、pCDNA3.1/Myc−(His)6(配列番号277に開示される6×Hisタグ)およびpCEP4ベクターは、例えば、Invitrogenから入手され得る。本明細書において用いる場合、pTT5骨格ベクターは、pTT5−Gatewayを生成し得、そして哺乳動物細胞においてタンパク質を一時的に発現するために用いられ得る。pTT5ベクターは、例えば、pTT5−A、pTT5−B、pTT5−D、pTT5−E、pTT5−HおよびpTT5−Iに誘導体化されてもよい。本明細書において用いる場合、pTT2ベクターは、哺乳動物細胞株における適切な発現のための構築物を生成し得る。
発現ベクターpTT5は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターによって駆動されるcDNAの染色体外複製を可能にする。プラスミドベクターpCDNA−pDEST40は、高レベル発現のためのCMVプロモーターを利用し得るGateway適合ベクターである。SuperGlo GFP改変体(sgGFP)は、Q−Biogene(Carlsbad,CA)から得ることができる。pCEP5ベクターを調製することは、プラスミドpCEP4Δを生じるSalIおよびXbaI酵素を用いる連続的消化および自己連結によりpCEP4のCMVプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを取り除くことによって達成され得る。pAdCMV5由来のGblIIフラグメント(Massieら、J.Virol.,72:2289〜2296(1998))は、BglII−直線化pCEP4Δに連結されたCMV5−ポリ(A)発現カセットをコードしており、pCEP5ベクターが得られる。
pTTベクターは、ハイグロマイシン(BsmIおよびSalI切除、それに続く充填および連結)およびEBNA1(ClaIおよびNsiI切り出し、それに続く充填および連結)発現カセットを欠失することによって調製され得る。ColEI起点(βラクタマーゼORFの3’末端を含む、FspI−SalIフラグメント)は、pMBI起点(βラクタマーゼORFの同じ3’末端)を含むpcDNA3.1由来のFspI−SalIフラグメントで置換されてもよい。Myc−(His)6(配列番号277として開示される6×Hisタグ)C末端融合タグは、HindIIIおよびEcoRVで消化されたpcDNA3.1/Myc−Hisにおけるインフレーム連結後、SEAP(pSEAP−ベーシック由来のHindIII−HpaIフラグメント)に付加され得る。プラスミドは引き続き、LB培地中で増殖されたE.coli(DH5α)中で増殖されてもよく、そしてMAXIprepカラム(Giagen,Mississauga,Ontario,Canada)を用いて精製されてもよい。定量するためには、プラスミドは引き続き、50mM Tris−HCl pH7.4中に希釈されて、吸光度が260nmおよび280nmで測定され得る。約1.75〜約2.00の間のA260/A280比を有するプラスミド調製物が適切である。
宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、陽イオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染または他の方法によって達成され得る。このような方法は、Sambrook,J.ら(2001)Molecular Cloning,A Laboratory Manual.第三版、Cold Spring Harbor Laboratory Pressのような多くの標準的な実験室マニュアルにおいて記載されている。
このポリペプチドは、融合タンパク質のような改変形態で発現されてもよいし、分泌シグナルだけでなく、さらなる異種の機能的な領域を含んでもよい。例えば、さらなるアミノ酸の領域、特に荷電されたアミノ酸が、精製の間、またはその後の取り扱いおよび保管の間の、宿主細胞における安定性および永続性を改善するために、このポリペプチドのN末端に付加されてもよい。また、ペプチド部分が精製を容易にするためにこのポリペプチドに付加されてもよい。このような領域は、このポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。
(ポリペプチド)
本発明はさらに、表および配列表に示されるヌクレオチド配列、例えば、それぞれ、全長ポリペプチド、エキソン4、成熟ポリペプチドおよびフラグメントTRLRAQ(配列番号11)(MGD−CSFのエキソン3とエキソン4との間の接合に存在する)に相当する配列番号7、8、9および11によってコードされるアミノ酸配列を含む単離されたMGD−CSFポリペプチドを提供する。本発明は、配列番号10および12に示されるように、新規なポリペプチドについて、および関連のポリペプチドについて新規な用途を提供する。
本発明は、分泌リーダー、シグナルペプチドまたはリーダー配列の結果としてER、分泌小胞または細胞外間隙を指向し得る分泌タンパク質、そしてシグナル配列を含む必要なしに細胞外間隙に放出されるタンパク質を提供する。分泌されたタンパク質が細胞外間隙に放出される場合、成熟ポリペプチドへの細胞外プロセシングを受けるかもしれない。細胞外間隙への放出は、エキソサイトーシスおよびタンパク質分解性の切断を含む多くの機構によって生じ得る。
図8Aに示されるとおり、MGD−CSFポリペプチドは、周知の方法によって組み換え細胞培養物から取り出されて、単離され得る。このような方法としては、硫酸アンモニウムおよびエタノールの沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーが挙げられる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が精製のために使用されてもよい。本発明のポリペプチドは、直接単離されてもまたは培養されても、体液、組織および細胞を含む天然の供給源から精製される産物;化学合成手順の産物;ならびに、例えば、細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む原核生物宿主または真核生物宿主から組み換え技術によって生成される産物を包含する。組み換え生成手順において使用される宿主に依存して、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されてもよいし、またはグリコシル化されなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドはまた、最初の改変メチオニン残基を、ある場合には、宿主媒介プロセスの結果として含んでもよい。従って、翻訳開始コドンによってコードされるN末端メチオニンは一般に、真核生物細胞における翻訳後に任意のタンパク質から高い効率で除去されることが当該分野では周知である。ほとんどのタンパク質上のN末端メチオニンはまた、ほとんどの原核生物で効率的に除去されるが、いくつかのタンパク質では、この原核生物の除去過程は、N末端メチオニンが共有結合されているアミノ酸の性質に依存して不十分である。
代表的には、異種ポリペプチドは、改変されてもされなくても、上記のように、または融合タンパク質として発現されてもよく、そしてこれには分泌シグナルを含むだけでなく、分泌リーダー配列も含んでもよい。本発明の分泌リーダー配列は、小胞体(ER)に対して特定のタンパク質を指向する。このERは、他のタンパク質から膜結合タンパク質を分離する。一旦ERに局在すれば、タンパク質は、分泌小胞を含む小胞;原形質膜;リソソーム;および他のオルガネラへの分布のためにゴルジ装置にさらに指向され得る。
分泌リーダー配列によってERに標的化されるタンパク質は、分泌されたタンパク質として細胞外間隙へ放出され得る。例えば、分泌タンパク質を含む小胞は、細胞膜と融合されてもよく、そしてその内容物をエキソサイトーシスを介して細胞外間隙へ放出し得る。エキソサイトーシスは、構成的に、または誘引シグナルの受容の際に生じ得る。後者の場合、タンパク質は、エキソサイトーシスが誘引されるまで分泌小胞(または分泌顆粒)に保管され得る。同様に、細胞膜上に存在するタンパク質はまた、膜に対してタンパク質を保持するリンカーのタンパク質分解による切断によって細胞外間隙に分泌され得る。
さらに、ペプチド部分および/または精製タグが、精製を容易にするためにポリペプチドに添加され得る。このような領域は、ポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。他の理由のうちでもとりわけ、分泌または排出を生じさせるため、安定性を改善するため、そして精製を容易にするためのポリペプチドへのペプチド部分の付加は、当該分野において周知でかつ慣用的な技術である。適切な精製タグとしては、例えば、V5、HISX6(配列番号277)、HISX8(配列番号278)、アビジンおよびビオチンが挙げられる。
本発明は、タンパク質を安定化して精製するために有用である免疫グロブリン由来の異種領域を含む融合タンパク質を提供する。他のうちでもとりわけ、分泌または排出を生じさせるため、安定性を改善するため、そして精製を容易にするためのポリペプチドへのペプチド部分の付加は、当該分野において周知でかつ慣用的な技術である。例えば、欧州特許第0 464 533号(カナダでの対応は2045869号)は、免疫グロブリン分子の定常領域の種々の部分を別のヒトタンパク質またはその一部と一緒に含む融合タンパク質を開示する。多くの場合、融合タンパク質のFc部分は、治療および診断における使用に有利であり、従って、例えば、改良された薬物動態的な特性を生じる(欧州特許0 232 262号)。他方では、いくつかの用途については、融合タンパク質は記載された有利な方式で発現され、検出され、そして精製された後、Fc部分を欠失し得ることが所望される。これは、Fcタンパク質が治療および/または診断における用途を妨害するものであることが証明される場合、例えば、融合タンパク質が免疫のための抗原として用いられるべきである場合に特にあてはまる。例えば、薬物開発においては、ヒトのタンパク質、例えばhIL−5は、hIL−5のアンタゴニストを同定するためのハイ−スループットのスクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と融合されている。Bennettら、J.Molec.Recog.8:52〜58(1995)およびJohansonら、J.Biol.Chem.,270:9459〜9471(1995)を参照のこと。
本発明のポリペプチドは、単離型で提供されてもよいし、そして上記のように実質的に精製されてもよい。本明細書に記載されるMGD−CSFポリペプチドの組み換え生成バージョンはまた、例えば、SmithおよびJohnson,Gene,67:31〜40(1988)に記載の1工程法に従って、実質的に単離されてもよい。本発明のポリペプチドはさらに、当該分野で周知の方法を用いて生成された本発明の抗MGD−CSF抗体を用いて、天然または組み換えの供給源から単離されてもよい。
本明細書に記載のポリペプチドは、当該分野で習慣的であるように、分子の折り畳みを補助するか、または分子の二量体化もしくは三量体化を補助するイオンまたは因子の存在下で精製または単離され得る。例えば、生理学的な折り畳みまたは重合化を促進するためには補因子が添加され得る。
本発明のさらなるポリペプチドは、上記のポリペプチドに対して少なくとも70%、80%、90%または95%の同一性を有するポリペプチドを包含する。本発明のポリペプチドはまた、配列表の核酸配列によってコードされるポリペプチドに対して少なくとも70%、80%、90%または95%同一であるポリペプチドを含む。
2つのポリペプチドの同一性%は、類似性決定のためのデフォールト設定を用いるBestfitプログラムを用いて2つのポリペプチドのアミノ酸配列を比較することにより決定された類似性スコアによって測定され得る。Bestfitは、Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics 2:482〜489(1981)の局所相同性アルゴリズムを用いて、2つの配列の間の類似性の最適セグメントを見出す。
MGD−CSFポリペプチドの参照アミノ酸配列に対して、例えば、少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、このポリペプチドのアミノ酸配列が、この参照ポリペプチドの各々100個のアミノ酸あたり最大5つまでのアミノ酸改変を含んでもよいこと以外は、ポリペプチドのアミノ酸配列がこの参照配列に対して同一であるポリペプチドである。言い換えれば、参照アミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、この参照配列におけるアミノ酸残基のうち最大5%までが欠失されるか、もしくは別のアミノ酸と置換されてもよく、または多数のアミノ酸、参照配列における総アミノ酸残基の最大5%までがこの参照配列に挿入されてもよい。参照配列のこれらの変更は、参照アミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシ末端位置で生じても、またはそれらの末端位置の間のいずれで生じても、この参照配列の残基の間で個々に、またはこの参照配列内で1つ以上の連続する群で分散されてもよい。
実際問題として、任意の特定のポリペプチドが、例えば、配列表に示される核酸配列によってコードされるアミノ酸配列に対して、またはポリペプチド配列に対して少なくとも70%、80%、90%または95%同一であるか否かは、Bestfitプログラムのような公知のコンピュータープログラムを用いて都合よく決定され得る。特定の配列が、本発明による参照配列に対して例えば95%同一であるか否かを決定するためにBestfitまたは他の配列アラインメントプログラムを用いる場合、そのパラメーターは、当然ながら、同一性のパーセンテージが、この参照アミノ酸配列の全長にわたって算出され、そして、参照配列中のアミノ酸残基の総数の最大5%までの相同性におけるギャップが許容されるように設定される。
(改変体および変異体ポリペプチド)
タンパク質操作は、本発明のMGD−CSFポリペプチドの特徴を改善または変更するために使用され得る。当業者に公知の組み換えDNA技術は、単一または複数のアミノ酸置換、欠失、付加または融合タンパク質を含む、新規な変異タンパク質または「突然変異タンパク質(ムテイン)」を生成するために用いられ得る。このような改変ポリペプチドは、所望の特性、例えば、活性の増強または安定性の増大を示し得る。さらに、それらは、少なくとも特定の精製および保管条件下で、対応する天然のポリペプチドよりも高い収率で精製されて、良好な可溶性を示し得る。
(N末端およびC末端欠失変異体)
例えば、膜結合タンパク質の細胞外ドメインまたは成熟型の分泌タンパク質を含む多くのタンパク質について、当該分野では、1つ以上のアミノ酸が、生物学的機能の実質的な損失なしにN末端またはC末端から欠失され得ることが公知である。例えば、Ronら、J.Biol.Chem.,268:2984〜2988(1993)は、3、8または27個のアミノ末端のアミノ酸残基が欠失されていてさえ、ヘパリン結合活性を有する改変されたKGFタンパク質を報告した。
しかし、タンパク質のN末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失が、このタンパク質の1つ以上の生物学的な機能の改変または損失を生じる場合でさえ、他の生物学的活性は依然として保持され得る。従って、短縮されたタンパク質がこのタンパク質の完全なまたは成熟型を認識する抗体を誘導するか、および/またはその抗体に結合する能力は、一般に、この完全または成熟タンパク質の残基の過半数未満がN末端から除去される場合には保持される。完全なタンパク質のN末端残基を欠く特定のポリペプチドがこのような免疫学的活性を保持するか否かは、本明細書に記載される慣用的な方法によって、決定され得、そしてそうでなければ当該分野で公知である。従って、本発明はさらに、配列表に示されるように、MGD−CSF分子のアミノ酸配列のアミノ末端から1つ以上の残基が欠失されているポリペプチドを提供する。
同様に、生物学的に機能的なC末端欠失突然変異タンパク質(ムテイン)の多くの例が公知である。例えば、インターフェロンγは、このタンパク質のカルボキシ末端から8〜10個のアミノ酸残基が欠失された場合、10倍程度、活性を増大する。例えば、Dobeliら、J.Biotechnology 7:199〜216(1988)を参照のこと。
しかし、タンパク質のC末端からの1つ以上のアミノ酸の欠失がこのタンパク質の1つ以上の生物学的機能の損失の改変を生じる場合でさえ、他の生物学的活性は依然として保持され得る。従って、短縮されたタンパク質がこのタンパク質の完全なまたは成熟型を認識する抗体を誘導するか、および/またはその抗体に結合する能力は、一般に、この完全または成熟タンパク質の残基の過半数未満がC末端から除去される場合には保持される。完全なタンパク質のC末端残基を欠く特定のポリペプチドがこのような免疫学的活性を保持するか否かは、本明細書に記載される慣用的な方法によって、決定され得、そしてそうでなければ当該分野で公知である。
(システインからセリンへの突然変異タンパク質(ムテイン))
MGD−CSF配列は、アミノ酸位置35、167、176、178、179、190および198に位置する7つのシステイン残基を含む。ある実施形態では、本発明は、システインに対して変異されたセリンを有する変異体MGC34647分子を提供する。これらの変異体は、表1および配列表に示され、配列番号258〜271と命名される。配列番号14に記載されるコラーゲンシグナルペプチドを用いて、発現されたポリペプチドの分泌を改善した。表1および図8Bに示され、そして実施例18にさらに詳細に例証されるように、35、167、176、178、179、190および198位置のシステインは、各々がセリンに置換された。これらの構築物は、当該分野で公知のような任意の適切なベクターに、例えば、pTT5−Gベクターにクローニングされてもよい。
これらの突然変異タンパク質(ムテイン)を分析する事によって、MGD−CSFのジスルフィド結合パターンが理解され、そして改善された特性、例えば、哺乳動物細胞からの改善された発現および分泌、精製されたタンパク質の凝集の減少、ならびにE.coli中で発現された場合、活性な組み換えMGD−CSFを生成する能力を有するタンパク質が同定され得る。
(他の変異体)
上記で考察されたタンパク質の末端欠失形態に加えて、MGD−CSFポリペプチドのいくつかのアミノ酸配列は、タンパク質の構造または機能の有意な効果なしに変更され得ることも当業者によって理解される。配列においてこのような相違が意図される場合、活性を決定するタンパク質上の重要な領域が存在することを覚えておくべきである。
従って、本発明はさらに、実質的なMGD−CSFポリペプチド活性を示すか、または下に考察されるタンパク質部分のようなMGD−CSFタンパク質の領域を含むMGD−CSFポリペプチドの改変体を包含する。このような変異体は、活性にほとんど影響を有さないような、当該分野で公知の一般的な規則に従って選択された、欠失、挿入、反転、リピートおよびタイプ置換を包含する。例えば、表現型としてサイレントなアミノ酸置換を作製する方法に関する指針は、Bowieら、Science 247:1306〜1310(1990)に提供され、この著者は、変化に対するアミノ酸配列の許容性を研究する2つの主なアプローチが存在することを示している。この第一の方法は、進化の過程に依存しており、ここでは変異は、自然の選択によって許容されるかまたは拒絶される。第二のアプローチは、クローニングされた遺伝子および選択の特定の位置でアミノ酸変化を誘導するように、または機能を維持する配列をスクリーニングして同定するように遺伝子操作を用いる。
これらの研究によって、タンパク質は驚くべき事に、アミノ酸置換に耐性であることが報告される。著者らはさらに、どのアミノ酸変化が、タンパク質中の特定のアミノ酸位置で許容される可能性が高いかを示す。例えば、ほとんどの埋もれているアミノ酸残基は、非極性側鎖を必要とするが、表面側鎖の特徴は、一般にほとんど保存されない。他のこのような表現型としてサイレントな置換は、Bowieら、前出およびそこに引用される参考文献に記載される。代表的には、保存的置換として示されるのは1つのアミノ酸の別のアミノ酸での置換、とりわけ、脂肪族アミノ酸Ala,Val、LeuおよびIle;ヒドロキシル残基SerおよびThrの交換、酸性残基AspおよびGluの交換、アミド残基AsnとGlnとの間の置換、塩基性残基LysおよびArgの交換、ならびに芳香族残基PheとTyrとの間の置き換えである。
従って、配列表のポリペプチドまたは配列表の核酸配列によってコードされるポリペプチドのフラグメント、誘導体またはアナログは、(i)1つ以上のアミノ酸残基が保存アミノ酸残基または非保存アミノ酸残基で置換されるもの;このような置換されたアミノ酸残基は、遺伝コードによってコードされるアミノ酸残基であってもよく、もしくはそうでなくてもよい、もの(ii)1つ以上のアミノ酸残基が置換基を有するもの;(iii)成熟ポリペプチドが別の化合物、例えば、ポリぺプチドの半減期を増大する化合物(例えば、ポリエチレングリコール)との融合されるもの;あるいは(iv)さらなるアミノ酸が、上記の形態のポリペプチド、例えば、IgG Fc融合領域ペプチド、リーダー配列もしくは分泌配列、上記の形態のポリペプチドを精製するために使用される配列、または前駆タンパク質配列と融合されるものであってもよい。このようなフラグメント、誘導体およびアナログは、本明細書の教示から、当業者の範囲内であると考えられる。
従って、本発明のMGD−CSFポリペプチドは、天然の変異体またはヒトの操作のいずれかに由来する、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失または付加を含んでもよい。示されるとおり、これらの変化は、タンパク質の折り畳みにも活性にも有意に影響しない、保存的アミノ酸置換のような、軽度の変化であり得る。保存的なアミノ酸置換としては、芳香族の置換Phe、TrpおよびTyr;疎水性置換Leu、IsoおよびVal;極性の置換GluおよびAsp;塩基性の置換ARg、LysおよびHis;酸性の置換AspおよびGlu;そして小アミノ酸の置換Ala、Ser,Thr、MetおよびGlyが挙げられる。
MGD−SCFポリペプチドの機能に必須のアミノ酸は、当該分野で公知の方法、例えば、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャンニング変異誘発によって同定され得る。例えば、CunninghamおよびWells,Science,244:1081〜1085(1989)を参照のこと。後者の手順は、単一アラニン変異を導入する。次いで、得られた変異体分子は、レセプター結合のような生物学的活性について、またはインビトロもしくはインビボの増殖活性について試験される。
特別な目的なのは、凝集の低下のような、極めて所望される改善された特徴を有するタンパク質を生成し得る、荷電されたアミノ酸の他の荷電されたまたは中性のアミノ酸での置換である。凝集は、活性を減少させ得るだけでなく、薬学的な処方物を調製する場合にも問題であり得る。なぜなら、例えば、凝集体は、免疫原性であり得るからである、Pinckardら、Clin.Exp.Immunol.2:331〜340(1967);Robbinsら、Diabetes 36:838〜845(1987);Clelandら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Systems 10:307〜377(1993))。
アミノ酸置換は、細胞表面レセプターに対するリガンドの結合の選択性を変化し得る。例えば、Ostadeら、Nature,361:266〜268(1993)は、2つの公知のタイプのTNFレセプターのうちの1つだけに対するTNF−αの選択的な結合を生じる変異を記載する。リガンド−レセプター結合に重要である部位はまた、結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識のような構造の分析によって決定され得る、例えば、Smithら、J.Mol.Biol.,224:899〜904(1992)およびde Vosら、Science,255:306〜312(1992)。
(エピトープ保有部分)
下に詳細に記載されるように、本発明のポリペプチドを用いて、これも下に記載されるように、MGD−SCFタンパク質発現を検出するためのアッセイにおいて、またはMGD−SCFタンパク質機能を増強または阻害し得るアゴニストおよび/もしくはアンタゴニストとして有用であるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を上昇させ得る。これらのポリペプチドはまた、本発明による候補アゴニストおよびアンタゴニストでもある、MGD−SCFタンパク質結合を捕獲するための酵母ツーハイブリッドシステムにおいて用いられ得る。酵母ツーハイブリッドシステムは、FieldsおよびSong,Nature,340:245〜246(1989)に記載される。
別の局面では、本発明は、本発明のポリペプチドの1つ以上のエピトープ保有部分を含むポリペプチドを提供する。本発明は、MGD−CSFに特異的なポリクローナル抗体を提供し、そして最低でも2つの抗原性エピトープを有するMGD−SCFを提供する。このポリペプチド部分のエピトープは、本発明のポリペプチドの免疫原性または抗原性のエピトープである。免疫原性エピトープとは、タンパク質全体が免疫原として提供される場合に抗体応答を惹起するタンパク質の部分である。他方では、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域は抗原性エピトープである。タンパク質の免疫原性エピトープの数は一般に、抗原性エピトープの数よりも少ない。例えば、Geysenら、Proc.Natl.Acad.Sci.,81:3998〜4002(1983)を参照のこと。
抗原性エピトープを保有するポリペプチド(すなわち、抗体が結合し得るタンパク質分子の領域を含むポリペプチド)の選択に関しては、タンパク質配列の一部を模倣する比較的短い合成ペプチドが、この部分的に模倣されたタンパク質と相互作用する抗血清を慣用的に惹起し得ることが当業者に周知である。例えば、Sutcliffeら、Science,219:660〜666(1983)を参照のこと。タンパク質反応性血清を惹起し得るペプチドはタンパク質の一次配列において頻繁に提示されており、単純な化学的規則のセットによって特徴付けられ得、そしてインタクトなタンパク質のイムノドミナントな領域(すなわち、免疫原性エピトープ)にも、アミノまたはカルボキシル末端にも限定されない。従って、本発明の抗原性エピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、本発明のポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を含む抗体を惹起するのに有用である。例えば、Wilsonら、Cell,37:767〜778(1984)を参照のこと。本発明のエピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドは、任意の従来の方法によって生成され得る。例えば、Houghten、Proc.Natl.Acad.Sci.82:5131〜5135(1985)および米国特許第4,631,211号(1986)を参照のこと。
本発明のエピトープ保有ペプチドおよびポリペプチドを用いて、当該分野で周知の方法に従って抗体を誘導し得る。例えば、Bittleら、J.Gen.Virol.66:2347〜2354(1985)を参照のこと。本発明の免疫原性エピトープ保有ペプチドであって、抗体応答を惹起するタンパク質の一部であるものは、タンパク質全体が免疫原である場合、当該分野で公知の方法に従って同定される。例えば、目的の抗体の特定の抗原結合部位(パラトープ)に相補的であるエピトープ(ミモトープ)の位相幾何学的等価物であるモノマー(アミノ酸または他の化合物)の配列を検出または決定する一般的方法を記載する米国特許第5,194,392号(1990)を参照のこと。さらに一般的には、米国特許第4,433,092号(1989)は、目的の特定のレセプターのリガンド結合部位に相補的であるリガンドの位相幾何学的等価物であるモノマーの配列を検出または決定する方法を記載する。同様に、米国特許第5,480,971号(1996)は、直線状のC1−C7−アルキル過アルキル化オリゴペプチド、ならびにこのようなペプチドのセットおよびライブラリー、そして、例えば、目的のアクセプター分子に結合する、過アルキル化オリゴペプチドの配列を決定するためにこのようなオリゴペプチドのセットおよびライブラリーを用いるための方法を開示する。従って、本発明のエピトープ保有ペプチドの非ペプチドアナログはまた、これらの方法によって慣用的に作成され得る。
(融合分子)
当業者が理解するとおり、本発明のMGD−CSFポリペプチド、およびその上記のエピトープ保有フラグメントは、異種ポリペプチドと組合されてキメラポリペプチドを生じ得る。これらの融合タンパク質は、精製を容易にして、インビボでの半減期の増大を示す。これは、例えば、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質において報告されている、例えば、欧州特許0 394 827;Trauneckerら、Nature,331:84〜86(1988)。IgG部分に起因するジスルフィド結合二量体構造を有する融合タンパク質はまた、例えば、Fountoulakisら、J.Biochem.,270:3958〜3964(1995)によって記載されるように、モノマーMGD−CSFタンパク質またはタンパク質フラグメント単独よりも他の分子に結合および中和するのに効率的であり得る。異種ポリペプチドの誘導体化のための適切な化学部分としては、本明細書に記載され、そして米国特許第6,686,179号および米国特許出願第60/589,788号および60/654,229号にさらに記載されるような、例えば、ポリマー、例えば水溶性ポリマー、免疫グロブリンの定常ドメイン、ヒト血清アルブミンの全てまたは一部;フェチュインA;フェチュインB;ロイシンジッパードメイン;テトラネクチン三量体化ドメイン;マンノース結合タンパク質(マンノース結合レクチンとしても公知)、例えば、マンノース結合タンパク質1;およびFc領域が挙げられる。融合タンパク質を作製する方法は、当業者に周知である。
例えば、改変されていないインターフェロンαの短い血漿半減期のせいで、ウイルスおよび増殖性障害を処置するために、長期間にわたって頻繁な投与が必要になる。HSAを融合されたインターフェロンαは、より長い半減期を有し、そして未改変のインターフェロンαよりも必要な投与頻度は少ない;この半減期は18倍長く、そしてクリアランス速度は、約140倍遅い(Osbornら、J.Pharmacol.Exp.Ther.303:540〜548,2002)。HSAと融合されたインターフェロンβはまた、有益な薬物動態学的特性を有する;その半減期は、未改変のインターフェロンβでの8時間と比較して、36〜40時間であることが報告された(Sungら、J.Interferon Cytokine Res.23:25〜36,2003)。HSA−インターロイキン−2融合タンパク質は、未改変のインターロイキン−2に比較して長い半減期および有益な生体分布の両方を有することが報告されている。この融合タンパク質は、未改変のインターロイキン2よりも大きい程度までリンパ球が存在する組織を標的することが観察されており、このことはこの融合タンパク質がより大きい有効性を発揮することを示唆している(Yaoら、Cancer Immunol.Immunother.53:404〜410,2004)。
ヒト免疫グロブリンGサブクラス1のFcレセプターはまた、治療分子の融合タンパク質として用いられている。これは、2つの可溶性p74腫瘍壊死因子(TNF)レセプター分子に対して組み換え的に結合されている。この融合タンパク質は、単量体の可溶性レセプターよりも長い循環半減期を有すること、および関節リウマチを有する患者の関節におけるTNFα誘発性炎症促進活性を阻害することが報告されている(Goldenberg,Clin.Ther.21:75〜87,1999)。この融合タンパク質は、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎および強直性脊椎炎を処置するために臨床的に用いられている(NandaおよびBathon,Expert Opin.Pharmacother.5:1175〜1186,2004)。
ポリマー、例えば、水溶性ポリマーは、本発明において、ポリペプチドとして有用であり、このポリペプチドには各々のポリマーが結合されて、例えば、代表的には生理学的な環境で見出されるような水溶性の環境では、沈殿しない。本発明において使用されるポリマーは、治療産物または組成物の調製について薬学的に受容可能である。当業者は、このポリマー/タンパク質結合体が治療的に用いられるか、そしてそうである場合、所望の投与量、循環時間およびタンパク質分解に対する耐性のような考慮に基づいて所望のポリマーを選択し得る。
適切な、臨床的に受容可能な、水溶性ポリマーとしては、限定はしないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(β−アミノ酸)(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、ポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー(PPG)および他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(POG)(例えば、グリセロール)および他のポリオキシエチル化ポリオール、ポリオキシエチル化ソルビトールまたはポリオキシエチル化グルコース、結腸酸(colonic acids)または他の炭水化物ポリマー、Ficoll、またはデキストランおよびその混合物が挙げられる。
本明細書において用いる場合、ポリエチレングリコール(PEG)は、モノ−(C1−C10)アルコキシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールのような他のタンパク質を誘導するために用いられている任意の形態をほうがんすることを意味する。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性に起因して製造に利点を有し得る。
詳細には、本発明の改変された異種ポリペプチドは、このポリペプチドに対してポリアミノ酸または分岐点アミノ酸を結合することによって調製され得る。例えば、ポリアミノ酸は、ポリペプチドの循環半減期を増大するように機能するキャリアタンパク質であり得る(融合分子を介して達成された利点に加えて)。本発明の治療目的に関して、このようなポリアミノ酸は理想的には、中和抗原性応答を有するかまたは生じず、他の有害な応答も生じないものでなければならない。このようなポリアミノ酸は、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、そのさらなる抗体または部分、例えば、Fc領域、フェチュインA、フェチュインB、ロイシンジッパー核因子赤血球誘導因子−2(NFE2)、神経網膜ロイシンジッパー、テトラネクチン、または他のポリアミノ酸、例えば、リジンから選択され得る。本明細書において記載されるように、ポリアミノ酸の付着の位置は、N末端もしくはC末端、または間の他の位置であってもよく、そしてまた選択された分子に対して化学的なリンカー部分によって接続されてもよい。
本明細書において用いられるポリマー、例えば水溶性ポリマーは、任意の分子量のポリマーであってもよいし、そして分枝してもしなくてもよい。このポリマーは各々代表的には、約2kDa〜約100kDaの平均分子量を有する(用語「約(about)」とは、ポリマーの調製物においては、ある程度の分子が、述べられた分子量より多いか、ある程度少ないことを示す)。各々のポリマーの平均分子量は、約5kDa〜約50kDaであっても、または約12kDa〜約25kDaであってもよい。一般には、分子量が高いか、またはより分枝しているほど、ポリマー:タンパク質の比は高い。所望の治療プロフィール;例えば、徐放性の期間;もしあれば、生物学的活性に対する影響;取り扱いの容易さ;抗原性の程度または欠失;および本発明の改変された分子に対するポリマーの他の公知の効果;に依存して、他のサイズも用いられてもよい。
本発明において使用されるポリマーは代表的には、ポリペプチドの機能的なドメインまたは抗原性のドメインに対する影響を考慮して異種のポリペプチドに対して結合される。一般には、化学的誘導体は、活性化ポリマー分子とタンパク質を反応させるために用いられる任意の適切な条件下で行われ得る。活性部分に対してポリマーを連結するために用いられ得る活性化基としては、スルホン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフレート、トレシレート、アジジリン(azidirine)、オキシランおよび5−ピリジルが挙げられる。
本発明のポリマーは代表的には、アミノ酸のアルファ(α)もしくはイプシロン(ε)アミノ基、または反応性のチオール基で異種ポリペプチドに結合されるが、ポリマー基は、適切な反応条件下でポリマー基に結合するように十分に反応性であるタンパク質の任意の反応性基に結合されてもよいことも意図される。従って、ポリマーは、遊離のアミノまたはカルボキシル基のような反応性基を介して異種ポリペプチドに共有結合されてもよい。遊離のアミノ基を有するアミノ酸残基は、ロイシン残基およびN末端アミノ酸残基を含んでもよい。遊離のカルボキシル基を有する残基としては、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基およびC末端アミノ酸残基を挙げることができる。反応性チオールを有する残基としては、システイン残基が挙げられる。
水溶性ポリマーのようなポリマーと結合体化された融合分子を調製するための方法は、各々一般に、(a)異種ポリペプチドとポリマーとをこのポリペプチドが1つ以上のポリマーと結合するようになる条件下で反応させる工程と、(b)この反応産物を獲得する工程とを包含する。各々の結合のための反応条件は、当該分野で公知の任意の条件、またはその後に開発された条件から選択されてもよいが、改変されるべきタンパク質を不活性化する温度、溶媒およびpHレベルのような反応条件に対する曝露を回避または制限するように選択されなければならない。一般には、反応のための最適の反応条件は、公知のパラメーターおよび所望の結果に基づいて場合によって決定される。例えば、ポリマー:ポリペプチドの結合体の比が大きいほど、結合体化された産物の割合は大きくなる。最適の比(反応の有効性に関して、過剰な未反応のポリペプチドもポリマーも存在しないという点で)は、所望の程度の誘導体化(例えば、モノ−、ジ− トリ−など)、選択されたポリマーの分子量、このポリマーが分枝されるか未分枝であるか、および用いられる反応条件のような要因によって決定され得る。ポリペプチドに対するポリマー(例えば、PEG)の比は一般に、1:1〜100:1におよぶ。1つ以上の精製された結合体は、とりわけ透析、塩析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび電気泳動を含む、標準的な精製技術によって各々の混合物から調製されてもよい。
N末端の化学的に改変されたタンパク質が特に所望され得る。分子量、分岐など、反応混合物中のタンパク質(ポリペプチドまたはペプチド)分子に対するポリマーの割合、行われるべき反応のタイプ、および選択されたN末端の化学的に改変されたタンパク質を得る方法によってポリマーは選択され得る。N末端の化学的に改変されたタンパク質調製物を得る方法(必要に応じて他のモノ誘導体化(monoderivatized)部分からこの部分を分離する)は、化学的に改変されたタンパク質分子の集団からのN末端で化学的に改変されたタンパク質物質の精製によるものであってもよい。
選択性のN末端化学改変は、特定のタンパク質における誘導体化について利用可能な異なるタイプの一次アミノ基(リジン対N末端)の異なる反応性を引き出す還元性のアルキル化によって達成され得る。適切な反応条件下で、カルボニル基含有ポリマーによるN末端でのタンパク質の実質的に選択性の誘導体化が達成される。例えば、このタンパク質のリジン残基のεアミノ基とN末端残基のαアミノ基との間のpKaの相違を利用することができるpHで反応を行うことによってタンパク質のN末端に対してポリマーを選択的に結合してもよい。このような選択的な誘導体化によって、タンパク質に対するポリマーの結合が制御される:ポリマーとの結合体化は、タンパク質のN末端で優先的に生じ、リジン側鎖アミノ基のような他の反応性基の有意な改変は生じない。還元性アルキル化を用い、このポリマーは、上記のタイプであってもよく、タンパク質に対するカップリングのために単一の反応性アルデヒドを有するべきである。単独の反応性アルデヒドを含むポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドも用いられ得る。
1実施形態では、本発明は、化学的に誘導体化されたポリペプチドがモノ−またはポリ(例えば、2−4)PEG部分を含むことを意図する。ペグ化は、当該分野で公知の任意のペグ化反応によって行われてもよい。ペグ化したタンパク質産物を調製するための方法は、一般に、ポリペプチドとポリエチレングリコール(例えば、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体)とをこのタンパク質が1つ以上のPEG基に結合するようになる条件下で反応させる工程と;(b)この反応産物を得る工程とを包含する。一般には、この反応の最適の反応条件は、公知のパラメーターおよび所望の結果に基づいて場合によって決定される。
当業者に利用可能な多数のPEG結合方法が存在する。例えば、欧州特許0 401 384号;Malikら,Exp.Hematol.20:1028〜1035(1992);Francis,Focus on Growth Factors,3(2):4〜10(1992);欧州特許0 154 316;欧州特許0 401 384;WO 92/16221;WO95/34326;ならびにペグ化に関する本明細書に引用される他の刊行物を参照のこと。
本明細書に記載のようなペグ化の工程は、反応性ポリエチレングリコール分子とのアシル化またはアルキル化を介して行われてもよい。従って、本発明によるタンパク質産物は、PEG基(単数または複数)がアシル基またはアルキル基を介して結合されるペグ化タンパク質を含む。このような産物は、モノペグ化(mono−pegylated)されてもまたはポリペグ化(poly−pegylated)されてもよい(例えば、2−6または2−5PEG基を含むもの)。このPEG基は一般に、アミノ酸のαアミノ基またはεアミノ基でタンパク質に結合されるが、PEG基は、適切な反応条件下でPEG基に結合されるのに十分に反応性であるタンパク質に対して結合された任意のアミノ基に結合され得ることも想定される。
アシル化によるペグ化は一般に、ポリエチレングリコール(PEG)の活性なエステル誘導体と本発明のポリペプチドとを反応させる工程を包含する。アシル化反応のためには、選択されたポリマー(単数または複数)は代表的には、単独の反応性エステル基を有する。任意の公知のまたは引き続いて開発された反応性PEG分子が、ペグ化反応を行うために用いられてもよい。適切な活性化PEGエステルの例は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)に対してエステル化されたPEGである。本明細書において用いる場合、アシル化は、限定はしないが、治療タンパク質とポリマーとの間の以下のタイプの結合を包含するものとする:PEG:アミド、カルバメート、ウレタンなど、例えば、Chamow、Bioconjugate Chem.,5:133〜140(1994)。反応条件は、ペグ化物において公知の任意の条件、またはその後に開発された条件から選択されてもよいが、改変されるべきポリペプチドを不活性化する温度、溶媒およびpHのような条件は回避しなければならない。
アシル化によるペグ化は一般に、ポリ−ペグ化タンパク質を生じる。接続する結合はアミドであってもよい。得られた産物は、実質的に一、二−または三−ペグ化されたものだけであり得る(例えば>95%)。しかし、高い程度のペグ化を有するいくつかの種は、用いられる特定の反応条件に依存した量で形成され得る。所望の場合、さらに精製されたペグ化種は、とりわけ透析、塩析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび電気泳動を含む、標準的な精製技術によって混合物(特に未反応の種)から調製されてもよい。
アルキル化によるペグ化は、一般に、還元剤の存在下で、PEGの末端アルデヒド誘導体とポリペプチドとを反応させる工程を包含する。還元性のアルキル化反応のためには、選択されたポリマー(単数または複数)は、単独の反応性アルデヒド基を有するべきである。例示的な反応性PEGアルデヒドは、水溶性であるポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、またはそのモノ−C1−C10アルコキシ−もしくはアリールオキシ誘導体であり、例えば、米国特許第5,252,714号を参照のこと。
さらに、本発明の異種ポリペプチドおよび本明細書に記載のそのエピトープ保有フラグメントは、免疫グロブリン(IgG)の定常ドメインの一部と組み合わされて、キメラポリペプチドを生じ得る。これらの特定の融合分子は、精製を容易にし、そしてインビボにおける半減期の増大を示す。これは、例えば、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメインおよび哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質中で示されている。例えば、欧州特許0 394 827号;Trauneckerら、Nature,331:84〜86(1988)。IgG部分に起因するジスルフィド連結二量体構造を有する融合分子はまた、例えば、単量体のポリペプチドまたはポリペプチドフラグメント単独よりも、他の分子に結合して中和するのに効果的であり得る;例えば、Foutoulakisら、J.Biocghem.,270:3958〜3964(1995)を参照のこと。
別の記載された実施形態では、ヒト血清アルブミン融合分子はまた、本明細書に記載のように、そして米国特許第6,686,179号にさらに記載されるとおり調製され得る。
さらに、本発明のポリペプチドは、融合ポリペプチドの精製を容易にするペプチドのようなマーカー配列に融合されてもよい。マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、その多くが市販されている、pQEベクター(Qiagen,Mississauga,Ontario,Canada)に提供されるタグのようなヘキサ−ヒスチジンペプチドであってもよい。Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.86:821〜824(1989)に記載されるとおり、例えば、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製のために有用な別のペプチドタグである赤血球凝集HAタグは、インフルエンザ赤血球凝集タンパク質由来のエピトープに対応する(Wilsonら、Cell 37:767(1984))。これらの上記の融合物のいずれかが、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを用いて操作され得る。
(分泌性リーダー配列)
本明細書において、そして米国特許60/647,013号実証されるように、いくつかの分泌タンパク質が大量に発現および分泌されるためには、別の異なる分泌タンパク質由来の分泌性リーダー配列が所望される。異種の分泌性リーダー配列を使用することは、分泌されたポリペプチドの得られた成熟アミノ酸配列は、分泌過程の間にERにおいて分泌リーダー配列が除去される場合変更されないという点で有利である。さらに、異種分泌リーダーの付加は、いくつかのタンパク質を発現および分泌するために必要である。
従って、タンパク質を分泌してMGD−CSFを発現するために普遍的に用いられ得る潜在的な強固な分泌リーダー配列(単数または複数)を同定するためには、出願人らは、多数の異なる分泌タンパク質をクローニングして発現し、アデノウイルス5で形質転換されているヒト胚性腎細胞株293の細胞の上清中でそれらの発現および分泌のレベルを測定している(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59(1977))。いくつかの高い発現因子および高レベルの分泌タンパク質が観察された。
1実施形態では、分泌されたタンパク質コラーゲンIX型αI鎖長型に属する分泌リーダー配列を選択して、異種分泌リーダー配列として用いられた場合、発現および分泌を促進する能力をさらに試験した。本明細書に記載されるとおり、分泌されたタンパク質であるコラーゲンIX型αI鎖長型のアミノ酸配列は、MKTCWKIPVFFFVCSFLEPWASA(配列番号14)であると予想される。本明細書にさらに記載されるように、この特定の分泌リーダーを含むベクターが構築され、いくつかのタンパク質は、全長コード配列から分泌リーダーを除去して、配列番号14を含むベクターにそれらをクローニングすることによってクローニングされ、それによって異種分泌性リーダー配列を有する分泌タンパク質が得られた。いくつかの他の選択されたタンパク質の高い発現および分泌も観察された。
本明細書に記載される、同定された分泌性リーダー配列としては、例えば、インターロイキン−9前駆体、T細胞増殖因子P40、P40サイトカイン、トリアシルグリセロールリパーゼ、膵臓前駆体、ソマトリベリン前駆体、バソプレッシン−ニューロフィシン2−コペプチン前駆体、β−エノエンドルフィン−ジノルフィン前駆体、補体C2前駆体、小誘導性サイトカインA14前駆体、エラスターゼ2A前駆体、血漿セリンプロテアーゼインヒビター前駆体、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子前駆体、インターロイキン2前駆体、インターロイキン3前駆体、α−フェトプロテイン前駆体、α−2−HS−糖タンパク質前駆体、血清アルブミン前駆体、インター−α−トリプシンインヒビター軽鎖、血清アミロイドP成分前駆体、アポリポプロテインA−II前駆体、アポリポプロテインD前駆体、コリパーゼ前駆体、カルボキシペプチダーゼA1前駆体、α−s1カゼイン前駆体、βカゼイン前駆体、シスタチンSA前駆体、ホリトロピンβ鎖前駆体、グルカゴン前駆体、補体因子H前駆体、ヒスチジン−リッチ糖タンパク質前駆体、インターロイキン−5前駆体、α−ラクトアルブミン前駆体、Von Ebnerの腺タンパク質前駆体、マトリックスGla−タンパク質前駆体、α−1−酸糖タンパク質2前駆体、ホスホリパーゼA2前駆体、樹状細胞ケモカイン1、スタセリン(statherin)前駆体、トランスサイレチン前駆体、アポリポプロテインA−1前駆体、アポリポプロテインC−III前駆体、アポリポプロテインE前駆体、補体成分C8γ鎖前駆体、セロトランスフェリン(serotransferrin)前駆体、β−2−ミクログロブリン前駆体、好中球デフェンシン1前駆体、トリアシルグリセロールリパーゼガストリック前駆体、ハプトグロビン前駆体、好中球デフェンシン3前駆体、腫瘍原性1前駆体の神経芽細胞腫サプレッサー、小誘導性サイトカインA13前駆体、CD5抗原様前駆体、リン脂質移動タンパク質前駆体、dickkopf関連タンパク質−4−前駆体、エラスターゼ2B前駆体、α−1−酸糖タンパク質1前駆体、β−2−糖タンパク質1前駆体、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン前駆体、C反応性タンパク質前駆体、インターフェロンγ前駆体、κカゼイン前駆体、血漿レチノール結合タンパク質前駆体、インターロイキン−13前駆体、および表または配列表に示される任意の分泌タンパク質が挙げられる。
本明細書に記載の分泌リーダー配列、ベクターおよび方法は、例えば、分泌ポリペプチド、細胞外タンパク質、膜貫通タンパク質および可溶性レセプターのようなレセプターを含む、種々のポリペプチドの発現に有用である。このようなポリペプチドの例としては、限定はしないが、サイトカインおよび増殖因子、例えば、インターロイキン1−18、インターフェロン、リンホカイン、ホルモン、Regulated on Activation,Normal T Expressed and Secreted(RANTES)、リンホトキシン−β、Fasリガンド、flt−3リガンド、NF−κBのレセプターアクチベータについてのリガンド(ligand for receptor activator of NF−kappa B)(RANKL)、可溶性レセプター、TNF関連アポトーシス誘導性リガンド(TRAIL)、CD40リガンド、Ox40リガンド、4−1BBリガンド(およびTNFファミリーの他のメンバー)、胸腺間質由来リンホポイエチン、刺激因子、例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、阻害因子、肥満細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、表皮増殖因子、成長ホルモン、腫瘍壊死因子(TNF)、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチン−M、造血因子、例えば、エリスロポイエチンおよびトロンボポイエチン、ならびにこれらのいずれかのスプライシング改変体が挙げられる。
本発明によって発現され得るいくつかのタンパク質の説明は、例えば、Human Cytokines:Handbook for Basic and Clinical Research,第II巻(AggarwalおよびGutterman、編、Blackwell Sciences,Cambridge Mass,1998);Growth Factors:A Practical Approach(McKayおよびLeigh編、Oxford University Press Inc.,New York,1993)およびThe Cytokine Handbook(A.W.Thompson編;Academic Press,San Diego Calif.1991)に見出され得る。
任意の上述のタンパク質のレセプターはまた、例えば、両方の形態の腫瘍壊死因子レセプター(p55およびp75と呼ばれる)、インターロイキン−1レセプター(タイプ1および2)、インターロイキン−4レセプター、インターロイキン−15レセプター、インターロイキン−17レセプター、インターロイキン−18レセプター、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子レセプター、顆粒球コロニー刺激因子レセプター、オンコスタチン−Mおよび白血病阻害因子のレセプター、NF−κBのレセプターアクチベータ(receptor activator of NF−kappaB)(RANK)、TRAILのレセプター、および死亡ドメインを含むレセプター、例えば、Fasまたはアポトーシス誘導性レセプター(AIR)を含む、本明細書に記載の分泌リーダー配列、ベクターおよび方法を用いて発現され得る。
本明細書に記載の分泌リーダー配列、ベクターおよび方法を用いて発現され得る他のタンパク質としては、例えば、分化抗原のクラスター(CDタンパク質と呼ばれる)、例えば、Leukocyte Typing VI(Proceedings of the VIth International Workshop and Conference;Kishimoto,Kikutaniら編;Kobe,Japan,1996)に記載されるもの、またはその後のワークショップで開示されたCD分子が挙げられる。このような分子の例としては、CD27、CD30、CD39、CD40;およびそのリガンド(CD27リガンド、CD30リガンドおよびCD40リガンド)が挙げられる。これらのいくつかは、41BBおよびOX40も含む、TNFレセプターファミリーのメンバーであって;このリガンドはしばしば、TNFファミリーのメンバーである(4−1BBリガンドおよびOX40リガンドと同じく);従って、TNFおよびTNFRファミリーのメンバーはまた、本発明を用いて発現され得る。
酵素的に活性であるタンパク質はまた、本明細書に記載された分泌リーダー配列、ベクターおよび方法を使用して発現されてもよく、そして例えば、メタロプロテイナーゼ−ディスインテグリンファミリーのメンバー、種々のキナーゼ(ストレプトキナーゼおよび組織プラスミノーゲンアクチベータ、ならびにアンキリンリピートおよびIKR1および2を含む死亡関連キナーゼを含む)、TNFα変換酵素、および種々の他の酵素を包含する。酵素的に活性なタンパク質のリガンドはまた、本発明を適用することによって発現され得る。
本明細書に記載の分泌リーダー配列、ベクターおよび方法はまた、例えば、免疫グロブリン分子またはその部分、およびキメラ抗体(ヒト定常領域を有する抗体は、マウス抗原結合領域に結合する)またはそのフラグメントを含む他のタイプの組み換えタンパク質の発現について有用である。DNAコード免疫グロブリン分子を操作して、組み換えタンパク質、例えば、単鎖抗体、親和性の増大した抗体、または他の抗体に基づくポリペプチドをコードし得るDNAを生じ得る多くの技術が公知である(例えば、Larrickら、Biotechnology 7:934〜938,1989;Reichmanら、Nature 332:323〜327,1988;Robertsら、Nature 328:731〜734,1987;Verhoeyenら、Science 239:1534〜1536,1988;およびChaudharyら、Nature 339:394〜397,1989を参照のこと)。
(翻訳と同時および翻訳後の改変)
本発明は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化による、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解切断、または抗体分子もしくは他の細胞リガンドに対する連結によって、翻訳中または翻訳後に示差的に改変されるポリペプチドを包含する。任意の多数の化学的改変は、限定はしないが、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼによる特定の化学的な切断;NABH4、アセチル化;ホルミル化;酸化;還元;および/またはツニカマイシンの存在下の代謝合成を含む公知の技術によって行われてもよい。
本発明によって包含されるさらなる翻訳後改変としては、例えば、N連結またはO連結された炭水化物鎖(N末端またはC末端を保有する)、アミノ酸骨格に対する化学部分の結合、N連結またはO連結された炭水化物鎖の化学的改変、および原核生物宿主細胞発現の結果としてのN末端メチオニン残基の付加または欠失が挙げられる。ポリペプチドはまた、検出可能な標識、例えば、タンパク質の検出および単離を可能にする酵素、蛍光、同位体またはアフィニティー標識で改変されてもよい。
また、本発明のポリペプチドの化学的に改変された誘導体であって、このポリペプチドの可溶性、安定性および循環時間の増大、または免疫原性の低下のようなさらなる利点を提供し得る誘導体も本発明によって提供される(米国特許第4,179,337号を参照のこと)。誘導体の化学的部分は、水溶性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコールなどから選択され得る。このポリペプチドは、分子内の無作為な位置で、または分子内の所定の位置で改変されてもよく、そして1、2、3またはそれ以上の結合された化学部分を含んでもよい。
ポリマーは任意の分子量であってもよく、そして分枝されても未分枝であってもよい。ポリエチレングリコールについては、適切な分子量は、取り扱いおよび製造における容易さのために、約1kDaと約100kDaとの間である(この用語「約(about)」とは、ポリエチレングリコールの調製においては、ある程度の分子が言及された分子量よりも大きく、ある程度は小さいことを意味する)。所望の治療プロフィール(例えば、所望の徐放性の期間、もしあれば生物学的な活性に対する影響、取り扱いの容易さ、抗原性の程度または欠失、および治療タンパク質またはアナログに対するポリエチレングリコールの他の公知影響)次第で、他のサイズが用いられてもよい。
ポリエチレングリコール分子(または他の化学部分)は、このタンパク質の機能的なドメインまたは抗原性のドメインに対する影響を考慮してタンパク質に結合されなければならない。欧州特許0 401 384(G−CSFに対するPEGの結合)のような、当業者に利用可能な多数の結合技術が存在する;またMalikら、Exp.Hematol.20:1028〜1035(1992)(塩化トレシルを用いるGM−CSFのペグ化を報告している)も参照のこと。例えば、ポリエチレングリコールは、遊離のアミノ基またはカルボキシル基のような反応性の基を介してアミノ酸残基を介して共有結合されてもよい。反応性基とは、活性化されたポリエチレングリコール分子が結合され得る基である。遊離のアミノ基を有するアミノ酸残基としてはリジン残基およびN末端アミノ酸残基を挙げることができる;遊離のカルボキシル基を有する残基としては、アスパラギン酸残基 グルタミン算残基およびC末端アミノ酸残基を挙げることができる。スルフヒドリル基はまた、ポリエチレングリコール分子を結合するために反応性基として用いられ得る。治療目的に適切なのは、アミノ基での結合、例えば、N末端またはリジン基での結合である。
当業者は、N末端で化学的に修飾されたタンパク質を特に所望し得る。本発明の組成物の例示としてポリエチレングリコールを用いて、当業者は、種々のポリエチレングリコール分子から(分子量、分枝などによって)反応混合物中のタンパク質(ポリペプチド)分子に対するポリエチレングリコールの割合、行われるべきペグ化反応のタイプ、および選択されたN末端ペグ化タンパク質を得る方法を選択し得る。N末端でペグ化された調製物を得る(すなわち、必要に応じて他のモノペグ化(monopegylated)部分からこの部分を分離する)方法は、ペグ化タンパク質分子の集団からのN末端ペグ化物質の精製によるものであってもよい。N末端改変で化学的に改変された選択的なタンパク質は、特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なるタイプの一次アミノ基(リジン対N末端)の異なる反応性を引き出す還元性のアルキル化によって達成され得る。適切な反応条件下では、カルボニル基含有ポリマーとのN末端でのタンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。
(染色体アッセイ)
染色体マッピングに関する特定の実施形態では、本明細書に開示のcDNAを用いて、MGD−CSFのゲノム核酸をクローニングする。これは、一般に市販される種々の周知の技術およびライブラリーを用いて達成され得る。次いでゲノムDNAを、この目的について周知の技術を用いるインサイチュの染色体マッピングで用いる。従って、本発明の核酸分子はまた、染色体同定のために有用である。この配列は、特異的に標的されて、個々のヒト染色体上の特定の位置とハイブリダイズし得る。さらに、染色体上の特定の部位を同定する必要性が現在ある。実際の配列データ(反復多型)に基く、染色体位置をマーキングするために現在利用できる染色体マーキング試薬は少ない。本発明による染色体に対するDNAのマッピングは、それらの配列と疾患に関連する遺伝子とを関連づけるのにおいて重要な第一の工程である。
要するに、配列は、cDNAからPCRプライマーを調製することによって染色体にマッピングされ得る。3’非翻訳領域のコンピューター分析を、これによって増幅プロセスが複雑になるゲノムDNAにおける2つ以上のエキソンにまたがらないプライマーを迅速に選択するために用いる。次いで、これらのプライマーを、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために用いる。プライマーに対応するヒト遺伝子を含むハイブリッドのみが増幅フラグメントを生じる。
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の染色体に対して特定のDNAを割り当てるための迅速な手順である。同じオリゴヌクレオチドプライマーで本発明を用いて、亜局在性を特定の染色体由来のフラグメントのパネルまたは大きいゲノムクローンのプールで類似の方式で達成し得る。染色体をマッピングするために同様に用いられ得る他のマッピングストラテジーとしては、インサイチュハイブリダイゼーション、標識フローソート染色体でのプレスクリーニング(prescreening with labeled flow−sorted chrmosomes)および染色体特異的なcDNAライブラリーを構築するためのハイブリダイゼーションによる事前選択が挙げられる。
中期染色体開裂に対するcDNAクローンの蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を用いて、1工程で正確な染色体位置を得ることができる。この技術は、約50〜60塩基程度の短さのcDNAで用いられ得る。この技術の概説については、Vermaら、Human Chromosomes;A Manual of Basic Techniques,Pergamon Press,New York(1988)を参照のこと。
正確な染色体位置に対して一旦配列がマッピングされれば、染色体上の配列の物理的な位置は、遺伝子マップデータと相関され得る。(このようなデータは、例えば、Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを通じてオンラインで利用可能なV.McKusick,Mendelian Inheritance in Manで見出される)。次いで、同じ染色体領域にマッピングされている遺伝子と疾患との間の関係は、連鎖分析(物理的に隣接する遺伝子の共同相続)を通じて同定される。
次に、相違は、罹患個体および非罹患個体のcDNAまたはゲノム配列において決定され得る。変異が罹患した個体の数例または全てで観察されるが、任意の正常な個体では観察されないならば、この変異はこの疾患の原因因子であると考えられる。物理的なマッピングおよび遺伝子マッピングの技術の現在の分解能では、疾患に関連する染色体領域に正確に局在する1つのcDNAが、50〜500の潜在的な原因遺伝子のうちの1つであり得る(1メガベースのマッピング分解能および20kbあたり1遺伝子を仮定する)。
MGD−CSFをコードする遺伝子は、染色体16q22.1に位置する。連鎖分析の研究によって、16q22上の遺伝子は、家族性骨髄性白血病の原因に関与することが示唆される(Horwitzら、Am.J.Hum.Genetics 61:873〜881(1997))。11例の関係のある減数分裂伝達常染色体優性の急性骨髄性白血病および脊髄形成異常を含む家族でのこの研究においては、周知の白血病転移ブレークポイント領域である21q22.1−q22.2および9p22−p21に対する連鎖は排除した。Horwitzらは、マイクロサテライトマーカーD16S522を用いて、これらの疾患と、組み換えフラクションθ=0.0で2.82という最大2−ポイントロッドスコアとを関連付け、これによって16q22に対する連鎖の証拠を得た。ハプロタイプ分析によって、共通して、罹患した全ての家族のメンバーによって遺伝され、そしてD16S451からD16S289に伸長された、16q22の23.5−cM領域が示された。ノンパラメトリック連鎖分析によって、連鎖の条件付確率について0.00098というP値が得られた。突然変異解析は、多くの増殖応答性遺伝子および増殖促進遺伝子に存在する、ATリッチミニサテライトリピートFRA16B染色体不安定部の伸長およびE2F−4転写因子におけるCAG三ヌクレオチドリピートを排除した。予測に関連する動的突然変異を検出し得る、「反復伸長検出(repeat expansion detection)」法はより一般的に、この家族における白血病の原因として、大きいCAGリピートを排除した。MGD−CSFは、染色体16q22.1に位置する。従って、これは潜在的に、急性骨髄性白血病および脊髄形成異常においてある役割を果たし得、そしてこれらの疾患を処置するために用いられ得る。
(治療組成物および処方物)
本発明のポリペプチド、アゴニストおよびアンタゴニストは、非経口投与のための薬学的組成物を含むために適切な薬学的なキャリアと組み合わせて使用され得る。このような組成物は、治療上有効な量のポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む。このようなキャリアとしては、限定はしないが、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストラン、水、グリセロール、エタノールおよびそれらの組み合わせが挙げられる。この処方物は投与の様式に適合しなければならない。
MGD−CSFポリペプチド組成物は、個々の被験体の臨床的な条件、MGD−CSFポリペプチド組成物の送達部位、投与方法、投与の計画、および医師に公知の他の要因を考慮して、適正な医療行為(good medical practice)に一致した方式で処方されて投与される。従って、本明細書の目的のためのMGD−CSFポリペプチドの有効量は、このような考慮によって決定される。
本発明はまた、本発明の薬学的組成物の成分の1つ以上で充填された1つ以上の容器を含む薬学的なパックまたはキットを提供する。このような容器(単数または複数)に付随するのは、薬学的製品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府の機関によって規定された形態の注意書きであり得、この注意書きは、ヒトの投与のための製造、使用または販売の機関による承認を反映する。さらに、本発明のポリペプチド、アゴニストおよびアンタゴニストは、他の治療化合物と組み合わせて使用され得る。
薬学的組成物は、従来の方式で、例えば、経口、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内または皮内の経路によって投与され得る。この薬学的組成物は、特定の適応の処置および/または予防のために有効である量で投与される。一般には、それらの薬学的組成物は、体重1kgあたり少なくとも約10μgの量で投与され、ほとんどの場合、それらは、1日あたり体重1kgあたり約8ミリグラムという過剰でない量で投与される。
本発明のポリペプチド、ならびにポリペプチドであるアゴニストおよびアンタゴニスト化合物はまた、インビボにおけるこのようなポリペプチドの発現、すなわち遺伝子治療によって本発明に従って使用され得る。従って、例えば、細胞は、エキソビボにおいてポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)で操作されてもよい;次いで、この操作された細胞は患者に提供される。このような方法は当該分野で周知である。例えば、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルス粒子の使用による当該分野で公知の手順によって、細胞は操作され得る。
同様に、細胞は、例えば、当該分野で公知の手順によって、インビボでポリペプチドを発現するためにインビボで操作されてもよい。当該分野で公知のとおり、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含有するレトロウイルス粒子を産生する細胞は、インビボで細胞を操作する、そしてインビボでポリペプチドを発現する目的のために患者に投与されてもよい。類似の方法による本発明のポリペプチドを投与するためのこれらの方法および他の方法は、本発明の教示から当業者には明白であるはずである。例えば、細胞を操作するための発現ビヒクルは、適切な送達ビヒクルとの組み合わせ後にインビボで細胞を操作するために用いられ得る、レトロウイルス粒子以外の、例えば、アデノウイルスであってもよい。
本明細書において上記で言及されるレトロウイルスプラスミドベクターが由来するレトロウイルスとしては、限定はしないが、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ(Harvey)肉腫ウイルス、サル白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス(HIV)、骨髄増殖性肉腫ウイルスおよび乳腺腫瘍ウイルスが挙げられる。
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、適切なプロモーターの制御下である。本発明のベクターは1つ以上のプロモーターを含む。使用され得る適切なプロモーターとしては、限定はしないが、レトロウイルス長末端反復配列(long terminal repeat)(LTR);SV40プロモーター;およびMillerら、Biotechniques,第7巻第9号,980〜990(1989)に記載のヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、または任意の他の相同なまたは異種のプロモーター、例えば、限定はしないが、ヒストン、polIIIおよびβアクチンプロモーターを含む真核生物細胞プロモーターのような細胞プロモーターが挙げられる。使用され得る他のウイルスプロモーターとしては、限定はしないが、アデノウイルスプロモーター、例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター;チミジンキナーゼ(TK)プロモーター;およびB19パルボウイルスプロモーターが挙げられる。
適切なプロモーターとしては、限定はしないが、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)プロモーター;誘導性プロモーター、例えば、MMTプロモーター、メタロチオネインプロモーター;熱ショックプロモーター;アルブミンプロモーター;ApoA1プロモーター;ヒトグロビンプロモーター;ウイルスチミジンキナーゼプロモーター、例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター;レトロウイルスLTR(本明細書において上記される改変レトロウイルスLTRを含む);βアクチンプロモーター;およびヒト成長ホルモンプロモーターが挙げられる。このプロモーターはまた、このポリペプチドをコードする遺伝子を制御する天然のプロモーターであってもよい。適切なプロモーターの選択は、本明細書に含まれる教示から当業者に明白になる。
レトロウイルスプラスミドベクターを使用し、パッケージング細胞株を形質導入して、プロデューサー細胞株を形成してもよい。トランスフェクトされ得るパッケージング細胞の例としては、限定はしないが、Miller,Human Gene Therapy,1:5〜14(1990)に記載されるようにPE501、PA317、PA12、T19−14X、VT−19−17−H2、CRE、CRIP、GP+E−86、GP+envAm12およびDNA細胞株が挙げられる。このベクターは、当該分野で公知の任意の方法を通じてパッケージング細胞を形質導入し得る。このような方法としては、限定はしないが、エレクトロポレーション、リポソームの使用およびCaPO4沈殿が挙げられる。別の1方法では、レトロウイルスプラスミドベクターは、リポソーム中にカプセル化されてもよいし、または脂質に結合されて、次いで宿主に投与されてもよい。
プロデューサー細胞株は、このポリペプチドをコードする核酸配列(単数または複数)を含む感染性レトロウイルスベクター粒子を生成する。次いで、このようなレトロウイルスベクター粒子を使用して、インビトロまたはインビボのいずれかで真核生物細胞を形質導入し得る。この形質導入された真核生物細胞は、ポリペプチドをコードする核酸配列(単数または複数)を発現する。形質導入され得る真核生物細胞としては、限定はしないが、胚性幹細胞、胚性癌腫細胞、ならびに造血幹細胞、肝細胞、線維芽細胞、骨髄芽球、ケラチノサイト、内皮細胞および気管支上皮細胞が挙げられる。
ある実施形態では、MGD−CSF組成物は、その広範な種々が当該分野で公知である薬学的に受容可能な賦形剤とともに処方物中に提供される(Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons:Drugfacts Plus,第20版(2003);Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第7版、Lippencott Williams and Wilkins(2004);Kibbeら,Handbook of Pharmaceutical Excipients,第3版、Pharmaceutical Press(2000))。薬学的に受容可能な賦形剤、例えば、ビヒクル、アジュバント、キャリアまたは希釈剤は、公的に入手可能である。さらに薬学的に受容可能な補助物質、例えば、pH調節剤および緩衝化剤、毒性調節剤、安定化剤、保湿剤などは公的に入手可能である。
薬学的な剤形では、本発明の組成物は、それらの薬学的に受容可能な塩の形態で投与されてもよく、またはそれらはまた、単独または適切な関連で、そして他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて用いられてもよい。本発明の組成物は、潜在的な投与の方式に従って処方される。因子の投与は、経口、口腔内、経鼻、直腸、非経口、腹腔内、皮内、経皮、皮下、静脈内、動脈内、心臓内、心室内、頭蓋内、気管内およびクモ膜下腔内の投与などを含む種々の経路で、そうでなければ移植または吸入によって達成されてもよい。従って、本発明の組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、浣腸、注射、吸入、およびエアロゾルのような固体、半固体、液体または気体の形態で調製物に処方されてもよい。以下の方法および賦形剤は単に例示であって、決して限定ではない。
経口投与のための組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、顆粒、カプセル、徐放性処方物、経口リンスまたは粉末を形成し得る。経口調製物のためには、因子、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、単独で、または適切な添加物と、例えば、従来の添加物、例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチまたはジャガイモデンプンと;結合剤、例えば、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンと;崩壊薬、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムと;潤滑剤、例えば、滑石またはステアリン酸マグネシウムと;そして必要に応じて、希釈剤、緩衝化剤、保湿剤、防腐剤および香味料と組み合わされて用いられてもよい。
適切な賦形剤ビヒクルは、例えば、水、生理食塩水、デキストラン、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。さらに、所望の場合、このビヒクルは、わずかな量の補助物質、例えば、保湿剤または乳化剤またはpH緩衝化剤を含んでもよい。このような剤形を調製する現実的な方法は、公知であるか、または当業者(Gennaro、前出)に明白である。投与されるべき組成物または処方物は、処置されている被験体における所望の状態を達成するために適切な十分な量の因子を含む。
この因子、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、水性または非水性の溶媒、例えば植物油または他の同様の油、合成脂肪酸グリセリド、より高級の脂肪酸またはプロピレングリコールのエステル中でそれらを溶解、懸濁ままたは乳化することによって;そして所望の場合、従来の添加物、例えば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤および防腐剤とともに、注射のための調製物中に処方され得る。経口または非経口送達のための他の処方物はまた、当該分野における習慣どおりに用いられ得る。
抗体、因子、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、吸入を介して投与されるべきエアロゾル処方物中で利用されてもよい。本発明の化合物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような加圧された受容可能な噴霧剤中に処方され得る。さらに、因子、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド組成物は、当該分野の習慣どおり、経鼻的または吸入による投与のための粉末形態に変換されてもよい。
さらに、この因子は、乳化基剤または水溶性基剤のような種々の基剤と混合することによって坐剤に作成され得る。本発明の組成物は、坐剤を介して直腸投与されてもよい。この坐剤は、室温では凝固したままであるが体温では融ける、ココアバター、カーボワックスおよびポリエチレングリコールのようなビヒクルを含んでもよい。
ポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは他の修飾因子はまた、他の経路、例えば、ウイルス感染、マイクロインジェクションまたは小胞融合によって組織または宿主細胞に導入されてもよい。例えば、発現ベクターは、上記のように細胞に核酸組成物を導入するために用いられ得る。さらに、ジエット注入を、筋肉内投与のために用いてもよい(Furthら、Anal.Biochem.205:365〜368(1992))。DNAは、金粒子上にコーティングされてもよく、そして文献(Tangら、Nature 356:152〜154(1992))に記載されるように、金微粒子(gold microprojectiles)がDNAでコーディングされており、次いで皮膚細胞に発射される、微粒子銃デバイスまたは「遺伝子銃(gene gun)」によって皮内に送達されてもよい。
経口または直腸投与のための単位剤形、例えば、シロップ、エリキシルおよび懸濁剤が提供され得、ここで各々の投与単位、例えば、茶さじ一杯、テーブルスプーン一杯、錠剤または坐剤は、1つ以上の因子を含む組成物の所定の量を含む。同様に、注射または静脈投与のための単位剤形は、滅菌水、生理食塩水または別の薬学的に受容可能なキャリア中の溶液として組成物に因子(単数または複数)を含んでもよい。
(因子およびアンタゴニストの同定)
本発明は、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび他の因子を含む修飾因子であって、それらの標的の活性を増大または減少させる修飾因子を提供する。本発明の修飾因子は、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用し得、そしてポリペプチドまたはポリヌクレオチドの結合または活性を妨げ得る。このような修飾因子、または因子としては、例えば、アゴニストであってもアンタゴニストであっても、ポリペプチド改変体;アゴニストであってもアンタゴニストであっても、抗体;通常アンタゴニストである、可溶性レセプター;アゴニストであってもアンタゴニストであっても、低分子薬物;通常アンタゴニストである、RNAi;通常アンタゴニストである、アンチセンス分子;および通常アンタゴニストであるリボザイムが挙げられる。ある実施形態では、因子は、本発明のポリペプチドであり、この本発明のポリペプチドはそれ自体が個体に投与される。ある実施形態では、因子は、本発明の「標的(target)」ポリペプチドに特異的な抗体である。ある実施形態では、因子は、経口的に利用可能な薬物として有用であり得る化合物、例えば、低分子である。このような調節としては、調節に直接影響する他の分子の補充を包含する。例えば、細胞表面上のレセプターである本発明のポリペプチドの活性を調節する抗体は、このレセプターに結合して補体を固定し得、補体カスケードを活性化して、細胞の溶解を生じる。本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの生物学的活性を調節する因子は、適切なコントロールと比較した場合、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約80%、または少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍以上、活性または結合を増大または減少する。
本発明はまた、本発明のポリペプチドの生物学的活性を調節する化合物を同定するために化合物をスクリーニングする方法を提供する。本発明のポリペプチドの生物学的活性の例は、本明細書において詳細に、例えば、実施例および図面に記載される。
本発明はさらに、上記のような、本発明のポリペプチドのレセプターを発現する哺乳動物細胞または膜調製物が、化合物の存在下で本発明の標識されたポリペプチドとともにインキュベートされる方法を提供する。次いで、化合物がこの相互作用を増強またはブロックする能力が測定される。あるいは、スクリーニングされるべき化合物およびMGD−CSFレセプターの相互作用後の公知の第二のメッセンジャー系の応答を測定して、この化合物がレセプターに結合して第二のメッセンジャー応答を惹起する能力を測定し、この化合物が潜在的なアゴニストであるかアンタゴニストであるかを決定する。このような第二のメッセンジャー系としては、限定はしないが、cAMP、グアニル酸シクラーゼ、イオンチャネルおよびホスホイノシチド加水分解によって媒介される系が挙げられる。
アンタゴニスト化合物の例としては、抗体、またはある場合には、オリゴヌクレオチドが挙げられ、これは、本発明のポリペプチドのレセプターに結合するが、第二のメッセンジャー応答を惹起しないか、またはMGD−CSFポリペプチド自体に結合する。あるいは、潜在的なアンタゴニストは、レセプターに結合するが、第二のメッセンジャー応答を惹起せず、従って、ポリペプチドの作用を効率的にブロックするポリペプチドの変異型であってもよい。
MGD−CSF遺伝子および遺伝子産物に対して拮抗性の別の化合物は、アンチセンス技術を用いて調製されたアンチセンス構築物である。アンチセンス技術を用いて、三重らせん形成またはアンチセンスDNAもしくはRNAを通じて遺伝子発現は制御してもよい;両方の方法とも、DNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドの結合に基づく。例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の5’コード部分を用いて、約10〜約40塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計してもよい。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子のある領域、例えば、三重らせんに対して相補的であるように設計され;Leeら、Nucl.Acid Res.,6:3073(1979);Cooneyら、Science,241:456(1988);およびDervanら、Science,251:1360(1991)を参照のこと;これによって本発明のポリペプチドの転写および産生を妨げる。このアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズして、Okano,J.Neurochem.,56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,Fla.(1988)に記載されるように、mRNA分子のポリペプチドへの翻訳をブロックする。上記のオリゴヌクレオチドはまた、アンチセンスRNAまたはDNAがインビボで発現されてポリペプチド産生を阻害するように、細胞に送達されてもよい。
潜在的なアンタゴニスト化合物としてはまた、レセプターの結合部位に結合してこれを専有し、それによってこのレセプターをそのポリペプチドに接近不能にさせ、その結果正常な生物学的活性が妨げられるような低分子が挙げられる。低分子の例としては、限定はしないが、低分子ペプチドまたはペプチド様分子が挙げられる。アンタゴニスト化合物を使用して、実施例および図面にさらに詳細に記載されるように、本発明のポリペプチドの効果を阻害し得る。アンタゴニストは、下にさらに詳細に記載されるように、免疫関連疾患を、診断し、予後を決定し、予防し、そして処置するために使用されてもよい。
本発明はまた、細胞上のMGD−CSF分子の作用を増強またはブロックする因子、例えば抗体を同定するための方法を提供する。例えば、これらの因子は、レセプターのようなMGD−CSF結合分子の相互作用を増強またはブロックし得る。目的の因子としては、アゴニストおよびアンタゴニストの両方が挙げられる。本発明は、MGD−CSFの天然の生物学的機能を増大し、MGD−CSFと同様の様式で機能するアゴニストを提供する。本発明はまた、MGD−CSFの機能を減少または排除するアンタゴニストを提供する。
MGD−CSFアゴニストおよびアンタゴニストを同定する1方法は、細胞下分画後の生化学的アッセイを包含する。例えば、細胞区分、例えば、膜または細胞質調製物は、MGD−CSF分子によって調節されるシグナル伝達または調節経路の分子のようなMGD−CSF分子に結合する分子を発現する細胞から調製され得る。細胞下の分画方法は、細胞生物学の分野で公知であり、そして別個のおよび規定の成分、例えば、オルガネラまたはオルガネラ膜を有する粗画分を生成するために仕立てられてもよい。この調製物は、MGD−CSFアゴニストまたはアンタゴニストであってもよい、候補分子の有無において標識されたMGD−CSF分子とともにインキュベートされる。候補分子が結合分子またはMGD−CSF分子と相互作用する能力は、標識されたリガンドの結合の減少に反映される。根拠も無く結合する、すなわち、MGD−CSF分子の効果を誘導することなく結合する分子はほとんどアンタゴニストであると考えられる。十分に結合してMGD−CSF分子と同じか密接に関連する効果を発揮する分子は潜在的に、アゴニストであることが証明され得る。
潜在的なアゴニストおよびアンタゴニストの効果は、例えば、候補分子と細胞または適切な細胞調製物との相互作用後の第二のメッセンジャー系の1つ以上の成分の活性を決定すること、およびこの効果とMGD−CSF分子の効果と、またはMGD−CSFと同じ効果を発揮する分子の効果とを比較することによって測定され得る。これに関して有用であり得る第二のメッセンジャー系としては、限定はしないが、cAMP、cGMP、イオンチャネルおよびホスホイノシチド加水分解第二メッセンジャー系が挙げられる。
MGD−CSFアンタゴニストの同定のためのアッセイの別の例は、MGD−CSF分子および潜在的なアンタゴニストの混合物と、膜結合したMGD−CSFレセプター分子とを合わせる競合アッセイである。競合阻害アッセイのための適切な条件下では、このアッセイはまた、組み換えMGD−CSFレセプター分子を用いて行われてもよい。MGD−CSF分子は、レセプター分子に結合されたMGD−CSF分子の数が潜在的なアンタゴニストの有効性を評価するために正確に決定され得るように、放射能などによって標識されてもよい。
潜在的なアンタゴニストとしては、本発明のポリペプチドに結合し、それによってその活性を阻害または無効にさせる低有機分子、ポリペプチドおよび抗体が挙げられる。潜在的なアンタゴニストはまた、MGD−CSF誘導性活性を誘導することなく、これによって結合からMGD−CSF分子を排除することによってMGD−CSF分子の作用を防止する、レセプター分子のような結合分子上の同じ部位に結合する密接に関連するタンパク質または抗体のような低有機分子、ポリペプチドであってもよい。本発明のアンタゴニストとしては、配列表に示される核酸およびアミノ酸の配列を有するMGD−CSF分子のフラグメントが挙げられる。
他の潜在的なアンタゴニストとしては、アンチセンス分子が挙げられる。アンチセンス技術は、例えば、アンチセンスDNAもしくはRNAを通じて、または三重らせん形成を通じて遺伝子発現を制御するために用いられ得る。アンチセンス技術は、例えば、Okano,J.Neurochem.,56:560(1991);Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression,CRC Press,Boca Raton,Fla(1988)に考察される。三重らせん形成は、例えば、Leeら、Nucleic Acids Research,6:3073(1979);Cooneyら、Science 241:456(1988);ならびにDervanら、Science,251:1360(1991)に考察される。この方法は、相補的なDNAまたはRNAに対するポリヌクレオチドの結合に基づく。例えば、本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’コード部分は、約10〜約40塩基対の長さのアンチセンスRNAオリゴヌクレオチドを設計するために用いられ得る。DNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子の領域に相補的であり、それによってMGD−CSF分子の転写および引き続く生成を妨げるように設計される。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドは、インビボでmRNAにハイブリダイズして、MGD−CSFポリペプチドへのmRNA分子の翻訳をブロックする。上記のオリゴヌクレオチドはまた、細胞に送達され得、その結果、アンチセンスRNAまたはDNAが、インビボで発現されてMGD−CSF分子の生成を阻害し得る。
(診断)
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列における変異の存在に関する疾患または疾患に対する感受性を検出するための診断アッセイの一部として本発明の遺伝子および遺伝子産物の使用に関する。本発明の遺伝子における変異を担持する個体は、種々の技術によってDNA標識で検出され得る。診断のための核酸は、患者の細胞から、例えば、血液、尿、唾液、組織生検および剖検物質などから得ることができる。ゲノムDNAは、検出のために直接用いられてもよく、または、分析の前に、例えば、Saikiら、Nature,324:163〜166(1986)によって記載されるうように、PCRを用いることによって酵素的に増幅されてもよい。RNAまたはcDNAも、同じ目的のために用いられてもよい。一例として、本発明のポリペプチドをコードする核酸に対して相補的なPCRプライマーを用いて、変異体を同定および分析してもよい。例えば、欠失および挿入は、正常な遺伝子型と比較して増幅生成物のサイズの変化によって検出され得る。点変異は、放射性標識されたRNA、あるいは放射性標識されたアンチセンスDNA配列に対して増幅されたDNAをハイブリダイズすることによって同定され得る。完全にマッチした配列は、RNaseA消化によって、または融解温度の相違によってミスマッチの二重鎖から識別され得る。
DNA配列の相違に基づく遺伝子試験は、変性剤の有無でゲル泳動中のDNAフラグメントの電気泳動移動度の変化を検出することによって達成され得る。小さい配列欠失および挿入は、高い解像度のゲル電気泳動によって可視化され得る。異なる配列のDNAフラグメントは、例えば、Myersら、Science,230:1242(1985)に記載のように、その特定の融点または部分的な融点に従って種々の位置で、種々のDNAフラグメントの移動度が遅れる変性ホルムアミド勾配ゲルで識別され得る。
特定の位置での配列変化はまた、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.,85:4397〜4401(1985)に示されるように、RNaseおよびS1保護または化学的な切断方法のような、ヌクレアーゼ保護アッセイによって明らかにされ得る。従って、特定のDNA配列の検出は、ハイブリダイゼーション、RNase保護、化学的切断、直接DNA配列決定または制限酵素の使用、例えば、制限フラグメント長多形性(Restriction Fragment Length Polymorphisms)(RFLP)およびゲノムDNAのサザンブロッティングのような方法によって達成され得る。さらに便利なゲル電気泳動およびDNA配列決定に加えて、変異はまた、インサイチュの分析によって検出されてもよい。
本発明はまた、種々の組織におけるMGD−CSFタンパク質の変化したレベルを検出するための診断アッセイに関する。正常なコントロール組織サンプルと比較したこれらのタンパク質の過剰発現は、異常な細胞増殖、例えば腫瘍の存在を検出し得る。宿主由来のサンプル中のタンパク質レベルを検出するために用いられるアッセイは、当業者に周知であり、そしてこれには、ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロット分析、ELISAアッセイ、「サンドイッチ(sandwich)」アッセイ、および当該分野で公知のMGD−CSFタンパク質をコードする遺伝子の発現レベルについての他のアッセイが挙げられる。発現は、生物学的サンプル中において、MGD−CSFタンパク質のレベル、またはMGD−CSFタンパク質をコードするmRNAのレベルを質的にまたは定量的に測定または評価することによってアッセイされ得る。アッセイは、直接的に、例えば、絶対的なタンパク質レベルもしくはmRNAレベルを検出または評価することによって、または第二の生物学的サンプルに対してMGD−CSFタンパク質もしくはmRNAを比較することによって、相対的に行なわれ得る。これらのアッセイを行うことにおいては、第一の生物学的サンプル中のMGD−CSFタンパク質またはmRNAレベルは、測定されるかまたは評価されるか、そして標準的なMGD−CSFタンパク質のレベルまたはmRNAのレベルに対して比較される;適切な標準物としては、目的の障害を有さない個体から得られた第二の生物学的サンプルが挙げられる。標準物は、MGD−CSF発現に関連する障害を有さない個体の集団におけるMGD−CSFのレベルを平均することによって得てもよい。当該分野で理解されるとおり、標準的なMGD−CSFタンパク質のレベルまたはmRNAのレベルが一旦明らかになれば、比較のための標準物として繰り返し用いられ得る。
例えば、Coliganら、Current Protocols in Immunology,1(2)、第6章(1991)によって記載されるようなELISAアッセイは、本発明のポリペプチド抗原に対する特異性で調製された抗体を利用する。さらに、レポーター抗体は、モノクローナル抗体に対して調製される。レポーター抗体に対して、放射性タグ、蛍光タグまたは酵素タグ、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼのような検出試薬が結合される。サンプルを宿主から取り出して、サンプル中のタンパク質に結合する固体支持体、例えば、ポリスチレンのディッシュ上でインキュベートする。次いで、このディッシュ上の任意の遊離のタンパク質結合部位を、非特異的なタンパク質、例えば、ウシ血清アルブミンとともにインキュベートすることによってカバーする。次に、特定の抗体、例えば、モノクローナル抗体を、ディッシュ中でインキュベートして、この間に抗体は、ポリスチレンディッシュに結合した本発明の任意のポリペプチドに結合する。全ての未結合のモノクローナル抗体を緩衝液で洗い流す。レポーター抗体、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合されたレポーター抗体を、このディッシュに入れて、目的のタンパク質に結合した任意の抗体に対するレポーター抗体の結合を生じる;次いで、未結合のレポーター抗体を取り出す。次いで、基質、例えば、ペルオキシダーゼをこのディッシュに加えて、シグナルを生じた色、例えば、所定の期間で発色した色の量によって、標準に対して比較した場合、所定の容積の患者サンプルに存在する本発明のポリペプチドの量の測定を行う。
本発明のポリペプチドに特異的な抗体が固体支持体に結合されており、そして標識されたMGD−CSFが宿主由来のサンプルとともに、この固体支持体を通過される競合アッセイを使用してもよい。標識は、例えば、液体シンチレーションクロマトグラフィーによって検出および定量され得、そしてその測定は、サンプル中に存在する目的のポリペプチドの量に相関し得る。「サンドイッチ(sandwich)」アッセイが、ELISAアッセイと同様に使用されてもよく、ここで本発明のポリペプチドは、固体支持体を通過されて、固体支持体に対して結合された抗体モジュールに結合する。次いで、第二の抗体が目的のポリペプチドに結合される。標識されて第二の抗体に特異的である第三の抗体が次に、固体支持体を通過して、第二の抗体に結合される。抗体結合の量は、定量され得る;その量は、目的のポリペプチドの量と相関する。例えば、米国特許第4,376,110号を参照のこと。
本発明の生物学的サンプルは、MGD−CSFのタンパク質またはmRNAを含む被験体、体液、細胞株、組織培養物または他の供給源から得られた任意の生物学的サンプルを包含し得る。示されたとおり、生物学的サンプルとしては、遊離のMGD−CSFタンパク質を含む体液(例えば、血清、血漿、尿、滑液および脊髄液)、完全なまたは成熟MGD−CSFポリペプチドまたはMGD−CSFレセプターを発現することが見出された卵巣または腎臓系の組織および他の組織供給源が挙げられる。哺乳動物から組織生検および体液を得るための方法は当該分野で周知である。生物学的サンプルがmRNAを含むものである場合、組織生検が供給源を提供し得る。
総細胞RNAは、ChomczynskiおよびSacchi、Anal.Biochem.,162:156〜159(1987)に記載される単一工程グアニジウム−チオシアネート−フェノール−クロロホルム法のような任意の適切な技術を用いて生物学的サンプルから単離され得る。次いで、MGD−CSFタンパク質をコードするmRNAのレベルは任意の適切な方法を用いてアッセイされ得る。これらの方法としては、ノーザンブロット分析、S1ヌクレアーゼマッピング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ポリメラーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT−PCR)、およびリガーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT−LCR)が挙げられる。
総細胞RNAは、ChomczynskiおよびSacchi、Anal.Biochem.,162:156〜159(1987)に記載される単一工程グアニジウム−チオシアネート−フェノール−クロロホルム法のような任意の適切な技術を用いて生物学的サンプルから単離され得る。次いで、MGD−CSFタンパク質をコードするmRNAのレベルは任意の適切な方法を用いてアッセイされ得る。これらの方法としては、ノーザンブロット分析、S1ヌクレアーゼマッピング、PCR、PCRと組み合わせた逆転写(RT−PCR)、およびリガーゼ連鎖反応と組み合わせた逆転写(RT−LCR)が挙げられる。
生物学的サンプルにおいてMGD−CSFタンパク質レベルをアッセイすることは、抗体ベースの技術を用いて行われ得る。例えば、組織中のMGD−CSFタンパク質発現は、古典的な免疫組織学的方法、例えば、Jalkanen,Mら、J.Cell.Biol.,101:976〜985(1985);Jalkanen,Mら、J.Cell.Biol.,105:3087〜096(1987)を用いて研究され得る。MGD−CSFタンパク質遺伝子発現を検出するために有用な他の抗体ベースの方法としては、イムノアッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)が挙げられる。適切な抗体アッセイ標識が当該分野で公知であり、そして酵素標識、例えば、グルコースオキシダーゼ、放射性同位体および蛍光標識、例えば、フルオレセインおよびローダミン、ならびにビオチンが挙げられる。
個体から得られた生物学的サンプルにおいてMGD−CSFタンパク質のレベルをアッセイすることに加えて、MGD−CSFタンパク質はまた、画像化によってインビボで検出されてもよい。MGD−CSFタンパク質のインビボ画像化のための抗体標識またはマーカーとしては、X線撮影、NMRまたはESRによって検出可能なものが挙げられる。X線撮影のためには、適切な標識としては、検出可能な放射線を照射するが、被験体に対しては露骨に有害ではない放射性同位体、例えば、バリウムまたはセシウムが挙げられる。NMRおよびESRに適切なマーカーとしては、検出可能な特徴的なスピンを有するマーカー、例えば、重水素が挙げられ、これは、関連のハイブリドーマの栄養素の標識によって抗体に取り込まれ得る。
放射性同位体、放射線不透過性物質、または核磁気共鳴によって検出可能な物質などの適切な検出可能な画像化部分で標識されているMGD−CSFタンパク質特異的な抗体または抗体フラグメントは、例えば、免疫系の障害について試験されるべき被験体に、非経口的に、皮下でまたは腹腔内で導入される。当該分野では、用いられる被験体および画像化システムのサイズが、診断画像を生成するために必要な画像化部分の量を決定することが理解される。次いで、標識された抗体または抗体フラグメントは、MGD−CSFタンパク質を含む細胞の位置で蓄積する。インビボの腫瘍画像化は、Burchielら編、第13章、Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer,Masson Publishing,Inc.(1982)に記載される。
(MGD−CSFの分子、アゴニストおよびアンタゴニストの治療的な使用)
本発明の分子ならびにそのフラグメントおよび改変体は、MGD−CSFの不完全なまたは不十分な量によって、直接または間接的に媒介される任意の障害についての診断、予後予測、予防、処置および処置の開発において用いられ得る。MGD−CSFポリペプチド、アゴニストまたはアンタゴニストは、このような障害に罹患している患者に投与され得る。遺伝子治療アプローチは、このような障害を処置するために適用され得る。本発明の配列の本明細書における開示によって、欠損性のMGD−CSF関連遺伝子の検出、および正常または修正後の遺伝子でのそれらの置換が可能になる。欠陥遺伝子は、インビトロの診断アッセイにおいて、そして欠損を保有することが疑われる患者由来の遺伝子の配列と本発明の配列との比較によって検出され得る。
本発明の分子、例えば、組み換えMGD−CSFは、種々の細胞タイプの増殖に対して複数の影響を有し得、そして種々の条件下での同じ細胞タイプの増殖および分化に対して複数の影響を有し得る。MGD−CSFが増殖および/または分化を阻害する条件下では、組み換えMGD−CSFまたは関連の分子は、異常な増殖および/または分化によって特徴付けられる疾患を処置するために用いられ得る。MGD−CSFが増殖および/または分化を促進する条件下では、MGD−CSFまたは関連の分子に対して阻害性である因子を用いて、異常な増殖および/または分化によって特徴付けられる疾患を処置し得る。適切なインヒビターが本明細書において記載されており、そしてこれには、阻害性抗体、低分子インヒビター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAおよび可溶性レセプターを挙げることができる。
(疾患適用)
本発明の分子は、ガン、免疫疾患、例えば、自己免疫疾患または炎症性疾患、虚血性疾患、感染性疾患、骨疾患および神経疾患を処置するために有用である。本発明の分子は、腫瘍細胞またはガン細胞の増殖を阻害するために、そしてガンを処置するために有用である。従って、本発明の分子は、動物のガンの処置のための種々の設定において用いられ得る。本発明の分子で処置され得る他の特定のライプのガンとしては、限定はしないが、以下に開示されるガンが挙げられる。
MGD−CSFは、骨髄での造血細胞の保持、増殖および生存においてある役割を果たし得る。従って、化学療法または放射線療法を受けているガン患者における造血細胞(例えば、好中球)欠損の処置においてMGD−CSFは有用であり得る。
本発明の分子は、リンパ節腫脹を生じるリンパ増殖性疾患を処置するために使用され得る。本発明の分子は、T細胞のクローン欠失を刺激することによってアポトーシスを媒介し得、従って末梢寛容を刺激する自己免疫疾患および細胞毒性T細胞媒介性アポトーシスを処置するために使用され得る。本発明の分子はまた、アレルギーの、そして全身性エリテマトーデス(SLE)、グレーブス病、免疫増殖性リンパ節腫脹(IPL)、血管免疫増殖性リンパ節腫脹(AIL)、免疫芽球性リンパ節腫脹(IBL)、関節リウマチ、糖尿病、および多発性硬化症を含む自己免疫障害の生物学を解明するのにおける研究ツールとして、そして移植片対宿主病を処置するために使用され得る。
本発明の分子は、自己免疫疾患もしくは炎症性疾患を生じる細胞を殺傷するかもしくはその複製を阻害するために、または自己免疫疾患もしくは炎症性疾患を処置するために有用である。従って、それらは、動物における自己免疫疾患または炎症性疾患の処置のための種々の設定において用いられ得る。
本発明の分子はまた、限定はしないが、自己免疫障害、免疫不全障害および移植片対宿主病、および再発性流産を含む疾患を処置、予防、診断および/または予後予測を決定するために有用であり得る。さらに、本発明の分子は、一時的な免疫不全を有する個体の中で免疫応答性をブーストするための因子として使用され得る。本発明の分子を投与することによって寛解または処置され得る一時的な免疫不全を生じる状態としては、限定はしないが、ウイルス感染(例えば、インフルエンザ、感染性単核球症または麻疹)のような感染性疾患からの回復、栄養失調に関連する状態、ストレスからの回復またはそれに関連する状態、輸血からの回復、および手術からの回復が挙げられる。
本発明の分子はまた、以下の疾患、障害またはそれに関連する状態のうちの1つ以上を診断、その予後を確認、処置、または予防するために用いられ得る:原発性免疫不全、免疫媒介性血小板減少症、川崎症候群、骨髄移植(例えば、成人または小児での最近の骨髄移植)、慢性B細胞リンパ球白血病、HIV感染(例えば、成人または小児のHIV感染)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、および輸血後紫斑病。
さらに、本発明の分子は、以下の疾患、障害またはそれに関連する状態のうちの1つ以上を診断、その予後を確認、処置、または予防するために用いられ得る:ギラン・バレー症候群、貧血(例えば、パルボウイルスB19に関連する貧血、感染のリスクが高い(例えば、再発性の感染)安定な多発性骨髄腫を有する患者)、自己免疫性溶血性貧血(例えば、温式自己免疫溶血性貧血)、血小板減少症(例えば、新生児血小板減少症)、および免疫媒介性好中球減少症)、移植(例えば、CMV陽性器官のサイトメガロウイルス(CMV)−陰性レシピエント)、低γグロブリン血症(例えば、感染または罹患のリスク要因を有する低γグロブリン血症新生児)、てんかん(例えば、難治性てんかん)、全身性脈管性症候群、重症筋無力症(例えば、重症筋無力症の代償不全)、皮膚筋炎および多発性筋炎。
本発明の分子によって、処置、予防、診断され得るか、そして/またはその予後予測が確認され得るさらなる自己免疫障害およびそれらの障害に関連する状態としては、限定はしないが、自己免疫溶血性貧血、自己免疫新生児血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、抗リン脂質症候群、皮膚炎、アレルギー性脳脊髄炎、心筋炎、再発性多発性軟骨炎、リウマチ性心疾患、糸球体腎炎(例えば、IgA腎症)、多発性硬化症、神経炎、ブド膜炎眼炎、多腺性内分泌障害、紫斑病(例えば、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)、ライター病、スティフマン症候群、自己免疫肺炎症、ギラン・バレー症候群、インスリン依存性糖尿病および自己免疫炎症性眼疾患が挙げられる。
本発明の分子によって、処置、予防、診断され得るか、そして/またはその予後予測が確認され得るさらなる自己免疫障害としては、限定はしないが、自己免疫甲状腺炎;橋本甲状腺炎ならびに例えば、細胞媒介性および体液性甲状腺細胞毒性により特徴付けられる甲状腺炎を含む甲状腺機能低下症;SLE(例えば、循環および局所的に生成される免疫複合体によってしばしば特徴付けられる);グッドパスチャー症候群(例えば、抗基底膜抗体によってしばしば特徴付けられる);天疱瘡(例えば、表皮棘融解性抗体によってしばしば特徴付けられる);レセプター自己免疫、例えば、グレーブス病(例えば、甲状腺刺激ホルモンレセプターに対する抗体によってしばしば特徴付けられる;例えば、アセチルコリンレセプター抗体によってしばしば特徴付けられる重症筋無力症)など;インスリン耐性(例えば、インスリンレセプター抗体によってしばしば特徴付けられる);自己免疫溶血性貧血(例えば、抗体感受性の赤血球の食作用によってしばしば特徴付けられる);および自己免疫血小板減少性紫斑病(例えば、抗体感受性血小板の食作用によってしばしば特徴付けられる)が挙げられる。
本発明の分子によって、処置、予防、診断され得るか、そして/またはその予後予測が確認され得るさらなる自己免疫障害としては、限定はしないが、関節リウマチ(例えば、関節での免疫複合体によってしばしば特徴付けられる);抗コラーゲン抗体を伴う強皮症(例えば、核小体および他の核の抗体によってしばしば特徴付けられる);混合結合組織病(例えば、抽出可能な核抗原、例えば、リボ核タンパク質に対する抗体によってしばしば特徴付けられる);多発性筋炎/皮膚筋炎(例えば、非ヒストン抗核抗体によってしばしば特徴付けられる);悪性貧血(例えば、抗壁細胞、抗ミクロソーム、および抗内因子の抗体によってしばしば特徴付けられる);特発性アジソン病(例えば、体液性および細胞媒介性の副腎細胞毒性によってしばしば特徴付けられる);不妊(例えば、抗精子抗体によってしばしば特徴付けられる);糸球体腎炎(例えば、糸球体基底膜抗体または免疫複合体によってしばしば特徴付けられる);原発性糸球体腎炎による、IgA腎症による;水疱性類天疱瘡(例えば、IgGによっておよび基底膜での補体によってしばしば特徴付けられる);シェーグレン症候群(例えば、複数の組織抗体および/または特異的な非ヒストン抗核抗体(SS−B)によってしばしば特徴付けられる);糖尿病(例えば、細胞媒介性および体液性の島細胞抗体によってしばしば特徴付けられる);および喘息または嚢胞性線維症を伴うアドレナリン作動薬耐性を含む、アドレナリン作動薬耐性(例えば、βアドレナリン作動薬レセプター抗体によってしばしば特徴付けられる)が挙げられる。
そのアンタゴニストで、処置、予防、その予後予測が確認され、そして/またはその診断され得るなおさらなる自己免疫障害としては、限定はしないが、以下の障害が挙げられる:慢性の活動性の肝炎(例えば、平滑筋抗体によってしばしば特徴付けられる);原発性胆汁性肝硬変(例えば、抗ミトコンドリア抗体によってしばしば特徴付けられる);他の内分泌腺不全(例えば、ある場合には特定の組織抗体によって特徴付けられる);白斑(例えば、抗メラニン形成細胞抗体によってしばしば特徴付けられる);脈管炎(例えば、免疫グロブリンおよび血管壁における補体および/または低血清補体によってしばしば特徴付けられる);心筋梗塞後の状態(例えば、抗ミトコンドリア抗体によってしばしば特徴付けられる);開心術症候群(例えば、抗ミトコンドリア抗体によってしばしば特徴付けられる);蕁麻疹(例えば、IgEに対するIgGおよびIgM抗体によってしばしば特徴付けられる);アトピー性皮膚炎(例えば、IgEに対するIgGおよびIgM抗体によってしばしば特徴付けられる);喘息(例えば、IgEに対するIgGおよびIgM抗体によってしばしば特徴付けられる);炎症性筋障害;および他の炎症、肉芽腫、変性および萎縮性の障害。
ある実施形態では、本発明の分子、例えば、抗MGD−CSF抗体は、SLEおよび/または関連の疾患、障害もしくは状態を処置または予防するために用いられる。本発明の分子で処置または予防され得るループス関連の疾患、障害および状態としては、限定はしないが、血液疾患、例えば、溶血性貧血、白血病、リンパ球減少症および血小板減少症;免疫学的障害、例えば、抗DNA抗体および抗Sm抗体、発疹、感光性、口腔潰瘍、関節炎、発熱、疲労、体重減少、漿膜炎、例えば、胸膜炎(pleuritus)(胸膜炎(pleurisy));腎臓障害、例えば、腎炎;神経学的障害、例えば、てんかん発作、末梢神経障害およびCNS関連障害;胃腸障害;レイノー現象;および心外膜炎が挙げられる。
本発明の分子はまた、腫瘍細胞増殖のような新生物形成を阻害するために使用され得る。MGD−CSFポリペプチドは、特定の細胞に対するアポトーシスおよび細胞毒性を通じた腫瘍破壊を担い得る。本発明の分子によって、処置、予防、診断されるか、そして/またはその予後予測が確認され得る、細胞生存率の増大またはアポトーシスの阻害に関連する疾患としては、限定はしないが、ガン(例えば、濾胞性リンパ腫、p53変異を有する癌腫およびホルモン依存性の腫瘍であって、限定はしないが、結腸癌、心臓腫瘍、膵臓癌、黒色腫、網膜芽細胞腫、グリア芽細胞腫、肺癌、腸癌、精巣癌、胃癌、神経芽細胞腫、粘液腫、筋腫、リンパ腫、内皮腫、骨芽細胞腫、巨骨細胞腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺腫、乳癌、前立腺癌、カポジ肉腫および卵巣癌を含む腫瘍);自己免疫障害(例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫糖尿病、胆汁性肝硬変、ベーチエット病、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデスおよび免疫関連糸球体腎炎、自己免疫胃炎、自己免疫血小板減少性紫斑病および関節リウマチ)およびウイルス感染(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルスおよびアデノウイルス)、炎症、移植片対宿主病(急性および/または慢性)、急性移植片拒絶、および慢性移植片拒絶が挙げられる。ある実施形態では、本発明は、ガン、詳細には上記で、または以下の段落で列挙されるガンの増殖、進行および/または転移を阻害するために用いられる。
本発明によって、処置、予防、診断されるか、そして/またはその予後予測が確認され得る、細胞生存率の増大に関連するさらなる疾患または状態としては、限定はしないが、悪性腫瘍および関連の障害、例えば白血病(急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病であって、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病を含む)を含む)、および慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性白血病)、骨髄異形成症候群、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病および非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病および固形腫瘍であって、限定はしないが、肉腫および癌腫、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞癌腫、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、神経膠星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽細胞腫を含む腫瘍の進行および/または転移が挙げられる。
本発明の分子によって、処置、予防、診断されるか、そして/またはその予後予測が確認され得る、アポトーシスの増大に関連する疾患としては、限定はしないが、AIDS(例えば、HIV誘発性神経障害およびHIV脳炎)、神経変性障害(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性および脳腫瘍または以前に関連した疾患)、自己免疫障害、例えば、多発性硬化症、シェーグレン症候群、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫糖尿病、胆汁性肝硬変、ベーチェット病(Behcet’s disease)、クローン病、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎、自己免疫胃炎、血小板減少性紫斑病、および関節リウマチ、脊髄形成異常症候群(例えば、再生不良性貧血)、移植片対宿主病(急性および/または慢性)、虚血性傷害(心筋梗塞、発作および再灌流傷害によって生じるようなもの)、肝臓傷害または疾患(例えば、肝炎関連肝臓傷害、肝硬変、虚血/再灌流傷害、胆汁うっ滞(cholestosis)(胆管傷害)および肝臓癌)、毒物誘発性肝臓疾患(アルコールによって引き起こされるようなもの)、敗血症性ショック、潰瘍性大腸炎、悪液質および食欲不振が挙げられる。
本発明の別の実施形態は、HIV感染した患者におけるT細胞のMGD−CSFまたはNP_689669媒介性の死亡を減じるためのMGD−CSFポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはアンタゴニストの使用に関する。AIDSの発達におけるT細胞アポトーシスの役割は、多数の研究の主題である(例えば、Meyaardら、Science,257:217〜219(1992);Grouxら、J.Exp.Med.,175:331(1992);ならびにOyaizuら、Cell Activation and Apotosis in HIV Infection,AndrieuおよびLu編、Plenum Press,New York,101〜114頁(1995)を参照のこと)。
T細胞のアポトーシスは多数の機構を通じて生じるようである。Fas媒介性アポトーシスは、HIVの個体におけるT細胞の損失に関与している(Katsikisら、J.Exp.Med.181:2029〜2036(1995)。活性化されたヒトT細胞は、活性化誘導細胞死(activated−induced cell death)(AICD)と名付けられた過程である、CD3/T細胞レセプター複合体を通じた誘導の際に、プログラムされた細胞死(アポトーシス)を受けるように誘導される。HIV感染した無症候性個体から単離されたCD4T細胞のAICDが報告されている(Grouxら、前出)。従って、ACIDは、HIV感染個体におけるCD4+T細胞の減少およびAIDSへの進行にある役割を果たし得る。従って、本発明は、HIV患者においてMGD−CSF媒介性のT細胞死を阻害する方法を提供し、この方法は、この患者に対して本発明の分子を投与する工程を包含する。ある実施形態では、この患者はMGD−CSFポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはアンタゴニストでの処置が開始するとき無症候性である。必要に応じて、処置の前に、末梢血T細胞をHIV患者から抽出して、当該分野で公知の手順によってMGD−CSF媒介性細胞に対する感受性について試験してもよい。1実施形態では、患者の血液または血漿を本発明の分子、例えば、抗MGD−CSFまたはNP_689669抗体とエキソビボで接触させる。この抗体または他のアンタゴニストは、当該分野で公知の手順によって適切なクロマトグラフィーマトリックスに結合され得る。患者の血液または血漿を、このマトリックスに結合されたアンタゴニストを含むクロマトグラフィーカラムを通じて流し、その後に患者に戻す。固定されたアンタゴニストが、MGD−CSFまたはNP_689699に結合し、従ってこれらは患者の血液から除去される。
さらなる実施形態では、本発明の分子は、T細胞アポトーシスの他のインヒビターと組み合わせて投与される。例えば、上記のように、Fas媒介性アポトーシスはまた、HIV陽性の個体におけるT細胞の減少に関与している(Katsikisら、J.Exp.Med.,181:2029〜2036(1995))。従って、Fasリガンド媒介性およびMGD−CSF媒介性のT細胞死の両方に感受性の患者は、MGD−CSFまたはNP_689699とそれらのレセプターとの相互作用をブロックする因子、およびFasリガンド/Fas相互作用をブロックする因子の両方で処置され得る。Fasに対するFasリガンドの結合をブロックするための適切な因子としては、限定はしないが、可溶性Fasポリペプチド;可溶性Fasポリペプチドの多量体型(例えば、sFas/Fcの二量体);アポトーシスを生じる生物学的シグナルを誘導することなくFasに対して結合する抗Fas抗体;Fasに対するFasリガンドの結合をブロックする抗Fasリガンド抗体;ならびにFasに結合するが、アポトーシスを生じる生物学的シグナルを誘導しないFasリガンドの突然変異タンパク質(ムテイン)が挙げられる。モノクローナル抗体は、本発明に従って使用され得る。抗Fasモノクローナル抗体のブロックを含む、Fasリガンド/Fas相互作用をブロックするために適切な因子の例は、WO95/10540に記載される。
別の例では、レセプターに対するMGD−CSFまたはNP_689699の結合をブロックする因子は、本発明の分子とともに投与される。このような因子としては、限定はしないが、可溶性MGD−CSFレセプターポリペプチド、可溶性レセプターポリペプチドの多量体型、およびアポトーシスを生じる生物学的シグナルを誘導することなくMGD−CSFまたはNP_689699レセプターに結合するMGD−CSFレセプター抗体、1つ以上のレセプターに対するMGD−CSFまたはNP_689699の結合をブロックする抗体、ならびにレセプターに結合するが、アポトーシスを生じる生物学的シグナルを誘導しない突然変異タンパク質(ムテイン)が挙げられる。
本発明の分子はまた、赤血球新生を含む造血を調節するように使用され得る。造血は、多能性幹細胞のプールで開始する多段階の細胞増殖および分化の過程である。これらの細胞は、種々の刺激に応答して増殖して造血前駆体に分化し得る。本発明の分子は、造血細胞、例えば、赤血球産生細胞の発達を刺激または阻害するために用いられ得る。
ある実施形態では、本発明の分子は、骨疾患を処置または予防するために用いられる。本発明の分子は、造血幹細胞の破骨前駆細胞への分化を促進する。従って、本発明の分子は、破骨細胞の分化および機能における欠陥によって特徴付けられる疾患のような骨疾患、例えば骨粗鬆症を処置するために用いられ得る。MGD−CSFおよび関連の分子は、これらの疾患を処置するために、治療剤、例えば、タンパク質治療剤として、または遺伝子療法において用いられ得る。
ある実施形態では、本発明の分子を用いて、神経疾患を処置または予防する。本発明の分子は、造血幹細胞のミクログリアの前駆細胞への分化を促進する。従って、本発明の分子は、ミクログリアの分化および機能における欠陥によって特徴付けられる神経疾患のような疾患、例えば、アルツハイマー病、多発性硬化症、急性播種性脳脊髄障害、進行性多巣性白質脳症、脳卒中、およびパーキンソン病を処置するために用いられ得る。MGD−CSFおよび関連の分子は、これらの疾患を処置するための治療剤、例えば、タンパク質治療剤として、または遺伝子治療において用いられ得る。
ある実施形態では、本発明の分子は、肢虚血のような末梢動脈疾患を含む心血管障害を処置または予防するために用いられる。心血管障害としては、心血管異常、例えば、動脈−動脈瘻、動静脈フィステル、脳動静脈奇形、先天性心臓欠陥、肺閉鎖症およびシミター症候群が挙げられる。先天性の心欠陥としては、大動脈縮窄、三房心、冠状脈管奇形(coronary vessel anomalies)、十字交差心臓(crisscross heart)、右胸心、開存性動脈管(patent ductus arteriosus)、エブスタイン奇形、アイゼンメンガー複合体、左心室発育不全症候群、左胸心、ファロー三徴症、ファロー四徴症、大血管転位症、両大血管右室起始症、三尖弁閉鎖症、動脈管遺残、および心中隔欠損症(heart septal defects)、例えば、大動脈肺動脈中隔欠損症(aortopulmonary septal defect)、心内膜床欠損症、リュタンバッシェ症候群、および心室心中隔欠損症(ventricular heart septal defects)が挙げられる。
本発明の分子で処置され得る心血管障害としてはまた、心疾患、例えば、不整脈、カルチノイド心臓病、高心拍出量(high cardiac output)、低心拍出量(low cardiac output)、心タンポナーデ、心内膜炎(細菌性を含む)、心臓動脈瘤、心停止、うっ血性心不全、うっ血性心筋症、発作性呼吸困難、心臓水腫、心肥大、うっ血性心筋症、左心室肥大、右心室肥大、梗塞後心破裂(post−infarction heart rupture)、心室中隔破裂、心臓弁疾患、心筋疾患、心筋虚血、心内膜液浸出、心外膜炎(梗塞性および結核性を含む)、心嚢内気腫、心膜切開後症候群、右心疾患、リウマチ性心疾患、心室機能不全、充血、心臓血管妊娠合併症(cardiovascular pregnancy complications)、シミター症候群、心血管梅毒、および心血管結核(cardiovascular tuberculosis)が挙げられる。
本発明の分子を用いて処置され得る不整脈としては、洞性不整脈、心房性細動、心房粗動、徐脈、期外収縮、アダムズ−ストークス症候群、脚ブロック、洞房ブロック、QT延長症候群(long QT syndrome)、副収縮、ローン−ギャノング−レヴァイン症候群、マヘーム型早期興奮症候群(Mahaim−type pre−excitation syndrome)、ウルフ−パーキンソン−ホワイト症候群、洞不全症候群、頻脈、および心室性細動が挙げられる。本発明の分子で処置され得る頻脈としては、発作性頻脈、上室性頻拍、心室固有調律促進、房室結節性回帰性頻拍(atrioventricular nodal reentry tachycardia)、異所心房性頻拍、異所接合部頻拍、洞房結節性回帰性頻拍(sinoatrial nodal reentry tachycardia)、洞性頻拍、トルサード・ド・ポワント、および心室性頻拍が挙げられる。心臓弁疾患としては、大動脈弁機能不全症、大動脈弁狭窄症、心雑音(hear murmurs)、大動脈弁逸脱症、僧帽弁逸脱症、三尖弁逸脱症、僧帽弁機能不全、僧帽弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖症、肺動脈弁機能不全、肺動脈弁狭窄症、三尖閉鎖症、三尖弁機能不全、および三尖弁狭窄症が挙げられる。
本発明の分子で処置され得る心筋疾患としては、アルコール性心筋症、うっ血性心筋症、肥大型心筋症、弁下部性大動脈狭搾症、弁下部性肺動脈狭搾症、拘束型心筋症、シャーガス心筋症、心内膜線維弾性症、心内膜心筋線維症、キーンズ症候群、心筋再灌流障害、および心筋炎が挙げられる。本発明の分子で処置され得る心筋性虚血としては、冠動脈疾患、例えば、狭心症、冠動脈瘤、冠動脈硬化、冠動脈血栓症、冠動脈血管痙攣、心筋梗塞、および心筋気絶(myocardial stunning)が挙げられる。
本発明の分子で処置され得る心臓血管疾患としてはまた、血管疾患、例えば、動脈瘤、血管形成異常、血管腫症、細菌性血管腫症状、ヒッペル−リンダラ疾患(Hippel−Lindau Disease)、クリペル−トルノネー−ウェーバー症候群、スタージ−ウェーバー症候群、血管運動神経性水腫、大動脈疾患、高安動脈炎、大動脈炎、ルリーシュ症候群、動脈閉塞疾患、動脈炎、動脈内膜炎(enarteritis)、結節性多発性動脈炎、脳血管障害、糖尿病性血管障害、糖尿病性網膜症、塞栓症、血栓症、先端紅痛症、痔、肝静脈閉塞障害、高血圧、低血圧、虚血、末梢血管障害、静脈炎、肺静脈閉塞疾患、レイノー病、CREST症候群、網膜静脈閉塞、シミター症候群、上大静脈症候群、毛細血管拡張症、毛細血管拡張性運動失調(atacia telangiectasia)、遺伝性出血性毛細管拡張症、精索静脈瘤、拡張蛇行静脈、静脈瘤性潰瘍、脈管炎、および静脈機能不全が挙げられる。動脈瘤としては、解離性動脈瘤、偽動脈瘤、感染した動脈瘤、破裂した動脈瘤、大動脈性動脈瘤、大脳性動脈瘤、冠動脈瘤、心動脈瘤、および腸骨性動脈瘤が挙げられる。
本発明の分子で処置され得る動脈閉塞疾患としては、動脈硬化症、間欠性跛行、頸動脈狭窄症、線維筋性形成異常、腸間膜性血管閉塞、モヤモヤ病、腎動脈閉塞、網膜動脈閉塞、および閉塞性血栓性血管炎が挙げられる。
本発明の分子で処置され得る脳血管障害としては、頸動脈疾患、脳のアミロイド血管障害、脳動脈瘤、脳無酸素症、脳動脈硬化、脳動静脈先天異常、脳動脈疾患、脳の塞栓症および血栓症、頸動脈血栓症、洞血栓症、ヴァレンベルク症候群、脳内出血、硬膜上血腫、硬膜下血腫、クモ膜下出血(subaraxhnoid hemorrhage)、脳梗塞、脳虚血(一過性を含む)、鎖骨下動脈盗血症候群、脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia)、血管性頭痛、群発性頭痛、片頭痛、および椎骨脳底(vertebrobasilar)機能不全が挙げられる。
本発明の分子で処置され得る塞栓症としては、空気塞栓症、羊水塞栓症、コレステロール塞栓症、爪先チアノーゼ症候群、脂肪塞栓症、肺動脈塞栓症、および血栓塞栓症が挙げられる。血栓症としては、冠状動脈血栓症、肝静脈血栓症、網膜静脈閉塞、頸動脈血栓症、洞血栓症、ヴァレンベルク症候群、および血栓性静脈炎が挙げられる。
本発明の分子で処置され得る虚血としては、脳虚血、虚血性大腸炎、コンパートメント症候群(compartment syndrome)、前区画症候群(anterior compartment syndrome)、心筋虚血、再灌流傷害、および末梢四肢虚血が挙げられる。本発明の分子で処置され得る脈管炎としては、大動脈炎、動脈炎、ベーチェット(Behcet)症候群、チャーグ−ストラウス症候群、粘膜皮膚リンパ節症候群、閉塞性血栓性血管炎、過敏性血管炎、シェーンライン−ヘーノホ紫斑病(Schoenlein−Henoch purpura)、アレルギー性皮膚血管炎およびヴェーゲナー肉芽腫症が挙げられる。
本発明によってさらに、本発明の分子の投与による新血管新生に関連する疾患の処置が得られる。本発明の分子で処置され得る悪性および転移性の状態としては、限定はしないが、悪性腫瘍、固形腫瘍および本明細書に記載され、そうでなければ当該分野で公知のガンが挙げられる(このような障害の概説については、Fishmanら、Medicine、第4版、J.B.Lippincott Co.,Philadelphia(1997)を参照のこと)。
さらに、本発明の分子で処置され得る新血管新生に関連する眼科障害としては、限定はしないが、血管新生緑内障、糖尿病網膜症、網膜芽細胞腫、水晶体後線維増殖症、ブドウ膜炎、未熟網膜症、黄斑変性、角膜移植新生血管形成、ならびに他の眼の炎症性疾患、眼の腫瘍、および脈絡膜または虹彩の新生血管形成に関連する疾患が挙げられる。例えば、Waltmanら、Am.J.Ophthal.85:704〜710(1978)およびGartnerら、Surv.Ophthal.22:291〜312(1978)による総説を参照のこと。
さらに、本発明の分子で処置され得る障害としては、限定はしないが、血管腫、関節炎、乾癬、血管線維腫、アテローム性プラーク、遅延型創傷治癒、顆粒化、血友病性関節、過形成性瘢痕、偽関節骨折、オースラー−ウェーバー(Osler−Weber)症候群、化膿性肉芽腫、強皮症、トラコーマ、および血管癒着が挙げられる。
本発明の分子そのアンタゴニストは、限定はしないが、ガン(例えば、免疫細胞関連のガン、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、濾胞性リンパ腫、p53変異または改変を伴う癌、脳腫瘍、膀胱癌、子宮頸部癌、結腸癌、結腸直腸癌、肺の非小細胞癌腫、および肺の小細胞癌腫、胃癌など)を含む広範な種々の疾患および/または状態の診断および処置または予防において有用である。それらはまた、リンパ増殖性障害(例えば、リンパ節腫脹)、微生物障害(例えば、ウイルス、細菌など)、感染、例えば、HIV−1感染、HIV−2感染、ヘルペスウイルス感染(限定はしないがHSV−1、HSV−2、CMV、VZV、HHV−6、HHV−7、EBVを含む)、アデノウイルス感染、ポックスウイルス感染、ヒト乳頭腫ウイルス感染、肝炎感染(例えば、HAV、HBV、HCVななど)、Helicobactor pylori感染、侵襲性Staphylococciなど)および寄生生物感染の診断および処置または予防において有用である。それらはさらに、腎炎、骨疾患(例えば、骨粗鬆症)、アテローム性動脈硬化症、疼痛、心血管障害(例えば、新血管新生、新血管新生低下)、および循環低下(例えば、虚血性疾患、例えば、心筋梗塞、発作など、AIDS、アレルギー、炎症、神経変性執権(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など、移植片拒絶(急性および慢性)、移植片対宿主病、骨脊髄形成異常から生じる疾患(例えば、再生不良性貧血)、リウマチの関節組織破壊、肝疾患(例えば、急性および慢性の肝炎、肝障害、胆道疾患、および肝硬変)、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、SLE、免疫複合体性糸球体腎炎、自己免疫糖尿病、自己免疫血小板減少性紫斑病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、など)、心筋症(例えば、拡張型心筋症)、糖尿病、糖尿病性合併症(例えば、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症)、インフルエンザ、喘息、乾癬、糸球体腎炎、敗血性ショックおよび潰瘍性大腸炎の診断および処置または予防において有用である。
本発明の分子は、血管形成および創傷治癒(例えば、創傷、火傷および骨折)を促進するのに有用である。それらはまた、特定の抗原および/または抗ウイルス免疫応答に対する免疫応答性を増強するアジュバントとして有用である。
さらに詳細には、本発明の分子は、免疫応答を調節するのに有用である。例えば、それらは、外科手術、外傷、放射線療法、化学療法および移植の準備またはそれからの回復に有用であり得、また高齢者および免疫無防備状態の個体において免疫応答および/または回復プロセスをブーストするために用いられ得る。それらは、例えば、自己免疫障害の処置または予防における免疫抑制剤として有用である。特定の実施形態では、本発明の分子は、本明細書において上記されるか、そうでなければ当該分野で公知であるような、慢性の炎症、アレルギーまたは自己免疫状態を処置または予防するために用いられる。
本発明の分子の使用としては限定はしないが、成人呼吸窮迫症候群、アナフィラキシー、アレルギー性喘息、アレルゲン鼻炎、薬物アレルギー(例えば、ペニシリンまたはセファロスポリンに対する)、原発性中枢神経リンパ腫(PCNSL)、グリア芽細胞腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ節腫脹、関節リウマチ、変形性関節症、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ホジキン病および非ホジキン病リンパ腫、眼病、ブドウ膜網膜炎、1型糖尿病の自己免疫段階、重症筋無力症、自己免疫肝臓障害、自己免疫炎症性腸疾患およびクローン病の処置または予防が挙げられる。MGD−CSFタンパク質と免疫治療剤、例えばIL−2またはIL−12との組み合わせは、樹立された癌を処置するのにおいて有用な相乗効果または相加効果を生じ得る。
さらに、本発明の分子は、本明細書に記載のような治療分子だけでなく、さらに、ガンのような腫瘍関連の疾患の生物学を解明するのにおける検索ツールとしても使用され得る。従って、本発明の分子は、腫瘍細胞もしくはガン細胞の操作を阻害するために、または動物においてガンを処置するために有用である。従って、本発明の分子は、動物のガン、例えば、肉腫、腺腫、腺癌、癌腫、乳頭腫、リンパ腫などの処置のために種々の設定において用いられ得る。本発明の分子で処置され得る他の特定のタイプのガンとしては、限定はしないが、前立腺癌、乳癌(例えば、乳管内および炎症性を含む)、結腸癌、結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸部癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、胚性癌腫、子宮癌および精巣癌が挙げられる。
(抗体およびワクチン)
(抗体)
MGD−CSFまたはNP_689669に特異的な抗体は、本発明における使用のために適切であり、そしてインタクトなMGD−CSFタンパク質またはその抗原性ポリペプチドフラグメントに対して惹起され得る。このタンパク質またはフラグメントは、アルブミンのようなキャリアタンパク質の有無とともに、ウサギまたはマウスのような動物に与えられてもよい。一般には、ポリペプチドフラグメントは、それらが少なくとも約25アミノ酸長である場合、キャリアなしに満足な免疫応答を生じるのに十分に免疫原性である。
本発明の抗体としては、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製物、ならびにハイブリッド抗体、変更された抗体、キメラ抗体およびヒト化抗体を含む調製物、ならびにハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら、Nature 349:293〜299(1991));および米国特許第4,816,567号を参照のこと);F(ab’)2、およびF(ab)フラグメント;Fv分子(非共有ヘテロ二量体、例えば、Inbarら、Proc.Natl.Acad.Sci.69:2659〜1662(1972)を参照のこと);およびEhrlichら(1980)Biochem 19:4091〜4096);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879〜5883(1980)を参照のこと);二量体および三量体の抗体フラグメント構築物;ミニボディ(minobodies)(例えば、Packら、Biochem.31:1579〜1584(1992);Cumberら、J.Immunology 149B:120〜126(1992)を参照のこと);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら、Nature 332:323〜327(1988);Verhoeyanら、Science 239:1534〜1536(1988)を参照のこと);異種結合体化抗体および二価特異的な抗体(例えば、米国特許第6,010,902号および米国特許出願第2002/0155604号を参照のこと);ならびにこのような分子から得られた任意の機能的フラグメントであって、このようなフラグメントが特異的な結合を保持しているフラグメントが挙げられる。
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を作製する方法は当該分野で公知である。モノクローナル抗体は一般には、相同な抗体集団を有する抗体である。この用語は、抗体の種または供給源に関して限定されず、それが作成される方式によって限定されることもないものとする。この用語は、免疫グロブリン丸ごとを包含する。ポリクローナル抗体は、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジまたはヤギのような適切な動物を、抗原をコードする遺伝子で形質転換された幹細胞のような目的の抗原で免疫することによって生成される。免疫原性を増強するために、抗原は、免疫の前にキャリアと結合されてもよい。適切なキャリアは代表的には、大型のゆっくり代謝される高分子、例えば、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集物(例えば、油滴またはリポソーム)および不活性なウイルス粒子である。このようなキャリアは当業者に周知である。さらに、この抗原は、ジフテリア、破傷風、コレラなど由来の毒素のような細菌の毒素に対して、その免疫原性を増強するために結合体化されてもよい。
さらに、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と一緒に適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子をスプライシングすることによる、キメラ抗体の産生のために開発された技術(Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.,81:851〜855(1984);Neubergerら、Nature,312;604〜608(1984);Takedaら、Nature,314:452〜454(1985))を用いてもよい。異なる部分が異なる動物種に由来する抗体であるキメラ抗体、例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体、例えば、ヒト化抗体、ならびにcdrおよびフレームワーク領域に関する挿入/欠失を有する抗体が、本発明における使用に適切である。
本発明はまた、ヒト化抗体、すなわち、ほとんどヒト免疫グロブリン配列である抗体を包含する。本発明のヒト化抗体は一般には、ヒト配列の部分を組み込むように改変されている非ヒト免疫グロブリンをいう。ヒト化抗体とは、ヒト免疫グロブリン配列全体を含むヒト抗体を包含し得る。
本発明の抗体は、任意の種々の方法によって調製され得る。例えば、MGD−CSFもしくはNP−689669タンパク質またはその抗原性フラグメントを発現する細胞は、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために動物に投与されてもよい。MGD−CSFまたはNP_689669タンパク質の調製は、天然の汚染が実質的にないように調製および精製され、そしてその調製物は特定の結合活性を有するポリクローナル抗血清を生じるために動物に導入され得る。
本発明の抗体はそれらのそれぞれの抗原(単数または複数)に特異的に結合する;それらは、特定のポリペプチドに対する、または正確に言えば、抗原のエピトープに対する、高い結合活性および/または高い親和性を示し得る。本発明の抗体は、1つのエピトープに結合しても、または2つ以上のエピトープに結合してもよい。それらは、1つ以上の分子上の異なるエピトープに対して異なる親和性および/または結合活性を示し得る。抗体が別のエピトープに対してよりも1つのエピトープに強力に結合する場合、結合条件の調節によって結果として、ある場合には、この特定のエピトープに対してほとんど排他的に結合し、同じポリペプチド上の任意の他のエピトープには結合せず、そしてこのエピトープを含まないポリペプチドにも結合し得ない。
本発明はまた、モノクローナル抗体およびそのMGD−CSFまたはNP_689669タンパク質結合フラグメントを提供する。本発明のモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、例えば、Kohlerら、Nature 256:495(1975);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:511(1976);Kohlerら、Eur.J.Immunol.6:292(1976);Hammerlingら:Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas,Elsevier,N.Y.、(1981)563〜681頁を用いて調製され得る。一般には、このような手順は、MGD−CSFタンパク質抗原、またはMGD−CSFタンパク質発現細胞を用いて動物(例えば、マウス)を免疫する工程を包含する。適切な細胞は、抗MGD−CSFタンパク質抗体に結合する能力によって認識され得る。このような細胞は、任意の適切な組織培養培地中で;例えば、10%ウシ胎仔血清(約56℃で不活化した)を補充し、そして約10g/lの非必須アミノ酸、約1,000U/mlのペニシリン、および約100μg/mlのストレプトマイシンを補充したEarleの改変イーグル培地中で培養されてもよい。このようなマウスの脾細胞を抽出し、そして適切な骨髄腫細胞株と融合する。任意の適切な骨髄腫細胞株は、本発明に従って使用され得る;例えば、American Type Culture Collection(ATCC),Manassas,VAから入手可能な親骨髄腫細胞株(SP20)。融合後、得られるハイブリドーマ細胞を、HAT培地において選択的に維持し、次いで例えば、Wandsら(Gastroenterology 80:225〜232(1981))によって記載されるように限界希釈によってクローニングする。
あるいは、MGD−CSFまたはNP_689669タンパク質抗原に結合し得る抗体は、抗イディオタイプ抗体の使用を通じて2工程手順で生成され得る。このような方法は、抗体がそれ自体抗原であり、従って、第二の抗体に結合する抗体を得ることが可能であるという事実を利用する。この方法によれば、特定の抗体を用いて、マウスのような動物を免疫する。次いで、このような動物の脾細胞を用いて、ハイブリドーマ細胞を産生し、そして、このハイブリドーマ細胞をスクリーニングして、抗体が特異的な抗体に結合する能力が抗原によってブロックされ得る抗体を産生するクローンを同定する。このような抗体は、MGD−CSFまたはNP_689669タンパク質に特異的な抗体に対する抗イディオタイプ抗体を含み、そして動物を免疫してさらなる特異的な抗体の形成を誘導するために用いられ得る。
本発明の抗体のFabおよびF(ab’)2および他のフラグメントは、本明細書に開示の方法に従って用いられ得ることが理解される。このようなフラグメントは代表的には、パパイン(Fabフラグメントを生成するため)またはペプシン(F(ab’)2フラグメントを生成するため)のような酵素を用いて、タンパク質切断によって生成される。あるいは、MGD−CSFタンパク質結合フラグメントは、組み換えDNA技術の適用を通じてまたは合成化学を通じて生成され得る。ヒト化キメラモノクローナル抗体は、ヒトにおける抗MGD−CSFのインビボでの使用に適切である。このようなヒト化抗体は、上記のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞に由来する遺伝的構築物を用いて産生され得る。キメラ抗体を産生するための方法は、当該分野で公知である。概説については、Morrison,Science 229:1202(1985);Oiら、BioTechniques 4:214(1986);Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Taniguchiら、EP 171496;Morrisonら、EP 173494;Neubergerら、WO 8601533;Robinsonら、WO 8702671;Boulianneら、Nature 312:643(1984);Neubergerら、Nature 314:268(1985)を参照のこと。
(ワクチン)
本発明は、被験体に投与され得るワクチンを提供することによって、予防的な処置または治療的な処置が必要であるかまたは所望される被験体のこのような処置のための方法を提供する。本発明は、配列番号7〜12由来の実質的に精製されたポリペプチドまたは活性なフラグメントを提供することによって被験体に対する免疫応答を惹起する;ワクチン組成物を提供する、そしてこのポリペプチドおよびワクチン組成物を被験体に投与するための方法も提供する。このワクチンは、ガン、増殖性、炎症性、免疫、代謝性、細菌性またはウイルスの障害を処置するために有用な、本発明の1つ以上のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは修飾因子、例えば、抗体ワクチン組成物、ポリペプチドワクチン組成物またはポリヌクレオチドワクチン組成物を含んでもよい。
例えば、ワクチンは、ガンワクチンであってもよく、そしてポリペプチドは、同時にガン抗原であってもよい。ワクチンは、抗炎症性ワクチンであってもよく、このポリペプチドは同時に、炎症関連抗原であってもよい。ワクチンは、ウイルスワクチンであってもよく、そしてポリペプチドは、同時にウイルス抗原であってもよい。ある実施形態では、このワクチンはポリペプチドフラグメントを含み、このフラグメントは、本発明のポリペプチドの少なくとも1つの細胞外フラグメント、および/または本発明のポリペプチドの少なくとも1つの細胞外フラグメントからシグナルペプチドのないものを、例えば、ガンのような増殖性障害の処置のために含む。特定の実施形態では、このワクチンは、例えば、ガンのような増殖性障害の処置のために投与される、1つ以上のこのようなフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む。さらにこのワクチンはアジュバント有りで投与されても無しで投与されてもよい。このワクチンは、表および配列表に示されるポリペプチドとともに投与されてもよい;これは、ポリペプチドを投与する前に、実質的に同時に、または後に投与されてもよい。
ワクチン治療は、腫瘍抗原の免疫原として本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは因子の使用を包含する(Machielsら、Semin.Oncol.29:494〜502,2002)。例えば、本発明のペプチドに基づくワクチンは、未改変の本発明のポリペプチド、そのフラグメント、ならびにMHCクラスIおよびクラスII制限ペプチド(Knutsonra,J.Clin.Invest.07:477〜484,2001)を包含し、これは例えば、普遍的な、非特異的なMHCクラスII制限エピトープを有する開示された配列を含む。腫瘍抗原を含むペプチドに基づくワクチンは直接、単独で、または他の分子と組み合わせて与えられてもよい。このワクチンはまた、トランスジェニック植物中でこの抗原を生成し、これがその後に経口摂取され得ることによって経口的に送達されてもよい(米国特許第6,395,964号)。
ある実施形態では、抗体自体が抗イディオタイプワクチンにおける抗原として用いられ得る。すなわち、腫瘍抗原に対する抗体を投与することで、B細胞を刺激して、その抗体に対する抗体を作成し、これが次に腫瘍細胞を認識する。
核酸ベースのワクチンは、抗原をコードするポリヌクレオチド構築物として腫瘍抗原を送達し得る。DNAまたはRNAのような遺伝物質を含むワクチンは、直接、単独で、または他の分子と組み合わせて投与されてもよい。本発明の分子を発現するワクチンの投与は、例えばプラスミドDNAとして、所望されない腫瘍増殖を制御することを補助する、治療的な免疫原の持続的な発現および放出を経時的にもたらす。
ある実施形態では、核酸ベースのワクチンは、本発明の抗体をコードする。このような実施形態では、このワクチン(例えば、DNAワクチン)は、転写後調節エレメント、例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス(Woodchuck Hepatitis Virus)由来の転写後調節作用RNAエレメント(WPRE)を含んでもよい。これらの転写後調節エレメントは、抗体、または抗体および同時刺激分子を含む融合タンパク質を標的するために、腫瘍の微小環境に対して用いられ得る(Pertlら、Blood,101:649〜654,2003)。
体液性の応答を誘導することにより抗腫瘍免疫応答を刺激することに加えて、本発明のワクチンはまた、腫瘍細胞を直接認識して殺傷するT細胞刺激を誘導する細胞応答を誘導し得る。例えば、腫瘍抗原をコードする本発明のヌクレオチドベースのワクチンは、免疫系のCD8+細胞傷害性Tリンパ球のアームを活性化するために用いられ得る。
ある実施形態では、このワクチンはT細胞を直接活性化し、他方では抗原提示細胞がT細胞を活性化することを支持する。キラーT細胞は、部分的には、抗原提示細胞、例えば、樹状細胞との相互作用によってプライムされる。ある実施形態では、本発明の核酸分子を含むプラスミドは、抗原提示細胞に入り、これが次に、コードされた腫瘍抗原を提示し、これがキラーT細胞活性化に寄与する。ここでも、腫瘍抗原は、プラスミドDNA構築物として、単独で、または他の分子とともに送達され得る。
MGD−CSFおよびNP_689669は、ヒト骨髄CD34+幹細胞または末梢血単球のいずれかからのインビトロにおける樹状細胞分化を促進し得るので、本発明の分子は、エキソビボで樹状細胞を増殖させるために用いられ得る。次いで、増殖された細胞集団は、例えば、樹状細胞ワクチンとして患者に戻されてもよい。さらに、本発明の分子は、患者においてインビボで自己の造血幹細胞および/または単球からの樹状細胞分化を促進し得、これが患者の抗原提示能力を増強して、ガンのような特定の疾患と戦う能力に寄与する。
さらなる実施形態では、RNAがワクチン生成に用いられ得る。例えば、樹状細胞は、腫瘍抗原をコードするRNAでトランスフェクトされてもよい(Heiserら、J.Clin.Invest.109:409〜417,2002;MitchellおよびNair,J.Clin.Invest.106:1065〜1069,2000)。このアプローチは、十分な量の腫瘍物質を得るという限界を克服し、そうでなければ臨床試験から排除される患者へと治療を拡大する。例えば、腫瘍から単離される本発明のRNA分子は、RT−PCRを用いて増幅され得る。ある実施形態では、本発明のRNA分子は直接、腫瘍から単離されて、介入するクローニング工程なしに樹状細胞にトランスフェクトされる。
ある実施形態では、本発明の分子は、ペプチド抗原がその天然の状態よりも高度に抗原性であるように変更される。これらの実施形態は、エピトープ配列の改変を介して腫瘍抗原の免疫原性を増強することによって、ほとんどの腫瘍抗原のインビボにおける劣った免疫原性を克服する当該分野での必要性に取り組む(YuおよびRestifo,J.Clin.Invest.110:289〜294,2002)。
ガンワクチンの別の認識された問題とは、既存の中和抗体の存在である。本発明のいくつかの実施形態は、哺乳動物でない天然の宿主由来のウイルスベクター、例えば、鶏痘ウイルスを用いることによってこの問題を克服する。既存の中和抗体をやはり迂回する別の実施形態としては、遺伝子操作されたインフルエンザウイルス、およびタンパク質に関係しないDNAを含む裸のプラスミドDNAワクチンの使用を包含する(YuおよびRestifo,J.Clin.Invest.110:289〜294,2002)。
本発明の全ての免疫原性の方法は、単独で、または他の慣習的なもしくは非慣習的な治療と組み合わせて用いられ得る。例えば、免疫原性分子は、種々の抗増殖効果を有する他の分子と、または免疫応答刺激を補助するさらなる物質、すなわちアジュバントもしくはサイトカインと組み合わされてもよい。
例えば、ある実施形態では、核酸ワクチンは、腫瘍抗原に加えて、アルファウイルスレプリカーゼ酵素をコードする。ワクチン療法に対するこのアプローチは、腫瘍細胞のアポトーシス性死亡の誘導をともなう治療抗原産生と首尾よく組み合わされる(YuおよびRestifo,J.Clin.Invest.110:289〜294,2002)。
ある実施形態では、本発明の分子は、細胞増殖の制御に関与し、そして本発明の因子は、所望されない細胞増殖を阻害する。このような因子は、限定はしないが、ガン、乾癬および強皮症を含む異常な細胞増殖を含む障害を処置するために有用である。本発明の特定の因子および/または治療レジメンが望ましくない細胞増殖を減少させるのにおいて、例えばガンを処置する状況において、有効であるか否かは、標準的な方法を用いて決定され得る。例えば、生物学的サンプル(例えば、血液、生検サンプルなど)におけるガン細胞の数は、決定され得る。腫瘍量は、標準的な放射線学的方法または生化学的方法を用いて決定され得る。
本発明の分子は、ガン、新生物および腫瘍随伴性の障害を含む、過剰増殖性の障害の免疫療法において用途を見出す。すなわち、本発明の分子は、そのうち1770以上が現在までに同定されている腫瘍抗原に対応し得る(YuおよびRestifo,J.Clin.Invest.110:289〜294,2002)。免疫療法アプローチは、受動免疫療法およびワクチン療法を含み、そして遺伝的および抗原特異的なガン免疫療法の両方を達成し得る。
受動免疫アプローチは、特定の腫瘍関連抗原に対する本発明の抗体を含む。このような抗体は、正常な細胞を廃することなく、複数の部位で全身性の腫瘍を根絶し得る。ある実施形態では、抗体は、上記のように放射性成分と組み合わされ、これによって、例えば、抗体が腫瘍を特異的に標識する能力と、腫瘍DNAに対する放射性同位体の致死性の付加とを組み合わせる。
有用な抗体は、別個のエピトープまたはネスト化されたエピトープの組み合わせ、すなわち、10マーのエピトープ、ならびに全ての潜在的な8マーおよび9マー、または重複するエピトープを組み込む関連のペプチド多量体を含む(Dutoitら、J.Clin.Invest.110:1813〜1822,2002)。従って単独の抗体が1つ以上のエピトープと相互作用し得る。さらに、抗体は、単独で用いられてもよいし、または全てが単独のエピトープもしくは複数のエピトープのいずれかを認識する種々の抗体と組み合わせて用いられてもよい。
中和抗体は、ガンおよび増殖障害の治療を提供し得る。本発明のタンパク質またはペプチドを特異的に認識する中和抗体は、タンパク質またはペプチドに対して、例えば、体液中または細胞外間隙で結合し得、それによってこのタンパク質またはペプチドの生物学的な活性を調節する。例えば、癌細胞の増殖を刺激するのにおいてある役割を果たすタンパク質またはペプチドに特異的な中和抗体は、癌細胞の増殖を調節するのに有用であり得る。同様に、癌細胞の分化においてある役割を果たすタンパク質またはペプチドに特異的な中和抗体は、癌細胞の分化を調節するのに有用であり得る。
(MGD−CSF「ノックアウト(knock−out)」および相同組み換え)
内因性の遺伝子発現は、標的相同組み換えを用いて、目的の遺伝子および/またはそのプロモーターを不活性化または「ノックアウト」することによって減少され得る。例えば、Smithiesら、Nature,317:230〜234(1985);Thomasら,Cell,51:503〜512(1987);およびThompsonら、Cell,5:313〜321(1989)。例えば、内因性ポリヌクレオチド配列に対して相同なDNA(遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)に隣接する本発明の変異体、非機能的ポリヌクレオチド(または完全に関係のないDNA配列)は、インビボで本発明のポリペプチドを発現するように細胞をトランスフェクトするために、選択マーカーおよび/または負の選択マーカーの有無とともに用いられてもよい。別の実施形態では、当該分野で公知の技術を用いて、目的の遺伝子を含むが発現しない、細胞におけるノックアウトを生成する。標的された相同組み換えを介する、DNA構築物の挿入によって、標的遺伝子の不活性化が生じる。このようなアプローチは、胚性幹細胞に対する改変を用いて、不活性な標的遺伝子を有する動物子孫を生成し得る、研究および農業の分野に特に適切である。例えば、Thomasら、Cell 51:503〜512(1987);Thompson(1989)、前出)。しかし、このアプローチは、組み換えDNA構築物が当業者に明確である適切なウイルスベクターを用いてインビボで必要な部位に直接投与されるか標的されるという条件で、ヒトにおける使用のために慣用的に適合され得る。
本発明のさらなる実施形態では、本発明のポリペプチドを発現するように遺伝子操作されている、あるいは、ノックアウトのように本発明のポリペプチドを発現しないように遺伝子操作されている細胞を、インビボで患者に投与する。このような細胞は、ヒトおよび非ヒト動物を含む患者、またはMHC適合性ドナーから得られてもよく、そしてこれには限定はしないが、線維芽細胞、骨髄細胞、血球(例えば、リンパ球)、脂肪細胞、筋細胞、内皮細胞などを挙げることができる。この細胞は、組み換えDNA技術を用いてインビトロで遺伝子操作されて、細胞へ本発明のポリペプチドのコード配列を導入するか、あるいは、限定はしないが、プラスミド、コスミド、YAC、裸のDNA、エレクトロポレーション、リポソームなどの使用を含む、例えば、形質導入(ウイルスベクター、および/または細胞ゲノムへ導入遺伝子を組み込むベクターを用いる)またはトランスフェクション手順によって、本発明のポリペプチドに関連するコード配列および/または内因性の調節性配列(制御配列)を破壊する。本発明のポリペプチドのコード配列は、本発明のポリペプチドの発現および分泌を達成するために、強力な構成的または誘導性のプロモーターまたはプロモーター/エンハンサーの制御下におかれてもよい。本発明のポリペプチドを発現および分泌する操作された細胞は、患者に全身的に、例えば、循環にまたは腹腔内に導入され得る。あるいは、細胞は、マトリックスに組み込まれ得、そして身体に移植され得てもよく、例えば、遺伝子操作された線維芽細胞は、皮膚移植片の一部として移植され得る;遺伝子操作された内皮細胞は、リンパまたは血管移植片の一部として移植され得る(例えば、Andersonら、米国特許第5,399,349号;およびMulligan&Wilson、米国特許第5,460,959号を参照のこと)。
投与されるべき細胞が非自己または非MHC適合性細胞である場合、それらは、導入された細胞に対する宿主免疫応答の発生を妨げる周知の技術を用いて投与され得る。例えば、細胞は、即時の細胞外環境との成分の交換を可能にするが導入される細胞が宿主免疫系によって認識されることを可能にしないカプセル化型で導入されてもよい。
(トランスジェニック非ヒト動物)
本発明のポリペプチドはまた、トランスジェニック非ヒト動物において発現され得る。限定はしないが、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、ブタ、ミニブタ(micro−pig)、ヤギ、ヒツジ、ウシ、および非ヒト霊長類、例えば、ヒヒ、サルおよびチンパンジーを含む任意の種の動物を用いて、トランスジェニック動物を生成してもよい。特定の実施形態では、本明細書に記載されるか、そうでなければ当該分野で公知の技術を、遺伝子治療プロトコールの一部として用いて、ヒトにおいて本発明のポリペプチドを発現する。
当該分野で公知の任意の技術は、動物に導入遺伝子(配列表に示されるポリヌクレオチドにおいて具象化される)を導入してトランスジェニック動物の創始株を生成するために用いられ得る。このような技術としては、限定はしないが、前核性マイクロインジェクション(Patersonら、Appl.Microbiol.Biotechnol.40:691〜698(1994);Carverら、Biotechnology(NY)11:1263〜1270(1993);Wrightら、Biotechnology(NY)9:830〜834(1991);およびHoppeら、米国特許第4,873,191号(1989));生殖系列へのレトロウイルス媒介性遺伝子移入(Van der Puttenら、Proc.Natl.Acad.Sci.82:6148〜6152(1985))、胚盤胞または胚;胚性幹細胞における遺伝子標的化(Thompsonら、Cell 56:313〜321(1989));細胞または胚のエレクトロポレーション(Lo,Mol.Cell.Biol.3:1803〜1814(1983));遺伝子銃を用いる本発明のポリヌクレオチドの導入(例えば、Ulmerら、Science 259:1745(1993)を参照のこと);胚性多能性幹細胞への核酸構築物の導入および胚盤胞への幹細胞の戻し移入;および精子媒介性遺伝子移入(Lavitranoら、Cell 57:717〜723(1989);などが挙げられる。このような技術の概説については、Gordon,Intl.Rev.Cytol.115:171〜229(1989)を参照のこと。また、米国特許第5,464,764号(Capecchiら、Positive−Negative Selection Methods and Vectors);米国特許第5,631,153号(Capecchiら、Cells and Non−Human Organisms Containing Predetermined Genomic Modifications and Positive−Negative Selection Methods and Vectors for Making Same)米国特許第4,736,866号(Lederら、Transgenic Non−Human Animals)および米国特許第4,873,191号(Wagnerら、Genetic Transformation of Zygotes)も参照のこと。当該分野で公知の任意の技術、例えば、静止状態に誘導された、培養された胚、胎児または成体細胞からの核除去卵母細胞への核移入が、本発明のポリヌクレオチドを含むトランスジェニッククローンを生成するために用いられ得る(Campbellら、Nature 380:64〜66(1996);Wilmutら、Nature 385:810〜813(1997))。
本発明は、その全細胞に導入遺伝子を担持するトランスジェニック動物、ならびに導入遺伝子を、その全細胞ではないがある程度に担持する動物、例えば、モザイク動物またはキメラ動物を提供する。この導入遺伝子は、コンカテマーにおけるように、単独の導入遺伝子として、または複数のコピーとして組み込まれ得る、例えば、ヘッド・ツー・ヘッド(head−to−head)タンデムまたはヘッド・ツー・テール(head−to−tail)タンデム。この導入遺伝子はまた、例えば、Laskoらの教示に従って、特定の細胞タイプに選択的に導入されて活性化され得る(Proc.Natl.Acad.Sci.89:6232〜6236(1992))。このような細胞タイプ特異的な活性化に必要な調節性配列(制御配列)は、目的の特定の細胞タイプに依存し、そして当業者に明白である。内因性遺伝子の染色体部位へポリヌクレオチド導入遺伝子が組み込まれることが所望され得、次いで、遺伝子標的が適切である。要するに、このような技術が利用される場合、内因性遺伝子に相同性であるいくつかのヌクレオチド配列を含むベクターは、染色体配列との相同組み換えを介する内因性遺伝子のヌクレオチド配列への組み込み、およびその機能の目的のために設計される。導入遺伝子はまた、特定の細胞タイプへ選択的に導入され得、これによって、例えば、Guらの教示に従って、その細胞タイプにおいてのみ内因性遺伝子を不活性化する(Science 265:103〜106(1994))。このような細胞特異的な不活性化に必要な調節性配列(制御配列)は、目的の特定の細胞タイプに依存して、当業者に明白である。
一旦トランスジェニック動物が生成されれば、組み換え遺伝子の発現は、標準的な技術を用いてアッセイされ得る。最初のスクリーニングは、サザンブロット分析またはPCR技術によって達成して、動物組織を分析して導入遺伝子の組み込みが行われたことを確認し得てもよい。トランスジェニック動物の組織における導入遺伝子のmRNA発現のレベルはまた、限定はしないが、その動物から得られた組織サンプルのノーザンブロット分析、インサイチュハイブリダイゼーション分析、および逆転写PCR(RT−PCR)を含む技術を用いて評価されてもよい。トランスジェニック遺伝子発現組織のサンプルはまた、導入遺伝子産物に特異的な抗体を用いて免疫細胞化学的にまたは免疫組織化学的に評価され得る。
一旦、創始動物を生成すれば、それらは、特定の動物のコロニーを生じるために、繁殖、同系交配、異系交配または異種交配されてもよい。このような繁殖戦略の例としては、限定はしないが、別の系統を樹立するための2つ以上の組み込み部位を有する創始動物の異系交配;各々の導入遺伝子の相加的な発現の効果のおかげで、高レベルで導入遺伝子を発現する複合トランスジェニック動物を生成するための別の系統の同系交配;発現を増大し、かつDNA分析による動物のスクリーニングの必要性を省くため、所定の組み込み部位についてホモ接合性の動物を生成するためのホモ接合性のトランスジェニック動物の異種交配;複合のヘテロ接合性またはホモ接合性系統を生成するための別のホモ接合性株の異種交配;ならびに目的の実験モデルに適切である別個の背景にこの導入遺伝子を置くための繁殖が挙げられる。
本発明のトランスジェニックおよび「ノックアウト(knock−out)」動物は、限定はしないが、本発明の分子の異常な発現に関連する状態および/または障害を研究する本発明の分子の生物学的機能を作り込むのにおいて、そしてこのような状態および/または障害を改善させるのに有効な化合物についてスクリーニングするのにおいて、有用な動物モデル系を含む用途を有する。
(キット)
本発明は、上記の方法で用いられ得るキットを提供する。1実施形態では、キットは、本発明の抗体、例えば、精製された抗体を1つ以上の容器中に含む。ある実施形態では、本発明のキットは、このキットに含まれる抗体を特異的に免疫反応性であるエピトープを含む実質的に単離されたポリペプチドを含む。本発明のキットはまた、目的のポリペプチドと反応しないコントロールの抗体を含んでもよい。
ある実施形態では、本発明のキットは、目的のポリペプチドに対する抗体の結合を検出するための手段を含む。例えば、この抗体は、検出可能な基質、例えば、蛍光化合物、酵素基質、反応性化合物もしくは発光化合物に結合体化されてもよいし、または第一の抗体を認識する第二の抗体が、検出可能な基質に結合体化されてもよい。
ある実施形態では、このキットは、MGD−CSF関連分子に対して特異的な抗体を含む血清をスクリーニングするのにおける使用のための診断キットである。このようなキットは、目的のポリペプチドと反応しないコントロール抗体を備え得る。このようなキットは、少なくとも1つの抗ポリペプチド抗原抗体と特異的に免疫反応性であるエピトープを含む、実質的に単離されたポリペプチド抗原を備え得る。さらに、このようなキットは、この抗体の抗原への結合を検出するための手段を備える。この抗体は、フローサイトメトリーによって検出され得る、フルオレセインまたはローダミンのような蛍光化合物に結合体化されてもよい。ある実施形態では、このキットは、組換え的に産生されたポリペプチド抗原または化学的に合成されたポリペプチド抗原を備えてもよい。このキットのポリペプチド抗原はまた、固体支持体に結合されてもよい。
さらなる実施形態では、上記のキットの検出手段は、このポリペプチド抗原が結合される固体支持体を含む。このようなキットはまた、非結合レポーター標識抗ヒト抗体を備えてもよい。この実施形態においては、ポリペプチド抗原に対する抗体の結合はこのレポーター標識抗体の結合によって検出され得る。
さらなる実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドの抗原を含む血清をスクリーニングする際の使用のための診断用キットを包含する。この診断用キットは、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド抗原と特異的に免疫反応性である実質的に単離された抗体、およびこのポリヌクレオチドまたはポリペプチド抗原の抗体との結合を検出する手段を備える。ある実施形態においては、この抗体は、固体支持体に結合される。ある実施形態においては、この抗体は、モノクロナール抗体である。このキットの検出手段は、第二の標識されたモノクロナール抗体を含んでもよい。あるいは、またはさらに、この検出手段は、標識された、競合抗原を含んでもよい。
ある診断の構成においては、試験血清は、本発明の方法によって得られる表面結合抗原を有する固相試薬と反応させられる。特異的な抗原抗体をこの試薬と結合させ、そして結合されない血清成分を洗浄により除去した後、この試薬をレポーター標識抗ヒト抗体と反応させて、固体支持体上で結合した抗抗原抗体の量に応じて、レポーターをこの試薬と結合させる。この試薬を再び洗浄して、結合されない標識抗体を除去し、そしてこの試薬と会合したレポーターの量を決定する。代表的には、レポーターは、適切な蛍光測定基質、発光基質または比色基質の存在下で、この固相をインキュベートすることにより検出される酵素である。
この固体表面試薬は、タンパク質材料を固体支持体材料、例えば、高分子ビーズ、ディップ・スティック、96ウェルプレートおよび/または濾過材料に付着させるための公知の技術により調製され得る。これらの付着方法としては、一般的に、支持体へのタンパク質の非特異的な吸着または固体支持体上の化学的に活性な基、例えば、活性化カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはアルデヒド基への、代表的には、遊離アミン基を介する、タンパク質の共有結合、が挙げられる。あるいは、ストレプトアビジンでコーティングされたプレートが、ビオチン化された抗原と共に用いられてもよい。
本発明のさらなる目的および利点は、以下の詳細な説明に一部は示され、そして一部は詳細な説明から明白であるか、または本発明の実施によって学習され得る。本発明の目的および利点は、添付の特許請求の範囲に特に示される要素および組み合わせの手段によって実現されそして達成される。さらに、詳細な説明の本文に記載される利点は、特許請求の範囲に含まれなくても、特許請求される本発明にそれ自体限定されるものではない。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、請求される本発明の代表であって、代表でしかなく、制限ではないことが理解されるべきである。さらに、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、当然ながら変化し得ることが理解されなければならない。さらに、特定の実施形態を記載するために用いられる技術用語は、限定されると解釈されるべきではない。なぜなら、本発明の範囲は、その特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。特許請求の範囲は、特許権消滅状態における実施形態を包含しない。
値の範囲に関しては、本発明は、文脈が明確に他を示すのでない限り、この範囲の上限と下限との間にある各々の値から下限の単位の少なくとも10倍までを包含する。さらに、本発明は、任意の他の言及される介在する値を包含する。さらに、本発明はまた、言及される範囲から特に排除されるのでない限り、この範囲の上限および下限のいずれかまたは両方を除く範囲を包含する。
他に規定されない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語および科学用語の意味は、本発明が属する当該分野の当業者によって通常理解されるものである。当業者はまた、本明細書に記載される方法および材料と同様または等価である任意の方法および材料がまた、本発明を実施または試験するために用いられ得ることを認識する。さらに、本明細書に言及される全ての刊行物は、その全体が参照によって援用される。
本明細書において、そして添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形である「1つの(a)」、「または(or)」および「この、その(the)」は、文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の対象を包含するということに注意しなければならない。従って、例えば、「1つの本発明のポリペプチド(a subject polypeptide)」という言及は、複数のこのようなポリペプチドを含み、そして「この因子(the agent)」という言及は、当業者に公知の1つ以上の因子およびその等価物などの言及を包含する。
さらに、本明細書および特許請求の範囲において用いられる、成分、反応条件、純度%、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの長さなどの量を表す全ての数は、他に示さない限り、「約(about)」という用語によって修飾される。従って、本明細書および特許請求の範囲で示される数的なパラメーターは、本発明の所望の特性に依存して変化し得る近似値である。最低限、特許請求の範囲に対する等価物の原理の適用を限定するつもりではないが、各々の数的なパラメーターは、通常の四捨五入技術を適用して、報告された有意な桁数の数に照らして少なくとも解釈されるべきである。それにもかかわらず、特定の実施例に示される数値は、できるだけ正確に報告される。しかし、任意の数値は、その実験的な測定の標準偏差から特定の誤差を本質的に含む。
本明細書は、本明細書に引用される参考文献に照らしてほとんど完全に理解される。これらの参考文献の各々は、その全体がこの参照によって本明細書に援用される。
本実施例は、本発明の例示であることを意図するものであって、従って、いかなる方法でも本発明を限定すると解釈されるべきではなく、また上記で考察される本発明の局面および実施形態の詳細を記載し提供する。本実施例は、以下の実験が行なわれる全ての実験であるとか唯一の実験であるとかを示すものではない。用いられる数(例えば、量、温度など)に関しては正確性を保障する労力を払っているが、ある程度の実験の誤差および偏差が見込まれるべきである。他に特定しない限り、部分は重量部分であり、分子量は平均の分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧かまたは大気圧付近である。
(実施例1:MGD−CSFとMCG34647のアミノ酸配列アラインメント)
MGD−CSFおよびNP_689669は、T−COFFEE Version 1.37,cpu=0.00sec.,スコア=72、Nseq=3、len=242のプログラムのクラスタル(clustal)形式を用いてそれらのアミノ酸を整列することによって比較した。図1に示されるとおり、MGD−CSFのアミノ酸配列は、NP_689669(MCG34647)のアミノ酸配列とは異なる。後者の配列は、アミノ酸81の位置にグルタミン(Q)残基を有する。MCG34647のNCBI配列におけるアミノ酸81におよびそのいずれかの側に隣接する、5つの隣接するアミノ酸残基は、NVTRLQRAQVS(配列番号279)である。MCG34647のこの公開された配列と対照的に、MGD−CSFは、アミノ酸配列NVTRLRAQVS(配列番号280)を含む。これらの配列の間の相違は、エキソン3とエキソン4との間のMCG34647遺伝子の選択的スプライシングから生じる。エキソン3〜4の境界のゲノム配列は、コドンaac gtc acc agg ctg gtg(配列番号281)およびcag cag agg gcc cag gtg agc(配列番号282)であり、ここでgtgコドン(斜体で示す)は、エキソン3の末端での5’スプライスドナーに相当し、そして2つのcagコドン(斜体で示す)は、エキソン4の開始での2つの選択的スプライスアクセプター部位に相当する。従って、公開されたMCG34647配列は、第一のcagスプライスアクセプター部位の使用から生じる転写物に相当するが、MGD−CSF配列は、第二のcagスプライスアクセプター部位の使用から生じる転写物に相当する。
MCG34647グルタミン81残基は、第一のcagスプライスアクセプター部位が用いられる場合にスプライスアウトされない第二のcagコドンによってコードされる。対照的に、スプライスアクセプター部位としての第二のcagの使用では、得られたRNA転写物の第一のcag配列のスプライシングアウトを生じ、これが次にMGD−CSFスプライス改変体における対応するグルタミンの欠失を生じる。従って、MGD−CSFは、スプライシング改変体であって、MCG34647とは別個であるRNAおよびタンパク質の種に相当する。
(実施例2:MGD−CSF発現のためのプラスミドベクター)
MGD−CSF遺伝子を、標準的なクローニング手順を用いて、図2および図3に示されるように改変されたpTT−5およびpTT−2哺乳動物発現ベクターにクローニングした。MGD−CSF遺伝子はまた、標準的なクローニング手順を用いて、pIB/V5His−DEST昆虫細胞発現ベクター(Invitrogen,Carlsbad CA)にクローニングした。得られた構築物は、表1および表5に記載される。それらとしては、ベクターpTT5においてタグ化されていないヒトMGD−CSF(MGD−CSF)、ベクターpTT2においてタグ化されていないヒトMGD−CSF(CLN00839395)、ベクターpTT5においてC末端V5H8タグを有するヒトMGD−CSF(CLN00732663)、V5H8でタグ化されたヒトMGD−CSF(CLN00732663)、ベクターpTT2においてC末端V5H8タグを有するヒトMGD−CSF(CLN00840351)、ベクターpIB/V5His−DESTにおいてC末端V5H8を有するヒトMGD−CSF(CLN00758593)、およびベクターpTT5−Gにおいてコラーゲン分泌リーダーおよびC末端Streptagを有するヒトMGD−CSF(CLN00816424)が挙げられる。
MGD−CSFの発現および分泌をモニターするため、そしてその精製を補助するために、構築物CLN00821867を、タンパク質とC末端切断タグとの間で操作されたTobacco Etch Virus(TEV)プロテアーゼ認識部位で生成した。TEVプロテアーゼの7つのアミノ酸認識部位は、Glu−Asn−Leu−Tyr−Phe−Gln−Gly(配列番号183)であり、切断はGlnとGlyとの間で生じる。構築物CLN00821867を、MGD−CSF(1〜241aa)_TEV_V5_StreptagII_H8と命名して、ベクターpTT5−I中でCタグ化した。
MGD−CSFの分泌を改善するために、最初の20アミノ酸によってコードされるその分泌シグナルペプチドを、コラーゲンのシグナルペプチドをコードする23アミノ酸によって置き換えた(GenBankタンパク質アクセッション番号NP_001842)。この構築物CLN00848149を、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_MGD−CSF(21〜241aa)と命名して、ベクターpTT5−G中で非タグ化する。別のこのような構築物も、タンパク質とC末端切断タグとの間で操作されたTEVプロテアーゼ認識部位を有する。CLN00816424を、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_MGD−CSF(21〜241aa)_TEV_V5_StreptagII_H8と命名して、ベクターpTT5−G中でCタグ化する。第三のこのような構築物をN末端タグとタンパク質のとの間で操作されたTEV部位で生成した。CLN00816425を、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_H8_StreptagII_V5_TEV_MGD−CSF(21〜241aa)と命名して、ベクターpTT5−H中でNタグ化する。
アミノ酸が成熟タンパク質のN末端、C末端または両方の末端から欠失された欠失構築物を生成した。これらの欠失構築物のMGD−CSFシグナルペプチドを、コラーゲンシグナルペプチドで置き換えた。CLN00848160は、25のN末端アミノ酸が欠失しており;これを、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_MGD−CSF(26〜241aa)と名付けて、ベクターpTT5−G中で非タグ化する。CLN00848173は、30のN末端アミノ酸を欠失しており;これを、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_MGD−CSF(31〜241aa)と名付けて、ベクターpTT5−G中で非タグ化する。CLN00848209は、5個のC末端アミノ酸および20個のN末端アミノ酸(シグナルペプチド)が欠失しており;これを、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_MGD−CSF(21〜236aa)と名付けて、ベクターpTT5中で非タグ化する。CLN00848197は、10個のC末端アミノ酸および20個のN末端アミノ酸(シグナルペプチド)が欠失しており;これを、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_MGD−CSF(23〜231aa)と名付けて、ベクターpTT5中で非タグ化する。CLN00848185は、28個のC末端アミノ酸および20個のN末端アミノ酸(シグナルペプチド)が欠失しており;これを、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_MGD−CSF(21〜213aa)と名付けて、ベクターpTT5中で非タグ化する。CLN00848220は、25個のN末端アミノ酸および10個のC末端アミノ酸が欠失しており;これを、MGD−CSFコラーゲンSP(1〜23aa)_MGD−CSF(26〜231aa)と名付けて、ベクターpTT5中で非タグ化する。
MGD−CSFの2つのマウスオルソログを同定して、標準的な手順によって、非タグ化pTT5(CLN00840257およびCLN00847948)に、そしてこのクローンとタグとの間のTEV部位でタグ化されたpTT5−I(CLN00840253およびCLN00842712)にクローニングした。これらのオルソログを用いて、マウスの組織および細胞においてMGD−CSFの生物学的活性に関する動物研究を行なってもよい。
構築物CLN00840257およびCLN00840235によって示されるマウスのオルソログは、RIKEN全長富化ライブラリー由来のMus musculus成体雄性小腸cDNAクローン2010004A03に由来した;理論的タンパク質12842043;遺伝子座AK008082。構築物CLN00840257は、ファントムクローン2010004A03のヌクレオチド配列のオープンリーディングフレーム(ORF)に相当し、そしてベクターpTT5にクローニングされたヒトMGD−CSFのマウスオルソログである。構築物CLN00840253は、ファントムクローン2010004A03のヌクレオチド配列のORFに相当し、そしてベクターpTT5−Iにクローニングされた。
構築物CLN00847948およびCLN00842712によって呈示されるマウスオルソログは、遺伝子座BC016254で、RIKEN全長富化ライブラリー由来のMus musculus cDNAクローン2010004A03、mRNA(cDNAクローンMGC:28891 IMAGE:4912097)、完全cds18921436に由来した。構築物CLN00847948(18921436)は、ベクターpTT5にクローニングされたヒトMGD−CSFのORFヌクレオチド配列に相当する。この構築物CLN00842712(18921436)は、ベクターpTT5にクローニングされたヒトMGD−CSFのORFヌクレオチド配列に相当する。
(実施例3:哺乳動物細胞における一過性の発現)
MGD−CSFポリペプチドをコードする相補的なDNAを、発現ベクターpTT5およびpCDNA−pDEST40にクローニングして、タグ化タンパク質および非タグ化タンパク質の両方として発現した。タンパク質のレベルは、定量的なウエスタンブロット分析により、タグ、例えばV5Hisタグのレベルを測定することによって定量した。発現ベクターは、10%ウシ胎仔血清(FBS)およびペニシリン/ストレプトマイシン(100μg/ml、100U/ml)を含むDMEM中に含まれるトランスフェクション剤Fugene6(Roche,Nultley NJ)を用いて、接着性293細胞中にトランスフェクトして、5%CO2中において37℃で40時間インキュベートし、その後に細胞をPBSで洗浄して、完全DMEM中でさらに48時間インキュベートした。細胞上清を回収して、遠心分離によって細胞破砕物を除去して、抗V5抗体を用いるウエスタンブロットアッセイによって生物学的活性(非タグ化cDNA)およびタンパク質発現(V5タグ化cDNA)について試験した。
発現研究はまた、懸濁培養物中でタグ化MGD−CSF構築物を一過性に発現している293−6E細胞で行った。細胞は、トランスフェクションの18〜24時間前に、25mlのFreeStyle培地(Invitrogen,Carlsbad CA)中で1mlあたり6×105個の細胞の密度まで希釈した。トランスフェクション複合体は、1.25mlのPBSに25μgのDNAを添加すること、1mg/mlの濃度で水中に溶解した50μlの直鎖の25kDのポリエチレンイミン(PEI)(Polysciences,Warrington PA)を添加すること、この溶液を混合すること、およびこの混合物を室温で1時間インキュベートしてその後にこれをトランスフェクトされるべき細胞に添加することによって調製した。細胞およびそれらの上清は、トランスフェクションの3〜6日後に回収して、タンパク質発現は、ウエスタンブロット分析によって評価した。
細胞懸濁液(1ml)をペレットにし次いで4部のXTサンプル緩衝液(Bio−Rad,Hercules CA)と混合した。99℃で3分間の変性後、サンプルをCriterion XT SDS−PAGEゲル(Bio−Rad,Hercules CA)にロードするか、または−20℃で保管した。細胞ペレットを、100μlの溶解緩衝液(1%NP−40;50mM Tris−HCl、pH8.0;150mM NaCl;および1錠剤完全プロテアーゼインヒビター(Roche,Indianapolis IN))中での再懸濁によって溶解した。溶解した細胞を14,000rpmでの遠心分離によってペレットにして、得られた透明な溶解物のタンパク質および細胞懸濁液を、SDS−PAGEによって分離して、ニトロセルロース膜に転写した。ウエスタンブロットは、V5エピトープに特異的なHRP結合体化モノクローナル抗体(Invitrogen,Carlsbad CA)を用いて、またはポリクローナルのウサギ抗MGD−CSF抗体(Five Prime Therapeutics,Inc.,South San Francisco CA)を用いて膜をプローブすることによって行った。結合されたウサギ抗MGD−CSF抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合体化されたポリクローナルヤギ抗ウサギ(Jackson Immuno Research,West Grove PA)で検出した。化学発光基質(SuperSignal West Femto,Pierce,Rockford IL)中で膜をインキュベートすること、およびこれを感光性のフィルムに曝すことによって免疫複合体を可視化した。
図4Aおよび4Bに示されるように、293−6E細胞は、トランスフェクションの3〜6日後にタグ化MFD−CSFを発現した。図4Aは、293−6E細胞中への一過性にトランスフェクトされたV5H8(CLN00732663)でタグ化されたMGD−CSFの発現を示す。この左のパネルは、細胞内MGD−CSFを示す。発現はトランスフェクション後3日でほぼ顕著であった。真ん中のパネルは、上清中へ分泌されたMGD−CSFを示す。発現はトランスフェクションの6日後に最も顕著であった。右のパネルは、定量的な陽性コントロール(Positope,Invitrogen,Carlsbad,CA)を示す。
図4Bは、コラーゲン分泌配列を有しV5H8でタグ化されたMGD−CSFの発現を示す(CLN00816424)。左パネルは、細胞内MGD−CSFを示す。発現は、3日で観察されて、トランスフェクション後6日にわたって継続して増大した。真ん中のパネルは、上清中へ分泌されたMGD−CSFを示す;その発現はまた3日から6日に増大した。右のパネルは、定量的な陽性コントロール(Positope,Invitrogen,Carlsbad,CA)を示す。
図4Aおよび図4Bの両方において、細胞および上清のタンパク質ロードは、左および真ん中のパネルのゲルロードが匹敵する細胞数を反映するように適合された。従って、真ん中のパネルに示されるMGD−CSFの量は、細胞の分泌効率を反映する。上清中で検出された標的化タンパク質は、約40kDの分子量を有したが、細胞内タンパク質は、おそらく不完全なグリコシル化に起因して約37kDの分子量を有した。分泌されたタンパク質の収率は、構築物の設計次第で異なった。CLN00732663は、細胞内で低収率で発現された。37kD型であって40kD型ではないが、おそらく、細胞溶解に起因して、やはり低収率(約5〜10ng/ml)で、トランスフェクション6日後に細胞培養上清中で検出された。外因性の分泌シグナルおよび伸長された切断性C末端タグで内因性のシグナルペプチドを置換することで、発現および分泌は少なくとも1倍に増大した(CLN00816424)。さらに、より高分子量のタンパク質バンドのみが、CLN00816424でトランスフェクトされた細胞培養物の上清中で検出可能であり、このことは、このタンパク質が分泌されたものであって、溶解した細胞には由来しなかったことを示した。
(実施例4:トランスフェクトされた細胞の増殖および生存度)
図5Aおよび表1に示されるように、CLN00816424で一過性にトランスフェクトされた293−6E細胞は、トランスフェクション後3〜6日にわたって増殖し続けた。懸濁培養物中の細胞の密度は、CLN00542945(黒)、CLN00732663(薄灰色)、CLN00821867(斜線)、およびCLN00816424(格子)でのトランスフェクションの後3〜6日血球計算板を用いて、トリパンブルーを排除した細胞をカウントすることによってモニターし、そして分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)をコードするコントロールの遺伝子(濃灰色)と比較した。コントロールのSEAP細胞およびCLN00816424(コラーゲンリーダーを有するMGD−CSF)でトランスフェクトされた細胞の両方が、3〜6日にわたって数が増えた。CLN00542945(非タグMGD−CSF)、CLN00732663(V5H8タグ化MGD−CSF)、またはCLN00821867(ストレプタグ化MGD−CSF)でトランスフェクトされた細胞は増殖しなかった。
図5Bに示されるとおり、CLN00816424(コラーゲンリーダーを有するMGD−CSF)で一過性にトランスフェクトされた細胞は生存したままであった。それらは、培養物中で6日間80%を超える生存度を維持した。懸濁培養物中の細胞の生存度は、CLN00542945(黒)、CLN00732663(薄灰色)、CLN00821867(斜線)、およびCLN00816424(格子)でのトランスフェクションの後3〜6日にわたって血球計算板を用いて、トリパンブルー排除によってモニターし、そして分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)をコードするコントロールの遺伝子(濃灰色)と比較した。MGD−CSF、CLN00732663およびCLN00821867を発現する細胞は、培養物中での経時的な細胞生存率の減少によって証明される、細胞毒性の増大を示した。この毒性は、宿主293細胞におけるMGD−CSFのcDNAには特異的でないが、特定の培養条件下でのみ観察される。
(実施例5:哺乳動物細胞での安定なトランスフェクション)
MGD−CSFは、トランスフェクトされた接着性293−T細胞によって安定に発現された。安定なトランスフェクションをATCC(Manassas VA)から購入された293−T細胞で行って、完全DMEM培地(10%FBS(Mediatech,Herndon VA);100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび2mMのグルタミン(Invitrogen,Carlsbad CA)を補充したDMEM培地)中で培養した。トランスフェクションの前日、1.25×105個の細胞をT−175培養フラスコ(Corning,Acton MA)中に播種して、5%CO2を用いて37℃で一晩インキュベートした。細胞を、114μlのFugene6(Roche,Nutley NJ)と1.9mlのRPMI−1640培地(Mediatech,Herndon VA)とを混合することによってトランスフェクトして、室温で5分間インキュベートした。プラスミドDNA(19μgの全長MGD−CSFをpIRESpuro3中に)(BD Biosciences,San Jose,CA)をFugene/培地混合物に添加して、室温で15分間インキュベートした。脂質/DNA混合物をT−175フラスコに移して、細胞とともに16時間インキュベートした。翌日、細胞を0.25%トリプシン(Invitrogen,Carlsbad CA)で剥離して、3つのT−175フラスコに増殖させた。約16時間後、この細胞を培養容器に結合させて、選択試薬ピューロマイシン(Invitrogen,San Diego CA)を10μg/mlという最終濃度に添加した。選択培地を1週に1回交換して、細胞生存率を4〜6週間モニターした。発現は、上記のポリクローナルウサギ抗MGD−CSF抗体を用いてウエスタンブロット分析によって確証した。
MGD−CSFを安定に発現する接着性293−T細胞は、低血清または血清なしの培地中での懸濁培養に適合された。細胞を106/mlの濃度でFreeStyle培地(Invitrogen,Carlsbad CA)中で、またはHyq PF CHO LS培地(Hyclone,Logan UT)中で、それぞれ再懸濁して、5%FBS(Mediatech,Herndon,VA)を補充した。懸濁細胞培養を、250mlの振盪フラスコ中で50mlの容積で維持して、37℃および5%CO2で培養した。この培地を1週に2回交換して、細胞を約106/ml以下の密度で維持した。細胞生存率は、トリパンブルー排除によって測定した。生存度が80%を超える場合、血清濃度を、3%、2%、1%、次には血清なしと漸減させた。トランスフェクトされた細胞は、血清の減少した条件、または無血清の条件に適合した。非タグ化MGD−CSFを一過性に発現する293−T細胞の細胞生存率およびタンパク質収率は、1%FBSを有するHyQ−CHO培地中での培養中の4日後には、3%FBSを有するFree Style培地中で培養した293−E細胞での一過性の発現の6日後に観察された生存度および収率よりもかなり高かった。
3%FBSを有するFreeStyle培地中で維持した接着性293−T細胞は、比較的緩徐に増殖した;それらの生存度は3継代後に67%であった。相対的に、1%FBSを有するHyQ PF CHO LS培地中で維持した細胞は、さらに迅速に増殖し;それらの生存度は4継代後に85%を超えていた。図6Aに示されるとおり、HyQ PF CHO LS培地および1%FBS中の培養物のタンパク質収率(右パネル)は、定量的なウエスタンブロットによって決定されるとおり、3%のFBSを補充したFreeStyle培地中で培養した細胞からの収率(左パネル)に比較して10倍より多く増大された。
図6Bに示されるように、ウエスタンブロット分析によって示される場合、低血清培地または血清なしの培地の懸濁培養物中で増殖するように適合された安定にトランスフェクトされたMGD−CSF 293−T細胞から、高いタンパク質収率が得られた。低血清で懸濁培養物中で増殖するように適合された安定にトランスフェクトされたMGD−CSF 293−T細胞は、8倍より分泌した(1.3μg ml)(パネル1)。血清なしの培地中で増殖された細胞は、4日間にわたって上記されたとおり、接着して増殖する安定にトランスフェクトされたMGD−CSF 293−T細胞(約160ng/ml)(パネル3)よりも、6日内に培養上清中へ4倍を超える(650ng/ml)(パネル2)MGD−CSFを分泌した。MGD−CSFは、E.coli中で発現し、次いで精製されて定量的な標準物として機能した(パネル4)。
(実施例6:バイオリアクター発酵)
図7に示されるとおり、バイオリアクター発酵は、10リットルのバイオリアクター中で6〜7日の発酵の経過の間、約10μg/mlまでMGD−CSFの生産性を改善した。低血清中で増殖するように適合された細胞を、1%FBSを補充された10リットルのHyQ PF CHO LS培地中へ約5×105/mlの濃度で接種した。発酵は6日間モニターして、サンプルを上記のようにゲル電気泳動のために調製した。図7の左パネルは、1レーンあたり22.5μlのサンプルをロードされ、接種後1〜6日でクマーシーブルー染色されたゲルにおけるMGD−CSFの存在を示す。ウシ血清アルブミン(BSA)は、右パネルに定量的コントロールとして示される。矢印は、MGD−CSFの位置を示す。
(実施例7:タンパク質単離)
MGD−CSFは、上記のように、そして図8に示されるように、タンパク質を安定に発現する懸濁培養物中で増殖した293T細胞から単離した。培養上清は、0.5M NaCl、pH5.0(HClを含む)に調節し、次いで10kDの分子量カットオフを有するセルロース膜(Millipore,Billerica MA)を用いて5倍に濃縮した。その濃縮物を、緩衝液A(10mMの酢酸pH5.0、110mM NaCl)に対して透析して、緩衝液Aで平衡化したSP−Sepharose FF(Amersham,Piscataway NJ)陽イオン交換カラムで分画した。そのタンパク質は、1.5M NaClへ直線勾配で溶出させて、MGD−CSFを含有する画分を緩衝液B(10mM 1,3ジアミノプロパンpH8.9、30mM NaCl)に対して透析した。
この透析されたSP−Poolを、緩衝液Bで平衡化したヘパリン Sepharose HP(Amersham,Piscataway,NJ)カラムに加えて、1.5M NaClへ直線勾配で溶出させて、MGD−CSFを含有する画分を緩衝液C(10mM ビス−トリプロパンpH7.4、30mM NaCl)に対して透析した。この透析されたHep−Poolを、緩衝液C中で平衡化したQ−Sepharose FF(Amersham,Piscataway,NJ)陰イオン交換カラムで分画して、1.5M NaClへ直線勾配で溶出させて、MGD−CSFを含有する画分をプールして、このQ−Poolを液体窒素中で急速凍結して、−80℃で保管した。この精製手順は、95%を超える純度でこの発現されたタンパク質の12%の収率を回収した。
(実施例8:システインからセリンの変異分析)
MGD−CSF配列は、アミノ酸位置35、167、176、178、179、190および198に位置する7つのシステイン残基を含む。非還元条件下での変性および未変性のゲル電気泳動の結果の比較に基づけば、MGD−CSFは、ジスルフィド連結オリゴマーを形成しない。従って、天然のタンパク質中のシステイン残基の少なくとも1つは不対であると予想される。不対のシステイン残基によって、不適切なタンパク質折り畳みおよび共有的な凝集体の形成がもたらされ得る。
MGD−CSFタンパク質の7つの突然変異タンパク質(ムテイン)のセットが構築され、発現され、特徴付けられ、ここでシステインの各々がそのジスルフィド結合パターンを理解するためにセリンに変異された。このジスルフィド結合パターンの分析によって、1つ以上の遊離のシステイン残基の排除が、改善された特性、例えば、哺乳動物細胞からの改善された発現および分泌、精製されたタンパク質の凝集の減少、ならびに/またはE.coliで発現された場合活性な組み換えMGD−CSFを生成する能力を有するMGD−CSFタンパク質を生じるか否かが決定され得る。
各々の突然変異タンパク質(ムテイン)をコードするDNAは、コラーゲンシグナルペプチドを含む構築物、および成熟MGD−CSFをコードするヌクレオチド配列(CLN00848149)から生成した。タンパク質は、上記のように、293−T細胞で発現された。上清を回収して、還元および非還元のゲル電気泳動に、続いてヒトMGD−CSFにおける真ん中のペプチドエピトープに対して惹起されたポリクローナル抗体でのウエスタンブロッティングに供した。
図8Bに示されるとおり、還元ゲルのウエスタンブロットを分析して、野性型ヒトMGD−CSF(天然またはコラーゲンシグナルペプチドを有する)および各々のCysからSerへの突然変異タンパク質(ムテイン)の相対的な発現レベルを決定した。野性型ヒトMGD−CSFの分泌タンパク質収率は、天然のシグナルペプチドよりもコラーゲンシグナルペプチドで高いことが観察された。全ての突然変異タンパク質(ムテイン)が、コラーゲンシグナルペプチドを有する野性型ヒトMGD−CSFに比較した場合、分泌されたタンパク質の収量の少なくともわずかな減少を有することが観察された。C179SおよびC190Sの収率は、有意に減少され、そしてC35Sの発現は検出不能であった。これらの結果に基づいて、C35、C179およびC190は、天然のMGD−CSFにおけるジスルフィド結合に関与すると考えられる。
図8Bにさらに示されるとおり、非還元ゲルのウエスタンブロットを、タンパク質標準と比較したMGD−CSF種の相対的な移動によって決定された、みかけの分子量の変化について分析した。ジスルフィド結合が破壊されるとき、タンパク質のみかけのサイズは代表的には、SDS−PAGEの変性条件下で増大し、そしてこの増大の大きさは代表的には、このタンパク質の一次配列における2つのシステイン残基の間の距離と相関している。ジスルフィド結合の破壊は、高分子量凝集種の形成を生じ得る。C167Sは野性型MGD−CSFと同じ移動時間を有することが観察されるが、他の突然変異タンパク質(ムテイン)の全てが移動の挙動が変化している。これによって、C167は、天然のMGD−CSFにおける唯一の不対システインである可能性が高いことが示される。C179SおよびC190Sの両方とも最初により高い分子量の種を形成する。これらの突然変異タンパク質(ムテイン)は、タンパク質の収率および移動において同じ変化を有し、このことは、それらが天然のMGD−CSFにおいてお互いと対であることを示唆する。C176SおよびC178Sは、移動において同じわずかな減少を示し、このことは、それらが、天然のMGD−CSFにおいてお互いと対であり得ることを示唆する。結局、C198Sは、移動においてより大きい変化を有し、このことは、そのパートナーが、タンパク質配列においてかなり離れて位置するC35であり得ることを示唆する。C167が天然のMGD−CSFにおける唯一の不対システインであると考えられるという事実によって、これはセリンまたはアラニンに変異され得、ここで発現されたタンパク質の収率の改善および回収されたタンパク質産物の異質性の減少が生じる。
(実施例9:MGD−CSFは、造血細胞増殖を促進する)
(A.MGD−CSFは、NK細胞増殖を促進する)
マウスNK細胞は、製造業者(Miltenyi Biotechnology Inc.,Auburn CA)の指示に従ってNK細胞単離キットを用いてC57BL6の10週齢の雌性マウスの脾臓から精製した。約30,000個の精製されたNK細胞を、精製されたMGD−CSFと0.01〜10μg/mlの濃度でインキュベートした。NK細胞数はCellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay Kit(Promega#G7571)を用いて決定した。図9に示されるとおり、5%FBSを含むRPMI中でのインキュベーションの4日後、MGD−CSFは特異的に、NK細胞数の増殖および/または生存を用量依存性の様式で増大した。
ヒトNK細胞は、Stanford Blood Center(Palo Alto,CA)から入手した被膜形成細胞において富化された血液から単離して精製した。血液は、PBSで約1:5に希釈して、Ficoll(Ficoll−Paque Plus,Amersham Biosciences;Piscataway,NJ)を、各々が25mlの希釈血液を含む複数の50mlの円錐管に添加した(12.5ml/チューブ)。このFicoll/血液混合物を、450×gで30分間遠心分離した。末梢血液単核球(PBMC)層を除去し、カルシウムおよびマグネシウムなしでDPBS 1×(Mediatech,Inc.,Prince William Co.VA)で洗浄して、1000RPMで10分間ペレットにした。PBMCは、1350 RPMで10分間の遠心分離によってPBS中で3回洗浄して、0.5%ウシ胎仔血清(Gibco(Invitrogen)、Carlsbad CA)および2mMのEDTA(Sigma Aldrich,St.Louis MO)を含む40mlのPBS(PBSFE)中に再懸濁した。
NK細胞は、製造業者によって推奨されるように、ヒトNK細胞 Isolation Kit II(Miltenyi Biotechnology Inc.,Auburn CA)を含むPBMCから濃縮した。この濃縮工程は、autoMACSTMSeparator(Miltenyi Biotechnology Inc.,Auburn CA)の「枯渇(deplete)」プログラムを利用した;濃縮NK細胞に相当する陰性の画分は、出力ポート「neg1」から収集した。これらの細胞は、1350RPMで10分間遠心分離した。この細胞ペレットを10%ウシ胎仔血清を含むDMEM中に再懸濁して、1×106細胞/mlの濃度に希釈した。この細胞を、96ウェルの丸底プレート中で、1ウェルあたり10%のウシ胎仔血清を含む50μlのDMEMに5×104個の細胞濃度で、7%CO2の雰囲気中で37℃で4日間、下に記載のコントロールおよび試験因子とともにインキュベートした。
この方式で調製したヒトNK細胞の増殖に対するコントロールおよび試験因子の効果は、Promega CellTitreGlo Technical Bulletin No.288(Promega,Madison WI)に記載されるように、ルシフェラーゼ活性を測定することによるATPの定量に基づいて、培養物中の生存細胞の数を測定することによってスクリーニングアッセイにおいて確認した。定量的な結果は、Lmaxプレートリーダー(Molecular Devices,Sunnyvale CA)で、室温で1ウェルあたり0.6秒で読み取った。このウェルのATP含量は、プレート後4日間測定した。
図10に示されるように、MGD−CSFでトランスフェクトされた細胞、およびMGD−CSFクローンの供給源であるクラスター190647由来のプラスミドDNAでトランスフェクトされた細胞由来の馴化培地は、NK細胞生成を刺激した。インターフェロンγ(IFN−γ)、インターロイキン1(IL−1)およびGM−CSFを、インターフェロン陽性のコントロールとして用いた。組み換えインターロイキン15を含む外部の陽性コントロール、および培養培地を含む外部陰性コントロールは、図10の右および左に示す。このスクリーニングアッセイによって、NK細胞の生成を刺激するかおよび/または数を安定化する因子としてMGD−CSFは同定された。この結果は、スクリーニングアッセイの4つの独立した繰り返しでみられた。MGD−CSFは、NK細胞からのサイトカインの産生を一貫して誘導はしない。これは単球細胞の数を増大するかまたは安定化するが、単球細胞からのサイトカインの産生を誘導しなかった。MGD−CSFは、活性化されたT細胞またはB細胞の数に影響しなかった。
(B.MGD−CSFは造血幹細胞増殖を促進する)
MGD−CSFはまた、培養物中で骨髄CD34+造血幹細胞(HSC細胞)(Cambrex,Inc.,Baltimore MD)の増殖を刺激した。図11に示されるとおり、MGD−CSFは、用量依存性の様式で増殖を増大した。HSC細胞は、5%熱不活化ウシ胎仔血清(ATCC)および10ng/ml組み換えヒト幹細胞因子(SCF)、10ng/ml Flt3リガンド(Flt3L)(R&D Systems,Minneapolis MN)を補充された1ml/ウェルのRPMI(ATCC)を含有する12ウェルの組織培養ディッシュ中で1ウェルあたり2.4×104個の細胞密度で間質なしの条件下で、5%CO2インキュベーター中で37℃で1〜2週間、培養物中で増殖させ、PBSで洗浄し、0.5mlのVersene(Gibco BRL,Gaithersburg MD)で剥がして、再度PBSで洗浄し、1mlのPBS/0.1%のBSA(Sigma,St.Louis MO)中で再懸濁して、血球計算器でカウントした。精製されたMGD−CSFは、用量依存性の様式でその増殖を20ng/ml〜500ng/mlに増大した。MGD−CSFは、幹細胞増殖をM−CSFより大きい程度まで、そしてG−CSFおよびGM−CSFと同様の程度まで誘導した。
(C.MGD−CSFは、インビトロにおいて骨髄球性の細胞増殖を促進する)
ヒト初代単球を、前に記載された方法(de Almeidaら、Mem.Inst Oswaldo Cruz 95:221〜223,2000)とは改変されたプロトコールを用いてPBMCから精製した。血液からヒトPBMCを単離するために、バフィー・コートを6倍容積のPBS中で希釈し、次いで50mlのチューブ中で20mlのFicollに積層した。このチューブを2,000rpmで22℃で20分間、遠心分離ブレーキの使用なしに遠心分離した。PMBC細胞を界面から収集して、PBSを用いて2回洗浄し、次いでRPMI 5% FBS中で再懸濁して、BD Falcon細胞ストレイナーを通して濾過した。PBMCから初代の未結合単球を精製するために、6mlのPBMC懸濁液(70〜120×106個の細胞を含む)を、10mlの高浸透圧性Percoll上に注意深くかつ緩徐に積層した。この細胞を遠心分離ブレーキの使用なしに580×gの速度で15分間、遠心分離した。境界面の細胞を収集して、50mlのRPMI 5% FBSを用いて洗浄した。この精製された単球細胞ペレットを50mlのRPMI5%FBSに再懸濁した。
単球アッセイは、約30,000個の精製された単球を上記のように精製されたMGD−CSFとともにインキュベートすることによって行った。5%FBSを有するRPMI中でのインキュベーションの4日後、単球増殖は、CellTiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay Kit(Promega#G7571)を用いて決定した。
MGD−CSFトランスフェクト293−T細胞由来の馴化培地(MGD−CSF CM)は、単球増殖を促進した。スクリーニングアッセイは、マウスIgG2aによって活性化された単球に対して96ウェルプレート形式で二重のプレートで行った。表6は、各々のクローンが単球増殖および各々の構築物の発現の程度を刺激するという活性の力価の半定量的な記述を示す。MGD−CSF CMは、GM−CSFとほぼ同じ程度まで単球増殖を刺激した。結果は、培地から少なくとも2標準偏差の場合、有意であるとみなした。観察されたED50は3〜5ng/mlであった。変異MGD−CSFタンパク質もこのアッセイで試験した。変異クローンCLN00848185は、野性型タンパク質に匹敵する活性(力価)を実証し、そして他の変異クローンは、野性型タンパク質よりもわずかに低い活性を有し、そのことは、いくつかの変異タンパク質が治療タンパク質として用いられ得ることを示唆する。
図12Aに示されるとおり、単球増殖に対するMGD−CSF CMの刺激性効果は、10,000倍の範囲にわたって用量依存性であった。試験したMGD−CSF CMの最低用量0.01μlは、単球増殖に有意な影響を有さなかった。0.1μlへのMGD−CSF CMの用量の10倍の増大によって、コントロールに比較して有意なレベルへの細胞増殖が誘導された。1μlのMGD−CSF CMおよび10μlのMGD−CSF CMへの用量のさらなる増大は、単球増殖を用量依存性の様式でさらに増大した。空のベクターでも陰性のコントロールCLN003732またはFPT026でも用量依存性は観察されなかった。刺激陽性のコントロールであるGM−CSFの10ng/mlの単独用量の効果が示され、同様に陰性のコントロールIL−10の効果および非馴化培地の効果が示される。
図12Bに示されるとおり、精製されたGM−CSFおよびMGD−CSFでトランスフェクトされた細胞由来の馴化培地は両方とも、ヒト単球増殖を刺激した。従って、MGD−CSFは、骨髄性細胞および顆粒球の分化および増殖におけるその役割に加えて、単球増殖のアゴニストとして機能する。これは、ガン患者における化学療法または放射線療法および骨髄移植後の造血細胞の回復を強化するための造血因子として用いられ得る。
(D.MGD−CSFは、インビボにおいて造血細胞増殖を促進する)
インビボにおけるMGD−CSFの役割を理解するため、C57BL6マウスに、Wangら、Cancer Res.63:9016〜9022,2003によって記載される方法を用いて、MGD−CSFプラスミドDNAを注射した。ヒトチトクロムP450 3A4プロモーターを、MGD−CSFのヌクレオチド配列を有する核酸分子に対して作動可能に連結して、マウスの尾静脈に注射してマウスの肝臓をMGD−CSFでトランスフェクトした。ヒト3A4プロモーターを用いて、マウス肝臓におけるMGD−CSFの発現を駆動した。完全血球算定(complete blood count)(CBC)および異なる分析は、Serono Baker 9000血液学分析計を用い各々の2つの独立した実験においてコントロール群および実験群で行なった。
第一の実験におけるコントロール群(表7A、動物1〜3)は、実験マウスに年齢適合した3匹の注射していないマウスからなった。第一の実験における実験群(表7A、動物4−6)は、尾静脈を介して裸のMGD−CSF DNAを注射された3匹のマウスからなった。血液サンプルは注射の14日後収集した。表7Aに示されるとおり、注射されたマウスは、コントロールに比較して上昇した単球カウントを有した。コントロール動物1、2および3は、それぞれ血液1μlあたり94、84および52個の単球を有した。実験動物4および6は、それぞれ血液1μlあたり216および268個の単球を有した。動物3では意味のある単球カウントは得られなかった。
第二の実験におけるコントロール群(表7B、動物1〜6)は、実験マウスに年齢適合し、LacZ構築物を尾静脈を介して注射した6匹のマウスからなった。第二の実験における実験群(表7B、動物7〜12)は、尾静脈を介して裸のMGD−CSF DNAを注射された6匹のマウスからなった。血液サンプルは注射の21日後収集した。表7Bに示されるとおり、注射されたマウスは、コントロールに比較して上昇した単球カウントを有した。検出可能な単球レベルを有したコントロール動物はいなかった。6匹の実験動物のうち4匹は、1μlあたり50〜78個の単球におよぶ検出可能な単球レベルを有した。これらの結果によって、MGD−CSFは、インビボで骨髄細胞数を増大したことが実証される。
(実施例10:造血性分化に対するMGD−CSFの影響のFACS分析)
インビトロの顆粒球、単球および樹状細胞発達アッセイによってさらに、造血におけるMGD−CSFの機能が明らかになる。ヒト骨髄CD34+造血幹細胞(HSC細胞)(Cambrex,Inc.,Baltimore MD)を上記のように培養した。
分化は、顆粒球細胞表面上の種々のマーカーを検出するために蛍光標識した抗体を用いる蛍光活性化細胞選別装置(FACS)分析によって確認した(Kavathasら、Proc.Natl.Acad.Sci.80:524〜528(1983))。MGD−CSF、G−CSF、GM−CSFまたはM−CSFの有無のいずれかでの1週の培養後、BM CD34+細胞をPBSで1回洗浄して、0.5mlのVersene(Gibco BRL、GAithersburg MD)で剥がし、1ml PBS/0.1%BSA(Sigma,St.Louis MO)で洗浄して、0.2mlのPBS/0.1%BSA(Sigma,St.Louis MO)中に再懸濁して、FACS染色のための96ウェルのプレート中にアリコートした(1ウェルあたり50μl)。細胞を、蛍光結合体化抗体を用いて15分間4℃でインキュベートした。150μlのPBS/0.1%BSAで2回の洗浄後、細胞を、製造業者(Bacton Dickinson,Franklin Lakes NJ)の指示に従ってFACS Caliburで分析した。10ng/mlのG−CSF、10ng/mlのM−CSFまたは30ng/mlのGM−CSF(R&D Systems,Minneapolis MN由来)が、公知の増殖因子の効果の陽性コントロールとして機能した。顆粒球、単球または樹状細胞系列の特定の表面マーカーに特異的な蛍光標識化抗体をBD Biosciences(San Jose,CA)から購入して、顆粒球、単球および樹状細胞の系列へのHSC細胞の分化に対するMGD−CSFの効果を確認するために用いた。
(A.顆粒球分化)
図13に示されるとおり、MGD−CSFは、未分化の細胞から異なるマーカーCD67+およびCD24+を保有する分化した顆粒球への顆粒球の分化を刺激した。陰性コントロールとして、空のベクターの存在下およびサイトカインの非存在下における顆粒球分化のベースラインのレベルは、1.2%であることが測定された。陽性のコントロールであるG−CSFは、顆粒球の55%を分化するように刺激した。MGD−CSF CMは、顆粒球の41%を分化するように刺激した(矢印)。MGD−CSFの効果は、G−CSFの効果と相乗的であって、両方の存在下では、顆粒球の64%が分化するように刺激された。
CD24およびCD15抗体を用いて、顆粒球分化をモニターした。CD24抗体は、B細胞および顆粒球の表面上で発現された35〜45kDaの2鎖糖タンパク質と反応した。CD15抗体は、X−haptenとしても公知の220kDaの炭水化物構造である、3−フコシル−N−アセチルラクトサミン(3−FAL)と反応した。3−FALは、好中球および好酸球を含む試験された顆粒球のうち95%で、そして単球では種々の程度まで発現されたが、リンパ球または好塩基球では発現されなかった。CD15は、食作用、殺菌活性および走化性を媒介する役割を果たす。CD24およびCD15の両方が陽性の細胞は、BM CD34+造血前駆細胞から分化した顆粒球に相当する。
図14に示されるように、20ng/mlおよび100ng/mlのMGD−CSFは、CD15+/CD24+顆粒球へ3%分化を誘導し、500ng/mlのMGD−CSFは、CD15+/CD24+顆粒球へ8%分化を誘導した。陽性のコントロールG−CSFおよびGM−CSFの両方とも、骨髄CD34+細胞のうち12%をCD15/CD24陽性の顆粒球へと分化するように誘導した。
(B.単球分化)
図15に示されるとおり、MGD−CSFは、未分化の細胞からCD14+マーカーを保有する分化した単球への単球の分化を刺激した。陰性コントロールとして、空のベクターの存在下およびサイトカインの非存在下における単球分化のベースラインのレベルは、24%であることが測定された。GM−CSFは、単球の20%を分化するように刺激した。MGD−CSFは、単球の45%を分化するように刺激した(矢印)。GM−CSF単独では、これらの細胞に影響は有さなかったが、MGD−CSFと組み合わせた場合、その効果は相乗的であった;両方の存在下では、単球の55%が分化するように刺激された。
図16に示されるように、CD14およびCD16抗体を用いて、単球分化をモニターした。CD14抗体は、単球の上で高レベルで発現された53〜55kDのグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)−固定単鎖糖タンパク質と反応した。さらにCD14抗体は、ある程度のマクロファージと反応した。CD16抗体は、50〜65kDaの膜貫通型のIgG Fcレセプター(FcgRIII)と反応した。CD16抗原は、単球、マクロファージ、顆粒球およびNK細胞上で発現された。単球は、そのCD16発現に応じて2つのサブセットに分割され得る;常在性の単球はCD+CD16−であって、炎症性の単球はCD14lowCD16+である。20ng/mlのMGD−CSFは、CD14+CD16−またはCF14lowCD16+単球のいずれかへ、分化を30%を、100ng/mlのMGD−CSFは分化を30%、そして500ng/mlは分化を53%誘導した。陽性コントロールG−CSF、GM−CSFおよびM−CSFは、それぞれCD14分化を41%、38%および51%促進した。
(C.樹状細胞分化)
図17に示されるように、MGD−CSFは、未分化の細胞からCD86およびCD1マーカーを保有する分化した樹状細胞への樹状細胞の分化を刺激した。陰性コントロールとして、空のベクターの存在下における樹状細胞分化のベースラインのレベルは、4%であることが測定された。MGD−CSFは、未分化細胞の22%を樹状細胞に分化するように刺激した。
(実施例11:MGD−CSFは、骨髄コロニー形成を促進する)
ヒト骨髄由来骨髄球(CFU−G、CFU−MおよびCFU−GM)前駆体増殖に対するMGD−CSFの刺激性の効果を評価するために、コロニー形成アッセイを行った。骨髄前駆体の刺激のための陽性コントロールは、G−CSFの0.1ng/ml、1ng/mlおよび10ng/mlならびにGM−CSFの0.01ng/ml、0.1μg/mlおよび3ng/mlの添加であった。MGD−CSFタンパク質は、各々の試験濃度のメチルセルロースベースの培地中に20、100および500ng/mlという最終濃度に希釈された。各々の3つの複製培養物が3×104個の細胞を含むように細胞を添加した。複製培養物は、37℃、5%CO2で14日間インキュベートし、次いで、カウントして、写真に撮り、CFU−G、CFU−MまたはCFU−GMとしての形態に基づいて分類し、そしてFACS分析を行った。統計学的分析を行って、コロニーの数、サイズおよび形態の変化を評価した。MGD−CSFは、CFU−G、CFU−M、CFU−GMの形成、および総コロニー形成を促進した。さらに、下記にさらに記載されるとおり、MGD−CSFは、G−CSFまたはGM−CSFによって促進されるのとは異なる大きいCFU―Mコロニーを促進した。これらの結果によって、MGD−CSFは初期の造血前駆体形成を増強したことが示唆される。
図18Aおよび図18Bは、外因性のサイトカインの非存在下でのヒト骨髄コロニー形成に対するMGD−CSFの効果を示す。図18Aに示されるとおり、精製されたMGD−CSFは、G−CSFおよびGM−CSFに比較して顆粒球コロニー形成(CFU−G)にほとんど影響を有さなかった。MGD−CSFは、用量依存性の様式で単球コロニー形成(CFU−M)を刺激した。図18Bに示されるとおり、MGD−CSFは、顆粒球−単球コロニー形成CFU−GMを用量依存性の様式で刺激した。MGD−CSFはまた、総コロニー形成能(colony forming capacity)(CFC)を用量依存性の様式で刺激した。図18Cは、サイトカインIL−3および幹細胞因子(SCF)の存在下におけるヒト骨髄コロニー形成に対するMGD−CSFの効果を示す。それらの条件下で、精製したMGD−CSFは、CFU−G、CFU−GM、CFU−Mおよび総CFCを用量依存性の様式で刺激した。MGD−CSFの存在下における骨髄前駆体の分布は、G−CSFまたはGM−CSFのものとは異なった。
(実施例12:MGD−CSFの生物学的活性のプロフィール)
図19に示されるとおり、MGD−CSFを、非活性化B細胞増殖(BPro4)、脂肪細胞によるグルコース取り込みを刺激する能力(Gu2Gy3T3)、不活性化単球増殖(MonPro4)、NK細胞増殖および/または生存(NKGlo)、T細胞増殖(TPro4)、活性化初代B細胞増殖(aBPro4)、活性化初代単球増殖(aMonPro3)、および活性化初代T細胞増殖(aTPro4)を測定するアッセイにおいて、その生物学的効果について、試験した。結果は、中央値から少なくとも2標準偏差の場合、有意であるとみなした。MGD−CSFは、活性化された単球の増殖を刺激することも、活性化または不活性化されたB細胞またはT細胞の増殖を刺激することも無く、NK細胞および不活性化単球の増殖を特異的に刺激した。
(実施例13:MGD−CSF誘導性サイトカイン分泌のプロフィール)
図20に示されるとおり、MGD−CSFを、NK細胞からの
サイトカイン分泌に対するその生物学的効果について試験した。実施例11に記載されるとおりにアッセイを行った。製造業者の指示に従って、Linco,Inc.(St.Charles,MO)のLuminexサイトカインアッセイキットを用いてサイトカイン分泌のタイプおよび量を決定するために、実験の終わりに馴化培地を取り出した。結果は、中央値から少なくとも2標準偏差の場合、有意であるとみなした。MGD−CSFは、GM−CSF、IL−12およびIL−13の分泌を刺激した。
(実施例14:MGD−CSFは、HSC細胞からのCFU−M分化を刺激した)
MGD−CSFは、ヒト骨髄細胞から形成された骨髄コロニーのサイズおよび数を用量依存性の様式で増大した。図21の上の左のパネルは、サイトカインの非存在下(緩衝液)で培養した骨髄細胞において観察されたCFU−Mコロニーの代表的な写真を示す。コロニー形成の証拠は弱いかまたは存在しない。上の真ん中のパネルは、GM−CSFによって誘導されたCFU−Mコロニーの代表的な写真を示す;コロニー形成は明らかであった。上の右側のパネルは、G−CSFがCFU−M形成を刺激しないことを示す代表的な写真を示す。図16の下の3つのパネルは、MGD−CSFによって誘導されるCFU−Mの代表的な写真を示す。数およびサイズの両方とも20ng/ml〜500ng/mlのMGD−CSFで用量依存性の様式で増大した。細胞は、40×のレンズを用いてAxiovert25顕微鏡およびAxioCam HRc(両方ともCarl Zeiss,Gottingen,Germany)で検査して写真を撮った。細胞は、Zeiss KS300 3.0デジタル画像化システムで可視化した。
MGD−CSFによって誘導されたコロニーのサイズは、GM−CSFによって誘導されたコロニーのサイズより大きかった。MGD−CSFによって誘導されたコロニーの約10%が極めて大きく、100〜2000ミクロンの範囲であった。MGD−CSFは、サイトカインSCFおよびIL−3の存在下および非存在下の両方においてこれらの大きいコロニーを誘導した。これらのデータによって、MGD−CSFは、GM−CSFまたはG−CSFよりも早期の前駆体を含む、初期の骨髄前駆体の形成を促進したことが示される。それらによってまた、MGD−CSFが、M1もしくはM2マクロファージ系列のいずれかまたは両方の分化を促進することが示唆される。
(実施例15:MGD−CSFは、樹状細胞へHSC分化を刺激した)
ヒト骨髄CD34+細胞(Cambrex,Inc.,Baltimore MD)を、24ウェル細胞培養プレート上で無血清X−ビボ20培地(Cambrex,Inc.,Baltimore MD)中にプレートして、ベクターコントロールの馴化培地(CM)またはMGD−CSF CMで処理した。その細胞を、40×のレンズを用いてAxiovert25顕微鏡およびAxioCam HRc(両方ともCarl Zeiss,Gottingen,Germany)で検査して写真に撮った。細胞は、Zeiss KS300 3.0デジタル画像化システムで可視化した。
図22に示されるとおり、MGD−CSF濃度の増大につれてMGD−CSF処理した培養物中で細長い細胞の数の増大が観察された。抗CD1a抗体を用いて、樹状細胞への分化を確認した。MGD−CSFを用いた2週間の培養物の処置によって、ヒト骨髄CD34+のうち20%のCD1陽性樹状細胞への分化が誘導された。MGD−CSFは、用量依存性の様式でヒト骨髄細胞から樹状細胞の分化を誘導した(図22)。4つのパネル全部における示された細胞は、40×のレンズを用いてAxiovert25顕微鏡およびAxioCam HRc(両方ともCarl Zeiss,Gottingen,Germany)で検査して写真に撮った。細胞は、Zeiss KS300 3.0デジタル画像化システムで可視化した。
図22の上の左のパネルは、サイトカインの非存在下(培地)で培養した骨髄細胞の代表的な写真を示す。細胞は代表的には小さく丸くなっている。上の右側のパネルは、20mg/mlのMGD−CSFに応答して、樹状細胞にさらに緊密に似るように細長くかつ平板化している骨髄細胞の代表的な写真を示す。下の左側のパネルは、100ng/mlという高用量のMGD−CSFでは、HSC細胞の形態にさらに顕著な効果を有することを実証する代表的な写真を示す。この細胞はより大きくかつ細長い。下の右側のパネルは、500ng/mlという濃度のMGD−CSFでは、樹状細胞の形態的な外観を有する大きく、平坦で、細長い細胞が生じることを示す。
(実施例16:MGD−CSF遺伝子発現)
種々のレベルの遺伝子発現を、プローブ237046_x_atを用いAffymetrix GeneChip(登録商標)アレイプラットフォーム、Human Genoma U133およびU133Plus_2(Affymetrix,Inc,Santa Clara,CA)を用いて、GeneLogicの独自の腫瘍学データベースを問い合わせることによって、個々のヒトガン組織標本において比較した。これはまた、プローブPRB107386およびPRB107386_at.を用いFive Prime Therapeutics,によって設計されたマイクロアレイチップを問い合わせることによって比較した。これらのプローブを用いて、過剰増殖性の血液学的異常を有する患者の組織におけるMGD−CSFの発現を確認した。この分析によって、異なる組織タイプと異なる組織段階との間の異なる遺伝子発現パターンを同定した。表8、第3列は、MGC34647の存在について陽性(MGC34647陽性)と試験された疾患標本の数を挙げる。表8の第4列は、検査された標本の数(Total Gene Logic)を挙げる。MGD−CSFは、ほとんどの骨髄異形成症候群の患者で発現された。MGD−CSFを発現する患者の割合は、観察された病理で変化し、そして過剰な芽細胞または環状の鉄芽細胞を有する難治性貧血を有する患者で最高であった。急性B細胞リンパ球芽性白血病を有する患者の半分がMGD−CSFを発現した。急性骨髄性白血病を有する患者のあるサブセットがMGD−CSFを発現した。この割合は、疾患の病理学的な症状次第で14〜25%の間で変化した。MGD−CSFは一般に、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、または急性前骨髄球性白血病を有する患者では発現されなかった。
(配列表)
本出願は、配列表送付シートおよび紙の形式の配列表を添付する。