JP2016143011A - 液体現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents

液体現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mgを超える場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤を提供する。【解決手段】キャリア液と、高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子と、を含有し、前記トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mg以下である液体現像剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像剤、現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、および画像形成装置に関する。
電子写真法等の静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により像保持体上に潜像(静電潜像)を形成し(潜像形成工程)、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある。)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある。)で静電潜像を現像し(現像工程)、転写工程、定着工程を経て可視化される。乾式現像方式で用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがある。
一方、湿式現像方式で用いられる液体現像剤は、絶縁性のキャリア液中にトナー粒子を分散させたものであり、揮発性のキャリア液中に熱可塑性樹脂を含むトナー粒子が分散されたタイプや、難揮発性のキャリア液中に熱可塑性樹脂を含むトナー粒子が分散されたタイプ等が知られている。
例えば、特許文献1には、少なくとも樹脂及び有色物質からなる有色粒子と、これの分散媒となる液体とを有する液体現像剤において、前記液体中における有色粒子の分散を促進する分散促進物質として、前記有色粒子とは逆極性の電荷を帯びるものを、1重量部の有色粒子に対して0.05以上20重量部以下の割合で前記液体中に含有させた液体現像剤が記載され、分散促進物質として、極性基としてカルボキシル基または水酸基を有し、グラフト部にシリコーンを含有するグラフト共重合体を用いることが記載されている。
特許文献2には、ロジン系樹脂を含有するトナー母粒子および水系分散媒を含む分散液を準備する分散液準備工程と、アミン系材料を前記分散液と混合し、前記トナー母粒子の表面を前記アミン系材料で化学修飾し、トナー粒子を得るアミン修飾工程と、前記トナー粒子を絶縁性液体中に分散させる絶縁性液体中分散工程と、を有する液体現像剤の製造方法が記載され、アミン修飾工程は、分散液のpHを3.5以上5.0以下に調整した状態で行うことが記載されている。
特許文献3には、絶縁性液体と、ロジン系樹脂を含む材料で構成されたトナー母粒子をポリアルキレンイミンで表面改質したトナー粒子とを含有する液体現像剤が記載され、トナー母粒子を含む水系分散液とポリアルキレンイミンとを混合し、水系分散液のpHを2以上8以下に調整した状態で表面改質を行うことが記載されている。
特許文献4には、酸性物質の状態にした場合における酸価が5.0以上20KOHmg/mg以下である樹脂材料と、着色剤と、前記樹脂材料を溶解する有機溶媒とを含む分散質が水系分散媒に分散してなる乳化液を調製し、乳化液中に含まれる分散質を合一させ、着色樹脂粒子を得た後、水系液体に分散させpH3.0以上6.0以下で酸処理を行う液体現像剤用トナーの製造方法が記載されている。
特開2004−302436号公報 特開2010−015104号公報 特開2010−025971号公報 特開2010−026075号公報
本発明の目的は、トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mgを超える場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤、その液体現像剤を用いる現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、および画像形成装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、キャリア液と、高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子と、を含有し、前記トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mg以下である液体現像剤である。
請求項2に係る発明は、前記高分子アミン類が、ポリアルキレンイミン類である、請求項1に記載の液体現像剤である。
請求項3に係る発明は、前記高分子アミン類が、下記一般式(I)で示されるポリアリルアミン類である、請求項1に記載の液体現像剤である。

(I)
(式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基を示し、aおよびbは、それぞれ独立して100以上1,000以下の整数を示す。)
請求項4に係る発明は、さらに、カルボキシル基含有シリコーン化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体現像剤である。
請求項5に係る発明は、前記カルボキシル基含有シリコーン化合物が、下記一般式(II)で示される化合物である、請求項4に記載の液体現像剤である。

(II)
(式(II)中、X、YおよびZは、それぞれ独立して水素原子またはカルボキシル基を示し、かつX、YおよびZのうち少なくとも一つは、カルボキシル基を示す。mは、1以上1,000以下の整数を示し、nは、1以上10以下の整数を示す。R、RおよびRは、それぞれ独立して単結合または炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体現像剤が収容されている現像剤カートリッジである。
請求項7に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体現像剤が収容されているプロセスカートリッジである。
請求項8に係る発明は、像保持体と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された前記潜像を、現像剤保持体の表面に保持された請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を前記記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、を備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によると、トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mgを超える場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤が提供される。
請求項2に係る発明によると、高分子アミン類がポリアルキレンイミン類ではない場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤が提供される。
請求項3に係る発明によると、高分子アミン類が上記一般式(I)で示されるポリアリルアミン類ではない場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤が提供される。
請求項4に係る発明によると、キャリア液中に、カルボキシル基含有シリコーン化合物を含まない場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤が提供される。
請求項5に係る発明によると、カルボキシル基含有シリコーン化合物が上記一般式(II)で示される化合物ではない場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤が提供される。
請求項6に係る発明によると、液体現像剤のトナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mgを超える場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤が収容されている現像剤カートリッジが提供される。
請求項7に係る発明によると、液体現像剤のトナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mgを超える場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤が収容されているプロセスカートリッジが提供される。
請求項8に係る発明によると、液体現像剤のトナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mgを超える場合と比較して、正帯電性に優れる液体現像剤を用いる画像形成装置が提供される。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<液体現像剤>
本実施形態に係る液体現像剤は、キャリア液と、高分子アミン類により表面処理された、スチレンアクリル樹脂を含むトナー粒子と、を含有し、トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mg以下である。
結着樹脂としてポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂等を含むトナー粒子をキャリア液中に分散させた液体現像剤が検討されているが、これらの樹脂は本質的に負に帯電する傾向が強い材料であるため、キャリア液中、特にシリコーンオイル中で液体現像剤を正に帯電させることが困難であった。本実施形態では、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂等の結着樹脂を含むトナー粒子をキャリア液中に分散してなる液体現像剤において、トナー粒子として高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子を用い、トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量を0.04mg以下に調整することにより、優れた正の帯電特性を有する液体現像剤が実現される。
本発明者らはこれまでに、高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子と、カルボキシル基含有シリコーン化合物とを含有させることで、キャリア液にシリコーンオイルを用いた場合でも良好な正帯電性の液体現像剤が得られることを提案した。しかし、トナーによって正帯電性にばらつきが生じる場合があり、その原因を究明している中で、高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子では、トナー粒子中のナトリウムイオンが正帯電に影響を与えていることを見出した。そして、トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量を0.04mg以下に調整することで正帯電性が向上することを見出した。
トナー粒子に含まれるナトリウムイオンは、例えば、結着樹脂由来のナトリウムイオン、またはトナー作製の際に使用した塩基または界面活性剤由来のナトリウムイオン等と考えられる。トナー粒子中のこれらのナトリウムイオン量を規定量以下にすることにより、安定した正帯電性が得られる。例えば、トナー粒子の表面改質を行う工程において、トナー粒子の分散液のpHを2未満、好ましくは1.5以下に調整して、高分子アミン類を添加し、撹拌、固液分離を行い、洗浄液の導電率が予め定めた値以下になるまで、水洗、固液分離を行うことによって、トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量を0.04mg以下に調整すればよい。
本実施形態に係る液体現像剤におけるトナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量は、0.04mg以下であり、0.03mg以下であることが好ましく、0.02mg以下であることがより好ましい。
トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量の定量法は以下の通りである。
トナー粒子の表面付近に存在するナトリウムイオンを水系分散媒中に溶出させ、イオンクロマトグラフィを用いて定量する。トナー粒子からのナトリウムイオンの溶出量は、溶出条件によって異なることから、30℃での28Hz超音波分散で30分間の抽出液をイオンクロマトグラフィ用分析試料として用いる。
(イオンクロマトグラフィ用分析試料の作製(前処理))
トナー粒子1.0gをノニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ノイゲンEA−137)0.1質量%溶液200mLに混合分散し、恒温槽で30±1.0℃に調整した超音波分散器(アズワン製、USD−4R)を用いて30分間抽出を行う。超音波処理した分散液を、あらかじめ超純水で洗浄したシリンジフィルタ(アドバンテック製、HP020AN)を用いてトナー粒子を分離し、イオンクロマトグラフィ分析用試料とした。
(イオンクロマトグラフィ分析)
イオンクロマトグラフ装置(日本ダイネクス製、ICS−2000)を用い、温度30℃、流速1mL/minの分析条件で、分析用溶離液として20mMメタンスルフォン酸溶液を用いる。溶出イオンの同定は、別途調製した標準液(Na)により求めた溶出時間から行う。また、この標準液により別途作成した検量線に従って定量を行う。イオン量は測定試料中の濃度(mg/L)で表示されるが、この値を1/5倍して、トナー粒子1g中から溶出されたナトリウムイオン量(mg)を求める。
以下、本実施形態に係る液体現像剤の構成成分について、詳細に説明する。
[トナー粒子]
本実施形態に係る液体現像剤に含まれるトナー粒子は、結着樹脂を含み、必要に応じて、着色剤、離型剤等のその他成分を含んでもよい。トナー粒子は、高分子アミン類により表面処理されたものである。高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子を用いることにより、液体現像剤に正帯電性が付与される。
高分子アミン類としては、ポリアルキレンイミン類、ポリアリルアミン類、ポリジアリルアミン類等が挙げられる。これらのうち、カチオン性が高く、正帯電化しやすい等の点から、ポリアルキレンイミン類、ポリアリルアミン類が好ましい。
ポリアルキレンイミン類としては、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
ポリアリルアミン類としては、下記一般式(I)で示されるポリアリルアミン類等が挙げられる。

(I)
(式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基を示し、aおよびbは、それぞれ独立して100以上1,000以下の整数を示す。)
およびRは、水素原子または炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基であり、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、直鎖または分岐のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
aおよびbは、それぞれ独立して1以上10,000以下の整数であり、5以上1,000以下の整数が好ましい。
トナー粒子に対する高分子アミン類の量は、例えば、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上100質量部以下の範囲であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲であることがより好ましい。トナー粒子に対する高分子アミン類の量がトナー粒子100質量部に対して0.01質量部未満であると、帯電性に劣る場合があり、100質量部を超えると、現像剤の導電率が高すぎて、かえって帯電性が低下する場合がある。
高分子アミン類の重量平均分子量は、100以上1,000,000以下の範囲であることが好ましく、1,000以上100,000以下の範囲であることがより好ましい。高分子アミン類の重量平均分子量が100未満であると、トナー表面への吸着性が低く、目的とする帯電性能が得られない場合があり、1,000,000を超えると、トナー粒子間の癒着が発生する場合がある。
(結晶性ポリエステル樹脂)
本実施形態におけるトナーは、結着樹脂として、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを含有することが好ましい。ここで、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂の示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の点およびベースラインからの立ち下がり部の平坦部の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより求められる。一方、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱量変化が認められる樹脂は、「非晶性樹脂」を意味し、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。また、「非晶性樹脂」は、示差走査熱量測定(DSC)において、ガラス転移に対応した階段状の吸熱点の他に、結晶融点に対応した吸熱ピークを示さない。
結晶性ポリエステル樹脂を構成する重合性単量体成分としては、結晶構造を容易に形成するため、芳香族成分を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族成分を有する重合性単量体が好ましい。さらに結晶性を損なわないために、構成される重合性単量体由来成分は、重合体中、単一種で各々30mol%以上であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂においては、2種以上の重合性単量体類で構成されるが、各構成重合性単量体種において同上の構成であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下の範囲にあることが好ましく、55℃以上90℃以下の範囲にあることがより好ましく、60℃以上85℃以下の範囲にあることがさらに好ましい。融解温度が50℃を下回ると、保管トナーにブロックキングが生じる等のトナー保管性や、定着後の定着画像の保管性が困難となる場合がある。また、融解温度が100℃を超える場合では十分な低温定着性が得られない場合がある。なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求める。
本実施形態において「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造であるポリマ以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合したポリマ(共重合体)も意味する。ただし、後者の場合には、ポリマ(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記結晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;等が挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、多価カルボン酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていてもよい。さらに、多価カルボン酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下してしまう場合がある。また、主鎖部分の炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融解温度が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、主鎖部分の炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。脂肪族ジオールの含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性および、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて酸価や水酸基価の調製等の目的で、多価カルボン酸や多価アルコールを合成の最終段階で添加してもよい。多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸類等が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下として行われ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。重合性単量体が反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行ってもよい。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
前記ポリエステル樹脂の製造の際に使用される触媒としては、例えば、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、6.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下の範囲にあることがより好ましく、8.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下の範囲にあることがさらに好ましい。
酸価が3.0mgKOH/gよりも低いと水中への分散性が低下するため、湿式製法での乳化粒子の作製が困難となる場合がある。また凝集の際における乳化粒子としての安定性が著しく低下するため、効率的なトナーの作製が困難になる場合がある。一方、酸価が30.0mgKOH/gを超えると、トナーとしての吸湿性が増してしまい、トナーとしての環境影響を受けやすくなることがある。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下の範囲であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が6,000未満であると、定着の際にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込んで定着ムラを生じたり、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下したりする場合がある。また、重量平均分子量(Mw)が35,000を超えると、溶融時の粘度が高くなりすぎて定着に適当な粘度まで至るための温度が高くなることがあり、結果として低温定着性が損なわれる場合がある。
上記重量平均分子量の測定は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
トナーにおける結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、3質量%以上40質量%以下の範囲であることが好ましく、4質量%以上35質量%以下の範囲であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下の範囲であることがさらに好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の含有量が3質量%未満であると、十分な低温定着性が得られない場合があり、40質量%より多いと、十分なトナー強度や定着画像強度が得られず、また帯電性への悪影響も生じてしまう場合がある。
以上の結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性樹脂は、脂肪族重合性単量体を用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」という場合がある)を主成分(50質量%以上)とすることが好ましい。さらにこの場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族重合性単量体の構成比は、60mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。なお、脂肪族重合性単量体としては、前述の脂肪族のジオール類やジカルボン酸類が好適に用いられる。
(非晶性ポリエステル樹脂)
非晶性ポリエステル樹脂としては公知のポリエステル樹脂を使用すればよい。非晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、前記非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。また非晶性ポリエステル樹脂は、1種の非晶性ポリエステル樹脂でも構わないが、2種以上のポリエステル樹脂の混合物であっても構わない。
非晶性ポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸および多価アルコールは特に限定はなく、例えば、「高分子データハンドブック:基礎編」(高分子学会編、培風館)に記載されているモノマ成分であり、従来公知の2価または3価以上のカルボン酸と、2価または3価以上のアルコールとがある。
これらの重合性単量体成分の具体例としては、2価のカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スべリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物のうち、ポリエステル樹脂のガラス転移温度と分子の屈曲性のバランスからテレフタル酸を、酸成分のうち30モル%以上含むことが好ましい。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、およびこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、2価のアルコールとして、例えば、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物等のビスフェノール誘導体;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の環状脂肪族アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の線状ジオール;1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等の分岐型ジオール;等が挙げられ、帯電性や強度の観点からビスフェノールAのエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物が好適に用いられる。
また、3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられるが、低温定着性や画像光沢性の観点から、3価以上の架橋性単量体の使用量は全単量体量の10モル%以下であることが好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用してもよい。
これらの中でも、結晶性ポリエステル樹脂との相溶性を向上させるために、1,2−ヘキサンジオールやアルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、およびそれらの無水物等の長鎖アルキル側鎖(側鎖の炭素数4以上)を持つモノマを2モル%以上30モル%以下含むモノマ成分とすることが好ましい。中でも疎水性の高いアルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、およびそれらの無水物を含むことが好ましい。
好ましく用いられる非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものが挙げられる。多価カルボン酸の例としては、前述の結晶性ポリエステル樹脂に例示したものと同じである。
前記非晶性ポリエステル樹脂における多価アルコールの例としては、前述の結晶性ポリエステル樹脂に例示したものと同じである。
前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下の範囲であることが好ましい。Tgが50℃より低いと、トナーの保存性や定着画像の保存性の観点で問題が生じてしまう場合がある。また80℃より高いと、従来に比べ低温で定着されなくなる場合がある。
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂の製造は、前記結晶性ポリエステル樹脂の場合に準じて行われる。
結着樹脂の軟化温度(フローテスター1/2降下温度)は、画像の定着性を良好にする観点から、90℃以上140℃以下が好ましく、100℃以上135℃以下がより好ましく、100℃以上120℃以下がさらに好ましい。
また結着樹脂は、テトラヒドロフランに可溶であることが好ましい。ここで、テトラヒドロフランに可溶とは、結着樹脂1gを、テトラヒドロフラン10mlに加え、25℃において超音波分散器にて5分間分散させたとき、テトロヒドロフランに溶解することをいう。
本実施形態におけるトナーは、結着樹脂として、主成分としてスチレンアクリル樹脂を含んでもよい。主成分とは、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して50質量部以上のことをいう。
スチレンアクリル樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体、またはスチレン系単量体とアクリル系単量体と他の1つ以上のビニル系単量体との共重合体である。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等が挙げられ、1種のみ用いてもよいし、2種以上の単量体を併用してもよい。
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの他、アクリル酸2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェート等が挙げられ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルのいずれかまたは両方であることを意味する。
ビニル系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系単量体、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル系単量体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸およびそのモノエステル誘導体またはジエステル誘導体;コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量Mwは100,000以上1,000,000以下の範囲であることが好ましい。スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量Mwが100,000未満であると、トナー粒子の強度、または定着後の画像の強度が不十分な場合があり、1,000,000を超えると、定着性に劣る場合がある。
スチレンアクリル樹脂が分子中に酸性基を有することが好ましい。スチレンアクリル樹脂が分子中に酸性基を有することにより、トナーの表面に高分子アミン類が付着しやすくなり、正帯電性により優れると考えられる。酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
スチレンアクリル樹脂の酸価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下の範囲が好ましく、5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下の範囲がより好ましい。スチレンアクリル樹脂の酸価が1mgKOH/g未満であると、正帯電化が不十分な場合があり、50mgKOH/gを超えると帯電性がかえって低下する場合がある。
本実施形態に係るトナーにおいて、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂以外の樹脂を含んでもよい。スチレンアクリル樹脂以外の樹脂としては特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して80質量%以上95質量%以下の範囲である。
前記トナー粒子は、結着樹脂のほかに、着色剤、必要に応じて、ワックス、荷電制御剤、シリカ粉末、金属酸化物等他の添加剤を含有していてもよい。なお、これら添加剤は、結着樹脂に混練する等して内添してもよいし、粒子としてトナーを得たのち混合処理を施す等して外添してもよい。
本実施形態において用いられる着色剤としては、公知の顔料または染料を用いればよい。具体的には、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各顔料が好適に用いられる。
イエローの顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物等に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、185、191等の顔料が好適に用いられる。中でもC.I.ピグメントイエロー151、180、185等は色再現性に優れていること、ハロゲンを含まないことにおいて優れている。
マゼンタの顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254等の顔料が好適に用いられる。中でもキナクリドン顔料のC.I.ピグメントレッド122は色再現性に優れていること、ハロゲンを含まないことにおいて優れている。
シアンの顔料としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等の顔料が好適に用いられる。これらの中でもC.I.ピグメントブルー15:3は色再現性に優れていること、ハロゲンを含まないことにおいて優れている。
黒の顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、鉄黒等が好適に用いられる。
着色剤の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して5質量%以上20質量%以下の範囲である。
離型剤としては、特に制限はなく、例えば、カルナバワックス、サトウワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックス、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックス等の動物性ワックス;エステルを側鎖に有するフィッシャートロプシュワックス(FTワックス)、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス;等が挙げられる。これらの中でも、分散性の点では、エステルを側鎖に有すFTワックスやポリエチレンワックスが好ましい。ワックスは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
離型剤の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して0.1質量%以上10質量%以下の範囲である。
荷電制御剤としては、特に制限はなく、従来公知の荷電制御剤を使用すればよい。例えば、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、アミド系化合物、イミド系化合物、有機金属化合物等の正帯電性荷電制御剤;オキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、金属錯塩染料やサリチル酸誘導体等の負帯電性荷電制御剤;等が挙げられる。荷電制御剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(トナー粒子の製造方法)
前記トナー粒子は、従来公知の粉砕トナー、液中乳化乾燥トナー、もしくは液中沈殿からの粉砕トナー、あるいは乳化粒子の凝集合一を伴ういわゆるケミカルトナーの製造方法で製造すればよい。液体現像剤として使用する場合は、必要に応じて上記で得られたトナーをキャリアオイル中に分散させ、ボールミル、アトライター等の粉砕機で粉砕してさらにトナー粒径を小さくしてもよい。
例えば、結着樹脂およびワックス、必要に応じて着色剤、他の添加剤等をヘンシェルミキサ等の混合装置に投入して混合し、この混合物を二軸押出機等で溶融混練した後、ドラムフレーカ等で冷却し、ハンマーミル等の粉砕機で粗粉砕し、さらにジェットミル等の粉砕機で微粉砕した後、風力分級機等を用いて分級することにより、粉砕トナーが得られる。
また、結着樹脂およびワックス、必要に応じて着色剤、他の添加剤等を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、炭酸カルシウム等の分散安定剤が添加された水中に乳化、懸濁し、溶剤を除去した後、分散安定剤を除去して得られた粒子を濾過、乾燥することによって液中乳化乾燥トナーが得られる。
結着樹脂およびワックス、必要に応じて着色剤、他の添加剤等をテトラヒドロフラン(THF)、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶剤に溶解し、アルコール等の貧溶媒中に滴下し析出沈殿した後、沈殿物を濾過、乾燥し、その後は上記粉砕トナーのように粉砕分級することによってトナーを得てもよい。
また、結着樹脂を形成する重合性単量体、着色剤、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、イソプロピルパーオキシカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等)および他の添加剤等を含有する組成物を水相中に撹拌下で加えて造粒し、重合反応後、粒子を濾過、乾燥することによって、重合トナーを得てもよい。
溶剤に溶解したトナー構成材料を貧溶媒中で転相乳化し、この乳化物を凝集剤あるいは塩類で凝集させ造粒し、溶剤を除去する方法、トナー構成材料の各乳化物を混合し、凝集剤あるいは塩類で凝集させ粒子を得る方法も挙げられる。
なお、トナーを得る際の各材料(結着樹脂、ワックス、着色剤、その他の添加剤等)の配合割合は、特に限定されるものではなく、従来公知の技術を以って適宜設定すればよい。液体現像剤にする場合は、得られたトナーは、ボールミル、ビーズミル、高圧湿式微粒化装置等の公知の粉砕装置を用いて、キャリアオイル中で微粉砕することにより液体現像剤用トナー粒子とすればよい。
本実施形態において、高分子アミン類による表面処理する場合に、高分子アミン類による表面処理の容易さ等の点から、トナー粒子が、結着樹脂を含む樹脂粒子および着色剤粒子を含有する分散液を水性媒体中で凝集させることにより得られたトナー粒子であることが好ましい。高分子アミン類は水溶性高分子であるので、液中で造粒する湿式製法では乾燥工程前の水洗浄後等にそのまま高分子アミン類をトナー粒子表面に吸着すればよい。
(トナー粒子の特性)
トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。上記範囲内であることで、付着力が高く、現像性の向上が図られる。また、画像の解像性の向上も図られる。トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.8μm以上4.0μm以下の範囲であることがより好ましく、1.0μm以上3.0μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
トナー粒子の体積平均粒径D50v、数平均粒度分布指標(GSDp)、体積平均粒度分布指標(GSDv)等は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置、例えば、LA920(堀場製作所社製)を用いて測定される。粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒子径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒子径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒子径を体積D84v、数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
[キャリア液]
キャリア液は、トナー粒子を分散させるための絶縁性の液体であり、特に制限はないが、シリコーンオイルを主成分とする絶縁性液体が好ましい。シリコーンオイル単独でも構わないし、その他の絶縁性液体との混合液でも構わない。シリコーンオイルとしては、KF96(信越シリコン製)、SH200、SH344(以上、東レシリコン製)、TSF451(東芝シリコン製)等が挙げられる。また、混合可能な液体はとしては、特に制限はないが、例えば、パラフィンオイル等の脂肪族系炭化水素溶媒(市販品では、松村石油社製モレスコホワイトMT−30P、モレスコホワイトP40、モレスコホワイトP70、エクソン化学社製アイソパーL、アイソパーM等)、ナフテン系オイル等の炭化水素系溶媒(市販品では、エクソン化学社製エクソールD80,エクソールD110、エクソールD130、日本石油化学社製ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、Newナフテゾール160、Newナフテゾール200、Newナフテゾール220、NewナフテゾールMS−20P等)が挙げられ、それらの中に、トルエン等の芳香族化合物を含有させてもよい。なお、「シリコーンオイルを主成分とする」とは、キャリア液中シリコーンオイルを50質量%以上含むことをいう。
キャリア液の体積抵抗率としては、例えば1.0×1010Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下の範囲が挙げられ、1.0×1010Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下の範囲であってもよい。
キャリア液の粘度としては25℃における定常せん断粘度で1mPas以上100mPas以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは1mPas以上80mPas以下の範囲、さらに好ましくは1mPas以上60mPas以下の範囲である。定常せん断粘度が1mPasより小さくなると、シリコーンオイル等の分子量が低くなる場合がある。また、定常せん断粘度が100mPasよりも大きくなると、このキャリアオイルを用いた現像剤の粘度が高くなるため、所要の特性が得られなくなる場合がある。
キャリア液は、各種副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を含んでいてもよい。
本実施形態に係る液体現像剤は、カルボキシル基含有シリコーン化合物を含有することが好ましい。結着樹脂を含むトナー粒子をキャリア液中に分散してなる液体現像剤において、トナー粒子として高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子を用い、かつカルボキシル基含有シリコーン化合物を含有させることにより、より優れた正の帯電特性を有する液体現像剤が実現される。
カルボキシル基含有シリコーン化合物としては、下記式(II)で示される化合物等が挙げられる。下記一般式(II)で示される化合物は、カチオン性が高く、正帯電化しやすい。

(II)
(式(II)中、X、YおよびZは、それぞれ独立して水素原子またはカルボキシル基を示し、かつX、YおよびZのうち少なくとも一つは、カルボキシル基を示す。mは、1以上1,000以下の整数を示し、nは、1以上10以下の整数を示す。R、RおよびRは、それぞれ独立して単結合または炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
式(II)において、X、YおよびZのうち一つがカルボキシル基であっても、X、YおよびZのうち二つがカルボキシル基であっても、X、YおよびZの全てがカルボキシル基であってもよい。
式(II)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して単結合または炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、単結合または炭素数3以上12以下の2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等が挙げられ、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基等が好ましい。
式(II)において、mは、1以上1,000以下の整数であり、5以上100以下の整数が好ましい。式(II)において、nは、1以上10以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましい。
液体現像剤中のカルボキシル基含有シリコーン化合物の量は、例えば、液体現像剤100質量部に対して0.001質量部以上10質量部以下の範囲であることが好ましく、0.01質量部以上1質量部以下の範囲であることがより好ましい。液体現像剤に対するカルボキシル基含有シリコーン化合物の量が液体現像剤100質量部に対して0.001質量部未満であると、帯電性に劣る場合があり、10質量部を超えると、導電性が高くなりすぎて、かえって帯電性が低下する場合がある。
カルボキシル基含有シリコーン化合物の重量平均分子量は、100以上100,000以下の範囲であることが好ましく、1,000以上10,000以下の範囲であることがより好ましい。カルボキシル基含有シリコーン化合物の重量平均分子量が100未満であると、液体現像剤との相溶性が十分でない場合があり、100,000を超えると、現像剤の定着性を阻害する場合がある。
[液体現像剤の製造方法]
本実施形態に係る液体現像剤は、上記トナー粒子とキャリア液とを、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ビーズミル等の分散機を用いて混合し、粉砕して、トナー粒子をキャリア液中に分散することにより得られる。なお、トナー粒子のキャリア液中への分散は分散機に限られず、ミキサーのような、特殊な撹拌羽根を高速で回転させ分散してもよいし、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散してもよいし、超音波によって分散してもよい。
キャリア液中のトナー粒子の濃度は、現像剤の粘度を適性に制御し、現像機内の現像液循環を円滑にする等の観点から、0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることが好ましく、1質量%以上30質量%以下の範囲とすることがより好ましい。
その後、得られた分散液を、例えば孔径100μm程度の膜フィルタ等のフィルタ等を用いて濾過し、ゴミおよび粗大粒子等を除去してもよい。
<現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、像保持体の表面に潜像(静電潜像)を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像を、現像剤保持体の表面に保持された上記本実施形態に係る液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、を備える。
また、本実施形態に係る画像形成方法は、例えば、像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、像保持体の表面に形成された潜像を、現像剤保持体の表面に保持された上記本実施形態に係る液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着工程と、を含む方法である。
上記画像形成装置において、例えば現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。このプロセスカートリッジとしては、上記本実施形態に係る液体現像剤が収容されているものであればよく、特に制限はない。プロセスカートリッジは、例えば、上記本実施形態に係る液体現像剤を収容し、像保持体上に形成された潜像を液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるものである。
また、本実施形態に係る現像剤カートリッジは、上記本実施形態に係る液体現像剤が収容されているものであればよく、特に制限はない。現像剤カートリッジは、例えば、上記本実施形態に係る液体現像剤を収容し、像保持体上に形成された潜像を液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備える画像形成装置に着脱されるものである。
以下、本実施形態における、液体現像剤を用いた画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置100は、感光体(像保持体)10と、帯電装置(帯電手段)20と、露光装置(潜像形成手段)12と、現像装置(現像手段)14と、中間転写体(転写手段)16と、クリーナ(清掃手段)18と、転写定着ローラ(転写手段、定着手段)28とを含んで構成される。感光体10は円筒形状を有し、感光体10の外周に、帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、および、クリーナ18が順次に設けられている。
以下、この画像形成装置100の動作について説明する。
帯電装置20が感光体10の表面を予め定められた電位に帯電させ(帯電工程)、帯電された表面を画像信号に基づき、露光装置12が、例えばレーザ光線等によって露光して潜像(静電潜像)を形成する(潜像形成工程)。
現像装置14は、現像ローラ14aと現像剤収納容器14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤収納容器14bに収納される液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられる。液体現像剤24は、絶縁性のキャリア液と、結着樹脂を含むトナー粒子と、上記帯電制御剤とを含む。
液体現像剤24中では、トナー粒子は分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤収納容器14b内に設けられる撹拌部材によって撹拌し続けることで、液体現像剤24中のトナー粒子の濃度の位置ばらつきは低減される。これにより図の矢印A方向に回転する現像ローラ14aには、トナー粒子の濃度バラツキが低減された液体現像剤24が供給される。
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、規制部材によって一定の供給量に制限された状態で感光体10に搬送され、現像ローラ14aと感光体10とが近接(あるいは接触)する位置で静電潜像に供給される。これによって静電潜像は顕像化されてトナー像26となる(現像工程)。
現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する感光体10に搬送され、用紙(記録媒体)30に転写されるが、本実施形態では、用紙30に転写する前に、感光体10からのトナー像の剥離効率を含めた記録媒体への転写効率を向上させ、さらに記録媒体への転写と同時に定着を行うため、一旦中間転写体16にトナー像を転写する(中間転写工程)。このとき、感光体10および中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写定着ローラ28との接触位置において用紙30に転写されると共に定着される(転写工程、定着工程)。転写定着ローラ28は、中間転写体16と共に用紙30を挟み、中間転写体16上のトナー像を用紙30に密着させる。これによって用紙30にトナー像を転写し、用紙上にトナー像が定着され、定着画像29となる。トナー像の定着は、転写定着ローラ28に発熱体を設けて加圧および加熱により行うことが好ましい。定着温度は、通常、120℃以上200℃以下の範囲である。
中間転写体16が図1に示すようにローラ形状であれば、転写定着ローラ28とローラ対を構成するため、中間転写体16、転写定着ローラ28が各々定着装置における定着ローラ、押圧ローラに準じた構成となって定着機能を発揮する。すなわち、用紙30が中間転写体16と転写定着ローラ28との間で形成されるニップを通過する際、トナー像が転写されると共に転写定着ローラ28により中間転写体16に対して加熱および押圧される。これにより、トナー像を構成するトナー粒子中の結着樹脂が軟化すると共に、トナー像が用紙30の繊維中に浸潤して、用紙30に定着画像29が形成される。
本実施形態では用紙30への転写と同時に定着を行っているが、転写工程と定着工程とを別々として、転写を行った後に定着を行ってもよい。この場合には、感光体10からトナー像を転写する転写ローラが、中間転写体16に準じた機能を有することとなる。
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した感光体10では、転写されずに残留したトナー粒子がクリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。なお、転写効率が100%に近く、残留トナーが問題とならない場合は、クリーナ18は設けなくてもよい。
画像形成装置100は、さらに、転写後かつ次の帯電までに感光体10の表面を除電する除電装置(図示せず)を備えていてもよい。
画像形成装置100に備えられる帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、および、クリーナ18等は、例えば、すべてが感光体10の回転速度と同期をとって動作されてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(液体現像剤の調製)
スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製、スチレン−アクリル酸樹脂(モル比60:40)、重量平均分子量:380,000)60質量部にシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、クラリアント(株)製)40質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、シアン顔料マスターバッチを作製した。
次に以下の組成の混合物をボールミルで24時間溶解、分散した。
スチレンアクリル樹脂(藤倉化成(株)製、スチレン−アクリル酸n−ブチル樹脂(モル比60:40)、重量平均分子量:320,000、酸価10mgKOH/g):75質量部
上記シアン顔料マスターバッチ:25質量部
酢酸エチル:100質量部
樹脂の酸価は、10mgの試料をトルエン50mLに溶解し、0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用いて、予め標定されたN/10水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、N/10水酸化カリウム/アルコール溶液の消費量から算出した。
一方、塩化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)20質量部をイオン交換水135質量部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)20質量部を加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。この分散媒体170質量部に前記混合物100質量部を投入して、乳化装置(IKA社製、ウルトラタックスT−50)を用いて10000rpmで3分間乳化して懸濁液を得た。撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を付けたセパラブルフラスコに上記懸濁液を入れ、窒素導入管より窒素を流入しながら、35℃で3時間撹拌して酢酸エチルを留去した。その後20℃で冷却し、混合物に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離機により固液分離を行った。得られた粒子を1000質量部のイオン交換水で再分散し、再度遠心分離を行った。この操作をあと2回繰り返して洗浄を行い、40℃で真空乾燥してトナー母材粒子を得た。このトナー母材粒子をジェットミルで粉砕し、体積平均粒径4.0μmのトナー粒子を得た。
(トナー粒子の表面改質)
乾燥トナー粒子150質量部に、イオン交換水780質量部、カチオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1、固形分濃度45質量%)10質量部、10質量%の炭酸ナトリウム水溶液60質量部を加え、ウルトラタックスT−50で水中に分散した。トナー粒子懸濁液から遠心分離でトナー粒子を分離し、得られた粒子を1000質量部のイオン交換水に再分散し、再度遠心分離を行った。この操作をあと2回繰り返して洗浄を行い、得られたトナー粒子100質量部をイオン交換水900質量部に加え分散液(固形分濃度15質量%)を調製した。この分散液に1N塩酸を添加してpH1.5に調整して、10分間撹拌した後、ポリエチレンイミン(純正化学社製:重量平均分子量70000、固形分濃度30質量%)の5質量部を添加し、60分間撹拌した。
この後、遠心分離により固液分離を行い、上澄み液を捨て、余分なポリエチレンイミンを除去した。洗浄液の導電率が20μS/cm以下となるまで、イオン交換水添加、10分間の撹拌、遠心分離を繰り返した。ろ紙(アドバンテック社製、No4A)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄した後、35℃で24時間乾燥し(水分率0.5質量%)、解砕して、体積平均粒径4.0μmのトナー粒子を得た。このトナーのナトリウムイオン量はトナー粒子1gに対し0.038mgであった。
(現像剤作製)
得られた表面改質トナー粒子100質量部をパラフィンオイル(松村石油研究所製、P−40)233質量部と混合して固形分濃度30質量%の液体現像剤を作製した。
<帯電特性の評価>
(帯電極性)
5cm×1cmに加工したITO付ガラス基板(EHC社製:100Ω/□)2枚を、絶縁スペーサとしてナフロンシート(アズワン社製:1cm×1cm×1.0mm)を挟んで、電極面が内向きになるように固定した。ディスポーザブルセル(アズワン社製:12×12×45mm)に液体現像剤サンプル1mLを入れ、上記の電極基板を浸漬して、250Vの直流電圧を30秒間印加し、電圧を印加したままの状態で電極を引き上げて、正極および負極のITO電極面の粒子の付着状態を観察して、帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。なお下記で帯電特性が±を示すものは、正極性の粒子および負極性の粒子が同程度混在していることを示しており、このような特性を示す現像剤は実際のシステムにおいて明画像部でカブリを生じるため、正帯電系または負帯電系のいずれのシステムにおいても不適合とされる。
+:負極のみに付着する
−:正極のみに付着する
±:両極に付着する
×:両極とも付着しない
(帯電強度)
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤について、マイクロチック・ニチオン社製の「顕微鏡式レーザーゼータ電位計」ZC−3000を用いて電位差を測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。測定は、液体現像剤を希釈溶媒で希釈して、10mmの透明セルに入れ、電極間9mmで300Vの電圧をかけると同時に顕微鏡でセル内の粒子の移動速度を観察することで、移動速度を算出して、その値からゼータ電位を求めることにより行った。結果を表1に示す。
A:電位差が+100mV以上(非常に良い)
B:電位差が+85mV以上、+100mV未満(良い)
C:電位差が+70mV以上、+85mV未満(普通)
D:電位差が+50mV以上、+70mV未満(やや悪い)
E:電位差が+50mV未満(非常に悪い)
なお、トナー粒子は液体現像剤から以下の方法により採取することができる。液体現像剤を遠心分離(1,000rpm×5分)により沈降させ、上澄み液をデカンテーションによって取り除き、トナー粒子を取り出す。取り出したトナー粒子をヘキサン、あるいはアイソパー等で洗浄する(混合溶媒は、トナー樹脂により適宜変更すればよい)。
[実施例2]
(非晶性ポリエステル樹脂(1)の合成)
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80モル部と、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20モル部と、テレフタル酸50モル部と、フマル酸25モル部と、n−ドデセニルコハク酸25モル部とを原料として、触媒としてジブチル錫オキサイドを入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で約12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下で徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は、17,900であった。また、非晶性ポリエステル樹脂(1)の酸価は14.6mgKOH/gであった。さらに、非晶性ポリエステル樹脂(1)の融点を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、JIS規格(JIS K−7121参照)により解析して得た。その結果、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度(Tg)は60℃であった。
(非晶性ポリエステル樹脂(2)の合成)
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン50モル部と、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン40モル部と、エチレングリコール10モル部と、テレフタル酸50モル部と、イソフタル酸15モル部と、ドデセニルコハク酸30モル部と、1,2,4−トリメリット酸5モル部とを原料とした以外は、非晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして、非晶性ポリエステル樹脂(2)を合成した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(2)の重量平均分子量(Mw)は、12,000であった。また、非晶性ポリエステル樹脂(2)の酸価は21mgKOH/gであった。さらに、非晶性ポリエステル樹脂(2)の融点を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した結果、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度(Tg)は65℃であった。
(結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成)
加熱乾燥した3口フラスコに、セバシン酸ジメチル43.4質量部と、1,10−デカンジオール32.8質量部と、ジメチルスルホキシド27質量部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03質量部とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃で4時間撹拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキシドを留去し、その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い1.5時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、脂肪族の結晶性ポリエステル樹脂(1)65質量部を合成した。非晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして分子量を測定したところ、得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量(Mw)は22,000であった。また、非晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして融点測定を行い、DSCスペクトルを得たところ、結晶性ポリエステル樹脂(1)は明確なピークを有し、融解温度(Tm1)は77℃であった。
(液体現像剤の調製)
非晶性ポリエステル樹脂(1)60質量部にイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー185、BASF(株)製)40質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、イエロー顔料マスターバッチを作製した。次に以下の組成の混合物をディゾルバーの設置された密閉型反応容器に投入し、40℃で加温して3時間溶解分散した。
上記イエロー顔料マスターバッチ:25質量部
非晶性ポリエステル樹脂(2):65質量部
結晶性ポリエステル樹脂(1):10質量部
酢酸エチル:400質量部
一方、塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)28質量部をイオン交換水160質量部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)30質量部と、カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)製、セロゲン)3.5質量部とを加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。この分散媒体200質量部に前記混合物120質量部を投入して、乳化装置(IKA社製、ウルトラタラックスT−25)にて10000rpmで3分間乳化し、エマルジョンを得た。上記エマルジョンを撹拌機の設置された容器に移し、窒素を吹き込みながら酢酸エチルを除去した後、塩酸で炭酸カルシウムを分解してトナー粒子の懸濁液を得た。トナー粒子懸濁液から遠心分離でトナー粒子を分離し、実施例1と同様にしてイオン交換水で洗浄した後、40℃で真空乾燥した。
(トナー粒子の表面改質)
乾燥トナー粒子150質量部に、イオン交換水780質量部、カチオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、Dowfax2A1、固形分濃度45質量%)10質量部、10質量%の炭酸ナトリウム水溶液60質量部を加え、ボールミルで粉砕した。トナー粒子懸濁液から遠心分離でトナー粒子を分離し、実施例1と同様にしてイオン交換水で洗浄した後、得られたトナー粒子100質量部をイオン交換水900質量部に加え分散液(固形分濃度15質量%)を調製した。この分散液に1N塩酸を添加してpH1.5に調整して、10分間撹拌した後、遠心分離により固液分離を行い、上澄み液を捨て、余分な酸を除去した。その後、イオン交換水900質量部を添加して分散液化を行い、この分散液にポリアリルアミンPAA−1112(15質量%溶液;ニットーボーメディカル(株)製、上記式(I)において、aは5以上10以下、bは5以上10以下であり、RおよびRはメチル基である。重量平均分子量:1,000)10質量部を添加し、60分間撹拌した。
この後、遠心分離により固液分離を行い、上澄み液を捨て、余分なポリアリルアミンを除去した。洗浄液の導電率が20μS/cm以下となるまで、イオン交換水添加、10分間の撹拌、遠心分離を繰り返した。ろ紙(アドバンテック社製、No4A)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄した後、35℃で24時間乾燥し(水分率0.5質量%)、解砕して、体積平均粒径3.4μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子のナトリウムイオン量はトナー粒子1gに対し0.036mgであった。
(現像剤作製)
得られた表面改質トナー粒子30質量部をシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KF96−20CS)70質量部と混合して固形分濃度30質量%の液体現像剤を作製した。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
(液体現像剤の調製)
非晶性ポリエステル樹脂(1)60質量部にマゼンタ顔料C.I.ピグメントレッド122(クラリアント(株)製)20質量部およびC.I.ピグメントレッド57:1(大日精化工業(株)製)20質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、マゼンタ顔料マスターバッチを作製した。次に以下の組成の混合物をディゾルバーの設置された密閉型反応容器に投入し、80℃で還流下1時間溶解分散した。
上記マゼンタ顔料マスターバッチ:25質量部
非晶性ポリエステル樹脂(2):55質量部
結晶性ポリエステル樹脂(1):10質量部
メチルエチルケトン:100質量部
この分散液を25℃まで冷却し、ここに10質量%の水酸化ナトリウム水溶液8.0質量部をゆっくり入れ、25℃に保持したまま、4000rpmで撹拌させた。この中にイオン交換水200質量部をゆっくり滴下し、転相乳化を行った。次に、界面活性剤(花王社製、ぺレックスCS)を0.25質量部添加した後、撹拌回転数を500rpmに落とし、5質量%の硫酸ナトリウム水溶液38質量部をゆっくり滴下し、凝集合一させた。さらに、イオン交換水200質量部を加え粒子を安定化させた。加温したまま、反応容器内を真空ポンプで減圧にしてメチルエチルケトンを除去した。反応液を冷却後、遠心分離で粒子を分離し、イオン交換水で洗浄した。洗浄したトナー粒子100質量部に対し、固形分濃度で15質量%になるようにイオン交換水を加えてホモジナイザーで再分散した。この分散液に1N塩酸を添加してpH1.5に調整して、3時間撹拌した後、遠心分離により固液分離を行って上澄み液を捨て、余分な酸を除去した。その後、イオン交換水900質量部を添加して再分散を行い、ここに4.0質量部のポリエチレンイミン水溶液(純正化学社製:重量平均分子量70000、固形分濃度30質量%)を添加し、プロペラ型撹拌装置で1時間撹拌した。その後、遠心分離でトナー粒子を分離し、イオン交換水で洗浄し、40℃で真空乾燥して、体積平均粒径2.5μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子のナトリウムイオン量はトナー粒子1gに対し0.024mgであった。
(現像剤作製)
得られた表面改質トナー粒子30質量部をシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KF96−20CS)70質量部と、カルボキシ変性シリコーンオイル(X−22−3701E;信越化学工業(株)製、上記式(II)において、XおよびYは水素原子、ZはCOOHであり、RおよびRはメチレン基、Rはアルキレン基(詳細不明)である。数平均分子量:40,000)(化合物(II−1))0.1質量部とを混合して固形分濃度30質量%の液体現像剤を作製した。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。

(II−1)
[実施例4]
(結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
結晶性ポリエステル樹脂(1)160質量部と、酢酸エチル233質量部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1質量部とを用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、75℃で加熱し、スリーワンモータ(新東科学株式会社製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373質量部を加え、転相乳化させ、10℃/分の降温速度にて40℃まで降温し、脱溶剤することにより結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(固形分濃度:30質量%)を得た。
(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
非晶性ポリエステル樹脂(1)160質量部と、酢酸エチル233質量部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1質量部とを用意し、これらをセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモータ(新東科学株式会社)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373質量部を加え、転相乳化させ、1℃/分の降温速度にて40℃まで降温し脱溶剤することにより非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(固形分濃度:30質量%)を得た。
(着色剤分散液の調製)
シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、大日精化製) 45質量部
イオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬製) 5質量部
イオン交換水 200質量部
以上を混合溶解し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックスT50)により10分間分散して、体積平均粒径170nmの着色剤分散液を得た。
(離型剤分散液の調製)
パラフィンワックス(融点69℃、和光純薬社製) 45質量部
カチオン性界面活性剤(ネオゲンRK、第一工業製薬製) 5質量部
イオン交換水 200質量部
以上を90℃に加熱して、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックスT50)により十分に分散後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザで分散処理し、体積平均粒径200nm、固形分量24.3質量%の離型剤分散液を得た。
(液体現像剤の調製)
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 15質量部
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 80質量部
着色剤分散液 18質量部
離型剤分散液 18質量部
以上の成分に固形分量16質量%となるようイオン交換水を添加し、丸型ステンレスフラスコ中においてウルトラタラックスT50で十分に混合、分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.36質量部を加え、ウルトラタラックスT50で分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら47℃まで加熱した。47℃で60分保持した後、0.55モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを9.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3.5時間保持した。この時の粒子径を測定したところ体積平均粒径は2.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、数平均粒度分布指標GSDpは1.30であった。上記処理終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これをさらに25℃のイオン交換水3000質量部に再分散し、15分300rpmで撹拌、洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液の電気伝導度が10μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo4Aろ紙を用いて固液分離を行い、トナー粒子を得た。
(トナー粒子の表面改質)
得られたトナー粒子100質量部をイオン交換水900質量部に加え、トナー粒子分散液(固形分濃度15質量%)を調製した。その分散液に1N硝酸を添加してpH1.5に調整して、超音波中で10分間撹拌した後、遠心分離により固液分離を行って上澄み液を捨て、余分な酸を除去した。その後、イオン交換水900質量部を添加して再分散し、この分散液にポリエチレンイミン(純正化学社製:重量平均分子量70000、固形分濃度30質量%)の5質量部を添加し、60分撹拌した。この後、遠心分離により固液分離を行い、上澄み液を捨て、余分なポリエチレンイミンを除去した。洗浄液の導電率が20μS/cm以下となるまで、イオン交換水添加、10分間の撹拌、遠心分離を繰り返した。ろ紙(アドバンテック社製、No4A)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄した後、35℃で24時間乾燥し(水分率0.5質量%)、解砕して、体積平均粒径2.4μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子のナトリウムイオン量はトナー粒子1gに対し0.028mgであった。
(現像剤作製)
得られた表面改質トナー粒子30質量部に、シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、KF96−20CS)70質量部と、カルボキシ変性シリコーンオイル(X−22−162C、信越化学工業(株)製、上記式(II)において、XおよびYはCOOH、Zは水素原子であり、RおよびRはアルキレン基(詳細不明)、Rはメチレン基である。数平均分子量:4,600)(化合物(II−2))0.05質量部を混合してトナー粒子が分散された液体現像剤を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。

(II−2)
[実施例5]
(液体現像剤の調製)
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 5質量部
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 90質量部
着色剤分散液 18質量部
離型剤分散液 18質量部
以上の成分に固形分量16質量%となるようイオン交換水を添加し、丸型ステンレスフラスコ中においてウルトラタラックスT50で十分に混合、分散した。次いで、これにポリ塩化アルミニウム0.36質量部を加え、ウルトラタラックスT50で分散操作を継続した。加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら47℃まで加熱した。47℃で60分保持した後、ここに非結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を緩やかに46質量部追加した。その後、0.55モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを9.0にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて撹拌を継続しながら90℃まで加熱し、3.5時間保持した。この時の粒子径を測定したところ体積平均粒径は2.3μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.24、数平均粒度分布指標GSDpは1.30であった。上記処理終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これをさらに40℃のイオン交換水3000質量部に再分散し、15分300rpmで撹拌、洗浄した。これをさらに5回繰り返し、濾液の電気伝導度が5μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo4Aろ紙を用いて固液分離を行い、トナー粒子を得た。
(トナー粒子の表面改質)
得られたトナー粒子100質量部をイオン交換水900質量部に加え、トナー粒子分散液(固形分濃度15質量%)を調製した。その分散液に1N硝酸を添加してpH1.5に調整して、超音波中で10分間撹拌した後、遠心分離により固液分離を行って上澄み液を捨て、余分な酸を除去した。その後、イオン交換水900質量部を添加して再分散し、この分散液にポリエチレンイミン(純正化学社製:重量平均分子量70000、固形分濃度30質量%)の5質量部を添加し、60分撹拌した。この後、遠心分離により固液分離を行い、上澄み液を捨て、余分なポリエチレンイミンを除去した。洗浄液の導電率が5μS/cm以下となるまで、イオン交換水添加、40℃で60分間の撹拌、遠心分離を繰り返した。ろ紙(アドバンテック社製、No4A)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄した後、35℃で24時間乾燥し(水分率0.5質量%)、解砕して、体積平均粒径2.5μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子のナトリウムイオン量はトナー粒子1gに対し0.011mgであった。トナーを含まないブランクでのナトリウムイオン量が0.010であったので、この数値は測定限界に近い値であった。
(現像剤作製)
得られた表面改質トナー粒子30質量部に、ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製、20cs)70質量部を混合してトナー粒子が分散された液体現像剤を得た。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において1N塩酸の添加以降の工程をすべて省いた他は実施例1と同様の処理を行い、液体現像剤を作製した。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例2において1N塩酸を添加してpH1.5にする工程のみを省いた他は実施例2と同様の処理を行い、液体現像剤を作製した。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例3において1N塩酸を添加してpH1.5にする工程をpH6.0に変更したこと以外は実施例3と同様の処理を行い、液体現像剤を作製した。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例4]

実施例3において1N塩酸を添加してpH1.5にする工程のみを省いた他は実施例3と同様の処理を行い、液体現像剤を作製した。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例3において1N塩酸を添加してpH1.5にする工程をpH3.0に変更したこと以外は実施例3と同様の処理を行い、液体現像剤を作製した。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例3において1N塩酸を添加してpH1.5にする工程をpH2.0に変更したこと以外は実施例3と同様の処理を行い、液体現像剤を作製した。実施例1と同様にして、評価を行った。評価結果を表1に示す。
このように、高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子を含有する液体現像剤においてトナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mg以下である実施例では、比較例に比べて、正帯電性に優れた。
10 感光体(像保持体)、12 露光装置(潜像形成手段)、14 現像装置(現像手段)、14a 現像ローラ(現像剤保持体)、14b 現像剤収納容器、16 中間転写体(転写手段)、18 クリーナ(清掃手段)、20 帯電装置(帯電手段)、24 液体現像剤、26 トナー像、28 転写定着ローラ(転写手段、定着手段)、29 定着画像、30 用紙(記録媒体)、100 画像形成装置。

Claims (8)

  1. キャリア液と、
    高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子と、
    を含有し、
    前記トナー粒子1g中の溶出ナトリウムイオン量が0.04mg以下であることを特徴とする液体現像剤。
  2. 前記高分子アミン類が、ポリアルキレンイミン類であることを特徴とする、請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記高分子アミン類が、下記一般式(I)で示されるポリアリルアミン類であることを特徴とする、請求項1に記載の液体現像剤。

    (I)
    (式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基を示し、aおよびbは、それぞれ独立して100以上1,000以下の整数を示す。)
  4. さらに、カルボキシル基含有シリコーン化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
  5. 前記カルボキシル基含有シリコーン化合物が、下記一般式(II)で示される化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の液体現像剤。

    (II)
    (式(II)中、X、YおよびZは、それぞれ独立して水素原子またはカルボキシル基を示し、かつX、YおよびZのうち少なくとも一つは、カルボキシル基を示す。mは、1以上1,000以下の整数を示し、nは、1以上10以下の整数を示す。R、RおよびRは、それぞれ独立して単結合または炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体現像剤が収容されていることを特徴とする現像剤カートリッジ。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体現像剤が収容されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 像保持体と、
    前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面に形成された前記潜像を、現像剤保持体の表面に保持された請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を前記記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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