JP2008027868A - 巻回電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】巻回電極体の巻回中心部における積層電極体の巻き緩みを抑制する。
【解決手段】正極集電体の片面に正極活物質層を設けた正極を用い、正極活物質層と負極とがセパレータを介して対向するようにして、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層して5層構造の積層電極体を用いて巻回電極体を作製する。積層電極体の一端から5%以上離れた位置に巻回開始部を設けて巻回することにより、固定部材を設けることが困難である巻回中心部に積層電極体の端部が露出せず、巻回最内周部の空間部の中心軸を通るように積層電極体が屈曲されるようにして配設される。巻回最外周に露出した積層電極体の端部は、固定部材にて固定される。また、巻回最内周部に配設された積層電極体は、断面が略S字状となるように構成されることがより好ましい。
【選択図】図3

Description

この発明は、正極および負極を巻回して作製した巻回電池に関する。
従来、いわゆる乾電池と互換性を持つさまざまな電池が開発、使用されている。その一つとして、例えば、以下の特許文献1に示すような、正極に硫化鉄(FeS、FeS2)等の硫化物、二酸化マンガン(MnO2)等の遷移金属酸化物、(CFxn等の多炭素フッ化物を用い、負極に金属リチウム箔を用いた円筒型リチウム電池が挙げられる。中でも、正極に二硫化鉄(FeS2)を用いたリチウム硫化鉄一次電池は、アルカリ乾電池に比べ0.2V高い平均放電電圧を有することから、定出力放電において単純に15%長持ちする。また、特許文献1のような構成の電池では、正極と負極とを積層して渦巻状に巻いた巻回構造を有しており、電極の反応面積を大きくとることができるため、優れた重負荷放電特性を得ることができる。
特許第3060109号公報
このようなリチウム硫化鉄一次電池は、正極活物質の二硫化鉄が約894mAh/g、負極活物質のリチウムが約3863mAh/gと、非常に高い理論容量を示す正極材料および負極材料から構成されており、高容量かつ軽量、負荷特性、低温特性といった電池特性の面からも、極めて優れた電池である。
また、リチウム硫化鉄一次電池は、初期の開回路電圧(OCV;Open Circuit Voltage)が1.7V〜1.8V、平均放電電圧が1.3V〜1.6V付近であり、他の1.5V級一次電池、例えば水溶液を電解液に用いるマンガン電池、アルカリマンガン電池、酸化銀電池、空気電池、ニッケル/亜鉛電池と互換性を有する点からもその実用価値は高い。
上述のような巻回構造を有する電池は、セパレータを介して交互に積層した正極および負極からなる積層電極体を一方の端部から巻回する構造を有しており、積層電極体の巻回終端部はテープなどの固定部材が設けられている。しかしながら、巻回始端部には固定部材を設けることが難しいため、積層電極体の巻回始端部は固定されることなく配設される。このため、電池の落下時に巻回最内周部に巻き緩みが生じ、正極と負極とが十分に接しない部分が生じてしまい、結果正極と負極とが対向する反応面が減少して放電容量の低下および電池特性の劣化が生じるおそれがある。
したがって、この発明の目的は、上記問題点を解決し、優れた放電容量および電池特性を有する巻回電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明の発明は、積層電極体が巻回されてなる巻回電極体を有する巻回電池において、積層電極体は正極集電体の片面のみに正極活物質層が設けられた第1の正極および第2の正極と、負極と、第1のセパレータおよび第2のセパレータを有し、正極活物質層が負極に対向するようにして第1の正極、第1のセパレータ、負極、第2のセパレータ、第2の正極の順に積層された5層構造であり、積層電極体の両端が、巻回電極体の巻回最内周部以外に配設されたことを特徴とする巻回電池である。
なお、このような巻回電池は、巻回開始部が積層電極体の一端から積層電極体の電極長の5%以上50%以下の位置、より好ましくは10%以上50%以下の位置、さらに好ましくは10%以上40%以下の位置に設けられることにより作製される。
また、第1および第2のセパレータは、周囲の少なくとも2辺が互いに溶着されてなることが好ましい。
また、巻回電極体の巻回最内周部には、R部が設けられることにより略S字状に形成された積層電極体を有するように構成されることが好ましい。R部の曲率半径は巻回電極体の巻回最内周部の径に対して19%以上50%以下であることが好ましく、38%以上50%以下であることがより好ましい。
また、負極集電体は、負極の一端から負極の電極長の30%以上70%以下の位置に設けられることが好ましい。
この発明では、固定部材を設けることができない巻回電極体の巻回最内周部に積層電極体の端部が露出することがなくなり、落下や振動による積層電極体の巻き緩みを抑制することができる。
また、巻回電極体の巻回最内周部に配設された積層電極体の形状が、略S字状となるようにして構成することにより、正極および負極が十分に密着し、反応を十分に起こすことができる。
さらに、負極端子を負極の一端から負極の電極長の30%以上70%以下の位置に設けることにより、充電効率を向上させることができる。
この発明によれば、積層電極体の巻き緩みによる正極および負極のずれや密着度の低下による反応面の減少を抑制し、優れた放電容量および電池特性を有する巻回電池を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(1)第1の実施形態
図1は、この発明の第1の実施形態による巻回電池の一例であるリチウム硫化鉄一次電池10を示す。図1に示す電池はいわゆる円筒型と呼ばれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶1の内部に巻回電極体20を有している。
電池缶1は、例えばニッケルメッキが施された鉄により構成されており、一端が閉鎖され、他端部が開放されている。電池缶1の内部には、巻回電極体20を挟み込むように、周面に対して垂直に一対の絶縁板8および絶縁板9がそれぞれ配置されている。
電池缶1の開放端部には、電池蓋2と、この電池蓋2の内側に設けられた熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)4と安全弁3とが、絶縁封口ガスケット5を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶1の内部は密閉されている。また、巻回電極体20と安全弁2の間には、遮断ディスク6および安全弁3と遮断ディスク6とを絶縁するための絶縁リング7が配されている。
電池蓋2は、例えば電池缶1と同様の材料により構成されている。安全弁3は、熱感抵抗素子4を介して電池蓋2と電気的に接続されており、内部短絡または外部からの加熱等により電池の内圧が一定以上となった場合に電池蓋2方向に変形する。巻回電極体20から導出された正極端子14は、遮断ディスク6が有する孔部を通じて安全弁3と接続されている。安全弁3および遮断ディスク6を主とする機構は、安全弁3の変形時に遮断ディスク6に正極端子14が引っかかって接続が解除されることにより、電池蓋2と巻回電極体20との電気的接続を切断する、いわゆる電流遮断機構としての機能を備えている。
熱感抵抗素子4は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものであり、例えば、チタン酸バリウム系半導体セラミックスにより構成されている。絶縁封口ガスケット5は、例えば絶縁材料により構成されており、表面には、例えばアスファルトが塗布されている。
以下、図1ないし図6により巻回電極体20について説明する。
[巻回電極体]
巻回電極体20は、図2Aに上面図を、図2Bに断面図を示すような、正極11と負極12とがセパレータ13を介して積層された積層電極体16が多数回巻回されてなる。この巻回電極体20は、巻回最内周部で積層電極体16の巻き緩みが生じないように、積層電極体16の一端から電極長Lの5%以上離れた部分、すなわち基準となる一端からみて電極長Lの5%以上50%以下の部分、より好ましくは電極長Lの10%以上50%以下の部分、さらに好ましくは電極長Lの10%以上40%以下の部分に巻回開始部を設けて巻回したものである。
このようにして作製された巻回電極体20は、巻回開始部を中心として積層電極体が巻回され、積層電極体16の両端が巻回電極体20の巻回最内周部以外に配設されたものである。積層電極体16の少なくとも一方は巻回電極体20の巻回最外周に露出され、積層電極体16の一端が巻回最外周に露出しない場合は、巻回の途中部分に配設される。
図3に、積層電極体16の一端から電極長Lの50%離れた部分を巻回開始部として巻回した巻回電極体20の横断面の一例を示す。また、図4に、積層電極体16の一端から電極長Lの30%離れた部分を巻回開始部として巻回した巻回電極体20の横断面の一例を示す。なお、図3および図4は積層電極体16の巻回の様子を簡易的に示したものであり、セパレータ13を介して積層された正極11、負極12のそれぞれ、および巻回電極体20に接続される正極端子14および負極端子15は図示しない。また、巻回開始部とは、図3および図4の参照符号Sで示された、巻回電極体20の中心に位置するようになされた部分である。
図3の巻回電極体20は積層電極体16の中央を巻回開始部Sとしたものであり、この場合、巻回開始部Sの左右が対照に巻回されるため、積層電極体16の両端が巻回電極体20の巻回最外周に露出される。また、図4の巻回電極体20は積層電極体16の中央からずれた位置を巻回開始部Sとしたものであり、積層電極体16の一方の端部が巻回電極体20の巻回最外周に露出され、もう一方の端部が巻回の内部に位置して巻回最外周に露出されないように構成されている。なお、巻回電極体20の巻回最外周に露出する端部の数は、巻回開始部の位置のみでなく、積層電極体16の巻回方向の長さ、巻回電極体20を巻回する際に用いる巻き芯の径等によっても変わるものである。
図3および図4に示すように、巻回電極体20は、積層電極体16の一端から電極長Lの5%以上離れた部分を巻回開始部として巻回するため、巻回電極体20の巻回最内周部の空間部の中心軸を通るように、積層電極体16が屈曲されるようにして配設される。
巻回電極体20の巻回最外周に露出された積層電極体16の端部は、例えば絶縁テープからなる固定部材17が設けられ、積層電極体16の巻き緩みがないように固定される。巻回最外周に両端部が露出した場合には、固定部材17をそれぞれの端部に設けてもよく、また、巻回電極体20の巻回最外周を1周するようにして固定部材17を設けるなど、両端部が固定される種々の方法を用いることができる。
また、巻回電極体20の巻回最外周に積層電極体16の一端が露出された場合、他の一端は巻回電極体20の巻回途中部分に配設され、積層電極体の厚さ方向にかかる圧力によりずれが生じないようになされる。このため、積層電極体16の一端のみが露出された場合であっても落下や衝撃に対して耐性を有し、巻き緩みが生じにくくなる。
この発明による巻回電極体20では、積層電極体16の一端以外の部分から巻回を開始するため、従来のように正極集電体の両面に正極活物質層を設けた正極と、リチウム金属等からなる負極とを、例えば正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層した4層構造の積層電極体を用いた場合、正極活物質層とリチウムとが対向しない部分ができてしまう。このため、巻回電極体20には、以下のような5層構造の積層電極体16を用いる。
[積層電極体]
図2Aおよび図2Bに示すように、積層電極体16は、正極集電体11bの片面に正極活物質層11aが形成された正極11を用い、正極活物質層11aと負極12が対向するようにして、正極11、セパレータ13、負極12、セパレータ13、正極11の順に積層し5層構造としたものである。なお、図2Aは積層電極体16の構成を示す分解斜視図であり、図2Bは、積層電極体16の断面図である。
[正極]
正極11は、帯状の形状を有する正極集電体11bと、この正極集電体11bの片面に形成された正極活物質層11aとからなる。正極集電体11bは、例えばアルミニウム(Al)箔、ニッケル(Ni)箔、ステンレス(SUS)箔等の金属箔である。
正極活物質層11aは、例えば、正極活物質である二硫化鉄(FeS2)と、導電剤と、結着剤とからなる。正極活物質である二硫化鉄は、主に自然界に存在する黄鉄鉱(Pyrite)を粉砕したものが用いられるが、化学合成、例えば、塩化第一鉄(FeCl2)を硫化水素(H2S)中にて焼成して得られる二硫化鉄なども使用可能である。
結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が用いられる。また、導電剤としては、正極活物質に適量混合して導電性を付与できる材料を用い、例えば、グラファイト、カーボンブラックなどの炭素粉末を用いることができる。
[負極]
負極12は、帯状の形状を有する金属箔からなる。この負極活物質でもある金属箔の材料としては、リチウム金属またはリチウムにアルミなどの合金元素を添加したリチウム合金などが挙げられる。
[電解液]
電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されたものであり、一般的に使用される材料が使用可能である。
非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリルあるいはプロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、絡酸エステルあるいはプロピオン酸エステル等が好ましく、これらのうちのいずれか1種または2種以上を混合して用いることができる。
電解質塩としては、上記非水溶媒に溶解するものが用いられ、カチオンとアニオンが組み合わされてなる。カチオンにはアルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられ、アニオンには、Cl-、Br-、I-、SCN-、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -等が用いられる。具体的には、例えばLiCl、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C654、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Li、N(CnF2n+1SO22Liなどがあり、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられている。中でも、LiPF6を主として用いることが好ましい。また、電解質塩濃度としては、上記非水溶媒に溶解することができる濃度であれば問題ないが、リチウムイオン濃度が非水溶媒に対して0.4mol/kg以上、2.0mol/kg以下の範囲であることが好ましい。
[セパレータ]
セパレータ13は、正極11と負極12とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ非水電解液中のリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ13は、微少な孔を多数有する微多孔性膜からなる。ここで、微多孔性膜とは、孔の平均孔径が5μm以下程度の微孔を多数有する樹脂膜のことである。セパレータ13としては、従来の電池に使用されてきた材料を用いることが可能である。中でも、ショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン材料からなる微多孔性フィルム、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる微多孔性膜を用いることが特に好ましい。
セパレータ13は、例えば、その厚みが5μm以上50μm以下の範囲にされているとともに、その全体積における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上60%以下の範囲とされていることが好ましい。このような条件に合致するセパレータ13では、製造歩留まり、出力特性、サイクル特性、安全性に優れたリチウム硫化鉄一次電池10を得ることが可能となる。
[正極端子]
正極集電体11bには、アルミニウム(Al)等よりなる正極端子14が抵抗溶接または超音波溶着等により接続されている。正極端子14は、正極活物質層11aが設けられていない正極集電体11bの一面に接続されることが好ましい。また、正極端子14はいずれの位置に設けてもよい。正極端子14は、安全弁3と溶接されることにより電池蓋2と電気的に接続されている。
[負極端子]
負極12には、ニッケル(Ni)等よりなる負極端子15が圧着等により接続されている。このとき、負極端子15は、負極12の基準となる一端からみて電極長の30%以上70%以下に当たる部分に設けることが好ましい。このような範囲に負極端子15を設けることにより、反応部と負極端子15の位置が近づいて集電効率が向上し、電池内部の抵抗を低下させることができる。なお、負極端子15と巻回開始部とは、積層電極体16の中央を基準として、長手方向の同じ側に設けてもよく、また中央を挟んで異なる側に設けてもよい。このような負極端子15は、電池缶1に固着されて電気的に接続されている。
次に、この発明の一実施形態による巻回電極体20の製造方法について説明する。
[巻回電極体の製造]
まず、例えば、正極活物質、結着剤および導電剤を混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散してペースト状の正極合剤スラリーとする。この正極合剤スラリーを正極集電体11bの片面上に塗布して乾燥させた後、ローラプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層11aを形成する。これにより、正極11が作製される。
次に、上述のようにして得られた帯状の形状を有する正極11と、負極12と、セパレータ13とを、例えば正極11、セパレータ13、負極12、セパレータ13、正極11の順に積層し積層電極体16とする。
このとき、例えば図5Aおよび図5Bに示すように、2枚のセパレータ13の長手方向の両端部を、負極12を包むようにして、例えば加圧しながら加熱することによって溶着し、溶着部13aを設けるようにしても良い。この場合、負極12を挟んで積層される2枚のセパレータ13の長手方向の長さが、負極12の長手方向の長さよりも大きくなるようにする。
上述のような構成とすることにより、リチウム硫化鉄一次電池10の落下時などに負極12がずれにくくなって反応面積の減少や正極11と負極12との接触による短絡を抑制することができる。溶着部13aは図5Aおよび図5Bに示す部分に限らず、セパレータ13の少なくとも2辺以上を溶着して設けるようにすればいずれの部分でも設けることができる。例えばセパレータ13の長辺側の2辺や、いずれか1辺のみを除く3辺をコ字状に溶着したり、負極12の周辺を全て封止するように4辺を溶着して溶着部13aとしても良い。
中でも、図5Aおよび図5Bに示すように、セパレータ13の両短辺同士を溶着して溶着部13aを設けることが特に好ましい。電池内温度が高温となった場合であっても、正極11と負極12との接触を抑制し、電池内部での短絡を防止することができ、少ない溶着工程ながら高いセパレータ13の収縮抑制効果を得ることができるためである。
このとき、負極12の端部から例えば5mm程度の間隔Dを取って溶着を行うことが好ましい。セパレータ13が収縮した際に正極11および負極12がより接触しにくくなるためである。また、リチウム金属またはリチウム合金等からなる負極12に近すぎる部分を加熱して溶着することは安全性の観点から好ましくないためである。
[巻回電極体の作製方法]
このような積層電極体16を巻回して、巻回電極体20とする。まず図6Aに示すように、積層電極体16は、その基準となる一端lから正極11および負極12の電極長Lに対して5%以上離れた部分、すなわち、参照符号Wで示す、基準となる一端lからみて電極長の5%以上50%以下に当たる範囲から巻回開始部Sを決定する。次に、図6Bに示すように、巻回開始部Sを巻回用の巻き芯21にて挟持し、続いて図6Cに示すように、巻き芯21を一方向に巻回することにより、巻回電極体20を作製する。このとき、巻回開始部Sが巻き芯21の中心部に位置するようにして挟持する。
次に、巻回電極体20の巻回最外周に露出した端部を固定部材17によって固定する。固定部材17は、積層電極体26の幅(巻回電極体20の高さ)と同等の長さとして端部を全て覆うようにしてもよく、また、積層電極体26の幅よりも短いものとしてもよい。これにより端部が固定され、巻回電極体20に巻き緩みが生じないようになされる。
[リチウム硫化鉄一次電池の作製]
次に、底部に絶縁板8が予め挿入され、内側に例えばニッケルメッキが予め施された電池缶1に、巻回電極体20を収納する。そして、巻回電極体20の上面に絶縁板9を配設する。その後、負極12の集電をとるために、巻回電極体20から導出された負極端子15の一端を抵抗溶接または超音波溶着等により電池缶1に溶接する。
これにより、電池缶1は負極12と導通をもつことになり、外部負極となる。また、正極11の集電をとるために、巻回電極体20から導出された正極端子14の一端を安全弁3に接続することにより電池蓋2と電気的に接続する。これにより、電池蓋2は正極11と導通をもつこととなり、外部正極となる。
続いて、電池缶1の中に電解液を注入した後に、遮断ディスク6および絶縁リング7を挿入し、アスファルトを塗布した絶縁封口ガスケット5を介して電池蓋2をかしめることにより電池缶1を密封する。これにより、円筒型のリチウム硫化鉄一次電池10が作製される。
このようにして作製されたリチウム硫化鉄一次電池10は、固定部材17を設けることが難しい巻回電極体20の巻回最内周部に積層電極体16の端部が位置しないように構成することができるため、電池の落下や振動などによって巻回最内周部で積層電極体16に巻き緩みが生じにくくなる。これにより、正極11および負極12のずれによる反応面の減少を防止し、電池容量の低下および電池特性の劣化を抑制することができる。
(2)第2の実施形態
続いて、この発明の第2の実施形態によるリチウム硫化鉄一次電池10について説明する。第1の実施形態における巻回電極体20は、巻回最内周部の構造が平坦となり、圧力がかかりにくくなることから巻き緩みが発生しやすく、リチウムが反応しにくくなるおそれがある。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態における巻回電極体20の巻回最内周部における巻き緩みをさらに発生しにくくする巻回電極体20について説明する。
なお、第1の実施形態とは巻回電極体20のみが異なるため、以下では巻回電極体20の構成および作製方法について詳細に説明し、他の部分については説明を省略する。また、以下に用いる図においては、第1の実施形態と対応する部分には同一の符号を付す。
[巻回電極体]
第2の実施形態におけるリチウム硫化鉄一次電池10は、図7Aおよび図7Bに示すように、巻回電極体20の巻回最内周部において、積層電極体16が略S字状となるように曲げられて構成された部分が第1の実施形態と異なる。このような略S字状の部分は、図7Aに示すように、積層電極体16が円弧状に曲げられた2つのR部16aが連続的につながるようにして設けられる。また、図7Bに示すように、2つのR部16aがその間を直線状につながれるようにして設けられても良い。
このようなR部16aは、その曲率半径Rが巻回電極体20を作製する巻き芯21の直径に対して19%以上50%以下、より好ましくは38%以上50%以下となるように構成されることが好ましい。R部16aの曲率半径Rが巻き芯21の直径に対して19%未満となった場合、巻回電極体20の巻回最内周部で巻き緩みが発生しやすくなり、正極11および負極12の接触が十分でなくなる部分が生じる。また、同じ曲率半径Rを有するR部16aが連続的につながるようにして略S字状とすることから、R部16aの曲率半径Rが巻き芯21の直径に対して50%を超えるように作製することはできない。
[巻回電極体の作製]
このような巻回電極体20は、図8Aおよび図8Bに断面を示すような巻き芯21にて積層電極体16を挟持、巻回することにより作製することができる。巻き芯21は巻回電極体20にR部16aが形成されるようにR部16aに対応する形状を有しており、積層電極体16の巻回開始部を巻き芯21にて挟持して一方向に巻回することにより巻回電極体20を作製し、最後に巻回電極体20の巻回最外周に露出した積層電極体16の端部に固定部材17を設ける。
なお、このようなR部16aの曲率半径Rは作製時のものであり、電池輸送時の振動や電池の使用により曲率半径Rが変化することもある。
このような巻回電極体20は、電池缶1に挿入され、第1の実施形態と同様に手順にて密封されてリチウム硫化鉄一次電池10とされる。
上述のような構成を用いることにより、巻回最内周部の積層電極体16にも十分に圧力がかかり、正極11と負極12の密着性をより向上させ、リチウムを十分に反応させることができる。一般的に電子機器は電池電圧が1.0Vとなった時点で作動しなくなるように設計されているものが多い。このため、電池電圧が1.0Vとなるまでにより多くのリチウムを使い切る必要がある。第2の実施形態では、電池内に入力したリチウムの利用率が上昇し、無駄なく使い切ることができる。また、1.0Vまでの平均放電電圧を向上させることができるため、安定した出力を得ることができる。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<サンプル1−1〜サンプル1−8>
積層電極体の巻回開始部の位置を変化させて作製した巻回電極体を用いてリチウム硫化鉄一次電池を作製し、落下試験および充電試験を行った。
<サンプル1−1>
[正極の作製]
正極活物質として二硫化鉄を、導電剤として黒鉛を、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用い、二硫化鉄95重量%と、黒鉛2重量%と、ポリフッ化ビニリデン3重量%とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに十分に分散させて正極合剤スラリーとした。
次に、正極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、温度120℃で2時間乾燥させてN−メチル−2−ピロリドンを揮発させた後、一定圧力で圧縮成型して帯状の正極を作製した。さらに、正極集電体に、アルミニウム箔からなる正極端子を溶接した。
[巻回電極体の作製]
続いて、上述のようにして作製された帯状の正極と、ニッケル箔からなる負極端子を溶接した厚さ150μmの金属リチウムからなる負極とを、正極活物質層と負極とがセパレータを介して対向するようにして、正極、セパレータ、負極、セパレータの順に積層し、4層構造の積層電極体を作製した。次に、この積層電極体の一端を図6に示すような形状の巻き芯にて挟持して多数回巻回することにより、巻回内周部に積層電極体の一端が配され、巻回最外周に積層電極体の他端が露出された巻回電極体を作製した。巻回最外周に露出された積層電極体の端部には絶縁テープを設けて固定した。
[リチウム硫化鉄一次電池の作製]
以上のようにして得られた巻回電極体をニッケルメッキを施した鉄製電池缶に収納した。このとき、渦巻型電極体の下面に絶縁板が配設されるようにした。次に、ニッケル製の負極リードを電池缶に溶接した。さらに、渦巻型電極体の上面にも絶縁板を配設した後、遮断ディスクおよび絶縁リングを挿入し、遮断ディスクおよび絶縁リングの孔部を通じてアルミニウム製の正極リードを電池蓋に溶接した。
次に、1,3−ジオキシラン(DOL)と、1,2−ジメトキシエタン(DME)が体積比で2:1の混合溶媒にヨウ化リチウム(LiI)を添加して、ヨウ化リチウムのモル濃度が1.0mol/lとなるように調整した電解液を電池缶に注入した。
続いて、アスファルトが表面に塗布された絶縁封口ガスケットを介して電池蓋をかしめることにより電流遮断機構を有する安全弁、熱感抵抗素子および電池蓋を固定し、電池を密閉した。以上により、従来用いられているような構成の円筒型のリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル1−2>
正極集電体の片面に正極活物質層を形成し、正極活物質未形成面に正極端子を溶接した後、正極活物質層と負極とがセパレータを介して対向するようにして、正極、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順に積層した5層構造の積層電極体を用いた以外はサンプル1−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル1−3>
巻回開始部を積層電極体の一端から5%離れた位置とした以外はサンプル1−2と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。なお、巻回電極体の巻回最外周には積層電極体の端部の一方が露出した。
<サンプル1−4>
巻回開始部を積層電極体の一端から10%離れた位置とした以外はサンプル1−2と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。なお、巻回電極体の巻回最外周には積層電極体の端部の一方が露出した。
<サンプル1−5>
巻回開始部を積層電極体の一端から30%離れた位置とした以外はサンプル1−2と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。なお、巻回電極体の巻回最外周には積層電極体の端部の一方が露出した。
<サンプル1−6>
巻回開始部を積層電極体の一端から40%離れた位置とした以外はサンプル1−2と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。なお、巻回電極体の巻回最外周には積層電極体の端部の一方が露出した。
<サンプル1−7>
巻回開始部を積層電極体の一端から45%離れた位置とした以外はサンプル1−2と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。なお、巻回電極体の巻回最外周には積層電極体の端部の両方が露出した。
<サンプル1−8>
巻回開始部を積層電極体の一端から50%離れた位置とした以外はサンプル1−2と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。なお、巻回電極体の巻回最外周には積層電極体の端部の両方が露出した。
(a)落下試験
上述のようにして作製したリチウム硫化鉄一次電池について、1Wでの放電を行い、電池電圧が1.0Vとなった時点での放電容量を測定し、平均を求めて初期容量とした。次に、同様に作製した他の電池について、高さ1mの地点から落下させた後、上述の条件と同様の条件で放電容量を測定し、落下試験後放電容量とした。続いて、それぞれのサンプルごとに{(落下試験後放電容量/初期容量)×100}から落下試験後容量維持率を求めた。
(b)充電試験
各サンプルのリチウム硫化鉄一次電池について、6A18Vの安定化電源を用いて充電を行い、充電時の電池の最高到達温度をK熱電対を用いて測定した。
以下の表1に、評価の結果を示す。
Figure 2008027868
表1から分かるように、5層構造とした積層電極体を用い、端部から5%以上離れた位置を巻回開始部として巻回電極体を作製することにより、落下試験後の容量維持率の低下を抑制することができる。また、巻回開始部を端部から10%以上50%以下の位置とすることにより、容量維持率の低下を著しく抑制することができる。さらに、巻回開始部を端部から10%以上40%以下の位置とすることにより、さらに充電試験時の最高到達温度を低くすることができる。
これは、巻回電極体の巻回最内周部に積層電極体の一端が配設されないようにすることで、落下時の衝撃による巻き緩みが生じにくくなったためであり、巻回開始部を積層電極体の端部から10%以上50%以下の位置とすることにより、特に電池特性の劣化を抑制することができる。。
<サンプル2−1〜サンプル2−9>
積層電極体を構成する2枚のセパレータの端部を溶着することによって溶着部を設けてリチウム硫化鉄一次電池を作製し、高温下での短絡抑制効果を確認する。なお、各サンプルについて10個のリチウム硫化鉄一次電池を作製する。
<サンプル2−1>
実施例1で用いたサンプル1−3と同様の構成のリチウム硫化鉄一次電池を用いた。サンプル3は、負極の両面に配設された2枚のセパレータがそれぞれ溶着されていないものである。
<サンプル2−2>
負極の両面に配設された2枚のセパレータの一方の短辺同士を加圧・加熱して溶着した溶着部を設けた以外はサンプル2−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。なお、溶着部は負極から5mmの間隔を空けて設けた。
<サンプル2−3>
負極の両面に配設された2枚のセパレータの一方の長辺同士を加圧・加熱して溶着した溶着部を設けた以外はサンプル2−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル2−4>
負極の両面に配設された2枚のセパレータの両方の短辺同士を加圧・加熱して溶着した溶着部を設けた以外はサンプル2−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル2−5>
負極の両面に配設された2枚のセパレータの一方の短辺および一方の長辺同士を加圧・加熱して溶着した溶着部を設けた以外はサンプル2−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル2−6>
負極の両面に配設された2枚のセパレータの両方の長辺同士を加圧・加熱して溶着した溶着部を設けた以外はサンプル2−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル2−7>
負極の両面に配設された2枚のセパレータの両短辺同士と、一方の長辺同士を加圧・加熱して溶着した溶着部を設けた以外はサンプル2−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル2−8>
負極の両面に配設された2枚のセパレータの両長辺同士と、一方の短辺同士を加圧・加熱して溶着した溶着部を設けた以外はサンプル2−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル2−9>
負極の両面に配設された2枚のセパレータの4辺をそれぞれ加圧・加熱して溶着した溶着部を設けた以外はサンプル2−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
(c)安全性試験
上述のようにして作製した各サンプルのリチウム二硫化鉄一次電池について、JIS C8516に規定される150℃10分試験を行い、短絡の生じた電池数を確認した。
この試験では、リチウム硫化鉄一次電池を20℃の雰囲気下に載置し、昇温速度5℃/分で150℃まで上昇させた後、150℃の雰囲気下で10分間リチウム二硫化鉄一次電池を保存した。
次に、保存後のリチウム硫化鉄一次電池の電圧を測定し、電圧が0Vのものを短絡したものとして個数を測定した。
以下の表2に、評価の結果を示す。
Figure 2008027868
表2から分かるように、2枚のセパレータの少なくとも2辺を溶着してリチウム硫化鉄一次電池を作製することにより、高温下での短絡を抑制することができることが分かる。これは、電池がセパレータの融点以上の温度になった際であってもセパレータが収縮して正極および負極が接触するのを防止することができるためである。
<サンプル3−1〜サンプル3−7>
積層電極体を巻回するための巻き芯を図8Aおよび図8Bに示すような形状とし、巻き芯の直径に対するR部の曲率半径を変化させて、巻回最内周部に略S字状を有するリチウム硫化鉄一次電池を作製し、リチウム利用率および平均放電電圧を測定した。
<サンプル3−1>
巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が4%である巻き芯を用いた以外は、サンプル2−4と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。なお、サンプル2−4は、セパレータの両短辺が溶着されて作製されたものである。
<サンプル3−2>
巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が6%である巻き芯を用いた以外は、サンプル3−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル3−3>
巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が13%である巻き芯を用いた以外は、サンプル3−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル3−4>
巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が19%である巻き芯を用いた以外は、サンプル3−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル3−5>
巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が25%である巻き芯を用いた以外は、サンプル3−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル3−6>
巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が38%である巻き芯を用いた以外は、サンプル3−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル3−7>
巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が50%である巻き芯を用いた以外は、サンプル3−1と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
(d)リチウム利用率の評価
各サンプルのリチウム硫化鉄一次電池について、1mAの電流で放電し、電池電圧が1.0Vとなった時点で放電を終了し、このときの放電容量を測定した。試験数は各サンプルそれぞれ10個とし、10個の平均を平均放電容量とした。次に、{(平均放電容量)/(負極容量)}から電圧1.0Vで放電を終了するまでのリチウム利用率を求めた。
なお、負極容量とは、以下のようにして求めたものである。まず、電池作製後に電流1mAで予備放電を行い、負極の入力容量の7%分の放電が行われた時点で予備放電を終了した。さらに、予備放電後の試験用電池を解体して負極を取り出し、負極の容量に対して2倍程度の容量を有する正極を用いて再度電池を作製した。この電池を1mAの電流で放電し、電池電圧が0.6Vとなった時点で放電を終了し、このときの放電容量を負極容量とした。
(e)平均電圧の評価
各サンプルのリチウム硫化鉄一次電池について、1.5Wで放電し、電池電圧が1.0Vとなった時点で放電を終了するまでの電池電圧の平均値を求めた。試験数は各サンプルそれぞれ10個とし、10個の平均を平均電圧とした。
以下の表3に、評価の結果を示す。
Figure 2008027868
表3から分かるように、巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が19%以上50%以下のとき、優れたリチウム利用率を得ることができる。また、巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が38%以上50%以下となると電池の平均放電容量も向上するため、より安定して電力を供給することができる。
これは、巻き芯の直径に対するR部の曲率半径が19%以上50%以下のときに巻回最内周部の積層電極体の略S字状部に十分に圧力がかかり、巻き緩みが発生しにくくなり、正極と負極とが十分に反応することができるためである。
<サンプル4−1〜サンプル4−9>
負極端子を設ける位置を変化させてリチウム硫化鉄一次電池を作製し、電池の入力容量に対する放電容量維持率を測定した。
<サンプル4−1>
負極端子を負極の端部に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル4−2>
負極端子を負極端部から10%の位置に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル4−3>
負極端子を負極端部から20%の位置に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル4−4>
負極端子を負極端部から30%の位置に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル4−5>
負極端子を負極端部から40%の位置に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル4−6>
負極端子を負極端部から50%の位置に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル4−7>
負極端子を負極端部から60%の位置に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル4−8>
負極端子を負極端部から70%の位置に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
<サンプル4−9>
負極端子を負極端部から80%の位置に設けた以外はサンプル3−6と同様にしてリチウム硫化鉄一次電池を作製した。
なお、負極端子の位置の基準となる端部は巻回開始部の基準となる端部と同じ部分である。巻回開始部は積層電極体の一端から30%の部分であるため、サンプル24ないしサンプル26では巻回開始部を基準として積層電極体の短い側に、サンプル27は巻回開始部上に、サンプル27ないしサンプル32では、巻回開始部を基準として積層電極体の長い側に負極端子が設けられている。
(f)放電容量維持率の評価
各サンプルのリチウム硫化鉄一次電池について、1.5Wで放電し、電池電圧が1.0Vとなった時点で放電を終了するまでの平均放電容量を求めた。試験数は各サンプルそれぞれ10個とし、10個の平均を平均放電容量とした。次に、{(平均放電容量/入力容量)×100}から、放電容量維持率を求めた。
以下の表4に、評価の結果を示す。
Figure 2008027868
表4から分かるように、負極端子の位置が負極の位置端部から30%以上70%以下のとき、放電容量維持率が向上することが分かる。これは、反応部と負極端子の位置が近づいて集電効率が向上し、電池内部の抵抗が低下したためである。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、材料はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
また、負極はリチウム金属などに限らず、負極集電体の両面に負極活物質層を設けた負極を用いる事も可能である。
この発明による巻回電池の一例であるリチウム硫化鉄一次電池の断面図である。 この発明による巻回電極体の構成の一例を示す断面図である。 この発明による巻回電極体の構成の一例を示す断面図である。 この発明による積層電極体の構成の一例を示す模式図である。 この発明による積層電極体の構成の一例を示す模式図である。 この発明による巻回電極体を作製するための巻き芯および巻回電極体の作製方法を示す模式図である。 この発明による巻回電極体の構成の他の例を示す断面図である。 この発明による巻回電極体を作製するための巻き芯の他の例を示す模式図である。
符号の説明
1・・・電池缶
2・・・電池蓋
3・・・安全弁
4・・・熱感抵抗素子
5・・・絶縁封口ガスケット
6・・・遮断ディスク
7・・・絶縁リング
8,9・・・絶縁板
10・・・リチウム硫化鉄一次電池
11・・・正極
11a・・・正極活物質層
11b・・・正極集電体
12・・・負極
13・・・セパレータ
13a・・・溶着部
14・・・正極端子
15・・・負極端子
16・・・積層電極体
16a・・・R部
17・・・固定部材
20・・・巻回電極体
21・・・巻き芯
21a・・・R部

Claims (9)

  1. 積層電極体が巻回されてなる巻回電極体を有する巻回電池において、
    上記積層電極体は、
    正極集電体の片面のみに正極活物質層が設けられた第1の正極および第2の正極と、
    負極と、
    第1のセパレータおよび第2のセパレータを有し、
    上記正極活物質層が上記負極に対向するようにして上記第1の正極、上記第1のセパレータ、上記負極、上記第2のセパレータ、上記第2の正極の順に積層された5層構造であり、
    上記積層電極体の両端が、上記巻回電極体の巻回最内周部以外に配設されたことを特徴とする巻回電池。
  2. 上記積層電極体の巻回開始部が、上記積層電極体の一端部から上記積層電極体の電極長の5%以上50%以下の位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の巻回電池。
  3. 上記積層電極体の巻回開始部が、上記積層電極体の一端部から上記積層電極体の電極長の10%以上50%以下の位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の巻回電池。
  4. 上記積層電極体の巻回開始部が、上記積層電極体の一端部から上記積層電極体の電極長の10%以上40%以下の位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の巻回電池。
  5. 上記第1のセパレータおよび第2のセパレータは、周囲の少なくとも2辺が互いに溶着されてなることを特徴とする請求項1に記載の巻回電池。
  6. 上記巻回電極体の巻回最内周部には、R部が設けられることにより略S字状に形成された上記積層電極体を有することを特徴とする請求項1に記載の巻回電池。
  7. 上記R部の曲率半径が、上記巻回電極体の巻回最内周部の径に対して19%以上50%以下であることを特徴とする請求項4に記載の巻回電池。
  8. 上記R部の曲率半径が、上記巻回電極体の巻回最内周部の径に対して38%以上50%以下であることを特徴とする請求項4に記載の巻回電池。
  9. 上記負極には負極集電体が設けられ、
    上記負極集電体は、上記負極の一端部から上記負極の電極長の30%以上70%以下の位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の巻回電池。
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