JP5433164B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウムイオン二次電池に係り、特に、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質合剤が正極集電体に塗着された正極と、負極活物質を含む活物質合剤が負極集電体に塗着された負極とを有し、初回充電後の正極の放電容量に対する負極の放電容量の比率が1.0以上1.3以下であるリチウムイオン二次電池に関する。
従来、再充電可能な二次電池の分野では、鉛電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池等の水溶液系電池が主流であった。しかしながら、地球温暖化や燃料枯渇の問題から電気自動車や駆動の一部を電気モータで補助するハイブリッド自動車が着目されるようになり、その電源に用いられる電池には、一層高容量で高入出力な電池が求められるようになってきた。このような要求に合致する電池として、高電圧特性を有する非水溶液系のリチウムイオン二次電池が注目されている。
一般に、リチウムイオン二次電池の正極材には、リチウム遷移金属複合酸化物が用いられており、中でも容量やサイクル特性等のバランスからコバルト酸リチウムが用いられている。ところが、コバルト酸リチウムでは原料であるコバルトの資源量が少なくコスト高ともなることから、電気自動車用やハイブリッド電気自動車用電池の正極材として、マンガン酸リチウムが有望視され開発が進められている。
一方、電気自動車やハイブリッド電気自動車用のリチウムイオン二次電池の負極材には、高入出力特性が要求されるため、フルフリルアルコール等のフラン樹脂等を焼成した難黒鉛化炭素材が一般的に用いられている。合成樹脂を焼成した難黒鉛化炭素材は、黒鉛系材料の理論容量値以上の容量が得られ、サイクル特性にも優れるという特徴を有し、かつ、高入出力特性を有するため、非常に注目されている材料である。難黒鉛化炭素材を特定の結晶構造とすることで電池のエネルギー密度や容量の向上を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−339795号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、負極活物質に用いた難黒鉛化炭素材の不可逆容量が大きくなるため、電池での高容量化が難しい、という欠点がある。また、難黒鉛化炭素材の充放電特性には、容量変化に対して電位がほぼ一定の定電圧領域と、容量増加に対して電位が上昇する定電流領域とがあるが、サイクル寿命特性の向上を図るため、充放電の利用範囲が定電圧領域を避けて定電流領域となるように設定されている。この場合、定電圧領域の大きな材料であると、この部分が使われないため無駄な仕込みをすることとなり電池として放電容量が小さくなる。さらには、定電流領域を使うことにより負極の電位が上昇し電池として開回路電圧が低下するため、下限電圧までの電圧差が小さくなり出力も低下する。電解液中に添加剤を加え、難黒鉛化炭素材の不可逆容量低減や電解液の分解抑制を図ることで、放電容量や寿命特性を向上させる一応の効果は認められるものの、添加剤が高価なものが多く、高コストの電池となってしまう。このような難黒鉛化炭素材に代えて、易黒鉛化炭素材を負極活物質に用いた場合は、不可逆容量は小さくなるものの、単位重量あたりの容量が難黒鉛化炭素材より小さく、サイクル寿命特性も低下することとなる。
本発明は上記事案に鑑み、電池出力の低下を抑制し寿命特性を向上させることができるリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質合剤が正極集電体に塗着された正極と、負極活物質を含む活物質合剤が負極集電体に塗着された負極とを有し、初回充電後の前記正極の放電容量に対する前記負極の放電容量の比率が1.0以上1.3以下であるリチウムイオン二次電池において、前記負極活物質には、初回充電容量が250mAh/g以上350mAh/g以下であり、前記初回充電容量に対する放電容量の比率が0.85以上の易黒鉛化炭素材が用いられていることを特徴とする。
本発明では、負極活物質に、初回充電容量が250mAh/g以上350mAh/g以下であり、初回充電容量に対する放電容量の比率が0.85以上の易黒鉛化炭素材を用いて正極の放電容量に対する負極の放電容量の比率を1.0以上1.3以下とすることで、易黒鉛化炭素材の低電位領域まで充放電に使用され、易黒鉛化炭素材の使用電位領域が適正化されるため、正極と負極との電位差で電池電圧が上昇し電池出力を向上させることができ、低電位領域で易黒鉛化炭素材の膨張収縮を抑制し電池寿命を向上させることができる。
この場合において、易黒鉛化炭素材の0.2V〜1.0Vの放電容量に対する0V〜0.2Vの放電容量の比率を1.0以下とすれば、負極における電解液分解が抑制され、サイクル特性を一層向上させることができる。
本発明によれば、負極活物質に、初回充電容量が250mAh/g以上350mAh/g以下であり、初回充電容量に対する放電容量の比率が0.85以上の易黒鉛化炭素材を用いて正極の放電容量に対する負極の放電容量の比率を1.0以上1.3以下とすることで、易黒鉛化炭素材の低電位領域まで充放電に使用され、易黒鉛化炭素材の使用電位領域が適正化されるため、正極と負極との電位差で電池電圧が上昇し電池出力を向上させることができ、低電位領域で易黒鉛化炭素材の膨張収縮を抑制し電池寿命を向上させることができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を適用した円筒型リチウムイオン二次電池の実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池20は、帯状の正負極板がセパレータを介して断面渦巻状に捲回された電極群6を備えている。電極群6は、有底円筒状でニッケルメッキが施された鉄製の電池容器7に収容されている。
電極群6の上側には、ポリプロピレン製で中空円筒状の軸芯1のほぼ延長線上に正極板W1からの電位を集電するためのアルミニウム製の正極集電リング4が配置されている。正極集電リング4は、軸芯1の上端部に固定されている。正極集電リング4の周囲から一体に張り出している鍔部周縁には、正極板W1から導出された正極リード片2の端部が超音波溶接で接合されている。正極集電リング4の上方には、正極外部端子となる円盤状の電池蓋が配置されている。電池蓋は、アルミニウム製の蓋ケース12と、蓋キャップ13と、気密を保つ弁押え14と、内圧上昇により開裂する開裂弁11とで構成されており、これらが積層されて蓋ケース12の周縁をカシメ固定することで組立てられている。正極集電リング4の上部には複数枚のアルミニウム製リボンを重ね合わせて構成した2本の正極リード板9のうち1本の一端が固定されており、蓋ケース12の下面には他の1本の一端が溶接されている。2本の正極リード板9の他端同士は溶接で接続されている。
一方、電極群6の下側には負極板W3からの電位を集電するための銅製の負極集電リング5が配置されている。負極集電リング5の内周面には軸芯1の下端部外周面が固定されている。負極集電リング5の外周縁には、負極板W3から導出された負極リード片3の端部が溶接されている。負極集電リング5の下部には電気的導通のための銅製の負極リード板8が溶接されており、負極リード板8は電池容器7の内底部に溶接されている。電池容器7の寸法は、本例では、外径40mm、内径39mmに設定されている。
電池蓋は、絶縁性および耐熱性のEPDM樹脂製ガスケット10を介して電池容器7の上部にカシメ固定されている。このため、リチウムイオン二次電池20の内部は密封されている。また、電池容器7内には、図示を省略した非水電解液が注液されている。非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比1:1:1の割合で混合した混合溶媒中にリチウム塩として6フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル溶解したものが用いられている。
電極群6は、正極板W1と負極板W3とがこれら両極板が直接接触しないように、セパレータW5を介して捲回されている。このとき、正極リード片2と負極リード片3とが、それぞれ電極群6の互いに反対側の両端面に位置するように捲回されている。セパレータW5には、ポリエチレン製フィルムが使用されており、本例では、幅が90mm、厚さが40μmに設定されている。また、電極群6および正極集電リング4の鍔部周面全周には、絶縁被覆が施されている。絶縁被覆には、ポリイミド製の基材の片面にヘキサメタアクリレートの粘着剤が塗布された粘着テープが用いられている。粘着テープは鍔部周面から電極群6の外周面に亘って一重以上巻かれている。正極板W1、負極板W3、セパレータW5の長さを調整することで、電極群6の直径が38±0.1mmに設定されている。
電極群6を構成する正極板W1は、正極集電体としてのアルミニウム箔を有している。アルミニウム箔は、本例では、厚さ20μmに設定されている。アルミニウム箔の両面には、正極活物質のリチウム遷移金属複合酸化物としてのマンガン酸リチウムを含む正極活物質合剤W2が塗着されている。正極活物質合剤W2には、例えば、マンガン酸リチウムの100重量部に対して、導電材の鱗片状黒鉛の10重量部およびバインダ(結着材)のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略記する。)の5重量部が配合されている。アルミニウム箔に正極活物質合剤W2を塗着するときには、分散溶媒のN−メチルピロリドン(以下、NMPと略記する。)が用いられる。アルミニウム箔の長寸方向一側の側縁には、幅30mmの正極活物質合剤W2の未塗着部が形成されている。未塗着部は櫛状(矩形状)に切り欠かれており、切り欠き残部で正極リード片2が形成されている。隣り合う正極リード片2の間隔が50mm、正極リード片2の幅が5mmに設定されている。正極板W1は、乾燥後、厚さが90μmとなるように、加熱可能なロールプレス機でプレス加工され、幅が82mmに裁断されている。
一方、負極板W3は、負極集電体としての圧延銅箔を有している。圧延銅箔は、本例では、厚さ10μmに設定されている。圧延銅箔の両面には、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵、放出可能な易黒鉛化炭素材を含む負極活物質合剤W4が塗着されている。負極活物質合剤W4には、例えば、易黒鉛化炭素材の90重量部に対して、バインダのPVDFの10重量部が配合されている。圧延銅箔に負極活物質合剤W4を塗着するときには、分散溶媒のNMPが用いられる。圧延銅箔の長寸方向一側の側縁には、正極板W1と同様に、幅30mmの負極活物質合剤W4の未塗着部が形成されており、負極リード片3が形成されている。隣り合う負極リード片3の間隔が50mm、負極リード片3の幅が5mmに設定されている。負極板W3は、乾燥後、正極板W1と同様にプレス加工され、幅が86mmに裁断されている。負極板W3の厚さは、初回充電後の正極板W1の放電容量に対する負極板W3の放電容量の比率(負極放電容量/正極放電容量比率)が1.0以上1.3以下となるように調製されている。
また、負極活物質合剤W4には、初回充電容量が250mAh/g以上350mAh/g以下、初回充電容量に対する放電容量の比率(放電容量/初回充電容量比率)が0.85以上、0.2V〜1.0Vの放電容量に対する0V〜0.2Vの放電容量の比率(0V〜0.2Vの放電容量/0.2V〜1.0Vの放電容量比率)が1.0以下の易黒鉛化炭素材が用いられている。なお、易黒鉛化炭素材は、ピッチ(pitch)を約1000℃で熱処理して得られるものである。ピッチの成分や熱処理条件により、得られる易黒鉛化炭素材の容量特性が変わることから、上述した各比率を満たす材料を選別することができる。
(電池組立)
リチウムイオン二次電池20の組立は以下の手順で行う。すなわち、正極板W1および負極板W3をセパレータW5を介して軸芯1の周囲に捲回装置で捲回し電極群6を作製する。このとき、正極リード片2と負極リード片3とが、それぞれ捲回群6の互いに反対側の両端面に位置するようにする。正極リード片2および負極リード片3を正極集電リング4および負極集電リング5にそれぞれ溶接する。このとき、正極リード片2、負極リード片3をそれぞれ変形させ、正極集電リング4、負極集電リング5の周囲から一体に張り出している鍔部周辺付近に集合、接触させた後、超音波溶接で接合させた。正極集電リング4の鍔部周面全周に絶縁被覆を施した後、捲回群6を電池容器7内に挿入した。負極集電リング5に予め溶接した負極リード板8を電池容器7の内底部に溶接する。電池容器7の上端部から9mm分下側の位置に電池蓋をカシメ固定するため、段付け加工を施して段付け部を形成する。正極集電リング4および電池蓋を正極リード板9で接続した後、電池容器7内に非水電解液を軸芯1の中空部分から注液して電極群6を非水電解液に浸潤させる。その後、正極リード9を折りたたむようにして電池蓋で電池容器7に蓋をし、ガスケット10と電池蓋とを段付け部の上にカシメ固定することで、リチウムイオン二次電池20の組立を完成させる。
次に、本実施形態に従って作製したリチウムイオン二次電池20の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例のリチウムイオン二次電池についても併記する。
(実施例1)
下表1に示すように、実施例1では、負極放電容量/正極放電容量比率を1.0、易黒鉛化炭素の初回充電容量を350mAh/g、易黒鉛化炭素の放電容量/初回充電容量比率を0.85、易黒鉛化炭素の0V〜0.2Vの放電容量/0.2V〜1.0Vの放電容量比率を0.8とし、リチウムイオン二次電池20を作製した。
Figure 0005433164
(実施例2)
表1に示すように、実施例2では、負極放電容量/正極放電容量比率を1.1、易黒鉛化炭素の0V〜0.2Vの放電容量/0.2V〜1.0Vの放電容量比率を1.0とする以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池20を作製した。
(実施例3〜実施例4)
表1に示すように、実施例3〜実施例4では、負極放電容量/正極放電容量比率を変える以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池20を作製した。すなわち、負極放電容量/正極放電容量比率を、実施例3では1.2とし、実施例4では1.3とした。
(実施例5)
表1に示すように、実施例5では、負極放電容量/正極放電容量比率を1.2、易黒鉛化炭素の初回充電容量を250mAh/gとする以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池20を作製した。
(実施例6)
表1に示すように、実施例6では、易黒鉛化炭素の初回充電容量を450mAh/gとする以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池20を作製した。
(実施例7)
表1に示すように、実施例7では、易黒鉛化炭素の初回充電容量を230mAh/g、易黒鉛化炭素の放電容量/初回充電容量比率を0.90とする以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池20を作製した。
(実施例8)
表1に示すように、実施例8では、易黒鉛化炭素の放電容量/初回充電容量比率を0.80とする以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池20を作製した。
(実施例9)
表1に示すように、実施例9では、易黒鉛化炭素の放電容量/初回充電容量比率を0.90、易黒鉛化炭素の0V〜0.2Vの放電容量/0.2V〜1.0Vの放電容量比率を1.2とする以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池20を作製した。
(比較例1〜比較例2)
表1に示すように、比較例1〜比較例2では、負極放電容量/正極放電容量比率を変える以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。すなわち、負極放電容量/正極放電容量比率を、比較例1では0.9とし、比較例2では1.4とした。
(評価)
以上のように作製した実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池の複数個ずつについて、初期出力およびサイクル試験後の出力維持率を測定し、充放電特性を評価した。初期出力の測定では、25±2℃の雰囲気において4.1Vの満充電状態から10A、30A、90Aの電流値で各10秒間放電し、各5秒目の電池電圧を測定した。横軸電流値に対して電池電圧を縦軸にプロットし、3点を直線近似した直線が終止電圧である2.7Vと交差する点の電流値を読み取り、この電流値と2.7Vとの積をそのリチウムイオン二次電池の出力とした。また、サイクル試験では、50±3℃の雰囲気において、約50Aの高負荷電流を充電方向および放電方向ともに約5秒間通電し、休止時間も含め1サイクル約30秒間のパルスサイクル試験を連続して10万回繰り返した。サイクル試験後の出力を初期出力の測定と同様にして測定し、初期出力に対するサイクル試験後の出力の割合を百分率で求め、10万サイクル時の出力維持率とした。初期出力および10万サイクル時の出力維持率の結果を表1にあわせて示した。
表1に示すように、負極放電容量/正極放電容量比率を0.9とした比較例1のリチウムイオン二次電池では、初期出力は820Wと優れているものの、10万サイクル時の出力維持率が65%となり十分なサイクル特性を得ることができなかった。また、負極放電容量/正極放電容量比率を1.4とした比較例2のリチウムイオン二次電池では、初期出力、10万サイクル時の出力維持率がそれぞれ650W、68%となり十分な出力特性およびサイクル特性を得ることができなかった。これに対して、負極放電容量/正極放電容量比率を1.0以上1.3以下とした実施例1〜実施例9のリチウムイオン二次電池20では、いずれも、初期出力が750W以上、10万サイクル時の出力維持率が80%以上となり優れた電池となった。従って、負極放電容量/正極放電容量比率を1.0以上1.3以下とすることで、出力およびサイクル特性の優れたリチウムイオン二次電池20を得られることが判った。負極放電容量/正極放電容量比率をそれぞれ1.2、1.3とした実施例3、実施例4のリチウムイオン二次電池20では、初期出力に若干の低下が認められたことを考慮すれば、負極放電容量/正極放電容量比率を1.0〜1.1とすることで、初期出力およびサイクル特性を一層向上させることができることが判明した。
また、易黒鉛化炭素の初回充電容量を450mAh/g、放電容量/初回充電容量比率を0.85とした実施例6、および、初回充電容量を230mAh/g、放電容量/初回充電容量比率を0.90とした実施例7のリチウムイオン二次電池20では、初期出力がそれぞれ800W、750Wを示したものの、10万サイクル時の出力維持率がいずれも80%にとどまり、サイクル特性に若干の低下がみられた。さらに、易黒鉛化炭素の放電容量/初回充電容量比率を0.80とした実施例8のリチウムイオン二次電池20では、10万サイクル時の出力維持率が80%、初期出力が750Wを示し、サイクル特性、初期出力に若干の低下がみられた。また、易黒鉛化炭素の0V〜0.2Vの放電容量/0.2V〜1.0Vの放電容量比率を1.2、放電容量/初回充電容量比率を0.90とした実施例9のリチウムイオン二次電池20では、初期出力が820Wを示したものの、10万サイクル時の出力維持率が83%にとどまり、サイクル特性に若干の低下がみられた。
これらの結果から、リチウムイオン二次電池20の出力およびサイクル特性を向上させるためには、初回充電容量が250mAh/g以上350mAh/g以下、放電容量/初回充電容量比率が0.85以上の易黒鉛化炭素を用いることが好ましいことが判った。さらに、0V〜0.2Vの放電容量/0.2V〜1.0Vの放電容量比率が1.0以下の易黒鉛化炭素を用いることで、リチウムイオン二次電池20の出力およびサイクル特性をさらに向上させることができることが判明した。
以上説明したように、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、負極活物質に易黒鉛化炭素材が用いられている。易黒鉛化炭素材では、不可逆容量が難黒鉛化炭素材と比較して小さく、また、定電圧領域(低電位領域)での寿命がよいことから、この領域も有効に利用することができる。難黒鉛化炭素材、易黒鉛化炭素材をそれぞれ用いて最適化したリチウムイオン二次電池を作製し電池容量を比較したところ、難黒鉛化炭素材を用いた場合は6.25Ah、易黒鉛化炭素材を用いた場合は6.92Ahの結果が得られた。従って、負極活物質に易黒鉛化炭素材を用いることで、約10%の電池容量向上効果を得ることができる。
また、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、負極放電容量/正極放電容量比率が1.0以上1.3以下に設定されている。このため、充放電時には、易黒鉛化炭素材の低電位領域まで使用されることとなり、正負極の電位差の関係から電池電圧が上昇し、電池出力を向上させることができる。さらに、易黒鉛化炭素材の低電位領域が使用されるため、一般的には寿命低下が懸念されるが、易黒鉛化炭素材では低電位領域における充放電時の膨張収縮が低減することから、劣化を抑制し寿命特性を向上させることができる。また、低電位領域が使用されることで、一定の電池電圧を得るときに正極板の高電位化を抑制することができるため、更なる寿命向上を期待することができる。
更に、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、初回充電容量が250mAh/g以上350mAh/g以下、放電容量/初回充電容量比率が0.85以上の易黒鉛化炭素材が用いられている。これにより、易黒鉛化炭素材の使用電位領域が適正化されるため、さらに高出力でサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池とすることができる。
また更に、本実施形態のリチウムイオン二次電池20では、0V〜0.2Vの放電容量/0.2V〜1.0Vの放電容量比率が1.0以下の易黒鉛化炭素材が使用されている。これにより、負極における非水電解液の分解等の副反応も抑制できるため、さらにサイクル特性に優れた電池を実現することができる。
なお、本実施形態では、円筒型リチウムイオン二次電池20を例示したが、本発明は電池形状に制限されるものではなく、角形、その他の多角形のリチウムイオン二次電池にも適用可能である。また、本発明の適用可能な電池構造としては、電池容器が電池蓋をカシメ固定することにより封口されている構造以外であっても構わない。このような構造の一例として、正負外部端子が電池蓋を貫通し、電池容器内で軸芯を介して正負外部端子が押し合っている状態の構造を挙げることができる。更に、本実施形態では、正極板および負極板を捲回した電極群を有する捲回式の構造を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、積層式の構造としたリチウムイオン二次電池にも適用可能である。
また、本実施形態では、正極活物質としてマンガン酸リチウムを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態以外で用いることのできる正極活物質としては、リチウムイオンを挿入・脱離可能な材料であり、予め十分な量のリチウムイオンを挿入したリチウム遷移金属複合酸化物であればよく、結晶中のリチウムや遷移金属の一部をそれら以外の元素で置換またはドープした材料を用いるようにしてもよい。更に、結晶構造についても特に制限はなく、例えば、スピネル構造、層状構造等の材料を用いることができる。
更に、本実施形態では、導電材やバインダを例示したが、本発明はこれらの導電材、バインダに限定されるものではなく、通常リチウムイオン二次電池に用いられるいずれのものも使用可能である。本実施形態以外で用いることのできるバインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックス、アクリロニトリル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、フッ化プロピレン、フッ化クロロプレン等の重合体およびこれらの混合体を挙げることができる。
また更に、本実施形態では、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを体積比1:1:1で混合した混合溶媒にLiPFを溶解させた非水電解液を例示したが、一般的なリチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解した非水電解液を用いてもよく、本発明は、用いられるリチウム塩や有機溶媒に特に制限されるものではない。例えば、電解質としては、LiClO、LiAsF、LiBF、LiB(C、CHSOLi、CFSOLi等やこれらの混合物を挙げることができる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等、またはこれらの2種以上を混合した混合溶媒を挙げることができる。更に、混合配合比についても限定されるものではない。
本発明は電池出力の低下を抑制し寿命特性を向上させることができるリチウムイオン二次電池を提供するため、リチウムイオン二次電池の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明を適用した実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池の断面図である。
符号の説明
6 電極群
20 円筒型リチウムイオン二次電池(リチウムイオン二次電池)
W1 正極板(正極)
W2 正極活物質合剤(活物質合剤)
W3 負極板(負極)
W4 負極活物質合剤(活物質合剤)

Claims (2)

  1. 正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を含む活物質合剤が正極集電体に塗着された正極と、負極活物質を含む活物質合剤が負極集電体に塗着された負極とを有し、
    初回充電後の前記正極の放電容量に対する前記負極の放電容量の比率が1.0以上1.3以下であるリチウムイオン二次電池において、
    前記負極活物質には、初回充電容量が250mAh/g以上350mAh/g以下であり、前記初回充電容量に対する放電容量の比率が0.85以上の易黒鉛化炭素材が用いられていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記易黒鉛化炭素材は、0.2V〜1.0Vの放電容量に対する0V〜0.2Vの放電容量の比率が1.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
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