以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、車両用シートリフター装置を備えた車両用シート10を示すもので、車両用シート10は、座面を形成するシートクッション11と、背もたれ面を形成するシートバック12とで構成されている。車両用シート10は、シートクッション11の高さを調整するシートリフター装置13と、シートバック12の傾斜角を調整するシートリクライニング装置14と、シートクッション11の前後方向位置を調整するシートスライドアジャスタ装置15(図2、図3参照)を備えている。シートクッション11の高さは、シートクッション11の側方に配置された操作部材としての操作レバー17を操作することによって調整できる。また、シートバック12の傾斜角は、シートクッション11の側方に操作レバー17と離間して配置された操作レバー18を操作することによって調整でき、シートクッション11の前後方向位置は、シートクッション11の下方に配置された操作レバー19(図3参照)を操作することによって調整できる。
図2は、シートリフター装置13の全体を示すもので、シートリフター装置13は、シートスライドアジャスタ装置15上に設けられている。シートスライドアジャスタ装置15は、車両フロアに固定される左右一対のロアレール21と、ロアレール21に車両前後方向にスライド可能に係合されたアッパレール22を備え、アッパレール22は、所定の前後方向位置で図略のロック機構によりロック保持されるようになっている。
シートリフター装置13は、図2、図3および図4に示すように、シートクッション11に固定される左右一対のベースフレーム25を備えるとともに、これらベースフレーム25を左右一対のアッパレール22に昇降可能に連結する左右一対の前方リンク部材27および左右一対の後方リンク部材28を備えている。
左右一対の前方リンク部材27の各下端側は、一対のアッパレール22の前部にヒンジピン31を介してそれぞれ回動可能に枢着されている。一対の前方リンク部材27の上端側は、一対のベースフレーム25の前部にヒンジピン32を介してそれぞれ回動可能に枢着されている。また、一対の前方リンク部材27の各中央部は、連結ロッド33によって互いに連結されている。
左右一対の後方リンク部材28の各下端側は、一対のアッパレール22の後部にヒンジピン35を介してそれぞれ回動可能に枢着されている。一対の後方リンク部材28の上端側には、円筒状のパイプ材からなるトルクロッド36の両端部が貫通され、トルクロッド36の両端部は溶接等によって一対の後方リンク部材28にそれぞれ締結されるようになっている。トルクロッド36の一端は、後述する構成のロック係脱装置40によって回転可能に支持され、トルクロッド36の他端は、ベースフレーム25の他方に形成された軸受穴37に回転可能に支持される。
すなわち、図4に示すように、トルクロッド36の一端側には、ロック係脱装置40がトルクロッド36と同軸上に配設され、ロック係脱装置40は、トルクロッド36の一端と操作レバー17側に配置された一方のベースフレーム25との間に設けられている。
トルクロッド36の一端側に固定される一方の後方リンク部材28は、操作レバー17によって操作される駆動側リンク部材28A(図4参照)を構成しており、他方の後方リンク部材28は、トルクロッド36を介してトルク伝達される従動側リンク部材28B(図4参照)を構成している。上記した前方および後方リンク部材27、28と、ベースフレーム25と、アッパレール22とによって、平行リンク機構39(図2、図3参照)が構成され、平行リンク機構39の作動により、ベースフレーム25が上下方向に略平行移動されるようになっている。
ロック係脱装置40は、図6、図7および図8に示すように、内周面に内歯41aが形成された円盤状の第1回転部材41と、第1回転部材41に相対回動可能に嵌合された円盤状の第2回転部材42と、第2回転部材42に径方向に移動可能に案内支持され、内歯41aに対して係脱可能な外歯43aを外周側端面に形成した円周上3個のポール43と、所定のロック位置と解除位置との間で回動可能で、ポール43を第1回転部材41の内歯41aに対する係合位置と非係合位置との間で動作させるカム44と、カム44をロック位置側に回転付勢するロックスプリング46と、カム44をロック位置と解除位置との間で回動操作するヒンジ軸45とを備えている。
これら第1回転部材41に形成された内歯41aと、内歯41aに対して係脱可能な外歯43aを形成したポール43およびカム44とによって、第1回転部材41と第2回転部材42を係脱可能に係合して第1回転部材41と第2回転部材42の相対回転を拘束/許容する係脱機構47を構成している。
第1回転部材41は、図6に示すように、第2回転部材42側に開口する半抜き形成された円形の凹部41bを備え、中心部に貫通孔41cを有している。第1回転部材41の円形凹部41bは、第1回転部材41と第2回転部材42の回動軸線O1を中心とする内周面を有し、この内周面に内歯41aが全周に亘って形成されている。
一方、第2回転部材42は、図6および図8に示すように、第1回転部材41側に開口する半抜き形成された円形の凹部42bを備え、中心部に貫通孔42cを有している。第2回転部材42の円形凹部42bは、第1回転部材41と第2回転部材42の回動軸線O1を中心とする内周面42dを有している。第2回転部材42は、その内周面42dで、第1回転部材41の外周面41eに円周方向に摺接可能に嵌合され、これによって、第1回転部材41と第2回転部材42はトルクロッド36の軸心を中心にして相対回転可能に嵌合されている。これら第1回転部材41の外周面41eと第2回転部材42の内周面42dとで軸受部48(図6参照)が構成され、当該軸受部48は後述するようにトルクロッド36の一端側を軸受けする軸受部を兼ねている。
第2回転部材42の円形凹部42bには、複数のガイド部49が円周方向に離間して設けられている。ガイド部49は、隣接するガイド部49との間で互いに平行なポール案内面49aを円周上3か所形成しており、これらポール案内面49aに3つのポール43が径方向に移動可能に案内されている。
第1回転部材41は、第1回転部材41の外周面41eと第2回転部材42の内周面42dとで構成された軸受部48によって、第2回転部材42に対して相対回転可能に嵌合支持されている。第2回転部材42の外周には、図6に示すように、金属板からなるリングホルダ50が溶接等によって固定されている。リングホルダ50は、第1回転部材41の端面に向けて略直角に折り曲げられた折り曲げ部50aを有し、この折り曲げ部50aによって、第1回転部材41および第2回転部材42は、相対回動が許容された状態で軸方向に抜け止めされている。
ポール43は、図8に示すように、側面視で段違い形状に形成されている。ポール43の外方端(第1回転部材41の内歯41aと対向する端面)には、図7に示すように、第1回転部材41の内歯41aと係脱可能な外歯43aが形成され、段違い部の内面(外方端とは逆向きの端面)には、カム44の外周に係合する内面カム部43dが形成されている。また、ポール43には、板厚方向に貫通する溝カム部43eが幅方向の略中央部位に透設されている。
カム44の外周部には、図7に示すように、各ポール43の内面カム部43dに係合するカム凸部44aが、円周方向に互いに離間して複数(例えば3個)設けられ、中心部に貫通孔44cを有している。カム44の第1回転部材41側の側面には、カム44の回動軸心と平行な方向に突出する突起部44bが円周上複数(例えば3個)設けられている。これら突起部44bは、各ポール43の溝カム部43eに係合されている。
これにより、カム44が一方向(図7の反時計回り)に回動されると、カム凸部44aと内面カム部43dとの係合作用によって、各ポール43がポール案内面49aに沿って径方向外方に移動され、ポール43に形成した外歯43aが第1回転部材41に形成した内歯41aに係合され、第1回転部材41は第2回転部材42に対してロックされ、両回転部材41、42の相対回転が拘束される。また、カム44が他方向(図7の時計回り)に回動されると、カム44の突起部44bとポール43の溝カム部43eとの係合作用によって、各ポール43がポール案内面49aに沿って径方向内方に移動され、ポール43に形成した外歯43aが第1回転部材41に形成した内歯41aより離間されて、第2回転部材42に対する第1回転部材41のロックが解除され、両回転部材41、42の相対回転が許容される。
ロックスプリング46は、図8に示すように、第1回転部材41側から見て、内周側から外周側に向かって反時計方向に巻回された渦巻きばねから構成されている。ロックスプリング46の外側端部46aは第2回転部材42の切込溝42fに係止され、内側端部46bはカム44の切込溝(図示省略)に係止されている。ロックスプリング46は、カム44を、第1回転部材41側から見て反時計方向に回転させる方向に付勢している。すなわち、ロックスプリング46は、カム44をロック位置側に回転付勢している。これによって、ポール43は、ロックスプリング46により、第1回転部材41の内歯41aに対する係合位置を保持する方向に付勢される。
ヒンジ軸45は、図6に示すように、第1回転部材41、カム44および第2回転部材42の回転軸線O1上に配置され、第1回転部材41、カム44および第2回転部材42の回転中心部に形成された各貫通孔41c、44c、42cを回転可能に貫通している。ヒンジ軸45の軸方向の略中央部分には、2面取りされた2面取り部が形成され、ヒンジ軸45が貫通するカム44の貫通孔44cは、ヒンジ軸45の2面取り部に嵌合するように2面取りされ、ヒンジ軸45とカム44は一体的に回転できる構成となっている。ここで、カム44の貫通孔44cは、図7に示すように、ヒンジ軸45の2面取り部より僅かに大きく形成され、両者の間に径方向の遊びが設けられている。これによって、カム44は第1回転部材41の円形凹部41b内で、ヒンジ軸45に対して径方向に僅かに移動可能となっており、各ポール43が第1回転部材41の内歯41aに係合する際に、カム44を自動調心できるようにして、各ポール43の外歯43aが内歯41aに均等な力で係合できるようにしている。
ヒンジ軸45の一方の端部には、作動リンク部材51が固定されている。一方のベースフレーム25には、図2および図3に示すように、ヒンジ軸45の回転中心と所定量離間した位置に、操作レバー17が軸52によってヒンジ軸45と平行な軸線の回りに回転可能に支持されている。操作レバー17と作動リンク部材51は連結ロッド53によって互いに連結され、操作レバー17が上方に操作され、軸52を中心にして図3の時計回りに回動されると、連結ロッド53を介して作動リンク部材51およびヒンジ軸45が図3の時計回り(図7の反時計回り)に回転され、カム44によるポール43のロックが解除されるようになっている。なお、操作レバー17は、軸52との間に設けたトルクスプリング54の付勢力によって、軸52の回りに図3の反時計方向に付勢され、通常所定の角度位置に保持されている。
上記した構成のロック係脱装置40は、一方のベースフレーム25とトルクロッド36の一端との間に、トルクロッド36と同軸上に配設されている。ロック係脱装置40は、第1回転部材41がトルクロッド36側に対面し、第2回転部材42がベースフレーム25側に対面するように配置され、第2回転部材42は後述するようにベースフレーム25に固定され、第1回転部材41は後述するように後方リンク部材28およびトルクロッド36に固定される。
ロック係脱装置40の第1回転部材41には、第2回転部材42側とは反対側の面に、図4および図8に示すように、円周方向に一定の間隔を有して複数(例えば6個)の係合突起41fが形成されている。一方の後方リンク部材28(28A)は、図4および図5に示すように、トルクロッド36の一端が挿入可能な挿入穴28aを有し、この挿入穴28aの周囲に係合突起41fに係合する複数(例えば6個)の星形の係合溝28bが形成されている。一方、他方の後方リンク部材28(28B)は、トルクロッド36の他端が挿入可能な挿入穴28aを有している。
一方の後方リンク部材28(28A)は、その係合孔28bを係合突起41fに係合した状態で、第1回転部材41に溶接等によって一体的に締結される。ロック係脱装置40の第1回転部材41に溶接等によって一体的に締結された一方の後方リンク部材28(28A)の挿入穴28aには、トルクロッド36の一端が挿入され、溶接等によって一体的に締結される。
ロック係脱装置40の第2回転部材42は、一方のベースフレーム25の側面に形成された係止穴25bに係止され、溶接等によって一体的に締結される。この際、第2回転部材42を、ベースフレーム25の係止穴25bに径方向にフローティング可能に係止し、ベースフレーム25に対するロック係脱装置40の取付け位置をアジャストできるようにしている。これにより、ロック係脱装置40の軸受部48と軸受穴37との芯ずれを、第2回転部材42と一方のベースフレーム25との間で吸収できるようにしている。
パイプ材からなるトルクロッド36内には、ヘルパースプリングとしてトーションバー55が挿通されている。トーションバー55は、図4に示すように、トルクロッド36のパイプ中空部に挿通される直線部55aと、この直線部55aの一端に形成されたフック部55bと、直線部55aの他端に形成されたU字状のU字係合部55cからなっている。トーションバー55のフック部55bは、トルクロッド36の一端に径方向に固定された係止ピン56に係止され、トーションバー55のU字係合部55cは、ベースフレーム25の下端縁に形成された切欠き部25aに係止される。トーションバー55の両端部(フック部55b、U字係合部55c)は、トーションバー55がねじられた状態でトルクロッド36およびベースフレーム25に係止され、このトーションバー55のねじれにより、トルクロッド36の両端に固定された後方リンク部材28に、トルクロッド36を介してシートクッション11を上方向に移動させる方向の付勢力を付与している。
この場合、ヘルパースプリングとしては、トーションバー55に限らず、シートクッション11を上方向に付勢できるスプリングであれば、どのようなものであってもよい。
なお、図2中の63は、左右一対のベースフレーム25の前部を互いに連結する連結フレームを示し、図4中の60は、シートバック12を取付けたシートバックフレーム26の傾斜角を調整するシートリクライニング装置14の左右一対のリクライナを示し、61は、リクライナ60に取付けられた回転リング部材を示す。
リクライナ60は、周知のように、ベースフレーム25側に結合されるロアアーム63と、シートバックフレーム26側に結合されるアッパアーム64と、ロアアーム63とアッパアーム64との間に収容され、ロアアーム63とアッパアーム64の相対回転を拘束/許容する図略のロック装置から構成されている。なお、回転リング部材61は、アッパアーム64側に固定されている。かかるリクライナ60によって、シートバックフレーム26はベースフレーム25に対し前後方向に傾倒可能に支持されている。しかしながら、リクライナ60は、周知の技術であり、また、本発明のシートリフター装置13に直接関係がないため、詳細な構成については説明を省略する。
ベースフレーム25には、図4および図5に示すように、シートリフター装置13のロック係脱装置40と、リクライナ60との間に、ストッパ部材65が固定されている。ロック係脱装置40の第1回転部材41に固定された一方の後方リンク部材28(28A)には、ストッパ部材65に対向して、扇状の切欠き部28cが形成され、切欠き部28cの両端に第1係止面28c1と第2係止面28c2が形成されている。一方、ストッパ部材65には、後方リンク部材28の切欠き部28cに対向して、係合部65aが突設され、係合部65aは切欠き部28c内に所定角度相対回転可能に突入されている。これにより、後方リンク部材28は、第1係止面28c1が係合部65aに係止する図5の時計回りの角度位置と、第2係止面28c2が係合部65aに係止する図5の反時計回りの角度位置との間でヒンジピン35を中心にして回動可能であり、これによって、シートクッション11の高さ調整範囲が規制されるようになっている。
また、ストッパ部材65には、リクライナ60の回転リング部材61に対向して、係合部65bが突設され、一方、回転リング部材61には、係合部65bを挟み込むようにして2つの突起部61a、61bが周方向に所定量離間して突設されている。回転リング部材61に突設された一方の突起部61aは、リクライナ60のアッパアーム64が図5の時計回りに所定角度回転されると、ストッパ部材65の係合部65bに係合され、他方の係合部61bは、リクライナ60のアッパアーム64が図5の反時計回りに所定角度回転されると、ストッパ部材65の係合部65bに係合されるようになっている。これによって、リクライナ60、すなわち、シートバック12(シートバックフレーム26)の角度範囲が規制されるようになっている。
このように、実施の形態においては、単一のストッパ部材65によって、シートクッション11の高さ調整範囲と、シートバック12の角度調整範囲の双方を規制できるように構成している。
上記した構成のシートリフター装置13は、例えば、次のように組付けられる。まず、左右一対の前方リンク部材27および後方リンク部材28の各一端(下端)を、シートスライドアジャスタ装置15の左右一対のアッパレール22の前後に、ヒンジピン31、35を介して枢着する。
次いで、一方の後方リンク部材28(28A)の係合溝28bに、ロック係脱装置40の第1回転部材41に形成した係合突起41fを係合し、その状態で、一方の後方リンク部材28(28A)を第1回転部材41に溶接によって一体的に締結する。その状態で、トルクロッド36を他方の後方リンク部材28(28B)の軸受穴37より挿通して、トルクロッド36の両端部を左右一対の後方リンク部材28の挿入穴28aにそれぞれ挿入し、トルクロッド36の他端を軸受穴37によって軸受けする。その後、一方の後方リンク部材28(28A)の挿入穴28aに挿入したトルクロッド36の一端を、一方の後方リンク部材28(28A)に溶接によって一体的に締結するするとともに、他方の後方リンク部材28(28B)の挿入穴28aに挿入したトルクロッド36の他端を、他方の後方リンク部材28(28B)に溶接によって一体的に締結する
このようにして、左右一対の後方リンク部材28、トルクロッド36およびロック係脱装置40がユニット化される。
続いて、一方の後方リンク部材28(28A)に締結されたロック係脱装置40の第2回転部材42を、一方のベースフレーム25の係止穴25bに係止し、その状態で、第2回転部材42をベースフレーム25に溶接によって一体的に締結する。この場合、第2回転部材42がベースフレーム25の係止穴25bに径方向にフローティング可能に係止され、ベースフレーム25に対する第2回転部材42の取付け位置をアジャストできるようになっているので、組付け誤差等によって、左右一対の後方リンク部材28に角度ずれが生じたり、あるいはロック係脱装置40の軸受部48と軸受穴37との間に芯ずれが生じていても、ロック係脱装置40に対するこじれ等の発生を抑制することができる。
なお、ロック係脱装置40の第2回転部材42を、ベースフレーム25の係止穴25bに径方向にフローティング可能に係止する代わりに、一方の後方リンク部材28(28A)の挿入穴28aの内径を、トルクロッド36の外径よりも大きくして、後方リンク部材28(28A)に対してトルクロッド36の一端を径方向にフローティングできるようにする。そして、組付け時に、トルクロッド36の一端を一方の後方リンク部材28(28A)の挿入穴28aに締結するに先立って、まず、一方の後方リンク部材28(28A)に締結されたロック係脱装置40の第2回転部材42を、ベースフレーム25の係止穴25bにインローによって位置決めして締結し、その後、ロック係脱装置40の軸受部48と軸受穴37との芯ずれを吸収するように、トルクロッド36の一端を一方の後方リンク部材28(28A)の挿入穴28aに対して径方向にアジャストして後方リンク部材28に締結することもできる。
また、トルクロッド36はロック係脱装置40の軸受部48によって径方向位置を拘束されて回転可能に支持されているため、トルクロッド36を高剛性に支持することができ、多少の芯ずれがあってもこじれの発生を抑制できる。しかも、ロック係脱装置40の第1および第2回転部材41、42がリングホルダ50によって軸方向に抜け止めされているため、トルクロッド36の軸方向移動も拘束できる。
次に、上記した実施の形態における動作について説明する。操作レバー17を、トルクスプリング54の付勢力に抗して上方向に操作すると、連結ロッド53を介して作動リンク部材51がヒンジ軸45とともに図3の時計回りに回転される。かかるヒンジ軸45の回転により、カム44が回転され、カム44の突起部44bとポール43の溝カム部43eとの係合作用によって、各ポール43がポール案内面49aに沿って径方向内方に移動され、ポール43に形成した外歯43aが第1回転部材41に形成した内歯41aより離間される。これにより、第2回転部材42に対する第1回転部材41のロックが解除され、後方リンク部材28の回動が許容される。
この際、シートクッション11に着座する着座者が、操作レバー17を操作しながらシートクッション11に加えていた体重を持ち上げると、トーションバー55によるヘルパースプリング作用によって、シートクッション11は後方リンク部材28を回動させながら上方向に移動される。すなわち、後方リンク部材28は、トーションバー55のスプリング作用によって、ヒンジピン35を中心にして図3の反時計回りに回動される。これにより、平行リンク機構39の作用によってシートクッション11は水平状態を維持しながら上方向に高さ調整される。
逆に、シートクッション11を下方に高さ調整する場合には、第2回転部材42に対する第1回転部材41のロックが解除された状態で、着座者がシートクッション11に体重をかけていれば、シートクッション11はトーションバー55のスプリング作用に抗して下方向に移動される。
シートクッション11の上昇量あるいは下降量、すなわち、後方リンク部材28の回動量は、後方リンク部材28の切欠き部28cの第1係止面28c1あるいは第2係止面28c2が、ストッパ部材65の係合突起部65aに係止することにより規制される。
シートクッション11が適当な高さ位置に調整された状態で、操作レバー17を解放すると、操作レバー17はトルクスプリング54の付勢力によって回動復帰され、連結ロッド53を介して作動リンク部材51がヒンジ軸45とともに前記と逆方向(図3の反時計回り)に回転される。かかるヒンジ軸45の回転によってカム44が回転され、カム44のカム凸部44aによって各ポール43がポール案内面49aに沿って径方向外方に移動され、ポール43に形成した外歯43aが第1回転部材41に形成した内歯41aに係合され、第1回転部材41は第2回転部材42に対してロックされる。これにより、後方リンク部材28の回動が拘束され、シートクッション11は所定の高さ位置で固定される。
上記した実施の形態によれば、左右一対の後方リンク部材28をトルク伝達可能に連結するトルクロッド36と同軸上に、トルクロッド36および後方リンク部材28側に固定される第1回転部材41と、第1回転部材41に軸受部48を介してトルクロッド36の軸心を中心にして相対回転可能に嵌合され、ベースフレーム25側に固定される第2回転部材42と、第1回転部材41と第2回転部材42を係脱可能に係合して第1回転部材41と第2回転部材42の相対回転を拘束/許容する係脱機構47と、係脱機構47を係脱操作する操作部材17とを備えたロック係脱装置40を設けている。
従って、左右一対の後方リンク部材28をトルクロッド36によってトルク伝達可能に連結したものにおいても、組付け誤差等によるトルクロッド36の両端軸受間での芯ずれによって、こじれやゆがみが生ずることがなく、シートリフター装置13を円滑に作動させることができる。すなわち、従来のように、組付け誤差等によるトルクロッド36の両端軸受間での芯ずれによって、セクターギヤとピニオンギヤの噛合い部においてガタが増加したり、操作抵抗が増大することがなく、シートリフター装置13の操作性を向上することができる。しかも、トルクロッド36の一端側にロック係脱装置40を同軸上に設けただけの構成であるので、シートリフター装置13の構成を簡素化でき、かつコンパクトに構成することができる。
また、上記した実施の形態においては、トルクロッド36の一端が、ロック係脱装置40の軸受部48によって回転可能に支持され、トルクロッド36の他端が、ベースフレーム25の軸受穴37に回転可能に支持されているので、軸受部48と軸受穴37との間に芯ずれがあっても、トルクロッド36をロック係脱装置40の軸受部48によって高剛性に支持することができ、軸受部48と軸受穴37との間におけるこじれを抑制して、シートリフター装置13を円滑に作動させることができる。
また、上記した実施の形態においては、ロック係脱装置40の係脱機構47は、第1回転部材41の内周に形成された内歯41aと、第2回転部材42に径方向に移動可能に案内され、第1回転部材41の内歯41aに係脱可能に係合する外歯43aを有するポール43と、操作レバー17によって回転操作され、ポール43の移動を制御する回転可能なカム44とを有しているので、操作レバー17によってカム44が回転操作されることにより、第1回転部材41の内歯41aにポール43の外歯43aを係脱させることができ、シートクッション11の高さ調整を容易に行うことができる。
また、上記した実施の形態においては、ロック係脱装置40の第1回転部材41は、軸受部48と同軸に円周上複数の係合突起41fを有し、後方リンク部材28は、トルクロッド36が挿入可能な挿入穴28aを有するとともに、挿入穴28aの周囲に係合突起41fに係合する複数の係合溝28bを有し、後方リンク部材28およびトルクロッド36を第1回転部材41に締結した後に、第2回転部材42をベースフレーム25に径方向にフローティング可能に締結できるようにしたので、ベースフレーム25の製造誤差やベースフレーム25に対する軸受部48の組付け誤差等によって、軸受部48と軸受穴37との間に芯ずれが生じても、ベースフレーム25に対する第2回転部材42の取付け位置をアジャストして締結することによって軸受部48と軸受穴37との相対的な芯合わせを行うことができる。これにより、ロック係脱装置40に対するこじれ等の発生を抑制することができ、シートリフター装置13の操作性を向上することができる。
また、上記した実施の形態においては、ロック係脱装置40の第1回転部材41は、軸受部48と同軸に円周上複数の係合突起41fを有し、後方リンク部材28は、トルクロッド36を径方向にフローティング可能に挿入する挿入穴28aを有するとともに、挿入穴28aの周囲に係合突起41fに係合する複数の係合溝28bを有し、ロック係脱装置40の第2回転部材42をベースフレーム25に締結した後に、後方リンク部材28にトルクロッド36を締結できるようにしたので、ベースフレーム25の製造誤差やベースフレーム25に対する軸受部48の組付け誤差等によって、軸受部48と軸受穴37との間に芯ずれが生じても、後方リンク部材28に対するトルクロッド36の取付け位置をアジャストして締結することによって軸受部48と軸受穴37との相対的な芯合わせを行うことができる。これにより、ロック係脱装置40に対するこじれ等の発生を抑制することができ、シートリフター装置13の操作性を向上することができる。
さらに、上記した実施の形態においては、ベースフレーム25に、シートバック12の傾斜角を調整するシートリクライニング装置14のリクライナ60を、ロック係脱装置40と平行に設け、ロック係脱装置40とリクライナ60との間に、ロック係脱装置40の角度範囲およびリクライナ60の角度範囲を規制するストッパ部材65を設けたので、単一のストッパ部材65によって、ロック係脱装置40およびリクライナ60の双方の角度範囲を規制することができる。
上記した実施の形態においては、組付け誤差等によるロック係脱装置40の軸受部48と軸受穴37との間の芯ずれの吸収を、ロック係脱装置40の第2回転部材42を一方のベースフレーム25の係止穴25bにアジャスト可能に取付けできるようにしたり、あるいは、トルクロッド36の一端を後方リンク部材28の挿入穴28aにアジャスト可能に取付けできるようにすることにより、行う例について述べたが、これらのアジャスト機構は、本発明にとって必ずしも必要な要件ではなく、例えば、組付け上生ずる軸受部48と軸受穴37との間の芯ずれの量が小さい場合には、トルクロッド36自体のたわみによって、軸受部48と軸受穴37との間の芯ずれを吸収することも可能である。
以上、本発明を実施の形態に即して説明したが、本発明は実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で種々の形態を採り得るものである。