JP5434165B2 - 液体現像剤および画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体現像剤および画像形成方法に関するものである。
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤には、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを乾式状態で用いる乾式トナーによる方法と、トナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤を用いる方法とがある。
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
一方、液体現像剤を用いる方法では、液体現像剤中におけるトナー粒子の凝集が効果的に防止されるため、微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、乾式トナーで用いる樹脂材料よりも低軟化点(低軟化温度)のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いる方法では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れており、また、高速での画像形成方法としても優れているという特徴を有している。
しかしながら、従来の液体現像剤で用いられてきた絶縁性液体は、石油系の炭化水素を主とするものである。このような液体現像剤では、定着の際にトナー粒子の表面に絶縁性液体が付着している。従来の液体現像剤では、このトナー粒子の表面に付着した絶縁性液体の存在により、定着強度が低下してしまい、十分に満足できる定着特性を得ることができなかった。
このような問題を解決するために、絶縁性液体として植物油等の天然由来の油脂を用い、定着時において油脂の酸化重合反応により定着強度を向上させる試みが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記のような油脂を用いた場合であっても、十分な定着強度を得ることができなかった。
特開2006−251252号公報
本発明の目的は、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れるとともに、保存安定性に優れた液体現像剤、およびかかる液体現像剤を用いた画像形成方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤は、トナー粒子と、
エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルを含む絶縁性液体と、を有し、
前記エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、不飽和脂肪酸アルキルエステルが有する炭素−炭素二重結合の少なくとも一部をエポキシ基に変性した化合物であることを特徴とする。
本発明の液体現像剤では、前記エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルのオキシラン酸素濃度は、1〜25%であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、炭素数6〜22のエポキシ変性脂肪酸成分と、炭素数2〜18のアルコール成分とで構成されていることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子は、その表面がポリアルキレンイミンによって改質されていることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、10000〜70000であることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンであることが好ましい。
本発明の液体現像剤では、前記トナー粒子は、ロジン系樹脂を含む樹脂材料を有することが好ましい。
本発明の画像形成方法は、色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した複数の単色像を形成する現像工程と、
各色に対応した複数の前記単色像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に、複数の前記単色像を重ね合わせてなる未定着のトナー画像を形成する転写工程と、
前記未定着のトナー画像を前記記録媒体上に定着する定着工程と、を有し、
前記液体現像剤が、トナー粒子と、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルを含む絶縁性液体とを含み、
前記エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、不飽和脂肪酸アルキルエステルが有する炭素−炭素二重結合の少なくとも一部をエポキシ基に変性した化合物であることを特徴とする。
本発明の画像形成方法では、前記定着工程において、前記未定着のトナー画像を定着する際の定着温度は、80〜160℃であることが好ましい。
以上の構成により、記録媒体へのトナー粒子の定着特性に優れるとともに、保存安定性に優れた液体現像剤、およびかかる液体現像剤を用いた画像形成方法を提供することができる。
本発明の画像形成方法が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。 図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。本発明の液体現像剤は、以下に示すような絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。
以下、液体現像剤を構成する各成分について詳細に説明する。
<絶縁性液体>
まず、絶縁性液体について説明する。
本発明の液体現像剤を構成する絶縁性液体は、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルを含むものである。
エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、分子構造中にエポキシ基(オキシラン環)と呼ばれる三員環を有する脂肪酸アルキルエステルであって、液体現像剤用の絶縁性液体として用いることのできる絶縁性の高い液状の化合物である。
このエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、不飽和脂肪酸アルキルエステルが有する炭素−炭素二重結合(C=C)の少なくとも一部をエポキシ基に変性した化合物である。
ところで、液体現像剤では、記録媒体にトナー粒子を定着させる際に、トナー粒子表面に絶縁性液体が付着している。従来の液体現像剤では、このトナー粒子表面に付着した絶縁性液体の存在により、トナー粒子の記録媒体への定着性が阻害される(定着強度が低下する)という問題点があった。
これに対して、本発明の液体現像剤では、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルを含む絶縁性液体を用いることにより、トナー粒子の記録媒体に対する定着強度を優れたものとすることができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、紙等の記録媒体と親和性の高い成分である。したがって、トナー粒子の表面付近に付着したエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、定着時にトナー粒子と記録媒体とが接触した際に、記録媒体に速やかに浸透する。このように速やかに浸透することにより、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、トナー粒子の記録媒体への定着性を阻害せず、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。また、このエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの浸透と共に、定着時の熱で溶融したトナー粒子の一部が記録媒体の内部に浸透し、アンカー効果が働き、紙等の記録媒体とトナー粒子との定着特性が向上する。
また、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、劣化(酸化、分解など)が起こりづらい成分である。このため、このようなエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルを含む絶縁性液体は、粘度上昇、変色、電気抵抗値の低下などの劣化現象が長期間に渡って確実に防止され、液体現像剤の保存安定性は特に優れたものとなる。また、定着時には、トナー粒子とともにエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルも紙に転写され、形成されるトナー画像中にエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルが含まれる。エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、劣化しづらい成分であり、トナー画像が外部環境(光、熱、酸素など)に晒されても、変色するのが確実に防止され、形成されるトナー画像は長期間に渡って鮮明なものとなる。
エポキシ変性脂肪酸アルキルエステル中のエポキシ変性脂肪酸成分の炭素数は、6〜22であるのが好ましく、10〜18であるのがより好ましい。エポキシ変性脂肪酸成分の炭素数が前記下限値未満であると、アルコール成分の炭素数によっては、トナー粒子を構成する材料の一部がエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルに溶解してしまい、十分な保存安定性が得られない場合がある。また、エポキシ変性脂肪酸成分の炭素数が前記上限値を超えると、アルコール成分の炭素数によっては、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの粘度が高くなり、絶縁性液体の構成成分として使用するのが困難となる場合がある。
また、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステル中のアルコール成分の炭素数は、2〜18であるのが好ましく、5〜16であるのがより好ましい。アルコール成分の炭素数が前記下限値未満であると、エポキシ変性脂肪酸成分の炭素数によっては、トナー粒子を構成する材料の一部がエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルに溶解してしまい、十分な保存安定性が得られない場合がある。また、エポキシ変性脂肪酸成分の炭素数が前記上限値を超えると、エポキシ変性脂肪酸成分の炭素数によっては、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの粘度が高くなり、絶縁性液体の構成成分として使用するのが困難となる場合がある。
なお、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの脂肪酸成分としては、例えば、菜種油、大豆油等の植物油由来の脂肪酸成分であるのが好ましい。これにより、エポキシ変性脂肪酸成分の炭素数を適度なものとすることができるとともに、液体現像剤の保存安定性をより優れたものとすることができる。
また、このようなエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルのオキシラン酸素濃度は、1〜25wt%であるのが好ましく、2〜20wt%であるのがより好ましく、3〜15wt%であるのがさらに好ましい。これにより、液体現像剤の保存安定性を高いものとしつつ、絶縁性液体の記録媒体への浸透性をさらに高いものとすることができる。なお、オキシラン酸素濃度は、オキシラン環とハンロゲン化水素とを反応させて、その開環反応によって消費されたハロゲン化水素の量から算出される値である。
また、絶縁性液体として、上述したようなエポキシ変性脂肪酸アルキルエステル以外の成分を含むものであってもよい。
このような成分としては、例えば、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)等の鉱物油(炭化水素系液体)、脂肪酸グリセリド、中鎖脂肪酸エステル等を含む植物油、脂肪酸と一価のアルコールとの間のエステルである脂肪酸モノエステル、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
また、絶縁性液体中におけるエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの含有量は、5〜100wt%であることが好ましく、10〜80wt%であることがより好ましく、20〜60wt%であることがさらに好ましい。エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの含有率が前記範囲内であると、絶縁性液体を好適に記録媒体へ浸透させることが可能となり、結果として特に優れた定着強度が得られる。
また、このような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1011Ωcm以上のものであるのが好ましく、1012Ωcm以上のものであるのがより好ましく、1013Ωcm以上のものであるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
絶縁性液体の粘度は、特に限定されないが、5〜1000mPa・sであるのが好ましく、50〜800mPa・sであるのがより好ましく、50〜500mPa・sであるのがさらに好ましい。絶縁性液体の粘度が前記範囲内の値であると、液体現像剤が現像剤容器から塗布ローラにくみ出された場合において、適量の絶縁性液体がトナー粒子に付着し、高速での画像形成が可能であるとともに、トナー画像の記録媒体への定着特性は特に優れたものとなる。ただし、本明細書における粘度とは25℃において測定した値を指すものとする。
<トナー粒子>
次に、トナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料]
トナー粒子は、少なくとも、樹脂材料と着色剤とを含むものである。
1.樹脂材料(結着樹脂)
トナー粒子は、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂材料(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、公知の樹脂を用いることができる。これらの中でも、ポリエステル樹脂を用いた場合、前述したエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルとの親和性が高いため、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を優れたものとすることができる。また、記録媒体へのエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの浸透とともにこのポリエステル樹脂も好適に浸透し、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、後述するポリアルキレンイミンとの反応性が高い官能基(酸性基)を比較的多数有する材料であることから、ポリアルキレンイミンによる表面改質を好適に行うことができ、液体現像剤の帯電特性もより高いものとすることができる。
また、樹脂材料は、ロジン系樹脂を含んでいるのが好ましい。ロジン系樹脂は、紙等の記録媒体との親和性が高いことから、トナー粒子の定着性をさらに高いものとすることができる。また、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルとの親和性も高いことから、記録媒体へのエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの浸透とともにこのロジン系樹脂も好適に浸透し、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。また、ロジン系樹脂は、後述するポリアルキレンイミンとの反応性が高い官能基(酸性基)を多数有する材料であることから、ポリアルキレンイミンによる表面改質をより好適に行うことができ、液体現像剤の帯電特性もより高いものとすることができる。
ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、フマル酸変性ロジン樹脂、エステルガム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500〜100000であるのが好ましく、1000〜80000であるのがより好ましく、1000〜50000であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、ロジン系樹脂の酸価は、40mgKOH/g以下であるのが好ましく、30mgKOH/g以下であるのがより好ましく、5〜25mgKOH/g以下であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、トナー粒子を構成する樹脂材料中におけるロジン系樹脂の含有率は、1〜50wt%であるのが好ましく、5〜40wt%であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
樹脂材料の軟化点は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化点とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
2.着色剤
また、トナーは、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
[ポリアルキレンイミン]
上述したような材料で構成されたトナー粒子は、その表面がポリアルキレンイミンにより改質されているのが好ましい。なお、ポリアルキレンイミンによる改質とは、ポリアルキレンイミンのアミノ基の少なくとも一部と、トナー粒子の表面の樹脂材料に由来する酸性基(主にカルボキシル基)の少なくとも一部とが化学反応し、共有結合(アミド結合)をなしていること、または、樹脂材料の酸性基とポリアルキレンイミンのアミノ基とがイオン結合をなしていることをいう。
ポリアルキレンイミンは、多数のアミノ基を有しているため、正帯電性の高い化合物である。このようなポリアルキレンイミンがトナー粒子の表面に化学的に付着(結合)していることにより、トナー粒子表面に正帯電性のアミノ基が多数存在することとなり、トナー粒子の正帯電の帯電特性を向上させることができる。また、このようなポリアルキレンイミンは、化学的にトナー粒子表面に付着しているので、トナー粒子表面から脱離しづらく、トナー粒子の正帯電の帯電特性を長期にわたって優れたものとすることができるとともに、長期にわたってトナー粒子を絶縁性液体中に安定して分散させることができる。
また、ポリアルキレンイミンは、前述したようなエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルとの親和性も高く、トナー粒子の表面をポリアルキレンイミンで改質することにより、トナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、記録媒体へのエポキシ変性脂肪酸アルキルエステルの浸透とともに、このようなポリアルキレンイミンで改質された樹脂材料が好適に浸透し、トナー粒子の定着強度をより高いものとすることができる。
ポリアルキレンイミンとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソプロピレンイミン等が挙げられる。中でも、ポリエチレンイミンを用いるのが好ましい。これにより、トナー粒子の表面を、より好適に改質することができ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、10000〜70000であるのが好ましい。ポリアルキレンイミンの重量平均分子量がこのような範囲であると、トナー粒子表面をより効果的に改質(化学修飾)することができるとともに、ポリアルキレンイミンの比較的長い分子鎖による立体障害によって、トナー粒子同士の凝集を効果的に防止することができ、トナー粒子の分散安定性を効果的に向上させることができる。
[トナー粒子の形状]
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5〜5μmであるのが好ましく、1〜4μmであるのがより好ましく、1〜3.5μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
≪液体現像剤の製造方法≫
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、上述したトナー粒子を構成する樹脂材料等が有機溶媒に溶解した樹脂溶液を調製する樹脂溶液調製工程と、調製した樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液を調製するO/W乳化液調製工程と、調製したO/W乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、合一粒子中に含まれる有機溶媒を除去し、トナー粒子を形成する有機溶媒除去工程と、得られたトナー粒子の表面をポリアルキレンイミンで改質する化学修飾工程と、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させる絶縁性液体中分散工程とを有する。
以下、液体現像剤の製造方法を構成する各工程について詳細に説明する。
[樹脂溶液調製工程]
まず、樹脂材料等を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を調製する。
調製された樹脂溶液は、前述したようなトナー粒子の構成材料、および、次に述べるような有機溶媒(有機溶剤)を含むものである。
有機溶媒としては、樹脂材料の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、後述する水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、有機溶媒を容易に除去することができる。
また、有機溶媒は、後述する水系液体(水系分散媒)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系液体100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、後述するO/W乳化液(水系乳化液)中において、母粒子材料で構成された分散質を安定した状態で微分散させることができる。
また、有機溶媒の組成は、例えば、前述したような樹脂材料、着色剤の組成や、水系液体(水系分散媒)の組成等に応じて適宜選択することができる。
このような有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
樹脂溶液は、例えば、樹脂材料、着色剤、有機溶媒等を、攪拌機等により混合することにより得ることができる。樹脂溶液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)等の高速攪拌機が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
樹脂溶液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜70wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する分散液(水系分散液)を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られるトナー粒子の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
また、樹脂溶液の調製においては、調製すべき樹脂溶液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂溶液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
[O/W乳化液調製工程]
次に、上記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液を調製する。
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水系液体には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
また、O/W乳化液の調製に際して、例えば、塩基性物質を用いてもよい。これにより、例えば、樹脂材料が有する官能基(例えば、カルボキシル基等)を中和することができ、調製されるO/W乳化液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができ。このため、得られるトナー粒子は、粒度分布が特にシャープなものとなる。塩基性物質は、例えば、樹脂溶液に添加されるものであってもよいし、水系液体に添加されるものであってもよい。また、塩基性物質は、O/W乳化液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。
塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、塩基性物質の使用量は、樹脂材料が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1〜3倍に相当する量(1〜3当量)が好ましく、1〜2倍に相当する量(1〜2当量)がより好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
樹脂溶液への水系液体の添加は、いかなる方法で行うものであってもよいが、樹脂溶液を撹拌しつつ、樹脂溶液に水を含む水系液体を添加することが好ましい。すなわち、攪拌機等により樹脂溶液に剪断を加えつつ、樹脂溶液中に水系液体を徐々に添加(滴下)することにより行い、W/O型の乳化液(W/O乳化液)からO/W型の乳化液(O/W乳化液)に転相させるのが好ましい。これにより、O/W乳化液に含まれる分散質の大きさ、形状の均一性を特に高いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤中に含まれるトナー粒子の粒度分布を非常にシャープなものとすることができ、トナー粒子間での特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
O/W乳化液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)、スラッシャ(三井鉱山社製)、キャビトロン(ユーロテック社製)等の高速攪拌機、あるいは高速分散機等が挙げられる。
また、樹脂溶液への水系液体の添加時には、翼先端速度が10〜20m/秒となるように撹拌を行うことが好ましく、12〜18m/秒となるように撹拌を行うことがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、O/W乳化液を効率良く得ることができるとともに、O/W乳化液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、過剰に微細な分散質、粗大粒子の発生を防止しつつ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。
O/W乳化液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、O/W乳化液中における分散質同士の不本意な凝集をより確実に防止しつつ、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、本処理における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
[合一工程]
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る。分散質の合一は、通常、有機溶媒を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。
複数個の分散質の合一は、O/W乳化液を撹拌しながら、O/W乳化液に電解質を添加することにより行う。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径、粒度分布を制御することができる。
電解質としては、特に限定されず、公知の有機、無機の水溶性の塩等を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、得られる合一粒子の粒度分布を特にシャープなものとすることができる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。
また、上述した中でも、電解質は、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)または炭酸塩であることが好ましく、硫酸塩であることが特に好ましい。これにより、特に容易に合一粒子の粒径を制御できる。
本工程で添加される電解質の量は、電解質が添加されるO/W乳化液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜3重量部であるのが好ましく、1〜2重量部であるのがより好ましい。これにより、特に容易かつ確実に合一粒子の粒径を制御できるとともに、粗大粒子の発生を確実に防止することができる。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかにO/W乳化液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。この結果、所望の粒径で、粒度分布が非常にシャープな合一粒子を得ることができる。
また、電解質を水溶液の状態で添加する場合、水溶液中における電解質の濃度は、2〜10wt%であることが好ましく、2.5〜6wt%であることがより好ましい。これにより、特に速やかにO/W乳化液全体に、電解質を拡散させることができ、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。また、このような水溶液を加えることにより、電解質を加え終えた際におけるO/W乳化液中の水の含有量が、好適なものとなる。このため、電解質添加後における合一粒子の成長速度を、生産性が落ちない程度に、適度に遅いものとすることができる。結果として、粒径をより確実に制御できる。また、不本意な合一粒子の合一を確実に防止することができる。
また、電解質を水溶液で添加する場合、電解質水溶液の添加の速度は、電解質水溶液が添加されるO/W乳化液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜10重量部/分であるのが好ましく、1.5〜5重量部/分であるのがより好ましい。これにより、O/W乳化液中で、電解質の濃度のむらが発生することを防止することができ、粗大粒子が発生することを確実に防ぐことができる。また、合一粒子の粒度分布はさらにシャープなものとなる。さらに、このような速度で電解質を添加することで、合一の速度を特に容易に制御でき、合一粒子の平均粒径を制御することが特に容易になるとともに、液体現像剤の生産性を特に優れたものとすることができる。
電解質の添加は、複数回に分けて行ってもよい。これにより、容易かつ確実に、所望の大きさの合一粒子を得ることができるとともに、得られる合一粒子の円形度を確実に、十分に大きいものとすることができる。
また、本工程は、O/W乳化液を攪拌した状態で行う。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
O/W乳化液の撹拌には、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼、半月翼等の攪拌翼を用いることができるが、中でも、マックスブレンド翼、フルゾーン翼が好ましい。これにより、添加した電解質をすばやく均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質を効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをより確実に防止することができる。その結果、粒子間での形状、粒径のばらつきの小さい合一粒子を効率良く得ることができる。
攪拌翼の翼先端速度は、0.1〜10m/秒であるのが好ましく、0.2〜8m/秒であるのがより好ましく、0.2〜6m/秒であるのがさらに好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、添加した電解質を均一に分散、溶解させて、電解質の濃度むらが発生することを確実に防止することができる。また、分散質をより効率良く合一させつつ、一旦形成された合一粒子が崩壊するのをさらに確実に防止することができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.5〜5μmであるのが好ましく、1.5〜3μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を、より確実に適度なものとすることができる。
[有機溶媒除去工程]
その後、O/W乳化液中(特に、分散質中)に含まれる有機溶媒を除去する。これにより、トナー粒子が水系分散媒中に分散した分散液(水系分散液)が得られる。
有機溶媒の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶媒を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、合一粒子を構成する樹脂材料のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、O/W乳化液(分散液)に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶媒を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、O/W乳化液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
また、本工程においては、有機溶媒とともに、少なくとも一部の水系液体が除去されてもよい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶媒(分散液中に含まれる有機溶媒の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する工程において、残存する有機溶媒を十分に除去することができる。
[洗浄工程(第1の洗浄工程)]
次に、上記のようにして得られたトナー粒子の洗浄を行う。これにより、洗浄されたトナー粒子を含む分散液(水系分散液)を得ることができる。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶媒等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。また、本工程を行うことにより、上述した工程で用いた電解質、塩基性物質、酸性物質や、酸塩基反応により生じた塩を効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、絶縁性液体の電気抵抗を特に高いものとすることができるとともに、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー粒子)を水系液体(水系分散媒)中に再分散することにより行うことができる。固液分離、および、固形分の水中への再分散は、複数回、繰り返し行ってもよい。なお、洗浄は、固形分(トナー粒子)を水系液体(水系分散媒)中に再分散した分散液(スラリー)の上澄み液の導電度が20μS/cm以下となるまで行うのが好ましい。
[表面改質工程]
次に、上述したようなトナー粒子を含む分散液(水系分散液)とポリアルキレンイミンとを混合し、上述したようなトナー粒子をポリアルキレンイミンで表面改質する。
本工程は、水系分散液とポリアルキレンイミンとの混合により行うものであればよいが、分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)を2〜8に調整した状態で行うのが好ましい。これにより、トナー粒子の構成材料の不本意な変質等を確実に防止しつつ、ロジン系樹脂を含む材料で構成されたトナー粒子の表面に存在する酸性基とポリアルキレンイミンとの反応をより効率よく進行させることができ、ポリアルキレンイミンをトナー粒子表面により強固に結合させることができる。その結果、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性の安定性を特に優れたものとすることができる。上記のように、本工程における分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)は、2〜8であるのが好ましいが、2.5〜6.5であるのがより好ましく、4〜5であるのがさらに好ましい。これにより、上記のような効果がさらに顕著に発揮される。
上述した分散液のpH調整は、例えば、1Nの塩酸等を添加することにより行うことができる。
また、上記分散液とポリアルキレンイミンとの混合後、混合液を1〜3時間程度攪拌するのが好ましい。これにより、トナー粒子表面をより均一に改質(化学修飾)することができる。
また、攪拌は、常温下で行ってもよいし、混合液を30〜40℃程度に加温しつつ行ってもよい。加温して行うことにより、トナー粒子表面をより効率よく改質(化学修飾)することができる。
[洗浄工程(第2の洗浄工程)]
次に、上記のようにして得られたトナー粒子の洗浄を行う。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶媒等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
なお、上記のようにポリアルキレンイミンは、ロジン系樹脂を含むトナー粒子に強固に結合している。このため、従来の液体現像剤で用いられている分散剤等とは異なり、洗浄処理を施しても、トナー粒子から脱離・脱落することが確実に防止されている。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー粒子)の水系液体(水系分散媒)中への再分散および固液分離(水系液体からのトナー粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
[乾燥工程]
その後、乾燥処理を施すことにより、ポリアルキレンイミンで表面改質されたトナー粒子を得ることができる。このような工程を行うことにより、確実にトナー粒子中の水分量を十分に低いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤の保存性、特性の安定性を特に優れたものとすることができる。
乾燥工程は、例えば、真空乾燥機(例えば、リボコーン(大川原製作所社製)、ナウター(ホソカワミクロン社製)等)、流動層乾燥機(大川原製作所社製)等を用いて行うことができる。
[絶縁性液体中分散工程]
次に、上記のようにして得られたトナー粒子を、絶縁性液体中に分散する。これにより、液体現像剤が得られる。
トナー粒子の絶縁性液体への分散は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、絶縁性液体とトナー粒子とをビーズミル、ボールミル等で混合することにより行うことができる。
また、この分散時において、絶縁性液体、トナー粒子以外の成分を混合してもよい。
また、トナー粒子の絶縁性液体への分散は、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものであってもよく、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。
また、絶縁性液体の一部を用いてトナー粒子を分散する場合、分散した後に、分散に用いた液体と同じ液体を絶縁性液体として添加するものであってもよいし、また、分散した後に、分散に用いた液体とは異なる液体を絶縁性液体として添加するものであってもよい。後者の場合、最終的に得られる液体現像剤の粘度等の特性を容易に調整することができる。
以上説明したような方法により液体現像剤を製造した場合、トナー粒子間での形状、特性のばらつきが小さいものとなる。その結果、トナー粒子表面に付着する絶縁性液体の量のばらつきが小さいものとなり、定着強度のばらつきを小さくすることができ、定着特性に優れたものとすることができる。また、トナー粒子の分散安定性をより優れたものとすることができる。
≪画像形成方法≫
次に、本発明の画像形成方法の好適な実施形態について説明する。
まず、本発明の画像形成方法に適用される画像形成装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
画像形成装置1000は、図1、図2に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、中間転写部40と、2次転写ユニット(2次転写部)60と、定着部(定着装置)F40と、4つの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kとを有している。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成され、例えばアモルファスシリコン等の材料で構成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図2中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
帯電ローラ11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
1次転写バックアップローラ51Yは、感光体10Yに形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ41および一対の従動ローラ44、45に張架されている。また、中間転写部40は、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラ41により反時計回りに回転駆動される。
さらに、中間転写部40は、テンションローラ49によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。このテンションローラ49は、一方の従動ローラ44より中間転写部40の回転(移動)方向下流側でかつ他方の従動ローラ45より中間転写部40の回転(移動)方向上流側に配設されている。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、後述する2次転写ユニット60において一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
また、中間転写部40には、中間転写部クリーニングブレード46、現像剤回収部47、非接触式バイアス印加部材48からなるクリーニング装置が配置されている。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
非接触式バイアス印加部材48はテンションローラ49に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48は、二次転写後に中間転写部40上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48として、コロナ帯電器が用いられている。
なお、非接触式バイアス印加部材48は、必ずしもテンションローラ49に対向する位置に配設する必要はなく、例えば従動ローラ44とテンションローラ49との間の位置等、従動ローラ44より中間転写部の移動方向下流側で、かつ、従動ローラ45より中間転写部の移動方向上流側の任意の位置に配設することができる。また、非接触式バイアス印加部材48はコロナ帯電器以外の公知の非接触式帯電器を用いることもできる。
また、1次転写バックアップローラ51Yより中間転写部40の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Yが配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部スクイーズローラ53Yと、中間転写部スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングする中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yと、中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yで除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部56Yとから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
2次転写ユニット60は、互いに転写材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の2次転写ローラを備えている。これらの一対の2次転写ローラのうち、中間転写部40の移動方向の上流側に配置される2次転写ローラが上流側2次転写ローラ64である。この上流側2次転写ローラ64は、ベルト駆動ローラ41に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
また、一対の2次転写ローラのうち、転写材の移動方向の下流側に配置される2次転写ローラが下流側2次転写ローラ65である。この下流側2次転写ローラ65は、従動ローラ44に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
すなわち、上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
この場合、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44は、それぞれ上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ41は、2次転写ユニット60において従動ローラ44より記録媒体F5の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ44は、2次転写ユニット60においてベルト駆動ローラ41より記録媒体F5の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
したがって、2次転写ユニット60に搬送されてきた記録媒体F5は、上流側2次転写ローラ64とベルト駆動ローラ41との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側2次転写ローラ65と従動ローラ44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの転写材の所定の移動領域で中間転写部40に密着される。これにより、中間転写部40上のフルカラーの中間転写像が、中間転写部40に密着した状態の記録媒体F5に所定時間にわたって2次転写されるので、良好な2次転写が行われる。
また、2次転写ユニット60は、上流側2次転写ローラ64に対して、2次転写ローラクリーニングブレード66と、現像剤回収部67とを備えている。また、2次転写ユニット60は、下流側2次転写ローラ65に対して、2次転写ローラクリーニングブレード68と、現像剤回収部69とを備えている。各2次転写ローラクリーニングブレード66、68は、それぞれ2次転写ローラ64、65に当接されて2次転写後に各2次転写ローラ64、65の表面に残留する液体現像剤を掻き落として除去する。また、各現像剤回収部67、69は、それぞれ各2次転写ローラクリーニングブレード66、68によって各2次転写ローラ64、65から掻き落とされた液体現像剤を回収して貯留する。
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)F5aは、定着部(定着装置)F40に送られ、加熱および加圧されて、記録媒体F5上に定着される。
なお、定着温度(設定温度)は、具体的には、80〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yとを有している。
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えており、液体現像剤を現像部に供給する供給部31aYと、供給部31aY等で発生した余剰の液体現像剤を回収する回収部31bYと、供給部31aYと回収部31bYとを仕切る仕切31cYとを備えている。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラ32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラ34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
回収部31bYは、供給部31aYに過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y、24Yで生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Yに搬送され、再利用される。また、回収部31bYは、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Yが設置されている。
供給部31aYと回収部31bYとの境界には、壁状の仕切31cYが設けられている。仕切31cYは、供給部31aYと回収部31bYとを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aYに過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cYを超えて供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。このため、供給部31aYの液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラ32Yに供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yの表面に当接して、塗布ローラ32Y上の液体現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する塗布ローラ32Y上の液体現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yが回転して液体現像剤から進出する側(すなわち、図2中右側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラ32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラ20Yの弾性体の層の塗布ローラ32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、掻き取られた余剰の液体現像剤は、供給部31aYに回収され、再利用される。
現像剤攪拌ローラ34Yは、液体現像剤を一様分散状態に攪拌する機能を備えたものである。これにより、複数個のトナー粒子が凝集した場合であっても、トナー粒子同士を好適に分散させることができる。
供給部31aY内において、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラ32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラ20Yに供給される。また、現像剤攪拌ローラ34Yによって攪拌されることにより、仕切31cYを超えて回収部31bY側に液体現像剤を安定して溢れさせることができ、液体現像剤が滞留し圧縮することを防ぐことができる。
さらに、現像剤攪拌ローラ34Yは、連通部35Y付近に設けられている。このため、連通部35Yから供給された液体現像剤が素早く拡散することができ、液体現像剤が供給部31aYに補給されている場合であっても、供給部31aYの液面を安定したものとすることができる。このような現像剤攪拌ローラ34Yが連通部35Y付近に設けられることにより、連通部35Yが負圧になり、自然に液体現像剤が吸い上げられることができる。
連通部35Yは、現像剤攪拌ローラ34Y鉛直下方に対して設けられ、液体現像剤貯留部31Yと連通し、液体現像剤混合槽93Yから液体現像剤を供給部31aYへ吸い上げる部分である。
連通部35Yを現像剤攪拌ローラ34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤攪拌ローラ34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラ32Yに安定して現像剤を供給できる。
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラ20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層を形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
また、現像ローラ20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ20Yは、感光体10Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラ20Y上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤回収部24Yとを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y内に回収される。
また、図1、図2に示すように、画像形成装置1000は、液体現像剤を現像部30Y、30M、30C、30Kに補給する液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kを備えている。これらの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kは、それぞれ、液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kと、絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kと、液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kとを備えている。
各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kには、それぞれ各色に対応した高濃度の液体現像剤が収納されている。また、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kには、それぞれ絶縁性液体が収納されている。さらに、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kには、各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kからの所定量の各高濃度液体現像剤と、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kからの所定量の各絶縁性液体とが供給されるようになっている。
そして、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体現像剤および各絶縁性液体をそれぞれ備え付けられた攪拌装置により混合撹拌して、各供給部31aY、31aM、31aC、31aKで使用する各色に対応した液体現像剤を作製する。各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kでそれぞれ作製された各液体現像剤は、それぞれ各供給部31aY、31aM、31aC、31aKに供給されるようになっている。
また、液体現像剤混合槽93Yには、回収部31bYで回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M、93C、93Kも同様である。
なお、上記装置を用いた画像形成は、色の異なる複数の液体現像剤(本発明の液体現像剤)を用いて、感光体10(10Y、10M、10C、10K)に、各色に対応する複数の単色像を形成する現像工程と、感光体10に形成された複数の単色像を記録媒体F5に転写し、記録媒体F5上に複数の単色像を重ね合わせてなる未定着のトナー画像F5aを形成する転写工程と、未定着のトナー画像F5aを記録媒体F5上に定着する定着工程とにより行う。このような方法を用いることにより、発色性に優れた画像を容易に形成することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。
また、前述した実施形態では、水系乳化液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより合一粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、合一粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系乳化液を調製し、該水系乳化液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、得られた水系乳化液を噴霧乾燥することにより合一粒子を得るものであってもよい。
[1]液体現像剤の製造
以下のようにして、液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
[分散液準備工程(水系分散液準備工程)]
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):55℃、軟化点:107℃):60重量部を用意した。
次に、上記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
(樹脂溶液調製工程)
上記着色剤マスターバッチ:97.5重量部にメチルエチルケトン:175重量部、前記ポリエステル樹脂:172.3重量部、ロジン変性マレイン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、軟化点:120〜130、重量平均分子量:3100):55.3重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂溶液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
(O/W乳化液調製工程)
次いで容器内の樹脂溶液に1規定アンモニア水:72.8重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下し、さらに、攪拌を継続しながら、脱イオン水:100重量部を加えることにより、W/O乳化液を経由して、樹脂材料を含む分散質が分散したO/W乳化液を得た。
(合一工程)
次に、W/O乳化液を、マックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながらW/O乳化液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が2.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
(有機溶媒除去工程)
次に、合一粒子を含むW/O乳化液を減圧環境下に置き、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶媒を留去し、トナー粒子のスラリー(分散液)を得た。
[洗浄工程(第1の洗浄工程)]
次に、スラリー(分散液)に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。なお、スラリーの上澄み液の導電度が20μS/cm以下となるまで、洗浄処理を行った。
その後、吸引ろ過法により、トナー粒子のウェットケーキ(トナー粒子ケーキ)を得、このウェットケーキを水中に分散することにより、洗浄されたトナー粒子を含む分散液(水系分散液)を得た。
[表面改質工程]
次に、洗浄されたトナー粒子を含む分散液(水系分散液)に、1N塩酸を加えることにより、水素イオン指数(pH)を4.0に調整した。
その後、この水素イオン指数(pH)が4.0に調整された分散液(水系分散液)に、ポリエチレンイミン(重量平均分子量:70000)を滴下しつつ攪拌した。このとき、ポリエチレンイミンは、ロジン系樹脂:100重量部に対して1.0重量部となるように、添加した。さらにその後、十分に攪拌を行い、分散液全体が十分に均一な組成となるようにした。
[洗浄工程(第2の洗浄工程)]
次に、ポリエチレンイミンで表面改質されたトナー粒子が分散した分散液に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、トナー粒子のウェットケーキ(トナー粒子ケーキ)を得た。このようにして得られたウェットケーキの含水率は35wt%であった。なお、固液分離により分離された液相・ろ液を調べたところ、ポリエチレンイミンは検出されなかった。
[乾燥工程]
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、ポリエチレンイミンで表面改質(化学修飾)されたトナー粒子を得た。
[絶縁性液体中分散工程]
上記の方法で得られたトナー粒子:50重量部、絶縁性液体として菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):120重量部、および、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルとしてのエポキシ化菜種油脂肪酸2−エチルヘキシル(ADEKA製、商品名「アデカサイザーD−32」、オキシラン酸素濃度:4.3wt%):80重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子のDv(50)は、1.95μmであった。なお、得られたトナー粒子の50%体積粒径Dv(50)[μm]は、マイクロトラックMT−3000(日機装株式会社製)にて測定を行った。また、以下に説明する各実施例、各比較例で得られた粒子についても同様にして、粒径を求めた。
また、得られた液体現像剤の25℃における粘度は、50mPa・sであった。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
(実施例2〜8)
絶縁性液体を構成する成分の種類および含有量を表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例9)
ロジン系樹脂として、ロジン変性ポリエステル樹脂(荒川化学工業社製、商品名「TFS−015」、酸価:11.8mgKOH/g、軟化点:79℃、重量平均分子量:1300)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例10)
(着色剤マスターバッチの調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):55℃、軟化点:107℃):48重量部と、ロジン変性マレイン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、軟化点:120〜130、重量平均分子量:3100):12重量部とを用意した。
次に、上記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。そして、2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
(トナー粒子の調製)
上記着色剤マスターバッチ:15重量部、上記ポリエステル樹脂:68重量部、上記ロジン変性マレイン樹脂:17重量部を2軸混練押出機を用いて混練した。そして、2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。得られた混練物をハンマーミルで粉砕し、その粉砕物をトナー粒子とした。
(絶縁性液体中分散工程)
上記の方法で得られたトナー粒子:60重量部、絶縁性液体として、大豆油を過酢酸で酸化させることにより得られるエポキシ化大豆油(ADEKA製、商品名「アデカサイザーO−130P」、オキシラン酸素濃度:6.9wt%):144重量部およびエポキシ化菜種油脂肪酸2−エチルヘキシル:96重量部をプロピレン製の広口瓶に入れ、さらにφ3ガラスビーズ:300重量部をプロピレン製の広口瓶に入れ、ロッキングミルRM−05S(セイワ技研社製)にて、インバーター周波数設定52Hzで90分間分散を行った。その後、ガラスビーズを除去し、得られた液体をSUS製のふるい(目開き150ミクロン)によりゴミや粗大粒子を除去し、液体現像剤が得られた。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子のDv(50)は、4.92μmであった。また、得られた液体現像剤の25℃における粘度は、60mPa・sであった。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
(比較例1)
エポキシ化菜種油脂肪酸2−エチルヘキシルの代わりに流動パラフィン(コスモ石油社製、商品名「コスモホワイトP−70」)を用い、ポリエチレンイミンでの表面改質を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例2)
絶縁性液体として、菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):120重量部、および大豆油とメタノールとのエステル交換反応により得られる大豆油脂肪酸メチル:80重量部の混合液体を用い、ポリエチレンイミンでの表面改質を行わなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
以上の各実施例および各比較例について、液体現像剤の組成等を表1に示した。なお、表中、ポリエステル樹脂をPEs、ロジン変性マレイン樹脂をRM、ロジン変性ポリエステル樹脂をRPES、エポキシ化菜種油脂肪酸2−エチルヘキシルをA、エポキシ化菜種脂肪酸イソブチル(ADEKA製、商品名「アデカサイザーD−55」、オキシラン酸素濃度:4.8wt%)をB、エポキシ化大豆油脂肪酸ステアリル(ADEKA製、商品名「アデカサイザーD−178」、オキシラン酸素濃度:8.2wt%)をC、エポキシ化リノレン酸メチル(オキシラン酸素濃度:24.6wt%)をD、菜種油をE、大豆油を過酢酸で酸化させることにより得られるエポキシ変性大豆油をF、流動パラフィン(コスモ石油社製、商品名「コスモホワイトP−70」)をG、大豆油脂肪酸メチルをHと示した。また、ポリエチレンイミンによる表面改質をPEI処理と示した。
Figure 0005434165
[2]評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[2.1]定着強度
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、記録紙の搬送速度を320mm/sec、加圧ローラによる圧力を4kgf、熱定着ローラの設定温度(定着温度)を125℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重2.0kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
A :画像濃度残存率が96%以上(非常に良い)。
B :画像濃度残存率が90%以上96%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(許容範囲)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
さらに、加圧ローラによる圧力を2kgfに変更して、上記と同様の評価を行った。
[2.2]保存安定性
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、50℃、相対湿度60%の環境下に、8ヶ月間放置した。その後、液体現像剤の様子を観察し、放置前後の粘度、色、酸価、および電気抵抗値の変化を以下の5段階の基準に従い評価した。なお、酸価の測定は、JIS K2501に準拠して行った。また、液体現像剤の色の変化は、目視により評価した。また、粘度は、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して行った。また、電気抵抗値は、ユニバーサルエレクトロメーター MMAII−17B、液体用電極LP−05、シールドボックスP−618(川口電機製作所製)を用いて測定した。
A :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がまったく認められない。
B :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がほとんど認められない。
C :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がわずかに認められるが、液
体現像剤として問題の無い範囲である。
D :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化がはっきりと認められる。
E :液体現像剤の粘度/色/酸価/電気抵抗値の変化が顕著に認められる。
[2.3]分散安定性
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:20〜30℃の環境下に、4ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の5段階の基準に従い評価した。
A :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がまったく認められない。
B :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がほとんど認められない。
C :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がわずかに認められるが、液体現像剤として
問題の無い範囲である。
D :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がはっきりと認められる。
E :トナー粒子の浮遊および凝集沈降が顕著に認められる。
[2.4]印刷物の保存安定性
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、記録紙の搬送速度を320mm/sec、加圧ローラによる圧力を4kgf、熱定着ローラの設定温度(定着温度)を125℃として、熱定着を行った。
このようにして得られた印刷物を、60℃の環境下に45時間放置したのちの非画像部(白色部)を反射濃度計で反射濃度を測定した。
A :反射濃度が0.08以下(保存性良好)
B :反射濃度が0.08より大きく、0.12未満(許容範囲)
C :反射濃度が0.12以上(保存性が悪い)
[2.5]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の5段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が95%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上95%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が50%以上80%未満であり、現像効率に劣る。
E :現像効率が50%よりも小さく、現像効率に特に劣る。
これらの結果を表2に示した。
Figure 0005434165
表2から明らかなように、本発明の液体現像剤は、定着強度、保存安定性に優れるものであった。また、本発明の液体現像剤は、トナー粒子の分散安定性、印刷物の保存安定性および現像効率にも優れたものであった。これに対し、各比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
1000…画像形成装置 10Y、10M、10C、10K…感光体 11Y…帯電ローラ 12Y…露光ユニット 13M、13Y…感光体スクイーズローラ 14M、14Y…クリーニングブレード 15M、15Y…現像剤回収部 16Y…除電ユニット 17Y…感光体クリーニングブレード 18Y…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K…現像ローラ 21Y…現像ローラクリーニングブレード 24Y…現像剤回収部 30Y、30M、30C、30K…現像部 31Y…液体現像剤貯留部 31aY…供給部 31bY…回収部 31cY…仕切 32Y…塗布ローラ 33Y…規制ブレード 34Y…現像剤撹拌ローラ 35Y…連通部 36Y…回収スクリュー 40…中間転写部 41…ベルト駆動ローラ 49…テンションローラ 44、45…従動ローラ 46…中間転写部クリーニングブレード 47…現像剤回収部 48…非接触式バイアス印加部材 51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラ 52Y、52M、52C、52K…中間転写部スクイーズ装置 53Y…中間転写部スクイーズローラ 55Y…中間転写部スクイーズクリーニングブレード 56Y…現像剤回収部 60…2次転写ユニット 64…上流側2次転写ローラ 65…下流側2次転写ローラ 66、68…2次転写ローラクリーニングブレード 67、69…現像剤回収部 90Y、90M、90C、90K…液体現像剤補給部 91Y、91M、91C、91K…液体現像剤タンク 92Y、92M、92C、92K…絶縁性液体タンク 93Y、93M、93C、93K…液体現像剤混合槽 100Y…現像ユニット 101Y…感光体スクイーズ装置 F40…定着部(定着装置) F5…記録媒体 F5a…トナー画像

Claims (9)

  1. トナー粒子と、
    エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルを含む絶縁性液体と、を有し、
    前記エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、不飽和脂肪酸アルキルエステルが有する炭素−炭素二重結合の少なくとも一部をエポキシ基に変性した化合物であることを特徴とする液体現像剤。
  2. 前記エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルのオキシラン酸素濃度は、1〜25%である請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、炭素数6〜22のエポキシ変性脂肪酸成分と、炭素数2〜18のアルコール成分とで構成されている請求項1または2に記載の液体現像剤。
  4. 前記トナー粒子は、その表面がポリアルキレンイミンによって改質されている請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
  5. 前記ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、10000〜70000である請求項4に記載の液体現像剤。
  6. 前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンである請求項4または5に記載の液体現像剤。
  7. 前記トナー粒子は、ロジン系樹脂を含む樹脂材料を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤。
  8. 色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した複数の単色像を形成する現像工程と、
    各色に対応した複数の前記単色像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に、複数の前記単色像を重ね合わせてなる未定着のトナー画像を形成する転写工程と、
    前記未定着のトナー画像を前記記録媒体上に定着する定着工程と、を有し、
    前記液体現像剤が、トナー粒子と、エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルを含む絶縁性液体とを含み、
    前記エポキシ変性脂肪酸アルキルエステルは、不飽和脂肪酸アルキルエステルが有する炭素−炭素二重結合の少なくとも一部をエポキシ基に変性した化合物であることを特徴とする画像形成方法。
  9. 前記定着工程において、前記未定着のトナー画像を定着する際の定着温度は、80〜160℃である請求項8に記載の画像形成方法。
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