JP5521567B2 - 液体現像剤および画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような液体現像剤を構成するトナー粒子に用いられる結着樹脂としては、一般に、ポリエステル樹脂が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。
しかしながら、ポリエステル樹脂は、通常、それ自体が負帯電性のものであるため、正帯電性のトナー粒子(液体現像剤)に適用するのが困難であった。また、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いたトナー粒子に、帯電制御剤を添加して正帯電させることも考えられるが、十分な帯電量を得るのが困難であった。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、
ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂とを含む材料で構成されたトナー母粒子表面をポリアルキレンイミンで化学修飾したトナー粒子とを含有することを特徴とする。
これにより、正帯電の帯電特性に優れ、トナー粒子の長期分散安定性に優れた液体現像剤を提供することができる。
これにより、トナー母粒子表面をより効果的に改質(化学修飾)することができるとともに、ポリアルキレンイミンの比較的長い分子鎖による立体障害によって、トナー粒子同士の凝集を効果的に防止することができ、トナー粒子の分散安定性を効果的に向上させることができる。
これにより、トナー母粒子の表面を、より好適に化学修飾することができ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
本発明の液体現像剤では、前記ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価は、前記ポリエステル樹脂の酸価よりも大きいことが好ましい。
これにより、より多くのポリアルキレンイミンでトナー母粒子表面を化学修飾することができ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
これにより、ポリアルキレンイミンによるトナー母粒子の表面の化学修飾をより好適に行うことができ、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
本発明の液体現像剤では、前記ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、FINEDIC M−8962(DIC社製)、FINEDIC M−8961(DIC社製)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部とを有し、
前記液体現像剤が、絶縁性液体と、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂とを含む材料で構成されたトナー母粒子表面をポリアルキレンイミンで化学修飾したトナー粒子とを含有することを特徴とする。
これにより、解像度および発色性に優れた画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、ポリエステル樹脂およびヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を含む材料で構成されたトナー母粒子の表面をポリアルキレンイミンで化学修飾(処理)したトナー粒子とを含有するものである。
<トナー粒子>
トナー粒子は、ポリエステル樹脂とヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とを含む材料で構成されたトナー母粒子の表面がポリアルキレンイミンにより化学修飾されたものである。
トナー母粒子は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
1.樹脂材料(結着樹脂)
トナー母粒子は、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
本発明において、トナー母粒子は、樹脂材料として、ポリエステル樹脂およびヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を含むものである。
また、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を含むことにより、本発明の液体現像剤を用いて形成された画像の耐候性をより高いものとすることができる。
なお、ポリエステル樹脂もポリアルキレンイミンと反応性の高い官能基を有しているが、その数が少ないため、ポリエステル樹脂のみでトナー母粒子を構成した場合には、十分にポリアルキレンイミンによってその表面を化学修飾できず、十分な正帯電性を得ることができない。
また、ポリエステル樹脂の軟化点は、特に限定されないが、50℃以上130℃以下であるのが好ましく、50℃以上120℃以下であるのがより好ましく、60℃以上115℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の定着特性を特に優れたものとすることができる。
なお、本明細書で、軟化点とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
また、トナー母粒子は、上述したような樹脂以外の公知の樹脂が含まれていてもよい。
また、トナー母粒子は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
3.その他の成分
また、トナー母粒子は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、トナー母粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
上述したように、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂とを含む材料で構成されたトナー母粒子は、その表面がポリアルキレンイミンにより化学修飾されている。なお、ポリアルキレンイミンによる化学修飾とは、ポリアルキレンイミンのアミノ基の少なくとも一部と、トナー母粒子の表面の主にヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂に由来する酸性基(主にカルボキシル基)の少なくとも一部とが化学反応し、共有結合(アミド結合)をなしていること、または、主にヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂に由来する酸性基とポリアルキレンイミンのアミノ基とがイオン結合をなしていることをいう。
ポリアルキレンイミンは、多数のアミノ基を有しているため、正帯電性の高い化合物である。
なお、上記のような優れた効果は、ポリアルキレンイミンがトナー母粒子の表面を改質することにより得られるものであり、単に、液体現像剤中にポリアルキレンイミンを含むだけでは、得られるものではない。
上記のような材料で構成されたトナー粒子の平均粒径は、0.5μm以上3μm以下であるのが好ましく、1μm以上2.5μm以下であるのがより好ましく、1μm以上2μm以下であるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、20wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。
次に、絶縁性液体について説明する。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
また、液体現像剤(絶縁性液体)中には、上述した成分以外に、公知の酸化防止剤、帯電制御剤等を含んでいてもよい。
なお、本発明の液体現像剤は、上述した成分以外の成分(例えば、外添剤等)を含むものであってもよい。
次に、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂を含有するトナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液を準備する分散液準備工程と、ポリアルキレンイミンを前記分散液と混合し、前記トナー母粒子の表面をポリアルキレンイミンで改質し、トナー粒子を得る化学修飾工程と、前記トナー粒子を絶縁性液体中に分散させる絶縁性液体中分散工程とを有する。
以下、液体現像剤の製造方法を構成する各工程について詳細に説明する。
まず、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂を含有するトナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液(水系分散液)を調製する。
水系分散液は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂等のトナー母粒子の構成材料(母粒子材料)が有機溶媒に溶解した樹脂溶液を調製する樹脂溶液調製工程と、前記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液を調製するO/W乳化液調製工程と、前記O/W乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、前記トナー母粒子を形成する有機溶媒除去工程とを経て、懸濁液として調製されるのが好ましい。これにより、水系分散液に含まれる分散質の大きさ、形状の均一性を特に高いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤中に含まれるトナー粒子の粒度分布を非常にシャープなものとすることができ、トナー粒子間での特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。以下の説明では、樹脂溶液調製工程とO/W乳化液調製工程と合一工程と有機溶媒除去工程とを経て、水系分散液を調製する場合について、代表的に説明する。
まず、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂材料を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を調製する。
調製された樹脂溶液は、前述したようなトナー母粒子の構成材料、および、次に述べるような有機溶媒(有機溶剤)を含むものである。
また、有機溶媒は、後述する水系液体(水系分散媒)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系液体100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、後述するO/W乳化液(水系乳化液)中において、母粒子材料で構成された分散質を安定した状態で微分散させることができる。
また、有機溶媒の組成は、例えば、前述したような樹脂材料、着色剤の組成や、水系液体(水系分散媒)の組成等に応じて適宜選択することができる。
このような有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、MEK等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
また、攪拌時における材料温度は、20℃以上60℃以下であるのが好ましく、30℃以上50℃以下であるのがより好ましい。
また、樹脂溶液の調製においては、調製すべき樹脂溶液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂溶液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
次に、上記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液を調製する。
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、O/W乳化液の調製に際して、例えば、塩基性物質を用いてもよい。これにより、例えば、樹脂材料が有する官能基(例えば、カルボキシル基等)を中和することができ、調製されるO/W乳化液中における分散質の形状、大きさの均一性、分散質の分散性を特に優れたものとすることができ。このため、得られるトナー粒子は、粒度分布が特にシャープなものとなる。塩基性物質は、例えば、樹脂溶液に添加されるものであってもよいし、水系液体に添加されるものであってもよい。また、塩基性物質は、O/W乳化液の調製において、複数回に分けて添加されるものであってもよい。
また、塩基性物質の使用量は、樹脂材料が有する全カルボキシル基を中和するために必要な量の1倍から3倍に相当する量(1当量から3当量)が好ましく、1倍から2倍に相当する量(1当量から2当量)がより好ましい。これにより、異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
また、樹脂溶液への水系液体の添加時には、翼先端速度が10m/秒以上20m/秒以下となるように撹拌を行うことが好ましく、12m/秒以上18m/秒以下となるように撹拌を行うことがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、O/W乳化液を効率良く得ることができるとともに、O/W乳化液中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、過剰に微細な分散質、粗大粒子の発生を防止しつつ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。
また、本処理における材料温度は、20℃以上60℃以下であるのが好ましく、20℃以上50℃以下であるのがより好ましい。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る。分散質の合一は、通常、有機溶媒を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。
複数個の分散質の合一は、O/W乳化液を撹拌しながら、O/W乳化液に電解質を添加することにより行う。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径、粒度分布を制御することができる。
また、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、得られる合一粒子の粒度分布を特にシャープなものとすることができる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。
また、上述した中でも、電解質は、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム)または炭酸塩であることが好ましく、硫酸塩であることが特に好ましい。これにより、特に容易に合一粒子の粒径を制御できる。
また、電解質は、水溶液の状態で添加されるのが好ましい。これにより、速やかにO/W乳化液全体に、電解質を拡散させることができるとともに、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。この結果、所望の粒径で、粒度分布が非常にシャープな合一粒子を得ることができる。
また、本工程は、O/W乳化液を攪拌した状態で行う。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.5μm以上5μm以下であるのが好ましく、1.5μm以上3μm以下であるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を、より確実に適度なものとすることができる。
その後、O/W乳化液中(特に、分散質中)に含まれる有機溶媒を除去する。これにより、トナー母粒子が水系分散媒中に分散した分散液(水系分散液)が得られる。
有機溶媒の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶媒を除去することができる。
また、本工程は、O/W乳化液(分散液)に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶媒を除去することができる。
消泡剤としては、例えば、鉱物油系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、シリコーン系消泡剤のほか、低級アルコール類、高級アルコール類、油脂類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、リン酸エステル類等を用いることができる。
また、本工程においては、有機溶媒とともに、少なくとも一部の水系液体が除去されてもよい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶媒(分散液中に含まれる有機溶媒の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する工程において、残存する有機溶媒を十分に除去することができる。
次に、上記のようにして得られたトナー母粒子の洗浄を行う。これにより、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)を得ることができる。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶媒等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。また、本工程を行うことにより、上述した工程で用いた電解質、塩基性物質、酸性物質や、酸塩基反応により生じた塩を効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、絶縁性液体の電気抵抗を特に高いものとすることができるとともに、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
次に、上述したようなトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)とポリアルキレンイミンとを混合し、上述したようなトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質する。
本工程は、水系分散液とポリアルキレンイミンとの混合により行うものであればよいが、分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)を2以上8以下に調整した状態で行うのが好ましい。これにより、トナー母粒子の構成材料の不本意な変質等を確実に防止しつつ、トナー母粒子の表面に存在する酸性基とポリアルキレンイミンとの反応をより効率よく進行させることができ、ポリアルキレンイミンをトナー母粒子表面により強固に結合させることができる。その結果、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性の安定性を特に優れたものとすることができる。上記のように、本工程における分散液(水系分散液)の水素イオン指数(pH)は、2以上8以下であるのが好ましいが、2.5以上6.5以下であるのがより好ましく、4以上5以下であるのがさらに好ましい。これにより、上記のような効果がさらに顕著に発揮される。
また、上記分散液とポリアルキレンイミンとの混合後、混合液を1時間以上3時間以下程度攪拌するのが好ましい。これにより、トナー母粒子表面をより均一に改質(化学修飾)することができる。
また、攪拌は、常温下で行ってもよいし、混合液を30℃以上40℃以下程度に加温しつつ行ってもよい。加温して行うことにより、トナー母粒子表面をより効率よく改質(化学修飾)することができる。
次に、上記のようにして得られたトナー粒子の洗浄を行う。
本工程を行うことにより、不純物として、有機溶媒等が含まれる場合であっても、これらを効率良く除去することができる。その結果、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
本工程は、例えば、固液分離(水系液体からの分離)によりトナー粒子を分離し、さらにその後、固形分(トナー粒子)の水系液体(水系分散媒)中への再分散および固液分離(水系液体からのトナー粒子の分離)をすることにより行うことができる。固形分の水中への再分散および固液分離は、複数回、繰り返し行ってもよい。
その後、乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得ることができる。このような工程を行うことにより、確実にトナー粒子中の水分量を十分に低いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤の保存性、特性の安定性を特に優れたものとすることができる。
次に、上記のようにして得られたトナー粒子を、絶縁性液体中に分散する。これにより、液体現像剤が得られる。
トナー粒子の絶縁性液体への分散は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、絶縁性液体とトナー粒子とをビーズミル、ボールミル等で混合することにより行うことができる。
また、トナー粒子の絶縁性液体への分散は、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものであってもよく、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。
また、絶縁性液体の一部を用いてトナー粒子を分散する場合、分散した後に、分散に用いた液体と同じ液体を絶縁性液体として添加するものであってもよいし、また、分散した後に、分散に用いた液体とは異なる液体を絶縁性液体として添加するものであってもよい。後者の場合、最終的に得られる液体現像剤の粘度等の特性を容易に調整することができる。
以上説明したような方法により液体現像剤を製造した場合、液体現像剤中に含まれるトナー粒子は、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂を含む材料で構成されたトナー母粒子の表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたものになるとともに、トナー粒子間での形状、特性のばらつきが小さいものとなる。
次に、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について説明する。本発明の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の第2実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
すなわち、上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
なお、定着温度は、具体的には、80℃以上160℃以下であるのが好ましく、100℃以上150℃以下であるのがより好ましく、100℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yとを有している。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラ32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラ34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
供給部31aYと回収部31bYとの境界には、壁状の仕切31cYが設けられている。仕切31cYは、供給部31aYと回収部31bYとを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aYに過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cYを超えて供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。このため、供給部31aYの液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラ32Yに供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
連通部35Yを現像剤攪拌ローラ34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤攪拌ローラ34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラ32Yに安定して現像剤を供給できる。
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層を形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤回収部24Yとを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y内に回収される。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような製造方法により製造されたものに限定されない。例えば、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂とを含む材料を、ポリアルキレンイミンを含む絶縁性液体中で湿式粉砕することにより製造されてたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、画像形成装置として、コロナ放電器を有する構成について説明したが、コロナ放電器は無くてもよい。
以下のようにして、液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
[分散液準備工程(水系分散液準備工程)]
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):55℃、軟化点:107℃):60重量部を用意した。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
上記着色剤マスターバッチ:97.5重量部にメチルエチルケトン:175重量部、前記ポリエステル樹脂:172.3重量部、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂(DIC社製、商品名「FINEDIC M−8962」、酸価:34±3mgKOH/g、軟化点:112±3℃):55.3重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂溶液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
次いで容器内の樹脂溶液に1規定アンモニア水:72.8重量部を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下し、さらに、攪拌を継続しながら、脱イオン水:100重量部を加えることにより、W/O乳化液を経由して、樹脂材料を含む分散質が分散したO/W乳化液を得た。
次に、W/O乳化液を、マックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながらW/O乳化液の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が2.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
(有機溶媒除去工程)
次に、合一粒子を含むW/O乳化液を減圧環境下に置き、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶媒を留去し、トナー母粒子のスラリー(分散液)を得た。
次に、スラリー(分散液)に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。なお、スラリーの上澄み液の導電度が20μS/cm以下となるまで、洗浄処理を行った。
その後、吸引ろ過法により、トナー母粒子のウェットケーキ(トナー母粒子ケーキ)を得、このウェットケーキを水中に分散することにより、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)を得た。
次に、洗浄されたトナー母粒子を含む分散液(水系分散液)に、1N塩酸を加えることにより、水素イオン指数(pH)を4.0に調整した。
その後、この水素イオン指数(pH)が4.0に調整された分散液(水系分散液)に、ポリエチレンイミン(重量平均分子量:70000)を滴下しつつ攪拌した。このとき、ポリエチレンイミンは、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂:100重量部に対して1.0重量部となるように、添加した。さらにその後、十分に攪拌を行い、分散液全体が十分に均一な組成となるようにした。
次に、トナー粒子が分散した分散液に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、トナー粒子のウェットケーキ(トナー粒子ケーキ)を得た。このようにして得られたウェットケーキの含水率は35wt%であった。なお、固液分離により分離された液相・ろ液を調べたところ、ポリエチレンイミンは検出されなかった。
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー母粒子がポリエチレンイミンで表面改質(化学修飾)されたトナー粒子を得た。
[絶縁性液体中分散工程]
上記の方法で得られたトナー粒子:50重量部、絶縁性液体として菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」):120重量部および大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製):80重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
また、得られた液体現像剤の25℃における粘度は、50mPa・sであった。
ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の種類、ポリアルキレンイミンの種類・使用量、絶縁性液体の種類等を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例1)
ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を用いず、その分だけポリエステル樹脂の使用量を増やした以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。なお、洗浄工程(第2の洗浄工程)において固液分離により分離された液相・ろ液を調べたところ、ポリアルキレンイミンが含まれていることが確認された。
ポリアルキレンイミンの代わりに、分散剤としてのアラキード251(荒川化学工業社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例3)
第1の洗浄工程と第2の洗浄工程との間の表面改質工程を省略する代わりに、絶縁性液体中分散工程の後に、トナー母粒子が分散した絶縁性液体中にポリアルキレンイミンを添加する工程を追加した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[2.1]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が96%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上96%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の感光体上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、液体現像剤層が感光体と中間転写部との間を通過した後の、感光体上のトナー粒子と、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :転写効率が96%以上であり、転写効率に特に優れる。
B :転写効率が90%以上96%未満であり、転写効率に優れる。
C :転写効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :転写効率が80%よりも小さく、転写効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、定着の設定温度を100℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.2kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
B :画像濃度残存率が90%以上96%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤について、マイクロチック・ニチオン社製の「顕微鏡式レーザーゼータ電位計」ZC−2000を用いて電位差を測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
測定は、液体現像剤を希釈溶媒で希釈して、□10mmの透明セルに入れ、電極間9mmで300Vの電圧をかけると同時に顕微鏡でセル内の粒子の移動速度を観察することで、移動速度を算出して、その値からゼータ電位を求めることにより行った。
B :電位差が+85mV以上、+100mV未満(良い)。
C :電位差が+70mV以上、+85mV未満(普通)。
D :電位差が+50mV以上、+70mV未満(やや悪い)。
E :電位差が+50mV未満(非常に悪い)。
[2.5.1]方法1
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω2(rω2=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)2×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、上記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
A:0≦k<0.004
B:0.004≦k<0.008
C:0.008≦k<0.012
D:k≧0.012
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を用いて、それぞれ、図1、図2に示すような画像形成装置により、所定パターンの画像を10000枚の記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。この画像形成は、各色の液体現像剤タンクから対応する各色の撹拌装置への液体現像剤の供給を停止した状態で行った。10000枚の記録紙への画像形成を行った後、固形分含有率が20wt%となるように、撹拌装置に回収されたトナー粒子を絶縁性液体で希釈することにより再生した液体現像剤(リサイクル液体現像剤)について、以下に述べるような2種類の方法(方法1、方法2)のよる試験を行い、リサイクルについての適応性(リサイクル性)を評価した。
各実施例および各比較例についてのリサイクル液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが1mm以下。
B :沈降した深さが1mmよりも大きく、3mm以下。
C :沈降した深さが3mmよりも大きく、6mm以下。
D :沈降した深さが6mmよりも大きい。
各実施例および各比較例についてのリサイクル液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω2(rω2=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)2×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、上記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
A:0≦k<0.006
B:0.006≦k<0.010
C:0.010≦k<0.014
D:k≧0.014
これらの結果を表2に示す。
また、図1、図2に示すような画像形成装置により、各色の液体現像剤混合槽から対応する各色の供給部へ液体現像剤が供給されるようにして、記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)への50000枚連続の画像形成を行ったところ、本発明では、50000枚目においても優れた画質の画像を形成することができ、画質の低下が認められなかったのに対し、比較例では、明らかな画質の低下が認められた。
Claims (8)
- 絶縁性液体と、
ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂とを含む材料で構成されたトナー母粒子表面をポリアルキレンイミンで化学修飾したトナー粒子とを含有することを特徴とする液体現像剤。 - 前記ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、10000以上70000以下である請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンである請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 前記ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価は、前記ポリエステル樹脂の酸価よりも大きい請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の酸価は、15mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の軟化点は、60℃以上190℃以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤。
- 前記ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、FINEDIC M−8962(DIC社製)、FINEDIC M−8961(DIC社製)からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤。
- 色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部とを有し、
前記液体現像剤が、絶縁性液体と、ヒドロキシアルキルアミド硬化型カルボキシル基含有ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂とを含む材料で構成されたトナー母粒子表面をポリアルキレンイミンで化学修飾したトナー粒子とを含有することを特徴とする画像形成装置。
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