近接ヘッドにおける流体の流れを制御する実施例として、いくつかの実施形態を説明する。実施例では、ヘッドに対する流体の流れの制御が行なわれ、たとえば、ウエハー表面に供給される流体の流れを制御したり、あるいは、ウエハー表面から流入される流体の流れを制御する。これらの実施例において、大きな直径のウエハーの洗浄を可能にするようにヘッドの長さを長くした場合でも、ヘッドの剛性が保たれる。また、近接ヘッドは、一体型ヘッド構造によりヘッドの剛性を保つように構成される一方で、ウエハー表面に対する流体の主流と流体の分離流とを規定する。制御された流れをヘッドに対して流出入させるために、近接ヘッドは、低い公差に従う多くの構造要素と、高い公差に従う少数の構造要素と、を備える。高い公差に従う構造要素としては、たとえば、ヘッド内に配置される流れ抵抗ユニットが挙げられ、流体の主流と複数の各流入口及び流出口との間に、最も流れ抵抗が高い流路を形成する。最も流れ抵抗が高い各流路に関して、流体移動流路内を通って流入口に流れ込む、あるいは、流出口から流体移動流路内を通る分離流が形成される。流体を制御する際には、ウエハー表面に対してほぼ平行にヘッド表面を配置して、流体移動のためにヘッド内を流れる流体を実質的に制御し、各流入口への流れの流速と各流出口からの流れの流速が、ヘッドの長さにわたって、他の各流入口又は流出口における流速とほぼ同じになるようにする。
本発明のいくつかの実施形態(以下、「実施例」と称する)を説明する。当業者には自明のことであるが、以下に記載する具体的な詳細の一部又は全部を省略した状態でも本発明は実現可能である。
本明細書で用いられる用語「ウエハー」は、以下に限定されるものではないが、半導体基板、ハードドライブディスク、光ディスク、ガラス基板、フラットパネルディスプレイ表示面、液晶ディスプレイ表示面等を意味し、プラズマを発生させてエッチングや析出等の処理を行なうチャンバ等の処理チャンバ内で、これらの基板、ディスク、表示面等上に所定の材料や種々の材料層が形成または規定される。このようなウエハーはすべて実施例による処理対象であり、実施例の改良洗浄システム及び方法は、液滴の乾燥によりウエハー表面に汚染物質が残留する可能性を減少させると共に、ウエハーの効率的な洗浄を可能にする。
本明細書で説明するウエハー(及び構造)の方向は、直交X、Y、Z軸に対するものである。これらの軸は、表面の方向や平面の動き等の方向を規定するものである。
本明細書で用いられる用語「流体」は、液体及び気体を意味する。
本明細書で用いられる用語「メニスカス」は、液体の表面張力によって境界が決められ含有された部分の液体の体積を意味する。本実施例において、含有状態のメニスカスは、表面に対する相対的な移動が可能である。「表面」は、ウエハーの表面(「ウエハー表面」)でも、たとえば、ウエハーを載置するキャリアの表面(「キャリア表面」)でもよい。用語「W/C表面」は、集合的にウエハー表面及びキャリア表面を意味する。メニスカス処理においては、安定したメニスカスが望ましい。安定したメニスカスは、連続的な構造を有するものである。連続的な構造とは、X軸方向の所望の幅(図1AのWH参照)全体にわたって、かつ、Y軸方向の所望の長さ(図1AのLM参照)全体にわたって、連続的なものであり、メニスカスは、Z軸方向の所望の間隔(図1A及び図1C参照)にわたって連続的に伸長する。具体的な実施例では、W/C表面に液体を供給する一方でW/C表面から液体を除去することにより、このような連続的な構造の安定したメニスカスを形成可能である。メニスカスを減圧にすることにより「除去」することができ、これを「戻り流(リターン)」と称する。
本明細書で用いられる用語「近接ヘッド」は、液体を受け取り、W/C表面に液体を供給し、W/C表面から液体を取り除く装置を意味し、ここで、近接ヘッドは、W/C表面に密着して配置される。「密着」とは、(i)キャリア表面(またはウエハー表面)と(ii)W/C表面でメニスカスを用いる近接ヘッドの表面(「ヘッド表面」)との間の間隙が小さい(たとえば、0.5mm)ことを意味する。すなわち、ヘッドはW/C表面から間隙分の間隔をあけて配置される。ヘッド表面を、ウエハー表面に対してほぼ平行に、かつ、キャリア表面に対してほぼ平行に、配置するようにしてもよい。近接ヘッドを、間隙に複数の液体流を供給するように構成してもよく、また、供給した液体を除去するための真空ポートを備えるように構成してもよい。
用語「密着して配置される」は、ヘッド表面とW/C表面との「近接」を意味する。近接は、間隔によって定義される。隙間は、Z軸方向の近接距離の測定値である。キャリア及びヘッド表面の相対的なZ軸方向の位置を調節することにより、近接の程度を変化させることが可能である。たとえば、近接距離(間隔)を約0.25mmから約4mmの範囲としてもよいし、約0.5mmから約1.5mmの範囲としてもよい。約0.5mmの間隙が最も望ましい。
メニスカスへの液体の供給およびメニスカスからの液体の除去を制御することにより、メニスカスを制御して、W/C表面に対して相対的に移動させることが可能になる。処理の間、近接ヘッドを静止させた状態で、ウエハーを動かすことができる。あるいは、ウエハーを静止させた状態で、ヘッドを動かすこともできる。また、どのような方向で処理を行なうことも可能になる。水平ではないW/C表面(たとえば、水平に対してある角度で配置されたキャリアやウエハー)でメニスカスを用いることも可能である。好適な実施例において、(i)ウエハーは、キャリアによってX軸方向に移動される。(ii)W/C表面の所望の方向は水平でヘッド表面(すなわち、X−Y平面)に対して平行である。(iii)近接ヘッドは静止している。(iv)ヘッド表面の長さLHはW/C表面を横切ってY軸方向に伸長し、X軸方向と平行に移動するキャリア及びウエハーが近接ヘッドを通過する。(v)ヘッド表面及びW/C表面は、一定の値の(すなわち、間隙のX軸方向及びY軸方向の全範囲にわたってZ軸方向に一定の)所望の間隙だけ間隔をあけて配置される。(vi)メニスカスは、安定で、間隙にわたって連続した構造で(すなわち、分断されることなく)伸長する。すなわち、間隙にわたって、X軸、Y軸、Z軸の各方向に対して連続的に伸長する。
用語「レシピ」は、(1)ウエハーに適用するべき所望のメニスカス処理用の処理パラメータ及び(2)間隙の形成に関係する物理的なパラメータを規定または指定するコンピュータデータや他の形態の情報を意味する。メニスカスを規定する一種類または複数種類の液体に関する処理パラメータとして、たとえば、液体の種類、圧力、流速及び液体の化学的特性を用いることができる。メニスカスに関する処理パラメータとして、たとえば、液体メニスカスの大きさ、形状及び位置を用いることができる。
本明細書で用いる用語「ケミストリー」は、所定種類のウエハーのメニスカス処理におけるレシピにより指定される所定の流体の組み合わせを意味する。これには、流体の物理及び化学特性やメニスカス処理装置を組み立てる材料の物理及び化学特性も含まれる。一般に、所定種類のウエハーに対する具体的なケミストリーは、メニスカス処理用のレシピによって規定される。メニスカス処理装置の構成は、このような具体的なケミストリーに対応するものでなければならない。
本明細書で用いる用語「公差」は、後述するように、近接ヘッドの「構成」に関するもの、すなわち、どのようにヘッドを「構成するか」に関するものと考えられる。「公称寸法」は、構成によって達成するべき理想的で正確な寸法である。構成される特徴(または構造)の仕様が、達成するべき「公称寸法」のみを求める場合には、構成される特徴は「ゼロ公差」に「従う」と表現される。構成される特徴が、(i)「公称寸法」又は(ii)正確な公称寸法と少し異なる寸法のいずれかを求める仕様もある。公称(正確な)寸法と許容される異なる寸法との間の差を「公差」と称する。公差が小さな量の差に限定される場合には、公差が「高い」といわれ、一般に達成するのは難しく、コストがかかる。このような構成は「高い公差に従う」と表現される。公差の限定がもっと緩く、より大きな量の差を仕様が許容する場合には、公差が「低い」といわれ、一般に達成するのは容易で、コストがあまりかからない。このような構成は「低い公差に従う」と表現される。このような「高い」公差を、たとえば、パーセントで表現するようにしてもよい。この場合、小さな量の差を公称寸法で除算することにより、パーセントを計算できる。同様に、「低い」公差も、パーセントで表現するようにしてもよい。この場合、より大きな量の差を公称寸法で除算することにより、パーセントを計算できる。高い公差を多く指定した場合には、構成される特徴(または構造)は「高い公差に従う」と表現される。低い公差を多く指定した場合には、構成される特徴(または構造)は「低い公差に従う」と表現される。構成するべき寸法は、たとえば、孔やボアの直径、部品の長さや方向である。同じ基準を、このような寸法の公称寸法にも、このような寸法に関する低い公差及び高い公差にも適用する。
設計の検討:
本発明の出願人による分析によれば、近接ヘッドと処理対象のW/C表面との間で規定されるレシピ制御メニスカスを使用する際の課題を実施例の構成により解決できる。この課題とは、半導体チップ製造で用いられるウエハーの直径がどんどん大きくなっていく傾向にあるということである。たとえば、初期には25.4mmだった直径が何度も増大を繰り返し、後には200mmの直径となり、2007年にはウエハーの直径は300mmまで増大した。2013年までに450mmの直径のウエハーが用いられるであろうとの予測が2007年時点でなされている。近接ヘッドがウエハー直径よりも大きなY軸方向の距離に広がり、ウエハー直径がどんどん大きくなっていくと、近接ヘッドとウエハーとの間の一回の相対的な動きでウエハー全体を処理するために、メニスカスの長さLDもY軸方向にどんどん長くするする必要が生じる。また、分析によれば、この課題は、このようなメニスカスにより処理されるウエハーのスループットを増大させるとういう要求、たとえば、メニスカス処理の際の近接ヘッドに対するウエハーの相対的な動きの速度を増加するという要求に関係する。出願人は、メニスカスの長さと相対速度の両方を増加させる場合、このようなメニスカスを規定する流体の流速を一定にすることが、メニスカス処理における所望の処理結果に関係することを確認している。出願人による分析によれば、ウエハー表面に供給するために近接ヘッドに導入される流れやウエハー表面から除去して近接ヘッドに流す流体の流れ等、流体の流れを制御するシステムが必要とされている。
出願人による分析によれば、近接ヘッドを一体型の構成として、(i)ウエハー表面に供給するために近接ヘッドに流体を導入する流路及び(ii)ウエハー表面から流体を除去する流路を形成することにより流体の流れ制御が可能になる。一つの流体移動ユニットを介してヘッドに流体を流入させる場合、ヘッドに流入するユニットの各流路における流速がヘッドの長さにわたってほぼ同じになるようにヘッドを構成することにより、流体の流れ制御が可能になる。このように構成されたヘッドは、どんどん直径が大きくなるウエハーを洗浄するためにヘッドが長くなっても、ヘッドの剛性を立っている。制御された流れをヘッドに対して流出入させるために、出願人による分析によれば、低い公差に従うヘッドの構造要素の数を増加すると共に、高い公差に従うヘッドの構造要素の数を制限すなわち抑制するようにヘッドを構成する必要がある。また、高い公差に従う構造要素を、流体の制御を行なうものに限定する必要がある。
構造配置:
上述した設計の検討に基づき、上述した課題及び他の課題を解決し、(i)(a)ウエハーの直径(それに伴うメニスカス及びヘッドの長さの増大)と(b)ヘッドとウエハーとの相対的な速度の両方が増加すること及び(ii)所定のメニスカス処理用のレシピによって指定されるケミストリーによる制限にかかわらず、所望のメニスカス処理を実現するための構造配置の例を説明する。流れ制御ユニットにおいて、ユニットに対する相対的な流体の流れの流速をほぼ一定にすることができる。たとえば、流体移動ユニットの各流入口に流入する流れの流速を、ヘッドの長さにわたって間隔をあけて配置されるユニットの他の流入口における流速とほぼ同じにすることができる。いずれの場合も、近接ヘッドの長さにわたって、流速をほぼ一定にする必要がある。各流体移動ユニットにおいて、高い公差に従う構成は、一本の高抵抗流路と、近接ヘッドの流体移動表面に通じる流路を含む、高抵抗流路に隣接する流路と、に限られる。この構成により、同じ流体移動ユニットの他の複数の構造要素を低い公差に従うものとしても、流体移動表面に対する相対的な流体の各流れの流速をウエハーに対向するヘッドの長さにわたってほぼ一定にすることができる。
図1Aにウエハー102のメニスカス処理用の装置100を示す。装置100及びウエハー102は相対的に移動可能である。ウエハーの両側面である表面104を分離型の近接ヘッド106により処理することができる。相対的な動きの例として、近接ヘッド106を静止させて、ウエハー102を近接ヘッド106のそばを通過するように動かす例を示す(矢印107)。ヘッド106は、ウエハー102をまたいで配置され、ウエハーの両側面104を同時に処理可能である。図では、ウエハーの直径Dが増大することにより生じる上述の課題の理解を助けるために、ヘッド106がウエハーの直径Dを完全に横切りこれを越えて伸長している。すなわち、ウエハーの直径Dの増加に伴って、ヘッド106の長さLHも長くする必要がある。参考までに、ヘッドの長さLHを、Y軸方向の長さとして示す。上部ヘッド106Uは、下部ヘッド106Lの上に、下部ヘッド106LからZ軸方向に間隔をあけて配置される。ヘッド106のそばを通過するようなウエハー102の動き107を、X軸方向の動きとして示す。各ヘッド106と各表面104との間の間隙110に広がるメニスカス108が形成されるように、各ヘッド106を構成する。長さLHが増加すると、長さLHにわたってたるみが生じないように、ヘッド106に要求される構造的剛性が増加する。長さLHにわたって間隙110を一定に保つために、十分な構造的剛性が必要とされる。メニスカス108は、X軸、Y軸及びZ軸の3方向に伸長する。図1Aでは、メニスカス108は、上部ヘッド106Uからウエハーの上側表面104UまでZ軸方向に伸長するように示されている。メニスカス108は、さらに、Y軸方向にウエハー102を完全に横切りこれを越えて伸長する長さLMを有する。ヘッド106の下側には、ウエハー102の上側表面104Uが図示されている。上部ヘッド106Uの幅WH及びメニスカス108の幅WMを、いずれも、X軸方向に伸長する幅として示す。
図1Bは、メニスカス108から上部ヘッド106Uの実施例を見上げた図であり、流体制御ユニットとして形成される溝114の構成すなわちネットワーク113を例示する。ネットワーク113において、各流体制御ユニット114は、ヘッド106の長さLH方向、すなわち、Y軸方向の横列116に沿って伸長する。参考までに、ウエハー102の直径Dも示す。ユニット114の例として、ユニット114−1及び114−2を示す(ブラケット(角括弧)は、ユニットの範囲を示す)。ユニット114−1は、ヘッド106の長さLHの一部にわたる横列116に沿って、ウエハー102の直径Dを越えて伸長し、後述する供給ユニットとして機能する。ユニット114−2も同様に伸長するが、後述するリターン(戻り流)ユニットとして機能する。各ヘッド106と各表面104との間の間隙110に広がるメニスカス108がヘッド106により形成されるように、ユニット114−1及び114−2は、ポート、たとえば流体移動ポート121を備える。各ポート121は、たとえば、円形で、流体がポートを介して移動することによりメニスカス108が形成される。流体はヘッド106に供給され、ポート121を介して流出する。このようなポートを出口ポート121Oと称する。あるいは、流体は、ポート121を介してヘッド106内に導入される。このようなポート121をリターン(戻り流)ポート121Rと称する。一般的に言えば、安定したメニスカスを形成するために、ウエハー表面104に供給される流体の流れやウエハー表面104から集められる流体の流れが「実質的に制御される」ようにユニット114を構成する。より具体的には、各ユニット114、すなわち、供給ユニットとリターンユニットの各流体の流れを「実質的に制御する」ようにユニット114を構成する。ヘッド106のユニット114内で実質的に制御された流体は、以下の二つの場合に、一定の流速を持つ流体になる。(i)複数の出口ポート121O、たとえば、供給ユニット114−1の横列116上の出口ポートからウエハー表面104に一定の流速で流出する。(ii)ウエハー表面104から複数のリターンポート121R、たとえば、リターンユニット114−2の横列116上のリターンポート内に一定の流速で流入する。一つのユニット114−1又は114−2の各ポート121を通る流体の流速が「一定」であるか否かは、後述する方法で判定される。一つのユニット114のポート121を通る流れの流速の「一定性」は、三つの因子により規定される。供給ユニット114−1を例にとって「一定性」を説明する。一つ目の因子は、平均流速(AFR:average flow rate)であり、ユニット114−1のすべてのポート121を通る総流量(TFR:total flow rate)(たとえば、オンス/分単位)をユニット114−1のポート121の数で除算することにより得られる。二つ目の因子は、ユニット114−1のいずれかのポート121を通る最高流速の値であり、「MAX」で表現する。三つ目の因子は、ユニット114−1のいずれかのポート121を通る最低流速の値であり、「MIN」で表現する。「一定性」(「U」)は、これら三つの因子に基づいて、以下の式で求められる。
U=[MAX−MIN/AFR]×100 [式1]
ユニット114−1による気体及び液体の供給やユニット114−2による真空を介した「戻り流(リターン)」に適用可能な一般的な意味において、式1の値がゼロの場合が、ユニット114の各ポート121を通る流れの流速が「一定の」場合に相当する。式1で値がゼロの流体は「制御された」流体であり、ユニット114−1で理想的に制御されている。また、ユニット114−1による気体及び液体の供給やリターンユニット114−2による真空を介した「戻り流(リターン)」に適用可能な一般的な意味において、式1で値がゼロ以外の流体は、後述する「実質的に制御された」流体である。式1の値が以下で説明する範囲の値である場合には、ユニット114−1の各ポート121を通って流れる流体の流速が、ユニット114−1の他のどのポート121を通って流れる流体の流速とも、ほぼ同じになる。
もっと具体的に説明すると、ユニット114の各ポート121を通る「ほぼ一定の」流速に対応する式1の値の範囲は、このユニットにより移動される流体に関して求められる。たとえば、ヘッド106を真空にすることにより流体を戻すリターンユニット114の場合、式1の値(すなわち、一定性)は約6%であった。これに対して、後述するリターン(戻り流)ヘッド106Pの場合には約14%であった。このような実施例のリターンユニット114において、式1の値が約9%から約4%の範囲の値の場合に、ほぼ一定の流速であるとしてもよい。あるいは、ヘッド106にN2/IPAを供給する本実施例の供給ユニット114の場合、式1の値(すなわち、一定性)は約3%であった。これに対して、後述する同じN2/IPAを用いる供給ヘッド106Pの場合には約5%であった。このような実施例の供給ユニット114において、式1の値が約2%から約4%の範囲の値の場合に、ほぼ一定の流速であるとしてもよい。ヘッド106に水を供給する供給ニット114の場合、式1の値(すなわち、一定性)は約0.7%であった。これに対して、後述する同じ水を用いる供給ヘッド106Pの場合には約3%であった。このような実施例の供給ユニット114において、式1の値が約0.5%から約2%の範囲の値の場合に、ほぼ一定の流速であるとしてもよい。上記したヘッド106Pは、実施例として構成したものではなく、以下の特徴を備えるものであった。(a)メインプレナムが複数の流路に分岐し、複数の流路の各々がさらに複数の流路に分岐し、さらに、これらの流路の各々が同様に分岐することにより、多段階に分岐している。(b)各流路は、高い公差に従い構成される。(c)多段階に分岐した流路を構成するためにヘッドは4つ以上に分かれた部分から構成される。(d)分かれた各部分を締め具により合体させる。
ユニット(すなわち溝)114の構成の他の特徴に関して、図1Aないし図1Cを参照して説明する。これらの図を組み合わせればわかるように、ヘッド106は、一体型の多面体ブロック122として構成されている。ブロック122は、複数の面124を有する、あるいは、複数の面124によって規定される中実な3次元ブロックである。図1Aに示すように、一体型のブロック122は、(i)ヘッドの長さLH方向であるY軸方向と(ii)ヘッドの長さ方向であるY軸方向に垂直な流体の流れ方向、流体の供給方向、又は流体の戻り流(リターン)方向であるZ軸方向と(iii)Y軸方向及びZ軸方向に垂直な幅WH方向(X軸方向)に伸長する。ブロック122は、たとえば、直方体でもよい。あるいは、各ユニット114の機能を実行するために必要な配置の各面124を備えるブロック122として構成してもよい。たとえば、互いに垂直な複数の外側面124によってブロック122を規定するようにしてもよい。
図1Cの断面図に、処理時にウエハー表面104に対向して配置される底面124Bを備える上部ヘッド106Uを示す。面124Bを複数の平面126から構成するものとしてもよい。図1Bに示すように、両側面124S1及び124S2がヘッドの長さLHを規定する。図1Cに示すように、処理のためにウエハー102がヘッド106に近づく際に(矢印107)、ウエハー102はまず前側面124Fを通過する。処理後にウエハー102がヘッド106から離れる際に、ウエハー102は後側面124Rを通過する。前側面124F近傍の一つの平面126からの間隙は、たとえば、約0.70mmであり、他方の面124R近傍の別の平面126からの間隙は、たとえば、約0.78mmである。
平面126をウエハー表面104から適当な間隙値の範囲の間隔をあけて保持することができるようにウエハー102をわたすことが可能な高強度特性を有する材料から、各ヘッド106のブロック122を形成することが望ましい。ブロック122を形成する材料が、(i)平面126をウエハー表面104から適当な間隔をあけて保持することができるようにウエハー102をわたすことが可能な高強度特性を有する、(ii)流体がN2とIPSと水とを含むメニスカス処理のケミストリーに適合する、及び(iii)流体の流速がごく狭い範囲でしか変動せず、実質的に所望の一定性を保持することがより望ましい。このような好適な実施例では、各ヘッド106のブロック122を、以下に記載する一体の材料から形成する。この材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、たとえば、Halarの商標で販売されているエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体を用いることができる。
図1Cの断面図に、ポート121に向かって開口する複数の流体移動流路128内を流体が移動する(ユニット114−2)の一実施例を示す。図示される流体移動流路128はユニット114−2に形成されたものであり、ユニット114−2はZ軸方向に伸長している。前述したように、ユニット114−2において、一つの流路128(たとえば、ウエハー102の直径Dにわたる各流路128)における流れの流速は、同じユニット114−2の他の流路128における流速と(先に定義した)「ほぼ同じ」である。すなわち、ウエハー102の直径Dに対向するユニット114−2の各流路128の流速は、同様にウエハー102の直径Dに対向するユニット114−2の他の流路128の流速とほぼ同じ流速である。
他の実施例を図1Dを参照して説明する。図1Dは、メニスカス108から上部ヘッド106Uを見上げた他の実施例の図であり、流体制御ユニットとして形成される溝114の構成すなわちネットワーク113−2を例示する。図1Dにおいて、ユニット114の例として、ユニット114−1から114−14を示す。図をわかりやすくするために、ユニット114のポート121を点または小さな円で示す。ユニット114−1から114−10の各々は、ヘッド106の長さLHの一部にわたる横列116の一つに沿って、ウエハー102の直径Dを越えて伸長する。ユニット114の例として示したユニット114−2及びユニット114−10は、ヘッド106の長さLHにわたる横列116に沿って、ウエハー102の直径Dを越えて、さらにユニット114−3から114−9を越えて伸長する。ネットワーク113において、ユニット114−2は、縦列(直線118参照)に沿ってX軸方向に伸長するユニット114−11及び114−12に接続する。同様に、ユニット114−10は、縦列(直線118参照)に沿ってX軸方向に伸長するユニット114−13及び114−14に接続する。接続されたユニット114−2、114−11及び114−12と接続されたユニット114−10、114−13及び114−14とを組み合わせることにより、内部のユニット114−2ないし114−8の周囲を囲む包囲線120が形成される。ユニット114の例として示したユニット114−1は、包囲線120の外側に配置され、ヘッド106の長さLH方であるY軸方向に横列116に沿って伸長する。
図1Eは、ブロック122の端部124S1の一実施例を示す立面図である。(ブロック122内でZ軸方向に伸長するユニット114を示す)図1Cの断面図と比べると、ブロック122内を通って端部124S1まで伸長するユニット114の構造要素の数が少ないことがわかる。図1Eに、ブラケット(角括弧)114−1を用いて、一つのユニットのZ軸方向の範囲を示す。他のユニットは特にブラケットで示していないが、同様に、Z軸方向に伸長している。前述したように、出口ポート121Oを備えるように一部のユニット114を構成可能であり、このようなユニットを流体供給制御ユニットと称する。図1Eには、このようなユニットとして、114−1−O、114−3−O、114−5−O、114−7−O及び114−9−Oを示し、これらのユニットはすべて、メニスカス108に液体を供給する。リターンポート121Rを備えるように他のユニット114を構成可能であり、このようなユニットを流体戻り流(リターン)制御ユニットと称する。図1Eには、このようなユニットとして、114−2−R、114−4−R、114−6−R、114−8−R及び114−10−Oを示し、これらのユニットはすべて、流体をヘッド106内に誘導する。上述したように、ポート121を組み合わせることにより、ウエハー102に対して伸長するメニスカス108を形成し、これを保つことができる。
図1Dにポート121の横列116の配置として示したように、ユニット114は、面124S1からブロック122内にも伸長する。ブロック122内での長さ、位置及び配置、ブロックの隅130(図1D参照)に対する近接性、面124S1若しくは面124S2に対する近接性、若しくは、実行される機能(流体供給機能又は流体戻り流(リターン)機能)を除いて、各ユニット114は同一である。最初に、すべてのユニット114に共通する構成を、一つのユニット114を例にとって、再び図1Eの面124S1を参照して説明する。面124S1には10個のユニット114−1ないし114−10が配置される。各ユニットには、上述したように、「−O」または「−R」の符号が付けられている。各ユニット114−1ないし114−10は、面124S1を経てブロック122内にY軸方向に伸長するメインボア132を備える。図では、ほんのいくつかのメインボアのみに132の表示をしている。図1Eには、10個のボアをジグザグ状にX軸方向に間隔をあけて配置した例を示す。メインボア132−1は後側面124Rの近傍に配置され、メインボア132−10は前側面124Fの近傍に配置される。図をわかりやすくするために、ボア132−1と132−10との間の他のメインボア132−2ないし132−9は特に表示していない。ボア132−1、132−3、132−5、132−7及び132−9は、メイン出口ボアと称し、出口ポート121Oに流体を供給する。一方、ボア132−2、132−4、132−6、132−8及び132−10ないし132−14は、メインリターン(戻り流)ボアと称し、リターンポート121R内に流体を戻す。一般的に、所望の流体が各メイン出口ボア132−1、132−3、132−5、132−7及び132−9に導入される。一般的に、各メイン出口ボア132から流れ込んでウエハー表面104に供給される流体を実質的に制御して、各ユニット114−1−O、114−3−O、114−5−O、114−7−O及び114−9−Oの各横列116に配置される複数の出口ポート121Oの各々からウエハー表面104にほぼ一定の流体を流出させるように、各ユニット114−1−O、114−3−O、114−5−O、114−7−O及び114−9−Oを構成する。
各メインリターンボア132−2、132−4、132−6、132−8及び132−10ないし132−14に低い圧力を印加する。一般的に、ウエハー表面104から各ユニットの各リターンポート121R内に流入又は誘導される流体を実質的に制御して、ほぼ一定の流速で流体が流入するように、114−2−R、114−4−R、114−6−R、114−8−R及び114−10−Oないし114−14−Rを構成する。
すべての流体制御ユニット114に共通する構成をさらに説明する。図1Eに示す面124S1に、流体制御ユニット114−1ないし114−10の他の構成要素も配置される。各流体制御ユニット114−1ないし114−10は、抵抗ユニット133を備える。各抵抗ユニット133は、面124S1を経てブロック122内にY軸方向に伸長する。図1Eには、抵抗ユニット133をジグザグ状にX軸方向に間隔をあけて配置した例を示す。抵抗ユニット133は、メインボア132からZ軸方向に間隔をあけて配置される。抵抗ユニット133−1は後側面124Rの近傍に配置され、抵抗ユニット133−10は前側面124Fの近傍に配置される。図をわかりやすくするために、抵抗ユニット133−1と133−10との間の他の抵抗ユニット133−2ないし133−9は特に表示していない。一般的に、抵抗ユニット133は、各流体制御ユニット114の機能(出口又は戻り流)に応じて構成される。
図2Aは、図1Dに示すブロック122を貫通する断面図であり、図1D及び図1Eに示す実施例の各抵抗ユニット133を備える流れ制御ユニット114の断面構造を例示する。メイン出口ボア132−1、132−3、132−5、132−7及び132−9とメインリターンボア132−2、132−4、132−6、132−8及び132−10とが交互に配置される。抵抗ユニット133−1、133−3、133−5、133−7及び133−9と抵抗ユニット133−2、133−4、133−6、133−8及び133−10とが交互に配置される。図では、ブラケット(角括弧)で5個のユニット133−1、133−2、133−8、133−9及び133−10を示す。図2A及び図3Aの概略図を参照して、ユニット133の詳細を後述する。
図2Bは、図2Aに示すブロック122を貫通する立面断面図であり、流れ制御ユニット114の一つであるユニット114−8、より詳しくは戻り流(リターン)機能を有するユニット114−8−Rを示す。以下に説明するように、出口ユニット(たとえば、114−3−O)の断面構成は、図2Bに示す構成と、基本的には類似の構成である。メインリターンボア132−8は、ユニット114−8−Rの上部に位置し、面124S1からユニットの長さLUに沿って盲端部132BまでY軸方向に伸長する。図2Bに示すように、メインリターンボア132−8が、最初に、印加された低い流体圧を受け取る。ユニット114−8−Rにより、ユニット114−8−Rのリターンポート121R(具体的には121−8−R)に低い圧力が印加される。図をわかりやすくするために、流体は図示していない。メインリターンボア132−8の長さLUは、ブロック122内を近接ヘッドの長さLH(図1A参照)の一部に沿って伸長する。
図2A及び図2Bに、メインリターンボア132に接続される第1端部136を有する複数の鉛直方向流体流れボア134を示す。ユニット114−8を例にとって説明すれば、ブロック122内で、長さLUに沿って、すなわち、近接ヘッド106の長さLHの一部に沿って、互いに間隔をあけて、複数の鉛直方向流体流れボア134−8が伸長する。ユニット114−8及び関連ユニット114−2、114−4、116−6及び114−10において、ボア134は長円形状で、長円形の各ボア134は、面124S1から離れてY軸方向に広い範囲で伸長する。図2A及び図2Bに、複数のボア134の第2端部140−8に接続される上部プレナム138−8を示す。この構成により、各鉛直方向流体流れボア134−8は、低い流体圧を上部プレナム138−8に印加する。図2Bに示すように、メインリターンボア132−8と同様に、上部プレナム138−8もブロック122内で伸長する。図2Aにおいて、抵抗ユニット133−8の抵抗ボア142−8はブロック122内に形成されて、上部プレナム138−8に連通する。抵抗ボア142−8内に、抵抗144−8が配置される(ボア142−8内に配置されてY軸方向に伸長する抵抗144−8を示す図4A参照)。図3Aにも、ボア142−8内に抵抗144−8−Rが配置される様子を示す。抵抗ユニット133−8の抵抗144を、144−8(より具体的には144−8−R)として示す。一般的に、各抵抗144は、各抵抗ボア142を流れる流体の流れを制限するような形状を有し、ブロック122内で抵抗ボア142の盲端部142B(図2B参照)まで伸長する。図2B及び図3Aに、ブロック122内の下部プレナム146−8を示す。下部プレナム146−8は、メインボア132−8と平行に伸長し、抵抗ボア142−8に連通する。下部プレナム146−8は、抵抗144−8により制限された抵抗ボア142−8から印加される低い圧力を受け取る。ブロック122内に、複数の流体移動ボア148−8(より具体的には148−8−R)が形成される。ボア148−8は、鉛直方向流体流れボア134−8と同様に間隔をあけて配置され、下部プレナム146−8と底面124Bの平面126との間でZ軸方向に伸長する。各ボア148−8の末端部は、面124Bで、各流体移動ポート(たとえば、リターンポート)121−8−Rを形成する(図2B参照)。図1Bに示す横列116が、図2Bに示す末端部が各流体移動ポート121−8−Rを形成するボア148−8に対応する(図1Dでは、点でその一部を示す)。
図3Aを参照して、各リターンユニット114R(すなわち、114−2、114−4、114−6及び114−8)の動作を説明する。ユニット114−8−Rのメインリターンボア132−8−Rに低い圧力を印加することにより、リターンポート121−8から下部プレナム148−8、(抵抗144−8が組み込まれる)抵抗ボア142−8及び上部プレナム138−8を通って、メインリターンボア132−8に流れる流体が実質的に制御されて、メニスカス108からユニット114−8−Rの複数のリターンポート122−8−R内にほぼ一定の流速で流体が流入する。ほぼ一定の流速での流体の流入に関しては前述したが、ユニット114−8に対応する複数のリターンポート121−8−Rがヘッド106に沿って(長さLUに沿って)間隔をあけて配置される様子を示す図2Bからも理解できる。間隙110から一つのユニット114−8−Rの複数のリターンポート121−8−Rの各々にほぼ一定の流速で流体が流入することは、ユニット114およびポート121に関して前述したとおりである。
流れ制御ユニット114の一例として、図2Aを参照して、リターンユニット114−8−Rを説明してきた。出口ユニット(たとえば、114−3−O)の断面構造は、図3Aに示すリターンユニット114−8−Rの断面構造と同様のものである。ネットワーク113の出口ユニット114を、以下に、図2Aを参照して説明する。出口ユニットの例として、ユニット114−3−O、114−5−O、114−7−O及び114−9−Oを図2Aに示す。出口機能の説明で、図2Bを参照する場合、(符号「−#」を付けない)一般的な参照番号を用いる。
ユニット114上部のメインボア132は、メイン出口ボア132であり、(たとえば、ユニット114−3の)出口ポート121Oまで流れる流体、たとえば、水、を高圧下で最初に受け取る。流体はメイン出口ボア132から流れ、鉛直方向流れボア134に分かれて分離流として、抵抗144を組み込んだ抵抗ボア142まで流れる。以下に説明するように、抵抗ボア142を通る流体の流れは、抵抗144により制限されて、制限された流体の流れが、下部プレナム146から複数の流体移動ボア148を通り、複数の流体移動(出口)ポート121に流れる。
上述したように、ユニット114の各出口ポート121を通る流体の流速はほぼ一定である。すなわち、ウエハーの直径全体にわたって、一つのユニット114のポート121Sに対してほぼ一定である。流れ制御ユニット114の概略を説明してきたが、図3A及び図3Bを参照して、ユニット114を通る流体の流れをさらに詳細に説明する。図3Bは、図3Aに示すリターンユニット114−2の拡大図である。図3A及び図3Bに示す構成は、すべてのユニット114に共通の構成であり、以下の説明では、符号「−#」を用いない。上部プレナム138、下部プレナム146及び抵抗ユニット133の構造を、同じ長手軸(たとえば、Z軸)に対する断面に関して、説明する。抵抗ボア142は、壁152を備える。上部プレナム138、下部プレナム146及び抵抗ボア142の断面を組み合わせることにより、「十字形断面」すなわち「十字形ボア構造」157が形成される。
十字形抵抗構造は以下の特徴を備える。(i)プレナム138及び146がZ軸に沿って縦型に配置される、(ii)二つのプレナム138及び146の間に抵抗ボア142が配置される、及び(iii)抵抗ボア142がZ軸に対して横方向に(X軸と平行に)、かつ、縦型配置のプレナム138及び146を越えて横方向に伸長する。したがって、抵抗ボア142は、図3Bの左方向に、プレナム138及び146の左側の鉛直線158Lを越えて、伸長する。同様に、抵抗ボア142は、図3Bの右方向に、プレナム138及び146の右側の鉛直線158Rを越えて、伸長する。
図3Bに、(a)十字形ボア構造157と、(b)リターンユニット114−2の十字形ボア構造157の抵抗ボア142内に組み込まれる抵抗144の断面抵抗形状又は構造と、を示す。特徴(a)及び(b)は、すべてのユニット114に共通である。これらの図に示すように、抵抗144は、縦型配置のプレナム138及び146に対して横方向に伸長し、横方向の抵抗流路すなわちスリット160によって、抵抗ボア142の壁152から離れている。(図3Bの拡大図に示すように)リブ161が、抵抗から広がり、壁152に接する。リブ161により、ボア142の中心に抵抗144が配置され、抵抗144(144−8)の長手軸Rの全周にわたって所定の値で横方向抵抗流路160を保持することができる。軸Rは、Y軸方向に伸長する。図示した例では、抵抗流路160は、蛇行流路として形成されている(図3Bの矢印162参照)。蛇行流路162は、上部プレナムからZ軸に対して横方向に線158Rを越えて伸長し、次にZ軸に沿って進んだ後、Z軸に向かって横方向に下部プレナム146との交差部まで伸長する。図3Bに十字形ボア構造157と共に示すように、抵抗144は、障壁面164を備え、障壁面164は、(矢印162で示す)蛇行流路に対応して、Z軸に対して横方向に伸長した後、Z軸と平行に伸び、さらにZ軸に対して反対の横方向に伸長する。
(図2Bとは反対向きの)図4Aを参照して、抵抗144をさらに説明する。抵抗ボア142は、盲端部142Bから面124S1に形成される開口端部まで伸長する。抵抗144が盲端部142Bに到達するまで、ボア142内に抵抗144を挿入する。図4Aに示すように、抵抗の長さLRとプラグ又は固定具166の長さLPの合計が、抵抗ボア142の長さLRBに等しい。所定の抵抗ユニット133を適切に機能させるためには、ネットワーク113に含まれる一組のプラグから唯一の適当なプラグ166を選択し、また、一組の抵抗から唯一の適当な抵抗144を選択する必要がある。適切に機能させるためには、長さLPと長さLRの合計がボア142の長さLRBに等しいだけではなく、ボア142の端部に隣接するスロット170にタブ168をはめ込む必要がある。
抵抗144の長さに注目して、(a)十字形ボア構造157と、(b)構造157の抵抗ボア142内に組み込まれる抵抗144の断面抵抗形状と、を示す図3Bを再び参照する。一つの流れ制御ユニット114の特徴(a)及び(b)を組み合わせることにより、メインボア132とポート121との間の流れ構造の流体の流れに最も高い抵抗を加えることができる。特徴(a)及び(b)により流体の流れに加えられる最も高い抵抗は、上述したように、蛇行流路162に沿って、加えられる。すなわち、まず、メインボア132からZ軸方向に、あるいは、ポート121及び下部プレナム146からZ軸方向に流れた後、Z軸から離れた横方向の流れにかわり、その後、再び、Z軸に平行な軸方向の流れに戻る。流体の流れに加えられる最も高い抵抗は、したがって、出口ユニット(たとえば、114−3−O)の場合でも、リターンユニット(たとえば、114−8−R)の場合でも可能である。たとえば、最も高い抵抗を流体の流れに加えることにより、出口ユニット(たとえば、ユニット114−1、114−3、114−5、114−7及び114−9)内のメイン出口ボア132を流れる最初の流体の流れが、出口ユニット114−3の下部プレナム146及び流体移動ボア148内を流れる各流体の流れと分断される。もう一方のリターンユニットを例にとると、最も高い抵抗を流体の流れに加えることにより、リターンユニット(たとえば、ユニット114−2、114−4、114−6、114−8及び114−10)の流体移動ボア148内を流れる最初の流体の流れが、メインボア132を流れる各流体の流れと分断される。出口ユニットとリターンユニットの各々において、各ボア132及び134が上述した比較的「低い」公差に従うものであったとしても、このように最も高い抵抗を加えることにより流れが分断される。たとえば、+及び−の公差が約1.149%の場合、公称寸法からの変化量は約2.3%以内になる。ガンドリルを用いてボア132を形成する場合、ボア132の中心が、最も望ましい位置から外れる可能性がある。面124S1からボア132の盲端部124Bに向かって、盲端部124Bまでボア132をドリルであける場合に、このような偏差が生じる場合がある(図2B参照)。このような偏差を「ウォークアウト(walkout)」あるいは「ランアウト(runout)」と称し、ボア132の実際の中心が円の内側にあるか外側にあるかで定義できる。この円は、ボア132の中心の最も望ましい位置に一致するウォークアウト中心を有する。円の半径を、ボア132の公称直径のパーセントで示すことができる。たとえば、半径を約2.298%としてもよい。鉛直方向流れボア134の直径に対する「低い」公差を、ボア134の直径の+パーセント又は−パーセントで示すこともできる。たとえば、ボア134に対する+及び−パーセントを、それぞれ、約2.5%としてもよい。
公差が低い場合に一般的に問題となるのは、各ボア(たとえば、ボア132又はボア134)の実際の寸法が、公称寸法から許容範囲の最大パーセント値、たとえば、上述した公差の最大値分、変動する可能性があるということである。また、各ボアを流れる流体の流速も大きく変動する可能性がある。公差が低い場合のこのような一般的な問題を解決するコストがかかり容認できない対策として、すべてのボアやプレナムを「高い」公差に従い形成する方法がある。本実施例では、十字形の断面157と流体移動ボア148の構成との併用により、公差が低い場合のこのような一般的な問題を解決することができる。詳しく説明すると、各ユニット114のすべてのボアをコストのかかる高い公差に従うものとすることなく、高い公差に従う部品をプレナム138及び146並びに抵抗ユニット114及びボア148に限定することにより、各ボア132及び134を低い公差に従って形成し、かつ、ブロック122を一体構成としても、ユニット114から近接ヘッド106に対する流体の流速をほぼ一定にすることができる。
高い公差の使用を限定する例として、抵抗ボア142の寸法の「高い」公差をボア142の寸法の+パーセントのみに適用することとして、−パーセントには適用しないようにしてもよい。ボア142の実施例において(たとえば、図2Aに示す142−2及び142−10)、−パーセントをゼロ(ゼロ公差)として、+パーセントをたとえば約1.2%とする。ボア142の別の実施例において(たとえば、図2Aに示すユニット114−3−Oの142)、+パーセントと−パーセントを共にたとえば約1.5%とする。
さらに、抵抗ボア142への挿入及び抵抗ボア142からの取り外しが可能な抵抗144の構成により、ブロック122内でボア152の十字形断面構造157が完成した後に、抵抗を交換することも可能である。すなわち、各ユニット114における流速をほぼ一定にするために、完成したブロック122の構造を調整する必要はない。交換用の抵抗144を単体で作成することは容易であるため、このような交換可能な構成により、完成した抵抗ボア142の実際の寸法に合わせてリブ161を準備することが可能になる。また、上述したように抵抗ボア142の十字形断面構造157に組み込まれる上述した断面形状の抵抗144を、材料として適したPVDFやECTFEから形成することにより、抵抗144の作成が容易になる。上述したウォークアウトがあるとしても、抵抗ボア142の壁に係合させたリブ161を用いて、抵抗144をボア142の中心に保持することができる。抵抗ボア142の実際に求められる中心に関しては、抵抗ボア142のウォークアウトに公差を設定しないことが望ましい。
比較的低い公差を用いた場合の問題を解決するように、抵抗144の一つを構成するようにしてもよい。たとえば、リブ161(図4D及び図5Dのリブ161の拡大図参照)間のY軸方向の距離を、実際の抵抗ボア142の断面寸法に従って選択するようにしてもよい。この断面寸法を用いて、異なるリブ161対間の抵抗144の断面寸法を求めて、抵抗144とリブ161間のボア142との間のスリット160の値を選択するようにしてもよい。また、完成したブロック122において、一つのユニット114のメインボア132から流体移動ポート121までのいずれに対しても、一体型のブロック122を保持するための(Oリング等の)封止具や固定具は必要ではない。封止されるブロック122の開口部は、(i)抵抗ボア142内のプラグ166及び(ii)各メインボア132への(図示しない)真空ライン又は流体供給管の接続のみである。
抵抗144の他の利点や特徴に関しては、以下のユニット114の実施例の説明を参照することにより明らかになるであろう。図3Aを参照して、抵抗ユニット133を含むユニット114の五種類の構成例を説明する。これらの各構成例は、上述した特徴(a)十字形ボア構造157と、(b)構造157の抵抗ボア142内に組み込まれる抵抗144の断面抵抗形状と、を備えている。
ユニット114の5種類の構成例の一つ目は、図3Aに示すリターンユニット114−4、114−6及び114−8(114−4−R等とも表示)である。一種類目のユニット114の例として、図4Aないし図4Dにリターンユニット114−8の詳細を示す。以下の説明およびユニット114−8に関する図3Bの説明は、ボア142と抵抗144の寸法は異なるものの、ユニット114−4及び114−6にも適用される。図4A及び図4Bに示すように、抵抗ユニット133−8は、長さLRの抵抗144−8を備える。ボア142に挿入される抵抗端部には印(たとえば数字「5」、「5」が隠れている図4D参照)が付けられている。これは、ユニット114−4、114−6及び114−8の抵抗144が取り換え可能(各抵抗の端部に印「5」が付けられている)であることを示す。図4Bの断面に示すように、リブ161は、長方形断面の抵抗144−8の三辺に沿って形成されている。図4Dの平面図に、抵抗144−8の一部を拡大して示す。リブ161は、抵抗144−8の3辺のうちの1辺から外側に伸長している。図4B及び図4Dに示す4番目の辺は、リブを備えず、ボア142の壁152に直接係合されている(図4Bの左辺)。このような構成により、図3Bを参照して上述した横方向に伸長する部分をセクションを含む、図3のスリット(間隙)160及び蛇行流路162が形成される。図4Cの端面図に示すように、抵抗144−8は、ネジ付きの端面ボア172を備え、ここに(図示しない)ネジ込みツールを固定することにより、容易に、抵抗144をボア142に挿入し、ボア142から抵抗144を取り外すことができる。末端タブ174をボア142の左端の(図示しない)スロット内に挿入することにより、ボア142内で抵抗144−8を適切に配置させる。
抵抗ユニット133の5種類の構成例の二つ目は、図2Aに示す出口ユニット114−3、114−5、114−7及び114−9である。これらのユニットは、図3Aの断面図にも示されている。図5Aに一つのユニット114−3の立面図を示し、図5B及び図5Dにリブ161で分断されている抵抗144−3を示す。図5B及び図5Cに抵抗144−3の断面を示す。図示されるように、抵抗ユニット133−3は、出口ユニットに特有の長さLR(図5A参照)の抵抗144−3を備える。ボア142−3に挿入される抵抗端部には印(たとえば数字「4」)が付けられている。これは、ユニット114−3、114−5、114−7及び114−9の抵抗144が取り換え可能(各抵抗の端部に印「4」が付けられている)であることを示す。図5Bの断面及び図5Dに示すように、リブ161は抵抗144−3の円形外周に沿って形成されている。リブ161を有するこのような構成により、(図3Bに示す)スリット(間隙)160が形成され、円形断面の抵抗144−3及びボア142−3、間隙160及び蛇行流路(図5Bの矢印162参照)が横方向にユニット軸Rの左側及び右側の両方に伸長する。流路162は、円形リブ161の内側で、かつ、隣接するリブ161間の抵抗144−3の外周の外側に、形成される。端面図5Cに示すように、抵抗144−3は、ネジ付きの端面ボア172を備え、ここに(図示しない)ネジ込みツールを固定することにより、容易に、抵抗144−3をボア142−3に挿入し、ボア142−3から抵抗144−3を取り外すことができる。
抵抗ユニット133の5種類の構成例の三つ目は、図2Aに示す出口ユニット114−1と抵抗ユニット133−1である。抵抗ユニット133−1は、図3Aにも示されている。ユニット114−1と133−1の詳細を図6Aないし図6Cに示す。図示されるように、抵抗ユニット133−1は、出口ユニット114−1に特有の長さLRの抵抗144−1を備える。ボア142−1に挿入される抵抗端部には印(たとえば数字「1」)が付けられている。これは、ユニット114−1の抵抗144−1を他のユニット114の抵抗144と区別するためのものである。図6B及び図6Cに、抵抗144−1の断面を示す。図6Bに示すように、リブ161は、抵抗144−1の矩形外周の3辺に沿って形成されている。リブ161を有するこのような構成により、(図3Bに示すように)ユニット軸Rの右側に横方向に伸びるスリット(間隙)160が形成される。端面図6Cに示すように、抵抗144−1は、ネジ付きの端面ボア172を備え、ここに(図示しない)ネジ込みツールを固定することにより、容易に、抵抗144−1をボア142−1に挿入し、ボア142−1から抵抗144−1を取り外すことができる。抵抗144−1の構成により、ウエハー表面104にN2/IPAが供給され、横方向の流れが形成される。上面には凹部144Dが形成されている。
抵抗ユニット133の5種類の構成例の四つ目と五つ目は、図2Aに示すユニット114−2及び144−10、より具体的にはリターンユニット114−2−R及び114−10−Rである。以下の構造を除けば、これらのユニットの構成は、図3Aを参照して上述した構成と同様のものである。図1Dを参照して上述したように、ユニット114−2及び144−10は、ウエハー102の直径Dを越えて、さらに、ユニット114−3ないし114−9を越えて、各横列116に沿って伸長する。ユニット114−2は、縦列(直線118参照)に沿ってX軸方向に伸長するユニット114−11及び114−12に接続する。同様に、ユニット114−10は、ユニット114−13及び114−14に接続する。ユニット114−2は、抵抗ユニット133の5種類の構成例の一つであり、抵抗144−2の作用により、リターンユニット114−11及び114−12からユニット114−2に流体の流れが戻される。ユニット114−10は、抵抗ユニット133の5種類の構成例の一つであり、抵抗144−10の作用により、リターンユニット114−13及び114−14から流体の流れが戻される。ユニット114−2−R及び114−10−Rの例として、ユニット114−2−Rを図3A、図7A及び図7Bに示す。ユニット114−2−Rの説明はユニット114−10−Rにも適用される。ただし、たとえば、リターンユニット114−11及び114−12からの流体の流れ方向及びリターンユニット114−13及び114−14からの流れ方向のように、流体の流れ方向が異なることに起因して、抵抗144の構成が異なる。図7Aに示すように、抵抗ユニット133−2は、長さLRの抵抗144−2を備える。図7Aに抵抗の両側端部176(左側)及び178(右側)を示す。図3B及び図4D(抵抗144−8を図示)に示すように、両端部176及び178の間で、抵抗144−2にリブ161が形成される。図3Bに示すように、抵抗144−2の本体とボア142−2の壁152とにより、間隙160が形成される。ボア142−2に挿入される抵抗端部176には印(たとえば、抵抗144−2の場合には数字「2」、抵抗144−10の場合には数字「3」)が付けられている。これは、ユニット114−2の抵抗144がユニット114−11及び114−12に対応し、ユニット114−10の抵抗144がユニット114−13及び114−14に対応することを示している。
図7Aに示すように、各抵抗144−2及び144−10は、両端部176及び178を有し、それぞれ、対応する二つのユニット114−11及び114−13(端部178)及び対応する二つのユニット114−12及び114−14(端部176)に低い圧力を印加して流体を各二つのユニットから誘導する。さらに詳しく説明すると、ユニット114−11及び114−12は、前側面124Fと後側面124Rとの間で、ヘッド106の半分の長さ分だけX軸方向に伸長する。これらのユニットは、後側面124Rに隣接するユニット114−2と、すなわち、抵抗144−2と協働する。図7Aに示すように、各端部176及び178は、端部リターン(バイパス)ボア180を備える。具体的には、左端部176にはボア180L、右端部178にはボア180Rを備える。(図1Dとは逆になる)図7Aに示すように、端部リターンボア180Lは、面124S2に向かって外側に広がっている。図1Dを用いて説明すると、ユニット114−11が前側面124Fに向かって伸長していることから、端部リターンボア180LはX軸方向に前側面124Fに向かって広がっている。図7Aに示すように、端部リターンボア180Rは、逆の面124S1に向かって外側に広がっている。すなわち、ユニット114−11(ユニット114−12)が前側面124Fに向かって伸長していることから、端部リターンボア180RはX軸方向に前側面124Fに向かって広がっている。
同様に、前側面124Fに隣接するユニット114−10は、前側面124Fと後側面124Rとの間で、ヘッド106の半分の長さ分だけX軸方向に伸長するユニット114−13及び114−14と協働する。すなわち、これらのユニットは抵抗144−10と協働する。図7Aに基づいて理解できるように、ユニット114−14が後側面124Rに向かって伸長していることから、ユニット114−10の端部リターンボア180LはX軸方向に後側面124Rに向かって広がっている。ユニット114−10の端部リターンボア180Rは、逆の面124S1に向かって外側に広がっている。すなわち、ユニット114−13が後側面124Rに向かって伸長していることから、端部リターンボア180RはX軸方向に後側面124Rに向かって広がっている。
ユニット114−2とユニット114−11及び114−12との協働並びにユニット114−10とユニット114−13及び114−13との協働に関しては、図1Dを参照することにより、より深く理解できるであろう。たとえば、(Y軸方向に伸長する)ユニット114−2の横列116におけるポート121は、(X軸方向に伸長する)ユニット114−11及び114−12の縦列118におけるポート121に、湾曲隅130で接続される。上述したように広がる端部リターンボア180L及び180Rを備える抵抗144−2(図7A参照)によって、ユニット114−11及び114−12のポート121に容易に低い戻り流(リターン)圧力を印加することができる。同様に、(Y軸方向に伸長する)ユニット114−10の横列116におけるポート121は、(X軸方向に伸長する)ユニット114−13及び114−14の縦列118におけるポート121に、湾曲隅130で接続される。上述したように広がる端部リターンボア180L及び180Rを備える抵抗144−10によって、ユニット114−13及び114−14のポート121に容易に低い戻り流(リターン)圧力を印加することができる。
図1Dにおいて、面124S2近傍のユニット114−14及び114−12に沿って伸びる切断線による切断面を図7Bに示す。面124S1近傍のユニット114−13及び114−11に沿って伸びる切断線による切断面も同様の構造である。図7B及び図7Cを参照して、ユニット114−2及び114−10の構造を説明する。図7Bに示す抵抗ユニット133−2は、下部プレナム146−2に接続される抵抗ボア142−2を備える。抵抗144−2は図示していない。図7Cの断面はユニット114−2及びユニット114−12を示す。抵抗ボア142−2はその端部で途切れ、ユニット114−12には接続されていない。同様に、上部プレナム138−2もその端部で途切れ、ユニット114−12には接続されていない。抵抗144−2も、その端部が抵抗ボア142−2の端部に隣接して途切れている。下部プレナム146−2は、ユニット114−12の湾曲リターン(戻り流)通路182−12に連通している。湾曲リターン通路182−12は、湾曲隅130に沿って湾曲し、X軸方向に伸長する直線リターン(戻り流)通路184−12に接続する。図7Bに、隅130から斜め下向きに傾斜して伸長する流路184−12を示す。前述したように、最も高い抵抗をメインボア132−2への流体の流れに加えた後、抵抗ユニット144−2により下部プレナム146−2に低い圧力が印加される。端部176及び178では、バイパスボア180L及び180Rを介して直接、下部プレナム146−2に低い圧力が印加される。(a)湾曲リターン通路182−12を介して直線リターン通路184−12に連通する下部プレナム146−2と(b)バイパスボア180Lの作用とによって、流体移動ボア148−12における流体の流速は、流体移動ボア148−2における流体の流速に均衡する。図7Bにおいて、流路184−12は、ユニット114−12の流体移動ボア148−12の列118の上、すなわち、ボア148−12の端部に位置するポート121−12の上に位置する。図7において、ユニット114−12の流体移動ボア148−12の列118は、直線リターン通路184−12に開口する。
抵抗144−2の(端部リターンボア180Lを備える)端部176の構造は、上述した蛇行流路162とは異なり、バイパスボア180Lは面124S2に向かって広がる。これによって、抵抗144−2の端部176を貫通して伸びる端部リターンボア180Lは、ユニット114−2の下部プレナム146−2に伸びる蛇行流路162を迂回し、ユニット114−12のボア148−12に低い圧力を印加する。このバイパス効果により、ボア180Lは、メインボア132−2とユニット114−12のポート121−12との間の流れ構造を流れる流体に高い抵抗を加えることはない。上部プレナム138により抵抗ボア142−2に印加される低い圧力は、端部リターンボア180Lを介して、湾曲隅130に沿って湾曲し、直線リターン通路184−12に連通する曲線リターン通路182−12に加えられる。次に、低い圧力は、通路184−12からボア148−12の上部に印加される。最も高い抵抗の損失をオフセットするために、通路182−12及び184−12が傾斜していることから、流体移動ボア148−12のZ軸方向の長さは、端部リターンボア180L近傍で最大になり、ボア180Lからユニット114−12に向かうX軸方向の距離が増えるにつれて、減少する。このようにボア148−12の長さが変わることにより、ボア148−12によってポート121−12に一定の低い圧力が印加される。端部リターンボア180L内及び流体移動ボア148−12内の流れに加えられる抵抗により、ポート121−12に流入する流体の流速は、許容できる程度に一定になる。ただし、この一定性は、横列116に沿って配置される流体移動ポート121−2にほぼ一定の流速で流入する流体における一定性よりは低い。
ユニット114−2とユニット114−12との協働に関する上述の説明は、ユニット114−2とユニット114−11との協働や、ユニット114−10とユニット114−13及びユニット114−14との協働にも適用される。従って、ボア148−11、148−13及び148−14のZ軸方向の長さが変わることにより、各ボアによって各ポート121−11、121−13及び121−14に一定の低い圧力が印加される。各端部リターンボア180L及び180R内及び各流体移動ボア148内の流れに加えられる抵抗により、縦列118の各ポート121に流入する流体の流速は、横列116に沿って配置される流体移動ポート121にほぼ一定の流速で流入する流体における一定性まではいかないが、許容できる程度に一定になる。
一体型の近接ヘッド106の構成しやすさに関しては、図1C及び図3Aを参照することにより理解することができるであろう。この構成に関しては、参照することにより本明細書に組み込まれる、「Methods of Configuring A Proximity Head That Provides Uniform Fluid Flow Relative To A Wafer(ウエハーに対して一定の流れの流体を供給可能な近接ヘッドを構成する方法)」の名称で2007円12月20日に出願した米国仮特許出願(代理人整理番号LAM2P609B)に記載されている。この構成方法は、図1Cからも理解できるであろう。一体構造のブロック122は、各セクション196−1及び196−2を含む(横列XXXXで示す)結合領域196を備え、各セクション196−1及び196−2は、X軸方向に伸長し、ユニット114−2の下部プレナム146−2と交差する。各セクション196−1及び196−2は、ブロック122の各パーツ122A及び122Bの合わせ面122AM及び122BMに沿って伸長する。図1C及び図3Aでは、合わせ面122AM及び122BMを直線122AM/122BMで示す。直線122AMはパーツ122Aの合わせ面を示し、直線122BMはパーツ122Bの合わせ面を示す。結合領域196を形成する(構成する)際に、これらの合わせ面122AM及び122BMが結合される。詳しく説明すると、セクション196−1及び196−2の合わせ面122AM及び122BMを結合することにより、これらのパーツ122A及び122Bが接合され、結合領域196を備える一体構造のブロック122が形成される。図3Aに二つのパーツ122A及び122Bを備えるブロック122を示す。図をわかりやすくするために、直線196により結合領域196を示す。ブロック122におけるユニット114の形成を容易にするために、各パーツ122A及び122Bが分かれた状態でユニット114の各部を形成した後、パーツ122A及び122Bを接合(結合)して、結合領域196を備える一体型のブロック122を形成する。第1のパーツ122Aは、近接ヘッド106の長さLH(図1B参照)に沿って伸長し、ヘッド106の長さLHに垂直に(X軸方向及びZ軸方向に)伸びる面124S1を備える。内側合わせ面122AMは、面124S1及び反対側の面124S2と垂直に伸びる第1の合わせ面である。第1の合わせ面122AMは、結合及び接合前のパーツ122Aと122Bとを分ける平面である。図3Aに示すように、第1のパーツ122Aには、各ユニット114のメイン流入ボア132が形成される。図7Aに示すプラグ166用のボアは、抵抗ボア142に連通する(図1C参照)。ボア132及びプラグ用ボアは、第1の端部124S1から伸長する。図3Aに示すように、パーツ122Aには、さらに、上部プレナム138と第1の合わせ面122AMから伸びる下部プレナム146の一部分200とが形成される。第1のパーツ122Aをこのように構成することにより、第1の合わせ面から第1のパーツ122Aの内側にアクセスして機械加工を行なうことが可能になる。たとえば、ユニット114−1、114−2、114−4、114−6、114−8及び114−10に関して、ルーターを用いた機械加工により、すべてY軸方向に伸長する上部プレナム138、下部プレナム146の一部分200及び抵抗ボア142を形成する。さらに、下部プレナムの一部分200、抵抗ボア142及び上部プレナム138を介してアクセスすることにより、メイン流入ボア132に交差するように鉛直方向流れボア134を(たとえば、ドリルで穴をあけて)形成する。さらに、ユニット114−2及び114−10に関しては、図7Bを参照して上述した通路182及び184を、合わせ面122AMからの機械加工により形成するようにしてもよい。
ユニット114−3、114−5、114−7及び114−9を形成することにより、第1のパーツ122Aを完成させる。ガンドリルを用いて、面124S1からブロック122Aに穴をあけて、抵抗ボア142を形成する。図5Aに示すように、ボア142は盲端部142Bを備えるように形成される。図5Aを参照し、ボア142から抵抗144−3を取りだした状態を考えることにより、抵抗ユニット133−3の構成がわかるであろう。上部プレナム138−3は抵抗ボア142−3の上に形成され、下部プレナム146−3はボア142−3の下に形成される。各プレナム138及び146は、ブリッジ210によって間隔をあけたセクション208に分けられる。(図示しない)ツールを合わせ面122AMから抵抗ボア142−3を介して適当な深さ(上部プレナム138−3の上端になる部分)まで伸ばして、各セクションを形成する。ツールを、次のブリッジ210の希望位置に少し足りない位置まで、Y軸方向に動かす。ツールを合わせ面122AMから引き抜いて、ブリッジ210のY軸方向の厚さ分に相当する印を付ける。ツールを用いて、次のセクション208、さらに次のセクション208を同様に形成する。最後に、抵抗ボア142の直径よりも大きな直径で形成可能なプラグ166用のボアを形成して、一つのユニットの一つのパーツ(パーツ122A)を完成させる。図2Aに示すように、間隔をおいて各ユニット114を形成する。
近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長する第2のパーツ122Bの構成からも、ブロック122の製造が容易であることがわかる。第2のパーツ122Bは、第2の合わせ面122BMを有し、第2の合わせ面122BMに平行な複数の平面126を備える。図2A、図3A及び図5Aに示すように、第2のパーツ122Bには、第2の合わせ面122BMまで伸びる下部プレナム146の下側部分220が形成される。各ユニット114のこの部分を第2の合わせ面122BMを介して(図示しない)ツールで形成した後、Y軸方向にツールを移動させる。第2のパーツ122Bには、さらに、下側部分220から平面126のうちの一つを介して伸長する複数のポート148が形成される。
図2A、図3A、図5A及び図7Aに示すように、第1のパーツ122Aと第2のパーツ122Bとを結合領域196で接合し、第1の合わせ面122AMと第2の合わせ面122BMとを結合させる(図3A参照)。この際、下部プレナム146の各部分200と220とを一直線に合わせて、下部プレナム146を完成させる。さらに、図1Aに面124S1として表示したように、各パーツ122A及び122Bの面124S1を合わせる。同様に、反対側の面124S2も図1Aに示すように合わせる。第1のパーツ122A及び第2のパーツ122Bは、それぞれ、単体の上述した材料から形成される。このように結合及び接合することにより、上述したように、ブロック122は、メニスカス処理を行なうために、ウエハー102の長さを越えてY軸方向に伸長する。一体型のブロック122をさらに処理して、たとえば、プラグ166と共にOリングを用いることにより、第1の端部124S1で抵抗ボア142を封止するようにしてもよい。
ユニット114の別の実施例であるユニット114Pを図8Aに示す。この構成をすべてのユニットに共通する構成とすることもできる。抵抗144Pは、抵抗ボア142いっぱいに広がる形状を有する。抵抗144Pが内蔵される抵抗ボア142は、(上部プレナム138と一直線に並ぶ)中央部分248と(上部プレナム138から横方向にオフセットした)抵抗ボア142とを備える。抵抗144Pは、オープンセル型の多孔体から形成される。図8Bに、多孔体の一部の端面図を示す。図8Bに示すように、隙間250により、隙間250を通って上部プレナム138から下部プレナム146に向かう流体の流れが制限される。抵抗ボア142に内蔵されるオープンセル型の多孔体から形成される抵抗144Pは、幅方向(X軸方向)及びZ軸方向に伸長する流路を含む複数の蛇行流路154を提供する。多孔体を自己支持型とし、約500ミクロンの細孔径のPVDFビーズを充填するものとしてもよい。オープンセル型多孔体の隙間250により、多くの蛇行流路154が形成され、抵抗144Pは抵抗ボア142を通って下部プレナム146に流れる流体の流れを制限する形状を有する。下部プレナム146と流体移動ボア148とを上記のように構成することにより、上部プレナム138、(抵抗144Pを内蔵する)抵抗ボア142及び下部プレナム146を通る流体の流れが(上述したように)実質的に制御されて、複数の流体移動ボア148から間隙110に、上述したほぼ一定の流れの流体が流出する。
近接ヘッド106は、流体の主流と流体の分離流とを形成するように構成されている。このような構成において、上述したような構造のユニット114が、一つ又は複数用いられている。ユニット114がヘッド106で果たす機能に応じて、ユニット114を選択するようにしてもよい。たとえば、ユニット114−2による流体の主流が真空を形成して、外側戻り流(アウター・リターン)を規定すると共に、ユニット114−3による流体の主流がウエハー表面104の洗浄に適した化学物質を供給するものとしてもよい。あるいは、ユニット114−2による主流が真空を形成して、他の戻り流(リターン)を規定すると共に、ユニット114−3による主流がウエハー表面104をさらに洗浄する洗浄源に適したDIWを供給するものとしてもよい。図1Bに示す実施例において、他のユニット114−1がN2又はIPAの主流を供給し、ウエハー102がヘッド106を通過する際にウエハー表面104の最終洗浄を行うようにしてもよい。このような各ユニット114において、主流は、複数の平面126に対する分離流に分離され、ウエハー102の表面104に伸長するメニスカス108を形成する。このため、ヘッド106の長さLHにわたり、ユニット114における分離流の流速がほぼ一定になる。上述したように、複数の平面126は、ウエハー102の表面104に対してほぼ平行に配置される。
メニスカス108に対する分離流への主流の分離は、以下に説明するように「直接的」である。まず、ユニット114−1、114−3、114−5、114−7及び114−9等の供給ユニットの例としてユニット114−3を考えると、メイン流体移動ボア132−3及び鉛直方向流体流れボア134−3が、(ボア132−3内を流れる)主流を、直接的に、メインボア132−3と上部プレナム138−3との間の第1の総数の分離流路に分離する。言い換えると、ボア132−3とプレナム138−3との間では、流れがそれ以上多くの流路に分離されることはない。同様に、ユニット114−2及び114−10等のリターン(戻り流)ユニットの例としてユニット114−2を考えると、鉛直方向流体流れボア134−2が、抵抗ユニット133−2からの主流を、直接的に、メインボア132−2と上部プレナム138−2との間の第2の総数の分離流路に分離する。言い換えると、ボア132−2とプレナム138−2との間では、流れがそれ以上多くの流路に分離されることはない。
また、抵抗ユニット133−3の反対側(下部プレナム146−3に隣接する側)では、下部プレナム146−3とポート121−3との間には第3の総数の分離流路が形成される。言い換えると、下部プレナム146−3とポート121−3との間では、流れがそれ以上多くの流路に分離されることはない。さらに、抵抗ユニット133−2の反対側(下部プレナム146−2に隣接する側)では、下部プレナム146−2とポート121−2との間には第4の総数の分離流路が形成される。言い換えると、下部プレナム146−2とポート121−2との間では、流れがそれ以上多くの流路に分離されることはない。
第1の総数と第3の総数の比を考えると、第1の総数で第3の総数を除算した値を10未満、たとえば、約8としてもよい。たとえば、第1の総数を約12、第3の総数を約98とする。第2の総数と第4の総数の比を考えると、第4の総数で第2の総数を除算した値を10から20の範囲、たとえば、約16としてもよい。たとえば、第2の総数を約6、第4の総数を約100とする。第2の総数及び第4の総数をメニスカス処理用のレシピによって指定するようにして、その比を用いて、第1の総数と第3の総数を求めるようにしてもよい。比が大きくなればなるほど必要なボア134の数が少なくなり、パーツ122Aで必要な機械加工の数を削減するという観点から、大きな比の値が望ましい。
また、(上述したように)「直接的に」備えられる第1の総数の流路と第2の総数の流路とは、ユニット114のすべてのボアに高い公差を適用することなしに、形成される。前述したように、ボア132及び134は、すべて、低い公差に従って形成される。さらに前述したように、プレナム138及び146、抵抗ユニット114及びボア148に高い公差の適用を限定するように、ユニット114を構成する。一つのユニット114の各ボア132及び134を低い公差に従って形成し、かつ、たった一つの結合領域196しか持たない一体型構造のブロック122内にこのような各ユニット114が備えられる場合でも、上記のように高い公差の適用を限定したユニット114の構成によって、近接ヘッド106に対して、この一つのユニット114の各ボア148からほぼ一定の流速で流体を流すことができる。
前述したように、装置100は、ウエハー表面104のメニスカス処理において近接ヘッド106の表面124Bに対する流体の流れを制御する。装置は、一体構造のブロック122から形成され、ウエハー表面の全範囲(たとえば、直径D)にわたって伸張する長さLHを有する。各ユニット114に関して、ブロック122が、ブロックの長さにわたって(直径Dを超えて)ヘッド表面124Bに平行なメイン流体移動ボア132を備えるような構成でもよい。また、ブロックの長さにわたって伸張し、メインボア132とヘッド表面124Bとの間に配置されて、メインボア132とヘッド表面124Bとの間をヘッド表面124Bに対して流れる(たとえば、ポート121に流入またはポート121から流出する)流体に抵抗を加える抵抗ユニット133を備えるようにしてもよい。さらに、複数のボア134と複数のボア148とを備えるようにしてもよい。このようなボア134及び148を複数の流体移動ユニットのアレイとも称する。各アレイは、たとえば、図2Aに示すように、Z軸方向である流体移動方向にのみ伸張するものとしてもよい。複数のアレイは、第1の流体移動ボアのセットと第2の流体移動ボアのセットとから成る(すなわち、第1の流体移動ボアのセットと第2の流体移動ボアのセットとのみを含む)。第1のセットは、ボア134から構成され、第2のセットは、ボア148から構成される。ボア134(第1のセット)は、メインボア132と抵抗ユニット133との間に開口する。ボア148(第2のセット)は、抵抗ユニット133とヘッド表面124Bとの間に開口する。この構成により、ユニット114の抵抗ユニット133が、ヘッド表面124Bに対して相対的に流れ、メインボア132とヘッド表面124Bとの間で、かつ、ウエハー表面の全体にわたって(すなわち、直径D全体にわたって)流れる流体を実質的に制御する。
別の態様において、装置100が、メインボア132と抵抗ユニット133とアレイ(ボア134及び148)とを備え、ヘッド表面124Bに対する流体の流れを第2の流体移動ボアのセット内に(すなわち、ユニット114のポート121を介してボア148内に)流入させ、抵抗ユニット133を通して、メインボア132内に流入させるように構成してもよい。たとえば、実施例のユニット114−3及び114−5で、このような流れが形成される。抵抗ユニット133により加えられる抵抗は「最も高い」抵抗となる。ここで「最も高い」とは、第1のセットのボア及び第2のセットのボア(134及び148)により第1のセットのボア内及び第2のセットのボア内を流れる流体に加えられる他の抵抗と比較して高い、という意味である。他の抵抗は、抵抗ユニットにより加えられる最も高い抵抗よりも小さい。
また、一つの態様において、ヘッド表面124Bに対する流体の流れが、メインボア132から第1のセット(ボア134)に流れ込み、抵抗ユニット133を通り、ヘッド表面124Bを越えて第2のセット(ボア148)を通って、ウエハー102まで流れるように、メインボア132と抵抗ユニット133とアレイ(ボア134及び148)とを構成する。第1のセットのボアと第2のセットのボアが、第1のセットのボア内及び第2のセットのボア内を流れる流体に他の抵抗を加える。他の抵抗は、抵抗ユニットにより加えられる抵抗よりも小さい。
さらに、一つの態様において、第1のセットのボア134の総数は、第2のセットのボア148の総数よりも少ない。また、一つの態様において、メインボア132及び第1のセットのボア134は、それぞれ、低い公差に従って形成される。
装置100は、ウエハー102の表面104に供給するために近接ヘッド106に導入される流体の流れを制御する構造(たとえば、抵抗ユニット133)を備える。近接ヘッド106は、複数の平面126を有するヘッド平面124Bを備える。複数の平面126は、ウエハー102の表面104に対してほぼ平行になるように配置される(図1A参照)。上述したように、装置100はユニット114を備え、各ユニット114は、近接ヘッド106に送るべき流体が最初に流入するメイン流入ボア132(たとえば、132−3)を備える。メイン流入ボア132は、LRに相当する距離だけ近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長する(図5A参照)。ユニット114は、また、メイン流入ボア132に接続される第1端部136を有する複数の下降流ボアすなわち鉛直方向流れボア134を備える(図2B参照)。複数のボア134は、近接ヘッド106の長さに沿って、互いに間隔をおいて配置される。ユニット114は、さらに、複数の下降流ボア134の第2端部140に接続される上部プレナム138を備える。各下降流ボアから上部プレナム内138に流体が供給され、上部プレナム138は、近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長する。ユニット114は、近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長し、上部プレナム138に接続される抵抗ボア142を備える。抵抗ボア142は、図3B、図4B、図5B及び図6Bに示すような抵抗ボア142を通る流体の流れを制限する形状を有する抵抗144を内部に組み込むように構成される(図3Bに示す形状157)。ユニット114は、さらに、近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長し、抵抗ボア142に接続される下部プレナム146を備える。下部プレナム146は、抵抗144によって流れが制限された流体が抵抗ボア142から流入するように構成される。ユニット114は、近接ヘッド106の長さLHに沿って規定され、下部プレナム146とヘッド表面124Bの平面126との間に伸長する複数の出口ポート121を備える。各ユニット114内で上部プレナム138と(抵抗144を備える)抵抗ボア142と下部プレナム146とを通って流れる流体を実質的に制御して、ユニットの複数の出口ポートからほぼ一定の流れを流出させる。たとえば、流出する流れが上述した式1の値を有するように制御して、一つのユニット(たとえば、114−3)の各ポート121を通って流れる流体の流速が、ユニット114−3の他のいずれのポート121を通って流れる流体の流速とほぼ同じになるようにする。
装置100は、ウエハー102の表面104に供給するために近接ヘッド106に導入される流体の流れを制御する構造(たとえば、抵抗ユニット133)を備える。近接ヘッド106は、複数の平面126を有するヘッド平面124Bを備える。複数の平面126は、ウエハー102の表面104に対してほぼ平行になるように配置される(図1A参照)。上述したように、装置100はユニット114を備え、各ユニット114は、近接ヘッド106に送るべき流体が最初に流入するメイン流入ボア132(たとえば、132−3)を備える。メイン流入ボア132は、LRに相当する距離だけ近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長する(図5A参照)。ユニット114は、また、メイン流入ボア132に接続される第1端部136を有する複数の下降流ボアすなわち鉛直方向流れボア134を備える(図2B参照)。複数の下降流ボア134は、近接ヘッド106の長さに沿って、互いに間隔をおいて配置される。ユニット114は、さらに、複数の下降流ボア134の第2端部140に接続される上部プレナム138を備える。各下降流ボアから上部プレナム内138に流体が供給され、上部プレナム138は、近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長する。ユニット114は、近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長し、上部プレナム138に接続される抵抗ボア142を備える。抵抗ボア142は、図3B、図4B、図5B及び図6Bに示すような抵抗ボア142を通る流体の流れを制限する形状を有する抵抗144を内部に組み込むように構成される(図3Bに示す形状157)。ユニット114は、さらに、近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長し、抵抗ボア142に接続される下部プレナム146を備える。下部プレナム146は、抵抗144によって流れが制限された流体が抵抗ボア142から流入するように構成される。ユニット114は、近接ヘッド106の長さLHに沿って規定され、下部プレナム146とヘッド表面124Bの平面126との間に伸長する複数の出口ポート121を備える。各ユニット114内で上部プレナム138と(抵抗144を備える)抵抗ボア142と下部プレナム146とを通って流れる流体を実質的に制御して、ユニットの複数の出口ポートからほぼ一定の流れを流出させる。たとえば、流出する流れが上述した式1の値を有するように制御して、一つのユニット(たとえば、114−3)の各ポート121を通って流れる流体の流速が、ユニット114−3の他のいずれのポート121を通って流れる流体の流速とほぼ同じになるようにする。
装置100における抵抗ボア142の構造(図3B)は、上部プレナム138と一直線上に配置される中央部分300と上部プレナム138から横方向にオフセットした横方向部分302とを備える。抵抗ボア142を通る流体の流れを制限する抵抗の形状が、中央部分300と横方向部分(たとえば、312)内に伸張する抵抗144の幅を有する。抵抗144の構成により、上部プレナム138から流入した流体を、中央部分300から横方向に離れて伸張し、終端で下部プレナム146に連通する蛇行流路162に迂回させる。
さらに、抵抗144の構造が、2つの横方向流れ部を備える蛇行流路162を規定する。一方の横方向流れ部が上部プレナム138から伸張し、他方の横方向流れ部が下部プレナム146に伸張する。これらの流れ部は、Z軸方向と平行に伸長する流れ部304によって分けられる。上部プレナム138、下部プレナム146及び抵抗144は、Z軸方向に伸長する同一の長手軸に沿った断面157を形成する。上部プレナム138と下部プレナム146と抵抗ボア142とが、それぞれの断面を組み合わせることにより十字形断面157を形成するように構成される。二つのプレナムは長手軸に沿って縦型に配置され、抵抗ボア142は二つのプレナム間に配置される。
抵抗ボア142は、長手軸に対して横方向に、かつ、縦型配置のプレナム138及び146を越えて横方向に伸長する。(図3B)に示す実施例において、抵抗144の形状は、縦型配置のプレナム138及び146に対して横方向に伸長する部分164を含むほぼ平坦面の断面を備える。部分164の断面は、一連の流体流路160を形成するように抵抗ボア142から間隔をあけて配置される。一連の流体流路160の最初の流路(プレナム138近傍)が、縦型配置のプレナムを横方向にのみ越える抵抗ボア内142での最初の流れを規定する。一連の流体流路160のこれに続く流路がZ軸方向と平行に伸長し、一連の流体流路160の最後の流路がZ軸に向かって第2のプレナム146との交差部まで横方向に伸長する。
図3Bに示す実施形態において、抵抗144の断面は、さらに、縦型配置の上部プレナム138に対して横方向に伸長する障壁面164を備える。障壁面164は、(ボア142の中央部分300において)上部プレナム138と一直線上に配置される第1部分310を有する。障壁面164は、また、上部プレナム138の横方向に位置し、最初に流体の流れが流入するスリット160を形成するように(ボア142の横方向部分302において)抵抗ボア142から間隔をあけて配置される第2部分を有する。図6Bに示す実施形態において、(中央部分300において)障壁面の第1部分310がZ軸の方向に凹部を形成し(凹部144D)、上部プレナム138から流入した流体をスリット160内に迂回させることにより、最初の流れを形成する。
さらに別の実施形態において、装置100が近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長する第1のブロック(または第1のパーツ)122Aを備える構成としてもよい。第1のブロック122Aは、ヘッド106の長さLHに垂直な第1端部124S1と、第1端部124S1に対して垂直に伸長する第1結合領域196−1と、を備える。第1のブロック122Aが、第1端部124S1を介して伸長するメインボアと抵抗ボアとを備え、さらに、第1結合領域196−1を介して伸長する下部プレナム146の一部分200を備える構成でもよい。第1のブロック122Aは、さらに、下部プレナム146の一部分200を介してアクセス可能な上部プレナム138と、上部プレナム138を介してアクセス可能な複数の鉛直方向流れボアすなわち下降流ボア134と、を備える。第2のブロック(または第2のパーツ)122Bが、近接ヘッド106の長さLHに沿って伸長し、ヘッド106の長さLHに垂直な第2端部124S2と、第2端部124S2に対して垂直に伸長する第2結合領域196−2と、を備える構成としてもよい。第2のブロックは、第2の合わせ面122BMと平行な複数の平面126を備え、さらに、第2結合領域196−2を介して伸長する下部プレナム146の別の部分220と、複数の平面126中の一つの平面を介して伸長する(図3Aに示すボア148を含む)複数の出口ポートと、を備える。第1のブロック122Aの第1結合領域196−1と第2のブロック122Bの第2結合領域196−2とが連結されることにより、第1のブロック122Aと第2のブロック122Bとが接合保持されて、第2のプレナム146の各部分200及び220が一直線になった一体型構造のブロック122が形成される。別の実施形態において、第1のブロック122Aと第2のブロック122Bの各々を、単一のPVDF(ポリフッ化ビニリデン)材から別々に形成するようにしてもよい。また、抵抗ボア142を第1端部124S1で密閉し、メインボア132が、第1端部124S1の反対側に盲端部132Bを備えるようにしてもよい。図8A及び図8Bに示す別の実施形態において、抵抗144Pは、抵抗ボア142いっぱいに広がる形状に形成される。また、抵抗144Pは、上部プレナム138から下部プレナム146に向かって制限された流れの流体が流れる隙間250を有するオープンセル型多孔体から形成される。
さらに別の実施形態において、近接ヘッド106が流体移動ユニット114を備え、ユニット114が流体の主流と流体の分離流とを規定する。分離流がヘッド106の複数の平面126に対して流れることにより、ウエハー102の表面104に伸長するメニスカス108が形成される。このため、(たとえば、ユニット114のポート121に対する)分離流は、ヘッド106の長さLHにわたって、ほぼ一定になる。複数の平面126は、ウエハー102の表面104に対してほぼ平行になるように配置される。近接ヘッド106が、長さLH方向であるY軸方向と、長さ方向に垂直な流体移動方向であるZ軸方向と、長さ方向及び流体移動方向に垂直な幅方向であるX軸方向とに伸長するブロック122を備えるようにしてもよい。ブロック122は複数の平面を備える。ヘッド106は、流体の主流を最初に流入させるようにブロック122内に配置されるメインボア132を備える。メインボア132は、近接ヘッド106の長さに沿って伸長する。複数の分離流ボア134が、ブロック122内に配置され、メインボア132に接続される第1端部136を有する。複数の分離流ボア134は、メインボア132の長さに沿って互いに間隔をあけて配置され、第2端部140を有する。上部プレナム138は、ブロック122内に配置され、各分離流ボア134の第2端部140に接続されて、分離流ボア134に対して相対的に流体の流れを移動させる。抵抗または抵抗デバイスとして形成される抵抗ユニット133は、ブロック122内で上部プレナム138の長さに沿って伸長し、上部プレナム138と交差するボア142を備える。抵抗(すなわち、ユニット133)は、さらに、抵抗ボア142内に配置され、上部プレナム138に対して流体を流す少なくとも一つの蛇行流体流路162を形成する流れ制限部(すなわち抵抗)144を備える。下部プレナム146は、ブロック内122に配置され、蛇行流体流路162に対して相対的に流体を移動させるための長さ方向に伸長する開口上端を備える。下部プレナム146は、開口上端から長さ方向(すなわちY軸方向)にわたって間隔をあけて配置される一連の流体出口(ボア148及びポート121)に向かって、流体移動方向に伸長する。出口ポート121は、ブロック内に配置され、一つの出口ポートを各流体出口148に接続することにより、ヘッド106に対して流体の分離流の一つを移動させる。ここで説明した実施形態のブロック122内に形成される一つのユニット114に関して、各出口ポート121に対する分離流は、ヘッド106の長さにわたって、同じ一つのユニット114の他の出口ポート121から流出するいずれの流れとも、ほぼ同じになる。
また別の実施形態において、上部プレナム138と抵抗ボア142と下部プレナム146との組み合わせにより十字形断面157を形成する。抵抗ボア142は、X軸方向に伸長する上部プレナム138及び下部プレナム146よりもさらに幅方向であるX軸方向に伸長する。また、流れ制限部144が、上部プレナム138及び下部プレナム146よりもさらに幅方向(X軸方向)に伸長する抵抗ボア142内に備えられ、上部プレナム138と下部プレナム146とに対する少なくとも一つの蛇行流体流路を形成する。本実施形態の抵抗ボアが、さらに、流体迂回壁として形成される障壁164を備えるようにしてもよい。流体迂回壁は、上部プレナム138からオフセットした第1の末端324(図3B)まで幅方向(X軸方向)に伸長する第1の部分312を有する。流体迂回壁は、さらに、第1の末端324から第2の末端326まで流体移動方向に伸長する第2の部分(304に沿った)を有する。流体迂回壁は、さらに、第2の末端326から下部プレナム146に隣接する第3の末端330まで幅方向(X軸方向)に伸長する第3の部分328を備える。抵抗ボア142内に備えられる流れ制限部144は、流体迂回壁の各部分に沿って(302及び304に沿って)伸長して蛇行流路162を形成し、第1の部分、第2の部分、及び第3の部分に沿って連続的に伸長することにより、出口ポート121及びメインボア132に対して相対的に移動する流体の流れを制限する。一つの実施形態において(図8A及び図8B参照)、抵抗ボア142内に備えられる流れ制限部144は、複数の蛇行流路162を形成する隙間250を有するオープンセル型多孔体から構成される。
さらに別の実施形態において、上部プレナム138に対して相対的に流体を移動させる抵抗ボア142の構造(図3B参照)が、上部プレナム138と一直線上に配置される中央部分300と上部プレナム138から横方向にオフセットした横方向部分302とを備える。オープンセル型多孔体が、中央部分300内及び横方向部分302内に配置されるため、複数の蛇行流路250が幅方向(X軸方向)に伸長する流路として形成される。
図1Cに示す別の実施形態において、抵抗ボア144は、第1のプレナム138と第2のプレナム146の各々を越えて幅方向(X軸方向)に伸長することによって、各プレナム138及び146から幅方向(X軸方向)にオフセットした横方向に対向する溝330を形成する。各溝330は、流体移動方向(Z軸方向)に伸長する基部332と、幅方向(X軸方向)に伸長し、基部332によって間隔をあけられた対向する横壁334とを備える断面を有する。抵抗インサート144を、対向する溝330のうち一方の溝内に、一方の溝の基部332に接するように配置してもよい。抵抗インサート144を、一方の溝(左側の溝)330の基部332から他方の溝(右側の溝)330内に伸長して、他方の溝(右側の溝)内330で他方の溝(右側の溝)330の横壁334及び基部332から間隔をあけて配置するようにしてもよい。抵抗インサート144は、第1のプレナム138に対して横方向にのみ流体を移動させる第1の横方向抵抗流路(流路162の上側部分)を形成する。抵抗インサート144は、さらに、第1の横方向抵抗流路と直列に流体移動方向(Z軸方向)に伸長する流体流路(流路162の次の部分)を形成する。抵抗インサート144は、さらに、第2のプレナム146に対して横方向にのみ流体を移動させる第2の横方向抵抗流路(流路162の下側部分)を形成する。第1の横方向抵抗流路が上部プレナム138と流体移動方向(Z軸方向)の流体流路との間に形成され、第2の横方向抵抗流路が下部プレナム146と流体移動方向の流体流路との間に形成される。
さらに別の実施形態において、第1のプレナム138及び第2のプレナム146は、それぞれ、幅方向(X軸方向)に伸長するプレナム幅を有し、これら二つのプレナム幅は等しい。抵抗ボア142は、メインボア132及び上部プレナム138と平行に、長さ方向(Y軸方向)に伸長し、幅方向(X軸方向)に伸長する抵抗ボア幅を有する。抵抗ボア幅は、プレナム幅よりも大きく、ショルダー部分334を形成する(図1C参照)。一方のショルダー部分334は、抵抗ボア142と上部プレナム138との間に位置し、他方のショルダー部分334は、抵抗ボア142と下部プレナム146との間に位置する。抵抗ボア142は、さらに、両ショルダー部分334の間で流体移動方向(Z軸方向)に伸長する壁(基部)332を備える(図1C参照)。抵抗インサート144が、各ショルダー部分334及び抵抗ボア142の壁330に対応する独立の外部表面(たとえば、障壁面164)を備えるようにしてもよい。外部表面164は、抵抗ボア142内に配置され、抵抗ボア142内で上部プレナム138と下部プレナム146との間で伸長する細いU字型の連続流体移動流路(図3Bの流路162)を形成する。
図2A及び図3Aに示す実施形態において、ブロック122に、さらに、複数の流体移動ユニット114を形成するようにしてもよい。図2A及び図3Aに示すように、複数のユニット114は、幅方向(X軸方向)にわたって互いに間隔をおいて離れて配置される。
別の実施形態において、近接ヘッド106は、複数の流体移動ユニット114を備え、各ユニット114は、流体の主流と、ウエハー102の表面104に対する流体の分離流とを形成する。各ユニットが協働して、近接ヘッド106からウエハー表面104に伸長するメニスカス108を形成する。これにより、近接ヘッド106の長さLHにわたって、各ユニット内を流れる流体の分離流がほぼ一定になる。ウエハー表面104にわたる長さ方向(Y軸方向)と、流体移動方向(Z軸方向)と、ヘッド幅方向(X軸方向)とに伸長する近接ヘッド106をブロック122から形成するようにしてもよい。ブロック122内に配置され、流体の主流が流れるメインボア132を備える第1の流体移動ユニット114を備えるように、ブロック122を構成してもよい。メインボア132は、ヘッドの長さLHに沿って伸長する。複数の上部流路134が、ブロック122内を流体移動方向(Z軸方向)に伸長し、メインボア132と流体連結される第1の端部136を備える。複数の上部流路134は、ヘッドの長さLHにわたって間隔をあけて配置され、第2の端部140を備える(図2B参照)。上部プレナム138は、ブロック122内に配置され、各上部流路134の第2の端部140に接続して、流体を移動させる。メインボア132と複数の上部流路134とにより、流体の主流が、直接、メインボア132と上部プレナム138との間に形成される分離流路の総数(約100本の流路)に対応する数の分離流に分離される。抵抗(抵抗ユニット133)は、ブロック122内を長さ方向(Y軸方向)に伸長する抵抗ボア142を備え、上部プレナム138に対する流体移動方向(Z軸方向)の流体の移動を制限する。抵抗ボア142は流体迂回壁を備え(図1C参照)、流体迂回壁は、ヘッド幅方向(X軸方向)に横方向に伸長する第1部分334と、第1部分334から流体移動方向(Z軸方向)に伸長する第2部分332と、第2部分332から、第1部分334と平行に、ヘッド幅方向(X軸方向)に上部プレナム138と一直線になる端部340(図3B参照)まで伸長する第3部分334と、を含む。下部プレナム146は、ヘッドの長さLHに沿って伸長し、抵抗144の第3部分334(図1C参照)に流体連結される開口上端を備える。下部プレナム146は、さらに、開口上端から、(ユニット114の)長さにわたって一定の間隔で配置される一連の流体移動ポート(流体移動ボア148)に対して、流体移動方向(Z軸方向)に伸長する。抵抗133は、さらに、抵抗ボア142内に配置される抵抗インサート(抵抗)144を備え、ボア142の流体迂回壁の第1部分、第2部分及び第3部分334、332に沿った細い流路162を形成することにより、上部プレナム138及び下部プレナム146に対する流体の流れに抵抗を加える。複数の流体移動管148がブロック122内に配置される。一つの流体移動管148が、各流体移動ポート121に接続されることによって、ウエハー102の表面104に対する流体の分離流の一つが形成される。ユニットの各流体移動管に対する流体の分離流は、ユニット内の他の流体移動管により形成される他の流体の分離流のいずれに対しても、ほぼ一定になる。
さらに上述したように、複数の流体移動管148と複数の上部流路(すなわちボア134)は、ブロック122内で流体移動方向(Z軸方向)にのみ流れる分離流を形成する。ユニット114内を分離流がZ軸方向に流れる実施形態において、ブロック122が複数のボア134(第1のセットのアレイ)と複数のボア148(第2のセットのアレイ)のみを備えるようにしてもよい。このようなボア134及び146(148)を複数の流体移動ユニットのアレイとして上述した。たとえば図2Aに示すように、各アレイは、流体移動方向すなわちZ軸方向にのみ伸長する。ブロック122内で流体移動方向(Z軸方向)にのみ流れる分離流を形成するユニット114のボアとして、ボア134及び148のみが形成されている。
別の実施形態において、ブロック122は、低い公差に従うメインボア132及び複数の上部流路134と、高い公差に従うプレナム138及び146、抵抗ユニット114及びボア148と、を備える。ブロック122は、結合領域196を含む一体型構造のブロックとして構成される。
別の実施形態において、近接ヘッド106は、(ボア132内を流れる)流体の主流の圧力が流体移動管148に対する分離流の圧力よりも低いため、流体移動管148にほぼ一定の流体が流れる、という特徴を備える。上部プレナム138と抵抗ボア142と下部プレナム146との組み合わせにより十字形断面157を形成する。抵抗ボア142は、上部プレナム138及び下部プレナム146よりもさらに幅方向(X軸方向)に伸長する。抵抗ボア142内に配置される抵抗インサート144は、抵抗ボア142と協働して、下部プレナム146から抵抗ボア142を通って上部プレナム138に流れる流体に抵抗を加える。この構成により、各流体移動管148内に流入する流体の分離流は、第1の流体移動ユニット114の他の流体移動管148内に流入する他のいずれの流体の分離流とも、ほぼ同じになる。
別の実施形態において、(ボア132内を流れる)流体の主流の圧力が流体移動管148に対する分離流の圧力よりも低いため、流体移動管148にほぼ一定の流体が流れる。ブロック122は、幅方向(X軸方向)に伸長し、ブロックの隅130を規定する第1端面124S2を備える。上部プレナム138と抵抗ボア142と抵抗インサート144のそれぞれの終端は、端面、たとえば、124S2から間隔をあけて配置され、ブロック122の端面124S2及び隅130に隣接する体積空間がブロック122内に形成される。第2の流体移動ユニット(図7Bの実施例では、第1のユニットが114−2の場合に、面124S2に沿ったユニット114−12)は、端面124S2に沿って体積空間内に形成される。第2のユニット114−12は、第2の下部プレナム146−12、第2の複数の流体移動管148−12及び第2の一連のポート121−12を備える。抵抗インサート114−12は、抵抗インサート144−12を貫通し、細い流路(すなわち抵抗流路)160を迂回する低抵抗流体流路180L(図7A及び7C参照)を備え、第2の下部プレナム146−12と第2の複数の流体移動管148−12に直接、低圧を印加する。第2の流体移動管148−12は、(長さを変えることにより)第2の下部プレナム146−12から第2のユニット114−12のポート121−12に低圧を分配し、第2のユニット114−12のすべての流体移動管148−12にほぼ一定の流体の流れを流入させる。
以上の説明および図面からわかるように、近接ヘッド106がウエハーの直径Dよりも長い距離Y軸方向に伸び、ウエハーの直径Dがどんどん大きくなる場合の課題を上述の実施例により解決することができる。従来の課題は、(ウエハー102全体を一回の相対的な移動で処理するために)メニスカスのY軸方向の長さLDを増大させることによるものであった。
近接ヘッド106及びメニスカス108の流体供給及び制御パラメータを管理し、相互作用する操作を、コンピュータ制御を用いて自動制御するようにしてもよい。したがって、本発明の態様を、携帯型デバイス、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサ内蔵又はプログラム可能な家庭用電化製品、マイクロコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含むコンピュータシステム構成により実現するようにしてもよい。ネットワークを介して接続される遠隔処理装置によってタスクを実行する分散型コンピュータ環境により、本発明の実施形態を実現するようにしてもよい。
近接ヘッド及び近接ヘッドを接続するシステムの自動制御をする場合には、コンピュータシステムにデータを記憶させて、さまざまなコンピュータが実行する操作を行うようにしてもよい。このようなコンピュータ操作には、物理量の物理的処理が必要となる。限定されるものではないが、物理量は、たとえば、蓄積、移動、結合、比較等の操作が可能な電気または磁気信号である。実行される処理は、たとえば、生成、同定、判定、比較等である。
本発明の実施形態の一部を形成する操作のいずれも便利な機械操作とすることが可能である。本発明は、このような操作を実行するデバイス又は装置として実現することもできる。装置は、必要な目的のために特別に構築されたものでもよいし、あるいは、汎用コンピュータを備え、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動・構成されるものでもよい。さまざまな汎用機を本明細書の記載に従って書かれたコンピュータプログラムとともに用いるようにしてもよい。あるいは、必要な操作を実行する専用装置として構築する方が便利な場合もある。
本発明を、コンピュータ読み取り可能な媒体に記録されるコンピュータ読み取り可能なコードにより実現することも可能である。コンピュータ読み取り可能な媒体とは、コンピュータシステムによって読み取り可能なデータを記憶できる任意のデータ記憶装置である。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、リードオンリーメモリー、ランダムアクセスメモリー、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、フラッシュメモリー、磁気テープ、及びその他の光学的又は非光学的記憶装置が挙げられる。コンピュータ読み取り可能な媒体をコンピュータシステムに接続されたネットワークを通して分配して、コンピュータ読み取り可能なコードを分配して記憶及び実行するようにしてもよい。
以上、本発明をさまざまな実施例を参照して説明したが、明細書及び図面を参照することにより、当業者ならば、さまざまに変更、追加、置換を施した形態及び等価の形態で実現可能である。本発明の要旨の範囲内で、たとえば、ユニット114の数を変更したり、異なる方法で相互に関連させたりすることができる。本発明は、発明の要旨の範囲内で、このようなあらゆる変更、追加、置換、等価を含む。特許請求の範囲において、各構成要素及び/又は各工程は、特にその旨の記載がない限り、特に操作の順番を意味するものではない。