以下、本発明に係る遊技機の実施形態として、遊技場等に設置されるパチンコ機PMを図面に沿って説明する。なお、本実施形態は、所謂第1種パチンコ機の機能を備えたパチンコ機を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限らず、所謂第2種パチンコ機の機能を備えるパチンコ機(所謂、羽根モノ)などにも適用し得る。
本パチンコ機(遊技機)PMは、遊技球Baを打ち出して遊技し得る遊技領域PAを形成する遊技盤10と、該遊技盤10を保持する中枠(枠部材)30と、該中枠30に設けられた孔部59と、該孔部59に着脱自在に装着されて遊技盤10を中枠30にロックするロック位置とロック解除するロック解除位置とに切換え可能な複数(本実施形態では4個)のロックユニット56と、を備えている。
すなわち、パチンコ機PMは、図1及び図2に示すように、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、前枠2及び中枠30が取り付けられている。該前枠2は、外枠1に合わせた方形枠サイズに構成され、開閉搭載用の前枠2の左側上下部に対向するように配設されたヒンジ部材3a,3bを介して横開き開閉及び着脱を可能に取り付けられている。なお、符号4は、前枠2及び中枠30を外枠1に閉鎖状態に保持する施錠装置である。
前枠2の各部には、パチンコ遊技を展開する遊技展開部材として、前枠2の前側面域に合わせた方形状のガラス扉5及び球皿6(上皿6a,下皿6b)が、正面左側部に設けられたヒンジ機構7a,7b,7cを介して横開き開閉及び着脱可能に組付けられている。図2に示すように、パチンコ機PMは、前側から、ガラス扉5及び球皿6を含む前枠2と、中枠30と、外枠1とを備えている。球皿6の右側下部には、遊技球Baの発射操作を行う操作ハンドル8が装備されている。上皿6aの中央上部には、遊技者を弾球遊技に参加させるための遊技ボタン9が配設されている。
前枠2及び中枠30の背面には、該前枠2及び中枠30の中央部から上部にかけて後方に突出する方形枠状の収容枠28(図3参照)が取り付けられている。前枠2には、所定のゲージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5に遊技盤10正面の遊技領域PAを臨ませている。なお、外枠1及び前枠2等により遊技機本体が構成されている。ガラス扉5の前面には透明ガラス板(光透過板)12が装着されており、該透明ガラス板12により遊技盤10の前方が覆われている。透明ガラス板12と遊技盤10との間には、これら透明ガラス板12と遊技盤10とで囲まれた遊技領域PAが設けられている。
遊技盤10の遊技領域PAには、図示しない障害釘が多数打ち込まれており、遊技領域PAの中央部近傍には、センター飾り13が配設されている。該センター飾り13の中央上部には、第2大入賞装置14が配置されている。該センター飾り13は、遊技盤10の表側に配置される表側枠体(図示せず)と、該遊技盤10の裏側に配置される裏側枠体13b(図4参照)とが、該遊技盤10をその表裏から挟み込む形で結合することによって構成されるもので、第2大入賞装置14を有して遊技領域PAに配置されたユニット役物を構成している。該センター飾り13の中央部には矩形状の開口部15が形成されており、該開口部15には、遊技に関する演出表示を行う不図示の画像表示装置がその表示部を露出した状態で配置されている。
センター飾り13は、ワープ導入口16を開口部15の左側部に位置するように有しており、該ワープ導入口16は、導入した遊技球Baを、開口部15の下部に位置するステージSに導くように構成されている。ワープ導入口16から導入された遊技球は、ステージSに向けて開口する放出口24から該ステージSに放出され、該ステージS上を転がり移動した後、下方に落下して始動入賞装置(始動入賞口)に入賞し、或いは、該始動入賞装置には入賞せずに遊技領域PAに流下して下側のアウト口23から遊技盤裏面側に排出される。
遊技領域PAの下部には、電動開閉式(所謂チューリップ状)の上記始動入賞装置(始動入賞口)を配置するための開口17が形成されている。該始動入賞装置への入賞は、当たり抽選(特別図柄抽選)実行の契機となり得るものであるが、該入賞に基づく抽選結果が所定回数分保留されている状態では当たり抽選実行の契機とはならない。該始動入賞装置の直上方には、所謂命釘としての一対の障害釘18が打ち込まれている。該一対の障害釘18の間を遊技球が通過すると、該遊技球は、始動入賞装置内に設けられた入賞検出センサ(図示せず)で検出された後、遊技盤10の裏面側へ排出される。
遊技領域PAにおける上記始動入賞装置の下方には、開閉可能な蓋体19aを有する第1大入賞装置19を配設するための開口20が形成されている。該第1大入賞装置19は、大当たり遊技等の通常遊技よりも遊技者に有利となる特別遊技の実行中に、第1大入賞装置ソレノイド(図示せず)の作動で蓋体19aを所定時間ずつ(又は所定数の遊技球が入賞する毎)、所定回数(所定ラウンド)だけ開放させる。
上記第1大入賞装置19は、遊技領域PAの下部に設けられた矩形状の入賞口を有しており、蓋体19aが閉鎖状態にあるとき遊技球は該入賞口を通過することができず、開放状態になったときに該入賞口を通過することが可能となる。該入賞口を通過した遊技球は、第1大入賞装置19内に設けられた入賞検出センサ(図示せず)によって検出された後、遊技盤10の裏面側へ排出される。
遊技領域PAにおけるセンター飾り13の左方には、不図示の普通図柄作動ゲートを配設するための開口21が形成されている。該普通図柄作動ゲートは、上記チューリップ状の始動入賞装置を開閉動作させるための抽選(普通図柄抽選)の契機となる遊技球の通過が行われるものである。
また、遊技領域PAの左下部には、不図示の普通入賞装置の入賞口ユニットを配設するための開口22が設けられている。流下してくる遊技球が該普通入賞装置の普通入賞口(図示せず)を通過すると、該遊技球は、普通入賞装置内に設けられた入賞検出センサ(図示せず)で検出された後、遊技盤10の裏面側へ排出される。また、遊技領域PAの下端部には、遊技領域PAに打ち出された後、いずれの入賞装置にも入賞せずに流下してきた遊技球を遊技盤裏面側に排出するアウト口23が設けられている。なお、上述の複数の入賞検出センサ(図示せず)は、いずれも近接センサ等で構成されている。
球皿6に前面側が覆われた中枠30(図5参照)の下部領域には、遊技補助盤(図示せず)と称される補助機構部が形成されている。この遊技補助盤の各部には、発射ユニット(打球発射装置)73や、裏セット盤25(図3参照)側の賞球排出路(図示せず)と連絡され、球皿6に排出できない遊技球を一時貯留する貯留カセット(図示せず)などが設けられている。また、図3の状態から裏セット盤25や遊技盤10等を取り外すと、図6に示す状態の中枠30が出現する。なお、図1中の符号47は、操作ハンドル8の操作で打ち出された遊技球Baを遊技領域PAに案内する案内レールである。
前枠2(中枠30)の裏面側には、図3に示すように、外枠1よりもやや小型の方形枠状に形成された裏セット盤25が、複数のフック部材を介して着脱可能にセット保持されている。裏セット盤25の各部には、遊技球を貯留する球貯留タンク27、タンクレール、整列待機通路、賞球カセット、賞球排出路などの賞球装置が装備されている。更に、前枠2(中枠30)の裏面側には、パチンコ機PMの全体の制御を行う主制御基板を収容した主制御基板ケース(図示せず)と、画像表示装置の画像表示の制御等を行う演出制御基板を収容した演出制御基板ケース(図示せず)と、賞球払出ユニット70による賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース29と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース26と、が配置されている。これら各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。
図4は、本実施形態における遊技盤10を背面から見た状態で示す背面図である。図4に示すように、遊技盤10の裏面に装着された裏側枠体13bは、枠体本体31を有し、該枠体本体31の中央部に、上記開口部15を形成するための開口11を有している。更に、裏側枠体13bは、枠体本体31を遊技盤10に固定するため左右に張り出した張出部32を、左右側部に複数箇所有している。該張出部32には、遊技盤10に固定するネジ(図示せず)を挿入するための孔32aが形成されている。また、裏側枠体13bの上部には、中継基板41が装着されている。また、遊技盤10における裏側枠体13bの下側には、球排出ユニット33が取り付けられている。該球排出ユニット33には、上記開口17に配置される始動入賞口に入賞した遊技球を受け入れる受入部等が設けられている。
図5は、本実施形態における中枠をパチンコ機前側から見た状態で示す斜視図である。図5に示すように、中枠30は、ヒンジ部材3a,3bを介して外枠1にヒンジ接続されており、外枠1の開口部(不図示)を前方から塞ぐ閉位置と、外枠1の該開口部を開放する開位置と、の間で揺動開閉される。中枠30は、発射ユニット73等各種部品が装着され、外枠1の開口部を塞ぐように配置される。発射ユニット73は、球送り装置(不図示)によって上皿6aから発射位置に送り出された遊技球を遊技領域PAの上部に向けて発射(弾球)するためのものである。なお、図中の符号30aは、中枠30の開口部である。
次に、本発明の特徴であるロックユニット56等に関して、図5ないし図16を参照して詳細に説明する。
すなわち、中枠30は、図6に示す裏側において、遊技盤10を露出させるための開口部30aを中央部に有しており、該開口部30aの上部に、遊技盤10の前面上部を当接させる当接面43を有している。図6は、中枠30をパチンコ機PMの背面側から見た状態で示す斜視図である。当接面43は、中央から左右方向に弓なり状に下降する円弧状に形成されており、その中央部に及び左右の複数箇所に当接部44を有している。中枠30は、開口部30aの下部に、遊技盤10の前面下部を当接させる、左右に亘って直線状の当接面45を有している。
上記開口部30aの四隅にはそれぞれ、ロック部材40を有するロックユニット56が配設されている。各ロックユニット56では、中枠30側に一体形成された略円筒状のユニット装着部42に対して、フック状のロック部材40を含むロックユニット56(図11(a),(b)参照)が回動可能に嵌め込まれている。なお、図11(a)における一点鎖線cは、大径部62及び小径部63からなる円筒部材の軸方向を示している。
また、中枠30は、図5に示す表側において、開口部30aの上部及び下部にそれぞれ、上記ロックユニット56における軸部材71の一端部71c(図9参照)を裏面側に突出させるための縁部74を有している。なお、符号50は、中枠30を外枠1側に施錠するための鉤部を示している。
本実施形態では、図10に示すユニット装着部42に対して、図11に示すロックユニット56を挿入して装着するように構成されている。図10に示すように、ユニット装着部42は、中枠30からその裏側に突出する略円筒状に形成されており、内径の大きい大径挿入部54、及び該大径挿入部54より内径の小さい小径挿入部55を有している。大径挿入部54及び小径挿入部55により、孔部59の他端側開口部の周囲に形成されて円筒部材(62,63)の周囲を摺動自在に囲むスリーブ部が構成されている。
該スリーブ部(54,55)には、突出部64を案内規制することによりロック位置及びロック解除位置間での回動範囲を規制する切欠き52,53が形成されている。即ち、上記大径挿入部54は、その円筒状の突出壁部54aが上部中央よりもやや左側位置から右90度の位置にかけて切り欠かれて摺動面51が形成されており、該摺動面51の両端部に切欠き52,53が形成されている。
摺動面51における切欠き52の近傍にはクリック突起部57が形成されており、これら摺動面51とクリック突起部57とにより、切欠き52,53の内側に形成されてロックユニット56に対してクリック感を与えるための凹凸部が構成されている。即ち、係合摘み部61の回動操作時、クリック突起部57及び摺動面51からなる凹凸部に対し、ロック部材40のクリック係合部64a(図11参照)が通過する際に弾接係合(弾性的に係合)することで、クリック感が生成される。この際、突出部64のクリック係合部64aは、ロック位置とロック解除位置とに対応して凹凸部(51,57)に係合する。
なお、ロックユニット56及びその周辺の説明は、4箇所のうちの1箇所について説明するが、ロックユニット56はいずれもその構成及び作用については同様である。また、図6に示す4箇所のロックユニット56の状態は、遊技盤10(図6中の二点鎖線)を中枠30にロックしている状態であるが、この状態から、左上部及び右下部のロックユニット56ではロック部材40をそれぞれ時計回り方向に回動させ、また右上部及び左下部のロックユニット56ではロック部材40をそれぞれ反時計回り方向に回動させることにより、遊技盤10のロックを解除して該遊技盤10を取り外すことができる。
このように、4箇所のロックユニット56では、それぞれにロック部材40をロック位置とロック解除位置とに切換え得るように、図6における左上部のユニット装着部42の切欠き52,53は図10に示すように形成され、右上部のユニット装着部42の切欠き52,53は図10と逆の状態(鏡面に映した状態)に形成されている。また、左下部のユニット装着部42の切欠き52,53は左上部のユニット装着部42と逆の状態(鏡面に映した状態)に形成され、右下部のユニット装着部42の切欠き52,53は右上部のユニット装着部42と逆の状態(鏡面に映した状態)に形成されている。
ロックユニット56は、図9に示すように、少なくとも、孔部59(図15(b)参照)を貫通するように挿入され得る軸部材71と、該連結軸71に設けられて引掛り部82を成す係合突起72,72と、大径部62及び小径部63からなる円筒部材(図12参照)と、圧縮ばね76と、を備えている。
上記係合突起72,72は、軸部材71の一端部71cに固着され、孔部59の非円形状の断面形状(図15(b)参照)に対応した形状に形成されると共に、孔部59を通過した状態で軸部材71と共に回動された際に孔部59の一端側開口部の縁部74(図14、図16参照)に引掛る上記引掛り部82を構成している。また、大径部62及び小径部63からなる上記円筒部材は、軸部材71の他端側に回動自在に周設され、孔部59の他端側開口部の縁部58(図15(b)参照)に当接する当接面63cと外周に向けて延設された係合摘み部61とを備えている。上記圧縮ばね76は、軸部材71の他端部71bに固着された状態の六角ナット(固着部)48と円筒部材(62,63)との間に縮設され、該円筒部材(62,63)の当接面63c(図11(a)参照)を孔部59の他端側開口部の縁部58に向けて付勢する付勢部材を構成している。
このような構成を有するロックユニット56は、係合突起72,72の回動時の角度に基づき、これら係合突起72,72と上記円筒部(62,63)とにより中枠30を挟持することで該中枠30に着脱自在に取付けられると共に、係合摘み部61をロック位置に回動させて中枠30との間に遊技盤10を挟持することにより、該遊技盤10を該中枠30にロックするように構成される。
すなわち、ロックユニット56は、図11(a),(b)に示すように、全体的に鉤状に屈曲した形状を呈しており、係合摘み部61と、該係合摘み部61の上部に形成された円筒状の大径部62と、該大径部62の先端側に形成されて該大径部62よりも小径の小径部63と、を有している。係合摘み部61のユニット装着部42側を向く面には、該ユニット装着部42に挿入される遊技盤10の背面に当接して該遊技盤10を押さえ付け得るように膨出する膨出部68が形成されている。ユニット装着部42の大径挿入部54に嵌め込まれる大径部62の上部には、外径方向に突出する突出部64が形成されている。円筒部材を構成する突出部64の前部は、大径部62が大径挿入部54に嵌め込まれた状態でクリック突起部57及び摺動面51に対して係合するクリック係合部64aとされている。
図12(a),(b)に示すように、円筒状の大径部62の内方には大径挿通部65が形成され、小径部63の内方には該大径挿通部65より小径の小径挿通部66が形成されている。該小径挿通部66のユニット装着部42側には底部67が形成されており、該底部67の中心部には、軸部材71の他端部71b(図15(a)参照)を挿通させる挿通孔63aが形成されている。図11(a),(b)及び図15(a)に示すように、軸部材71の一端部71cには、中心から外径方向両側にそれぞれ突出するように、引掛り部82の係合突起72,72が形成されている。また、図12(b)に示すように、係合摘み部61には凹部69が形成されている。
図11(a),(b)及び図15(a)に示すように、軸部材71は、挿通孔63aに他端部71bから挿入される。そして、大径挿通部65及び小径挿通部66の内方において、該軸部材71に、該小径挿通部66に嵌合して底部67(図12参照)に当接し得る径のワッシャ(平座金)75と、圧縮ばね76と、大径挿通部65に嵌合して該圧縮ばね76に当接し得る径のワッシャ(平座金)77とがこの順に挿通された状態で、他端部71bの雄ねじ部にフランジ付きの六角ナット48が螺合される。これにより、ロックユニット56が組み立てられ、この状態のロックユニット56をユニット装着部42に挿入することにより、図7及び図8に示すロックユニット56が構成される。
大径部62及び小径部63からなる円筒部材は、固着部である六角ナット48を露出させる露出開口としての大径挿通部65を有しており、該大径挿通部(露出開口)65に挿入された不図示の六角レンチ等の所定工具により、六角ナット48を介して軸部材71及び係合突起72,72を回動させることができるように構成される。
また、ユニット装着部42への装着後に六角ナット48の締め付け状態(螺入状態)を変えることで、軸部材71の係合突起72,72をユニット装着部42側の係止溝部60(図14参照)に係止した状態での、係合摘み部61に作用する付勢力を加減することも可能である。これにより、係合摘み部61におけるクリック係合部64aの係合力の強度を調節することができる。また、係合摘み部61への付勢力の加減で膨出部68の遊技盤10に対する押圧力の強度を調節できることで、遊技盤10に厚み方向での寸法誤差があるような場合であっても、これに対処して、遊技盤10を中枠30に対し安定に保持することが可能になる。なお、本実施形態では、緩み止め効果を高めるためにフランジ付き六角ナット48を用いたが、これに限らず、通常のナットを用いることも可能である。
また、引掛り部82の係合突起72,72は、軸部材71の一端部71cから軸方向と直交する方向に放射状に突出するように形成されて、非円形状の断面形状を呈している。これら係合突起72,72同士は、他端部71bの中心から径方向に大きくは離間しない状態で近接して形成されているため、係止溝部60の係合凹部60a,60bへの係合状態で圧縮ばね76の付勢力が常に作用していても変形には極めて強く、従って、遊技盤10の中枠30に対する固定強度が増強される。
図13及び図14に示すように、孔部59の一端側開口部の縁部74には、孔部59の他端側開口部から軸方向に突出した六角ナット48が軸方向に押圧された状態で係合突起72,72を回動方向に乗り越えさせる第1突起78,80と、六角ナット48が軸方向に押圧された状態で、第1突起78,80を乗り越えた係合突起72,72を係合させて上記回動方向に乗り越えさせない第2突起79,81と、係合突起72,72が第2突起79,81に係合した状態で、六角ナット48を軸方向に押圧する押圧力を解放した際に係合突起72,72を係止し得る係止溝部60と、が形成されている。
すなわち、図13及び図14に示すように、中枠30の表側(パチンコ機PMの前方を向く側)には、4箇所のロックユニット56にそれぞれ対応するように円形凹部34が形成されており、各円形凹部34内にそれぞれ上記縁部74が形成されている。該縁部74は、図10に示したユニット装着部42の小径挿入部55の奥側の底部(図10には不図示)に相当する部分であり、軸部材71の一端部71cが挿通可能となるように同図上下方向(a線の延在方向)に延びるように形成された孔部59と、該孔部59と直交する方向(b線の延在方向)に延びるように形成された係止溝部60とを有している。
孔部59は、軸部材71の一端部71cを挿通させる挿通部59aを中央に有し、かつ該一端部71c両端の係合突起72,72を挿通させる挿通部59b,59bを上部及び下部にそれぞれ有している。また、係止溝部60は、挿通部59aを通って左右に延在するように形成され、圧縮ばね76の付勢力で戻ろうとする上記一端部71cの係合突起72,72をそれぞれ係合させる係合凹部60a,60bを挿通部59aの左右に有している。
係止溝部60の上下(つまり、孔部59の左右)にはそれぞれ、第1突起78、第2突起79、第1突起80、第2突起81がこの順に(反時計回りに)突出形成されている。対角線の位置関係となる第1突起78,80は、次のような状態に形成されている。即ち、孔部59に押し込まれて突出する一端部71cの係合突起72,72が同図の反時計回り方向に90度回動する状況において、第1突起78は上側の挿通部59bから徐々に上昇する傾斜面として形成され、かつ第1突起80は係合凹部60bに向けて徐々に下降する傾斜面として形成されている。これにより、第1突起78,80は、図の反時計回り方向に回動する係合突起72,72を、中枠30表側(図14の左方向)に引っ張りつつ乗り越えさせ、この時点で他端部71bへの押圧力が緩められると、圧縮ばね76の付勢力で係合凹部60a,60bに落とし込んで係止させることができる。
また、対角線の位置関係となる第2突起79,81は、孔部59の一端側開口部の縁部74から第1突起78,80より高くなるように形成されて、係合突起72,72が反対方向(本実施形態では図14の時計回り方向)に回動されることを規制するように構成されている。そして、第2突起79,81は、軸部材71が押し込まれて係止溝部60から一端部71cを突出させて同図の反時計回り方向に90度回動する状況において、第2突起79は係合凹部60aから一旦高くされて徐々に下降する傾斜面として形成され、かつ第2突起81は上側の挿通部59bに向けて徐々に上昇する傾斜面として形成されている。このような第2突起79,81は、上記第1突起78,80を乗り越えさせる際の係合突起72,72の突出量よりも縁部74から大きく突出させた場合には、図の反時計回り方向に更に回動させることで、係合突起72,72を係止溝部60から孔部59側に乗り越えさせることができる。一方、第1突起78,80を乗り越えさせる際の係合突起72,72の突出量よりも小さくする場合は、図の時計回り方向に戻すように回動させることで、係合突起72,72を係止溝部60から孔部59側に乗り越えさせることができる。この状態では、軸部材71の係合突起72,72を孔部59から抜き出し、ロックユニット56全体をユニット装着部42から取り外すことができる。
図15(b)は、図14に対応するもので、図14の裏側から見た状態を示す図であり、図15(c)は、ユニット装着部42に装着したロック部材40をやや回動させた状態で示す斜視図である。なお、図15(b),(c)において、クリック突起部57は便宜上、図10に示したものより小さく描いているが、クリック感を与える機能は同様である。
図15(b)に示すように、ユニット装着部42における小径挿入部55奥側の縁部58には、上述した孔部59が上下方向に延在するように形成されており、該孔部59の上下にはそれぞれ挿通部59b,59bが形成されている。この状態のユニット装着部42にロックユニット56が挿入されると、図15(c)に示すようになる(図7、図8、図9も併せて参照)。即ち、まず、図16(a),(b)に示すように、ロックユニット56の軸部材71を大径挿入部54及び小径挿入部55に挿通しながら、その係合突起72,72を挿通部59b,59bに挿入させつつ縁部74側に突出させる。
そして、この状態において、図16(c),(d)に示すように、六角ナット48に、六角レンチ等の所定工具(図示せず)を係合させ、圧縮ばね76のバネ力に抗して軸部材71を縁部74側に押し込みながら図16(c)における反時計回り方向に90゜回動させる。この際、同図に示すように、一端部71cの係合突起72,72が縁部74から突出して孔部59から離脱し、この状態で軸部材71は、図16(c)の反時計回り方向に90゜回動させられる。
このため、軸部材71の一端部71cは、係合突起72,72を第1突起78,80にそれぞれ摺接させながら乗り越え、かつ第2突起79,81に当接した時点で作業者が押圧力を弛めることにより、圧縮ばね76の付勢力に準じて戻される(引っ込む)。このため、図16(e),(f)に示すように、係合突起72,72をそれぞれ係合凹部60a,60bに嵌め込んだ状態で、軸部材71の一端部71cは、安定した状態で係止溝部60に係合、係止される。
この状態において、ロックユニット56では、図9に示すロック状態(ロック位置)から、図15(c)に示すように係合摘み部61を摘んで時計回り方向に回動させることで、突出部64のクリック係合部64aがクリック突起部57を乗り越える際のクリック感をロック解除の実感として作業者に与えつつ、突出部64を切欠き53に当接させたロック解除位置(ロック解除状態)に切り換えることができる。
なお、本パチンコ機PMにおいては、遊技盤10を中枠30に保持する作業後に、4箇所のロックユニット56のいずれか1箇所でも図6のロック位置からロック解除位置に回動されたままの状態になっていると、中枠30裏側に裏セット盤25をセット保持する際に、該裏セット盤25の対応する部分がロック解除位置のロック部材40に当接することにより、該裏セット盤25を正常にセット保持できない構成とされている。これにより、ロック部材40をロック解除状態のままで裏セット盤25をセット保持しようとしていることを、作業者に確実に気づかせることができる。
以上の構成を備えたパチンコ機PMは、図1に示すように、ガラス扉5及び球皿6を含む前枠2と、中枠30とがともに外枠1に対して閉塞され施錠された状態で遊技に供される。そして、遊技者が球皿6に遊技球を貯留させて操作ハンドル8を回動操作することにより、パチンコゲーム(弾球遊技)が開始される。即ち、操作ハンドル8が図1の時計回り方向に回動操作されると、球皿6に貯留された遊技球が打球発射装置(不図示)により1球ずつ遊技盤10の遊技領域PAに打ち出され、以降、弾球遊技が展開される。
遊技領域PAに打ち出された遊技球が、開口17の位置にある始動入賞装置(不図示)に入賞すると、主制御基板の抽選機能により特別図柄抽選(第1の大当たりの抽選)が行われ、その結果として、開口部15の位置にある画像表示装置(不図示)において特別図柄(装飾図柄)が所定時間だけ変動表示される。この特別図柄抽選では、始動入賞装置への入賞時に取得された乱数値に基づき、第1大入賞装置19の蓋体19aを所定ラウンド数だけ開閉動作させる第1の大当たり、第2大入賞装置14の開閉部材35を所定ラウンド数だけ開閉動作させる第2の大当たり、並びに、これら第1及び第2の大当たりの何れにもならない外れ、などが決められる。上記画像表示装置の表示部には、特別図柄抽選の決定結果に応じた特別図柄に対応する装飾図柄が表示され、最終的に3つの図柄を一致させるような表示態様(例えば「777」「555」「333」)や、最終的に3つの図柄が一致しない表示態様(例えば「527」「346」)、などが表示される。
遊技球がセンター飾り13のワープ導入口16を介して放出口24からステージSに導入された際には、遊技球がステージSの上を一時的に停留するように左右に転動し、最終的にはステージSの下方に落下して始動入賞口に入賞したり、該始動入賞口には入賞せずに遊技領域PAに流下して下側のアウト口23に取り込まれたりする。
そして、上記第1の大当たりに当選した場合は、下部アタッカーとしての第1大入賞装置19の蓋体19aが、所定回数だけ開放される。つまり、蓋体19aが所定時間開放された時点、または例えば9球以上の遊技球が入賞した時点で、該蓋体19aが一旦閉鎖されるという該蓋体19aの開閉動作が、所定回数(例えば15回)継続して繰り返される。この間、遊技者による操作ハンドル8の操作で遊技領域PAに打ち出された遊技球Baが、開放した蓋体19aに受け入れられ、これにより、第1大入賞装置19に入賞した各遊技球に夫々対応して払い出される多量の遊技球(賞球)が球皿6上に放出される。
一方、上記第2の大当たりに当選した場合は、上部アタッカーとしての第2大入賞装置14の開閉部材35が、段階的(例えば3段階(16回,32回,48回))に異なる回数だけ開放される。つまり、所定時間ずつで所定回数、小刻みに開放される開閉部材35によって、遊技領域PAに打ち出された遊技球Baが該遊技領域PAの上部において受け入れられて入賞する。このように第2大入賞装置14に入賞した各遊技球にそれぞれ対応して払い出される多量の遊技球(賞球)が球皿6上に放出される。
このような弾球遊技に供される本パチンコ機PMは、その製造時等には、遊技盤10が中枠30に対して、以下のように組み付けられる。
すなわち、図2に示すパチンコ機PMにおいて、ガラス扉5及び球皿6を含む前枠2と中枠30とを外枠1からヒンジ部材3a,3b等を中心に回動させて開放し、まだロックユニット56を装着していない状態のユニット装着部42(図10参照)に対し、ロックユニット56を挿入装着する。これに先立ち、ロックユニット56を組み立てるのであるが、その際、作業者は、一方の手にロック部材40を持った状態で、軸部材71をその他端部71bから挿通孔63aに挿通させ、ロック部材40の内方にて該軸部材71に、ワッシャ75、圧縮ばね76及びワッシャ77をこの順に挿通させた後、他端部71bの雄ねじ部に六角ナット48を螺合させて締め付け、ロックユニット56として組み立てる(図15(a)参照)。
そして、作業者は、この状態のロックユニット56をユニット装着部42に挿入するのであるが、その際、たとえ突出部64を切欠き52,53に対向させずに大径挿入部54の突出壁部54aに当接させた状態で組み込もうとしても、この状態からロックユニット56を例えば図15(b)の時計回り方向に回動させるだけで、突出部64を切欠き52から摺動面51に落とし込み、ロックユニット56をユニット装着部42に対する正規の位置に挿入することができる。勿論、最初から突出部64を摺動面51に対向させていれば、そのままロックユニット56をユニット装着部42に対する正規の状態に迅速にセットすることができる。また、ロックユニット56をユニット装着部42に装着する際、ロックユニット56を正規の位置とは逆に、突出部64を突出壁部54aに当接させたままの状態で係合突起72,72を係止溝部60に無理に係止させた場合であっても、ロックユニット56のロック部材40を図15(b)の時計回り方向に回動させていくうちに、突出部64を切欠き52から摺動面51に落とし込ませ、自然に正規の状態に戻すことができる。
そして、作業者は、ユニット装着部42にロックユニット56を挿入すると、該ロックユニット56から突出している軸部材71の一端部71c及び係合突起72,72を、小径挿入部55奥側の縁部58の孔部59(挿通部59a,59b)に挿入させつつ縁部74側に突出させる(図16(a),(b)参照)。更に、六角レンチ等の所定工具(図示せず)を六角ナット48に係合させ、圧縮ばね76のバネ力に抗して軸部材71を縁部74側に押し込みながら、図15(b)の時計回り方向に90゜回動させる。これにより、軸部材71は、係合突起72,72を縁部74から突出させて孔部59から離脱した状態のまま図16(c)の反時計回り方向に90゜回動させられる(図16(d)も参照)。
これにより、軸部材71の一端部71cは、係合突起72,72を第1突起78,80にそれぞれ摺接させながら乗り越えた時点で圧縮ばね76の付勢力で戻されて、係合凹部60a,60bにそれぞれ嵌め込まれた状態で、安定状態にて係止溝部60に係合、係止される(図16(e),(f)参照)。これにより、ロックユニット56はユニット装着部42に対して正規の状態に装着される。この作業を他の3箇所のユニット装着部42に対しても同様に行うことにより、図6に示すように、中枠30の開口部30aの周囲の4箇所すべてに対してロックユニット56を装着することができる。
この状態から、作業者は、4箇所のロックユニット56の各ロック部材40を、図6に示すロック位置からロック解除位置に向けて90度回動させておき、遊技盤10の表側を中枠30の前方(図6における右方)に向けるようにして、該遊技盤10の四隅をそれぞれ対応するロックユニット56に位置させて、図6の二点鎖線で示すように保持する。そして、作業者は、遊技盤10を保持しながら、4箇所のロックユニット56の各ロック部材40を、ロック解除位置からロック位置に向けて90度戻すように回動させる。これにより、4箇所のロックユニット56では、係合摘み部61前側の膨出部68が遊技盤10の四隅の裏面をそれぞれ弾性的に押圧して該裏面を係止し、これにより、遊技盤10は中枠30に堅固にロックされる。
上記作業時、作業者は、各ロックユニット56にてロック部材40をロック位置からロック解除位置に回動させる際、及びロック解除位置からロック位置に回動させる際のいずれにおいても、突出部64のクリック係合部64aがクリック突起部57を乗り越える際のクリック感を実感できるため、ロック部材40の回動させるべき位置を明確に認識でき、従って、作業能率も向上することになる。
以上説明したように、本実施形態では、複数のロックユニット56がそれぞれ、孔部59を貫通するように挿入され得る軸部材71と、孔部59を通過した状態で軸部材71と共に回動された際に孔部59の一端側開口部の縁部74に引掛る係合突起72,72と、孔部59の他端側開口部の縁部58に当接する当接面63cと外周に向けて延設された係合摘み部61とを有する大径部62及び小径部63からなる円筒部材と、六角ナット48と該円筒部材との間に縮設された圧縮ばね76とを備える。更に、各ロックユニット56は、係合突起72,72の角度に基づき、係合突起72,72と上記円筒部材とにより中枠30を挟持することで該中枠30に着脱自在に取付けられると共に、係合摘み部61をロック位置に回動させて中枠30との間に遊技盤10を挟持することにより該遊技盤10を該中枠30にロックし得る構成を備える。このように遊技盤10の保持構造を改善したことにより、係合突起72,72を孔部59の一端側開口部の縁部74に引掛けるだけの操作で、ロックユニット56を中枠30の孔部59にワンタッチで簡単に装着することができ、部品交換等の利便性を向上させることができる。
また、本実施形態によると、円筒部材(62,63)の周囲を摺動自在に囲む大径挿入部54及び小径挿入部55からなるスリーブ部に、突出部64を案内規制することによりロック位置及びロック解除位置間での回動範囲を規制する切欠き52,53が形成されるので、ロック位置とロック解除位置とに回動される係合摘み部61の操作範囲を明確に規定することができる。また、上記スリーブ部(54,55)への円筒部材(62,63)の挿入時に該円筒部材が正規の状態に挿入されない場合、つまり、ロックユニット56を通常の取り付け方向と異なる方向に装着しようとした場合には、突出部64が切欠き52,53の間に入らず上記スリーブ部に乗り上げて孔部59に上手く挿入できなくなるので、作業者はそのことに直ちに気付くことができる。このため、ロックユニット56を装着してから間違いに気付き、取り外して再度装着するような煩雑な作業を不要にし、作業性を向上することができる。
更に、本実施形態によると、上記円筒部材(62,63)の突出部64が、係合摘み部61の回動操作時にロック位置とロック解除位置とに対応して、摺動面51及びクリック突起部57からなる凹凸部に係合するので、係合摘み部61の回動操作に伴って突出部64が凹凸部(51,57)に係合する際のクリック感を、ロック位置側への操作感、及びロック解除位置側への操作感として作業者に伝えることにより、作業の進行具合を作業者に的確に認識させて、作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態によると、上記円筒部材(62,63)が、六角ナット48を露出させる大径挿通部(露出開口)65を有し、該大径挿通部65に挿入された六角レンチ等の所定工具により六角ナット48を介して軸部材71及び係合突起72,72を回動させ得るので、装着作業時に、軸部材71の他端部の六角ナット48を所定工具で押し込みながら回動させるだけで、ロックユニット56を孔部59に簡単に装着することができる。従って、装着作業時の所定工具の操作を、遊技盤10の取り付け側から、つまりロックユニット56の装着側から行うことができるので、作業の効率化を図ることができる。
更に、本実施形態によると、孔部59の一端側開口部の縁部74に、六角ナット48が軸方向に押圧された状態で係合突起72,72を回動方向に乗り越えさせる第1突起78,80と、第1突起78,80を乗り越えた係合突起72,72を係合させて回動方向に乗り越えさせない第2突起79,81と、係合突起72,72が第2突起79,81に係合した状態で六角ナット48を軸方向に押圧する押圧力を解放した際に係合突起72,72を係止し得る係止溝部60とを備えるので、軸部材71の他端部71bを押し込みながら該軸部材71を回動させることで、孔部59を通過した係合突起72,72を、第1突起78,80を乗り越えさせた後に第2突起79,81に係合させて位置決めした上で係止溝部60に確実に係止することができる。これにより、装着作業を手探りで簡便に進めることができ、作業時間を短縮させることができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した遊技機も、本発明の範囲に含まれる。