JP5176737B2 - 液体現像剤用トナーの製造方法、液体現像剤用トナー、液体現像剤の製造方法、液体現像剤および画像形成装置 - Google Patents
液体現像剤用トナーの製造方法、液体現像剤用トナー、液体現像剤の製造方法、液体現像剤および画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
乾式トナーは、通常、着色剤および結着樹脂を含む材料を乾式状態で粉砕する乾式粉砕法により製造される。しかしながら、乾式粉砕法では、微細化が困難であり、また、一旦微粒子が形成された場合であっても、粉砕のエネルギーにより粒子間での凝集、融着が生じ、最終的に得られるトナー粒子の粒径を十分に小さいものとすることが困難である。また、乾式トナーでは、保存時等における粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。
本発明の液体現像剤用トナーの製造方法は、塩基性物質との間で塩構造をなしている酸性基を備え、前記塩基性物質との間で塩を形成していない酸性物質の状態にした場合における酸価が9.2〜20mgKOH/gである樹脂材料と、着色剤と、前記樹脂材料を溶解する有機溶媒とを含む分散質が、水系分散媒に分散してなる乳化液を調製する乳化液調製工程と、
前記乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、着色樹脂粒子を得る有機溶媒除去工程と、
前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第1の洗浄工程と、
洗浄された前記着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0に調整された酸性分散液を得る酸処理工程と、
前記酸処理が施された前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第2の洗浄工程と、
前記第2の洗浄工程に供された前記着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程と、を有し、
前記乳化液を調製する際の前記塩基性物質の使用量が、前記樹脂材料が有する全ての酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍量であることを特徴とする。
本発明の液体現像剤用トナーの製造方法では、前記乳化液は、前記樹脂材料が前記有機溶媒に溶解した樹脂溶液中に水系液体を添加することにより調製したものであることが好ましい。
本発明の液体現像剤用トナーの製造方法では、下記式(I)で表されるトナー粒子の粒度分布の幅Sが1.4以下であることが好ましい。
S=〔D(90)−D(10)〕/D(50) ・・・ (I)
(ただし、トナー粒子を小さい粒径から粒度分布の測定をした場合に、累積体積にて全体の体積のX%の地点での粒径をD(X)とする。)
前記乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、着色樹脂粒子を得る有機溶媒除去工程と、
前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第1の洗浄工程と、
洗浄された前記着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0に調整された酸性分散液を得る酸処理工程と、
前記酸処理が施された前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第2の洗浄工程と、
前記第2の洗浄工程に供された前記着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程とを有し、
前記乳化液を調製する際の前記塩基性物質の使用量が、前記樹脂材料が有する全ての酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍量である方法を用いて製造されたことを特徴とする。
前記乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、着色樹脂粒子を得る有機溶媒除去工程と、
前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第1の洗浄工程と、
洗浄された前記着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0に調整された酸性分散液を得る酸処理工程と、
前記酸処理が施された前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第2の洗浄工程と、
前記第2の洗浄工程に供された前記着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程と、
前記着色樹脂粒子を絶縁性液体中に分散させる絶縁性液体中分散工程とを有し、
前記乳化液を調製する際の前記塩基性物質の使用量が、前記樹脂材料が有する全ての酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍量であることを特徴とする。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記絶縁性液体は、主として植物油で構成されたものであることが好ましい。
前記乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、着色樹脂粒子を得る有機溶媒除去工程と、
前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第1の洗浄工程と、
洗浄された前記着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0に調整された酸性分散液を得る酸処理工程と、
前記酸処理が施された前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第2の洗浄工程と、
前記第2の洗浄工程に供された前記着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程と、
前記着色樹脂粒子を絶縁性液体中に分散させる絶縁性液体中分散工程とを有し、
前記乳化液を調製する際の前記塩基性物質の使用量が、前記樹脂材料が有する全ての酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍量である方法を用いて製造されたことを特徴とする。
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部とを有し、
前記液体現像剤が、本発明の方法により製造されたものであることを特徴とする。
まず、本発明の液体現像剤用トナーの製造方法、液体現像剤の製造方法について説明する。
≪液体現像剤用トナー・液体現像剤の製造方法≫
液体現像剤は、後に詳述するように、トナー粒子が絶縁性液体中に分散したものである。
まず、樹脂材料(結着樹脂)と、着色剤と、樹脂材料を溶解する有機溶媒とを含む分散質が、水系分散媒に分散してなる乳化液を調製する。
乳化液(水系分散液)は、いかなる方法で調製されるものであってもよいが、樹脂材料が有機溶媒に溶解した樹脂溶液を調製する樹脂溶液調製工程と、前記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液(水系分散液)としての乳化液を調製する水系液体添加工程とを経て調製するのが好ましい。これにより、乳化液に含まれる分散質の大きさ、形状の均一性を特に高いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤中に含まれるトナー粒子の粒度分布を非常にシャープなものとすることができ、トナー粒子間での特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。以下の説明では、樹脂溶液調製工程と水系液体添加工程とを経て、乳化液を調製する場合について、代表的に説明する。
まず、樹脂材料を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を調製する。
本工程で調製する樹脂溶液は、樹脂材料を含むとともに、着色剤および後述する有機溶媒(有機溶剤)を含むものである。
本発明では、樹脂材料として、塩基性物質との間で塩構造をなしている酸性基を備えているものを用いる。そして、当該樹脂材料は、塩基性物質との間で塩を形成していない酸性物質の状態にした場合における酸価が9.2〜20mgKOH/gのものである。このような樹脂材料を用いることにより、後に詳述する合一工程において、分散質の合一を好適に進行させることができるとともに、製造されるトナー粒子の絶縁性液体中への分散性(分散のし易さ)、分散安定性(分散状態の保持の良好性)を優れたものとすることができる。また、トナーの製造過程において、粒子が凝集した場合であっても、弱い力で解砕することができ、最終的に得られるトナー、液体現像剤において、トナー粒子が凝集するのを確実に防止することができる。また、製造されるトナーの帯電特性、現像効率、定着強度、耐熱保存性等も優れたものとすることができる。
なお、樹脂材料は、後述する合一工程に供される乳化液において塩基性物質との間で塩構造を形成していればよく、乳化液の調製に用いる原料としての樹脂材料は、塩構造を有していなくてもよい。例えば、樹脂溶液調製工程においては、塩基性物質との間で塩を形成していない酸性物質の状態の樹脂材料を原料として用い、後述する水系液体添加工程において、塩基性物質を用いてもよい。これにより、樹脂溶液における樹脂材料の溶解状態、および、乳化液における分散質(樹脂材料および有機溶媒を含む分散質)の分散状態を、いずれも優れたものとすることができ、トナーの生産性を特に優れたものとすることができる。乳化液調製工程(樹脂溶液調製工程および/または水系液体添加工程)において、塩基性物質を用いる場合、塩基性物質の使用量は、原料として用いる樹脂材料が有する酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍に相当する量(1.7〜3当量)であるのが好ましく、1.7〜2倍に相当する量(1.7〜2当量)であるのがより好ましい。これにより、乳化液中において異形の分散質が形成されるのを効果的に防止することができ、また、後に詳述する合一工程において得られる粒子の粒度分布を、よりシャープなものとすることができる。
また、樹脂材料中における塩構造(酸性基と塩基性物質との間での塩構造)を構成する酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。
また、樹脂材料の軟化点は、特に限定されないが、50〜190℃であるのが好ましく、50〜170℃であるのがより好ましく、60〜160℃であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性とをより高い次元で両立することができる。なお、本明細書で、軟化点とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
有機溶媒としては、樹脂材料の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、後述する水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、有機溶媒除去工程において、有機溶媒を容易かつ選択的に除去することができ、着色樹脂粒子が分散した分散液を好適に得ることができる。
また、有機溶媒の組成は、例えば、樹脂材料、着色剤の組成や、水系液体(水系分散媒)の組成等に応じて適宜選択することができる。
樹脂溶液は、例えば、樹脂材料、着色剤、有機溶媒等を、攪拌機等により混合することにより得ることができる。樹脂溶液の調製に用いることのできる攪拌機としては、例えば、DESPA(浅田鉄工社製)、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼(プライミクス社製)等の高速攪拌機が挙げられる。
樹脂溶液中における固形分の含有率は、特に限定されないが、40〜75wt%であるのが好ましく、50〜73wt%であるのがより好ましく、50〜70wt%であるのがさらに好ましい。固形分の含有率が前記範囲内の値であると、後述する分散液(水系分散液)を構成する分散質を、より球形度の高いもの(真球に近い形状もの)とすることができ、最終的に得られるトナー粒子の形状を、より確実に好適なものとすることができる。
また、樹脂溶液の調製においては、調製すべき樹脂溶液の構成成分をすべて同時に混合してもよいし、予め、調製すべき樹脂溶液の構成成分のうち一部を混合して混合物(マスター)を得、その後、当該混合物(マスター)を、他の成分と混合してもよい。
次に、上記樹脂溶液中に水系液体を添加することにより、W/O乳化液を経由して、O/W乳化液としての乳化液(水系分散液)を調製する。
水系液体としては、主として水で構成されたものを用いることができる。
水系液体中には、例えば、水との相溶性に優れる溶媒(例えば、25℃での100重量部の水に対する溶解度が、50重量部以上である溶媒)を含むものであってもよい。
また、水系液体には、必要に応じて乳化分散剤を添加してもよい。乳化分散剤を添加することにより、より容易に水系乳化液を調製することができる。乳化分散剤としては、特に限定されず、例えば、公知の乳化分散剤を用いることができる。
また、樹脂溶液への水系液体の添加時には、翼先端速度が10〜20m/秒となるように撹拌を行うことが好ましく、12〜18m/秒となるように撹拌を行うことがより好ましい。翼先端速度が前記範囲内の値であると、乳化液(O/W乳化液)を効率良く得ることができるとともに、乳化液(O/W乳化液)中における分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとすることができ、過剰に微細な分散質、粗大粒子の発生を防止しつつ、分散質の均一分散性を特に優れたものとすることができる。
また、本処理における材料温度は、20〜60℃であるのが好ましく、20〜50℃であるのがより好ましい。
次に、複数個の分散質を合一させ、合一粒子を得る。分散質の合一は、通常、有機溶媒を含む分散質が衝突することにより、これらが一体化して進行する。
複数個の分散質の合一は、乳化液(O/W乳化液)を撹拌しながら、当該乳化液に電解質を添加することにより行う。これにより、容易かつ確実に合一粒子を得ることができる。また、電解質の添加量を調節することにより、容易かつ確実に、合一粒子の粒径、粒度分布を制御することができる。
また、電解質は、1価のカチオンの塩であることが好ましい。これにより、得られる合一粒子の粒度分布を特にシャープなものとすることができる。また、1価のカチオンの塩を用いることで、本工程において、粗大粒子が発生することを確実に防止することができる。
本工程で添加される電解質の量は、電解質が添加される乳化液に含まれる固形分:100重量部に対し、0.5〜3重量部であるのが好ましく、1〜2重量部であるのがより好ましい。これにより、特に容易かつ確実に合一粒子の粒径を制御できるとともに、粗大粒子の発生を確実に防止することができる。
また、電解質を水溶液の状態で添加する場合、水溶液中における電解質の濃度は、2〜10wt%であることが好ましく、2.5〜6wt%であることがより好ましい。これにより、特に速やかに乳化液全体に、電解質を拡散させることができ、電解質の添加量を容易かつ確実に制御することができる。また、このような水溶液を加えることにより、電解質を加え終えた際における乳化液中の水の含有量が、好適なものとなる。このため、電解質添加後における合一粒子の成長速度を、生産性が落ちない程度に、適度に遅いものとすることができる。結果として、粒径をより確実に制御できる。また、不本意な合一粒子の合一を確実に防止することができる。
また、本工程は、乳化液を攪拌した状態で行う。これにより、粒子間での形状、大きさのばらつきが特に小さい合一粒子を得ることができる。
得られる合一粒子の平均粒径は、0.6〜5.0μmであるのが好ましく、1.2〜3.0μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を、より確実に適度なものとすることができる。
その後、乳化液中(特に、分散質中)に含まれる有機溶媒を除去する。これにより、樹脂材料と着色剤とを含む材料で構成された着色樹脂粒子が水系分散媒中に分散した分散液(懸濁液)が得られる。
有機溶媒の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、例えば、減圧により行うことができる。これにより、樹脂材料等の構成材料の変性等を十分に防止しつつ、効率良く有機溶媒を除去することができる。
また、本工程での処理温度は、合一粒子を構成する樹脂材料のガラス転移点(Tg)よりも低い温度であるのが好ましい。
また、本工程は、乳化液(O/W乳化液)に、消泡剤を添加した状態で行ってもよい。これにより、効率良く有機溶媒を除去することができる。
消泡剤の使用量は、特に限定されないが、乳化液中に含まれる固形分に対して、重量比で、20〜300ppmであるのが好ましく、30〜100ppmであるのがより好ましい。
なお、本工程においては、必ずしも全ての有機溶媒(分散液中に含まれる有機溶媒の全量)が除去されなくてもよい。このような場合であっても、後述する工程において、残存する有機溶媒を十分に除去することができる。
次に、上記のようにして得られた着色樹脂粒子の洗浄を行う。これにより、着色樹脂粒子が分散した分散液(懸濁液)中に含まれる電解質や過剰の塩基性物質を除去することができ、後述する酸処理(さらに、酸処理工程において表面修飾処理を施す場合には、当該表面修飾処理)を効率よく行うことができ、製造されるトナー粒子の絶縁性液体への分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、上述した有機溶媒除去工程での有機溶媒の除去が不十分な場合であっても、本工程で有機溶媒を確実に十分に除去することができる。その結果、着色樹脂粒子の形状の安定性が向上し、最終的に得られるトナー粒子の形状の均一性を確実に優れたものとすることができる。また、上記のようなことから、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、絶縁性液体の電気抵抗を特に高いものとすることができるとともに、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
本工程では、固形分濃度が10wt%となるように着色樹脂粒子を水に分散させた際の分散液の25℃における電気伝導度が50μS/cm以下となるように洗浄を行うのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
次に、洗浄処理が施された着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、酸性分散液を得る。特に、本工程は、得られる酸性分散液の水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0となるようにして行う。これにより、塩構造を有する樹脂材料が酸性物質の状態(フリーの酸性基を有する状態)となり、後の工程(特に、乾燥工程)での粒子の凝集(特に、強固な凝集)を確実に防止することができ、また、トナー粒子の絶縁性液体への分散性、分散安定性を優れたものとすることができる。また、酸処理を行うことにより、後述するような表面修飾剤や分散剤を用いる場合においては、これらのトナー粒子への吸着を良好なものとすることができ、トナーの帯電性、現像性が特に優れたものとなる。
また、本工程においては、表面修飾剤により、着色樹脂粒子の表面を修飾する表面修飾処理を施してもよい。これにより、例えば、トナー粒子の絶縁性液体中における分散性、分散安定性、トナー粒子の帯電特性等を特に優れたものとすることができる。また、本工程では、上記のような酸処理によって樹脂材料が酸性物質の状態(酸性基がフリーの状態)になっているため、表面修飾剤による表面修飾処理を効率よく行うことができる。
金属せっけんとは、有機酸の非アルカリ金属塩のことであり、金属せっけんを構成する有機酸としては、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ぺラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸等の脂肪酸や、乳酸、有機キレート等が挙げられる。また、金属せっけんを構成する非アルカリ金属としては、Ti、Al、W、Pd、Sn、Ni、Mg、Zn等が挙げられる。
また、アミン系材料としては、例えば、第1アミン、第2アミン、第3アミン、第4アンモニウム化合物等が挙げられる。また、アミン系材料としては、分子内に、水酸基を有するものを用いてもよい。これにより、アミン系材料と、後に詳述するような絶縁性液体との親和性を特に優れたものとすることができ、トナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。アミン系材料のより具体的な例としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、N−ジ−n−ブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、アルキルアミン酢酸塩、アルキルアミン酢酸塩、硫酸テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
本工程で表面修飾処理を行う場合、表面修飾剤の使用量は、樹脂材料:100重量部に対し、0.02〜5.0重量部であるのが好ましく、0.05〜4.0重量部であるのがより好ましく、0.1〜3.0重量部であるのがさらに好ましい。これにより、過剰の表面修飾剤が絶縁性液体中に溶出する等の不都合を確実に防止しつつ、トナー粒子の分散性、分散安定性等を特に優れたものとすることができる。
次に、上記のようにして酸処理が施された着色樹脂粒子の洗浄を行う。これにより、着色樹脂粒子が分散した分散液(懸濁液)中に含まれる電解質や酸性物質を除去することができ、トナーを液体現像剤に適用した際の絶縁性液体の絶縁性を確実に十分に高いものとすることができる。また、製造されるトナー粒子の絶縁性液体への分散安定性を特に優れたものとすることができる。また、上述した有機溶媒除去工程等での有機溶媒の除去が不十分な場合であっても、本工程で有機溶媒を確実に十分に除去することができる。上記のようなことから、最終的に得られるトナー粒子中における、揮発性有機化合物(TVOC)量を特に少ないものとすることができる。また、トナー粒子の特性の安定性も向上する。
本工程では、固形分濃度が10wt%となるように着色樹脂粒子を水に分散させた際の分散液の25℃における電気伝導度が50μS/cm以下となるように洗浄を行うのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
その後、乾燥処理を施す。これにより、本発明に係るトナー粒子(液体現像剤用トナー粒子)を得ることができる。また、このような工程を行うことにより、確実にトナー粒子中の水分量を十分に低いものとすることができ、最終的に得られる液体現像剤の保存性、特性の安定性を特に優れたものとすることができる。
上記のようにして得られるトナー粒子の平均粒径は、0.5〜3.0μmであるのが好ましく、0.8〜2.8μmであるのがより好ましく、1.0〜2.5μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
S=〔D(90)−D(10)〕/D(50) ・・・ (I)
(ただし、トナー粒子を小さい粒径から粒度分布の測定をした場合に、累積体積にて全体の体積のX%の地点での粒径をD(X)とする。)
次に、上記のようにして得られたトナー(液体現像剤用トナー)を、絶縁性液体中に分散する。これにより、液体現像剤が得られる。
トナーの絶縁性液体への分散は、いかなる方法を用いてもよく、例えば、絶縁性液体とトナー粒子とをビーズミル、ボールミル、乳化分散機等で混合することにより行うことができる。
また、トナーの絶縁性液体への分散は、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものであってもよく、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。
また、絶縁性液体の一部を用いてトナー粒子を分散する場合、分散した後に、分散に用いた液体と同じ液体を絶縁性液体として添加するものであってもよいし、また、分散した後に、分散に用いた液体とは異なる液体を絶縁性液体として添加するものであってもよい。後者の場合、最終的に得られる液体現像剤の粘度等の特性を容易に調整することができる。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
このような条件を満足する絶縁性液体としては、例えば、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)等の鉱物油(炭化水素系液体)、脂肪酸グリセリド、脂肪酸モノエステル、中鎖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルまたはそれらを含む植物油、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、特に、植物油は、上述したような酸価を有する樹脂材料との親和性が特に高いため、トナー粒子の分散安定性をさらに向上させることができる。
液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10〜60wt%であるのが好ましく、20〜50wt%であるのがより好ましい。
次に、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について説明する。本発明の画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ41および一対の従動ローラ44、45に張架されている。また、中間転写部40は、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラ41により反時計回りに回転駆動される。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
非接触式バイアス印加部材48はテンションローラ49に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48は、二次転写後に中間転写部40上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48として、コロナ帯電器が用いられている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
すなわち、上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
なお、定着温度は、具体的には、80〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤攪拌ローラ34Yと、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yとを有している。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラ32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラ34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
供給部31aYと回収部31bYとの境界には、壁状の仕切31cYが設けられている。仕切31cYは、供給部31aYと回収部31bYとを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aYに過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cYを超えて供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。このため、供給部31aYの液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラ32Yに供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
連通部35Yを現像剤攪拌ローラ34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤攪拌ローラ34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラ32Yに安定して現像剤を供給できる。
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層を形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤回収部24Yとを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y内に回収される。
また、液体現像剤混合槽93Yには、回収部31bYで回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M、93C、93Kも同様である。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、本発明の製造方法では、任意の工程を追加することができる。例えば、前述した実施形態では、乾燥工程で得られた粒子(着色樹脂粒子)をそのままトナー粒子とするものとして説明したが、乾燥工程での処理が施された粒子(着色樹脂粒子)に対して外添剤を付与する外添剤付与工程を追加してもよい。
また、前述した実施形態では、画像形成装置として、コロナ放電器を有する構成について説明したが、コロナ放電器は無くてもよい。
以下のようにして、液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
[分散液準備工程(水系分散液準備工程)]
(着色剤マスター溶液の調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g):60重量部を用意した。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
(樹脂溶液調製工程)
上記着色剤マスターバッチ:90重量部にメチルエチルケトン:200重量部、前記ポリエステル樹脂:159重量部、ロジン変性ポリエステル樹脂(荒川化学工業社製、商品名「トラフィックス4102」、酸価:15mgKOH/g、軟化点:98−108℃、重量平均分子量:1600):51重量部を高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)で混合し、乳化剤としてのネオゲンSC−F(第一工業製薬社製):1.38重量部を加えて樹脂溶液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
次いで容器内の樹脂溶液に1.7当量(原料としての樹脂材料が有する酸性基を中和するのに必要な量の1.7倍量)の1規定アンモニア水を加えて、高速分散機(プライミクス社製、T.K.ロボミクス/T.K.ホモディスパー2.5型翼)により、攪拌翼の翼先端速度を7.5m/sとして十分に攪拌し、フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、その後攪拌翼の翼先端速度を14.7m/sとして攪拌を行いつつ、400重量部の脱イオン水を滴下し、さらに、攪拌を継続しながら、脱イオン水:100重量部を加えることにより、W/O乳化液を経由して、樹脂材料を含む分散質が分散したO/W乳化液としての乳化液を得た。
次に、乳化液(O/W乳化液)を、マックスブレンド翼を有した攪拌容器に移し、攪拌翼の翼先端速度を1.0m/sとして攪拌を行いながら乳化液(O/W乳化液)の温度を25℃とした。
次に、同様の温度、攪拌条件を保ちつつ、5.0%の硫酸ナトリウム水溶液:200重量部を滴下し、分散質の合一を行い、合一粒子の形成を行った。滴下後、合一粒子についての50%体積粒径Dv(50)[μm]が2.5μmに成長するまで攪拌を続けた。合一粒子のDv(50)が2.5μmになったら、脱イオン水:200重量部を添加し、合一を終了した。
次に、合一粒子を含む乳化液(O/W乳化液)を減圧環境下に置き、固形分含有量が23wt%となるまで有機溶媒を留去し、着色樹脂粒子のスラリー(分散液)を得た。
<第1の洗浄工程>
次に、スラリー(分散液)に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、着色樹脂粒子のウェットケーキ(着色樹脂粒子ケーキ)を得、このウェットケーキを水中に分散することにより、洗浄された着色樹脂粒子を含む分散液(水系分散液)を得た。
本工程では、固形分濃度が10wt%となるように着色樹脂粒子を水に分散させた際の分散液の25℃における電気伝導度が15μS/cmとなるように洗浄を行った。
<酸処理工程>
次に、洗浄された着色樹脂粒子を含む分散液(水系分散液)に、1N塩酸を加えることにより、水素イオン指数(pH)を4.0に調整した。
次に、トナー粒子が分散した分散液に対し、固液分離を行い、さらに水中への再分散(リスラリー)、固液分離を繰り返し行うことによる洗浄処理を施した。その後、吸引ろ過法により、トナー粒子のウェットケーキ(トナー粒子ケーキ)を得た。このようにして得られたウェットケーキの含水率は35wt%であった。
本工程では、固形分濃度が10wt%となるように着色樹脂粒子を水に分散させた際の分散液の25℃における電気伝導度が18μS/cmとなるように洗浄を行った。
その後、真空乾燥機を用いて、得られたウェットケーキを乾燥することにより、トナー粒子を得た。
<絶縁性液体中分散工程>
上記の方法で得られたトナー粒子:37.5重量部、絶縁性液体として菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」)(25℃における粘度:60mPa・s):150重量部、分散剤としてDisperbyk−140(ビックケミー社製)4重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:1mm)を体積充填率85%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで24時間分散を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
また、得られた液体現像剤の25℃における粘度は、55mPa・sであった。
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
樹脂材料の種類・条件、酸処理工程、第1の洗浄工程、第2の洗浄工程の処理条件等を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。なお、表1中、酸処理工程の処理条件としては、酸処理工程での分散液の水素イオン指数(pH)を示し、第1の洗浄工程の処理条件としては、当該工程により得られた着色樹脂粒子を固形分濃度が10wt%となるように水に分散させた際の分散液の25℃における電気伝導度を示し、第2の洗浄工程の処理条件としては、当該工程により得られた着色樹脂粒子を固形分濃度が10wt%となるように水に分散させた際の分散液の25℃における電気伝導度を示した。
実施例1〜11では、乾燥工程後においてもトナー粒子が強固に凝集することなく、絶縁性液体中にトナーを投入すると速やかに拡散し、トナー粒子が均一に分散した液体現像剤を得ることができた。
樹脂材料の種類、酸処理工程の処理条件を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。なお、比較例2および比較例4においては、乾燥工程後に、トナー粒子の凝集が顕著に発生した。このため、トナー粒子の凝集体の解砕を試みたが、十分に解砕(微粒子化)することができなかった。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[2.1]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラに現像バイアスとして直流−300Vを印加、感光体の表面電位を−500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を−50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が96%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上96%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の感光体上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、液体現像剤層が感光体と中間転写部との間を通過した後の、感光体上のトナー粒子と、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :転写効率が96%以上であり、転写効率に特に優れる。
B :転写効率が90%以上96%未満であり、転写効率に優れる。
C :転写効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :転写効率が80%よりも小さく、転写効率に劣る。
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成し、熱定着ローラの設定温度を100℃として、熱定着を行った。
A :画像濃度残存率が96%以上(非常に良い)。
B :画像濃度残存率が90%以上96%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
[2.4.1]方法1
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω2(rω2=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)2×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、上記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
A:0≦k<0.004
B:0.004≦k<0.008
C:0.008≦k<0.012
D:k≧0.012
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を用いて、それぞれ、図1、図2に示すような画像形成装置により、所定パターンの画像を10000枚の記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。この画像形成は、各色の回収部に回収された液体現像剤が対応する各色の液体現像剤混合槽へと供給されるのを停止した状態で行った。10000枚の記録紙への画像形成を行った後、固形分含有率が20wt%となるように、回収部に回収された液体現像剤を絶縁性液体で希釈することにより再生した液体現像剤(リサイクル液体現像剤)について、以下に述べるような2種類の方法(方法1、方法2)のよる試験を行い、リサイクルについての適応性(リサイクル性)を評価した。
各実施例および各比較例についてのリサイクル液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが1mm以下。
B :沈降した深さが1mmよりも大きく、3mm以下。
C :沈降した深さが3mmよりも大きく、6mm以下。
D :沈降した深さが6mmよりも大きい。
各実施例および各比較例についてのリサイクル液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω2(rω2=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)2×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、上記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
B:0.006≦k<0.010
C:0.010≦k<0.014
D:k≧0.014
これらの結果を、トナー粒子の平均粒径、前記式(I)で表されるトナー粒子の粒度分布の幅Sの値)とともに表2に示す。
Claims (11)
- 塩基性物質との間で塩構造をなしている酸性基を備え、前記塩基性物質との間で塩を形成していない酸性物質の状態にした場合における酸価が9.2〜20mgKOH/gである樹脂材料と、着色剤と、前記樹脂材料を溶解する有機溶媒とを含む分散質が、水系分散媒に分散してなる乳化液を調製する乳化液調製工程と、
前記乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、着色樹脂粒子を得る有機溶媒除去工程と、
前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第1の洗浄工程と、
洗浄された前記着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0に調整された酸性分散液を得る酸処理工程と、
前記酸処理が施された前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第2の洗浄工程と、
前記第2の洗浄工程に供された前記着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程と、を有し、
前記乳化液を調製する際の前記塩基性物質の使用量が、前記樹脂材料が有する全ての酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍量であることを特徴とする液体現像剤用トナーの製造方法。 - 前記第2の洗浄工程では、固形分濃度が10wt%となるように前記着色樹脂粒子を水に分散させた際の分散液の25℃における電気伝導度が50μS/cm以下となるように、前記着色樹脂粒子の洗浄を行う請求項1に記載の液体現像剤用トナーの製造方法。
- 前記乳化液は、前記樹脂材料が前記有機溶媒に溶解した樹脂溶液中に水系液体を添加することにより調製したものである請求項1または2に記載の液体現像剤用トナーの製造方法。
- 前記第1の洗浄工程では、固形分濃度が10wt%となるように前記着色樹脂粒子を前記水系液体に分散させた分散液の25℃における電気伝導度が50μS/cm以下となるように、前記着色樹脂粒子の洗浄を行う請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体現像剤用トナーの製造方法。
- 液体現像剤用トナーの平均粒径が0.5〜3.0μmである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体現像剤用トナーの製造方法。
- 下記式(I)で表されるトナー粒子の粒度分布の幅Sが1.4以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体現像剤用トナーの製造方法。
S=〔D(90)−D(10)〕/D(50) ・・・ (I)
(ただし、トナー粒子を小さい粒径から粒度分布の測定をした場合に、累積体積にて全体の体積のX%の地点での粒径をD(X)とする。) - 塩基性物質との間で塩構造をなしている酸性基を備え、前記塩基性物質との間で塩を形成していない酸性物質の状態にした場合における酸価が9.2〜20mgKOH/gである樹脂材料と、着色剤と、前記樹脂材料を溶解する有機溶媒とを含む分散質が、水系分散媒に分散してなる乳化液を調製する乳化液調製工程と、
前記乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、着色樹脂粒子を得る有機溶媒除去工程と、
前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第1の洗浄工程と、
洗浄された前記着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0に調整された酸性分散液を得る酸処理工程と、
前記酸処理が施された前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第2の洗浄工程と、
前記第2の洗浄工程に供された前記着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程とを有し、
前記乳化液を調製する際の前記塩基性物質の使用量が、前記樹脂材料が有する全ての酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍量である方法を用いて製造されたことを特徴とする液体現像剤用トナー。 - 塩基性物質との間で塩構造をなしている酸性基を備え、前記塩基性物質との間で塩を形成していない酸性物質の状態にした場合における酸価が9.2〜20mgKOH/gである樹脂材料と、着色剤と、前記樹脂材料を溶解する有機溶媒とを含む分散質が、水系分散媒に分散してなる乳化液を調製する乳化液調製工程と、
前記乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、着色樹脂粒子を得る有機溶媒除去工程と、
前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第1の洗浄工程と、
洗浄された前記着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0に調整された酸性分散液を得る酸処理工程と、
前記酸処理が施された前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第2の洗浄工程と、
前記第2の洗浄工程に供された前記着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程と、
前記着色樹脂粒子を絶縁性液体中に分散させる絶縁性液体中分散工程とを有し、
前記乳化液を調製する際の前記塩基性物質の使用量が、前記樹脂材料が有する全ての酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍量であることを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - 前記絶縁性液体は、主として植物油で構成されたものである請求項8に記載の液体現像剤の製造方法。
- 塩基性物質との間で塩構造をなしている酸性基を備え、前記塩基性物質との間で塩を形成していない酸性物質の状態にした場合における酸価が9.2〜20mgKOH/gである樹脂材料と、着色剤と、前記樹脂材料を溶解する有機溶媒とを含む分散質が、水系分散媒に分散してなる乳化液を調製する乳化液調製工程と、
前記乳化液中に含まれる分散質を合一させ、合一粒子を得る合一工程と、
前記合一粒子中に含まれる前記有機溶媒を除去し、着色樹脂粒子を得る有機溶媒除去工程と、
前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第1の洗浄工程と、
洗浄された前記着色樹脂粒子を水系液体に分散させ酸処理を行うことにより、水素イオン指数(pH)が3.0〜6.0に調整された酸性分散液を得る酸処理工程と、
前記酸処理が施された前記着色樹脂粒子を水系液体で洗浄する第2の洗浄工程と、
前記第2の洗浄工程に供された前記着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程と、
前記着色樹脂粒子を絶縁性液体中に分散させる絶縁性液体中分散工程とを有し、
前記乳化液を調製する際の前記塩基性物質の使用量が、前記樹脂材料が有する全ての酸性基を中和するのに必要な量の1.7〜3倍量である方法を用いて製造されたことを特徴とする液体現像剤。 - 色の異なる複数の液体現像剤を用いて、複数の前記液体現像剤に対応した単色像を形成する複数の現像部と、
複数の前記現像部で形成された複数の前記単色像が順次転写され、転写された複数の前記単色像を重ね合わせてなる中間転写像を形成する中間転写部と、
前記中間転写像を記録媒体に転写し、前記記録媒体上に未定着カラー画像を形成する2次転写部と、
前記未定着カラー画像を前記記録媒体上に定着する定着部とを有し、
前記液体現像剤が、請求項8または9に記載の方法により製造されたものであることを特徴とする画像形成装置。
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