JP5429922B2 - ポリイミド微粒子凝集体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミド微粒子凝集体の製造方法等に関するものであり、更に詳しくは、ポリアミド酸を溶解させたポリアミド酸溶液を、臨界温度以上で前記有機溶媒と相溶し、該臨界温度以下では相溶しない前記ポリアミド酸の貧溶媒に注入して作製したポリアミド酸微粒子を、化学イミド化した後、得られるポリイミド微粒子分散液を、前記臨界温度以下の温度に設定して前記有機溶媒と貧溶液を相分離させる操作を行い、その液−液界面で凝集、生成させたポリイミド微粒子凝集体を分離・回収、乾燥することからなるポリイミド微粒子凝集体の製造方法及びその製品に関するものである。
一般に、ポリイミドは、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性、電気絶縁性等が優れていて、しかも化学的及び機械的に安定な材料であることから、多くの技術分野で利用されている。これらの特性を有するポリイミドは、例えば、金属、セラミックス代替材料としても利用される他、特に、過酷な条件下で用いられる電気、電子産業分野、航空宇宙産業分野等において、例えば、フイルム、ワニス、接着剤、バルク状成型材料等として利用されている。また、ポリイミドを微粒子化した材料は、前記ポリイミドの特性とその形状及び構造との組み合わせにより、新しい利用の形態が広がる傾向となっている。
例えば、微粒子化したポリイミドは、画像形成用の粉末トナーの添加剤として利用されている(特許文献1)。また、微粒子化したポリイミドは、ワニスに添加して、スクリーン印刷性を向上させる添加剤として利用されている(特許文献2)。更に、ポリイミドに機能性の基を導入すること及びその微粒子化を組み合わせることによる新しいポリイミドの用途が提案されている(特許文献3)。
微粒子化したポリイミドを製造する方法としては、先行技術として、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとをDMA(ジメチルホルムアミド)等の溶媒中で反応させ、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸のワニスを調製し、このワニスからポリイミド微粒子を沈澱法により製造する方法が提案されている(特許文献4)。
また、他の先行技術として、加熱重合したポリアミド酸の溶液を調製し、この溶液をポリマー不溶溶媒中に入れ、生成した沈澱を回収した後、これを加熱閉環してイミド化する方法が知られている。この方法では、重合が進行するにしたがって、沈澱生成したポリイミド微粒子が合一化又は凝集を起こすため、単分散の微細なポリイミド微粒子が得られないという問題があった。また、単分散の微細なポリイミド微粒子を得ようとすると、イミド化した後に、機械的に粉砕する必要があるという問題があった。
また、他の先行技術として、4,4’−オキシジアニリン(ODA)と、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)とを、N−メチル−2−ピロリジノン中で付加重合反応させた得られたPAA(ポリアミド酸)のNMP溶液を、シクロヘキサン/二硫化炭素(CS)(99.8:0.2容量%)混合溶液中に注入して再沈させる方法が知られている。
そして、この方法により、100nm程度の球状のPPA微粒子が得られたこと、得られたPAAの粒径は、貧溶媒の温度が20℃前後で大きく変化すること、等が知られている。しかしながら、該方法では、貧溶媒の温度と粒度分布との関係、得られた微粒子PAAから、前記ポリアミド酸の粒径を保持した微粒子としてのポリイミド微粒子を、粉砕処理等の後処理を必要とせずに、製造する条件については、何も言及されていない。
また、他の先行技術として、ポリアミド酸を、極性アミド系溶媒に溶かした溶液を、ポリアクリル酸エステル系の顔料表面処理剤を加え、温度を制御した貧溶媒中へ、マイクロシリンジを通して注入することにより、平均粒径44nmの単分散に近いポリアミド酸微粒子分散液を作製する方法、そして、化学イミド化工程で、該ポリアミド酸微粒子分散液に無水酢酸/ピリジン混合溶媒を加え、撹拌することにより、平均粒径44nmの単分散に近いポリイミド微粒子を作製する方法、が提案されている(特許文献5)。
しかしながら、本発明者らによって提案された前記方法では、ポリアミド酸微粒子を分散液として作製し、これをポリアミド酸微粒子分散液の状態で、化学イミド化してポリイミド微粒子を作製するものであり、前記先行技術文献には、前記ポリアミド酸微粒子分散液から微粒子を分離・回収することについては何も記載されていない。そして、前記方法では、単分散に近いポリイミド微粒子が作製されているが、粒子径が非常に小さいことと、分散液中の微粒子含有量が低いことから、該微粒子は、ろ過手段での分離はできず、遠心分離や溶媒蒸発手段での分離では、時間効率が悪く、分離・回収には、非常に時間がかかるという問題がある。
また、他の先行技術として、アルカリ金属塩を所定量含有するポリアミド酸の溶液を、貧溶媒に注入して、再沈澱により孔質性ポリアミド酸微粒子を形成させ、該孔質性ポリアミド酸微粒子をイミド化することにより、孔質性ポリイミド微粒子を再現性良く製造する方法、が提案されている(特許文献6)。
また、他の先行技術として、希土類イオン又は遷移金属イオンを生成する化合物を含有するポリアミド酸の溶液又はポリアミド酸溶液に色素を溶解した溶液を貧溶媒に注入して、前記希土類イオン、遷移金属イオン又は色素を含有したポリアミド酸微粒子を再沈澱法により形成させ、イミド化することにより、希土類イオン、遷移金属イオン又は色素を含有するポリイミド微粒子を製造する方法、が提案されている(特許文献7)。
更に、他の先行技術として、ポリアミド酸溶液を貧溶媒に注入することによって、ポリアミド酸溶液にアルカリ金属のハロゲン化物塩を添加して孔質性ポリアミド酸微粒子を形成し、イミド化処理を施して、孔質性ポリアミド酸微粒子を製造する方法、が提案されている(特許文献8)。
このように、従来、ポリアミド酸溶液を貧溶媒に注入することによって、粒径が制御された平均粒径44nmの単分散に近いポリイミド微粒子を製造するための再沈法によるポリイミド微粒子の製造方法、該方法を利用して、孔質性ポリアミド酸微粒子を製造すること、また、孔質性ポリイミド微粒子を製造すること、更に、機能性を有するポリイミド微粒子を製造すること、等が提案されている。
しかしながら、前記方法では、単分散に近いポリイミド微粒子は「分散液」の状態で得られること、粒子径が非常に小さいこと、分散液中の微粒子含有量が低いこと、等から、該微粒子は、ろ過での分離はできず、また、遠心分離、及び溶媒蒸発手段での分離では分離・回収の時間効率が非常に悪く、大量生産が難しいこと、また、これまで、単分散の形態で分散媒に再分散することが可能なポリイミド微粒子を作製することは困難とされていたこと等から、当技術分野においては、分散媒に再分散させることが可能なポリイミド微粒子を大量に、かつ簡便に作製することを可能とする新しいポリイミド微粒子の製造技術を開発し、確立することが強く要請されていた。
特開平11−237760号公報 特開2000−178506号公報 特開2000−248063号公報 特開2000−248063号公報 特開2003−252990号公報 特開2004−196869号公報 特開2005−68329号公報 特開2006−233023号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、単分散の形態で分散媒に再分散させることが可能なポリイミド微粒子の凝集体及びその製造技術を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、再沈法によりポリアミド酸微粒子分散液を作製し、化学イミド化した後、有機溶媒と貧溶媒を相分離させる操作を行い、その液−液界面にポリイミド微粒子を凝集、生成させ、これを分離・回収、乾燥することで所期の目的を達成することができることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
本発明は、ポリアミド酸から再沈法によりポリアミド酸微粒子分散液を作製し、化学イミド化した後、有機溶媒と貧溶媒を相分離させ、液−液界面にポリイミド微粒子を凝集、生成させる方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、前記方法により生成させたポリイミド微粒子凝集体を簡便な分離操作により高い時間効率で分離・回収して、乾燥することにより、ポリイミド微粒子凝集体を大量に高効率で製造する方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、前記方法により作製した、単分散の形態で分散媒に再分散可能なポリイミド微粒子凝集体製品を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)有機溶媒に、ポリアミド酸を溶解させたポリアミド酸溶液を、臨界温度以上で前記有機溶媒と相溶し、該臨界温度以下では相溶しない前記ポリアミド酸の貧溶媒に貧溶媒温度が臨界温度以上の条件で注入して作製されるポリアミド酸微粒子を化学イミド化して得られるポリイミド微粒子分散液を、1)前記臨界温度以下の温度に設定して前記有機溶媒と貧溶媒を相分離させる操作を行うこと2)前記臨界温度が、前記貧溶媒の凝固点以上、沸点以下であること、3)次いで、その液−液界面でポリイミド微粒子を凝集させて、ポリイミド微粒子凝集体を生成させ、前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収した後、乾燥すること、を特徴とするポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
)前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収する手段として、貧溶媒を除去した後、ろ過、遠心分離、又は溶媒蒸発する方法を用いる、前記(1)に記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
)前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収する手段として、貧溶媒を除去した後、凝集剤として水を添加し、ろ過、遠心分離、又は溶媒蒸発する方法を用いる、前記(1)に記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
)前記有機溶媒が、少なくとも50%のアミド系溶媒を含む溶媒である、前記(1)から()のいずれかに記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
)前記貧溶媒が、パラフィン炭化水素、芳香族炭化水素、二硫化炭素、又はこれらの2種以上の混合物である、前記(1)から()のいずれかに記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
)分散媒に再分散可能なポリイミド微粒子凝集体である、前記(1)から()のいずれかに記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
)前記分散媒が、アルコール、ケトン、パラフィン炭化水素、環式炭化水素、アミド、アミン、エステル、エーテル、非プロトン性溶媒、又はこれらの混合溶剤である、前記()に記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
)前記(1)から()のいずれかに記載の方法で作製してなる、ナノサイズの球状のポリイミド微粒子からなるポリイミド微粒子凝集体(但し、多重リーフ片の集合したリーフ構造を含まない。)であって、分散媒に単分散の形態で再分散可能な特性を有することを特徴とするポリイミド微粒子凝集体。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、分散媒に再分散可能なポリイミド微粒子凝集体を製造する方法であって、有機溶媒に、ポリアミド酸を溶解させたポリアミド酸溶液を、臨界温度以上で前記有機溶媒と相溶し、該臨界温度以下では相溶しない前記ポリアミド酸の貧溶媒に貧溶媒温度が臨界温度以上の条件で注入して、ポリアミド酸微粒子を作製し、化学イミド化した後、得られるポリイミド微粒子分散液を、前記臨界温度以下の温度に設定して前記有機溶媒と貧溶媒を相分離させ、液−液界面でポリイミド微粒子を凝集させて、ポリイミド微粒子凝集体を生成させ、前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収した後、乾燥することを特徴とするものである。
本発明では、前記臨界温度が、前記貧溶媒の凝固点以上、沸点以下であること、前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収する手段として、貧溶媒を除去した後、ろ過、遠心分離、又は溶媒蒸発する方法を用いること、及び/又は貧溶媒を除去した後、更なる凝集剤として水を添加し、ろ過、遠心分離、又は溶媒蒸発する方法を用いること、を好ましい実施の態様としている。
また、本発明では、前記有機溶媒が、少なくとも50%のアミド系溶媒を含む溶媒であること、前記貧溶媒が、パラフィン炭化水素、芳香族炭化水素、二硫化炭素、又はこれらの2種以上の混合物であること、を好ましい実施の態様としている。
本発明では、有機溶媒に、ポリアミド酸を溶解させたポリアミド酸溶液が使用されるが、ポリアミド酸(すなわち、アミック酸)の溶媒としては、有機極性溶媒が使用される。該有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)等が例示される。
前記有機溶媒としては、これらのうち、少なくとも50%のアミド系溶媒を含む溶媒であることが好ましく、極性のアミド系溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドを含む溶媒が好ましい。ポリアミド酸溶液の濃度は、生成する粒子サイズに影響する重要なファクターであり、特に、ポリアミド酸の分子量が大きいほど、溶液の濃度の影響が大きい。ポリアミド酸溶液の濃度は、例えば、分子量が大きい場合には、0.5重量%前後が好ましい。
本発明において、ポリアミド酸微粒子の形成には、貧溶媒の条件が重要である。この貧溶媒としては、例えば、デカリン、シクロヘキサン、ヘキサン(パラフィン系)、ベンゼン、トルエン(芳香族系)、二硫化炭素、又はこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられ、特に、パラフィン系が好ましい。
ポリアミド酸微粒子を形成させる貧溶媒としては、具体例としては、例えば、シクロヘキサン等の貧溶媒中に、ポリアクリル酸エステル系の高分子界面活性剤(例えば、アクリディックシリーズ、例えば、A1381(商品名)の顔料表面処理剤、大日本インキ社製)を0.1±0.1重量%添加したものが、好ましいものとして例示される。
貧溶媒の温度は、所望の平均粒径のポリアミド酸微粒子を製造するために重要な条件であり、20℃以上の温度が、目的とするポリアミド酸微粒子を形成させるために好ましく、単分散性を向上させるには、40±10℃が好ましい。
貧溶媒の撹拌条件及びポリアミド酸溶液の注入条件も、ポリアミド酸微粒子の形成に重要な条件であり、具体的には、例えば、1500±500rpm程度という激しく撹拌した貧溶媒中に、ポリアミド酸溶液を供給口の内径φが0.05mm〜0.2mmのマイクロシリンジから供給することが好ましいものとして例示される。
本発明で使用されるポリイミドの分子量は、基本的には、ポリイミド微粒子の用途との関連で適宜選択されるが、所望の粒径の微粒子を安定的に製造するためには、平均分子量(重量)が48000〜123000の範囲にあることが好ましい。
本発明において、ポリイミド微粒子分散液の作製過程で使用したポリアミド酸と、該ポリアミドから熱又は化学イミド化して得られるポリイミドの反応過程及びそれらの構造を図1に示す。本発明では、再沈法を利用してポリイミド酸微粒子分散液を作製し、熱又は化学イミド化によりポリイミド微粒子分散液を作製する。図2に、再沈法によるポリイミド微粒子分散液の作製工程を示す。
本発明では、ポリアミド酸溶液を貧溶媒中に注入し、再沈法によりポリアミド酸微粒子分散液を作製する。この場合、貧溶媒を撹拌しながらポリアミド酸溶液を注入することが好ましく、また、注入するポリアミド酸溶液にポリアクリル酸エステル系の中性高分子界面活性剤を含有させることにより、作製したポリアミド酸微粒子の分散性を向上させることができる。
ポリアミド酸溶液を調製するための有機溶媒としては、例えば、アセトン、クロロホルム、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)等から選択されるいずれかの溶媒を用いることができる。
次に、得られたポリアミド酸微粒子分散液に、例えば、ピリジン、無水酢酸混合溶液を添加し、撹拌下、化学イミド化してポリイミド微粒子分散液を作製する。このイミド化工程は、化学イミド化を施した後、熱イミド化を行うことも可能である。この場合、好適には、例えば、ピリジン/無水酢酸のモル比が約1/1の混合溶液約0.1ml程度を、撹拌下に加えて、数時間保持して化学イミド化を行い、また、約250℃程で数時間保持して熱イミド化を行うことができる。
前記ポリアミド酸の溶媒と臨界温度以上で相溶性を持ち、該臨界温度以下では相溶性を持たない前記ポリアミド酸の貧溶液としては、例えば、ヘキサン(脂肪族系)、デカリン、シクロヘキサン(脂環式系)、ベンゼン、トルエン(芳香族系)、水、アルコール系、二硫化炭素、又はこれらの2種以上の混合溶媒を用いることができる。
本発明では、貧溶媒として、該貧溶媒の凝固点以上、沸点以下である臨界温度以上で前記有機溶媒と相溶し、該臨界温度以下では相溶しない貧溶媒が用いられる。貧溶媒の温度としては、室温の条件で良いが、温度条件を制御することにより、生成する微粒子の粒径を制御することが可能であり、貧溶媒の温度を適宜調整することにより、所望の粒径のポリアミド酸微粒子を作製することができる。
次に、本発明では、ポリイミド微粒子を形成するために用いるテトラカルボン酸又はその二無水物として、例えば、3,3’−4−4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、3,3’−4−4’−テトラカルボキシビフェニル、2,2−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、及びこれらの二無水物が例示される。
また、前記テトラカルボン酸又はその二無水物と反応してポリイミド前駆体のイミド酸を形成し、その後のイミド化等でポリイミドを形成するために、ジアミンとして、例えば、4,4’−ジアミンジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ジアミンベンゼン、4,4’−メチレンビス(メチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(エチルシクロヘキシルアミン)等が用いられる。
本発明では、前記工程で作製したポリイミド微粒子分散液を、前記臨界温度以下に設定する操作を行うことで、前記有機溶媒と貧溶媒を相分離させ、その液−液界面でポリイミド微粒子を凝集させて、ポリイミド微粒子凝集体を生成させる。本発明では、前記有機溶媒と貧溶媒の液−液界面でポリイミド微粒子を凝集させることで、ポリイミド微粒子凝集体を生成させる工程が重要である。次いで、生成させたポリイミド微粒子凝集体を該ポリイミド微粒子凝集体を分離できる分離手段を用いて分離・回収し、乾燥処理することにより、ポリイミド微粒子凝集体を作製する。
この場合、前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収する方法として、例えば、前記ポリイミド微粒子分散液を、前記臨界温度以下に設定する操作を行い、前記ポリイミド微粒子分散液を前記貧溶媒の凝固点以下に冷却する処理を施して、前記有機溶媒と貧溶媒を相分離させる操作を行い、これを二層に分離させ、更に、上層を除去した後、例えば、フィルターで減圧ろ過する方法、遠心分離操作で分離する方法、溶媒蒸発により分離する方法等が好適なものとして例示される。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと同効の手段であれば同様に使用することができる。次に、回収したポリイミド微粒子凝集体に、真空乾燥等により乾燥処理する操作を施すことで、目的のポリイミド微粒子凝集体が得られる。
本発明では、有機溶媒と貧溶媒を相分離させる操作を行い、ポリイミド微粒子分散液からポリイミド微粒子凝集体を生成させ、ポリイミド微粒子を凝集体にしたこと、そして、前記操作で分散液を相分離させること、が重要である。それにより、上層の貧溶媒層には微粒子はほぼ存在しない状態となり、上層を除去することで微粒子の回収処理をするための液体の体積を1/10以下にすることが可能となる。これらによって、ポリイミド微粒子凝集体を、ろ過、遠心分離又は溶媒蒸発手段により、高い時間効率で、大量に製造することが実現可能となる。これらのことは、当技術分野においては、ポリイミド微粒子を大量に生産及び供給する生産体制を確立することを可能にするものとして高い技術意義を有する。
ポリイミド微粒子分散液に含まれるポリイミド微粒子を単に凝集させただけでは、分散媒に再分散させることが可能なポリイミド微粒子凝集体を取得することはできない。本発明では、ポリイミド微粒子分散液に含まれるポリイミド微粒子を単純に凝集させるのではなく、ポリイミド微粒子分散液を、該分散液を構成する貧溶媒の臨界温度以下の温度に設定して有機溶媒と貧溶媒を相分離させる操作を行い、その液−液界面でポリイミド微粒子を凝集させて、ポリイミド微粒子凝集体を生成させることが重要である。
そして、それにより、上層の貧溶媒層にはポリイミド微粒子はほとんど存在しない状態とした上で、上層を除去することで、ポリイミド微粒子凝集体の分離・回収処理をするための液体の体積を1/10以下にすることが可能となり、それにより、ポリイミド微粒子凝集体の分離・回収操作に要する負担を大幅に軽減して、ポリイミド微粒子凝集体を大量に製造することが可能となる。しかも、得られたポリイミド微粒子凝集体は、従来法で取得されるポリイミド微粒子の凝集体とは異なり、分散媒に単分散の形で再分散させることが可能であるという格別の利点を有している。
本発明の製造方法では、例えば、貧溶媒の温度条件を制御することにより、粒径及び粒度分布が制御されたポリアミド酸微粒子分散体を作製することが可能であり、該ポリアミド酸微粒子分散液を用いることにより、ポリイミド微粒子凝集体を作製することが可能である。また、本発明では、例えば、アルカリ金属塩を含有するポリアミド酸を用いることにより、20nm〜500nmの孔径、0.1%〜30%の孔率を保持した孔質性ポリアミド酸微粒子分散液を作製することが可能であり、該孔質性ポリアミド酸微粒子分散液を用いることにより、孔質性ポリイミド微粒子凝集体を作製することが可能である。
また、本発明では、例えば、希土類イオン、遷移金属イオン又は色素を配合したポリアミド酸を用いることにより、各配合成分の機能を発揮する機能性ポリアミド酸微粒子分散液を作製することが可能であり、該機能性ポリアミド酸微粒子分散液を用いることにより、機能性ポリイミド微粒子凝集体を作製することが可能である。特に、本発明では、貧溶媒の温度条件を調整することにより、生成する微粒子の粒径を制御することが可能であり、それにより、ナノサイズのポリイミド微粒子凝集体を作製し、提供することができる。
従来、先行技術として、ポリアミド酸を原料として、再沈法によりポリアミド酸微粒子分散液を作製すること、及び該ポリアミド酸微粒子分散液から、これをイミド化して、ポリイミド微粒子分散液を作製することが報告されている。しかし、従来、前記ポリイミド微粒子分散液から、ポリイミドを凝集させたとしても、凝集させたポリイミド微粒子を短分散の形態で再分散させることは困難であった。また、前記ポリアミド酸微粒子分散液、ポリイミド微粒子分散液は、取扱いが簡便ではなく、その結果、ポリイミド微粒子を量産し、供給する生産体制を確立することが困難な状況にあった。
これに対して、本願発明では、有機溶媒に、ポリアミド酸を溶解させたポリアミド酸溶液から作製されるポリイミド微粒子分散液を、臨界温度以上で有機溶媒と相溶し、該臨界温度以下では相溶しない前記ポリアミド酸の貧溶媒の凝固点以下の温度に設定し、前記有機溶媒と貧溶媒を相分離させ、その液−液界でポリイミド微粒子を凝集させて、ポリイミド微粒子凝集体を生成させることを可能とし、それにより、本願発明のポリイミド微粒子凝集体の製造方法を確立することが現実可能となった。前記ポリイミド微粒子分散液から、ポリイミド微粒子凝集体を生成させ、しかも、それを、再分散可能なポリイミド微粒子凝集体として分離・回収することが如何に困難であったかは、従来、そのような形態の製品は全く存在しなかったことからも明らかである。本願発明は、再分散可能なポリイミド微粒子凝集体の製造方法を確立すると共に、該再分散可能なポリイミド微粒子凝集体の大量製造及び供給技術を確立することを可能としたものとして、高い有用性を有するものである。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)ポリイミド微粒子分散液から、単分散の形態で分散媒に再分散可能なポリイミド微粒子凝集体を製造する方法を提供することができる。
(2)前記方法で作製した、単分散の形態で分散媒に再分散可能なポリイミド微粒子凝集体を提供することができる。
(3)本発明のポリイミド微粒子凝集体は、各種の分散媒に再分散可能であり、本発明によるポリイミド微粒子凝集体を大量供給することが可能となる。
(4)本発明のポリイミド微粒子凝集体は、多様な種類の分散媒に単分散の形態で再分散可能であり、使用目的に応じた製品を容易に構成することができる。
(5)本発明により、例えば、粒径5〜10000nmのナノサイズのポリイミド微粒子を大量供給することを可能とする生産及び供給技術を確立することができる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンの重合により得られたポリアミド酸(分子量:90000)を、ピリジンを5重量%含むN,N−ジメチルアセトアミド混合溶媒に1質量%の濃度で溶解した。この溶液200mlを、1000rpmの撹拌条件下で、無脈流ポンプを用いて、流量100ml/分で中性高分子界面活性剤(アクリディック、大日本インキ化学工業社製)を0.5質量%含有する50℃、2Lのヘキサンに注入して、ポリアミド酸微粒子の分散液を得た。
こうして得られたポリアミド酸微粒子分散液に、ピリジン/無水酢酸のモル比が1/1の混合溶液20mlを撹拌下加えて、約2時間保持することによって、化学イミド化を完了させ、ポリイミド微粒子分散液を得た(図3)。
得られたポリイミド微粒子分散液を室温の温度に設定し、自然冷却させ、有機溶媒と貧溶媒を二層に分離させる相分離の操作を行い、その液−液界面にポリイミド微粒子を凝集、生成させた(図4)。前記操作で分散液を相分離させることで、上層の貧溶媒層には微粒子はほぼ存在しない状態とした。次に、上層を除去することで微粒子の回収処理をするための液体の体積を1/10以下にした後、蒸留水10mlを添加することで前記凝集体を沈降させ、孔径1μmのフィルターで減圧ろ過する方法により前記凝集体を分離し、回収した。次に、得られた凝集体を真空乾燥処理することにより、ポリイミド微粒子凝集体を得た(図5)。
得られたポリイミド微粒子凝集体は、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、ピリジン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドに良好に単分散の形態で再分散した。その様子を図6、7に示す。また、アセトンに再分散させた微粒子分散液をガラス板へキャストし、乾燥した後の電子顕微鏡写真を図8に示す。
ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの重合により得られたポリアミド酸を、N,N−ジメチルアセトアミドに1.5質量%の濃度で溶解した。この溶液mlを、1500rpmの撹拌条件下で、マイクロシリンジを用いて中性高分子界面活性剤(アクリディック、大日本インキ化学工業社製)を0.1質量%含有する40℃、10mlのヘキサンに注入して、ポリアミド酸微粒子の分散液を得た。
こうして得られたポリアミド酸微粒子分散液に、ピリジン/無水酢酸のモル比が1/1の混合溶液0.1mlを撹拌下加えて、約2時間保持することによって、化学イミド化を完了させ、ポリイミド微粒子分散液を得た。
得られたポリイミド微粒子分散液を室温の温度に設定し、自然冷却させ、有機溶媒と貧溶媒を二層に分離させる相分離の操作を行い、その液−液界面にポリイミド微粒子を凝集、生成させた。前記操作で分散液を相分離させることで、上層の貧溶媒層には微粒子はほぼ存在しない状態とした。次に、上層を除去することで微粒子の回収処理をするための液体の体積を1/10以下にした後、遠心分離操作を行い、分散媒を除去し、真空乾燥処理を行うことにより、ポリイミド微粒子凝集体を得た。
得られたポリイミド微粒子凝集体は、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、ピリジン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドに良好に単分散の形態で再分散した。得られた粒子の電子顕微鏡写真を図9に示す。
ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの重合により得られたポリアミド酸を、N−メチル−2−ピロリドンに1.0質量%の濃度で溶解した。この溶液200mlを、1000rpmの撹拌条件下で、無脈流ポンプを用いて、流量100ml/分で中性高分子界面活性剤(アクリディック、大日本インキ化学工業社製)を0.5質量%含有する50℃、2Lのヘキサンに注入して、ポリアミド酸微粒子の分散液を得た。
こうして得られたポリアミド酸微粒子分散液に、ピリジン/無水酢酸のモル比が1/1の混合溶液20mlを撹拌下加えて、約2時間保持することによって、化学イミド化を完了させ、ポリイミド微粒子分散液を得た。
得られたポリイミド微粒子分散液を室温の温度に設定し、自然冷却させ、有機溶媒と貧溶媒を二層に分離させる相分離の操作を行い、その液−液界面にポリイミド微粒子を凝集、生成させた。前記操作で分散液を相分離させることで、上層の貧溶媒層には微粒子はほぼ存在しない状態とした。次に、上層を除去することで微粒子の回収処理をするための液体の体積を1/10以下にした後、蒸留水10mlを添加することで前記凝集体を沈降させ、孔径1μmのフィルターで減圧ろ過する方法により前記凝集体を分離し、回収した。次に、得られた凝集体を真空乾燥処理することにより、ポリイミド微粒子凝集体を得た。
得られたポリイミド微粒子凝集体は、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、ピリジン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドに良好に単分散の形態で再分散した。得られた粒子の電子顕微鏡写真を図10に示す。
ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの重合により得られたポリアミド酸を、アセトンを20重量%含むN−メチル−2−ピロリドン混合溶媒に1.0質量%の濃度で溶解した。この溶液200mlを、1000rpmの撹拌条件下で、無脈流ポンプを用いて、流量100ml/分で中性高分子界面活性剤(アクリディック、大日本インキ化学工業社製)を0.5質量%含有する50℃、2Lのヘキサンに注入して、ポリアミド酸微粒子の分散液を得た。
こうして得られたポリアミド酸微粒子分散液に、ピリジン/無水酢酸のモル比が1/1の混合溶液20mlを撹拌下加えて、約2時間保持することによって、化学イミド化を完了させ、ポリイミド微粒子分散液を得た。
得られたポリイミド微粒子分散液を室温の温度に設定し、自然冷却させ、有機溶媒と貧溶媒を二層に分離させる相分離の操作を行い、その液−液界面にポリイミド微粒子を凝集、生成させた。前記操作で分散液を相分離させることで、上層の貧溶媒層には微粒子はほぼ存在しない状態とした。次に、上層を除去することで微粒子の回収処理をするための液体の体積を1/10以下にした後、蒸留水10mlを添加することで前記凝集体を沈降させ、孔径1μmのフィルターで減圧ろ過する方法により前記凝集体を分離し、回収した。次に、得られた凝集体を真空乾燥処理することにより、ポリイミド微粒子凝集体を得た。
得られたポリイミド微粒子凝集体は、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、ピリジン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドに良好に単分散の形態で再分散した。得られた粒子の電子顕微鏡写真を図11に示す。
ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの重合により得られたポリアミド酸を、ピリジンを33重量%含むN,N−ジメチルアセトアミド混合溶媒に1.5質量%の濃度で溶解した。
この溶液mlを、1500rpmの撹拌条件下で、無水酢酸0.05mlを添加した中性高分子界面活性剤(アクリディック、大日本インキ化学工業社製)を0.1質量%含有する50℃、10mlのヘキサンにマイクロシリンジを用いて注入して、約2時間保持することによって、化学イミド化を完了させ、ポリイミド微粒子分散液を得た。
得られたポリイミド微粒子分散液を氷水条件に設定し、冷却させ、有機溶媒と貧溶媒を二層に分離させる相分離の操作を行い、その液−液界面にポリイミド微粒子を凝集、生成させた。前記操作で分散液を相分離させることで、上層の貧溶媒層には微粒子はほぼ存在しない状態とした。次に、上層を除去することで微粒子の回収処理をするための液体の体積を1/10以下にした後、遠心分離操作を行い、分散媒を除去し、真空乾燥処理を行うことにより、ポリイミド微粒子凝集体を得た。
得られたポリイミド微粒子凝集体は、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、ピリジン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドに良好に単分散の形態で再分散した。得られた粒子の電子顕微鏡写真を図12に示す。
3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンの重合により得られたポリアミド酸(分子量:90000)をN−メチル−2−ピロリドンに1質量%の濃度で溶解した。
この溶液mlを、1500rpmの撹拌条件下で、マイクロシリンジを用いて中性高分子界面活性剤(アクリディック、大日本インキ化学工業社製)を0.1質量%含有する50℃、10mlのヘキサンに注入して、ポリアミド酸微粒子の分散液を得た。
こうして得られたポリアミド酸微粒子分散液に、ピリジン/無水酢酸のモル比が1/1の混合溶液0.1mlを撹拌下加えて、約2時間保持することによって、化学イミド化を完了させ、ポリイミド微粒子分散液を得た。
得られたポリイミド微粒子分散液を室温の温度に設定し、自然冷却させ、有機溶媒と貧溶媒を二層に分離させる相分離の操作を行い、その液−液界面にポリイミド微粒子を凝集、生成させた。前記操作で分散液を相分離させることで、上層の貧溶媒層には微粒子はほぼ存在しない状態とした。次に、上層を除去することで微粒子の回収処理をするための液体の体積を1/10以下にした後、遠心分離操作を行い、分散媒を除去し、真空乾燥処理を行うことにより、ポリイミド微粒子凝集体を得た。
得られたポリイミド微粒子凝集体は、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、ピリジン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドに良好に単分散の形態で再分散した。
以上詳述したように、本発明は、ポリイミド微粒子凝集体の製造方法に係るものであり、本発明により、ポリイミド微粒子分散液から、分散媒に再分散可能なポリイミド微粒子凝集体を製造する方法を提供することができる。また、本発明により、前記方法で作製した、分散媒に再分散可能なポリイミド微粒子凝集体を提供することができる。本発明のポリイミド微粒子凝集体は、分散媒に単分散の形態で再分散可能であり、本発明に係るポリイミド微粒子を大量供給することが可能となる。本発明のポリイミド微粒子凝集体は、多様な種類の分散媒に単分散の形態で再分散可能であり、使用目的に応じた製品を容易に構成することができる。本発明は、例えば、粒径5〜10000nmのナノサイズのポリイミド微粒子を大量供給することを可能とするものとして有用である。
本発明で使用したポリアミド酸、ポリイミドの構造を示す。 本発明におけるポリイミドナノ粒子分散液の作製工程を示す。 化学イミド化を完了させて得られたポリイミド微粒子分散液を示す。 分散媒が二層に分離し、液−液界面に凝集、生成させたポリイミド微粒子凝集体を示す。 真空乾燥して得られたポリイミド微粒子凝集体を示す。 ポリイミド微粒子凝集体を分散媒に再分散させた微粒子分散液を示す。 ポリイミド微粒子凝集体を分散媒に再分散させた微粒子分散液を示す。 微粒子分散液をガラス板へキャスト、乾燥した後の電子顕微鏡写真を示す。 再分散させた微粒子分散液の粒子の電子顕微鏡写真を示す。 再分散させた微粒子分散液の粒子の電子顕微鏡写真を示す。 再分散させた微粒子分散液の粒子の電子顕微鏡写真を示す。

Claims (8)

  1. 有機溶媒に、ポリアミド酸を溶解させたポリアミド酸溶液を、臨界温度以上で前記有機溶媒と相溶し、該臨界温度以下では相溶しない前記ポリアミド酸の貧溶媒に貧溶媒温度が臨界温度以上の条件で注入して作製されるポリアミド酸微粒子を化学イミド化して得られるポリイミド微粒子分散液を、1)前記臨界温度以下の温度に設定して前記有機溶媒と貧溶媒を相分離させる操作を行うこと2)前記臨界温度が、前記貧溶媒の凝固点以上、沸点以下であること、3)次いで、その液−液界面でポリイミド微粒子を凝集させて、ポリイミド微粒子凝集体を生成させ、前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収した後、乾燥すること、を特徴とするポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
  2. 前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収する手段として、貧溶媒を除去した後、ろ過、遠心分離、又は溶媒蒸発する方法を用いる、請求項1に記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
  3. 前記ポリイミド微粒子凝集体を分離・回収する手段として、貧溶媒を除去した後、凝集剤として水を添加し、ろ過、遠心分離、又は溶媒蒸発する方法を用いる、請求項1に記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
  4. 前記有機溶媒が、少なくとも50%のアミド系溶媒を含む溶媒である、請求項1からのいずれかに記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
  5. 前記貧溶媒が、パラフィン炭化水素、芳香族炭化水素、二硫化炭素、又はこれらの2種以上の混合物である、請求項1からのいずれかに記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
  6. 分散媒に再分散可能なポリイミド微粒子凝集体である、請求項1からのいずれかに記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
  7. 前記分散媒が、アルコール、ケトン、パラフィン炭化水素、環式炭化水素、アミド、アミン、エステル、エーテル、非プロトン性溶媒、又はこれらの混合溶剤である、請求項に記載のポリイミド微粒子凝集体の製造方法。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の方法で作製してなる、ナノサイズの球状のポリイミド微粒子からなるポリイミド微粒子凝集体(但し、多重リーフ片の集合したリーフ構造を含まない。)であって、分散媒に単分散の形態で再分散可能な特性を有することを特徴とするポリイミド微粒子凝集体。
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