JP5429942B2 - 高純度カーボンブラックの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンブラック中に不純物として含まれる鉄などの金属分を除去し、精製カーボンブラックを得る方法に関する。
カーボンブラックは、ゴム補強材を中心とするゴム用途分野、樹脂着色剤、印刷インキ、塗料などの用途や樹脂等への導電性付与剤などの用途に広く使用されている。
カーボンブラックの製造方法には、1)原料を不完全燃焼させるファーネス法、2)バーナーチップで燃焼して炎とし、その炎をチャンネル鋼に接触させて捕集するコンタクト法、3)天然ガスを熱分解させるサーマル法などがある。このうちファーネス法が最も汎用されている。ファーネス法では、原料として主にクレオソート油や石油系重質油を使用し、これらを完全燃焼のための理論量に満たない量の空気と共に反応炉内へ吹き込んで不完全燃焼させた後、水で冷却し、最終的には水で捕捉して水性分散液として得る。
これらのカーボンカーボンブラックの原料には鉄、ニッケル、バナジウムなどの金属成分が含まれている。これらの金属成分はカーボンブラックの製造工程で濃縮され、さらに冷却水や製造設備からの金属成分の混入もあるため、カーボンブラックは様々な金属成分を含有するものとなる。そのため、例えば電池分野、半導体分野の如く金属成分の混入を極端に嫌う用途では、それらの金属成分を可能な限り除去し高純度化することが求められる。
カーボンブラック中の金属量の低減方法としては、カーボンブラックの水性分散液を各種水溶性キレート剤と接触させ、カーボンブラックに含まれる金属成分を溶出させると共にキレート剤に捕捉して液相へ移行させた後、固液分離する方法(特許文献1)、カーボンブラック水性分散液を強攪拌後、ろ過等により分離する方法(特許文献2)、無機酸の水溶液により洗浄し溶出する方法(特許文献3)がある。
特開2005−113091号公報 特開2005−220320号公報 特開昭58−222157号公報
従って、本発明は、カーボンブラック中に不純物として含まれる鉄などの金属成分の量を低減した精製カーボンブラックの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の有機酸を使用することにより、上記目的を達成できることを見出した。すなわち、本発明は、カーボンブラック水性分散液から金属を除去することにより精製カーボンブラックを製造する方法であって、
鉄の含有量が100ppm以下であるカーボンブラックと、グリコール酸、アスコルビン酸及びマロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の有機酸とを水性分散媒中で接触させて鉄を除去する工程を含む精製カーボンブラックの製造方法を提供する。
カーボンブラックは、その製造方法や使用する原料により含まれる不純物の種類や量が異なるが、例えば汎用的なカーボンブラック製造法であるファーネス法のうちガスファーネス法で製造したケッチェンブラックには鉄が15〜60ppm程度含まれる。本発明の方法によれば、鉄の含有量を2〜10ppm程度にまで低減することができる。また、マロン酸を使用した場合には、精製後のカーボンブラックへの有機酸由来の有機分の残存量が少ない、より高純度の精製カーボンブラックを製造することができる。本発明の方法によれば、高純度のカーボンブラックを高収率で得ることができる。本発明の方法により得られる精製カーボンブラックは金属含有量が少ないため、特に二次電池の正極や負極の電極材料としての使用に適する。
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックは、一般に、天然ガス、アセチレン、アセチル、芳香族炭化水素油などを熱分解、不完全燃焼などさせてえられる微細な球状粒子の集合体であり、その製法には、ファーネス法、チャンネル法、サーマル法などがある。カーボンブラックは通常不純物として痕跡量の金属を含む。含まれる金属やその量は原料や製造方法により異なるが、鉄、ニッケル、バナジウムが主に含まれる。
本発明ではカーボンブラックとして、鉄の含有量が100ppm以下である公知の各種カーボンブラックが使用でき、例えば通常入手可能なファーネスブラックを用いることができる。
本発明の方法によれば、鉄の含有量が100ppm以下、特に50ppm以下、更に特に30ppm以下、更に特に20ppm以下にまで低減された高純度のカーボンブラックを原料とした場合に、鉄の含有量を更に低減することができる。本発明の製造方法において原料として使用できる鉄含有量が低減されたカーボンブラックは、例えば、金属分の少ない原料油から製造されるか、或いは、鉄含有量の多いカーボンブラックを公知の方法、例えば水、キレート剤または酸の水溶液で洗浄することにより製造される。本発明によると、鉄の含有量を、10ppm以下、好ましくは7ppm以下、さらには5ppm以下にまで低減することができる。なお、本発明の効果を十分に得るためには、鉄含有量が10ppmを超えるカーボンブラックを原料として使用することが好ましい。
カーボンブラックとしては、粒状にする前の状態のもの、例えば水性分散液の状態のものも使用することができる。なお、鉄含有量はカーボンブラック水性分散液の固形分(乾燥重量)に対する量として示す。水性分散液の状態のものを原料とする場合は、カーボンブラック水性分散液をろ過、水分量が2%程度になるまで乾燥した後、鉄含有量を測定する。乾燥は100〜150℃の温度で、常圧で24時間程度放置することで行うことが出来る。
商業的に入手できるカーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラックインターナショナル社製「ケッチェンブラックEC300J」、「ケッチェンブラックEC600JD」等が挙げられる。
本発明では、カーボンブラックと有機酸とを水性分散媒中で接触させてカーボンブラックに含有される金属成分を水性溶媒中に溶出させ除去する。従って、本発明において、カーボンブラックは、水性分散媒の中で分散状態にある。なお、本明細書において、水性分散媒とは、水可溶性有機溶媒を含んでいても良い水をいう。分散状態は、カーボンブラックが分散媒中で一次粒子を形成している状態であるのが望ましいが、粒子一個一個が完全にバラバラの分散状態でなくても、つまり、ある程度二次粒子を形成している状態でもよい。本件発明の金属分低減効果を奏する程度にカーボンブラックの粒子径が十分に小さいものであればよい。
水性分散媒を調製するのに用いる水としては、不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが好ましい。
水性分散媒に含まれていてもよい水可溶性有機溶剤としては、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルキルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、エチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールエチル(又はブチル)エーテル、ジエチレングリコールアリルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のジアルキルエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等を使用することができる。このうち、水との混合分散媒とした際に揮発・分離などが起こりにくく、安定したカーボンブラック水性分散液が得られること、さらにカーボンブラック表面の濡れ性が向上することから水性分散液の調整がより容易となることからアルコール系が好ましい。特に炭素数が1〜4までの低級アルコールが好ましい。前記水可溶性有機溶媒の添加量としては、水に対して10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。カーボンブラック表面の濡れ性を良くする観点からさらに界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルなどのアニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アセチレンジオール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル変性シリコーンなどのノニオン性界面活性剤、脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、スルホニウム塩、及びホスフォニウム塩などのカチオン性界面活性剤、アミノ酸型化合物、ベタイン型化合物などの両性界面活性剤等があげられる。前記界面活性剤の添加量としては、水に対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
カーボンブラックの水性分散液中のカーボンブラックの含有割合は、固形分として、0.5〜30質量%が好ましい。前記水性分散液中のカーボンブラックの含有割合が0.5質量%未満であると、処理量が増大して、生産性が低くなる場合がある。一方、30質量%を超えると、水性分散液が高粘度となり攪拌が困難となり、精製効率が低下してしまう場合がある。カーボンブラックの水性分散液の粘度はカーボンブラックの種類、吸油量などの性状によるため、生産性と精製効率との関係を勘案して目的に合わせて適宜選択することができるが、ファーネスブラック、特にケッチェンブラックなどの吸油量が高く、比表面積が大きいカーボンブラックは高粘度となりやすいため精製効率の点から前記水性分散液中のカーボンブラックの含有割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
カーボンブラック水性分散液は、所定の量のカーボンブラックを少量ずつ水性分散媒に加えて攪拌することで得られる。また、ファーネス法において不完全燃焼で生成したカーボンブラックを水で冷却・捕集する工程で得られるカーボンブラックの水性分散液をそのまま用いることができる。
前記水性分散液を調製する際の攪拌は、できる限りカーボンブラックを一次粒径まで凝集体を解すことが望まれる。このため、前記水性分散液を一般的な分散機やホモジナイザーで混合することが好ましい。具体的には、ディスパーザー、ハイスピードディスパーザー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、スラッシャーミル、ボールミル、サンドミル、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロールミル、2本ロールミル等で混合する。また、これらを単独で用いても組合わせて用いてもよい。中でも比較的低粘度で大容量のスラリーを短時間で分散でき、かつ連続生産が可能なディスパーザーやホモジナイザーなどの攪拌装置を用いることがより好ましい。
〔有機酸〕
本発明では、グリコール酸、アスコルビン酸及びマロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の有機酸が使用できる。グリコール酸、アスコルビン酸及びマロン酸は市販の試薬を使用することができる。これらのうち、精製カーボンブラックへの残留が少ない点でグリコール酸とマロン酸が好ましく、残留が特に少ない点でマロン酸がさらに好ましい。
有機酸としては前記酸を2種以上含有してもよいが、その場合にはマロン酸を含有することが、精製カーボンブラックへの残留が少ない点で好ましい。
有機酸のカーボンブラック水性懸濁液への添加量は、目的に合わせて適宜選択できるが、カーボンブラック水分散液に含まれるカーボンブラックに対して(すなわちカーボンブラックの乾燥重量に対して)1〜400質量%の範囲であることが好ましい。下限より少ないと本発明の金属成分の除去効果を得られない場合があり、上限を超えても添加に見合う効果が得られずコストの点で不利であり、また精製カーボンブラックへの有機酸由来の有機分が多量残存してしまい、却って不純物量が増加してしまうことがある。有機酸は、カーボンブラック水分散液に含まれるカーボンブラックに対して100質量%以下、さらには20質量%以下、さらには10質量%以下の量で使用することができる。
有機酸には本発明の効果を損なわない限り、他の有機酸、例えば酢酸やシュウ酸などを混合して使用することができるが、その場合でも、グリコール酸、アスコルビン酸及びマロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類以上の有機酸を、カーボンブラック水分散液に含有されるカーブラックに対して少なくとも1質量%以上となるように添加すること好ましく、2質量%以上とすることがより好ましい。
〔精製カーボンブラックの製造方法〕
本発明において、カーボンブラックと前記特定の有機酸とを水性分散媒中で接触させるが、これは、カーボンブラック水性分散液を予め準備し、これに有機酸を添加して混合し、攪拌することによって行ってもよく、有機酸を予め含んだ水性分散媒とカーボンブラックを混合し、攪拌することによって行ってもよく、予めカーボンブラックと有機酸を混合した後に水性分散媒に分散させることで行ってもよく、水性分散媒にカーボンブラックと有機酸とを添加して混合することによって行ってもよい。本発明により精製カーボンブラックを製造した後、固液分離し、乾燥してもよい。攪拌・混合の方法、固液分離の方法、乾燥方法は公知の方法が使用できる。
例えば攪拌・混合の方法としては、カーボンブラックの水性分散液に所定量の有機酸を混合し、一般的な攪拌機、例えばホモミキサー、パドル型やタービン型など一般的な攪拌翼付きの攪拌槽内等で、通常10〜100分程度、好ましくは15〜30分の時間攪拌する方法が挙げられる。攪拌・混合時のカーボンブラックの水性分散液の温度(すなわち、カーボンブラックと有機酸との接触温度)は特に制限はなく、攪拌・混合ができる温度であればよく、攪拌・混合が可能であれば特に加温してもしなくてもよい.通常室温程度、具体的には10〜50℃、好ましくは20〜30℃の温度で十分な金属成分の除去効果を得ることができる。
カーボンブラック水性分散液から精製カーボンブラックを分離する方法としては、遠心分離する方法、ろ過する方法、非水溶性有機溶媒へ水性分散液を入れて混合する方法などが挙げられる。前記水性分散液に凝集剤を混合して、カーボンブラックのフロックを形成し、ろ過することも可能である。前記非水溶性有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン等である。前記凝集剤としては合成高分子凝集剤、無機凝集剤が挙げられ、ポリアクリルアミド、アクリルアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体、アルキルアミノメタクリレート四級塩重合体、アルキルアミノアクリレート四級塩・アクリルアミド共重合体、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等を単独または組み合わせて使用することができる。安全上の観点から、遠心分離する方法やろ過する方法が好ましい。
精製されたカーボンブラックは、前記操作により分離されたスラリーを加熱乾燥することにより得ることができる。電池分野、半導体分野の如く導電性用途においては不活性ガス中で加熱乾燥することが好ましい。乾燥温度はカーボンブラックの種類等にも因るが100〜150℃で行うことができる。乾燥は、金属の再混入を防ぐため、装置の金属面とカーボンブラックを接触させないことが望ましい。具体的には、セラミック製の焼成炉を用いることで行うことができる。なお、乾燥の完了は赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所製 FD−600−2)を用いて、試料0.1gを秤量した後にアルミ皿にのせ110℃、30分後の値の変化が、最初の秤量値に対して0.1%以下であることで確認できる。
本発明により精製したカーボンブラックは、各種電池の電極材料としても適用できる。例えば、リチウムイオン二次電池の正極に適用する場合、活物質、結着剤とカーボンブラックを混合し適当な溶媒に分散せしめた後、集電体上に塗布して乾燥後プレスすることにより正極を作成することができる。本発明の製造方法により得られる精製カーボンブラックは金属分がより低減化されるため、二次電池の発火などの危険性を低減できる。
実施例及び比較例で用いた溶媒、カーボンブラック、ICP分析用塩酸及び有機酸を以下に示す。
(1)使用試薬等
Figure 0005429942
(2)評価方法
(2.1)金属量測定:高周波誘導結合プラズマ法
関東化学(株)製原子吸光分析用塩酸10mL、純水190mLを混合して成る希塩酸水溶液(以下、希塩酸A)と、同塩酸20mL、純水180mLを混合して成る希塩酸水溶液(以下、希塩酸B)を調製した。続いて希塩酸A 200mLとカーボンブラック10gとをねじ口ビン(500mL)に加え、卓上振とう機により150rpmで1.5時間攪拌した後、メンブレンフィルター(1μm)を用いて減圧濾過により固液分離を行なった。フィルター上に残ったカーボンブラックを30mLの純水で洗浄して得られた濾液を500mLのビーカーに移し、300℃で1.5時間加熱して残りが10mL程度になるまで蒸発させた後、25mLのメスフラスコに移し、希塩酸溶液Bで希釈したものをプラズマ原子発光分光(ICP)法にかけることによって行った。ICP分析装置としては、Optima5300 DV(株式会社パーキンエルマージャパン)を用いた。
なお、原料として用いたカーボンブラック中の含有量は鉄15ppm(ケッチェンブラックEC300J)あるいは鉄45ppm(ケッチェンブラックEC600JD)であり、ニッケル、バナジウム、銅、クロム含有量はいずれも検出限界以下であった。
(2.2)精製カーボンブラック収率測定
{精製カーボンブラック(g)/仕込みカーボンブラック(g)}×100
(2.3)精製カーボンブラック中の有機酸の残存率測定:TG−DTA測定
精製カーボンブラックへの有機酸の残存量は、示差熱天秤(TG−DTA)測定(エスアイアイ・ナノテクロジーズ株式会社製 TG/DTA6200)により行った。精製カーボンブラックを空気雰囲気下で加熱(昇温速度10℃毎分)すると、有機酸は300℃までに重量減少が終了する(ただし、100℃までの重量減少は水分蒸発による重量減少と考えられる)。この現象を利用して、乾燥条件、加熱条件、サンプル量一定の条件下で有機酸処理後の精製カーボンブラック中に残った有機酸量を下式を用いて求めた。

(110℃〜300℃まで昇温した際の有機酸処理CBの重量減少量)×100/
(300℃時点での有機酸処理CBの重量)

測定は、ブランク(酸化アルミニウム(パウダー):純正化学製)と、測定試料を、それぞれ予め100℃、3h、空気雰囲気下にて乾燥後、それぞれ約10mgを秤量し、測定用のアルミナ製のパンにとり、毎分10℃の昇温速度で30℃から1000℃まで加熱して行った。
実施例1〜3
1リットルビーカーに純水940g(23℃)を加えた後、ホモミキサー(350rpm)で攪拌しながら有機酸10gを少量ずつ加えていき、全量を添加した段階で、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC300J)50g(乾燥重量)を加え、そのままの温度でホモミキサー(1000rpm)で30分間攪拌した後、得られたカーボンブラック水分散液をNo.5Cの濾紙を用いて減圧濾過により固液分離を行った。濾紙上に残ったウェット状のカーボンブラックに1000gの純水を加えて再びホモミキサー(350rpm)で30分間攪拌した後、減圧濾過により固液分離を行い、得られたカーボンブラックを150℃で24時間乾燥することにより、高純度のカーボンブラック粉末を得た。
比較例1
1リットルビーカーに純水950g(23℃)を加えた後、室温でホモミキサー(1000rpm)で攪拌しながらカーボンブラック(ケッチェンブラックEC300J)50gを少量ずつ加えていき、以下、実施例1〜3と同様の手順でカーボンブラック粉末を得た。
比較例2〜5
各種有機酸を用いて実施例1〜3と同様の手順でカーボンブラック粉末を得た。
実施例4〜9
1リットルビーカーに純水945〜947g(23℃)を加えた後、室温でホモミキサー(350rpm)で攪拌しながら有機酸3〜5gを少量ずつ加えていき、950gとした後、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC300J)50g(乾燥重量)を加え、以下、実施例1〜3と同様の手順でカーボンブラック粉末を得た。
比較例6、7
1リットルビーカーに純水945g(23℃)を加えた後、ホモミキサー(350rpm)で攪拌しながらクエン酸またはEDTA・2Na5gを少量ずつ加えていき、以下、実施例1〜3と同様の手順でカーボンブラック粉末を得た。
結果を下記表2から表4に示す。
Figure 0005429942
Figure 0005429942
Figure 0005429942
実施例10
1リットルビーカーに純水948g(23℃)を加えた後、ホモミキサー(350rpm)で攪拌しながら有機酸2gを少量ずつ加えていき、全量を添加した段階で、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC600JD)50g(乾燥重量)を加え、以下、実施例1〜3と同様の手順でカーボンブラック粉末を得た。
実施例11
実施例10において減圧濾過後に得られたカーボンブラックを、実施例10に記載したのと同様にして調製した新しい有機酸水溶液に加えた。その後、実施例10と同様、固液分離し、純水中で撹拌し、減圧乾燥し、乾燥してカーボンブラックを得た。
実施例12
実施例11において2回目の減圧濾過後に得られたカーボンブラックを、実施例10に記載したのと同様にして調製した新しい有機酸水溶液に加えた。その後、実施例10と同様、固液分離し、純水中で撹拌し、減圧乾燥し、乾燥してカーボンブラックを得た。
比較例8
1リットルビーカーに純水950g(23℃)を加えた後、ホモミキサー(350rpm)で攪拌しながらカーボンブラック(ケッチェンブラックEC600JD)50g(乾燥重量)を加え、以下、実施例1〜3と同様の手順でカーボンブラック粉末を得た。
結果を下記表5に示す。
Figure 0005429942
実施例13
1リットルビーカーに純水940g(23℃)を加えた後、ホモミキサー(350rpm)で攪拌しながら有機酸10gを少量ずつ加えていき、全量を添加した段階で、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC600JD)50g(乾燥重量)を加え、以下、実施例1〜3と同様の手順でカーボンブラック粉末を得た。
比較例10
クエン酸を用いて実施例13と同様の手順でカーボンブラック粉末を得た。
結果を下記表6に示す。
Figure 0005429942

Claims (4)

  1. カーボンブラック水性分散液から金属を除去することにより精製カーボンブラックを製造する方法であって、
    鉄の含有量が100ppm以下であるカーボンブラックと、グリコール酸及びマロン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機酸とを、水性分散媒中で接触させて鉄を除去する工程を含む精製カーボンブラックの製造方法。
  2. 前記カーボンブラック水性分散液中のカーボンブラックの含有割合が0.5〜30質量%である請求項1記載の精製カーボンブラックの製造方法。
  3. 前記有機酸として少なくともマロン酸を含む請求項1又は2記載の精製カーボンブラックの製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れかの方法により製造した精製カーボンブラックを含む二次電池の電極。
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