JP5435710B2 - 乾溜装置および乾溜油化システム - Google Patents
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Description
特許文献1には、被処理物を密封した容器を加熱し、被処理物の熱分解により高温の乾溜ガスを発生させる熱分解炉が開示されており、これが乾溜装置に相当する。廃タイヤなどの被処理物は容器内に投入され、この容器ごと熱分解炉の中空部内に収容配置される。熱分解炉は容器を周囲から加熱し、これにより容器内の被処理物が熱分解されて、油分を含んだ乾溜ガスが発生する。乾溜ガスは、容器の蓋に接続した連通パイプを通して一次冷却器に運ばれ、比重の違う油分に分離して抽出される。
特許文献2にも、同様に構成をした乾溜装置が開示されている。
また、被処理物から発生した乾溜ガスの容器内における流動性も悪く、乾溜ガスを円滑に容器外へ排出することができず、熱分解処理の作業工程が終了した後も、容器内に多量の乾溜ガスが残存し、その除去作業に長時間を要するおそれもあった。
上面に開口部を有し、被処理物が挿入され且つ上下方向に連結された複数個のバスケットが当該上面開口部から収納されるカートリッジと、
カートリッジの上面開口部を閉塞する蓋体と、
カートリッジを収納して加熱し、当該カートリッジ内に収納された被処理物を乾溜処理する乾溜釜と、を備えたことを特徴とする。
なお、連結された複数のバスケットうち、最下段に位置するバスケットには、挿入した被処理物の落下防止のために、底面に多数の通気孔を設けないでおくこともできる。
供給する不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスを利用することができる。
そこで、カートリッジ内に不活性ガスを供給することで、内部が減圧状態になることをを防止し、冷却途中における空気の進入を阻止するとともに、冷却後に蓋を容易に開放することができる。
燃焼炉内に生じる熱風を乾溜釜の内部へ送り、当該熱風により乾溜釜の内部を加熱する構成としたことを特徴とする。
図1は、本発明の実施形態に係る乾溜油化システムの全体構成を示す構成図である。
同図に示すように、本実施形態の乾溜油化システムは、乾溜装置1と、この乾溜装置1から排出されてきた乾溜ガスを液化する主凝縮装置2と、液化された乾溜ガスを蒸留して3種類の油分を抽出する蒸留装置3と、この蒸留装置3から排出される残渣ガスを再燃焼するための燃焼炉4と、を備えている。
これら乾溜油化システムを構成する各装置は、図示しない制御室に施設された制御装置によって、集中制御されている。
乾溜装置1は、乾溜釜10と、カートリッジ20と、蓋体30と、バスケット40と、を備えている。すなわち、乾溜装置1は、上面が開口したカートリッジ20の内部に、被処理物を挿入したバスケット40を収納した後、当該カートリッジ20の上面開口部を蓋体30にて閉塞するとともに、当該カートリッジ20を乾溜釜10の内部へ収納し、当該乾溜釜10内でカートリッジ20に挿入した被処理物を加熱して乾溜処理する構成となっている。
図2に示すように、加熱室12の側壁上部には、煙突14が連通している。さらに、加熱室12の側壁上部には、排ガス導出部12aが設けてある。排ガス導出部12aは、加熱室12の内壁に沿って流動している熱風を、煙突14の連通口へと導く斜面を周方向に形成した構成となっている。
これにより、排ガスが加熱室12の隙間内に滞留することなく円滑に煙突14へと導かれ排出されるため、均一で効率的な加熱が可能となる。
続いて、カートリッジ20内の冷却工程においては、供給パイプ35を介して窒素供給源からの窒素ガスをカートリッジ20の内部へ供給する。これにより、カートリッジ20内の冷却に伴う減圧が緩和され、カートリッジ20の変形や、蓋体30とカートリッジ20の境界部分からの空気の流入が防止される。ちなみに、カートリッジ20内に乾溜ガスが残存する状態で、内部に空気が流入すると、乾溜ガスが勢いよく発火するおそれがある。
バスケット40は、図4(b)に示すように、複数個(図では3個)が上下方向に連結した状態でカートリッジ20に収納される。ここで、各バスケット40の間には間隙Hが形成されている。このように、複数個に分かれた各バスケット40内にそれぞれ被処理物を挿入するとともに、一定の間隙Hを設けて各バスケット40を連結し、カートリッジ20に収納するので、カートリッジ20内に熱や乾溜ガスの流動する隙間が多く確保される。その結果、被処理物へ熱が均一に伝わりやすく、しかも被処理物から発生した乾溜ガスも、隙間を通して円滑に排出することができる。
一方、連結したとき最下段に配置されるバスケット40は、底面40bを、周壁40aと同様に良好な熱伝導性を有する金属板で形成してあり、多数の通気孔が形成されていない。バスケット40の内部には、被処理物が挿入されるが、最下段のバスケット40の底面40bに通気孔を設けないことにより、内部に挿入した被処理物の落下を当該底面40bでくい止めることができる。
なお、必要に応じて、最下段のバスケット40も、底面40bを多数の通気孔を有する網状に形成してもよい。
各バスケット40の筒状体42,43は、同一軸上に配置して、乾溜ガスが直線的に上方へ流動できるようにすることが好ましい。各バスケット40の筒状体42,43の間には底面40bが存在するが、底面40bにも多数の通気孔が形成してあるので、乾溜ガスは、当該底面40bの通気孔を通過して速やかに上方にある筒状体42,43へと流動することができる。
このように筒状体43によって形成される貫通路に、既述した供給パイプ35が挿入されて、当該供給パイプ35の先端開口がカートリッジ20の底部付近に配置される。
図7は、本実施形態に係る乾溜油化システムの動作を示す図である。
まず、廃タイヤや廃プラスチック等の被処理物Aを適宜の大きさに裁断してバスケット40の内部へ挿入する(被処理物挿入工程)。次に、被処理物Aを挿入したバスケット40を、カートリッジ20の内部へ収納し、蓋体30によってカートリッジ20の上面開口部を閉塞する(バスケット収納工程)。続いて、カートリッジ20を乾溜釜10に収納するとともに、バルブ33に乾溜ガス排出ダクト32を接続する等、乾溜釜10の運転に必要なセッティングを行う。
また、液化されずに残った残渣ガス(オフガスと称する)は、燃焼炉4に搬送され、ここで再燃焼される。この残渣ガスの燃焼により発生した熱風は、ダクト5を通して乾溜釜10の燃焼室11へ送られる。このように、燃焼炉4で残渣ガスを再燃焼させた際に発生する熱風を乾溜釜10の加熱に利用することで、リサイクル効率が向上する。
続いて、カートリッジ20内を冷却する。このとき、供給パイプ35を介して窒素供給源からの窒素ガスをカートリッジ20の内部へ供給する。これにより、カートリッジ20内の冷却に伴う減圧が緩和され、カートリッジ20の変形や、蓋体30とカートリッジ20の境界部分からの空気の流入が防止される。
図8は、乾溜処理後に残った被処理物から活性炭を製造する工程を示す図である。同図を参照して、活性炭の製造工程を説明する。
乾溜処理後に残った被処理物Bは、バスケット40から取り出し、磁選解砕機100にかけて破砕する。続いて、破砕した被処理物Bは、篩機200でふるいにかけた後、再度、篩機200に内蔵した磁選解砕機100aにかけて破砕する。このようにして細かく破砕された被処理物Bは、キルン式焼成炉300にて焼成されて、多孔質の活性炭Cとなる。
図9及び図10に示すバスケット50も、図10(b)に示すように、複数個(図では2個)が上下方向に連結した状態でカートリッジ20に収納される。ここで、各バスケット50の間には間隙Hが形成されている。このように、複数個に分かれた各バスケット50内にそれぞれ被処理物を挿入するとともに、一定の間隙Hを設けて各バスケット50を連結し、カートリッジ20に収納するので、カートリッジ20内に熱や乾溜ガスの流動する隙間が多く確保される。その結果、被処理物へ熱が均一に伝わりやすく、しかも被処理物から発生した乾溜ガスも、隙間を通して円滑に排出することができる。
同図に示す乾溜装置は、蓋体30の頂部に補助凝縮装置60を備えている。補助凝縮装置60は、カートリッジ20内で発生した乾溜ガスに含まれるパラフィン系炭化水素分を液化させ、再びカートリッジ20内に戻す機能を有している。
ゴム材等の被処理物を加熱して得られる乾溜ガスには、軽質油、塔頂油といった燃料となる油分のほかに、パラフィン系炭化水素が含有されていることがある。このパラフィン系炭化水素は、軽質油や塔頂油となる油分よりも高い温度(例えば、250〜300℃)で液化する。
補助凝縮装置60では、カートリッジ20から上昇してきた乾溜ガスを補足し、適性温度(例えば、パラフィン系炭化水素が液化する温度)に保持する。補助凝縮装置60で液化されたパラフィン系炭化水素は、再びカートリッジ20内に滴下し、再加熱される。再加熱により、パラフィン系炭化水素は、軽質油、塔頂油といった燃料となる油分に分解してガス化される。このため、燃料の抽出効率を向上させることができる。
同図に示す乾溜油化システムは、主凝縮装置2で液化した油分から水分やスラッジ等の異物を除去するための遠心分離器70を備えている。この遠心分離器70により異物が除去された油分は、中継タンク71を経由して貯留タンク72に保存され、乾溜釜10の燃焼室11を加熱するバーナー11aの燃料として利用される。この構成によって、燃焼室11の燃焼効率をいっそう向上させることが可能となる。
10:乾溜釜、11:燃焼室、11a:バーナー、12:加熱室、12a:排ガス導出部、13:仕切壁、13a:連通孔、14:煙突、15a,15b:熱電対、
20:カートリッジ、20a:凹部、21:支持突起、
30:蓋体、31:温度圧力調整部、32:乾溜ガス排出ダクト、33:バルブ、34:パイプ差込部、35:供給パイプ、36:配管、37a:圧力計、37b:熱電対、37c:温度センサ、
40:バスケット、40a:周壁、40b:底面、41:連結部、41a:リング部材、41b:カンヌキ、42,43:筒状体、
50:バスケット、50a:周壁、50b:底面、50c:透孔
60:補助凝縮装置、70:遠心分離器、71:中継タンク、72:貯留タンク、
100:磁選解砕機、200:篩機、300:キルン式焼成炉、
A:乾溜前の被処理物、B:乾溜後の被処理物、C:活性炭
H:間隙
Claims (13)
- 上面が開口しており当該上面開口から被処理物が挿入されるとともに、複数個が上下方向に連結されるバスケットと、
上面に開口部を有し、被処理物が挿入され且つ上下方向に連結された複数個の前記バスケットが当該上面開口部から収納されるカートリッジと、
前記カートリッジの上面開口部を閉塞する蓋体と、
前記カートリッジを収納して加熱し、当該カートリッジ内に収納された被処理物を乾溜処理する乾溜釜と、を備え、
前記上下方向に連結された各バスケットの間には間隙が形成されるとともに、各バスケットの内部には乾溜ガスの流動通路を形成する筒状体が底面から上方に延出して設けてあり、当該筒状体の周面には多数の通気孔が形成してあり、
前記カートリッジの上面開口部を閉塞する蓋体には、前記カートリッジの内部に発生した乾溜ガスを排出するための乾溜ガス排出路が連通するとともに、前記カートリッジ内に蒸気を供給する蒸気供給手段が設けてあり、
さらに、前記各バスケットの内部には、前記筒状体が複数本設けてあり、そのうちの一本は各バスケットを上下方向に貫通する貫通路を形成しており、
前記蒸気供給手段は、当該貫通路を抜けて前記カートリッジの下部へ蒸気を供給する構成であることを特徴とする乾溜装置。 - 前記蒸気供給手段は、蒸気供給源に接続された供給パイプで構成され、前記蓋体から差し込まれ、前記貫通路を抜けて、先端開口が前記カートリッジ内の底部付近に配置され、前記カートリッジの下部へ蒸気を供給する構成であることを特徴とする請求項1の乾溜装置。
- 上面が開口しており当該上面開口から被処理物が挿入されるとともに、複数個が上下方向に連結されるバスケットと、
上面に開口部を有し、被処理物が挿入され且つ上下方向に連結された複数個の前記バスケットが当該上面開口部から収納されるカートリッジと、
前記カートリッジの上面開口部を閉塞する蓋体と、
前記カートリッジを収納して加熱し、当該カートリッジ内に収納された被処理物を乾溜処理する乾溜釜と、を備え、
前記上下方向に連結された各バスケットの間には間隙が形成されるとともに、各バスケットの内部には乾溜ガスの流動通路を形成する筒状体が底面から上方に延出して設けてあり、当該筒状体の周面には多数の通気孔が形成してあり、
前記カートリッジの上面開口部を閉塞する蓋体には、前記カートリッジの内部に発生した乾溜ガスを排出するための乾溜ガス排出路が連通するとともに、前記カートリッジ内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段が設けてあり、
さらに、前記各バスケットの内部には、前記筒状体が複数本設けてあり、そのうちの一本は各バスケットを上下方向に貫通する貫通路を形成しており、
前記不活性ガス供給手段は、当該貫通路を抜けて前記カートリッジの下部へ不活性ガスを供給する構成であることを特徴とする乾溜装置。 - 前記不活性ガス供給手段は、窒素供給源に接続された供給パイプで構成され、前記蓋体から差し込まれ、前記貫通路を抜けて、先端開口が前記カートリッジ内の底部付近に配置され、前記カートリッジの下部へ不活性ガスを供給する構成であることを特徴とする請求項3の乾溜装置。
- 前記バスケットは、前記カートリッジの内周と対向する周壁が、熱伝導性を有する金属板で構成されており、
前記乾溜釜の内壁と、その内部に収納された前記カートリッジの周壁との間には、隙間が形成され、当該隙間に熱気が流動してカートリッジを加熱するとともに、当該カートリッジからの輻射熱が前記バスケットに伝えられる構成であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乾溜装置。 - 前記連結された複数のバスケットのうち、少なくとも最下段以外のバスケットは、底面に多数の通気孔が形成してあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の乾溜装置。
- 前記バスケットは、前記カートリッジの内周と対向する周壁が、金属製の網材で構成されており、
前記乾溜釜の内壁と、その内部に収納された前記カートリッジの周壁との間には、隙間が形成され、当該隙間に熱気が流動してカートリッジを加熱するとともに、当該カートリッジからの輻射熱が前記バスケットを構成する前記網材の隙間から内部へ侵入する構成であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乾溜装置。 - 前記各バスケットは、連結部が着脱自在となっており、各々分離した状態で上面開口部から被処理物を挿入可能となっていることを特徴とする請求項請求項1乃至7のいずれか一項に記載の乾溜装置。
- 前記乾溜釜は、側壁上部に煙突が連通しており、さらに当該側壁上部には、乾溜釜内を内壁に沿って流動している熱風を前記煙突の連通口へと導く斜面を周方向に形成してなる排ガス導出部が設けてあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の乾溜装置。
- 前記カートリッジの上面開口部を閉塞する蓋体の頂部には、前記カートリッジ内で発生した乾溜ガスに含まれるパラフィン系炭化水素分を液化させ、再び前記カートリッジ内に戻す補助凝縮装置が設けてあることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の乾溜装置。
- 請求項1乃至10のいずれか一項に記載された乾溜装置と、この乾溜装置から排出されてきた乾溜ガスを冷却して当該乾溜ガスに含まれる油分を液化する主凝縮装置と、この主凝縮装置で液化した油分を蒸留して分離する蒸留装置と、前記主凝縮装置で液化されない油分を含む当該凝縮装置からの残渣ガスを燃焼するための燃焼炉と、を備えた乾溜油化システムであって、
前記燃焼炉内に生じる熱風を前記乾溜釜の内部へ送り、当該熱風により乾溜釜の内部を加熱する構成としたことを特徴とする乾溜油化システム。 - 前記乾溜釜は、前記燃焼炉から送られてきた熱風とは別に、当該乾溜釜に設けたバーナーの燃焼をもって内部を加熱する構成を備えることを特徴とする請求項11の乾溜油化システム。
- 前記主凝縮装置で液化した油分から水分やスラッジ等の異物を除去するための遠心分離器を備え、当該遠心分離器により異物が除去された油分を前記バーナーの燃料として利用する構成としたことを特徴とする請求項12の乾溜油化システム。
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